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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第2巻(丑の巻)
序
凡例
総説
第1篇 神界の混乱
第1章 攻防両軍の配置
第2章 邪神の再来
第3章 美山彦命の出現
第4章 真澄の神鏡
第5章 黒死病の由来
第6章 モーゼとエリヤ
第7章 天地の合せ鏡
第8章 嫉視反目
第2篇 善悪正邪
第9章 タコマ山の祭典その一
第10章 タコマ山の祭典その二
第11章 狸の土舟
第12章 醜女の活躍
第13章 蜂の室屋
第3篇 神戦の経過
第14章 水星の精
第15章 山幸
第16章 梟の宵企み
第17章 佐賀姫の義死
第18章 反間苦肉の策
第19章 夢の跡
第4篇 常世の国
第20章 疑問の艶書
第21章 常世の国へ
第22章 言霊別命の奇策
第23章 竜世姫の奇智
第24章 藻脱けの殻
第25章 蒲団の隧道
第26章 信天翁
第27章 湖上の木乃伊
第5篇 神の慈愛
第28章 高白山の戦闘
第29章 乙女の天使
第30章 十曜の神旗
第31章 手痛き握手
第32章 言霊別命の帰城
第33章 焼野の雉子
第34章 義神の参加
第35章 南高山の神宝
第36章 高白山上の悲劇
第37章 長高山の悲劇
第38章 歓天喜地
第6篇 神霊の祭祀
第39章 太白星の玉
第40章 山上の神示
第41章 十六社の祭典
第42章 甲冑の起源
第43章 濡衣
第44章 魔風恋風
第7篇 天地の大道
第45章 天地の律法
第46章 天則違反
第47章 天使の降臨
第48章 律法の審議
第49章 猫の眼の玉
第50章 鋼鉄の鉾
附録 第一回高熊山参拝紀行歌
余白歌
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霊界物語
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霊主体従(第1~12巻)
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第2巻(丑の巻)
> 第3篇 神戦の経過 > 第17章 佐賀姫の義死
<<< 梟の宵企み
(B)
(N)
反間苦肉の策 >>>
第一七章
佐賀姫
(
さがひめ
)
の
義死
(
ぎし
)
〔六七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻
篇:
第3篇 神戦の経過
よみ(新仮名遣い):
しんせんのけいか
章:
第17章 佐賀姫の義死
よみ(新仮名遣い):
さがひめのぎし
通し章番号:
67
口述日:
1921(大正10)年10月31日(旧10月01日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年1月27日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
言霊別命はもとより、稚桜姫命に反抗する心は毛頭無かったのであるが、荒療治の目的で、わざと反抗的な書信を返したのであった。
竜宮城では大八洲彦命に討伐を命じたが、大八洲彦命は病と称して応じなかったため、小島別が討伐軍を指揮することになった。
言霊別命は味方を得るために、ボムベー山の佐賀彦を説得に訪れた。佐賀彦はかつて、命によって身の危難を救われたことがあった。しかし佐賀彦は竜宮城からの言霊別命討伐令に恐れをなし、すでに田依彦と通じて、言霊別命の命を狙っていたのである。
佐賀彦の妻・佐賀姫は、恩神の危難を救おうと言霊別命を逃がした。そして自殺を遂げた。言霊別命らはモスコーを指して落ちのびた。
モスコーでは、言霊別命軍の部将・正照彦、溝川彦が守っていた。しかし竜宮城軍・邪神軍の虚報の計略により、正照彦はボムベー山方面へ、溝川彦はローマ方面へおびき出されてしまった。
両神が敵の計略を悟って軍を返したときは、すでにモスコーは田依彦の手に落ちていた。そこへ、邪神軍がモスコーを占領しようと襲ってきた。モスコーを占領していた田依彦軍は、襲ってきたのは言霊別命軍だと勘違いして応戦した。一方、正照彦軍は、言霊別命・元照彦らと合流し、モスコーを奪い返そうと邪神軍の背後から攻撃を開始した。
