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第51巻(寅の巻)
序文
総説
第1篇 霊光照魔
01 春の菊
〔1316〕
02 怪獣策
〔1317〕
03 犬馬の労
〔1318〕
04 乞食劇
〔1319〕
05 教唆
〔1320〕
06 舞踏怪
〔1321〕
第2篇 夢幻楼閣
07 曲輪玉
〔1322〕
08 曲輪城
〔1323〕
09 鷹宮殿
〔1324〕
10 女異呆醜
〔1325〕
第3篇 鷹魅艶態
11 乙女の遊
〔1326〕
12 初花姫
〔1327〕
13 槍襖
〔1328〕
14 自惚鏡
〔1329〕
15 餅の皮
〔1330〕
第4篇 夢狸野狸
16 暗闘
〔1331〕
17 狸相撲
〔1332〕
18 糞奴使
〔1333〕
19 偽強心
〔1334〕
20 狸姫
〔1335〕
21 夢物語
〔1336〕
余白歌
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> 第4篇 夢狸野狸 > 第18章 糞奴使
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第一八章
糞奴使
(
ふんどし
)
〔一三三三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第51巻 真善美愛 寅の巻
篇:
第4篇 夢狸野狸
よみ(新仮名遣い):
むりやり
章:
第18章 糞奴使
よみ(新仮名遣い):
ふんどし
通し章番号:
1333
口述日:
1923(大正12)年01月27日(旧12月11日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年12月29日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
救世主の詠んだ詩を吟じながら旅装束に身を固めて月夜にやってきたのは、ランチ将軍の副官であったガリヤであった。ガリヤは浮木の森の陣中で、村の美人マリーに慕われ密会を続けていたが、マリーはほどなくして亡くなってしまった。
ガリヤはひそかにマリーの死骸を浮木の森の墓所に葬り、墓の石を目印に立てていつか時を見て立派に祀ってやろうと思っていた。治国別に帰順して三五教の使徒となり、治国別の添書を持ってケースと共に斎苑の館に修業に行く途中、一人で墓所に参るためにケースを先に行かせたのであった。
ガリヤはマリーの墓にて慨嘆久しうし、涙をそそいだ。そしてまた宣伝歌を歌いながら月夜を進んで行った。ガリヤは椿の木蔭までやってくると、石に腰かけて煙草をくすべながら、浮木の森をながめて自分たちの身の上の移り変わりに想いを馳せていた。
ガリヤはいつの間にか大きな城郭が立っていることをいぶかしんでいる。すると人声がするので探り寄ってみれば、三人の男が真っ裸となって萱の茂みに何やら言い合っている。
ガリヤが様子を見れば、初、徳、ケースの三人が狸に化かされたことに気が付き、互いに名乗りあっていた。ガリヤは狸にだまされた三人の目を覚まそうと臍下丹田に息をつめ、ウーと発生した。三人は椿の根元に集まってきた。
一同が確認してみれば、初と徳が泉だと思っていたのは肥壺であった。枝にかけられた糞まみれの着物は異様の臭気を放っている。四人はこれはたまらぬと北へ北へと逃げて行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-09-16 16:48:58
OBC :
rm5118
愛善世界社版:
260頁
八幡書店版:
第9輯 360頁
修補版:
校定版:
266頁
普及版:
120頁
初版:
ページ備考:
001
ガリヤ
『
文明
(
ぶんめいの
)
花
(
はな
)
発
(
ひらく
)
三千国
(
さんぜんこく
)
002
道術
(
どうじゆつ
)
元
(
もと
)
通
(
つうず
)
九万
(
きうまんの
)
天
(
てん
)
。
003
時節
(
じせつ
)
花
(
はな
)
明
(
あきらかなり
)
三月
(
さんぐわつの
)
雨
(
あめ
)
004
風流
(
ふうりうの
)
酒
(
さけは
)
洗
(
あらふ
)
百年
(
ひやくねんの
)
塵
(
ちり
)
。
005
黙然
(
もくぜん
)
坐
(
ざして
)
通
(
つうじ
)
古今
(
ここんに
)
006
天地人
(
てんちじん
)
共
(
ともに
)
進退
(
しんたいす
)
。
007
片々
(
へんぺんの
)
霊
(
れい
)
碁
(
ご
)
一局
(
いつきよく
)
008
家々
(
いへいへの
)
灯
(
あかり
)
天下
(
てんかの
)
花
(
はな
)
。
009
北
(
きたの
)
玄武
(
げんぶ
)
従
(
より
)
亥
(
ゐ
)
去
(
さり
)
010
東
(
ひがしの
)
青竜
(
せいりう
)
自
(
より
)
子
(
ね
)
来
(
きたる
)
。
011
去者
(
さるものは
)
去
(
さり
)
来者
(
きたるものは
)
来
(
きたる
)
012
有限
(
いうげんの
)
時
(
とき
)
万邦
(
ばんぽうの
)
春
(
はる
)
』
[
※
読み下し例:文明の花は三千国に発(ひら)く/道術の元は九万の天に通ず/時節の花は三月の雨に明らかなり/風流の酒は百年の塵に洗ふ/黙然と坐して古今に通じ/天地人 共に進退す/片々の霊 碁一局/家々の灯り 天下の花/北の玄武 亥より去り/東の青竜 子より来たる/去る者は去り来たる者は来たる/有限の時 万邦の春
