霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 タコマ山(やま)の祭典(さいてん) その一〔五九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻 篇:第2篇 善悪正邪 よみ(新仮名遣い):ぜんあくせいじゃ
章:第9章 タコマ山の祭典その一 よみ(新仮名遣い):たこまやまのさいてん その一 通し章番号:59
口述日:1921(大正10)年10月29日(旧09月29日) 口述場所: 筆録者:谷口正治 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年1月27日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
言霊別命は神命により、あまたの神軍を引率してタコマ山に登り、国魂之神の鎮祭を行わせた。
しかしながら、言霊別命の従神であった速虎彦、速虎姫、唐玉彦、島田彦らは、実は国照姫とひそかに通じていた。彼らは言霊別命に危機を救われたにもかかわらず、邪神と気脈を通じて裏切りを計画していたのである。
タコマ山の祭事が済んで、一行が下山して海岸に出たとき、この四柱の神人は珍味ご馳走で言霊別命らを饗応した。
宴の最中、エトナの大火山が爆発した。その光景に言霊別命が見とれているすきに、四柱の神人は毒薬を持った湯を命に献上した。言霊別命がその湯を飲もうとした刹那、時野姫が命をさえぎり、自分の口に毒湯を飲み干した。
たちまち時野姫はその場に黒血を吐き、悶絶して倒れた。言霊別命も少量の毒に当てられ、言葉を発することができなくなってしまった。速虎別ら四神人は、謀計が発覚することを恐れ、言霊別命を捕らえようとした。
言霊別命は諸神の宴の席に逃げ、一大事を知らせようとしたが、言葉が出ない。諸神らはすっかり酒に酔っていて、言霊別命の真意を悟る者はなかった。速虎別らも、酔っているとはいえ、さすがに諸神の目の前で言霊別命を拉致するわけにも行かず、目を光らせて時を待つのみであった。
言霊別命は仕方なく、酒に酔っていなかった部下の宮比彦、谷山彦、谷川彦を護衛にして竜宮城に一度帰還し、応援を頼もうとした。しかし酒に酔った諸神は一行をさえぎって行かそうとしなかった。
言霊別命はかろうじて竜宮島に立ち寄り、国の御柱命に保護されて、ようやく竜宮城に帰還することを得た。
竜宮島の地下は、多くの黄金を持って形造られている。これが現在の地理学上の豪州大陸に当たる。また、冠島とも言う。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2017-11-23 10:55:57 文字数:2155 OBC :rm0209
愛善世界社版:45頁 八幡書店版:第1輯 174頁 修補版: 校定版:47頁 普及版:22頁 初版: ページ備考:
001 あるとき言霊別(ことたまわけの)命(みこと)は神命(しんめい)を奉(ほう)じて、002宮比彦(みやびひこ)、003谷山彦(たにやまひこ)、004谷川彦(たにがわひこ)以下(いか)あまたの神軍(しんぐん)を率(ひき)ゐてタコマ山(やま)に登(のぼ)り、005宮比彦(みやびひこ)をして国魂之(くにたまの)神(かみ)の鎮祭(ちんさい)を行(おこな)はしめられた。006谷山彦(たにやまひこ)、007谷川彦(たにがはひこ)は大祓(おほはらひ)の神事(しんじ)を奉仕(ほうし)し、008恭(うやうや)しく太祝詞(ふとのりと)を奏上(そうじやう)し、009八百万(やほよろづ)の神々(かみがみ)は神集(かむづど)ひに集(つど)ひて、010盛大(せいだい)なる祭事(さいじ)は執行(しつかう)された。011天地(てんち)六合(りくがふ)いよいよ澄(す)み渡(わた)り、012空中(くうちゆう)一点(いつてん)の雲翳(うんえい)をもとどめざる、013えもいはれぬ朗(ほが)かな光景(くわうけい)であつた。
