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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第8巻(未の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 智利の都
第1章 朝日丸
第2章 五十韻
第3章 身魂相応
第4章 烏の妻
第5章 三人世の元
第6章 火の玉
第2篇 四十八文字
第7章 蛸入道
第8章 改心祈願
第9章 鏡の池
第10章 仮名手本
第3篇 秘露より巴留へ
第11章 海の竜宮
第12章 身代り
第13章 修羅場
第14章 秘露の邂逅
第15章 ブラジル峠
第16章 霊縛
第17章 敵味方
第18章 巴留の関守
第4篇 巴留の国
第19章 刹那心
第20章 張子の虎
第21章 滝の村
第22章 五月姫
第23章 黒頭巾
第24章 盲目審神
第25章 火の車
第26章 讃嘆
第27章 沙漠
第28章 玉詩異
第29章 原山祇
第5篇 宇都の国
第30章 珍山峠
第31章 谷間の温泉
第32章 朝の紅顔
第33章 天上眉毛
第34章 烏天狗
第35章 一二三世
第36章 大蛇の背
第37章 珍山彦
第38章 華燭の典
第6篇 黄泉比良坂
第39章 言霊解一
第40章 言霊解二
第41章 言霊解三
第42章 言霊解四
第43章 言霊解五
余白歌
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(B)
(N)
霊縛 >>>
第一五章 ブラジル
峠
(
たうげ
)
〔三六五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻
篇:
第3篇 秘露より巴留へ
よみ(新仮名遣い):
ひるよりはるへ
章:
第15章 ブラジル峠
よみ(新仮名遣い):
ぶらじるとうげ
通し章番号:
365
口述日:
1922(大正11)年02月08日(旧01月12日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年6月15日
概要:
舞台:
ブラジル山
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
淤縢山津見(醜国別)は蚊々虎を連れてブラジル峠を上っていく。春とはいえ、赤道直下の酷熱の中を、蚊々虎に荷物を持たせて登って行く。
蚊々虎はちょっと一服させて欲しい、と頼んだが、淤縢山津見は竜宮の底で苦労艱難を嘗めて門番をしてきたことを思えば、どうということなはい、と説教する。
蚊々虎は愚痴をこぼす。淤縢山津見がそれを咎めると、逆に淤縢山津見のかつての悪事を責める。淤縢山津見が昔のことは過ぎ越し苦労するな、と諭しても、何かと理屈をつけて淤縢山津見をからかった。
淤縢山津見が昔の主人に向かって無礼であろう、と返すと、蚊々虎は、過ぎ越し苦労するなとおっしゃったじゃないか、と返す有様。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-06-04 18:15:40
OBC :
rm0815
愛善世界社版:
94頁
八幡書店版:
第2輯 184頁
修補版:
校定版:
96頁
普及版:
41頁
初版:
ページ備考:
001
春霞
(
はるがすみ
)
棚引
(
たなびき
)
渡
(
わた
)
る
海原
(
うなばら
)
の
002
浪
(
なみ
)
掻
(
か
)
き
分
(
わ
)
けて
立昇
(
たちのぼ
)
る
003
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
004
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
を
払
(
はら
)
はむと
005
醜国別
(
しこくにわけ
)
の
体主霊従
(
からみたま
)
006
霊主
(
れいしゆ
)
体従
(
たいじゆう
)
と
成
(
な
)
り
変
(
かは
)
り
007
禊
(
みそぎ
)
祓
(
はら
)
ひし
生魂
(
いくみたま
)
008
心
(
こころ
)
つくし
の
たちばな
の
009
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