]
013
と
救世
(
きうせい
)
教主
(
けうしゆ
)
の
詠
(
よ
)
んだ
詩
(
し
)
を
吟
(
ぎん
)
じながら
朧月夜
(
おぼろづきよ
)
の
光
(
ひかり
)
を
浴
(
あ
)
びて、
014
草鞋
(
わらぢ
)
脚絆
(
きやはん
)
に
身
(
み
)
を
固
(
かた
)
め、
015
蓑笠
(
みのかさ
)
金剛杖
(
こんがうづゑ
)
の
扮装
(
いでたち
)
にてやつて
来
(
き
)
たのは、
016
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
副官
(
ふくくわん
)
たりしガリヤであつた。
017
道
(
みち
)
の
傍
(
かたはら
)
に
新
(
あたら
)
しき
墓
(
はか
)
が
沢山
(
たくさん
)
に
並
(
なら
)
んでゐる。
018
ガリヤは
陣中
(
ぢんちう
)
に
於
(
おい
)
て
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
のマリーと
云
(
い
)
ふ
妙齢
(
めうれい
)
の
美人
(
びじん
)
に
慕
(
した
)
はれ、
019
滞陣中
(
たいぢんちう
)
は
間
(
ま
)
がな
隙
(
すき
)
がな
密会
(
みつくわい
)
を
続
(
つづ
)
けて
居
(
ゐ
)
た。
020
マリーとの
関係
(
くわんけい
)
がついたのは、
021
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
が
命令
(
めいれい
)
を
下
(
くだ
)
して、
022
四辺
(
あたり
)
の
女
(
をんな
)
は
老幼
(
らうえう
)
の
区別
(
くべつ
)
なく
残
(
のこ
)
らず
引捕
(
ひつとら
)
へて
陣中
(
ぢんちう
)
に
連
(
つ
)
れ
行
(
ゆ
)
き、
023
炊事
(
すゐじ
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
軍務
(
ぐんむ
)
に
就
(
つ
)
かしめむためであつた。
024
此
(
この
)
時
(
とき
)
ガリヤは
其
(
その
)
役目
(
やくめ
)
に
当
(
あた
)
つて、
025
マリーの
家
(
いへ
)
にふみ
込
(
こ
)
み
来
(
きた
)
り
老人
(
らうじん
)
夫婦
(
ふうふ
)
に、
026
ガリヤ
『
此
(
この
)
村
(
むら
)
の
女
(
をんな
)
は
残
(
のこ
)
らず
軍務
(
ぐんむ
)
に
徴集
(
ちようしふ
)
さるべし。
027
就
(
つ
)
いては
炊事
(
すゐじ
)
のみならず、
028
数多
(
あまた
)
の
猛悪
(
まうあく
)
なる
兵士
(
へいし
)
に
凌辱
(
りようじよく
)
を
受
(
う
)
くる
惧
(
おそれ
)
あれば、
029
今宵
(
こよひ
)
の
中
(
うち
)
に
女
(
をんな
)
は
残
(
のこ
)
らず
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
れ』
030
と
親切
(
しんせつ
)
に
云
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れた。
031
マリーの
父
(
ちち
)
は
此
(
この
)
村
(
むら
)
の
里庄
(
りしやう
)
であつた。
032
直
(
ただ
)
ちに
村
(
むら
)
に
其
(
その
)
由
(
よし
)
を
内通
(
ないつう
)
し、
033
勝手
(
かつて
)
覚
(
おぼ
)
えし
山道
(
やまみち
)
を
辿
(
たど
)
り、
034
或
(
あるひ
)
は
小北山
(
こぎたやま
)
又
(
また
)
は
思
(
おも
)
ひ
思
(
おも
)
ひにパンを
負
(
お
)
うて
山林
(
さんりん
)
に
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
したのである。
035
マリーは、
036
ガリヤの
親切
(
しんせつ
)
な
計
(
はか
)
らひによつて、
037
村中
(
むらぢう
)
の
女
(
をんな
)
は
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
はれたのだ、
038
自分
(
じぶん
)
は、
039
(マリー)
『
村中
(
むらぢう
)
の
女
(
をんな
)
を
代表
(
だいへう
)
し
人身
(
ひとみ
)
御供
(
ごく
)
に
上
(
のぼ
)
つても
構
(
かま
)
はぬ。
040
況
(
いは
)
んやバラモンの
軍人
(
ぐんじん
)
とは
云
(
い
)
へ、
041
之
(
これ
)
位
(
くらゐ
)
やさしき
武士
(
ぶし
)
が
何処
(
どこ
)
にあらうか。
042
自分
(
じぶん
)
も
夫
(
をつと
)
を
持
(
も
)
つならば
斯様
(
かやう
)
な
武士
(
ぶし
)
と
添
(
そ
)
ひ
度
(
た
)
いものだ……』
043
と
妙
(
めう
)
な
処
(
ところ
)
へ
同情
(
どうじやう
)
を
起
(
