霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第九章 鷹宮(たかみや)殿(どの)〔一三二四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第51巻 真善美愛 寅の巻 篇:第2篇 夢幻楼閣 よみ(新仮名遣い):むげんろうかく
章:第9章 鷹宮殿 よみ(新仮名遣い):たかみやどの 通し章番号:1324
口述日:1923(大正12)年01月26日(旧12月10日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月29日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高姫は妖幻坊を杢助だと固く信じていた。そして金剛不壊の如意宝珠の力によって、このような広大な楼閣ができたのだと思っている。
高姫は、これほど神力がある男であれば、他の美人に取られて自分がお払い箱になる可能性があると心配し、如意宝珠の玉を奪ってふたたび飲み込み、杢助の喉首を抑えてしまおうと思いながら妖幻坊についていく。
妖幻坊は高姫を大きな鏡の前に導いた。そこには十七八才の妙齢の美人が、立派な錦の衣服を着流して立っていた。高姫はその美人に嫉妬するが、妖幻坊は、これは如意宝珠の神力で若返らせた高姫自身の姿だと高姫に取り入った。
高姫は若いころの名前・高宮姫に改名し、妖幻坊は高宮彦と名乗ることになった。そして高姫に豪華な一室をあてがうと、後で腰元を付けると言い残して奥殿へ消えて行った。
妖魅は変相するときは非常に苦しいので、ときどき人に見られないところで体を休める必要があるのであった。高姫の居室と見えたのは、その実、浮木の森の大きな狸穴であった。妖幻坊は奥の楠の根元の大洞穴の中に身を隠し、寝てしまった。
妖幻坊は自分の眷属・幻相坊と幻魔坊を美しい少女に変装させて、高子・宮子として高姫の侍女としてあてがった。高姫は二人の美しさに嫉妬を覚えたが、高子と宮子が自分たちは如意宝珠の玉から生まれた火と水の霊だと説明し、人間ではないことがわかると機嫌を直した。
高姫は二人を呼び入れた。高子と宮子はぱっと室内に入って左右から高姫に飛びついた。高子は火のように熱く、宮子は水のように冷たかった。高姫は寒熱に苦しんで、たちまちその場に倒れてしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-05-24 12:18:25 OBC :rm5109
愛善世界社版:135頁 八幡書店版:第9輯 314頁 修補版: 校定版:138頁 普及版:63頁 初版: ページ備考:
001 高姫(たかひめ)妖幻坊(えうげんばう)何処(どこ)までも杢助(もくすけ)(かた)(しん)じてゐた。002(しか)して金剛(こんがう)不壊(ふゑ)如意(によい)宝珠(ほつしゆ)(ちから)()つて、003かかる広大(くわうだい)なる楼閣(ろうかく)出来(でき)たのだと(おも)つてゐる。
004高姫『ああ、005(わたし)秋山彦(あきやまひこ)(やかた)(はら)()んだ(とき)には、006これだけ威力(ゐりよく)のあるものとは(おも)はなかつた。007ヤツパリ(わたし)神力(しんりき)()らなかつたのだなア。008小人(せうじん)(たま)(いだ)いて(つみ)ありといふ(こと)(わたし)(こと)か、009(おな)(たま)でも杢助(もくすけ)さまがお使(つか)ひになると、010こんなに立派(りつぱ)(その)神力(しんりき)(あら)はれるのだ。011阿呆(あはう)(はさみ)使(つか)ひやうで()れるといふ(こと)がある。012使手(つかひて)がよければ阿呆(あはう)()()ふ、013竹光(たけみつ)(かたな)でも正宗(まさむね)(まさ)るものだ。014ヤア(わたし)もこれから改心(かいしん)をしませう……イヤ改悪(かいあく)をしませう。015杢助(もくすけ)さまに使(つか)はれる如意(によい)宝珠(ほつしゆ)仕合(しあは)せだなア。