霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 (にはか)狂言(きやうげん)〔八三一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻 篇:第2篇 石心放告 よみ(新仮名遣い):せきしんほうこく
章:第9章 俄狂言 よみ(新仮名遣い):にわかきょうげん 通し章番号:831
口述日:1922(大正11)年08月12日(旧06月20日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国玉依別は、高姫が人事不省に陥ったので、人を呼んで懸橋御殿に運び、玉竜姫と共に何くれと介抱をなした。高姫はようやく正気に復した。
常彦と春彦は高姫に、鏡の池の神様に楯突いて人事不省になったのを、懸橋御殿の奉仕者たちが助けてくれたのだと説明し、神様に反抗しないようにと、また国玉依別と玉竜姫にお礼を言うようにと諭した。
しかし高姫は自分を助けてくれた人たちの前で、理屈をこねて自分が窮地に陥ったことを否定し、いかに日の出神の生き宮が偉大であるかを吹聴した。常彦と春彦はあきれてしまい、国玉依別らに、高姫はのぼせているから気にしないようにと説明した。
高姫は国玉依別に玉を渡すように居丈高に要求した。一同は呆れてしまい、ただ高姫の顔を打ち眺めている。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-12-26 22:27:16 OBC :rm2909
愛善世界社版:134頁 八幡書店版:第5輯 514頁 修補版: 校定版:135頁 普及版:62頁 初版: ページ備考:
001(かみ)(おもて)(あら)はれて
002(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
003(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
004(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
005(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
006直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
007(あやま)ちあれば()(なほ)
008三五教(あななひけう)(かみ)(みち)
009(かみ)(めぐみ)大八洲(おほやしま)
010(ひこの)(みこと)(また)御名(みな)
011月照彦(つきてるひこ)神霊(しんれい)
012随時(ずいじ)随所(ずいしよ)(あら)はれて
013三五教(あななひけう)神司(かむづかさ)
014信徒(まめひと)(たち)()ふも(さら)
015四方(よも)民草(たみくさ)(ことごと)
016(めぐみ)(つゆ)にうるほひつ
017(こころ)(くも)()(はら)
018()(わた)りたる大空(おほぞら)
019(あめ)御柱(みはしら)つき(かた)
020()(きよ)めたる村肝(むらきも)
021(こころ)(つち)惟神(かむながら)
022(くに)御柱(みはしら)つき(かた)
023千代(ちよ)八千代(やちよ)神人(しんじん)
024身魂(みたま)永遠(とは)(たす)けむと
025(あら)はれますぞ(たふと)けれ。
026(すめ)大神(おほかみ)御恵(みめぐ)みも
027アリナの(たき)上流(じやうりう)
028(まこと)(うつ)鏡池(かがみいけ)
029堅磐(かきは)常磐(ときは)岩窟(がんくつ)
030(かみ)御言(みこと)(かうむ)りて
031(よる)なきヒルの(かみ)(くに)
032テーナの(さと)酋長(しうちやう)
033(まこと)アールやアルナ(ひめ)
034桃上彦(ももがみひこ)(むかし)より
035三五教(あななひけう)御教(みをしへ)
036(いま)(つた)へて(ほう)じたる
037(たふと)血筋(ちすぢ)酋長(しうちやう)
038(いへ)(たから)大切(たいせつ)
039(おや)(だい)より(まも)()
040黄金(こがね)(たま)取出(とりいだ)
041(かがみ)(いけ)(をさ)めむと
042数多(あまた)里人(さとびと)引率(いんそつ)
043(とほ)山坂(やまさか)打渉(うちわた)
044(こころ)(きよ)白旗(しらはた)
045玉献上(たまけんじやう)()(しる)
046(うづ)御輿(みこし)新造(しんざう)
