第一九章 生霊の頼〔八四一〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
篇:第4篇 海から山へ
よみ(新仮名遣い):うみからやまへ
章:第19章 生霊の頼
よみ(新仮名遣い):いきりょうのたのみ
通し章番号:841
口述日:1922(大正11)年08月13日(旧06月21日)
口述場所:
筆録者:松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:1923(大正12)年9月3日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:高姫は背負ってきた石像を下ろし、一行は滝に禊をなした。禊が終わると、石像の前に端座して幽斎の修行に入った。マールを神主とし、高姫が審神者になった。
マールは身体振動して飛び上がり、口を切った。そして鷹依姫だと名乗ると、これまで鷹依姫が玉を求めて世界をさまよった有様を語りだした。アリナの滝での所業から、櫟ケ原で改心した経緯を語り、石像を彫ってアルゼンチンの原野を渡って船に乗り、海中に落ちて神亀に助けられてゼムに上陸した有様をひととおり明かした。
そして、現在はアマゾン河を遡って玉の森に到達したが、そこで一行迷い苦しんでいる様を語り、高姫たちに助けを求めた。これより高姫はマールとボールに別れを告げ、鷹依姫らを救出するために向かったのであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
タグ:ハンドの滝(大瀑布、白滝)
データ凡例:
データ最終更新日:2022-01-07 20:09:50
OBC :rm2919
愛善世界社版:271頁
八幡書店版:第5輯 564頁
修補版:
校定版:281頁
普及版:123頁
初版:
ページ備考:
001 名に負ふ大瀑布の前に一行六人は、002霧雨を冒して進み寄り、003高姫は背の石像をおろし、004滝の傍に木の葉や笹で箒を拵へ、005掃き清め、006滝壺に曬された小砂利を各自に手にすくひ、007其跡に布き並べ、008石像を安置して、009あたりの木の実をむしり、010之れを供へ、011且つ槲の枝を玉串として、012一々供へ、013天津祝詞を奏上し終つて、014滝壺に身を躍らせ、015禊を修した。016禊の業も漸く終り、017再び石像の前に端坐して、018幽斎の修業に差かかつた。
019 マールの依頼によつて、020彼を神主となし、021美はしき小砂の上に坐せしめ、022高姫は自ら審神者の役を奉仕した。
025天祥山より落ちかかる 026幾千丈の白滝に
027高姫一行六人は 028心を清め身を浄め
029禊払へば清涼の
031常世の春の梅の花 032四辺に薫る心地して
033幽斎修業を始めける 034高姫司を審神者とし
037行事に仕へ奉りける。
039両手を組んだ其儘に
041両手を上げ下げなし乍ら
043獅子狼か野天狗か 044金毛九尾か曲鬼か
045但野狐野狸か 046姿勢の悪い神憑り
048団栗眼を剥き乍ら
049歯並の悪い口あけて
053此有様に常彦は
056言向け和し神界の
058高姫司の側に立ち
059双手を組んで鎮魂の 060姿勢を執りつつ神主の
061体に向つて霊かける 062漸う漸うマールは鎮静し
064口をへの字に相結び
065口を切らむと焦せれ共 066容易に出でぬ言霊に
069神の教の宣伝使
076黄金の玉を紛失し
080綾の聖地を後にして
082玉の在処を探らむと
084高山彦の夫婦連れ
087鷹依姫は三人の 088神の司と諸共に
090秘密の島に打渡り
091黄金の玉を探らむと
095蛸取村に安着し 096昔の昔の其昔
097日の出神に従ひて
100狭依の彦の旧蹟地
106携へ乍ら忍び入り
107月照彦と瞞着し
111竹筒通して作り声
115福徳寿命が欲しければ
117必ず広き神徳を
119言触れ神を遣はして
121花咲き匂ふハルの国 122出で行く足もカルの国
123宇都の国まで跋渉し
125大事の玉を供へたら 126キツと御神徳が有るぞやと
129数多の玉は集り来り 130眼光らし一々に
132黄金の玉は現はれぬ
135肝腎要の黄金の
138ブツブツ小言を称へ出す
140二人を宥めて待て暫し
143肝腎要の瑞宝は
147木の間にひらめく白旗に
150大勢の人数に送られて
151御輿をかつぎ登り来る
154岩窟内に忍び込み
155様子如何にと窺へば
157玉の御輿をかつぎ込み 158池の畔の石の上に
161私が宅の重宝で 162先祖代々伝はりし
163黄金の玉を神様に 164献らむと夫婦連れ
167神主様よ一時も 168早く検め宝玉を
170御供へなさつて下されと
172テー、カー二人は宝玉を
173入れたる筥を手に捧げ
175心は空に足許は
178鏡の池に墜落し
183折よく飛んで来た故に
186思はず外に飛び出せば
187竜国別は肝潰し
189今出られては仕様がない
191肝腎要の性念場
195正直一途の酋長は
197姫の姿を生神と 198一も二もなく信頼し
199玉を渡して呉れた故
201対して誠に済まないが 202生神様の気取りにて
203酋長夫婦に打向ひ 204お前の身魂は清けれど
206一日一夜滝水に
207体を浄めて来るがよい
210瑪瑙の玉を取出し
212悪い事とは知り乍ら
213三千世界の人々を 214助ける為の御神宝
216小々々々小瑾を
219黄金の玉を引掴み 220錦の袋に納めつつ
224一夜を明かし待つ中に
225レコード破りの風が吹き
227中空高く舞ひ上り
230唸りを立てて落来り
231人事不省の為態
233竜国別も木の下に 234進み寄るよと見る中に
237鷹依姫は唯一人 238三人の男の介抱を
239致せば漸く息を吹く
242蜈蚣や蛇の厭らしき
243影消ゆる迄根比べ 244自然に玉の落つる迄
245待つて居ろかと言ひ乍ら 246草の庵に立入りて
247一夜を明かす折柄に
249妖怪変化と驚いて 250三人の男は泡を吹き
251慄ひ居るこそ可笑しけれ
253怪しき声に打向ひ 254談判すれば此は如何に
258鷹依姫も我を折つて
259生れ赤児と成り変り 260罪亡ぼしに四方の国
262櫟ケ原の草を分け
264玉の湖水の傍に
265繁れる椰子樹の雨宿り 266神に任せし此体
267何時か如何なる災の
269記念の為に一行の
274四人は此処に船に乗り
275北へ北へと進む折 276吾れは誤り海中に
279竜国別は吾母の 280危難を救ひ助けむと
281身を躍らして飛込みぬ 282続いてテー、カー両人も
283吾等親子を助けむと
286琴平別の亀の背に
287四人は無事に助けられ
290茲に四人は天祥の
294二人の男が怪獣に
296天津祝詞を奏上し
297危き所を救ひやり
300船を造りて真帆をあげ
302広袤千里の玉の森
304力に言向け和さむと
305四人はやうやう森の中 306探り探りて奥深く
307今は迷ひの最中ぞ
309一時も早く玉の森
312神業を助け玉へかし
314神の御霊の幸はひて
320マールは正気に復しけり。
321 これより高姫はマール、322ボールに暇を告げ、323天祥山の麓を巡り、324夜を日に継いでチンの湊に出で、325それより船を求めて鷹依姫の迷ひ苦む玉の森に四人を救ひ出すべく進み行く。326惟神霊幸倍坐世。
327(大正一一・八・一三 旧六・二一 松村真澄録)