016(しか)しながら、017(これ)だけ自由(じいう)自在(じざい)神力(しんりき)()つてゐる(をとこ)だから、018天下(てんか)美人(びじん)(この)神力(しんりき)()たならば、019キツと()れるであらう。020さうなつた(とき)(とし)()つた(この)高姫(たかひめ)は、021折角(せつかく)結構(けつこう)楼閣(ろうかく)()みながら、022(はら)(ばこ)になつてはつまらない。023どうかして如意(によい)宝珠(ほつしゆ)杢助(もくすけ)さまの(すき)(うかが)つて(わが)(ふところ)()れるか、024(ただし)呑込(のみこ)んで(しま)つて、025まさかの(とき)権利(けんり)(にぎ)り、026杢助(もくすけ)さまの喉首(のどくび)(おさ)へ、027睾丸(きんたま)(にぎ)つておかねば、028(この)高姫(たかひめ)安全(あんぜん)生涯(しやうがい)(おく)(こと)出来(でき)ぬ。029オオさうだ さうだ、030それが上分別(じやうふんべつ)だ。031(かま)()(むか)ふに(にぎ)られて、032こつちが()れる(はう)(にぎ)つてるやうな(こと)では、033到底(たうてい)生存(せいぞん)競争(きやうそう)激甚(げきじん)なる()()つことは出来(でき)ない。034杢助(もくすけ)さまも(えら)(ひと)だ、035(しか)(また)(をんな)にかけてはズルイ(をとこ)だから、036これからあらむ(かぎ)りの()だしなみをして、037充分(じうぶん)(とろ)かしてやらねばならうまい』
038(かた)決心(けつしん)しながら、039杢助(もくすけ)(うしろ)()いて()く。040奥殿(おくでん)(ふか)(すす)んで()れば、041(きん)042(ぎん)043瑠璃(るり)044玻璃(はり)045硨磲(しやこ)046珊瑚珠(さんごじゆ)(など)にてちりばめられたる立派(りつぱ)宝座(ほうざ)がある。047妖幻坊(えうげんばう)高姫(たかひめ)(かへり)みて、
048妖幻坊の杢助『オイ(たか)さま、049杢助(もくすけ)腕前(うでまへ)(わか)つたかなア。050サア、051(これ)からお(まへ)(おれ)とが(この)宝座(ほうざ)に、052日々(にちにち)(のぼ)つて、053万民(ばんみん)政治(せいぢ)をするのだ、054どうだ、055(うれ)しうはないか』
056高姫『ハイ、057(あま)りの(こと)で、058あいた(くち)がすぼまりませぬ』
059()ひながら半信(はんしん)半疑(はんぎ)(ねん)()たれ、060宝座(ほうざ)(おさ)へて()たり、061(はしら)()して()たり、062足元(あしもと)()しや(くさ)ぼうぼうたる田圃(たんぼ)ではあるまいかと、063(さぐ)つてみたり、064いろいろ雑多(ざつた)調(しら)べてゐる。065けれども()うしても(うたが)余地(よち)がない。066高姫(たかひめ)はますます笑壺(ゑつぼ)()り、
067高姫(にはか)(わたし)出世(しゆつせ)したものだ、068三千(さんぜん)世界(せかい)高姫(たかひめ)(くらゐ)仕合(しあは)せな(もの)があらうか、069ヤツパリ義理(ぎり)天上(てんじやう)()出神(でのかみ)(さま)のお(かげ)だなア』
070小声(こごゑ)()つてゐる。071妖幻坊(えうげんばう)高姫(たかひめ)(せな)(ふた)(みつ)(たた)きながら、
072妖幻坊の杢助『オイ高姫(たかひめ)073どうだ、074(ちが)ひますかなア。075蜃気楼(しんきろう)(てき)城廓(じやうくわく)か、076(あるひ)現実(げんじつ)(てき)城廓(じやうくわく)か、077よくお調(しら)べなさい。078(これ)でも杢助(もくすけ)()(こと)(そむ)きますか』
079高姫『イヤ、080モウモウ感心(かんしん)(いた)しました。081何処(どこ)までも絶対(ぜつたい)服従(ふくじゆう)(いた)しませう』
082妖幻坊の杢助高姫(たかひめ)083(まへ)姿(すがた)一寸(ちよつと)()てみよ、084それそこに玻璃鏡(はりかがみ)(かか)つてゐる。085(その)(まへ)()つてみなさい』