おこ
)
し、
044
早
(
はや
)
くバラモン
軍
(
ぐん
)
が
自分
(
じぶん
)
を
捕縛
(
ほぼく
)
に
来
(
き
)
てくれまいかと、
045
両親
(
りやうしん
)
の
止
(
と
)
めるのも
諾
(
き
)
かず
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
家
(
いへ
)
に
待
(
ま
)
つてゐたのである。
046
そして
幸
(
さいは
)
ひに
此
(
この
)
マリーの
家
(
いへ
)
はガリヤの
宿所
(
しゆくしよ
)
と
定
(
さだ
)
められたのである。
047
ガリヤは
他
(
た
)
の
同僚
(
どうれう
)
が
一人
(
ひとり
)
も
女
(
をんな
)
を
連
(
つ
)
れてゐないのに、
048
自分
(
じぶん
)
のみ
女
(
をんな
)
を
侍
(
はべ
)
らして
居
(
を
)
つては
将軍
(
しやうぐん
)
の
手前
(
てまへ
)
は
如何
(
いかが
)
と
気遣
(
きづか
)
ひ、
049
倉
(
くら
)
の
中
(
なか
)
に
忍
(
しの
)
ばせて
隙
(
すき
)
ある
毎
(
ごと
)
に
密会
(
みつくわい
)
を
続
(
つづ
)
けてゐたのである。
050
然
(
しか
)
るにマリーは
身体
(
しんたい
)
日
(
ひ
)
に
日
(
ひ
)
に
痩衰
(
やせおとろ
)
へ、
051
遂
(
つひ
)
には
鬼籍
(
きせき
)
に
入
(
い
)
つた。
052
そこでガリヤは
夜
(
よる
)
密
(
ひそ
)
かにマリーの
死骸
(
しがい
)
を
此
(
この
)
墓所
(
はかしよ
)
に
葬
(
はうむ
)
り、
053
目標
(
もくへう
)
を
建
(
た
)
てて
置
(
お
)
いたのである。
054
俄
(
にはか
)
に
適当
(
てきたう
)
な
目標
(
もくへう
)
もないので
外
(
ほか
)
の
墓
(
はか
)
の
石
(
いし
)
を
逆様
(
さかさま
)
に
立
(
た
)
て、
055
何時
(
いつ
)
か
時
(
とき
)
を
見
(
み
)
て
立派
(
りつぱ
)
に
祀
(
まつ
)
つてやらうと
思
(
おも
)
つてゐる
矢先
(
やさき
)
、
056
治国別
(
はるくにわけ
)
に
帰順
(
きじゆん
)
したのである。
057
ガリヤはクルスの
森
(
もり
)
で
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
の
薫陶
(
くんたう
)
を
受
(
う
)
け、
058
それよりテームス
峠
(
たうげ
)
に
於
(
おい
)
て、
059
又
(
また
)
もや
第二回
(
だいにくわい
)
の
薫陶
(
くんたう
)
を
授
(
さづ
)
かり、
060
治国別
(
はるくにわけ
)
の
添書
(
てんしよ
)
を
得
(
え
)
て、
061
ケースと
共
(
とも
)
に
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
修業
(
しゆげふ
)
に
行
(
ゆ
)
く
途中
(
とちう
)
であつた。
062
彼
(
かれ
)
は
一度
(
いちど
)
マリーの
墓
(
はか
)
に
詣
(
まゐ
)
り
弔
(
とむら
)
つてやらねばならぬ、
063
それにはケースと
同道
(
どうだう
)
しては
都合
(
つがふ
)
が
悪
(
わる
)
いと
思
(
おも
)
つたので、
064
ガリヤ
『
一寸
(
ちよつと
)
其
(
その
)
辺
(
へん
)
まで
芋
(
いも
)
を
埋
(
い
)
けに
行
(
い
)
つて
来
(
く
)
る、
065
君
(
きみ
)
は
一足先
(
ひとあしさき
)
へ
行
(
い
)
つてくれ、
066
何
(
いづ
)
れ
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
で
追付
(
おつつ
)
くから……』
067
とうまくケースをまいて
自分
(
じぶん
)
は
谷川
(
たにがは
)
に
入
(
い
)
り、
068
水
(
みづ
)
をいぢり
或
(
あるひ
)
は
蟹
(
かに
)
を
追
(
お
)
ひかけ
等
(
など
)
して
日
(
ひ
)
を
暮
(
くら
)
し、
069
東
(
ひがし
)
の
空
(
そら
)
からボンヤリとした
月
(
つき
)
の
出
(
で
)
たのを
幸
(
さいは
)
ひ、
070
此処
(
ここ
)
までやつて
来
(
き
)
たのである。
071
ガリヤはマリーの
墓
(
はか
)
に
近
(
ちか
)
づき、
072
涙
(
なみだ
)
ながら
述懐
(
じゆつくわい
)
して
云
(
い
)
ふ。
073
ガリヤ
『
水色
(
みづいろ
)
の
月光
(
げつくわう
)
は
流
(
なが
)
れ
074
真青
(
まつさを
)
に
墓
(
はか
)
は
並
(
なら
)
び
立
(
た
)
つ
075
ああされどマリーの
君
(
きみ
)
よ
076
君
(
きみ
)
は
情焔
(
じやうえん
)
の
人魚
(
にんぎよ
)
に
非
(
あら
)
ず
077
死
(
し
)
を
願
(
ねが
)
ひつつ
墓
(
はか
)
を
抱
(
いだ
)
き
078
吾
(
われ
)