邪神軍はモスコーの田依彦軍との挟み撃ちになって、全滅した。田依彦軍は、正照彦の軍を味方の竜宮城軍の援軍だと勘違いして喜んでいたが、今度は側面から溝川彦軍、正面から正照彦軍の攻撃を受けることになった。
両軍の猛攻に耐え切れず、田依彦らは黒雲を起こし、竜・狐と変じて敗走した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-01 15:26:21
OBC :
rm0217
愛善世界社版:
83頁
八幡書店版:
第1輯 188頁
修補版:
校定版:
85頁
普及版:
40頁
初版:
ページ備考:
001
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
は
素
(
もと
)
より
稚桜姫
(
わかざくらひめの
)
命
(
みこと
)
に
反抗
(
はんかう
)
するの
心
(
こころ
)
は
毛頭
(
まうとう
)
なかつたのである。
002
されど
命
(
みこと
)
以下
(
いか
)
の
神司
(
かみがみ
)
にたいし、
003
反正
(
はんせい
)
撥乱
(
はつらん
)
の
目的
(
もくてき
)
をもつて
故意
(
こい
)
に
反抗
(
はんかう
)
的
(
てき
)
信書
(
しんしよ
)
を
認
(
したた
)
め、
004
使臣
(
ししん
)
小島別
(
こじまわけ
)
に
渡
(
わた
)
した。
005
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
のいのちも
如何
(
いか
)
で
惜
(
をし
)
むべきすてて
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
照
(
て
)
らさば
006
稚桜姫
(
わかざくらひめの
)
命
(
みこと
)
は、
007
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
の
心情
(
しんじやう
)
および
行動
(
かうどう
)
につき、
008
半信
(
はんしん
)
半疑
(
はんぎ
)
の
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれゐ
給
(
たま
)
ひし
折柄
(
をりから
)
なれば、
009
その
信書
(
しんしよ
)
を
見
(
み
)
て、
010
本心
(
ほんしん
)
より
反旗
(
はんき
)
を
翻
(
ひるがへ
)
せるものとなし、
011
ここに
天使
(
てんし
)
大八洲彦
(
おほやしまひこの
)
命
(
みこと
)
に
命
(
めい
)
じて、
012
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
討伐
(
たうばつ
)
の
令
(
れい
)
を
下
(
くだ
)
された。
013
このとき
大八洲彦
(
おほやしまひこの
)
命
(
みこと
)
は
疚
(
やまひ
)
と
称
(
しよう
)
して
出
(
い
)
でず、
014
固
(
かた
)
く
戸
(
と
)
をとざして
差
(
さし
)
こもり、
015
諸神司
(
しよしん
)
との
交通
(
かうつう
)
を
絶
(
た
)
ち、
016
正邪
(
せいじや
)
黒白
(
こくびやく
)
の
判明
(
はんめい
)
する
時機
(
じき
)
を
待
(
ま
)
たれた。
017
稚桜姫
(
わかざくらひめの
)
命
(
みこと
)
は
已
(
や
)
むをえず、
018
代
(
かは
)
つて
小島別
(
こじまわけ
)
に
[
※
稚桜姫命は最初は大八洲彦命に命じ、その後、大八洲彦命の代わりに小島別に叛神討伐の命を下された。戦前の二版では「小島別に代つて」と書いてあるが、それでは意味が通らなくなるので、「代つて小島別に」に直した(校定版と同じ)。
]
叛神
(
はんしん
)
討伐
(
たうばつ
)
の
命
(
めい
)
を
下
(
くだ
)
された。
019
小島別
(
こじまわけ
)
は
直
(
ただ
)
ちに
命
(
めい
)
を
拝
(
はい
)
し、
020
田依彦
(
たよりひこ
)
、
021
安川彦
(
やすかはひこ
)
を
部将
(
ぶしやう
)
とし、
022
あまたの
神軍
(
しんぐん
)
を
督
(
とく
)
して