086指示(ゆびさ)す。087高姫(たかひめ)玻璃鏡(はりかがみ)(まへ)(あら)はれると、088鏡面(きやうめん)には十七八(じふしちはつ)(さい)妙齢(めうれい)美人(びじん)089金襴(きんらん)綾錦(あやにしき)立派(りつぱ)衣服(いふく)着流(きなが)し、090(いろ)あくまで(しろ)く、091(かしら)七宝(しつぱう)纓絡(えいらく)()らした(かむり)(いただ)き、092(すそ)一丈(いちぢやう)(ばか)(うしろ)()らした美人(びじん)()つてゐる。093高姫(たかひめ)はハツと(おどろ)き、094(こころ)(うち)(おも)(やう)……ハハー、095杢助(もくすけ)さまは(はら)(わる)(をとこ)だなア。096こんな結構(けつこう)(やかた)()ち、097こんな美人(びじん)をかくまうておき、098(わたし)のやうな(ばば)を、099此処(ここ)()れて()て、100(はぢ)をかかし、101悋気(りんき)をささうと(たく)んでゐるのだらう。102エエ(くや)しい……と(かがみ)(うつ)つた天女(てんによ)のやうな美人(びじん)()つてかかる。103妖幻坊(えうげんばう)高姫(たかひめ)()をグツと(にぎ)り、
104妖幻坊の杢助『アハハハハ、105オイ(たか)ちやま、106あれはお(まへ)姿(すがた)だよ。107如意(によい)宝珠(ほつしゆ)神力(しんりき)によつて、108三十三(さんじふさん)(ねん)(ばか)(もと)(もど)したのだ。109(まへ)十八(じふはち)(とき)姿(すがた)(すなは)ちこれだ。110まだ十八(じふはち)(とき)は、111こんな立派(りつぱ)装束(しやうぞく)()てゐなかつたから別人(べつじん)のやうに()えるが、112これが正真(しやうまつ)高宮姫(たかみやひめ)時代(じだい)だ。113(この)杢助(もくすけ)はお(まへ)(しわ)のよつた現界(げんかい)(てき)肉体(にくたい)()れたのぢやない、114霊界(れいかい)()たお(まへ)()れたのだ。115随分(ずいぶん)綺麗(きれい)なものだらう。116それだから、117(たか)ちやまに杢助(もくすけ)(うつつ)をぬかすも無理(むり)ではあるまいがなア。118もしも(うたが)はしいと(おも)ふなら、119(まへ)()()けば()()く、120(くち)()くれば(くち)()く、121(まへ)姿(すがた)(その)(まま)だから、122(ひと)調(しら)べてみたら()うだ』
123高姫『イヤもう(うたがひ)余地(よち)はありませぬ。124(なん)立派(りつぱ)()(をんな)だこと、125われながら()とれますワ。126(これ)では高姫(たかひめ)といはずに高宮姫(たかみやひめ)(もと)()(かへ)りませうか』
127妖幻坊の杢助『ウンさうだ、128高宮姫(たかみやひめ)(はう)が、129余程(よほど)優雅(みやび)崇高(すうかう)で、130(なん)となく雲上(うんじやう)(ひと)のやうに(きこ)えて(ゆか)しいやうだ』
131高姫『それなら、132これから高宮姫(たかみやひめ)(あらた)めます。133何卒(どうぞ)杢助(もくすけ)さま、134(もと)()()んで(くだ)さいや』
135妖幻坊の杢助『ウンよしよし、136()いては(おれ)杢助(もくすけ)々々(もくすけ)()はれるのは、137(なん)だか毘舎(びしや)首陀(しゆだ)(やう)だ。138刹帝利(せつていり)(ひと)しき()をつけねばならうまい……ウン、139(まへ)高宮姫(たかみやひめ)(をつと)だから、140今日(けふ)から高宮彦(たかみやひこ)改名(かいめい)しよう』
141高姫『それなら高宮彦(たかみやひこ)(さま)142何卒(なにとぞ)天地(てんち)(ちか)つて、143どこどこまでも夫婦(ふうふ)だといふ(こと)(まも)つて(くだ)さいますなア』
144妖幻坊の杢助(てん)()つては比翼(ひよく)(とり)145()にあつては連理(れんり)(えだ)146(うめ)(うぐひす)147仮令(たとへ)幾万劫(いくまんがふ)(すゑ)までも、148(わす)れてくれな、149(わす)れはせぬぞや。150サアサア(これ)から其方(そなた)居間(ゐま)案内(あんない)(いた)さう』