014 ここに従臣(じゆうしん)なる速虎彦(はやとらひこ)、015速虎姫(はやとらひめ)、016唐玉彦(からたまひこ)、017島田彦(しまだひこ)の四神(よんしん)は、018国照姫(くにてるひめ)、019田野姫(たのひめ)にひそかに気脈(きみやく)を通(つう)じてゐた。020この四柱(よはしら)は言霊別(ことたまわけの)命(みこと)の深(ふか)き恩恵(おんけい)に浴(よく)し、021しばしば危難(きなん)を救(すく)はれた関係(くわんけい)があつて、022命(みこと)は彼(かれ)らの恩神(おんしん)である。023祭事(さいじ)も目出度(めでた)くすみて、024一行(いつかう)は下山(げざん)し海岸(かいがん)に出(で)かけられたとき、025右(みぎ)の四柱(よはしら)はあまたの者(もの)と共(とも)に、026山野(さんや)河海(かかい)の珍味(ちんみ)をもつて、027言霊別(ことたまわけの)命(みこと)一行(いつかう)の諸神司(しよしん)を招待(せうたい)した。028その理由(りいう)とするところは、029今回(こんくわい)言霊別(ことたまわけの)命(みこと)は首尾(しゆび)よく国魂(くにたま)の鎮祭(ちんさい)を了(を)へ給(たま)ひ、030吾(われ)ら諸神司(しよしん)は歓喜(くわんき)に堪(た)へず、031さればその御(お)祝(いはひ)として、032ここに吾々(われわれ)祝宴(しゆくえん)を張(は)るは、033一(いつ)は神々(かみがみ)に感謝(かんしや)し、034他(た)は諸神司(しよしん)の労苦(らうく)に酬(むく)いむがためなりといふのであつた。
035 宮比彦(みやびひこ)は速虎彦(はやとらひこ)以下(いか)の諸神司(しよしん)の誠意(せいい)をよろこび、036その由(よし)を谷山彦(たにやまひこ)、037谷川彦(たにがはひこ)とともに諸神司(しよしん)に伝達(でんたつ)した。038諸神司(しよしん)は大(おほ)いに喜(よろこ)び、039海辺(うみべ)の広場(ひろば)に出(い)でて、040宴席(えんせき)に加(くは)はり、041歓喜(よろこび)のかぎりをつくし、042いたく酔(ゑひ)つぶれて、043前後(ぜんご)の区別(くべつ)もなく、044あるひは唄(うた)ひ、045あるひは舞(ま)ひ、046面白(おもしろ)さうに踊(をど)り狂(くる)うてゐた。
 
047  小雀(こすずめ)やささのかげにて踊(をど)り出(だ)し
 
048 このとき速虎彦(はやとらひこ)、049速虎姫(はやとらひめ)、050唐玉彦(からたまひこ)、051島田彦(しまだひこ)は威儀(ゐぎ)を正(ただ)し、052言霊別(ことたまわけの)命(みこと)に拝謁(はいえつ)を請(ねが)ふた。053さらに美(うつく)しき神殿(しんでん)に招待(せうたい)し、054山野(さんや)河海(かかい)の珍味(ちんみ)を出(いだ)して命(みこと)を饗応(きやうおう)せむことを宮比彦(みやびひこ)を通(つう)じて請(こ)ふた。055ここに言霊別(ことたまわけの)命(みこと)は何心(なにごころ)なくその殿内(でんない)に入(い)り、056四方山(よもやま)の話(はなし)に打(う)ち耽(ふけ)り、057かつ速虎彦(はやとらひこ)らの好意(かうい)を感謝(かんしや)し、058心地(ここち)よげに一間(ひとま)に入(い)りて休息(きうそく)してをられた。059たちまち天(てん)の一方(いつぱう)に黒煙(こくえん)がたちのぼつた。060爆然(ばくぜん)たる大音響(だいおんきやう)につれて、061みるみる一大(いちだい)火柱(くわちう)は天(てん)に冲(ちゆう)し、062岩石(がんせき)の雨(あめ)を降(ふ)らし、063実(じつ)に壮観(さうくわん)をきはめた。064これぞエトナの大火山(だいくわざん)が爆発(ばくはつ)したはじまりである。