を
見捨
(
みす
)
てて
遠
(
とほ
)
く
行
(
ゆ
)
きましぬ
079
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
りし
吾
(
わが
)
身
(
み
)
は
080
潛々
(
さめざめ
)
と
涙
(
なみだ
)
を
濺
(
そそ
)
ぐ
081
君
(
きみ
)
の
心
(
こころ
)
の
紅絹
(
こうけん
)
は
082
ガリヤの
心
(
こころ
)
を
巡
(
めぐ
)
り
083
やがて
桃色
(
ももいろ
)
の
雰囲気
(
ふんゐき
)
は
084
あたりを
包
(
つつ
)
む
085
されど
青
(
あを
)
き
墓
(
はか
)
は
086
地
(
ち
)
に
影
(
かげ
)
さへも
動
(
うご
)
かさず
087
君
(
きみ
)
の
姿
(
すがた
)
のみ
幻
(
まぼろし
)
の
如
(
ごと
)
く
月
(
つき
)
にふるひぬ
088
ああ
花
(
はな
)
は
半開
(
はんかい
)
にして
散
(
ち
)
りぬ
089
惜
(
を
)
しむべきかな
桃色
(
ももいろ
)
の
頬
(
ほほ
)
090
月
(
つき
)
の
眉
(
まゆ
)
、
091
雪
(
ゆき
)
の
肌
(
はだ
)
092
一度
(
いちど
)
見
(
み
)
まく
欲
(
ほ
)
りすれど
093
一度
(
いちど
)
君
(
きみ
)
に
会
(
あ
)
はまく
欲
(
ほ
)
りすれど
094
今
(
いま
)
は
詮
(
せん
)
なし
諸行
(
しよぎやう
)
無常
(
むじやう
)
095
是生
(
ぜしやう
)
滅法
(
めつぼう
)
生滅
(
しやうめつ
)
々已
(
めつち
)
096
寂滅
(
じやくめつ
)
為楽
(
ゐらく
)
頓生
(
とんしよう
)
菩提
(
ぼだい
)
と
097
弔
(
とむら
)
ふ
吾
(
われ
)
を
098
仇
(
あだ
)
には
棄
(
す
)
てな
桃色
(
ももいろ
)
の
君
(
きみ
)
よ』
099
と
慨歎
(
がいたん
)
久
(
ひさ
)
しうし、
100
形
(
かたち
)
ばかりの
墓場
(
はかば
)
に
涙
(
なみだ
)
を
濺
(
そそ
)
ぎ、
101
残
(
のこ
)
り
惜
(
を
)
しげに
墓場
(
はかば
)
を
辞
(
じ
)
し、
102
又
(
また
)
もや
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら、
103
風
(
かぜ
)
薫
(
かを
)
る
朧夜
(
おぼろよ
)
の
月
(
つき
)
を
浴
(
あ
)
びて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
104
ガリヤ
『
四方
(
よも
)
の
山々
(
やまやま
)
春
(
はる
)
めきて
105
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
も
暖
(
あたた
)
かく
106
今
(
いま
)
を
盛
(
さか
)
りと
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ふ
107
マリーに
似
(
に
)
たる
桃
(
もも
)
の
花
(
はな
)
108
三月
(
さんぐわつ
)
三日
(
みつか
)
の
今日
(
けふ
)
の
宵
(
よひ
)
109
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
110
頸
(
うなじ
)
に
受
(
う
)
けてトボトボと
111
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
に
照
(
て
)
りもせず
112
曇
(
くも
)
りもやらぬ
春
(
はる
)
の
夜
(
よ
)
の
113
朧月夜
(
おぼろづきよ
)
の
風光
(
ふうくわう
)
に
114
如
(
し
)
くものなしと
誰
(
た
)
が
言
(
い
)
うた
115
吾
(
われ
)
は
心
(
こころ
)
もかき
曇
(
くも
)
り
116
朧
(
おぼろ
)
の
月
(
つき
)
を
眺
(
なが
)
むれば
117
千々
(
ちぢ
)
に
物
(
もの
)
こそ
思
(
おも
)
はるれ
118
嘆
(
かこ
)
ち
顔
(
がほ
)
なる
吾
(
わが
)
涙
(
なみだ
)
119
乾
(
かわ
)
く
暇
(
ひま
)
なき
夜
(
よる
)
の
旅
(
たび
)
120
定
(
さだ
)
めなき
世
(
よ
)
と
云
(
い
)
ひながら
121
花
(
はな
)
を
欺
(
あざむ
)
くマリー
嬢
(
ぢやう
)
122
吾
(
われ
)
を
見捨
(
みす
)
てて
墓
(
はか
)
を
越
(
こ
)
え
123
幽冥界
(
いうめいかい
)
に
旅立
(
たびだ
)
ちぬ
124
悔
(
くや
)
めど
帰
(
かへ
)
らぬ
恋
(
こひ
)
の
仲
(
なか
)
125
神
(
かみ
)
や
仏
(
ほとけ
)
は
坐
(
ま
)
さぬかと
126
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
愚痴
(
ぐち
)
が
出
(
で
)
る
127
汝
(
なれ
)
をば
慕
(
した
)
ふ
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
128
仇
(
あだ
)
に
聞
(
き
)
くなよマリー
嬢
(
ぢやう
)
129
向
(
むか
)
ふに
見
(
み
)
ゆるは
浮木
(
うきき
)
の
里
(
さと
)
か
130
印象
(
いんしやう
)
益々
(
ますます
)
深
(
ふか
)
くして
131
恋
(
こひ
)
に
逍
(
さまよ
)
ふ
益良夫
(
ますらを
)
の
132
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
は
烏羽玉
(
うばたま
)
の
133
暗夜
(
やみよ
)
とこそはなりにけり
134
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
135
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
136
惑
(
まど
)
ひ
来
(
きた
)
りし
恋雲
(
こひぐも
)
を
137
晴
(
は
)
らさせ
給
(
たま
)
へ
三五
(
あななひ
)
の
138
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
139
謹
(
つつし
)
み
敬
(
うやま
)
ひ
祈
(
ね
)
ぎまつる
140
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
141
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
142
大地
(
だいち
)
は
仮令
(
たとへ
)
沈
(
しづ
)
むとも
143
星
(
ほし
)
は
空
(
そら
)
より
落
(
お
)
つるとも
144
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せし
此
(
この
)
体
(
からだ
)
145
三五教
(
あななひけう
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
に
146
尽
(
つく
)
さにや
置
(
お
)
かぬ
益良夫
(
ますらを
)
の
147
ひきて
返
(
かへ
)
らぬ
桑
(
くは
)
の
弓
(
ゆみ
)
148
弥猛心
(
やたけごころ
)
を
何処
(
どこ
)
までも
149
貫
(
つらぬ
)
き
通
(
とほ
)
す
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
150
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
151
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
願
(
ね
)
ぎまつる』
152
と
歌
(
うた
)
ひながら
椿
(
つばき
)
の
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
木蔭
(
こかげ
)
までスタスタやつて
来
(
き
)
た。
153
ガリヤは
椿
(
つばき
)
の
下
(
もと
)
の
天然
(
てんねん
)
の
石
(
いし
)
のベンチに
腰
(
こし
)
を
打掛
(
うちか
)
け、
154
火打
(
ひうち
)
を
取出
(
とりだ
)
し
煙草
(
たばこ
)
を
燻
(
くす
)
べながら、
155
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
彼方
(
あなた
)
を
眺
(
なが
)
め
感慨
(
かんがい
)
無量
(
むりやう
)
の
息
(
いき
)
を
洩
(
も
)
らしてゐる。
156
ガリヤ
『
有為
(
うゐ
)
転変
(
てんぺん
)
は
世
(
よ
)
の
習
(
なら
)
ひ、
157
変
(
かは
)
れば
変
(
かは
)
るものだな。
158
僅
(
わづ
)
か
四
(
し
)
ケ
月
(
げつ
)
以前
(
いぜん
)
にはバラツク
式
(
しき
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
が
沢山
(
たくさん
)
に
建
(
た
)
て
並
(
なら
)
べられてあつたが、
159
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら、
160
大
(
だい
)
なる
城廓
(
じやうくわく
)
が
建
(
た
)
つてゐるやうだ。
161
はて、
162
何人
(
なんぴと
)
の
住宅
(
すまゐ
)
であらうか。
163
合点
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
事
(
こと
)
だな』
164
と
独語
(
ひとりご
)
ちつつ
目
(
め
)
をつぶつて
考
(
かんが
)
へ
込
(
こ
)
んでゐる。
165
何
(
なん
)
だか
間近
(
まぢか
)
の
方
(
はう
)
から
人声
(
ひとごゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
く