叛軍
(
はんぐん
)
を
悩
(
なや
)
まさむと
全力
(
ぜんりよく
)
を
尽
(
つく
)
した。
023
ここに
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
は、
024
一方
(
いつぱう
)
小島別
(
こじまわけ
)
の
神軍
(
しんぐん
)
に
諸方
(
しよはう
)
より
攻撃
(
こうげき
)
され、
025
一方
(
いつぱう
)
よりは
常世姫
(
とこよひめ
)
の
部下
(
ぶか
)
美山彦
(
みやまひこ
)
、
026
国照姫
(
くにてるひめ
)
の
魔軍
(
まぐん
)
より
攻撃
(
こうげき
)
され、
027
非常
(
ひじやう
)
なる
苦境
(
くきやう
)
におちいつた。
028
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
はローマに
根拠
(
こんきよ
)
をかまへ、
029
花園彦
(
はなぞのひこ
)
、
030
大島彦
(
おほしまひこ
)
をして
神軍
(
しんぐん
)
を
督
(
とく
)
せしめ、
031
正照彦
(
まさてるひこ
)
、
032
溝川彦
(
みぞかはひこ
)
をしてモスコーの
神軍
(
しんぐん
)
を
督
(
とく
)
せしめおき、
033
自
(
みづか
)
らは
元照彦
(
もとてるひこ
)
とともに
姿
(
すがた
)
を
変
(
へん
)
じ、
034
小島別
(
こじまわけ
)
、
035
常世姫
(
とこよひめ
)
の
両軍
(
りやうぐん
)
の
情勢
(
じやうせい
)
を
探
(
さぐ
)
りつつ、
036
神出
(
しんしゆつ
)
鬼没
(
きぼつ
)
の
神策
(
しんさく
)
を
講
(
かう
)
じた。
037
さても
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
は、
038
ボムベー
山
(
ざん
)
に
陣
(
ぢん
)
せる
佐賀彦
(
さがひこ
)
のもとに
到
(
いた
)
り、
039
この
度
(
たび
)
の
戦闘
(
せんとう
)
に
参加
(
さんか
)
せしめむとして
百方
(
ひやつぱう
)
弁
(
べん
)
をつくして
説
(
と
)
きつけた。
040
佐賀彦
(
さがひこ
)
は
元来
(
ぐわんらい
)
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
のために
身
(
み
)
の
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
はれたる
神司
(
かみ
)
であつた。
041
ゆゑに
一言
(
いちごん
)
の
違背
(
ゐはい
)
もなく
命
(
みこと
)
の
命
(
めい
)
に
従
(
したが
)
ふは
当然
(
たうぜん
)
の
義務
(
ぎむ
)
である。
042
しかるに
稚桜姫
(
わかざくらひめの
)
命
(
みこと
)
は、
043
『
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
野心
(
やしん
)
あり。
044
ローマに
拠
(
よ
)
りて
神軍
(
しんぐん
)
に
叛旗
(
はんき
)
を
翻
(
ひるがへ
)
したり。
045
万一
(
まんいち
)
かれに
加担
(
かたん
)
せば
厳罰
(
げんばつ
)
に
処
(
しよ
)
すべし』
046
との
厳令
(
げんれい
)
は、
047
佐賀彦
(
さがひこ
)
はじめ
一般
(
いつぱん
)
的
(
てき
)
に
諸神司
(
しよしん
)
の
許
(
もと
)
に
伝
(
つた
)
へられてゐた。
048
佐賀彦
(
さがひこ
)
もその
選
(
せん
)
に
漏
(
も
)
れず、
049
戦々
(
せんせん
)
兢々
(
きようきよう
)
として
怖
(
おそ
)
れ
戦
(
おのの
)
いてゐた
際
(
さい
)
である。
050
また
田依彦
(
たよりひこ
)
のすでに
来
(
きた
)
りて
神軍
(
しんぐん
)
の
令旨
(
れいし
)
を
伝
(
つた
)
へ、
051
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