065 言霊別(ことたまわけの)命(みこと)はその光景(くわうけい)に見惚(みと)れてゐられる。066その隙(すき)をうかがひ速虎彦(はやとらひこ)、067唐玉彦(からたまひこ)は器(うつは)に毒薬(どくやく)を投(な)げ入(い)れ、068素知(そし)らぬ顔(かほ)をしてゐた。
069『まづ一服(いつぷく)召(め)し喫(あが)られよ』
070と、071毒薬(どくやく)の入(い)りたる器(うつは)に湯(ゆ)をそそぎ言霊別(ことたまわけの)命(みこと)に奉献(たてまつ)つた。072命(みこと)は何(なん)の気(き)もなく、073ただ一口(ひとくち)飲(の)まむとする折(をり)しも、074息(いき)せき切(き)つて走(はし)りよつたる時野姫(ときのひめ)はその湯(ゆ)を奪(うば)ひ、075ただちに自分(じぶん)の口(くち)に飲(の)みほした。076時野姫(ときのひめ)はたちまち顔色(がんしよく)蒼白(さうはく)となり、077七転(しつてん)八倒(ばつたふ)して苦悶(くもん)しはじめ、078黒血(くろち)を多量(たりやう)に吐(は)きその場(ば)に打(う)ち倒(たふ)れた。079言霊別(ことたまわけの)命(みこと)も小量(せうりやう)ながら口(くち)に入(い)りし毒薬(どくやく)の湯(ゆ)に中(あ)てられ、080言葉(ことば)を発(はつ)すること能(あた)はず、081ただちにその場(ば)を逃(のが)れ出(いで)むと早々(さうさう)に座(ざ)を立(た)ちかけた。082速虎彦(はやとらひこ)以下(いか)の三柱(みはしら)は謀計(ぼうけい)の暴露(ばくろ)せむことを惧(おそ)れて、083言霊別(ことたまわけの)命(みこと)を捕(とら)へ隠(かく)さむとし、084命(みこと)の跡(あと)を追(お)つかけた。
 
085  火(ひ)を出(だ)して毒湯(どくゆ)すすめる曲津(まがつ)神(かみ)
 
086 万(よろづ)の神司(かみがみ)は、087前述(ぜんじゆつ)のごとく、088みな残(のこ)らず酔(よ)ひ潰(つぶ)れて足(あし)の立(た)つものは一柱(ひとはしら)もなかつた。089言霊別(ことたまわけの)命(みこと)は、090自分(じぶん)が毒(どく)にあてられて言語(げんご)を発(はつ)することも叶(かな)はぬのみならず、091時野姫(ときのひめ)の苦悶(くもん)昏倒(こんたう)せることを、092手真似(てまね)をもつて衆神司(しうしん)にさとらせむとし、093いろいろ工夫(くふう)を凝(こ)らし表情(へうじやう)をもつて知(し)らせども、094衆神司(しうしん)はその何(なん)の意(い)たるか察(さつ)するものなく、095ただ単(たん)に言霊別(ことたまわけの)命(みこと)は酒(さけ)に酔(よ)ひ戯(たはむ)れ踊(をど)りをなし給(たま)ふものと信(しん)じ、096己(おのれ)もまた起(た)つて、097おなじく手(て)を振(ふ)り、098口(くち)を押(おさ)へ、099種々(いろいろ)と身振(みぶり)をまねて平気(へいき)になつてゐる。100アゝ言霊別(ことたまわけの)命(みこと)のもどかしさは、101察(さつ)するにあまりありといふべしである。
102 速虎彦(はやとらひこ)、103唐玉彦(からたまひこ)以下(いか)の叛臣(はんしん)は、104さすがに衆神司(しうしん)列座(れつざ)の前(まへ)なれば、105言霊別(ことたまわけの)命(みこと)を押(お)さへ隠(かく)すをえずして時(とき)のいたるを待(ま)つてゐた。