151高姫『ハイ有難(ありがた)(ござ)います』
152妖幻坊(えうげんばう)()いて、153ピカピカ(ひか)瑪瑙(めなう)(いた)(もつ)(つく)られたる(なが)廊下(らうか)(わた)り、154金銀(きんぎん)(いろ)をなせる庭園(ていゑん)樹木(じゆもく)(なが)めながら、155えも()はれぬ(うる)はしき居間(ゐま)案内(あんない)された。156高姫(たかひめ)(すで)十八(じふはつ)(さい)娘気分(むすめきぶん)になつて()た。
157妖幻坊の杢助『サ、158これが奥様(おくさま)のお居間(ゐま)159随分(ずいぶん)整頓(せいとん)して()りませうがなア』
160高姫成程(なるほど)鏡台(きやうだい)から化粧(けしやう)道具(だうぐ)161絹夜具(きぬやぐ)から(きぬ)座布団(ざぶとん)162金銀(きんぎん)瑪瑙(めなう)火鉢(ひばち)163硨磲(しやこ)脇息(けふそく)164紫檀(したん)(つくゑ)165黒檀(こくたん)障子(しやうじ)(ほね)166玻璃(はり)(びん)167白檀(たがやさん)水屋(みづや)168(なに)から(なに)まで立派(りつぱ)(もの)(ござ)いますなア』
169妖幻坊の杢助『お(まへ)(この)城廓(じやうくわく)城主(じやうしゆ)奥様(おくさま)だ、170随分(ずいぶん)出世(しゆつせ)をしたものだらう。171(これ)から高宮彦(たかみやひこ)自分(じぶん)居間(ゐま)()つて休息(きうそく)するから、172其方(そなた)此処(ここ)で、173今日(けふ)一日(いちじつ)はゆつくりと(くつろ)いだがよからう』
174高姫(わたし)一緒(いつしよ)に、175なぜ()つて(くだ)さりませぬ。176何程(なにほど)立派(りつぱ)でも(たつた)一人(ひとり)こんな(ところ)におかれては、177たまらぬぢやありませぬか』
178妖幻坊の杢助『お(まへ)義理(ぎり)天上(てんじやう)さまで(ござ)るなり、179金毛(きんまう)九尾(きうび)(さま)(たぬき)180(おほかみ)181大蛇(をろち)182(がま)(その)(ほか)いろいろのお(きやく)さまも(ござ)るのだから、183(べつ)(さび)しい(こと)はなからうに……』
184高姫『ソリヤ()ります。185けれども、186(こゑ)がするばかりで、187チツトも(かたち)(あら)はしませぬから、188つまりませぬワ』
189妖幻坊の杢助『それなら、190二人(ふたり)(ほど)腰元(こしもと)を、191(あと)からつけるやうに取計(とりはか)らつてやる。192こんな立派(りつぱ)城内(じやうない)主人(あるじ)となつた(もの)は、193普通(ふつう)毘舎(びしや)首陀(しゆだ)のやうに、194一間(ひとま)同棲(どうせい)することは体面(たいめん)(じやう)出来(でき)るものでない。195いざ高宮姫(たかみやひめ)196ゆつくりなされ、197高宮彦(たかみやひこ)(わが)居間(ゐま)(はい)つて、198(しばら)休息(きうそく)(いた)す』
199()ひすてて、200ドアを(ひら)き、201悠々(いういう)として、202(おく)(おく)へと(すす)()る。
203 高宮姫(たかみやひめ)(こゑ)(かぎ)りに、
204高姫『モシ杢助(もくすけ)さま、205モウ一言(ひとこと)(たづ)(いた)したい(こと)(ござ)います。206(この)(しろ)(なん)()ひますか』
207 妖幻坊(えうげんばう)(あと)ふり()いて、
208妖幻坊の杢助『ここは(いま)まで鶏頭城(けいとうじやう)(まを)したが、209今日(けふ)より(あらた)めて高宮城(たかみやじやう)命名(めいめい)(いた)す』
210高姫『ハイ、211有難(ありがた)(ござ)いました。212高宮城(たかみやじやう)高宮彦(たかみやひこ)213高宮姫(たかみやひめ)214(なん)とゆかしい()(ござ)いますな、215ホホホホ』
216 妖幻坊(えうげんばう)は、
217妖幻坊の杢助左様(さやう)なら』
218()ひすて、219ドンドンと(おく)(はい)つた。