来
(
きた
)
らば
伏兵
(
ふくへい
)
をまうけて、
052
これを
滅
(
ほろ
)
ぼさむとの
準備
(
じゆんび
)
すでに
整
(
ととの
)
ふてゐた
際
(
さい
)
である。
053
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
はかかる
計画
(
けいくわく
)
ありとは
夢
(
ゆめ
)
にも
知
(
し
)
らず、
054
佐賀彦
(
さがひこ
)
の
勧
(
すす
)
むるままに、
055
奥殿
(
おくでん
)
に
入
(
い
)
りて
休息
(
きうそく
)
し、
056
かつ
防戦
(
ばうせん
)
の
計画
(
けいくわく
)
を
命令
(
めいれい
)
された。
057
佐賀彦
(
さがひこ
)
は
心
(
こころ
)
すでに
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
を
離
(
はな
)
れ、
058
田依彦
(
たよりひこ
)
と
款
(
くわん
)
を
通
(
つう
)
じてゐた。
059
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
の
運命
(
うんめい
)
は、
060
今
(
いま
)
や
風前
(
ふうぜん
)
の
燈火
(
ともしび
)
であつた。
061
佐賀彦
(
さがひこ
)
の
妻
(
つま
)
佐賀姫
(
さがひめ
)
は、
062
命
(
みこと
)
の
立
(
た
)
つて
庭園
(
ていえん
)
を
逍遥
(
せうえう
)
せるをりしも、
063
傍
(
かたはら
)
より
御前
(
みまへ
)
を
横切
(
よこぎ
)
り、
064
懐
(
ふところ
)
よりわざと
紙片
(
しへん
)
を
落
(
おと
)
し、
065
足早
(
あしばや
)
に
殿中
(
でんちう
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
066
命
(
みこと
)
は
怪
(
あや
)
しみながら、
067
手早
(
てばや
)
くその
紙片
(
しへん
)
を
拾
(
ひろ
)
ひあげ
披
(
ひら
)
きみるに、
068
「
田依彦
(
たよりひこ
)
、
069
佐賀彦
(
さがひこ
)
の
謀計
(
ぼうけい
)
により、
070
貴神
(
きしん
)
の
身命
(
しんめい
)
は
瞬時
(
しゆんじ
)
に
迫
(
せま
)
れり。
071
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
裏門
(
うらもん
)
より
免
(
のが
)
れたまへ」との
書状
(
しよじやう
)
である。
072
命
(
みこと
)
はやや
思案
(
しあん
)
にくるる
折
(
をり
)
しも、
073
奥殿
(
おくでん
)
に
当
(
あた
)
りて
怪
(
あや
)
しき
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えた。
074
これは
佐賀姫
(
さがひめ
)
が
自殺
(
じさつ
)
を
遂
(
と
)
げたのである。
075
恩神
(
おんしん
)
を
救
(
すく
)
へば
夫
(
をつと
)
にたいして
道
(
みち
)
立
(
た
)
たず、
076
一命
(
いちめい
)
を
捨
(
す
)
てて
節
(
せつ
)
を
守
(
まも
)
つたのである。
077
ボムベー
山
(
ざん
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
は、
078
上
(
うへ
)
を
下
(
した
)
への
大騒
(
おほさわ
)
ぎであつた。
079
佐賀彦
(
さがひこ
)
は
妻
(
つま
)
の
変死
(
へんし
)
に
度
(
ど
)
を
失
(
うしな
)
ひ、
080
狂気
(
きやうき
)
のごとくなりて
大声
(
おほごゑ
)
を
発
(
はつ
)
し、
081
神々
(
かみがみ
)
を
集
(
あつ
)
めてゐた。
082
その
声
(
こゑ
)
は
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
の
耳