)
る。
166
ガリヤはツと
立
(
た
)
つて
人声
(
ひとごゑ
)
を
当
(
あて
)
に
月
(
つき
)
に
透
(
す
)
かしながら
探
(
さぐ
)
り
寄
(
よ
)
つた。
167
見
(
み
)
れば
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
が
萱
(
かや
)
の
茂
(
しげ
)
つた
中
(
なか
)
に
真裸
(
まつぱだか
)
となつて
四這
(
よつばひ
)
となり、
168
思
(
おも
)
ひ
思
(
おも
)
ひの
事
(
こと
)
を
囀
(
さへづ
)
つてゐる。
169
ガリヤ
『はて
不思議
(
ふしぎ
)
だ。
170
春
(
はる
)
とは
云
(
い
)
へど
夜分
(
やぶん
)
はまだ
寒
(
さむ
)
い。
171
それに
何
(
なん
)
ぞや、
172
斯様
(
かやう
)
な
萱草
(
かやくさ
)
の
中
(
なか
)
に
荒男
(
あらをとこ
)
が
而
(
しか
)
も
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
173
何
(
なに
)
をして
居
(
ゐ
)
るのだらう。
174
ハハア
大方
(
おほかた
)
、
175
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
豆狸
(
まめだぬき
)
につままれよつたのだらう。
176
一
(
ひと
)
つ
気
(
き
)
をつけてやらねばなるまい』
177
と
思
(
おも
)
つたが、
178
又
(
また
)
思
(
おも
)
ひ
直
(
なほ
)
して、
179
ガリヤ
『
待
(
ま
)
て
待
(
ま
)
て
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
言
(
い
)
ひ
草
(
ぐさ
)
を
聞
(
き
)
いてから、
180
何者
(
なにもの
)
だと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
の、
181
凡
(
およ
)
その
見当
(
けんたう
)
をつけてからでなくては、
182
如何
(
いか
)
なる
災難
(
さいなん
)
に
遇
(
あ
)
ふかも
知
(
し
)
れない。
183
まづ
凡
(
すべ
)
ての
掛合
(
かけあひ
)
は
相手
(
あひて
)
を
知
(
し
)
るが
第一
(
だいいち
)
だ』
184
と
思
(
おも
)
ひ
直
(
なほ
)
して
杖
(
つゑ
)
にもたれて
覗
(
のぞ
)
く
様
(
やう
)
にして
考
(
かんが
)
へ
込
(
こ
)
んでゐた。
185
裸
(
はだか
)
の
一
(
いち
)
(裸の男一)
『おい、
186
転田山
(
こけたやま
)
、
187
あの
摩利支
(
まりし
)
天
(
てん
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
、
188
口
(
くち
)
ほどにない
弱味噌
(
よわみそ
)
だな。
189
俺
(
おれ
)
の
反
(
そり
)
にかかりやがつて、
190
土俵
(
どへう
)
のド
中央
(
まんなか
)
にふん
伸
(
の
)
びた
時
(
とき
)
の
態
(
ざま
)
と
云
(
い
)
つたらなかつたぢやないか』
191
裸
(
はだか
)
の
二
(
に
)
(裸の男二)
『
貴様
(
きさま
)
は
負田山
(
まけたやま
)
だと
名乗
(
なの
)
つてゐるが
妙
(
めう
)
に
強
(
つよ
)
かつたぢやないか。
192
大方
(
おほかた
)
向
(
むか
)
ふが
力負
(
ちからまけ
)
したのかも
知
(
し
)
れないのう』
193
裸の男一
『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
へ。
194
俺
(
おれ
)
が
強
(
つよ
)
うて
向
(
むか
)
ふが
弱
(
よわ
)
かつたのだ。
195
弱
(
よわ
)
いものが
負
(
ま
)
けると
云
(
い
)
ふのは
何万
(
なんまん
)
年
(
ねん
)
経
(
た
)
つたつてきまつた
規則
(
きそく
)
だ。
196
然
(
しか
)
し、
197
彼奴
(
あいつ
)
は
吃驚
(
びつくり
)
しやがつて
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げたぢやないか』
198
裸の男二
『ナーニ、
199
そこに
居
(
ゐ
)
るぢやないか。
200
アー、
201
臭
(
くさ
)
い
臭
(
くさ
)
い
貴様
(
きさま
)
、
202
屁
(
へ
)
を
垂
(
た
)
れやがつたな。
203
俄
(
にはか
)
に
臭
(
くさ
)
くなりやがつたぞ』
204
裸の男一
『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
へ、
205
貴様
(
きさま
)
も
臭
(
くさ
)
いわ。
206
最前
(
さいぜん
)
から
何
(
なん
)
だか
臭
(
くさ
)
いと
思
(
おも
)
つたが、
207
よう
考
(
かんが
)
へりや
相撲
(
すまう
)
に
呆
(
はう
)
けて
忘
(
わす
)
れて
居
(
ゐ
)
たが、
208
古狸
(
ふるだぬき
)
に
撮
(
つま
)
まれて
糞壺
(
くそつぼ
)
へ
貴様
(
きさま
)
と
俺
(
おれ
)
とが
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
み、
209
椿
(
つばき
)
の
下
(
した
)
の
泉
(
いづみ
)
で
衣服
(
きもの
)
を
洗
(
あら
)
ひ、
210
木
(
き
)
に
掛
(
か
)
けて
乾
(
かわ
)
かす
間
(
ま
)
に、
211
寒
(
さむ
)
さ
凌
(
しの
)
ぎに
相撲
(
すまう
)
を
始
(
はじ
)
めたぢやなかつたかね』
212
裸の男二
『ウン、
213
さう
云
(
い
)
ふと、
214
そんな
気
(
き
)
も……する
様
(
やう
)
だ。
215
此
(
この
)
体
(
からだ
)
が
臭
(
くさ
)
いのは
洗
(
あら
)
ひが
足
(
た
)
らなかつたのに
違
(
ちが
)
ひないぞ。
216
何程
(
なにほど
)
雑兵
(
ざふひやう
)
だと
云
(
い
)
つても、
217
こんなに
臭
(
くさ
)
い
筈
(
はず
)
はないからな』
218
裸
(
はだか
)
の
三
(
さん
)
(裸の男三)
『こりや、
219
二人
(
ふたり
)
の
奴
(
やつ
)
、
220
貴様
(
きさま
)
は
狸
(
たぬき
)
に
騙
(
だま
)
されよつたのだな。
221
馬鹿
(
ばか
)
だな』
222
裸
(
はだか
)
の
一
(
いち
)
(裸の男一)
『アハハハハハ、
223
あれ
程
(
ほど
)
沢山
(
たくさん
)
の
相撲取
(
すもうとり
)
や
見物
(
けんぶつ
)
が
来
(
き
)
て
居
(
を
)
つたのは
皆
(
みな
)
狸
(
たぬき
)
だ。
224
オイ
何処
(
どこ
)
の
奴
(
やつ
)
か
知
(
し
)
らぬが、
225
弱相撲
(
よわずまう
)
、
226
貴様
(
きさま
)
だつてヤツパリ
騙
(
だま
)
されて
居
(
を
)
つたのだよ』
227
裸
(
はだか
)
の
三
(
さん
)
(裸の男三)
『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
へ。
228
俺
(
おれ
)
は
貴様
(
きさま
)
と
相撲
(
すまう
)
とつたのだ。
229
貴様
(
きさま
)
こそ
狸
(
たぬき
)
を
相手
(
あひて
)
に
挑
(
いど
)
み
合
(
あ
)
つてゐたのだよ。
230
あれほど
沢山
(
たくさん
)
居
(
を
)
つたが、
231
人間
(
にんげん
)
はただの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
より
居
(
ゐ
)
なかつたと
見
(
み
)
える。
232
本当
(
ほんたう
)
に
馬鹿
(
ばか
)
の
寄合
(
よりあ
)
ひだな。
233
オイ、
234
貴様
(
きさま
)
の
本名
(
ほんみやう
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふのか。
235
負田山
(
まけたやま
)
、
236
転田山
(
こけたやま
)
では、
237
テーンと
分
(
わか
)
らぬぢやないか』
238
裸の男一
『
俺
(
おれ
)
の
本名
(
ほんみやう
)
が
聞
(
き
)
きたくば、
239
貴様
(
きさま
)
から
名告
(
なの
)
れ、
240
そしたら
云
(
い
)
ひ
聞
(
き
)
かしてやらう』
241
裸の男三
『
俺
(
おれ
)
の
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
いて
驚
(
おどろ
)
くな。
242
バラモン
軍
(
ぐん
)
のランチ
将軍
(
しやうぐん
)
が
副官
(
ふくくわん
)
ケースの
君
(
きみ
)
だぞ』
243
裸の男一
『
何
(
なん
)
だ、
244
そんな
肩書
(
かたがき
)
をふり
廻
(
まは
)
したつて
今時
(
いまどき
)
通用
(
つうよう
)
しないぞ。
245
某
(
それがし
)
こそは
三五教
(
あななひけう
)
の
未来
(
みらい
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
初公別
(
はつこうわけの
)
命
(
みこと
)
だ。
246
もう
一人
(
ひとり
)
は
徳公別
(
とくこうわけの
)
命
(
みこと
)
だぞ』
247
ケース『お
名
(
な
)
を
承
(
うけたま
)
はりまして
初
(
はじ
)
めて
呆
(
あき
)
れ
返
(
かへ
)
りました。
248
如何
(
いか
)
にも
下賤
(
げせん
)
愚劣
(
ぐれつ
)
のお
方
(
かた
)
で
厶
(
ござ
)
るな』
249
初
(
はつ
)
『きまつたことだ。
250
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
力
(
ちから
)
を
有
(
いう
)
する、
251
何
(
ど
)
うしても
解
(
げ
)
せぬ
男
(
をとこ
)
だらう。
252