106 言霊別(ことたまわけの)命(みこと)はいかに焦慮(せうりよ)するも言語(げんご)を発(はつ)することができないので、107已(や)むをえず意(い)を決(けつ)してただ一柱(ひとはしら)竜宮島(りうぐうじま)さして逃(に)げ帰(かへ)らうとせられた。108さすがの勇神(ゆうしん)猛卒(まうそつ)も今(いま)は酒(さけ)のためにその精神(せいしん)を奪(うば)はれ、109かかる危急(ききふ)の場合(ばあひ)に一柱(ひとはしら)としてその大将(たいしやう)を護(まも)るものはなかつた。110宮比彦(みやびひこ)、111谷山彦(たにやまひこ)、112谷川彦(たにがはひこ)は少(すこ)しも酒(さけ)を飲(の)まず、113言霊別(ことたまわけの)命(みこと)の身辺(しんぺん)を気(き)づかひ、114後(あと)よりしたがひ竜宮島(りゆうぐうじま)に安全(あんぜん)に送(おく)り奉(たてまつ)るべく、115その座(ざ)を立(た)たむとするや、116酒(さけ)に酔(よ)ひつぶれ足(あし)は千鳥(ちどり)の覚束(おぼつか)なく、117腰(こし)も碌(ろく)に立(た)ちえざる衆神司(しうしん)は、118三神司(さんしん)の手(て)をとり足(あし)をとり、119かかる芽出度(めでた)き酒宴(しゆえん)に列(れつ)して神酒(みき)を飲(の)まざるは神々(かみがみ)にたいし御(ご)無礼(ぶれい)なり。120ゆるゆる神酒(みき)をいただきたまへと、121寄(よ)つてたかつて三神司(さんしん)を遮(さへぎ)り離(はな)さなかつた。122三神司(さんしん)は心(こころ)も心(こころ)ならず、123言霊別(ことたまわけの)命(みこと)遭難(さうなん)の実情(じつじやう)を告(つ)げ、124衆神司(しうしん)の酔(ゑひ)をさまさむと心(こころ)を焦(あせ)つた。125されど島田彦(しまだひこ)、126速虎姫(はやとらひめ)が眼(め)を光(ひか)らせて側(そば)を離(はな)れざるに心(こころ)をひかれ、127その真相(しんさう)を述(の)ぶることができない。128そこで三神司(さんしん)は或(ある)ひは喩言(たとへごと)を引(ひ)き、129あるひは諷歌(ふうか)を唄(うた)ひ、130あるひは手真似(てまね)を用(もち)ゐて、131速虎彦(はやとらひこ)以下(いか)の陰謀(いんぼう)と、132言霊別(ことたまわけの)命(みこと)の御(ご)遭難(さうなん)の次第(しだい)を衆神司(しうしん)に悟(さと)らせやうとつとめた。133いづれも酔(よ)ひつぶれてこれを覚(さと)る者(もの)は一柱(ひとはしら)もないばかりか、134三神司(さんしん)の動作(どうさ)をながめて、135喜(よろこ)んで歌(うた)を詠(よ)み、136戯(ざ)れ踊(をど)りをなすものと思(おも)ひ違(ちが)ひ、137手(て)をとり足(あし)をとり、138三神司(さんしん)を席(せき)の中央(ちうあう)に誘(いざな)ひゆきて胴上(どうあ)げまでして立(た)ち騒(さわ)ぐもどかしさ。
139 言霊別(ことたまわけの)命(みこと)は万難(ばんなん)を排(はい)し、140からうじて竜宮島(りゆうぐうじま)にたち寄(よ)り、141国御柱(くにのみはしらの)命(みこと)に保護(ほご)されて、142やうやく竜宮城(りゆうぐうじやう)に御(ご)帰還(きくわん)せられた。143この竜宮島(りゆうぐうじま)の地下(ちか)は、144多(おほ)くの黄金(わうごん)をもつて形造(かたちづく)られてゐるのである。145これが今(いま)地理学(ちりがく)上(じやう)の濠洲(がうしう)大陸(たいりく)に当(あた)るので、146一名(いちめい)また冠島(かむりじま)といふのである。
147(大正一〇・一〇・二九 旧九・二九 谷口正治録)
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