(
みみ
)
に
透
(
す
)
き
通
(
とほ
)
るごとく
聞
(
きこ
)
えた。
083
ボムベー
山
(
ざん
)
の
部将
(
ぶしやう
)
は、
084
残
(
のこ
)
らず
佐賀彦
(
さがひこ
)
の
声
(
こゑ
)
する
方
(
はう
)
に
集
(
あつ
)
まつた。
085
佐賀彦
(
さがひこ
)
は
周章
(
しうしやう
)
狼狽
(
らうばい
)
のあまり、
086
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
のあることを
忘却
(
ばうきやく
)
するにいたつた。
087
このとき
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
は
服装
(
ふくさう
)
を
変
(
へん
)
じ、
088
神司
(
かみがみ
)
の
周章
(
しうしやう
)
狼狽
(
らうばい
)
するその
間
(
あひだ
)
を
悠然
(
いうぜん
)
として
表門
(
おもてもん
)
より
立出
(
たちい
)
で、
089
門外
(
もんぐわい
)
に
出
(
い
)
づるや
否
(
いな
)
や、
090
待
(
ま
)
ちかまへたる
元照彦
(
もとてるひこ
)
と
共
(
とも
)
に、
091
モスコーをさして
落
(
おち
)
のびた。
092
モスコーには
正照彦
(
まさてるひこ
)
、
093
溝川彦
(
みぞかはひこ
)
が
固
(
かた
)
く
守
(
まも
)
つてゐた。
094
このとき
田依彦
(
たよりひこ
)
の
姉
(
あね
)
草香姫
(
くさかひめ
)
は、
095
身
(
み
)
を
変
(
へん
)
じてモスコーに
入
(
い
)
り、
096
正照彦
(
まさてるひこ
)
にむかひ
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
の
急使
(
きふし
)
なりと
偽
(
いつは
)
り、
097
面会
(
めんくわい
)
を
求
(
もと
)
め、
098
かつ
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
はボムベー
山
(
ざん
)
において
佐賀彦
(
さがひこ
)
、
099
田依彦
(
たよりひこ
)
のために
窮地
(
きゆうち
)
に
陥
(
おちい
)
り、
100
今
(
いま
)
や
全軍
(
ぜんぐん
)
滅亡
(
めつぼう
)
に
瀕
(
ひん
)
せり。
101
正照彦
(
まさてるひこ
)
は
溝川彦
(
みぞかはひこ
)
とともに
全軍
(
ぜんぐん
)
を
率
(
ひき
)
ゐて
救援
(
きうゑん
)
に
来
(
きた
)
れとの
伝令
(
でんれい
)
なりと
伝
(
つた
)
へた。
102
正照彦
(
まさてるひこ
)
は
溝川彦
(
みぞかはひこ
)
をしてモスコーを
守備
(
しゆび
)
せしめ、
103
自
(
みづか
)
ら
部下
(
ぶか
)
を
率
(
ひき
)
ゐてボムベー
山
(
ざん
)
に
急
(
いそ
)
ぎ
向
(
むか
)
ふたのである。
104
モスコーは
溝川彦
(
みぞかはひこ
)
の
神軍
(
しんぐん
)
によく
守備
(
しゆび
)
されつつあつた。
105
そこへ
国照姫
(
くにてるひめ
)
の
部下
(
ぶか
)
種熊彦
(
たねくまひこ
)
は、
106
ローマの
花園彦
(
はなぞのひこ
)
の
急使
(
きふし
)
なりとして
面会
(
めんくわい
)
を
求
(
もと
)
めた。
107
溝川彦
(
みぞかはひこ
)
は
国照姫
(
くにてるひめ
)
の
間者
(
かんじや
)
たることを
知
(
し
)
らず、
108
花園彦
(
はなぞのひこ
)
の
急使
(
きふし
)
と
信
(
しん
)
じ
面会
(
めんくわい
)
を
許
(
ゆる
)
し、
109
かつ
使
(
つかひ
)
のおもむきも
訊
(
たづ
)
ねた。
110
種熊彦
(
たねくまひこ
)
はローマの
陥落
(
かんらく
)
は
旦夕
(
たんせき
)
に
迫
(
せま
)
り、
111
大島彦
(
おほしまひこ
)
は
戦死
(
せんし
)
したり。
112
すみやかにモスコーをすて、
113
全軍
(
ぜんぐん
)
