霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 水星(すゐせい)(せい)〔六四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻 篇:第3篇 神戦の経過 よみ(新仮名遣い):しんせんのけいか
章:第14章 水星の精 よみ(新仮名遣い):すいせいのせい 通し章番号:64
口述日:1921(大正10)年10月30日(旧09月30日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年1月27日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
田依彦と中裂彦は、稚桜姫命を慰めるために、ヨルダン河の上流で千引の岩をとり、広い石庭を造った。すると稚桜姫命はにわかに身体に大痙攣を起こし、激烈な腹痛に悩まされることになった。
言霊別命が天津神の神示を受けたところによると、ヨルダン河上流の水星の精から出た長方形の霊石を掘り出して、庭園の石として地上に放置したため、水星の精が警告を発したものである、とわかった。
また神示には、まわりの岩石を取り除いて、霊石を黄金水で清め、宮を作って鎮祭すれば、稚桜姫命の病は癒えるだろう、とあった。
果たしてそのとおりに取り計らうと、不思議にも稚桜姫命の病は癒えた。
しかし、この霊石を掘り出してから、ヨルダン河の水は土砂を流して濁水の川になってしまった。また、中裂彦は心狂ってヨルダン河に身を投じ、悪蛇と変化して死海に流れた。
水星の霊石を祭った宮は、言霊別命が斎主として奉仕することになった。
稚桜姫命は病は癒えたが、その後の健康は勝れず、ときどき病床に臥すことがあった。常世姫はそれを聞いて、信書を兄の真道知彦に送った。真道知彦は稚桜姫命の長男である。
常世姫の信書には、言霊別命が水星の精によって稚桜姫命を日夜呪詛しており、それが命の病の原因である、というものであった。
それを聞いて怒った稚桜姫命は、水星の霊石を打ち砕くことを命じた。言霊別命はやむなく天に謝して霊石を芝生の上に投げうった。すると霊石から旋風が起こり、高殿の稚桜姫命を地上に吹き落とした。
これより稚桜姫命は不具となり、歩行に困難を覚えることとなった。言霊別命は梅の杖を作って奉った。
また、霊石は新たに石造りの宮を作り、月読命の従神として永遠に鎮祭した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-01 15:25:51 OBC :rm0214
愛善世界社版:71頁 八幡書店版:第1輯 183頁 修補版: 校定版:73頁 普及版:34頁 初版: ページ備考:
001 ここに田依彦(たよりひこ)002中裂彦(なかざきひこ)(うるは)しき庭園(ていえん)(つく)り、003稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(なぐさ)(たてまつ)らむとし、004ヨルダン(がは)上流(じやうりう)にあまたの神々(かみがみ)()きつれ、005千引(ちびき)(いは)をとり、006(ひろ)石庭(いしには)(つく)らむとした。007稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)はにはかに身体(しんたい)大痙攣(だいけいれん)(はつ)し、008劇烈(げきれつ)なる腹痛(ふくつう)(なや)まされたまうた。009諸神司(しよしん)(おどろ)(あつ)まりて、010あるひは(てん)(いの)り、011あるひは(くすり)(けん)じ、012百方(ひやつぱう)()(つく)せども、013(なん)(かう)をも(そう)せなかつた。014このとき小島別(こじまわけ)言霊別(ことたまわけの)(みこと)(まへ)()で、015(みこと)重病(ぢうびやう)(かか)(たま)ひし原因(げんいん)につきて神界(しんかい)奉伺(ほうし)裁断(さいだん)()ひ、016神示(しんじ)()むことを依頼(いらい)した。017言霊別(ことたまわけの)(みこと)(おほ)いに(おどろ)き、018ただちに神言(かみごと)奏上(そうじやう)神示(しんじ)()(たてまつ)つた。019天津(あまつ)(かみ)神示(しんじ)によれば、
020『ヨルダン(がは)上流(じやうりう)に、021水星(すゐせい)(せい)より()でたる長方形(ちやうはうけい)にして茶褐色(ちやかつしよく)()べる烏帽子(ゑぼし)(がた)霊石(れいせき)あり、022これを()りだし()(かへ)り、023(けが)れたる地上(ちじやう)奉置(はうち)し、024その(うへ)にあまたの岩石(がんせき)()みたり。025水星(すゐせい)(れい)(くる)しみにたへず、026これを諸神司(しよしん)()らさむがために稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(やまひ)(はつ)せしめ、027もつて警告(けいこく)せるなり。028すみやかに種々(しゆじゆ)巌岩(がんせき)()(のぞ)きて、029その霊石(れいせき)黄金水(わうごんすい)にて(あら)(きよ)め、030(みや)(つく)りてこれを鎮祭(ちんさい)せば、031(みこと)(やまひ)はたちまち恢復(くわいふく)せむ。032しかしてこれを()()したるは中裂彦(なかざきひこ)にして、033これを(けが)したるもまた同神司(どうしん)なり。034田依彦(たよりひこ)以下(いか)神司(かみがみ)(とも)に、035水星(すゐせい)(たた)りを()くべきはずなれども、036その責任(せきにん)主神(しゆしん)たる稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)()はせたまへるなり。037されば諸神司(しよしん)(つつし)みて水星(すゐせい)(かみ)陳謝(ちんしや)(うやうや)しくこれを(まつ)れ』
038との神示(しんじ)であつた。
039 小島別(こじまわけ)はこれを()きて(おほ)いに(おそ)(つつし)みてその(めい)のごとく取計(とりはか)らつた。040不思議(ふしぎ)なるかな稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)病苦(びやうく)は、041霊石(れいせき)(あら)(きよ)めて(うやうや)しく神殿(しんでん)(まつ)るとともに(ぬぐ)ふがごとく()えたのである。