と
改
(
あらた
)
めて
010
従属
(
みとも
)
の
司
(
かみ
)
も
腰骨
(
こしぼね
)
の
011
蚊々虎
(
かがとら
)
彦
(
ひこ
)
を
伴
(
ともな
)
ひつ
012
教
(
をしへ
)
を
巴留
(
はる
)
の
国境
(
くにざかひ
)
013
ブラジル
山
(
やま
)
に
差掛
(
さしかか
)
る。
014
春
(
はる
)
とはいへど
赤道
(
せきだう
)
直下
(
ちよくか
)
の
酷熱
(
こくねつ
)
地帯
(
ちたい
)
、
015
木葉
(
このは
)
を
身体
(
からだ
)
一面
(
いちめん
)
に
纏
(
まと
)
ひ
暑熱
(
しよねつ
)
を
凌
(
しの
)
ぎ
乍
(
なが
)
ら、
016
腰
(
こし
)
の
屈
(
かが
)
める
蚊々虎
(
かがとら
)
彦
(
ひこ
)
に
荷物
(
にもつ
)
を
持
(
も
)
たせ、
017
ブラジル
峠
(
たうげ
)
を
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
018
蚊々虎
『モシモシ
一寸
(
ちよつと
)
一服
(
いつぷく
)
さして
下
(
くだ
)
さいな。
019
汗
(
あせ
)
は
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
く、
020
着物
(
きもの
)
も
何
(
なに
)
も
夕立
(
ゆふだち
)
に
逢
(
あ
)
うたやうに
びしよ
濡
(
ぬ
)
れになつて
了
(
しま
)
つた。
021
何処
(
どこ
)
かに
水
(
みづ
)
でもあれば
一杯
(
いつぱい
)
飲
(
の
)
みたいものですワ』
022
淤縢山津見
『
確
(
しつ
)
かりせぬか
蚊々虎
(
かがとら
)
、
023
何
(
なん
)
だ、
024
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
に
吾々
(
われわれ
)
は
長
(
なが
)
らくの
苦労
(
くらう
)
艱難
(
かんなん
)
を
嘗
(
な
)
めて
金門
(
かなど
)
の
番
(
ばん
)
をして
来
(
き
)
たことを
思
(
おも
)
へば、
025
熱
(
あつ
)
いの
苦
(
くる
)
しいのと
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
れるか。
026
空気
(
くうき
)
は
十分
(
じふぶん
)
に
無
(
な
)
し
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
を
見
(
み
)
ても
水
(
みづ
)
ばつかりで、
027
碌
(
ろく
)
に
息
(
いき
)
も
出来
(
でき
)
はしない。
028
何
(
なに
)
ほど
嶮
(
けは
)
しい
坂
(
さか
)
だつて、
029
汗
(
あせ
)
が
出
(
で
)
ると
云
(
い
)
つても、
030
涼
(
すず
)
しい
風
(
かぜ
)
が
ちよい
ちよい
来
(
く
)
るじやないか。
031
十分
(
じふぶん
)
に
汗
(
あせ
)
を
搾
(
しぼ
)
り
足
(
あし
)
を
疲
(
つか
)
らして、
032
もう
一歩
(
いつぽ
)
も
前進
(
ぜんしん
)
することが
出来
(
でき
)
ないやうになつた
所
(
ところ
)
で、
033
一服
(
いつぷく
)
するのだ。
034
その
時
(
とき
)
の
楽
(
たのし
)
さと
云
(
い
)
ふものは、
035
本当
(
ほんたう
)
に
楽
(
らく
)
の
味
(
あぢ
)
が
判
(
わか
)
るよ。
036
竜宮
(
りうぐう
)
の
苦
(
くる
)
しい、
037
息
(
いき
)
も
碌
(
ろく
)
に
出来
(
でき
)
ない
所
(
ところ
)
から、
038
陸
(
あげ
)
へ
揚
(
あ
)
げて
貰
(
もら
)
つた
嬉
(
うれ
)
しさと
云
(
い
)
ふものは、
039
たとへ
足
(
あし
)
が
棒
(
ぼう
)
になつても
万分
(
まんぶん
)
の
一
(
いち
)
の
苦労
(
くらう
)
でも
無
(
な
)
いワ。
040
貴様
(
きさま
)
はまだ
苦労
(
くらう
)
が
足
(
た
)
りないからさう
云
(
い
)
ふ
弱
(
よわ
)
いことを
云
(
い
)
ふのだ。
041
俺
(
おれ
)
に
随
(
つ
)
いて
来
(
こ
)
い』
042
蚊々虎
『それはあまり
胴欲
(
どうよく
)
ぢやございませぬか。
043
私
(
わたくし
)
は
竜宮
(
りうぐう
)
へ
行
(
い
)
つたことが
無
(
な
)
いから、
044
貴下
(
あなた
)
のお
話
(
はなし
)
は
嘘
(
うそ
)
か、
045
本当
(
ほんたう
)
か
知
(
し
)
りませぬが、
046
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
で
苦
(
くる
)
しいのは
分
(
わか
)
つて
居
(
を
)
ります。
047
併
(
しか
)
し
本当
(
ほんたう
)
の
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
なら
三分
(
さんぷん
)
か、
048
五分
(
ごふん
)
経
(
たた
)
ぬ
間
(
ま
)
に
息
(
いき
)
が
断
(
き
)
れて
了
(
しま
)
うぢやありませぬか。
049
それに
長
(
なが
)
らく
竜宮
(
りうぐう
)
に
貴下
(
きか
)
は
居
(
を
)
られたのぢやから、
050
それを
思
(
おも
)
へば
貴下
(
きか
)
の
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
は
割引
(
わりびき
)
して
聞
(
き
)
かねばなりますまい。
051
私
(
わたくし
)
はもう
半時
(
はんとき
)
も
休
(
やす
)
まずに、
052
この
山道
(
やまみち
)
を
歩
(
ある
)
かされようものなら、
053
身体
(
からだ
)
の
汁
(
しる
)
はさつぱり
汗
(
あせ
)
になつて
出
(
で
)
て
了
(
しま
)
ひ、
054
コンナ
熱
(
あつ
)
い
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
で
木乃伊
(
みいら
)
になつて
了
(
しま
)
ひます。
055
ソンナ
殺生
(
せつしやう
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
はずと
貴下
(
きか
)
も
改心
(
かいしん
)
なさつたぢやないか、
056
ちつと
位
(
くらゐ
)
の
情容赦
(
なさけようしや
)
は
有
(
あ
)
りさうなものだナア』
057
と
涙
(
なみだ
)
を
溢
(
こぼ
)
す。
058
淤縢山津見
『オイ
蚊々虎
(
かがとら
)
、
059
貴様
(
きさま
)
はなんだい、
060
男
(
をとこ
)
じやないか。
061
この
位
(
くらゐ
)
なことで
屁古垂
(
へこた
)
れて
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
すと
云
(
い
)
ふことがあるかい』
062
蚊々虎
『
私
(
わたくし
)
は
決
(
けつ
)
して
泣
(
な
)
きませぬ』
063
淤縢山津見
『ソンナラ
誰
(
たれ
)
が
泣
(
な
)
くのだ』
064
蚊々虎
『ハイハイ、
065
私
(
わたくし
)
は
立派
(
りつぱ
)
な
一人前
(
いちにんまへ
)
の
男
(
をとこ
)
です。
066
苟
(
いやし
)
くも
男子
(
だんし
)
たるもの
如何
(
いか
)
なる
艱難
(
かんなん
)
辛苦
(
しんく
)
に
逢
(
あ
)
うても
びく
とも
致
(
いた
)
しませぬ。
067
私
(
わたくし
)
について
居
(
ゐ
)
るお
客
(
きやく
)
さまが
泣
(
な
)
くのですよ』
068
淤縢山津見
『お
客
(
きやく
)
さまて
何
(
なん
)
だ、
069
貴様
(
きさま
)
の
副守
(
ふくしゆ
)
か、
070
よう
泣
(
な
)
く
奴
(
やつ
)
だな。
071
蚊々虎
(
かがとら
)
と
云
(
い
)
ふからには、
072
蚊
(
か
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
でも
憑
(
つ
)
いて
居
(
を
)
るのぢやらう。
073
今
(
いま
)
まで
人
(
ひと
)
の
生血
(
いきち
)
を
吸
(
す
)
ふやうな
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
ばかり
行
(
や
)
つて
来
(
き
)
た
報
(
むく
)
いだ。
074
貴様
(
きさま
)
の
腰
(
こし
)
は
何
(
なん
)
だい、
075
くの
字
(
じ
)
に
曲
(
まが
)
つて
了
(
しま
)
つとるぢやないか。
076
今
(
いま
)
までの
罪滅
(
つみほろぼ
)
しだ。
077
副守
(
ふくしゆ
)
に
構
(
かま
)
はず、
078
本
(
ほん
)
守護神
(
しゆごじん
)
の
勇気
(
ゆうき
)
を
出
(
だ
)
して
俺
(
おれ
)
に
随
(
つ
)
いて
来
(
こ
)
ぬかい』
079
蚊々虎
『
貴下
(
あなた
)
は
今
(
いま
)
まで
醜国別
(
しこくにわけ
)
と
云
(
い
)
うて、
080
随分
(
ずゐぶん
)
善
(
よ
)
くないことをなさいましたなあ。
081
私
(
わたくし
)
は
貴下
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
で
こいつ
は
悪
(
わる
)
いな、
082
コンナことしたらきつと
善
(
よ
)
い
報
(
むく
)
いはないと
思
(
おも
)
つたが、
083
頭
(
あたま
)
から
がみつける
様
(
やう
)
に
云
(
い
)
はれるものだから、
084
今
(
いま
)
までは
虎
(
とら
)
の
威
(
ゐ
)
を
借
(
か
)
る
狐
(
きつね
)
のやうに、
085
心
(
こころ
)
にも
無
(
な
)
いことを
行
(
や
)
つてきました。
086
言
(
い
)
はば
貴下
(
あなた
)
が
悪
(
あく
)
の
張本人
(
ちやうほんにん
)
だ。
087
私
(
わたくし
)
は
唯
(
ただ
)
機械
(
きかい
)
に
使
(
つか
)
はれた
のみ
ですワ』
088
淤縢山津見
『ウン、
089
何方
(
どつち
)
にせよ
使
(
つか
)
はれた
のみ
か、
090
使
(
つか
)
はれぬ
しらみ
か、
091
人
(
ひと
)
の
生血
(
いきち
)
を
吸
(
す
)
ふ
蚊
(
か
)
か、
092
虎
(
とら
)
か、
093
狼
(
おほかみ
)
か、
094
熊
(
くま
)
か、
095
山狗
(
やまいぬ
)
かだよ』
096
蚊々虎
『モシモシそれは
余
(
あまり
)
ぢやありませぬか。
097
虎
(
とら
)
、
098
狼
(
おほかみ
)
とは
貴下
(
あなた
)
のことですよ。
099
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
さまに
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
うて
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
とやらいふ
立派
(
りつぱ
)
な
名
(
な
)
を
貰
(
もら
)
つて、
100
偉
(
えら
)
さうにしてござるが、
101
貴下
(
あなた
)
は
人
(
ひと
)
を
威
(
おど
)
す
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
だ。
102
余
(
あんま
)
りどつせ、
103
ちつと
昔
(
むかし
)
のことも
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
なさい。
104
大
(
おほ
)
きな
口
(
くち
)
もあまり
叩
(
たた
)
けますまい。
105
此処
(
ここ
)
には
貴下
(
あなた
)
と
私
(
わたくし
)
とただ
二人
(
ふたり
)
で
傍
(
はた
)
に
聞
(
き
)
いてをるものも
無
(
な
)
いから
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