を
率
(
ひき
)
ゐて
救援
(
きうゑん
)
に
来
(
きた
)
るべしとのことであつた。
114
溝川彦
(
みぞかはひこ
)
はただちにその
言
(
げん
)
を
信
(
しん
)
じ、
115
モスコーを
空虚
(
くうきよ
)
にし
直
(
ただ
)
ちにローマに
向
(
むか
)
うた。
116
ローマの
都
(
みやこ
)
は
士気
(
しき
)
おほいに
振
(
ふる
)
ひ、
117
敵
(
てき
)
の
片影
(
へんえい
)
だも
認
(
みと
)
めないのが
実際
(
じつさい
)
である。
118
ボムベー
山
(
ざん
)
救援
(
きうゑん
)
に
向
(
むか
)
ひたる
正照彦
(
まさてるひこ
)
は
中途
(
ちゆうと
)
にして、
119
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
、
120
元照彦
(
もとてるひこ
)
に
会
(
くわい
)
し、
121
草香姫
(
くさかひめ
)
のために
偽
(
いつは
)
られしことを
覚
(
さと
)
り、
122
取
(
と
)
るものも
取
(
と
)
りあへず、
123
モスコーの
陣営
(
ぢんえい
)
を
気
(
き
)
づかひ、
124
急
(
いそ
)
いでボムベー
山
(
ざん
)
の
攻撃
(
こうげき
)
をすててモスコーに
帰陣
(
きぢん
)
した。
125
一方
(
いつぱう
)
溝川彦
(
みぞかはひこ
)
はローマに
到
(
いた
)
つて
実情
(
じつじやう
)
を
知
(
し
)
り、
126
全
(
まつた
)
く
敵
(
てき
)
の
間者
(
かんじや
)
に
欺
(
あざむ
)
かれたるを
悔
(
く
)
いかつ
怒
(
いか
)
り、
127
これまたモスコーを
危
(
あやぶ
)
みて
急
(
きふ
)
に
軍
(
ぐん
)
を
復
(
かへ
)
した。
128
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
、
129
正照彦
(
まさてるひこ
)
、
130
溝川彦
(
みぞかはひこ
)
らのモスコーに
到
(
いた
)
れる
時
(
とき
)
は、
131
すでにモスコーは
田依彦
(
たよりひこ
)
の
手
(
て
)
に
陥
(
おちい
)
り、
132
草香姫
(
くさかひめ
)
は
部将
(
ぶしやう
)
として
活躍
(
くわつやく
)
してゐた。
133
ここに
国照姫
(
くにてるひめ
)
の
部下
(
ぶか
)
種熊彦
(
たねくまひこ
)
は、
134
モスコーを
占領
(
せんりやう
)
せむとして
溝川彦
(
みぞかはひこ
)
を
欺
(
あざむ
)
き、
135
空虚
(
くうきよ
)
を
狙
(
ねら
)
つて
一挙
(
いつきよ
)
に
占領
(
せんりやう
)
し、
136
数多
(
あまた
)
の
魔軍
(
まぐん
)
をもつて
一斉
(
いつせい
)
に
攻撃
(
こうげき
)
をはじめた。
137
この
時
(
とき
)
モスコーの
城塞
(
じやうさい
)
は
田依彦
(
たよりひこ
)
、
138
草香姫
(
くさかひめ
)
の
占領
(
せんりやう
)
に
帰
(
き
)
してゐた。
139
ここに
田依彦
(
たよりひこ
)
、
140
種熊彦
(
たねくまひこ
)
の
軍
(
ぐん
)
を
見
(
み
)
て
国照姫
(
くにてるひめ
)
の
魔軍
(
まぐん
)
と
知
(
し
)
らず、
141
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
の
一味
(
いちみ
)
と
誤認
(
ごにん
)
し、
142
死力
(
しりよく
)
を
尽
(
つく
)
して
戦
(
たたか
)
ふてゐたのである。
143
そこへ
正照彦
(
まさてるひこ
)
、
144
元照彦
(
もとてるひこ
)
は
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
を
主将
(
しゆしやう
)
とし、
145
種熊彦
(
たねくまひこ
)
の
後方
(
こうはう
)
より
神軍
(
しんぐん
)
を
督
(
とく
)
して
火弾
(
くわだん
)
を
抛
(
なげう
)
ち、