047黄金(こがね)(たま)(をさ)めつつ
048縦笛(たてぶえ)横笛(よこぶえ)()()らし
049天然(てんねん)自然(しぜん)(いし)(かね)
050磬盤(けいばん)法螺貝(ほらがひ)()らし()
051(たに)()()(かは)(わた)
052山鳥(やまどり)()のしだり()
053長々(ながなが)しくもヒルの(くに)
054テルの(くに)をば跋渉(ばつせう)
055(やうや)此処(ここ)安着(あんちやく)
056鷹依姫(たかよりひめ)竜国別(たつくにわけ)
057(かみ)(つかさ)()(まへ)
058(うやうや)しくも(ささ)げつつ
059(まこと)(うそ)()らね(ども)
060鷹依姫(たかよりひめ)神懸(かむがか)
061(あふ)せの(まま)(かしこ)みて
062正直(しやうぢき)一途(いちづ)酋長(しうちやう)
063国玉依別(くにたまよりわけ)玉竜姫(たまたつひめ)
064(かみ)(みこと)夫婦(ふうふ)(づれ)
065御名(みな)(たま)はり千丈(せんぢやう)
066(たき)(ふもと)御禊(みそぎ)して
067一日(ひとひ)一夜(ひとよ)()かしつつ
068アリナの(たき)(あと)にして
069(かがみ)(いけ)()()れば
070(あに)(はか)らむや鷹依姫(たかよりひめ)
071(かみ)(みこと)(はじ)めとし
072三人(みたり)(つかさ)(くも)()
073行方(ゆくへ)白木(しらき)玉筥(たまばこ)
074種々(いろいろ)様々(さまざま)(かみ)(むね)
075()きしるしたる(うれ)しさに
076アール、アルナの両人(りやうにん)
077(くさ)(いほり)永久(とこしへ)
078住家(すみか)(さだ)(いけ)()
079(あさ)(ゆふ)なに神言(かみごと)
080(こゑ)(たか)らかに()りつつも
081四方(よも)(くに)より(まう)()
082善男(ぜんなん)善女(ぜんぢよ)三五(あななひ)
083(まこと)(みち)(みちび)きつ
084(かみ)御稜威(みいづ)()(つき)
085(かがや)(わた)()()るる
086(ところ)なき(まで)諸人(もろびと)
087姿(すがた)(うづ)まる(たに)(そこ)
088是非(ぜひ)なく(ここ)信徒(まめひと)
089大峡(おほがひ)小峡(こがひ)()()りて
090(やま)(やま)とに()(わた)
091八尋(やひろ)殿(との)(きづ)きあげ
092黄金(こがね)(たま)奉斎(ほうさい)
093国玉依別(くにたまよりわけ)玉竜姫(たまたつひめ)
094(かみ)(つかさ)(いさ)()
095懸橋(かけはし)御殿(ごてん)(あら)はれて
096(をしへ)(ひら)折柄(をりから)
097(たま)(こころ)()られたる
098三五教(あななひけう)高姫(たかひめ)
099自転倒(おのころ)(じま)(あと)にして
100太平洋(たいへいやう)打渡(うちわた)
101テルの(みなと)安着(あんちやく)
102常彦(つねひこ)春彦(はるひこ)(ともな)ひて
103金剛(こんがう)不壊(ふゑ)如意(によい)宝珠(ほつしゆ)
104(その)()(たま)所在(ありか)をば
105アリナの(たき)目当(めあて)とし
106(あら)はれ(きた)村肝(むらきも)
107(こころ)善悪(よしあし)(うつ)すてふ
108(かがみ)(いけ)(まへ)()
109(あひ)(かは)らぬ()らず(ぐち)
110傍若(ばうじやく)無人(ぶじん)(ののし)れば
111数千(すうせん)(ねん)沈黙(ちんもく)
112(やぶ)つて()りだす(いけ)(おも)
113ブクブクブクと(あわ)だして
114ウンウンウンと(うな)(ごゑ)
115月照彦(つきてるひこ)神霊(しんれい)
116名乗(なの)らせ(たま)ひて五十韻(ごじふゐん)
117(うづ)言霊(ことたま)(なら)べつつ
118高姫(たかひめ)一同(いちどう)訓戒(くんかい)
119身魂(みたま)(すく)(たす)けむと
120(はか)(たま)ひし(たふと)さよ
121自負心(じふしん)(つよ)高姫(たかひめ)
122()つて(うま)れた能弁(のうべん)
123(まけ)(おと)らず五十韻(ごじふゐん)
124アオウエイよりワヲウヱヰ
125(ただ)一言(ひとこと)()らさずに
126一々(いちいち)(かみ)口答(くちごた)
127月照彦(つきてるひこ)とは(いつは)りぞ
128ドン(かめ)(すつぽん)蟹神(かにがみ)
129(あたま)ごなしにけなしつつ
130言葉(ことば)(ほこ)常彦(つねひこ)
131春彦(はるひこ)(うへ)相転(あひてん)