申
(
まを
)
しますが、
106
本当
(
ほんたう
)
に
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
と
云
(
い
)
つたら
貴下
(
あなた
)
のことですよ』
107
淤縢山津見
『
三五教
(
あななひけう
)
は
過
(
す
)
ぎ
越
(
こ
)
し
苦労
(
くらう
)
や、
108
取越
(
とりこ
)
し
苦労
(
くらう
)
は
大禁物
(
だいきんもつ
)
だ。
109
何事
(
なにごと
)
も
神直日
(
かむなほひ
)
、
110
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し、
111
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
教
(
をしへ
)
だから、
112
ソンナ
死
(
し
)
んだ
児
(
こ
)
の
年
(
とし
)
を
数
(
かぞ
)
へるやうな、
113
下
(
くだ
)
らぬ
事
(
こと
)
は
止
(
よ
)
したがよからうよ。
114
過
(
す
)
ぎ
去
(
さ
)
つたことはもう
一
(
ひと
)
つも
云
(
い
)
はぬがよいワ』
115
蚊々虎
『ヘーイ、
116
うまく
仰有
(
おつしや
)
いますワイ。
117
竜宮
(
りうぐう
)
で
門番
(
もんばん
)
をして
苦
(
くるし
)
かつたつて、
118
仰有
(
おつしや
)
つたじやないか、
119
それは
過
(
す
)
ぎ
越
(
こ
)
し
苦労
(
くらう
)
ぢやないのですか』
120
淤縢山津見
『よう
理屈
(
りくつ
)
をいふ
奴
(
やつ
)
ぢやな。
121
今
(
いま
)
までのことは
さらり
と
川
(
かは
)
へ
流
(
なが
)
すのだい。
122
さうして
心中
(
しんちう
)
に
一点
(
いつてん
)
の
黒雲
(
くろくも
)
も
無
(
な
)
く、
123
清明
(
せいめい
)
無垢
(
むく
)
の
精神
(
せいしん
)
になつて、
124
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
をするのだよ』
125
蚊々虎
『また
地金
(
ぢがね
)
が
出
(
で
)
やしませぬかな。
126
何
(
なに
)
ほど
立派
(
りつぱ
)
な
黄金
(
わうごん
)
の
玉
(
たま
)
でも、
127
竹熊
(
たけくま
)
の
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るやうな
鍍金玉
(
めつきだま
)
では
直
(
すぐ
)
に
剥
(
は
)
げると
云
(
い
)
ふことがありますよ。
128
地金
(
ぢがね
)
が
石
(
いし
)
であれば
何
(
なに
)
ほど
金
(
きん
)
が
塗
(
ぬ
)
つてあつても
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つ
擦
(
こす
)
ると
生地
(
きぢ
)
が
現
(
あら
)
はれて
来
(
く
)
るものですからナア』
129
淤縢山津見
『
莫迦
(
ばか
)
いへ、
130
俺
(
おれ
)
の
身魂
(
みたま
)
は
中
(
なか
)
まで
水晶
(
すゐしやう
)
だ。
131
元
(
もと
)
は
立派
(
りつぱ
)
な
分霊
(
わけみたま
)
だ。
132
雉
(
きぢ
)
もなかねば
射
(
う
)
たれまいといふことがある。
133
もう
生地
(
きぢ
)
の
話
(
はな
)
しは
止
(
や
)
めて
呉
(
く
)
れ』
134
蚊々虎
『ヘーン、
135
うまいこと
仰有
(
おつしや
)
りますワイ。
136
口
(
くち
)
は
重宝
(
ちようほう
)
なものですな』
137
淤縢山津見
『オー
最早
(
もはや
)
山頂
(
さんちやう
)
に
達
(
たつ
)
した。
138
オイ
蚊々虎
(
かがとら
)
、
139
話
(
はな
)
しをしとる
間
(
ま
)
に
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか、
140
山
(
やま
)
の
頂辺
(
てつぺん
)