042 ヨルダン(がは)上流(じやうりう)に、043この水星(すゐせい)(せい)なる烏帽子(えぼし)(がた)霊石(れいせき)ありしため、044(かは)(ひろ)(みづ)(ふか)く、045清鮮(せいせん)(いづみ)ゆるやかに(なが)れて、046あたかも水晶(すゐしやう)(ごと)くなりしを、047この霊石(れいせき)()()してより、048山上(さんじやう)よりは土砂(どしや)(なが)(かは)(うづ)め、049濁水(だくすゐ)(なが)れと変化(へんくわ)してしまつた。050そして中裂彦(なかさきひこ)はここに(こころ)(くる)ひてヨルダン(がは)()(とう)じ、051その(れい)悪蛇(あくじや)(へん)じ、052(なが)れて死海(しかい)()り、053(へん)じて邪鬼(じやき)となつた。054水星(すゐせい)(せい)(まつ)りたる(みづ)(みや)は、055言霊別(ことたまわけの)(みこと)(とく)斎主(さいしゆ)として日夜(にちや)奉仕(ほうし)さるることとなつた。
056 (いち)()霊石(れいせき)(まつ)りて恢復(くわいふく)(たま)ひし稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)は、057その()健康(けんかう)(すぐ)れたまはず、058時々(ときどき)病床(びやうしやう)()したまふことがあつた。059(ここ)常世姫(とこよひめ)信書(しんしよ)(したた)め、060熊鷹(くまたか)(あし)(むす)びこれを(はな)ち、061真道知彦(まみちしるひこ)何事(なにごと)かを報告(はうこく)した。062真道知彦(まみちしるひこ)稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)長男(ちやうなん)であつた。063この信書(しんしよ)()てたちまち顔色(かほいろ)(へん)じ、064怒髪(どはつ)(てん)()竜宮城(りゆうぐうじやう)参入(さんにふ)し、065神国別(かみくにわけの)(みこと)066花森彦(はなもりひこ)067真鉄彦(まがねひこ)068小島別(こじまわけ)その()神司(かみがみ)(あつ)めて、069何事(なにごと)凝議(ぎようぎ)したのである。070そしてその結果(けつくわ)は、071稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)進言(しんげん)された。072稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)はこれを()きて(おほ)いに(いか)り、073言霊別(ことたまわけの)(みこと)にむかひ、
074(なんぢ)水星(すゐせい)霊石(れいせき)(まつ)りもつて(われ)(くる)しめ、075(ある)ひは呪咀(じゆそ)し、076つひに()つて(かは)らむとの野心(やしん)ありと()く、077(じつ)(なんぢ)心情(しんじやう)(うたが)ふにあまりあり。078もし(なんぢ)にして誠意(せいい)あり、079()(うたが)ひを()らさむとせば、080すみやかに水星(すゐせい)(みや)(こぼ)ち、081その神体(しんたい)なる霊石(れいせき)大地(だいち)(なげう)ち、082これを(くだ)きて誠意(せいい)(しめ)せ』
083(きび)しく(せま)られたのである。084あまたの従神(じゆうしん)(あつ)まり(きた)りて、085異口(いく)同音(どうおん)(みや)(こぼ)ちて、086神体(しんたい)()(くだ)けと(せま)るのであつた。
087 言霊別(ことたまわけの)(みこと)衆寡(しうくわ)(てき)せず、088(なみだ)()んで(てん)(うつた)へ、089霊石(れいせき)(しや)し、090(うやうや)しく頭上(づじやう)奉戴(ほうたい)し、091ついで(うるは)しき芝生(しばふ)(うへ)()げつけた。092敬神(けいしん)(あつ)言霊別(ことたまわけの)(みこと)は、093このとき熱鉄(ねつてつ)()心地(ここち)をせられたであらう。094たちまち霊石(れいせき)より旋風(せんぷう)()きおこり、095その風玉(かざたま)高殿(たかどの)()てる稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)にあたり、096高楼(かうろう)より地上(ちじやう)()()ばされ、097腰骨(えうこつ)(くじ)身体(しんたい)自由(じいう)(うしな)ひ、098非常(ひじやう)苦悶(くもん)したまうた。099諸神司(しよしん)(むら)がりきたりて(みこと)介抱(かいはう)し、100奥殿(おくでん)(かつ)()れ、101心力(しんりよく)をつくして看護(かんご)余念(よねん)なかつた。102稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(ひさ)しうしてやや恢復(くわいふく)され、103神務(しんむ)差支(さしつかへ)なきにいたられた。104されど(つひ)不具(ふぐ)となり、105歩行(ほかう)苦痛(くつう)(かん)じたまふに()ちいたつた。
106 言霊別(ことたまわけの)(みこと)庭園(ていえん)八重梅(やへうめ)(えだ)()り、107(おん)(つゑ)(つく)りてこれを(たてまつ)つた。108これが老衰者(らうすゐしや)(つゑ)(もち)ふる濫觴(らんしやう)である。109ここに言霊別(ことたまわけの)(みこと)神威(しんゐ)(おそ)千引(ちびき)(いはほ)()り、110うるはしき石造(いしづくり)(みや)(つく)り、111月読(つきよみの)(みこと)従神(じゆうしん)として112永遠(ゑいゑん)鎮祭(ちんさい)()かれた。戦前の二版・愛世版では「月読命の従神として永遠に鎮祭し置かれた」だが、校定版・八幡版では「月読命の従神として、霊石を永遠に鎮祭し置かれた」になっている。意味が通じるようにするため「霊石を」を挿入したのではないかと考えられる。
113大正一〇・一〇・三〇 旧九・三〇 加藤明子録)
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