132生宮(いきみや)気取(きど)りで諄々(じゆんじゆん)
133脱線(だつせん)だらけの託宣(たくせん)
134まくし()つれば池中(いけなか)
135(こゑ)益々(ますます)(たか)くなり
136大地(だいち)震動(しんどう)(おそ)ろしく
137流石(さすが)頑固(ぐわんこ)高姫(たかひめ)
138(いろ)(あを)ざめて慴伏(せふふく)
139()をかみしめて黒血(くろち)をば
140()きつつ(ここ)平伏(へいふく)
141次第(しだい)々々(しだい)(いき)()
142(ほそ)りて(つひ)(たま)()
143生命(いのち)(いと)(ほそ)()く。
144あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
145善悪(ぜんあく)邪正(じやせい)(あきら)かに
146(こころ)(うつ)鏡池(かがみいけ)
147(そこ)ひも()れぬ神界(しんかい)
148(ふか)(こころ)(たふ)とけれ
149あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
150御霊(みたま)(さち)はひましませよ。
151 懸橋(かけはし)御殿(ごてん)神前(しんぜん)(あさ)(ゆふ)なに奉仕(ほうし)する三五教(あななひけう)神司(かむづかさ)152テーナの(さと)酋長(しうちやう)アール、153アルナの夫婦(ふうふ)は、154月照彦(つきてるひこの)(かみ)より、155国玉依別(くにたまよりわけの)(みこと)156玉竜姫(たまたつひめの)(みこと)()(たま)ひ、157(あさ)(ゆふ)なに真心(まごころ)()めて、158(をしへ)(つた)へつつありしが、159(ここ)三五教(あななひけう)高姫(たかひめ)(かがみ)(いけ)(あら)はれて、160(うづたか)(そな)(まつ)れる諸々(もろもろ)(たま)持帰(もちかへ)らむとするを、161(かがみ)(いけ)(およ)狭依彦(さよりひこ)(みや)(つか)へたる(くに)(たま)との神主(かむぬし)(おどろ)いて、162懸橋(かけはし)御殿(ごてん)急報(きふはう)し、163教主(けうしゆ)夫婦(ふうふ)諸共(もろとも)(この)()(あら)はれ、164高姫(たかひめ)一行(いつかう)(むか)ひ、165来意(らいい)(たづ)ぬる(をり)しも、166傲慢(ごうまん)不遜(ふそん)高姫(たかひめ)は、167(かがみ)(いけ)神霊(しんれい)威力(ゐりよく)()たれて打倒(うちたふ)れ、168(ほとん)人事(じんじ)不省(ふせい)となりければ、169(くに)170(たま)171(たつ)172(わけ)などの神司(かむづかさ)(とも)に、173常彦(つねひこ)174春彦(はるひこ)(ともな)ひ、175懸橋(かけはし)御殿(ごてん)(かつ)()れ、176(みづ)(くすり)よと介抱(かいほう)をなし、177天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、178(ひと)(ふた)()()(いつ)(むゆ)(なな)()(ここの)(たり)神示(しんじ)反魂歌(はんこんか)奏上(そうじやう)し、179(やうや)くにして高姫(たかひめ)正気(しやうき)(かへ)り、180(やや)安心(あんしん)(むね)()()ろしたり。
181(ちなみ)()ふ。182アール、183アルナの夫婦(ふうふ)(その)(じつ)184鷹依姫(たかよりひめ)185竜国別(たつくにわけ)故意(こい)(もつ)て、186月照彦(つきてるひこ)神示(しんじ)(いつは)り、187国玉依別(くにたまよりわけ)188玉竜姫(たまたつひめ)()(あた)へたれ(ども)189やはり惟神(かむながら)摂理(せつり)()つて(かみ)より(かく)(ごと)(おこな)はしめられたるものにして、190(けつ)して鷹依姫(たかよりひめ)191竜国別(たつくにわけ)悪戯(いたづら)にあらず、192(まつた)神意(しんい)()りて、193両人(りやうにん)夫婦(ふうふ)神命(しんめい)校定版・八幡版では「神名」に直している。(あた)へた(こと)と、194神界(しんかい)より()れば(たし)かになつて()るのである。
195 高姫(たかひめ)はキヨロキヨロと四辺(あたり)()まはし、196()()かをれる(あたら)しき殿内(でんない)吾身(わがみ)のある(こと)(いぶ)かり、197(くび)(しき)りに()(なが)ら、198元来(ぐわんらい)負惜(まけをし)(つよ)性質(せいしつ)とて……ここは何処(いづこ)ぞ……と()(たづ)ぬる(こと)(はぢ)(やう)(おも)ひ、199(しき)りに(かんが)()んで()る。200常彦(つねひこ)201春彦(はるひこ)高姫(たかひめ)左右(さゆう)()()ひ、
