霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 朝日丸(あさひまる)〔三五一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻 篇:第1篇 智利の都 よみ(新仮名遣い):てるのみやこ
章:第1章 朝日丸 よみ(新仮名遣い):あさひまる 通し章番号:351
口述日:1922(大正11)年02月06日(旧01月10日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
天下の絶景の海を、筑紫から智利の国に向かう船の中で、猿世彦と駒山彦が、来し方を思い互いに相手の失敗をなじりあっていた。猿世彦、駒山彦は常世彦の部下として、大八洲彦命や言霊別命ら天使の神業を邪魔して竜宮城と戦った邪神であった。
猿世彦はスペリオル湖で元照別に捉えられ、凍える湖に投げ入れられて木乃伊となり、言霊別命に助けられて方法の体で逃げ帰った過去を、駒山彦らにからかわれている。
船中の女客が、猿世彦・駒山彦の連れの宣伝使に、三五教の教えを説いてくれ、と頼みかけた。
連れの宣伝使は清彦(清熊)であった。清彦はかつて鬼城山で駒山彦らの仲間として悪事を働いていたが、どうしたわけか三五教の宣伝使となっていたのである。
猿世彦は清彦の昔の悪事を上げたてて、宣伝の邪魔をする。清彦はそれを笑い飛ばして猿世彦の昔の失敗をなじる。
かくして雑談のうちに、船中の夜はふけて行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-30 21:27:18 文字数:2244 OBC :rm0801
愛善世界社版:5頁 八幡書店版:第2輯 153頁 修補版: 校定版:7頁 普及版:3頁 初版: ページ備考:
001ひがしや西(にし)や北(きた)南(みなみ)
002のどかな春(はる)の海面(かいめん)を
003出船(でふね)入船(いりふね)真帆(まほ)片帆(かたほ)
004のり行(ゆ)く男子(をのこ)女子(をみなご)の
005かげも静(しづ)かに揺(ゆ)られつつ
006みづさへ清(きよ)き浪(なみ)の上(うへ)
007日(ひ)の出神(でのかみ)の宣伝使(せんでんし)
008乗(の)せ行(ゆ)く船(ふね)は朝日丸(あさひまる)
009御稜威(みいづ)も高(たか)き高砂(たかさご)の
010智利(てる)の都(みやこ)に進(すす)むなり
011 折(をり)から吹(ふ)きくる東風(こちかぜ)に、012船脚(ふなあし)早(はや)く海面(かいめん)に漂(ただよ)ふ大小(だいせう)無数(むすう)の島影(しまかげ)を右(みぎ)に避(さ)け、013左(ひだり)に曲(まが)り、014舟人(ふなびと)の楫取(かぢと)り巧(たくみ)に天下(てんか)の絶景(ぜつけい)を進(すす)みゆく。
015 東海(とうかい)の波(なみ)を蹴(け)つて踊(をど)り出(い)でたる太陽(たいやう)も、016漸(やうや)く西天(せいてん)にその姿(すがた)を没(かく)し、017海面(かいめん)は烏羽玉(うばたま)の暗(やみ)と化(くわ)したり。018大小(だいせう)無数(むすう)の漁火(いさりび)は、019海面(かいめん)に明滅(めいめつ)し漁夫(ぎよふ)の叫(さけ)ぶ声(こゑ)は、020猛(たけ)り狂(くる)ふ浪(なみ)の音(おと)かと疑(うたが)はるる許(ばか)りなり。021漁火(いさりび)の光(ひかり)は長(なが)く海中(かいちゆう)に垂(た)れ、022浪(なみ)に揺(ゆ)られて蛟竜(かうりう)の海底(かいてい)より水面(すゐめん)に昇(のぼ)るが如(ごと)く、023その壮観(さうくわん)譬(たと)ふるに物(もの)なく、024海底(かいてい)の竜宮(りうぐう)も忽(たちま)ち霊光(れいくわう)の燈火(とうくわ)を点(てん)ずるかとばかり疑(うたが)はるるに至(いた)りけり。
