霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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押掛

インフォメーション
題名:押掛 著者:出口王仁三郎
ページ:155
概要: 備考:『故山の夢』p295-299 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-11-06 15:17:14 OBC :B121808c70
─二十五六歳の頃─
(いま)シヤンがしのんで来たと若者がわが牧場のまへにささやく
つぎつぎに若者つどひ人垣をつくりて庭にささやきあへり
さすがにも(われ)はづかしく夜具(やぐ)かぶり息をこらして(もだ)しゐたりき
豪胆な彼女は表戸(おもてど)ひきあけて皆さんお這入(はい)りなされと招く
若者は(うしほ)のごとく(かど)ぐちを押すな押すなとみだれてぞ()
こりや喜楽(きらく)馬鹿にするなとぞめきつつ座敷にのぼり()夜具(やぐ)をはぐ
こりや助平(すけべ)何をさらすといひながら(われ)いきどほりはね起きにけり
あははははこりや面白いおもしろい喜楽(おこ)つたと友は手を()
()の女すつかり度胸を落ちつけて(わたし)や喜楽の女房だといふ
女房を貰うて何故(なにゆゑ)披露せぬ祝うてやらうと水ぶつかける
何をする乞食犬(こじきいぬ)ではあるまいに水をかけるとはあまりとなじる
ここにゐる現在美人が女房だと証明してるにとぼけるなと(とも)言ふ
やむを得ず酒を一斗(いつとう)(こめ)五升(ごしよう)雑魚(ざこ)三升(さんじよう)買うてふれまふ
若者は牛の(ゑさ)()大鍋(おほなべ)(こめ)雑魚(ざこ)とをぶちこんで煮る
一斗(いつとう)の酒に若者(した)もつれくだらぬくだを巻きはじめたり
若者の下戸(げこ)はやにはに雑魚飯(ざこめし)を腹につめこみころがりうめく
おひおひに酔ひがまはりて若者はそろそろ殴りあひを(はじ)めし
おひおひに酒がまはりて(おこ)(やつ)笑ひつ泣きつ騒がしき()が居間
円滑な彼女の舌にまきこまれ喧嘩もやうやくをさまりにけり
朝まだき村上(むらかみ)氏きたりこの(てい)をながめて眉に深皺(ふかしわ)よせる
村上(むらかみ)舌打(したう)ちしつつ喜楽さんお目出度くない馬鹿よと(ののし)
()()ぎに(だま)(だま)され()んのざま又(だま)すのか(だま)さるるのか
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