202常彦、春彦『モシ高姫(たかひめ)さま、203()()きましたか。204(あま)貴女(あなた)自我(じが)立通(たてとほ)しなさるものだから、205とうとう(いけ)(かみ)(さま)(いまし)められ、206人事(じんじ)不省(ふせい)(おちい)り、207(ほとん)(いき)()()えむとする(ところ)208()親切(しんせつ)にも、209(この)御殿(ごてん)主人(あるじ)210国玉依別(くにたまよりわけ)(さま)211玉竜姫(たまたつひめ)(さま)()介抱(かいほう)()祈念(きねん)()り、212生命(いのち)(たす)けてお(もら)ひなされたのですから、213サア(はや)(かみ)(さま)と、214二人(ふたり)()(れい)(まを)しなさいませ』
215高姫(たかひめ)(わたし)がいつ……人事(じんじ)不省(ふせい)などと、216(けが)らはしい、217()にかけました。218そんな屁泥(へどろ)高姫(たかひめ)ぢや御座(ござ)いませぬぞえ。219(まへ)神界(しんかい)(こと)(わか)らぬから、220()出神(でのかみ)生宮(いきみや)が、221(いけ)(そこ)(かみ)正体(しやうたい)審神(さには)する(ため)222(にく)(みや)一寸(ちよつと)立出(たちい)で、223幽界(いうかい)探険(たんけん)()()つたのですよ。224それだから、225(こころ)(めくら)()ふのですよ。226ヘン……阿呆(あはう)らしい。227(かみ)生宮(いきみや)万劫(まんがふ)末代(まつだい)()(とほ)し、228アタ(けが)らはしい、229人事(じんじ)不省(ふせい)(おちい)つたなどと、230(まへ)()(おな)じように人間(にんげん)(あつか)ひをして(もら)ふと、231チツと(こま)りますぞえ。232コレコレお(まへ)国依別(くによりわけ)233玉治別(たまはるわけ)234竜国別(たつくにわけ)()つたぢやないか。235何時(いつ)()にやらこんな(ところ)(さきがけ)してやつて()て、236世間(せけん)をごまかさうと(おも)つて、237(くに)(たま)とが(ひと)つになつて国玉依別(くにたまよりわけ)だとか、238玉竜姫(たまたつひめ)だのと、239そんなカラクリをしたつて駄目(だめ)です。240キツとそんな名前(なまへ)がついてる以上(いじやう)は、241(この)(やかた)(くに)242(たま)243(たつ)宣伝使(せんでんし)(ひそ)んでるに(ちがひ)ない。244(また)言依別(ことよりわけ)(かく)れて()るだらう。245モウ()うなつたら百年目(ひやくねんめ)だ。246サア(をんな)一心(いつしん)(いは)でも(とほ)す。247金剛(こんがう)不壊(ふゑ)如意(によい)宝珠(ほつしゆ)(その)()神宝(しんぱう)(あらた)めて、248自転倒(おのころ)(じま)聖地(せいち)()つて(かへ)らねばおきませぬぞえ。249コレコレ国玉依別(くにたまよりわけ)とやら、250(まへ)(くに)(たま)(たつ)の、251(かげ)から(いと)()(あやつ)人形(にんぎやう)だらう。252そんなこたア、253チヤンと、254(この)高姫(たかひめ)(くろ)()(にら)んだら一分(いちぶ)一厘(いちりん)間違(まちが)ひはありませぬぞや。255ここに三五教(あななひけう)神館(かむやかた)を、256(まへ)さま()()つて(たか)つて()てたやうに(おも)つて()るが、257国治立(くにはるたちの)(みこと)()指図(さしづ)で、258()出神(でのかみ)片腕(かたうで)となり、259竜宮(りうぐう)さまの()手伝(てつだひ)ひで出来上(できあが)つたのですよ。260()出神(でのかみ)生宮(いきみや)だからチヤンと(わか)つてる。261ここの神司(かむづかさ)はそれが(わか)つて()ますかな』
262常彦(つねひこ)『ナント徹底(てつてい)(てき)にどしぶとい(ばば)だなア、263これ(だけ)世話(せわ)になつておき(なが)らヨーモ ヨーモ、264こんな(にく)たれ(ぐち)(たた)けたものだ。265(のう)春彦(はるひこ)266(あな)でもあつたらモグリ()みたいやうな()がするぢやないか』
267春彦(はるひこ)()いた(くち)がすぼまりませぬワイ』
268()つた()り、269(あま)りの(こと)(あき)()ててポカンとしてゐる。
