霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四六章 天則(てんそく)違反(ゐはん)〔九六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻 篇:第7篇 天地の大道 よみ(新仮名遣い):てんちのだいどう
章:第46章 天則違反 よみ(新仮名遣い):てんそくいはん 通し章番号:96
口述日:1921(大正10)年11月08日(旧10月09日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年1月27日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
天稚彦は諸方を流浪し、万寿山を守っていた吾妻別のもとを訪ねた。吾妻別は天稚彦であると認め、竜宮城に使いを送って、天稚彦の帰還を知らせた。しかしそれを聞いた稚桜姫命は顔色蒼白となり、唇は震えていた。
天稚彦が帰還したとき、稚桜姫命は狼狽のあまり、袴を後ろ前にはき、上衣の裏を着るなど周章ぶりはひとかたならなかった。
天稚彦は到着するやいなや、鉄拳を振り上げて玉照彦を打ち据えた。玉照彦は息も絶え絶えになりながら、天測違反の罪を告白すると、息絶えた。
国治立命はその場にご神姿を現し、天稚彦、稚桜姫命を天則違反の罪によって、幽界に落とし、幽庁を主宰せしめることを言い渡した。ここに二神司は三千年の忍び難き苦しみを受けることとなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:1625 OBC :rm0246
愛善世界社版:233頁 八幡書店版:第1輯 242頁 修補版: 校定版:237頁 普及版:111頁 初版: ページ備考:
001 ここに天稚彦(あめのわかひこ)は唐子姫(からこひめ)の妖魅(えうみ)に誑(たぶ)らかされ、002諸方(しよはう)を流転(るてん)し、003山野(さんや)河海(かかい)を跋渉(ばつせう)し、004雪(ゆき)の朝(あした)霜(しも)の夕(ゆふべ)に足(あし)を痛(いた)め、005風雨(ふうう)に曝(さら)され、006晩秋(ばんしう)の案山子(かがし)の如(ごと)きみすぼらしき姿(すがた)となりて万寿山(まんじゆざん)の城下(じやうか)に現(あら)はれ、007神司(かみがみ)の門戸(もんこ)をたたき、008乞食(こじき)の姿(すがた)となつてあらはれた。
009 たまたま吾妻別(あづまわけ)の門戸(もんこ)をたたく者(もの)がある。010その音(おと)はどこともなくことなれる響(ひび)きであるを感(かん)じ、011吾妻別(あづまわけ)はみづから立(た)つて門(もん)を開(ひら)きみれば、012一個(いつこ)の賤(いや)しき漂浪神(さすらひがみ)が立(た)つてゐて、013命(みこと)の顔(かほ)を眺(なが)め、
014『汝(なんぢ)は吾妻別(あづまわけ)に非(あら)ずや』
015といつた。016命(みこと)の従臣(じゆうしん)滝彦(たきひこ)は走(はし)りきたり、017その神司(かみ)にむかつて、
018『汝(なんぢ)はいづれの神司(かみ)か知(し)らざれども、019吾(わが)門戸(もんこ)に立(た)ち、020吾(わが)主人(あるじ)にむかつて名(な)を呼捨(よびす)てになす不届者(ふとどきもの)、021一(いち)時(じ)も早(はや)くこの場(ば)を立去(たちさ)れ。022否(いな)むにおいてはこの通(とほ)り』
023といふより早(はや)く棍棒(こんぼう)をもつて頭上(づじやう)を殴打(おうだ)した。024そのはづみに急所(きふしよ)をはづれて笠(かさ)は飛(と)び散(ち)つた。025漂浪神(さすらひがみ)は眼光(がんくわう)烱々(けいけい)として射(い)るごとく、026言葉(ことば)するどく、
027『無礼者(ぶれいもの)』
028と罵(ののし)つた。
029 吾妻別(あづまわけ)は始(はじ)めて天稚彦(あめのわかひこ)の成(な)れの果(は)てなることを覚(さと)り、030従臣(じゆうしん)の無礼(ぶれい)を謝(しや)し、031ねんごろに手(て)を引(ひ)き万寿山(まんじゆざん)城内(じやうない)に迎(むか)へたてまつり、032新(あたら)しき神衣(しんい)を奉(たてまつ)つた。033今(いま)までの案山子(かがし)のごとく窶(やつ)れたる神司(かみ)は、034たちまち豊頬(ほうけい)円満(ゑんまん)なる天晴(あつぱれ)勇将(ゆうしやう)と変(かは)りたまうた。035吾妻別(あづまわけ)は信書(しんしよ)を認(したた)め、036滝彦(たきひこ)を使者(ししや)として竜宮城(りゆうぐうじやう)につかはし、037稚桜姫(わかざくらひめの)命(みこと)に、
038『天稚彦(あめのわかひこ)、039万寿山(まんじゆざん)に還(かへ)りたまひ、040しばらく休養(きうやう)されしのち、041ふたたび竜宮城(りゆうぐうじやう)に帰還(きくわん)したまはむとす。042すみやかに歓迎(くわんげい)の準備(じゆんび)あらむことを乞(こ)ふ』
043といふ意味(いみ)の文面(ぶんめん)であつた。
044 大八洲彦(おほやしまひこの)命(みこと)はまづこの信書(しんしよ)をひらき、045一見(いつけん)して大(おほ)いに悦(よろこ)び、046稚桜姫(わかざくらひめの)命(みこと)は定(さだ)めて満足(まんぞく)したまはむと、047みづから心中(しんちゆう)雀躍(こをど)りしながら、048稚桜姫(わかざくらひめの)命(みこと)の御前(みまへ)に出(い)で、049委細(ゐさい)を言上(ごんじやう)した。
