霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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同胞

インフォメーション
題名:同胞 著者:出口王仁三郎
ページ:56
概要: 備考:『故山の夢』p97-102 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-10-30 19:13:45 OBC :B121808c28
─二十一二歳の頃─
何時(いつ)までも()父母(ちちはは)は子を産むと友の一人は(いか)りてかたる
兄弟がせんぐりふえて厄介が俺にかかるとくやむ友かな
ありもせぬ親の財産兄弟にわけてやるのが(つら)いと友いふ
よい年をしていつまでも子を(はら)む両親見れば阿呆(あほ)らしと友いふ
その頃にわが母上も(はら)みましぬ案じて()()な宮詣でせし
わが母の安産祈ると友聞いて(きみ)は馬鹿よとののしり笑ふ
一人でも兄弟ふゆればいいぢやないかと友に語ればフフンとうそぶく
せんぐりに子が出来よつて貧乏の上塗(うはぬ)りするのが好きかと友いふ
貧乏の上塗(うはぬ)りしてもかまはない子を産む元気の親が嬉しい
百夜(ももよさ)を宮に詣でてつつがなく(いもうと)君子(きみこ)うまれ落ちたり
(いもうと)産声(うぶごゑ)ききて()んとなく心づよさを(われ)感じたり
(うま)れたる子の顔を見てわが友は腹だちまぎれに茶屋(ちやや)遊びせり
厄介者これほど沢山(うま)れては(すゑ)おそろしいと(くや)む友かな
働きもせない(くせ)して()父母(ふぼ)はまた子を生んだと(くや)む友かな
秋されば松の林にわけ()りて松葉(まつば)焚物(たきもの)()きあつめけり
西山(にしやま)松葉(まつば)をかけばころころと黄湿茸(きしめぢ)松露(しようろ)あらはる楽しさ
手拭(てぬぐひ)黄湿茸(きしめぢ)松露(しようろ)を包みつつ松葉の柴荷(しばに)(つる)してかへる
岩上(がんじやう)の松葉を余念なく()きて足踏みはづし(たに)に落ちたり
水のなき谷に落ちこみ足痛め友にかつがれ家路にかへる
足の(すぢ)いためて苦しみ整骨医平助(へいすけ)()さんに治療たのみぬ
七十(しちじゆう)に余る平助(へいすけ)(ぢい)さんは足をいぢつてますます痛くす
足いため身動きならぬ晩秋(ばんしう)二月(ふたつき)ばかり新聞借り読む
猿猴(えんこう)栄次(えいじ)玉兎(ぎよくと)のお(ひさ)の小説を読みて無聊(ぶれう)をなぐさめにけり
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