220 すべて妖魅(えうみ)変相(へんさう)する(とき)非常(ひじやう)(くる)しいものである。221それ(ゆゑ)時々(ときどき)(ひと)()られない(ところ)(からだ)(やす)める必要(ひつえう)がある。222高姫(たかひめ)(いま)(はい)つて()つた一間(ひとま)は、223(その)(じつ)浮木(うきき)(もり)()なり(おほ)きな狸穴(まみあな)であつた。224妖幻坊(えうげんばう)はモ(ひと)(おく)(くす)根元(ねもと)大洞穴(おほほらあな)(なか)()(かく)し、225他愛(たあい)もなく()(しま)つたのである。
226 妖幻坊(えうげんばう)には幻相坊(げんさうばう)227幻魔坊(げんまばう)といふ二人(ふたり)眷属(けんぞく)があつた。228(しか)して幻相坊(げんさうばう)()(じゆつ)をよく使(つか)ひ、229幻魔坊(げんまばう)(みづ)(じゆつ)使(つか)ふに(ちやう)じてゐた。230(また)妖幻坊(えうげんばう)幻術(げんじゆつ)(もつ)て、231(いち)()数百(すうひやく)数千(すうせん)軍人(ぐんじん)(あら)はしたり、232妙齢(めうれい)美人(びじん)(あら)はしたり、233(ある)(とき)老翁(らうをう)234(ある)(とき)老婆(らうば)(たちま)(あら)はして、235世人(せじん)(たばか)(こと)(たの)しみとしてゐた。236(しか)して妖幻坊(えうげんばう)日々(にちにち)(けだもの)(にく)()はなくては、237(からだ)がもえて仕方(しかた)がなかつた。238(また)時々(ときどき)人肉(じんにく)をも、239殊更(ことさら)(よろこ)んで()ふのである。
240 高姫(たかひめ)一人(ひとり)(うる)はしき座敷(ざしき)(あた)へられた(こと)非常(ひじやう)(よろこ)び、241()らず()らずに鼻唄(はなうた)さへ(うた)つてゐた。242そこへドアを(ひら)ひて、243(しと)やかに十四五(じふしご)(さい)(をんな)二人(ふたり)244白綸子(しろりんず)着物(きもの)紫縮緬(むらさきちりめん)(はかま)穿(うが)ち、245(うる)はしき(うるし)のやうな()(がみ)(むらさき)(ひも)にてしばり、246(うへ)桃色(ももいろ)(かくい)()て、
247高子御免(ごめん)なさいませ、248奥様(おくさま)のお居間(ゐま)はここで(ござ)いますか。249(わたし)高子(たかこ)(まを)します、250(いもうと)宮子(みやこ)(まを)します。251今日(けふ)から高宮彦(たかみやひこ)(さま)のお指図(さしづ)によりまして、252(ひめ)(さま)のお小間使(こまづかひ)(おほ)()けられました。253何分(なにぶん)不束(ふつつか)(もの)(ござ)いますれば、254何卒(どうぞ)(しか)つてお使(つか)(くだ)さいませ』
255(やさ)しい()をついて、256(あたま)()挨拶(あいさつ)をする。257高姫(たかひめ)二人(ふたり)姿(すがた)()て、
258高姫『ああ(なん)と、259(そろ)ひも(そろ)つて(うつく)しい(むすめ)だなア。260(しか)しながら(いま)はまだ(とし)(わか)くて大丈夫(だいぢやうぶ)だが、261(この)(をんな)二三(にさん)(ねん)もたつたら、262丁度(ちやうど)(わたし)のやうな姿(すがた)になるだらう。263そした(とき)は、264(また)杢助(もくすけ)さまが(へん)(こころ)(おこ)しはすまいか』
265(おも)ふと、266(にはか)(この)二人(ふたり)が、267何処(どこ)ともなく(にく)らしいやうな()になつて(しま)つた。268高姫(たかひめ)舌長(したなが)に、
269高姫『ハイ、270(まへ)高宮彦(たかみやひこ)さまの身内(みうち)(もの)か、271(ただし)は、272どつからか(たの)まれて()奉公(ほうこう)にあがつてゐるのか、273それが()かして()しい、274(その)(うへ)でお世話(せわ)になりませう』
275高子(たかこ)『ハイ、276(わらは)(ちち)もなければ(はは)(ござ)いませぬ』
277高姫父母(ふぼ)もない()何処(どこ)にあるものか、278ハハー、279さうすると、280(まへ)捨児(すてご)だなア。281そして宮子(みやこ)282(まへ)父母(ふぼ)(なん)()ふかな』
