霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 佐賀姫(さがひめ)義死(ぎし)〔六七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻 篇:第3篇 神戦の経過 よみ(新仮名遣い):しんせんのけいか
章:第17章 佐賀姫の義死 よみ(新仮名遣い):さがひめのぎし 通し章番号:67
口述日:1921(大正10)年10月31日(旧10月01日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年1月27日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
言霊別命はもとより、稚桜姫命に反抗する心は毛頭無かったのであるが、荒療治の目的で、わざと反抗的な書信を返したのであった。
竜宮城では大八洲彦命に討伐を命じたが、大八洲彦命は病と称して応じなかったため、小島別が討伐軍を指揮することになった。
言霊別命は味方を得るために、ボムベー山の佐賀彦を説得に訪れた。佐賀彦はかつて、命によって身の危難を救われたことがあった。しかし佐賀彦は竜宮城からの言霊別命討伐令に恐れをなし、すでに田依彦と通じて、言霊別命の命を狙っていたのである。
佐賀彦の妻・佐賀姫は、恩神の危難を救おうと言霊別命を逃がした。そして自殺を遂げた。言霊別命らはモスコーを指して落ちのびた。
モスコーでは、言霊別命軍の部将・正照彦、溝川彦が守っていた。しかし竜宮城軍・邪神軍の虚報の計略により、正照彦はボムベー山方面へ、溝川彦はローマ方面へおびき出されてしまった。
両神が敵の計略を悟って軍を返したときは、すでにモスコーは田依彦の手に落ちていた。そこへ、邪神軍がモスコーを占領しようと襲ってきた。モスコーを占領していた田依彦軍は、襲ってきたのは言霊別命軍だと勘違いして応戦した。一方、正照彦軍は、言霊別命・元照彦らと合流し、モスコーを奪い返そうと邪神軍の背後から攻撃を開始した。
邪神軍はモスコーの田依彦軍との挟み撃ちになって、全滅した。田依彦軍は、正照彦の軍を味方の竜宮城軍の援軍だと勘違いして喜んでいたが、今度は側面から溝川彦軍、正面から正照彦軍の攻撃を受けることになった。
両軍の猛攻に耐え切れず、田依彦らは黒雲を起こし、竜・狐と変じて敗走した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-01 15:26:21 OBC :rm0217
愛善世界社版:83頁 八幡書店版:第1輯 188頁 修補版: 校定版:85頁 普及版:40頁 初版: ページ備考:
001 言霊別(ことたまわけの)(みこと)(もと)より稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)反抗(はんかう)するの(こころ)毛頭(まうとう)なかつたのである。002されど(みこと)以下(いか)神司(かみがみ)にたいし、003反正(はんせい)撥乱(はつらん)目的(もくてき)をもつて故意(こい)反抗(はんかう)(てき)信書(しんしよ)(したた)め、004使臣(ししん)小島別(こじまわけ)(わた)した。
 
005  (たま)()のいのちも如何(いか)(をし)むべきすてて(まこと)(みち)()らさば
 
006 稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)は、007言霊別(ことたまわけの)(みこと)心情(しんじやう)および行動(かうどう)につき、008半信(はんしん)半疑(はんぎ)(くも)(つつ)まれゐ(たま)ひし折柄(をりから)なれば、009その信書(しんしよ)()て、010本心(ほんしん)より反旗(はんき)(ひるがへ)せるものとなし、011ここに天使(てんし)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)(めい)じて、012言霊別(ことたまわけの)(みこと)討伐(たうばつ)(れい)(くだ)された。013このとき大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)(やまひ)(しよう)して()でず、014(かた)()をとざして(さし)こもり、015諸神司(しよしん)との交通(かうつう)()ち、016正邪(せいじや)黒白(こくびやく)判明(はんめい)する時機(じき)()たれた。
017 稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)()むをえず、018(かは)つて小島別(こじまわけ)稚桜姫命は最初は大八洲彦命に命じ、その後、大八洲彦命の代わりに小島別に叛神討伐の命を下された。戦前の二版では「小島別に代つて」と書いてあるが、それでは意味が通らなくなるので、「代つて小島別に」に直した(校定版と同じ)。叛神(はんしん)討伐(たうばつ)(めい)(くだ)された。019小島別(こじまわけ)(ただ)ちに(めい)(はい)し、020田依彦(たよりひこ)021安川彦(やすかはひこ)部将(ぶしやう)とし、022あまたの神軍(しんぐん)(とく)して叛軍(はんぐん)(なや)まさむと全力(ぜんりよく)(つく)した。023ここに言霊別(ことたまわけの)(みこと)は、024一方(いつぱう)小島別(こじまわけ)神軍(しんぐん)諸方(しよはう)より攻撃(こうげき)され、025一方(いつぱう)よりは常世姫(とこよひめ)部下(ぶか)美山彦(みやまひこ)026国照姫(くにてるひめ)魔軍(まぐん)より攻撃(こうげき)され、027非常(ひじやう)なる苦境(くきやう)におちいつた。
028 言霊別(ことたまわけの)(みこと)はローマに根拠(こんきよ)をかまへ、029花園彦(はなぞのひこ)030大島彦(おほしまひこ)をして神軍(しんぐん)(とく)せしめ、031正照彦(まさてるひこ)032溝川彦(みぞかはひこ)をしてモスコーの神軍(しんぐん)(とく)せしめおき、033(みづか)らは元照彦(もとてるひこ)とともに姿(すがた)(へん)じ、034小島別(こじまわけ)035常世姫(とこよひめ)両軍(りやうぐん)情勢(じやうせい)(さぐ)りつつ、036神出(しんしゆつ)鬼没(きぼつ)神策(しんさく)(かう)じた。037さても言霊別(ことたまわけの)(みこと)は、038ボムベー(ざん)(ぢん)せる佐賀彦(さがひこ)のもとに(いた)り、039この(たび)戦闘(せんとう)参加(さんか)せしめむとして百方(ひやつぱう)(べん)をつくして()きつけた。
040 佐賀彦(さがひこ)元来(ぐわんらい)言霊別(ことたまわけの)(みこと)のために()危難(きなん)(すく)はれたる神司(かみ)であつた。041ゆゑに一言(いちごん)違背(ゐはい)もなく(みこと)(めい)(したが)ふは当然(たうぜん)義務(ぎむ)である。042しかるに稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)は、
043言霊別(ことたまわけの)(みこと)野心(やしん)あり。044ローマに()りて神軍(しんぐん)叛旗(はんき)(ひるがへ)したり。045万一(まんいち)かれに加担(かたん)せば厳罰(げんばつ)(しよ)すべし』
046との厳令(げんれい)は、047佐賀彦(さがひこ)はじめ一般(いつぱん)(てき)諸神司(しよしん)(もと)(つた)へられてゐた。048佐賀彦(さがひこ)もその(せん)()れず、049戦々(せんせん)兢々(きようきよう)として(おそ)(おのの)いてゐた(さい)である。050また田依彦(たよりひこ)のすでに(きた)りて神軍(しんぐん)令旨(れいし)(つた)へ、051言霊別(ことたまわけの)(みこと)(きた)らば伏兵(ふくへい)をまうけて、052これを(ほろ)ぼさむとの準備(じゆんび)すでに(ととの)ふてゐた(さい)である。
053 言霊別(ことたまわけの)(みこと)はかかる計画(けいくわく)ありとは(ゆめ)にも()らず、054佐賀彦(さがひこ)(すす)むるままに、055奥殿(おくでん)()りて休息(きうそく)し、056かつ防戦(ばうせん)計画(けいくわく)命令(めいれい)された。057佐賀彦(さがひこ)(こころ)すでに言霊別(ことたまわけの)(みこと)(はな)れ、058田依彦(たよりひこ)(くわん)(つう)じてゐた。059言霊別(ことたまわけの)(みこと)運命(うんめい)は、060(いま)風前(ふうぜん)燈火(ともしび)であつた。061佐賀彦(さがひこ)(つま)佐賀姫(さがひめ)は、062(みこと)()つて庭園(ていえん)逍遥(せうえう)せるをりしも、063(かたはら)より御前(みまへ)横切(よこぎ)り、064(ふところ)よりわざと紙片(しへん)(おと)し、065足早(あしばや)殿中(でんちう)姿(すがた)(かく)した。