025 数多(あまた)の船客(せんきやく)は、026この光景(くわうけい)を眺(なが)めて雑談(ざつだん)に耽(ふけ)る。
027甲(かふ)『おい、028猿世彦(さるよひこ)、029スペリオル湖(こ)を渡(わた)つた時(とき)と此(こ)の海(うみ)を渡(わた)る時(とき)と、030何(ど)れ丈(だけ)心持(こころもち)が違(ちが)ふか』
031猿世彦(さるよひこ)『ソンナことを誰(たれ)に聴(き)いたか、032そりや他人(ひと)の事(こと)だよ。033貴様(きさま)は高白山(かうはくざん)で如何(どう)だつたい』
034駒山彦(こまやまひこ)『高白山(かうはくざん)は高白山(かうはくざん)だ。035浪(なみ)の上(うへ)を渡(わた)る時(とき)に山(やま)の話(はなし)をする奴(やつ)があるかい。036木乃伊(みいら)の化物(ばけもの)の話(はなし)なつと聴(き)かして貰(もら)はうかい』
037丙(へい)(清彦)『互(たがひ)にソンナ昔(むかし)の碌(ろく)でもない失敗談(しつぱいだん)を繰返(くりかへ)すよりも、038もつと気(き)の利(き)いた話(はなし)をしたら何(ど)うだい』
039駒山彦(こまやまひこ)『ウン、040貴様(きさま)はなんでも三五教(あななひけう)とかの信者(しんじや)になつたと云(い)ふことだが、041三五教(あななひけう)の教理(けうり)を偉(えら)さうに宣伝使(せんでんし)気取(きど)りで、042そこら中(ぢう)で喋(しやべ)つて居(ゐ)ると云(い)ふことだが、043一辺(いちぺん)俺(おれ)にも聴(き)かして呉(く)れないか』
044丙(へい)(清彦)『貴様(きさま)のやうなウラル彦(ひこ)や、045美山彦(みやまひこ)の崇敬者(すうけいしや)に説教(せつけう)は禁物(きんもつ)だ。046又(また)海(うみ)の上(うへ)でソンナ話(はなし)を始(はじ)めると、047木乃伊(みいら)になると困(こま)るから止(や)めて置(お)かうかい。048俺(おれ)を「貴様(きさま)は今(いま)信者(しんじや)だ」と言(い)うたが、049乞食(こじき)の子(こ)でも三(さん)年(ねん)すれば三(み)つになると云(い)ふことを知(し)らないのか。050初(はじ)めは信者(しんじや)でも今(いま)は立派(りつぱ)な押(おし)も押(お)されもせぬ三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)様(さま)だ。051「おい、052聴(き)かせろ」なんてソンナ失礼(しつれい)なことを、053生神(いきがみ)の宣伝使(せんでんし)に向(むか)つて云(い)ふ奴(やつ)があるかい。054吾々(われわれ)は畏(おそ)れ多(おほ)くも、055天教山(てんけうざん)の木(こ)の花姫(はなひめの)命(みこと)の宣伝使(せんでんし)じやぞ』
056猿世彦(さるよひこ)『さうだらう、057気違(きちが)ひの癲狂山(てんきやうざん)だらう』
058丙(へい)(清彦)『木乃伊(みいら)の知(し)つたことかい。059木乃伊(みいら)が海(うみ)へ嵌(はま)りよつて、060化(ば)けて鱪(しいら)になると云(い)ふことがある。061彼(あ)の日(ひ)の光(ひかり)に照(てら)して見(み)よ。062海(うみ)の底(そこ)に沢山(たくさん)貴様(きさま)の友達(ともだち)が泳(およ)いで居(ゐ)るわい、063木乃伊(みいら)が鱪(しいら)になつて、064鱪(しいら)の頭(あたま)に虱(しいら)が生(わい)て世界(せかい)の事(こと)は、065何一(なにひと)つ鱪(しいら)の盲目神(めくらがみ)が三五教(あななひけう)の教理(けうり)を聴(き)いたところで分(わか)るものでない。066言(い)はぬは言(い)ふに弥(いや)勝(まさ)るだよ』
067 猿世彦(さるよひこ)は面(つら)膨(ふく)らして、068丙(へい)の顔(かほ)を睨(にら)みつける。069其(そ)の膨(ふく)れ面(づら)は、070漁火(いさりび)に照(てら)されて面白(おもしろ)く明瞭(はつきり)と見(み)えたり。
071(清彦)『よう、072猿世(さるよ)、073大分(だいぶ)に膨(ふく)れて居(ゐ)るな』
074と云(い)はれて、075猿世彦(さるよひこ)はますます膨(ふく)れる。076暗(やみ)の中(なか)から二三(にさん)人(にん)の女(をんな)の声(こゑ)として、
077『やあ、078貴方(あなた)は承(うけたま)はれば三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)とか聴(き)きましたが、079斯(か)うして広(ひろ)い海(うみ)を無難(ぶなん)に気楽(きらく)に渡(わた)らして頂(いただ)くのも、080皆(みんな)神(かみ)様(さま)の御(お)神徳(かげ)だと思(おも)ひます。081斯(か)う云(い)ふ結構(けつこう)な機会(をり)はありませぬ、082何卒(どうぞ)一(ひと)つ三五教(あななひけう)の教(をしへ)を聴(き)かして下(くだ)さいませぬか。083吾々(われわれ)は熊襲(くまそ)の国(くに)の者(もの)であります』
084と誠心(まごころ)から頼(たの)み入(い)るにぞ、085宣伝使(せんでんし)は二人(ふたり)に構(かま)はず、
086(清彦)『何(いづ)れの方(かた)か、087何分(なにぶん)暗夜(やみよ)の事(こと)とて御(お)顔(かほ)も分(わか)りませぬが、088私(わたくし)は三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)の卵(たまご)ですよ。089最前(さいぜん)から二人(ふたり)の男(をとこ)が、090余(あんま)り豪(えら)さうに法螺(ほら)を吹(ふ)くものですから、091俺(おれ)は三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)だと威張(ゐば)つて見(み)せたものの私(わたくし)も熊襲(くまそ)の者(もの)で、092未(ま)だ宣伝使(せんでんし)の卵(たまご)で自称(じしよう)候補者(こうほしや)です。093何(なん)でも日(ひ)の出神(でのかみ)とか云(い)ふ立派(りつぱ)な宣伝使(せんでんし)が、094高砂(たかさご)の島(しま)へ行(ゆ)かれたとか、095行(ゆ)かれるとか云(い)ふことを、096風(かぜ)の便(たよ)りに聞(き)いたので高砂(たかさご)の智利(てる)の都(みやこ)に行(い)つて、097其(そ)の御(お)方(かた)に会(あ)つて見(み)たいと思(おも)ふのです』
098 暗黒(くらがり)の中(なか)より女(をんな)の声(こゑ)、
099『貴方(あなた)は其所(そこ)までの御(ご)熱心(ねつしん)なら、100三五教(あななひけう)の教理(けうり)は少(すこ)しは御存(ごぞん)じでせう。101一歩(ひとあし)でも先(さき)に聴(き)いた者(もの)は先輩(せんぱい)ですから、102貴方(あなた)の御(お)聴(き)きになつた事(こと)だけなつと話(はな)して下(くだ)さい』