283宮子『ハイ、284(わらは)両親(りやうしん)(ござ)いませぬ』
285高姫両親(りやうしん)(わか)らぬやうな子供(こども)()りませぬ。286何処(どこ)(うま)(ほね)(うし)(ほね)(わか)らぬ、287(あま)つちよを、288ヘン、289(この)素性(すじやう)(たか)高宮姫(たかみやひめ)の、290小間使(こまづかひ)なんて、291高宮彦(たかみやひこ)さまも(あま)りだ。292コレ両人(りやうにん)293こちらに(よう)はないから、294トツトと(かへ)つて(くだ)さい。295そして(この)城内(じやうない)には、296高宮姫(たかみやひめ)今日(けふ)(かぎ)りおきませぬぞや』
297高子(たかこ)左様(さやう)なれば、298(ひめ)(さま)299是非(ぜひ)(ござ)いませぬ。300(わらは)(いもうと)両親(りやうしん)がないと()つたのは(ほか)でも(ござ)いませぬ、301(じつ)如意(によい)宝珠(ほつしゆ)から(うま)れた(もの)(ござ)います。302(わらは)()守護(しゆご)し、303(いもうと)(みづ)守護(しゆご)する(みたま)(ござ)います。304貴女(あなた)()(みづ)がいらないとみえますな。305左様(さやう)なれば(おほせ)(したが)(かへ)ります』
306足早(あしばや)室外(しつぐわい)()ようとする。307高姫(たかひめ)(おどろ)いて、
308高姫『マママ()つて(くだ)さい、309ヤ、310小母(をば)さまが(わる)かつた。311つい()仰有(おつしや)るかと(おも)うて、312(まへ)さまの()をひいてみたのだ。313潮干(しほひる)潮満(しほみつ)の、314(まへ)(たま)だつたな。315どうもそれに(ちが)ひないと(おも)つたけれど、316それとはなしに小母(をば)さまが(さぐ)つて()たのだから、317何卒(どうぞ)(わる)(おも)つて(くだ)さるな』
318高子(たかこ)『ハイ、319有難(ありがた)(ござ)います、320(しか)しながら(ひめ)(さま)から一遍(いつぺん)()()てをくつたので御座(ござ)いますから、321(わたし)()(ござ)います。322何卒(どうぞ)(ひま)(くだ)さいませ。323なア(みや)ちやま、324(まへ)さまだつて、325さうでせうね』
326宮子(みやこ)(わたし)小母(をば)さまには()()され、327小父(をぢ)さまの(ところ)()つては(しか)られちや、328()()がありませぬワ。329(わたし)(みづ)(せい)だから、330(かは)()へでも()つて(なが)れませうよ』
331高姫『コレコレ、332(たか)さま、333(みや)さま、334何卒(どうぞ)335さう()はずに、336(わたし)(ところ)()つて(くだ)さい。337(あま)気儘(きまま)(こと)()つたと()つて、338高宮彦(たかみやひこ)さまに(この)小母(をば)さまも(しか)られる。339(また)(まへ)たちも(しか)られちや大変(たいへん)だぜ。340サアサア、341小母(をば)さまが大切(たいせつ)にして()げるから、342機嫌(きげん)(なほ)してくるのだよ』
343 二人(ふたり)は、
344高子、宮子『アーイ』
345(ほそ)(すず)しい(こゑ)(そろ)へて()ふかと(おも)へば、346光線(くわうせん)(ごと)くパツと室内(しつない)()(きた)り、347(みぎ)(ひだり)から高姫(たかひめ)()()いて、
348高子、宮子小母(をば)さま、349(ひめ)さま』
350(うれ)しさうに(さけ)んだ。351高子(たかこ)()(ごと)(あつ)く、352宮子(みやこ)(みづ)(ごと)(つめ)たい。353高姫(たかひめ)()(みづ)()められ、354寒熱(かんねつ)(くる)しんで、355(たちま)(その)()()をマハして(しま)つた。
356大正一二・一・二六 旧一一・一二・一〇 松村真澄録)
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki