霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二二章 言霊別(ことたまわけの)命(みこと)の奇策(きさく)〔七二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻 篇:第4篇 常世の国 よみ(新仮名遣い):とこよのくに
章:第22章 言霊別命の奇策 よみ(新仮名遣い):ことたまわけのみことのきさく 通し章番号:72
口述日:1921(大正10)年11月01日(旧10月02日) 口述場所: 筆録者:谷口正治 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年1月27日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
言霊別命はひそかに美濃彦の館に入って、策を練っていた。小島別は竜世姫の急病にあわてて谷底に転落して怪我をしていた。そのうちに、竜世姫の病は病気全快してしまった。
小島別らは美濃彦の館の前を、何も気づかずに通り過ぎた。その後に、言霊別命は後から追いついた。
言霊別命と竜世姫は、わざと偽の喧嘩をして、小島別らの目を欺いた。言霊別命も偽病を演じ、竜世姫は小島別・竹島彦らに、偽病の言霊別命の輿をかつがせた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-03-07 18:21:37 文字数:1762 OBC :rm0222
愛善世界社版:109頁 八幡書店版:第1輯 198頁 修補版: 校定版:111頁 普及版:53頁 初版: ページ備考:
001 言霊別(ことたまわけの)命(みこと)は何(なに)ゆゑかこの遭難(さうなん)を後(あと)にみて、002一目散(いちもくさん)に左(ひだり)の大道(だいだう)を進(すす)み、003美濃彦(みのひこ)の住(す)める紅館(くれなゐやかた)にいたり、004元照彦(もとてるひこ)とともに種々(しゆじゆ)の計画(けいくわく)をたて、005万一(まんいち)に備(そな)へたのである。006小島別(こじまわけ)以下(いか)の神司(かみがみ)は竜世姫(たつよひめ)の急病(きふびやう)に心(こころ)をとられ、007言霊別(ことたまわけの)命(みこと)の影(かげ)を失(うしな)ひしに心付(こころづ)かず、008種々(しゆじゆ)手(て)をつくして看護(かんご)した。009されど容易(ようい)に竜世姫(たつよひめ)の病(やまひ)は癒(い)えずして、010多(おほ)くの時(とき)を費(つひ)やした。
011 このとき小島別(こじまわけ)は狼狽(らうばい)のあまり、012傍(かたはら)の深(ふか)き谷間(たにま)に転落(てんらく)して腰(こし)を打(う)ち、013谷底(たにぞこ)にて悲鳴(ひめい)を上(あ)げてゐた。014一方(いつぱう)竜世姫(たつよひめ)には松代姫(まつよひめ)看護(かんご)の任(にん)にあたり、015竹島彦(たけじまひこ)は谷間(たにま)に下(くだ)りて、016小島別(こじまわけ)の看護(かんご)に尽(つく)してゐた。017竜世姫(たつよひめ)はますます苦悶(くもん)を訴(うつた)へた。
018 竹島彦(たけじまひこ)は小島別(こじまわけ)をやうやく背(せな)に負(お)ひて谷(たに)を這(は)ひのぼり、019ここにふたりの病神(びやうしん)に手(て)を曳(ひ)かれ栃麺棒(とちめんぼう)をふつてゐた。020そのとき竜世姫(たつよひめ)は掌(てのひら)を翻(かへ)したごとくに病気(びやうき)全快(ぜんくわい)し、021大声(おほごゑ)を出(だ)して笑(わら)ひだした。
022 小島別(こじまわけ)は顔(かほ)をしかめ、023苦痛(くつう)を訴(うつた)へてゐたが、024種々(しゆじゆ)看護(かんご)の末(すゑ)やうやく杖(つゑ)を力(ちから)に歩行(ほかう)しうるやうになつた。025ここにはじめて言霊別(ことたまわけの)命(みこと)の影(かげ)を失(うしな)ひしに驚(おどろ)き、026竹島彦(たけじまひこ)は大声(おほごゑ)を発(はつ)して、027「オーイ、028オーイ」と呼(よ)ばはつた。029その声(こゑ)は木精(こだま)にひびき、030山嶽(さんがく)も崩(くづ)るるばかりであつた。031されど言霊別(ことたまわけの)命(みこと)の声(こゑ)は梨(なし)の礫(つぶて)の何(なん)の音沙汰(おとさた)もなかつた。
032 小島別(こじまわけ)はよろめきつつ杖(つゑ)を力(ちから)になめくじりの江戸行(えどゆき)のごとく、033遅々(ちち)としてはかどらぬのである。034にはかに従者(じゆうしや)に命(めい)じ、035輿(こし)にかつがして行(ゆ)くことになつたが、036やがて二股(ふたまた)の岐路(きろ)にさしかかつた。037このとき、038一行(いつかう)は、039言霊別(ことたまわけの)命(みこと)はいづれの路(みち)をとりしやと、040しばし思案(しあん)にくれてゐた。
041 竜世姫(たつよひめ)は右(みぎ)の道(みち)をとれと勧(すす)めてやまなかつた。042されど一行(いつかう)は途方(とはう)にくれていた。
043 衆議(しうぎ)の結果(けつくわ)、044竹島彦(たけじまひこ)、045松代姫(まつよひめ)は右(みぎ)の道(みち)をとつたが、046小島別(こじまわけ)、047竜世姫(たつよひめ)は左道(さだう)をとつて美濃彦(みのひこ)の館(やかた)の前(まへ)を何気(なにげ)なく通過(つうくわ)した。
048 言霊別(ことたまわけの)命(みこと)は小島別(こじまわけ)の輿(こし)をやり過(す)ごして、049悠々(いういう)として協議(けふぎ)をとげ、050元照彦(もとてるひこ)、051美濃彦(みのひこ)に策(さく)を授(さづ)け、052やがて後(あと)より「オーイ、053オーイ」と大声(おほごゑ)を上(あ)げて、054小島別(こじまわけ)の輿(こし)を呼(よ)びとめた。
055 小島別(こじまわけ)は輿(こし)より這(は)ひいで、
056『命(みこと)はいづれにありしぞ。057竜世姫(たつよひめ)の重病(ぢうびやう)を見捨(みす)て、058吾(われ)らを捨(す)てて自由(じいう)行動(かうどう)をとられしは、059実(じつ)に不深切(ふしんせつ)にして無道(ぶだう)のきはみならずや』
060と、061腰(こし)を押(お)さへながら詰問(きつもん)した。
062 言霊別(ことたまわけの)命(みこと)は打(う)ち笑(わら)つて、
063『竜世姫(たつよひめ)は平素(へいそ)慢心(まんしん)強(つよ)し、064重病(ぢうびやう)に罹(かか)るごときは当然(たうぜん)なり。065望(のぞ)むらくは途上(とじやう)に倒(たふ)れ死(し)し、066鳥獣(てうじう)の餌食(ゑじき)となるべきものなり。067しかるに憎(にく)まれ児(ご)世(よ)に羽張(はば)るとの譬(たとへ)のとほり、068まだ頑強(ぐわんきやう)に生(いき)ながらへゐたるは不思議(ふしぎ)なり』
069と口(くち)をきはめて罵(ののし)つた。
070 小島別(こじまわけ)は言霊別(ことたまわけの)命(みこと)、071竜世姫(たつよひめ)の心中(しんちゆう)を知(し)らず、072躍起(やくき)となつて憤(いきどほ)り、
073『極悪(ごくあく)無道(むだう)の言霊別(ことたまわけの)命(みこと)、074吾(われ)いま天(てん)に代(かは)つて誅伐(ちうばつ)せむ。075泣面(なきづら)かはくな[※「かはく」(かわく)は「する」を罵って言う言葉。広辞苑によると『(「する」をののしっていう語) …しやがる。浄、丹波与作待夜の小室節「盗み―・くは何奴ぢやい」』。]』
076と起(お)き上(あが)つた。077その一刹那(いちせつな)に小島別(こじまわけ)の腰(こし)の痛(いた)みはたちまち癒(い)え、078言霊別(ことたまわけの)命(みこと)は路上(ろじやう)にたふれて、079絶息(ぜつそく)してしまうたのである。080小島別(こじまわけ)は、