066 (みこと)(あや)しみながら、067手早(てばや)くその紙片(しへん)(ひろ)ひあげ(ひら)きみるに、068田依彦(たよりひこ)069佐賀彦(さがひこ)謀計(ぼうけい)により、070貴神(きしん)身命(しんめい)瞬時(しゆんじ)(せま)れり。071(いち)()(はや)裏門(うらもん)より(のが)れたまへ」との書状(しよじやう)である。072(みこと)はやや思案(しあん)にくるる(をり)しも、073奥殿(おくでん)(あた)りて(あや)しき(さけ)(ごゑ)(きこ)えた。074これは佐賀姫(さがひめ)自殺(じさつ)()げたのである。075恩神(おんしん)(すく)へば(をつと)にたいして(みち)()たず、076一命(いちめい)()てて(せつ)(まも)つたのである。077ボムベー(ざん)陣営(ぢんえい)は、078(うへ)(した)への大騒(おほさわ)ぎであつた。079佐賀彦(さがひこ)(つま)変死(へんし)()(うしな)ひ、080狂気(きやうき)のごとくなりて大声(おほごゑ)(はつ)し、081神々(かみがみ)(あつ)めてゐた。082その(こゑ)言霊別(ことたまわけの)(みこと)(みみ)()(とほ)るごとく(きこ)えた。
083 ボムベー(ざん)部将(ぶしやう)は、084(のこ)らず佐賀彦(さがひこ)(こゑ)する(はう)(あつ)まつた。085佐賀彦(さがひこ)周章(しうしやう)狼狽(らうばい)のあまり、086言霊別(ことたまわけの)(みこと)のあることを忘却(ばうきやく)するにいたつた。087このとき言霊別(ことたまわけの)(みこと)服装(ふくさう)(へん)じ、088神司(かみがみ)周章(しうしやう)狼狽(らうばい)するその(あひだ)悠然(いうぜん)として表門(おもてもん)より立出(たちい)で、089門外(もんぐわい)()づるや(いな)や、090()ちかまへたる元照彦(もとてるひこ)(とも)に、091モスコーをさして(おち)のびた。
092 モスコーには正照彦(まさてるひこ)093溝川彦(みぞかはひこ)(かた)(まも)つてゐた。094このとき田依彦(たよりひこ)(あね)草香姫(くさかひめ)は、095()(へん)じてモスコーに()り、096正照彦(まさてるひこ)にむかひ言霊別(ことたまわけの)(みこと)急使(きふし)なりと(いつは)り、097面会(めんくわい)(もと)め、098かつ言霊別(ことたまわけの)(みこと)はボムベー(ざん)において佐賀彦(さがひこ)099田依彦(たよりひこ)のために窮地(きゆうち)(おちい)り、100(いま)全軍(ぜんぐん)滅亡(めつぼう)(ひん)せり。101正照彦(まさてるひこ)溝川彦(みぞかはひこ)とともに全軍(ぜんぐん)(ひき)ゐて救援(きうゑん)(きた)れとの伝令(でんれい)なりと(つた)へた。
102 正照彦(まさてるひこ)溝川彦(みぞかはひこ)をしてモスコーを守備(しゆび)せしめ、103(みづか)部下(ぶか)(ひき)ゐてボムベー(ざん)(いそ)(むか)ふたのである。104モスコーは溝川彦(みぞかはひこ)神軍(しんぐん)によく守備(しゆび)されつつあつた。105そこへ国照姫(くにてるひめ)部下(ぶか)種熊彦(たねくまひこ)は、106ローマの花園彦(はなぞのひこ)急使(きふし)なりとして面会(めんくわい)(もと)めた。107溝川彦(みぞかはひこ)国照姫(くにてるひめ)間者(かんじや)たることを()らず、108花園彦(はなぞのひこ)急使(きふし)(しん)面会(めんくわい)(ゆる)し、109かつ使(つかひ)のおもむきも(たづ)ねた。110種熊彦(たねくまひこ)はローマの陥落(かんらく)旦夕(たんせき)(せま)り、111大島彦(おほしまひこ)戦死(せんし)したり。112すみやかにモスコーをすて、113全軍(ぜんぐん)(ひき)ゐて救援(きうゑん)(きた)るべしとのことであつた。