103猿世彦(さるよひこ)『世間(せけん)には、104物好(ものず)きもあるものだなあ。105何方(どなた)か知(し)らぬが、106コンナ宣伝使(せんでんし)に聴(き)いたつて何(なに)が分(わか)るものか。107この男(をとこ)はな、108偉(えら)さうな面付(つらつき)して宣伝使(せんでんし)の卵(たまご)だと言(い)つて、109傲然(がうぜん)と構(かま)へて居(ゐ)るが、110此奴(こいつ)の素性(すじやう)を洗(あら)つて見(み)れば、111元(もと)は竜宮城(りうぐうじやう)に居(を)つて、112其処(そこ)を追(お)ひ出(だ)され、113鬼城山(きじやうざん)の食客(しよくかく)をしてゐて、114鬼城山(きじやうざん)でまた失敗(しつぱい)をやつて縮尻(しくじ)つて、115改心(かいしん)したとか云(い)つて常世(とこよ)の国(くに)を遁(に)げ出(だ)し、116筑紫(つくし)の国(くに)で馬鹿(ばか)の限(かぎ)り、117悪(あく)の限(かぎ)りを尽(つく)して再(ふたた)び元(もと)の古巣(ふるす)へ帰(かへ)る所(ところ)なのですよ。118此奴(こいつ)は清彦(きよひこ)ナンテ名(な)は立派(りつぱ)だが、119実(じつ)は濁彦(にごりひこ)の、120泥彦(どろひこ)の、121穴彦(あなひこ)といふ男(をとこ)だ。122彼岸(ひがん)過(す)ぎの蛇(へび)の様(やう)に、123穴(あな)ばつかり狙(ねら)つて居(ゐ)るのだ。124貴方(あなた)は女(をんな)の方(かた)と見(み)えますが、125コンナ奴(やつ)に相手(あひて)になりなさるな。126穴恐(あなおそ)ろしい奴(やつ)ですよ。127此奴(こいつ)はうまうまハマる穴(あな)が無(な)いので穴無(あなな)い教(けう)の宣伝使(せんでんし)ナンテ吐(ぬ)かすのだ。128アハヽヽヽ』
129と大口(おほぐち)を開(あ)けて力(ちから)一杯(いつぱい)嘲(あざけ)りける。
130清彦(きよひこ)『コラ猿(さる)、131何(なに)を吐(ぬ)かすか。132貴様(きさま)も鬼城山(きじやうざん)で国照姫(くにてるひめ)の御(ご)主人面(しゆじんづら)をして偉(えら)さうに構(かま)へて居(を)つたが、133何時(いつ)の間(ま)にやら棒振彦(ぼうふりひこ)にその位地(ゐち)を奪(と)られよつて、134馬鹿(ばか)の美山彦(みやまひこ)の家来(けらい)となり、135どどのつまりは大勢(おほぜい)のものに愛想(あいさう)を尽(つ)かされて、136いよいよ鬼城山(きじやうざん)を泣(な)く泣(な)く猿世彦(さるよひこ)の馬鹿者(ばかもの)、137他(ひと)の穴(あな)をほぜくると自分(じぶん)の穴(あな)が出(で)て来(く)るぞ。138俺(おれ)は縦(たて)から見(み)ても横(よこ)から見(み)ても立派(りつぱ)な智仁勇(ちじんゆう)兼備(けんび)の穴(あな)の無(な)い男(をとこ)だ。139それで三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)様(さま)だ。
140 穴(あな)を出(で)て穴(あな)に入(い)るまで穴(あな)の世話(せわ) 穴(あな)おもしろき穴(あな)の世(よ)の中(なか)
141人(ひと)の穴(あな)は、142探(さぐ)らむがよからうぞ。143ナンボ猿世彦(さるよひこ)でも、144猿(さる)の人真似(ひとまね)ばかりしよつて恥(はぢ)を掻(か)くよりも、145これから改心(かいしん)して庚申(かうしん)さまの眷属(けんぞく)のやうに見猿(みざる)、146聞(き)か猿(ざる)、147言(い)は猿(ざる)を守(まも)るが、148貴様(きさま)の利益(ため)だ。149愚図(ぐず)々々(ぐず)言(い)うと又(また)木乃伊(みいら)にしてやらうか』
150 斯(か)くの如(ごと)く雑談(ざつだん)に耽(ふけ)つて居(ゐ)る。151春(はる)の夜(よ)は短(みじか)く明(あ)けて再(ふたた)び東天(とうてん)に陽(ひ)の影(かげ)が映(さ)し、152一同(いちどう)の顔(かほ)にも夜(よ)が明(あ)けたやうに元気(げんき)輝(かがや)きにけり。
153(大正一一・二・六 旧一・一〇 外山豊二録)
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