081『神明(しんめい)恐(おそ)るべし。082罰(ばつ)は覿面(てきめん)なり』
083と手(て)を拍(う)つて天(てん)に感謝(かんしや)した。
084 竜世姫(たつよひめ)はただちに言霊別(ことたまわけの)命(みこと)を看護(かんご)した。085このとき小島別(こじまわけ)怒(いか)つて曰(いは)く、
086『彼(かれ)は命(みこと)の野倒(のた)れ死(じに)を希(こひねが)ひし悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)の神(かみ)なり。087何(なん)の義務(ぎむ)あつて、088仇敵(きうてき)を介抱(かいはう)したまふや』
089と詰(なじ)つた。090竜世姫(たつよひめ)は容(かたち)をあらため、091威儀(ゐぎ)を正(ただ)し、
092『至仁(しじん)至愛(しあい)の神慮(しんりよ)は汝(なんぢ)らのたうてい窺知(きち)すべきところに非(あら)ず。093汝(なんぢ)の言(げん)こそ実(じつ)に悪魔(あくま)の囁(ささや)きなり。094すみやかに悔改(くいあらた)め、095言霊別(ことたまわけの)命(みこと)に陳謝(ちんしや)し奉(たてまつ)れ。096しからざれば妾(わらは)はこれより竜宮城(りゆうぐうじやう)にたち帰(かへ)り、097汝(なんぢ)が不信(ふしん)の罪(つみ)を稚桜姫(わかざくらひめの)命(みこと)に奏上(そうじやう)し奉(たてまつ)らむ』
098と厳(きび)しく戒(いまし)めた。
099 小島別(こじまわけ)は大地(だいち)に平伏(へいふく)し、100平蜘蛛(ひらぐも)のごとくなつて自分(じぶん)の過去(くわこ)を陳謝(ちんしや)した。101路上(ろじやう)に倒(たふ)れし言霊別(ことたまわけの)命(みこと)は決(けつ)して病(やまひ)を発(はつ)して倒(たふ)れたのではなかつた。102小島別(こじまわけ)をして自分(じぶん)を輿(こし)にのせて舁(か)つぎ行(ゆ)かしめむための奇策(きさく)であつた。
103 小島別(こじまわけ)は竜世姫(たつよひめ)の厳命(げんめい)により、104あまたの輿舁(こしかき)の神(かみ)あるにかかはらず自(みづか)ら輿舁(こしかき)となり、105不精(ふしやう)々々(ぶしやう)に、106あたかも屠所(としよ)に曳(ひ)かるる羊(ひつじ)のごとく、107足並(あしなみ)もあまり面白(おもしろ)からず進(すす)むのであつた。
108 行(ゆ)くことややしばしにして左右(さいう)両岐路(りやうきろ)の出会路(であひみち)にさしかかつた。109右(みぎ)の道(みち)をたどりし竹島彦(たけじまひこ)、110松代姫(まつよひめ)もここに来(きた)り、111たがひに無事(ぶじ)の会合(くわいがふ)を祝(しゆく)した。
112 このとき竜世姫(たつよひめ)は竹島彦(たけじまひこ)にむかひ、
113『吾(わ)が厳命(げんめい)なり。114汝(なんぢ)は後棒(あとぼう)となり、115この輿(こし)を舁(かつ)ぎて命(みこと)を常世姫(とこよひめ)のもとに送(おく)り奉(たてまつ)れ』
116と命令(めいれい)した。117竹島彦(たけじまひこ)は心中(しんちゆう)おだやかならず。118されど竜世姫(たつよひめ)の命(めい)を拒(こば)むに由(よし)なく、119つひに輿(こし)を舁(かつ)ぐこととなつた。120輿(こし)を舁(かつ)ぎしふたりはとみれば、121実(じつ)に三宝(さんぽう)荒神(くわうじん)が、122竈(かまど)の上(うへ)の不動(ふどう)を燃(も)え杭(くひ)でくらはしたやうな不足相(ふそくさう)な顔付(かほつき)であつた。
123(大正一〇・一一・一 旧一〇・二 谷口正治録)
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