114 溝川彦(みぞかはひこ)はただちにその(げん)(しん)じ、115モスコーを空虚(くうきよ)にし(ただ)ちにローマに(むか)うた。116ローマの(みやこ)士気(しき)おほいに(ふる)ひ、117(てき)片影(へんえい)だも(みと)めないのが実際(じつさい)である。118ボムベー(ざん)救援(きうゑん)(むか)ひたる正照彦(まさてるひこ)中途(ちゆうと)にして、119言霊別(ことたまわけの)(みこと)120元照彦(もとてるひこ)(くわい)し、121草香姫(くさかひめ)のために(いつは)られしことを(さと)り、122()るものも()りあへず、123モスコーの陣営(ぢんえい)()づかひ、124(いそ)いでボムベー(ざん)攻撃(こうげき)をすててモスコーに帰陣(きぢん)した。
125 一方(いつぱう)溝川彦(みぞかはひこ)はローマに(いた)つて実情(じつじやう)()り、126(まつた)(てき)間者(かんじや)(あざむ)かれたるを()いかつ(いか)り、127これまたモスコーを(あやぶ)みて(きふ)(ぐん)(かへ)した。128言霊別(ことたまわけの)(みこと)129正照彦(まさてるひこ)130溝川彦(みぞかはひこ)らのモスコーに(いた)れる(とき)は、131すでにモスコーは田依彦(たよりひこ)()(おちい)り、132草香姫(くさかひめ)部将(ぶしやう)として活躍(くわつやく)してゐた。
133 ここに国照姫(くにてるひめ)部下(ぶか)種熊彦(たねくまひこ)は、134モスコーを占領(せんりやう)せむとして溝川彦(みぞかはひこ)(あざむ)き、135空虚(くうきよ)(ねら)つて一挙(いつきよ)占領(せんりやう)し、136数多(あまた)魔軍(まぐん)をもつて一斉(いつせい)攻撃(こうげき)をはじめた。137この(とき)モスコーの城塞(じやうさい)田依彦(たよりひこ)138草香姫(くさかひめ)占領(せんりやう)()してゐた。139ここに田依彦(たよりひこ)140種熊彦(たねくまひこ)(ぐん)()国照姫(くにてるひめ)魔軍(まぐん)()らず、141言霊別(ことたまわけの)(みこと)一味(いちみ)誤認(ごにん)し、142死力(しりよく)(つく)して(たたか)ふてゐたのである。143そこへ正照彦(まさてるひこ)144元照彦(もとてるひこ)言霊別(ことたまわけの)(みこと)主将(しゆしやう)とし、145種熊彦(たねくまひこ)後方(こうはう)より神軍(しんぐん)(とく)して火弾(くわだん)(なげう)ち、146よく(たたか)ふた。147種熊彦(たねくまひこ)双方(さうはう)(てき)()けつひに戦死(せんし)()げ、148全軍(ぜんぐん)ほとんど全滅(ぜんめつ)するにいたつた。149それと同時(どうじ)溝川彦(みぞかはひこ)一軍(いちぐん)側面(そくめん)より田依彦(たよりひこ)150草香姫(くさかひめ)(ぐん)(おそ)ひ、151()(たたか)ふた。
152 田依彦(たよりひこ)種熊彦(たねくまひこ)滅亡(めつぼう)せるを()153竜宮城(りゆうぐうじやう)味方(みかた)援軍(ゑんぐん)のために(ほろぼ)されたるものと(しん)じ、154凱歌(がいか)(そう)万歳(ばんざい)連呼(れんこ)し、155城中(じやうちう)(とき)(こゑ)()()ちてゐた。156しかるに側面(そくめん)より溝川彦(みぞかはひこ)激烈(げきれつ)なる攻撃(こうげき)開始(かいし)したるに()(おどろ)き、157その(はう)(むか)つて全力(ぜんりよく)をそそぎ、158言霊別(ことたまわけの)(みこと)神軍(しんぐん)にたいする(そな)へを閑却(かんきやく)してゐた。
159 言霊別(ことたまわけの)(みこと)(わた)りに(ふね)(いさ)みすすみて、160田依彦(たよりひこ)占領(せんりやう)する(ちか)くより一斉(いつせい)火弾(くわだん)発射(はつしや)した。161田依彦(たよりひこ)162草香姫(くさかひめ)は、163周章(しうしやう)狼狽(らうばい)なすところを()らず、164黒雲(こくうん)(じやう)じ、165たちまち(りゆう)(へん)じ、166(きつね)(くわ)して四方(しはう)敗走(はいそう)した。167この(とき)天祐(てんいう)(まつた)言霊別(ことたまわけの)(みこと)神軍(しんぐん)(くだ)つた。
168大正一〇・一〇・三一 旧一〇・一 外山豊二録)
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