霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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満俺鉄

インフォメーション
題名:満俺鉄 著者:出口王仁三郎
ページ:115
概要: 備考:『霧の海』p41-50。マンガン鉱を本文内では「満俺礦」(新字体では「砿」)と表記しているが、題名では「満俺鐵」(新字体では「鉄」)と表記している(目次も同じ)。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-11-03 17:09:09 文字数:1236 OBC :B121808c53
─二十五歳の頃─
満俺砿(まんがんくわう)さぐらむとして南桑田(みなみくはだ)船井(ふなゐ)両郡の山かけまはる
赤禿(あかはげ)の山よぢのぼり黒き岩を鑿(のみ)にてかきとり満俺(まんがん)とよろこぶ
朝夕(あさゆふ)を山かけめぐり手や足にかすり傷してなほ倦(う)まざりき
この頃(ごろ)の喜楽は如何(どう)かしてゐると村上(むらかみ)信夫(しのぶ)氏あやしみて問ふ
満俺砿(まんがんくわう)みつけて一つ金儲けするのといへば村上氏うなづく
喜楽さん俺も一緒に行かうよと欲にとぼけた村上氏いふ
村上氏ともなひ握飯(にぎりめし)もちてあたりの山山(やまやま)かけめぐりたり
船岡(ふなをか)に満俺砿(まんがんくわう)が出るとききて妙霊教会のうらなひを乞ふ
わが叔父の主管してゐる教会は満俺(まんがん)出るとの神示なりけり
満俺(まんがん)が出るとの神示に両人はちからづよくも山かけめぐる
断岸をいふみはづして村上氏数十間(けん)の谷底(たにそこ)に落つ
村上氏落ちたるさまに驚きてわれも谷間にかけ下(くだ)りけり
かけ下(くだ)るはづみにあわて尻もちを尖(とが)りし石に幾度かつきぬ
石くれに尻を傷つきちがちがとゐざるが如く渓間(たにま)に下(お)りゆく
よく見れば村上信夫(しのぶ)氏谷底にほほ笑みながら休らひてをり
別状はないかと問へば村上氏身軽(みがる)のおかげで怪我なしといふ
断岸ゆ落ちし村上怪我もせずわれはかへりて尻を傷(きず)つく
尻の傷(きず)次第次第に腫(は)れあがり歩みもならず痛むくるしさ
谷底にわれはうごめき村上氏は救援たのむと叔父の家(や)にゆく
三十町(ちやう)の山路(やまぢ)をたどる村上氏の短(みじか)き足のはかどらぬかな
村上氏去(さ)りたるあとの淋しさを地獄に落ちし心地なりけり
待てどまてど村上来(きた)らず救援の人声もなく夜(よ)は更(ふ)けわたる
村上氏叔父の家にも知らさずに馬鹿らしいとて家に帰れり
約五里の夜道(よみち)を村上てくてくと知らぬ顔して穴太に帰る
待てどまてど人の来(きた)らぬかなしさに泣きわめく声谷(たに)に谺(こだま)す
やむを得ず数十町(ちやう)の谷路(たにみち)を川辺(かはべ)の道路にはひ出(いだ)したり
○
薪(まき)つみてゆく車あり朝あけをわれ木(こ)かげより呼びとめてみし
呼びとめし男は驚きふり返りわが顔眺(なが)めてあつと叫べり
よくみれば従兄弟(いとこ)の佐野(さの)倉吉(くらきち)と知りしうれしさ涙こぼるる
わが従兄弟(いとこ)道のかたへに車おきて叔父のやかたに負ひてゆきけり
わが叔父の妙霊教会にこもらひて負傷(いたで)の平癒日夜(にちや)に祈る
やや少し痛みとまればいらだちて杖つきながら帰り路(ぢ)につく
五里の道帰りてみれば足腫(は)れて十日余りもうち伏しにけり
わが足の病(やまひ)なほりし夕暮(ゆふぐれ)を村上方(かた)へたづね行きけり
喜楽さんお前は狐(きつね)か奴狸(どたぬき)か年寄りのわしをだましたと怒(おこ)る
あまりにも腹立(だ)つままに谷底に捨て帰りしと村上氏答ふ
お前こそ友の負傷(いたで)を知らぬがに不人情(ふにんじやう)よとわれはなじれり
みせしめのために谷間に捨ておいて帰つてやつたと無茶ばかり言ふ
不足いふつもりで村上訪(たづ)ぬれば逆襲されてギヤフンとなりぬ
満俺(まんがん)の失敗ばなし村中(むらぢう)に村上の口(くち)よりひろまりにけり
村びとはわれを満(まん)さん満(まん)さんとあざけり半分あだ名つけたり
貧乏になやみしわれは千金(せんきん)を一獲(いつくわく)せむとて尻をわりたり
満俺(まんがん)はいふも更(さら)なり金銀砿(きんぎんくわう)その後(ご)はさがす気にもなれなく
わが友の和一(わいち)来(きた)りてまた山へ満俺(まんがん)さがしに行こかとからかふ
満俺(まんがん)といはれる度(たび)にはづかしく顔あからめてうつむきにけり
ありもせぬ金(かね)を使ひて山かけり遂には尻に傷をうけたり
教会の神示もあたらずいたづらに山をかけりて怪我したるのみ
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