146
よく
戦
(
たたか
)
ふた。
147
種熊彦
(
たねくまひこ
)
は
双方
(
さうはう
)
に
敵
(
てき
)
を
受
(
う
)
けつひに
戦死
(
せんし
)
を
遂
(
と
)
げ、
148
全軍
(
ぜんぐん
)
ほとんど
全滅
(
ぜんめつ
)
するにいたつた。
149
それと
同時
(
どうじ
)
に
溝川彦
(
みぞかはひこ
)
の
一軍
(
いちぐん
)
は
側面
(
そくめん
)
より
田依彦
(
たよりひこ
)
、
150
草香姫
(
くさかひめ
)
の
軍
(
ぐん
)
を
襲
(
おそ
)
ひ、
151
克
(
よ
)
く
戦
(
たたか
)
ふた。
152
田依彦
(
たよりひこ
)
は
種熊彦
(
たねくまひこ
)
の
滅亡
(
めつぼう
)
せるを
見
(
み
)
、
153
竜宮城
(
りゆうぐうじやう
)
の
味方
(
みかた
)
の
援軍
(
ゑんぐん
)
のために
滅
(
ほろぼ
)
されたるものと
信
(
しん
)
じ、
154
凱歌
(
がいか
)
を
奏
(
そう
)
し
万歳
(
ばんざい
)
を
連呼
(
れんこ
)
し、
155
城中
(
じやうちう
)
は
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
に
充
(
み
)
ち
満
(
み
)
ちてゐた。
156
しかるに
側面
(
そくめん
)
より
溝川彦
(
みぞかはひこ
)
の
激烈
(
げきれつ
)
なる
攻撃
(
こうげき
)
を
開始
(
かいし
)
したるに
打
(
う
)
ち
驚
(
おどろ
)
き、
157
その
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つて
全力
(
ぜんりよく
)
をそそぎ、
158
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
の
神軍
(
しんぐん
)
にたいする
備
(
そな
)
へを
閑却
(
かんきやく
)
してゐた。
159
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
は
渡
(
わた
)
りに
船
(
ふね
)
と
勇
(
いさ
)
みすすみて、
160
田依彦
(
たよりひこ
)
の
占領
(
せんりやう
)
する
近
(
ちか
)
くより
一斉
(
いつせい
)
に
火弾
(
くわだん
)
を
発射
(
はつしや
)
した。
161
田依彦
(
たよりひこ
)
、
162
草香姫
(
くさかひめ
)
は、
163
周章
(
しうしやう
)
狼狽
(
らうばい
)
なすところを
知
(
し
)
らず、
164
黒雲
(
こくうん
)
に
乗
(
じやう
)
じ、
165
たちまち
竜
(
りゆう
)
と
変
(
へん
)
じ、
166
狐
(
きつね
)
と
化
(
くわ
)
して
四方
(
しはう
)
に
敗走
(
はいそう
)
した。
167
この
時
(
とき
)
の
天祐
(
てんいう
)
は
全
(
まつた
)
く
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
の
神軍
(
しんぐん
)
に
下
(
くだ
)
つた。
168
(
大正一〇・一〇・三一
旧一〇・一
外山豊二
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
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反間苦肉の策 >>>
霊界物語
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霊主体従(第1~12巻)
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第2巻(丑の巻)
> 第3篇 神戦の経過 > 第17章 佐賀姫の義死
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【第17章 佐賀姫の義死|第2巻|霊主体従|霊界物語|/rm0217】
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