270常彦(つねひこ)『イヤもうし、271国玉依別(くにたまよりわけ)()夫婦(ふうふ)(さま)272かくの(とほ)りの没分暁漢(わからずや)御座(ござ)いますから、273自転倒(おのころ)(じま)聖地(せいち)(おい)ても、274(みな)(もの)腫物(はれもの)にさはるやうに取扱(とりあつか)つて()るので御座(ござ)います。275吾々(われわれ)だつてこんな腫物(はれもの)()いて()たい(こと)御座(ござ)いませぬが、276気違(きちがひ)一人(ひとり)おつ(ぱな)しておきますと、277どんな(こと)(いた)すやら(わか)りませぬ。278(とら)()(はな)つやうな危険(きけん)御座(ござ)いますから、279吾々(われわれ)両人(りやうにん)世界(せかい)(ため)犠牲(ぎせい)となつて、280精神(せいしん)病者(びやうしや)看護人(かんごにん)(つも)りで、281はるばるとやつて(まゐ)りました。282(いづ)癲狂院(てんきやうゐん)代物(しろもの)ですから、283(かなら)(かなら)()(こころ)にさえて(くだ)さいますな。284何卒(なにとぞ)神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)(くだ)さいまして、285高姫(たかひめ)無礼(ぶれい)をお(ゆる)(くだ)さいませ』
286()(どく)さうに()()てる。287国玉依別(くにたまよりわけ)は、
288国玉依別(じつ)にお()(どく)ですなア。289(けつ)して(けつ)して()にはかけて()りませぬ。290あなた(がた)こそ、291本当(ほんたう)()苦労(くらう)(さつ)(まを)します』
292高姫(たかひめ)『コレ(つね)293天教山(てんけうざん)より()れませる()出神(でのかみ)生宮(いきみや)を、294天教山(てんけうざん)代物(しろもの)とは(なん)だい。295(あんま)無礼(ぶれい)ぢやないか。296()(なほ)しなさい』
297常彦(つねひこ)癲狂院(てんきやうゐん)()れませる、298鼻高姫(はなたかひめの)(みこと)か、299天教山(てんけうざん)(あら)はれませる()花姫(はなひめの)(かみ)のお使(つかい)300()出神(でのかみ)生宮(いきみや)(さま)か、301(ただし)二世(にせ)三代(さんだい)か、302(をとこ)(をんな)か、303凡夫(ぼんぷ)吾々(われわれ)にはテンと判断(はんだん)()きませぬワイ。304アハヽヽヽ』
305高姫(たかひめ)『アヽさうだらうさうだらう。306テンと判断(はんだん)がつかぬと()ふのは道理(だうり)ぢや。307(いつは)らざるお(まへ)告白(こくはく)だ。308(この)()出神(でのかみ)正体(しやうたい)が、309(まへ)(たち)(わか)るやうな(こと)なら、310(この)高姫(たかひめ)万里(ばんり)(なみ)()えて、311こんな(ところ)(まで)()(いた)しませぬわいな。312(まへ)のやうな没分暁漢(わからずや)世界(せかい)にウヨウヨして()るから、313実地(じつち)(おこな)ひを()せて改心(かいしん)させる(ため)(かみ)御用(ごよう)()()るのだぞえ。314サアこれから肝腎要(かんじんかなめ)言依別(ことよりわけ)(ぬす)()した宝玉(ほうぎよく)受取(うけと)つて(かへ)りませう。315(まへ)もここ(まで)()いて()たのだから、316(たま)のお(とも)(くらい)はさしてあげるぞえ。317有難(ありがた)(おも)ひなさい。318……コレコレ(ここ)宮番(みやばん)夫婦(ふうふ)319(はや)(たま)(わた)手続(てつづき)一刻(いつこく)(はや)くしなされや。320グヅグヅしてゐなさると、321神界(しんかい)規則(きそく)(てら)し、322()(くに)(そこ)(くに)制敗(せいばい)()はさねばなりませぬぞえ』
323 国玉依別(くにたまよりわけ)(やぶ)から(ぼう)高姫(たかひめ)言葉(ことば)(なに)(なに)やら合点(がつてん)()かず、
324国玉依別『ヘー』
325()つたきり、326(あな)のあく(ほど)327高姫(たかひめ)(かほ)(うち)(まも)つて()る。328(くに)329(たま)330(たつ)331(わけ)332(より)幹部(かんぶ)(はじ)め、333常彦(つねひこ)334春彦(はるひこ)(まで)高姫(たかひめ)(かほ)をジツと打眺(うちなが)(した)()()たりける。
335大正一一・八・一二 旧六・二〇 松村真澄録)
336(昭和一〇・六・八 王仁校正)
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