霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四二章 甲冑(かつちう)起源(きげん)〔九二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻 篇:第6篇 神霊の祭祀 よみ(新仮名遣い):しんれいのさいし
章:第42章 甲冑の起源 よみ(新仮名遣い):かっちゅうのきげん 通し章番号:92
口述日:1921(大正10)年11月08日(旧10月09日) 口述場所: 筆録者:谷口正治 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年1月27日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
南方の敵軍の将・武熊別は、部下の魔軍を数千万の黒熊と変化させ、夜陰に乗じていっせいに攻撃を仕掛けた。不意を付かれた南軍と西軍は混乱し、魔軍は勢いで一気に十六社の宮まで登ってきた。
すると社殿の扉が自然に開き、中から数千万羽の金鵄が現れて、黒熊の魔軍に向かって火焔を吐いて翔け回った。黒熊は毛を焼かれて羆となり、北方の雪山めがけて逃走した。毛を焼かれたものは雪に穴を掘ってもぐり、回復を待ったが、全身白毛を生じて白熊となった。
攻撃が失敗したため、今度は武熊別は国照姫の魔軍を数千万の亀に変化させた。亀は口から火を吐きながら、神軍に襲いかかった。神卒たちは刀で首を切り落とそうとしたが、甲羅に阻まれ、また甲の中から吐き出される火焔に悩まされた。
大八洲彦命は宮比彦に神策を授け、神殿に奉納された神酒を数百の甕に移した。すると黒雲が起こって雨が降り注ぎ、数百の甕に満ち溢れると、雨水はすべて芳醇な神酒と化した。
亀たちは首を伸ばして神酒を飲み干したが、酔っ払って踊り狂うと酒の毒が回って、苦悶し始めた。神卒たちはここを狙って亀の首を切り落としていった。そして甲羅をはいで、各自身にまとった。これが甲冑の起源である。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2019-11-14 17:54:50 OBC :rm0242
愛善世界社版:212頁 八幡書店版:第1輯 234頁 修補版: 校定版:216頁 普及版:100頁 初版: ページ備考:
001 南方(なんぱう)敵将(てきしやう)武熊別(たけくまわけ)は、002美山彦(みやまひこ)および国照姫(くにてるひめ)二回(にくわい)計略(けいりやく)もぜんぜん失敗(しつぱい)にをはり、003尋常(じんじやう)一様(いちやう)画策(くわくさく)にては容易(ようい)目的(もくてき)(たつ)しがたきを()り、004部下(ぶか)魔軍(まぐん)をことごとく数千万(すうせんまん)黒熊(くろくま)(くわ)せしめた。
005 さうして東軍(とうぐん)吾妻別(あづまわけ)006南軍(なんぐん)大足彦(おほだるひこ)007西軍(せいぐん)磐樟彦(いはくすひこ)陣営(ぢんえい)にむかひ、008夜陰(やいん)(じやう)じて、009(いつ)せいに咆哮(はうかう)怒号(どがう)(こゑ)とともに襲撃(しふげき)した。010三軍(さんぐん)神将卒(しんしやうそつ)不意(ふい)襲撃(しふげき)(おどろ)右往(うわう)左往(さわう)散乱(さんらん)した。011武熊別(たけくまわけ)(いきほひ)()て、012まつしぐらにシオン(ざん)山頂(さんちやう)()がけて()せのぼり、013大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)陣営(ぢんえい)(おそ)ひ、014かつ十六社(じふろくしや)(みや)破壊(はくわい)せむとした。015大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)以下(いか)神将(しんしやう)不意(ふい)襲来(しふらい)(おどろ)き、016みづから奥殿(おくでん)()り、017宮比彦(みやびひこ)とともに天津(あまつ)(かみ)にむかつて救援(きうゑん)()ひたまうた。
018 このとき十六社(じふろくしや)(みや)(すで)武熊別(たけくまわけ)部下(ぶか)なる数多(あまた)黒熊(くろくま)破壊(はくわい)されむとする間際(まぎは)であつた。019たちまち社殿(しやでん)(とびら)自然(しぜん)(ひら)かれ、020(なか)より数千万(すうせんまん)()金鵄(きんし)あらはれ、021黒熊(くろくま)(ぐん)にむかひ、022(くち)より火焔(くわえん)()き、023縦横(じゆうわう)無尽(むじん)(かけ)めぐつた。
024 数千万(すうせんまん)黒熊(くろくま)はたちまちその()()かれ、025(いち)()(ひぐま)となつて(あつ)さに(もだ)(くる)しみつつ、026北方(ほつぱう)雪山(せつざん)()がけて遁走(とんさう)し、027積雪(せきせつ)(なか)(のこ)らずもぐり()り、028やうやく焼死(せうし)をまぬがれた。
029 焼死(せうし)をまぬがれた(くま)(むれ)は、030火傷(やけど)のために表皮(へうひ)全部(ぜんぶ)剥落(はくらく)して真裸(まつぱだか)となつた。031(くま)(むれ)雪山(せつざん)(ゆき)()(つち)()り、032(あな)(つく)つてその(なか)(ひそ)み、033(きず)()ゆるを()つた。034さしも(はげ)しき火傷(やけど)漸次(ぜんじ)恢復(くわいふく)して、035全身(ぜんしん)ことごとく白毛(はくまう)(しやう)白熊(しろくま)変化(へんくわ)した。
036 山麓(さんろく)にありし東西南(とうざいなん)諸神将(しよしんしよう)はやうやく散軍(さんぐん)(あつ)め、037陣営(ぢんえい)もとに(ふく)し、038勇気(ゆうき)はますます隆盛(りうせい)であつた。039武熊別(たけくまわけ)はあまたの味方(みかた)(うしな)ひ、040ふたたび国照姫(くにてるひめ)魔軍(まぐん)をかつて再挙(さいきよ)(くはだ)てた。041今度(こんど)魔軍(まぐん)数千万(すうせんまん)(かめ)(くわ)し、042山上(さんじやう)()がけて(ひそ)かに()(のぼ)らしめた。043山上(さんじやう)(かめ)をもつて(うづ)もれた。044(かめ)一斉(いつせい)(くち)より火焔(くわえん)()き、045四十八(よんじふはち)(むね)社殿(しやでん)および幄舎(あくしや)(いち)()焼尽(やきつく)し、046神軍(しんぐん)全部(ぜんぶ)焼滅(やきほろ)ぼさむとする(いきほひ)であつた。047神軍(しんぐん)はこれを()て、048一々(いちいち)(かめ)(くび)()らむとした。049数万(すうまん)(かめ)(いち)()(くび)(かふ)(なか)(ひそ)め、050()てども()れども(なん)痛痒(つうよう)(かん)ぜず、051ただカツカツ(おと)(きこ)ゆるばかりである。
052 (かめ)はだんだん折重(をりかさ)なつて(やま)(きづ)き、053諸神将(しよしんしよう)取囲(とりかこ)み、054一歩(いつぽ)(うご)かざらしめむとした。055さうして口々(くちぐち)(はげ)しき火焔(くわえん)(かふ)のなかより紅蓮(ぐれん)のごとくに()きだし、056神軍(しんぐん)(なや)ますのであつた。
057 ここに大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)宮比彦(みやびひこ)神策(しんさく)(さづ)け、058十二社(じふにしや)神殿(しんでん)(いた)らしめた。059さうして神殿(しんでん)奉献(ほうけん)されたる神酒(みき)一滴(いつてき)づつ数百(すうひやく)(かめ)にうつした。060たちまち(てん)黒雲(こくうん)おこり、061大雨(たいう)()りそそぎて、062(またた)くうちに数百(すうひやく)(かめ)()ちあふれた。063その雨水(うすゐ)全部(ぜんぶ)芳醇(はうじゆん)なる神酒(しんしゆ)(くわ)した。064このとき何処(いづく)ともなく数十羽(すうじつぱ)(あや)しき鳥族(てうぞく)(あら)はれて、065(かめ)(ひた)り、066羽撃(はばた)きしていづくともなく()()つた。
067 (かんば)しき(さけ)(にほ)ひは山上(さんじやう)(あふ)るるばかりであつた。068この(にほ)ひを()いだ数万(すうまん)(かめ)(むれ)はにはかに(くび)()し、069(さき)(あらそ)ふて酒甕(さけがめ)(まへ)()けりつき、070()のびをなし、071(くび)(なが)突出(とつしゆつ)して(のこ)らず(かめ)(さけ)()()し、072敵地(てきち)にあるを(わす)れて、073(いつ)せいに酔狂(ゑひくる)(をど)りまはつた。
074 このとき山上(さんじやう)神将(しんしやう)神卒(しんそつ)は、075(かれ)らを()つは(いま)この(とき)なり。076()めては容易(ようい)()つこと(がた)しと、077おのおの(かたな)引抜(ひきぬ)(くび)(いつ)せいに()らむと(はか)つた。078大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)はこれを(さへぎ)り、079諸神司(しよしん)をして亀群(きぐん)酔狂(すゐきやう)状態(じやうたい)観覧(くわんらん)せよと(めい)じた。
080 神将(しんしやう)神卒(しんそつ)(めい)にしたがひ、081袖手(しうしゆ)傍観(ばうかん)することとなつた。082(かめ)はますます面白(おもしろ)()つきをなして(をど)(くる)ひ、083たがひに(あらそ)ひを(はじ)めた。084その光景(くわうけい)(なん)ともいひえない面白(おもしろ)場面(ばめん)であつた。
085 山上(さんじやう)神将(しんしやう)神卒(しんそつ)(おも)はず()()ち、086つひには(かめ)(をどり)面白(おもしろ)さに()きつけられて、087自分(じぶん)もそろそろ(うた)(うた)ひ、088(かめ)(むれ)(まじ)つて敵味方(てきみかた)ともに(をど)(くる)うた。089そろそろ(かめ)(どく)(まは)つた。090黒血(くろち)()く、091仰向(あふむ)けに(たふ)れる、092そろそろ苦悶(くもん)しはじめた。093たちまち味方(みかた)神将(しんしやう)神卒(しんそつ)帯刀(たいたう)()き、094(かめ)(くび)をずたずたに()(はな)ち、095(のこ)らずこれを(ほろ)ぼし、096(かふ)()いで各自(かくじ)武具(ぶぐ)となし、097これを()(よろ)うた。098これが戦争(せんそう)甲冑(かつちう)(ちやく)するにいたつた嚆矢(かうし)である。
099大正一〇・一一・八 旧一〇・九 谷口正治録)
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