050 命(みこと)はさだめて御(お)喜(よろこ)びのことと思(おも)ひきや、051その御(おん)顔(かほ)には怪(あや)しき雲(くも)がただようた。052側近(そばちか)く仕(つか)へゐたる玉照彦(たまてるひこ)は、053にはかに顔色(がんしよく)蒼白(さうはく)となり、054唇(くちびる)はぶるぶると震(ふる)へだした。
055 大八洲彦(おほやしまひこの)命(みこと)は合点(がつてん)ゆかず、056その場(ば)を引退(ひきさが)つた。057このとき滝彦(たきひこ)は、058天稚彦(あめのわかひこ)の今(いま)までの御(ご)経歴(けいれき)を語(かた)り、059かつ稚桜姫(わかざくらひめの)命(みこと)にたいし、060大(だい)なる疑(うたがひ)を抱(いだ)き給(たま)ふことを述(の)べた。061大八洲彦(おほやしまひこの)命(みこと)は一室(ひとま)に入(い)りて、062双手(もろて)を組(く)み思案(しあん)に時(とき)を移(うつ)し、063この度(たび)の命(みこと)の態度(たいど)といひ、064玉照彦(たまてるひこ)の様子(やうす)といひ、065実(じつ)に怪(あや)しさのかぎりである。066しかし律法(りつぱう)厳(きび)しき竜宮城(りゆうぐうじやう)の主神(しゆしん)として天則(てんそく)を破(やぶ)りたまふごとき失態(しつたい)あるべき理由(りいう)なしと、067とつおいつ煩悶(はんもん)苦悩(くなう)してゐた。
068 しばらくあつて城内(じやうない)はにはかに騒(さわ)がしく、069天稚彦(あめのわかひこ)の御(ご)帰城(きじやう)なりとて、070右往(うわう)左往(さわう)に神司(かみがみ)は奔走(ほんそう)しはじめた。071ここに花森彦(はなもりひこ)は大八洲彦(おほやしまひこの)命(みこと)の前(まへ)に出(い)で、072夫君(をつとぎみ)の御(ご)帰城(きじやう)なり、073一(いち)時(じ)もはやく稚桜姫(わかざくらひめの)命(みこと)みづから出迎(でむか)へたまふやう、074御(お)執成(とりな)しあらむことをと、075顔(かほ)に笑(ゑ)みを含(ふく)んで進言(しんげん)した。
076 花森彦(はなもりひこ)はすでに善道(ぜんだう)に復帰(たちかへ)り、077律法(りつぱう)をよく守(まも)りつつあれば、078唐子姫(からこひめ)を奪(うば)はれしことは、079少(すこ)しも念頭(ねんとう)にかけてゐなかつた。080ここに稚桜姫(わかざくらひめの)命(みこと)は周章(しうしやう)狼狽(らうばい)のあまり、081袴(はかま)を前後(まへうしろ)にはき、082上着(うはぎ)の裏(うら)を着(き)るなどして、083あわてて出迎(でむか)へられた。084しかして玉照彦(たまてるひこ)は相変(あひかは)らず、085御(おん)手(て)をひき命(みこと)を労(いたは)りつつ迎(むか)へた。
086 天稚彦(あめのわかひこ)は、087いきなり物(もの)をもいはず鉄拳(てつけん)を振(ふ)りあげ、088玉照彦(たまてるひこ)を打(う)ちすゑた。089稚桜姫(わかざくらひめの)命(みこと)はおほいに驚(おどろ)き、090玉照彦(たまてるひこ)を抱(いだ)きあげむとしたまうた。
091 玉照彦(たまてるひこ)は息(いき)もたえだえに、
092『われは厳重(げんぢう)なる規律(きりつ)を破(やぶ)り、093天則(てんそく)に違反(ゐはん)し、094ここに命(みこと)のために打(う)たれて滅(ほろ)びむとす。095これ国治立(くにはるたちの)命(みこと)の御(ご)神罰(しんばつ)なり。096許(ゆる)したまへ』
097と真心(まごころ)より大神(おほかみ)に祈(いの)りを捧(ささ)げ、098たちまち城内(じやうない)の露(つゆ)と消(き)えた。
099 諸神司(しよしん)はこの光景(くわうけい)をながめ、100二神司(にしん)の間(あひだ)をいかにして宥(なだ)め奉(たてまつ)らむやと苦心(くしん)した。
101 このとき国治立(くにはるたちの)命(みこと)は神姿(しんし)を現(あら)はし、102二神司(にしん)の前(まへ)に立(た)ち、
103『夫婦(ふうふ)の戒律(かいりつ)を破(やぶ)りたる極重罪(ごくじうざい)悪神(あくしん)なり。104天地(てんち)の規則(きそく)に照(てら)し、105天稚彦(あめのわかひこ)、106稚桜姫(わかざくらひめの)命(みこと)は、107すみやかに幽界(いうかい)にいたり、108幽庁(いうちやう)の主宰者(しゆさいしや)たるべし』
109と厳命(げんめい)された。110地上(ちじやう)を治(をさ)め、111その上(うへ)天上(てんじやう)にいたりて神政(しんせい)を掌握(しやうあく)さるべき運命(うんめい)の神(かみ)、112稚桜姫(わかざくらひめの)命(みこと)は、113やがては天(てん)より高(たか)く咲(さ)く花(はな)の、114色香(いろか)褪(あ)せたる紫陽花(あぢさゐ)や、115変(かは)ればかはる身(み)の宿世(すぐせ)、116いよいよここに、117二神司(にしん)は地獄(ぢごく)の釜(かま)の焦起(こげおこ)し、118三千(さんぜん)年(ねん)の、119忍(しの)びがたき苦(くる)しみを受(う)けたまうこととなつた。
120(大正一〇・一一・八 旧一〇・九 外山豊二録)
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