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
めば
グレツ
く
事
(
こと
)
は
天下
(
てんか
)
の
名人
(
めいじん
)
だ。
253
小北山
(
こぎたやま
)
の
初公
(
はつこう
)
と
云
(
い
)
ふより
下賤
(
げせん
)
愚劣
(
ぐれつ
)
と
云
(
い
)
つた
方
(
はう
)
が、
254
よく
通
(
とほ
)
つてるからな、
255
アハハハハ』
256
ガリヤは、
257
ガリヤ
『ハハア、
258
ケースの
奴
(
やつ
)
、
259
狸
(
たぬき
)
にチヨロまかされ
相撲
(
すまう
)
とりよつたのだな。
260
そして
糞壺
(
くそつぼ
)
へはまつた
奴
(
やつ
)
と
取組
(
とりく
)
みよつたと
見
(
み
)
える。
261
何
(
なん
)
だか
臭
(
くさ
)
くなつて
来
(
き
)
たぞ。
262
一
(
ひと
)
つ
大声
(
おほごゑ
)
を
出
(
だ
)
して
呶鳴
(
どな
)
り、
263
眼
(
め
)
を
醒
(
さま
)
してやらなくちや
駄目
(
だめ
)
だ』
264
と
云
(
い
)
ひながら
臍下
(
せいか
)
丹田
(
たんでん
)
に
息
(
いき
)
をつめ(
大声
(
おほごゑ
)
)『ウー』と
発声
(
はつせい
)
した。
265
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
猛獣
(
まうじう
)
の
襲来
(
しふらい
)
かと
早合点
(
はやがてん
)
し、
266
赤裸
(
まつぱだか
)
の
儘
(
まま
)
ノタノタと
這
(
は
)
ひ
出
(
だ
)
し、
267
何
(
いづ
)
れも
云
(
い
)
ひ
合
(
あは
)
した
様
(
やう
)
に
椿
(
つばき
)
の
根元
(
ねもと
)
に
集
(
あつま
)
つて
了
(
しま
)
つた。
268
ガリヤ『オイ、
269
お
前
(
まへ
)
はケースぢやないか。
270
拙者
(
せつしや
)
はガリヤだ。
271
何
(
なん
)
だ、
272
こんな
処
(
ところ
)
へ
赤裸
(
まつぱだか
)
になりよつて……』
273
ケース『ウン、
274
兄貴
(
あにき
)
か、
275
もう
一足
(
ひとあし
)
早
(
はや
)
く
来
(
く
)
ればよかつたにな。
276
大変
(
たいへん
)
狸相撲
(
たぬきずまう
)
がはづんでゐたよ、
277
アハハハハ』
278
初
(
はつ
)
『エヘヘヘヘ』
279
徳
(
とく
)
『
臭
(
くさ
)
い
臭
(
くさ
)
い
臭
(
くさ
)
い、
280
ウツフフフフ、
281
糞面白
(
くそおもしろ
)
うもない。
282
糞
(
ばば
)
にされて
了
(
しま
)
つた』
283
ケース『
揃
(
そろ
)
ひも
揃
(
そろ
)
つて
臭
(
くさ
)
い
野郎
(
やらう
)
だな』
284
ガリヤ『アハハハハ、
285
ああもう
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けた』
286
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
泥
(
どろ
)
まぶれの
顔
(
かほ
)
をして
其処
(
そこ
)
等
(
ら
)
を
見
(
み
)
まはした。
287
糞
(
くそ
)
まぶれの
着物
(
きもの
)
は
異様
(
いやう
)
の
臭気
(
しうき
)
を
放
(
はな
)
ち、
288
傍
(
かたはら
)
の
青木
(
あをき
)
の
枝
(
えだ
)
に
烏
(
からす
)
の
死
(
し
)
んだのを
水
(
みづ
)
に
漬
(
つ
)
けた
様
(
やう
)
な
形
(
かたち
)
になつてブラ
下
(
さが
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
289
椿
(
つばき
)
の
下
(
もと
)
の
清泉
(
せいせん
)
は……と
覗
(
のぞ
)
いて
見
(
み
)
れば
臭気
(
しうき
)
紛々
(
ふんぷん
)
たる
肥壺
(
こえつぼ
)
であつた。
290
金色
(
こんじき
)
の
蠅
(
はい
)
がブンブンと
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
顔
(
かほ
)
を
目標
(
めあて
)
に
襲撃
(
しふげき
)
し、
291
目
(
め
)
をせせつたり
鼻
(
はな
)
の
穴
(
あな
)
へ
潜伏
(
せんぷく
)
したり、
292
口
(
くち
)
の
角
(
かど
)
などを
頻
(
しき
)
りにいぢり
出
(
だ
)
した。
293
『
此奴
(
こいつ
)
ア
堪
(
たま
)
らぬ』
294
とガリヤ
及
(
およ
)
び
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
裸
(
はだか
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
295
(
大正一二・一・二七
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