に
来
(
き
)
てしまつたよ。
141
貴様
(
きさま
)
が
苦
(
くるし
)
い
苦
(
くるし
)
い、
142
もう
一歩
(
いつぽ
)
も
歩
(
ある
)
けぬなどと
屁古垂
(
へこた
)
れよつて
男
(
をとこ
)
らしくもない、
143
副守
(
ふくしゆ
)
か
何
(
なに
)
か
知
(
し
)
らぬが、
144
吠面
(
ほえづら
)
かわいて
見
(
み
)
られた
態
(
ざま
)
ぢや
無
(
な
)
かつたぞ。
145
もう
此処
(
ここ
)
まで
来
(
く
)
れば
涼
(
すず
)
しい
風
(
かぜ
)
が
当
(
あた
)
つて、
146
今
(
いま
)
までの
苦労
(
くらう
)
の
仕忘
(
しわす
)
れだ。
147
お
前
(
まへ
)
の
顔
(
かほ
)
の
黒
(
くろ
)
くなつたのも、
148
これも
苦労
(
くらう
)
の
仕忘
(
しわす
)
れになつて、
149
白
(
しろ
)
い
顔
(
かほ
)
になると
重宝
(
ちようほう
)
だが、
150
これ
丈
(
だけ
)
は
矢張
(
やつぱ
)
り
生地
(
きぢ
)
が
鉄
(
てつ
)
だから、
151
金
(
きん
)
にはならぬよ。
152
まあ、
153
顔
(
かほ
)
が
黒
(
くろ
)
いたつて
心配
(
しんぱい
)
するには
及
(
およ
)
ばない。
154
貴様
(
きさま
)
の
何時
(
いつ
)
も
得意
(
とくい
)
な
暗黒
(
くらがり
)
で、
155
ちよいちよい
何々
(
なになに
)
するのには
持
(
も
)
つて
来
(
こ
)
いだ。
156
暗
(
やみ
)
に
烏
(
からす
)
が
飛
(
た
)
つたやうなもので、
157
誰
(
たれ
)
も
見付
(
みつ
)
けるものが
無
(
な
)
いからな。
158
本当
(
ほんたう
)
に
苦労
(
くらう
)
の
苦労
(
くらう
)
甲斐
(
がひ
)
があるよ』
159
蚊々虎
『
暗黒
(
くらがり
)
に
出
(
で
)
るのは
矢張
(
やつぱ
)
り
蚊
(
か
)
ですもの、
160
貴下
(
あなた
)
の
仰有
(
おつしや
)
ることが
本当
(
ほんたう
)
かも
知
(
し
)
れませぬ。
161
間違
(
まちが
)
つてゐるかも
知
(
し
)
れませぬ。
162
しかし
貴下
(
あなた
)
の
名
(
な
)
はいま
出世
(
しゆつせ
)
して
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
とか
仰有
(
おつしや
)
つたが
何
(
なん
)
と
黒
(
くろ
)
い
名
(
な
)
ですな。
163
恐
(
こは
)
さうな
おど
おどとした
暗
(
やみ
)
の
晩
(
ばん
)
に
烏
(
からす
)
の
飛
(
た
)
つたやうな
暗
(
やみ
)
ずみ
ナンテ、
164
あまり
人
(
ひと
)
のことは
言
(
い
)
はれますまい。
165
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
さまも
偉
(
えら
)
いワイ。
166
それ
相当
(
さうたう
)
な
名
(
な
)
を
下
(
くだ
)
さる。
167
人
(
ひと
)
を
威
(
おどか
)
したり、
168
暗雲
(
やみくも
)
になつて
訳
(
わけ
)
も
分
(
わか
)
らぬ
明瞭
(
はつきり
)
せぬ
墨
(
すみ
)
のやうな
屁理屈
(
へりくつ
)
を
列
(
なら
)
べる
醜国別
(
しこくにわけ
)
に
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
とは、
169
よくも
洒落
(
しやれ
)
たものだワイ、
170
アハヽヽヽ』
171
淤縢山津見
『オイ
蚊々虎
(
かがとら
)
、
172
主人
(
しゆじん
)
に
向
(
むか
)
つて
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
ふ。
173
無礼
(
ぶれい
)
であらうぞよ』
174
蚊々虎
『ヘン、
175
昔
(
むかし
)
は
昔
(
むかし
)
、
176
今
(
いま
)
は
今
(
いま
)
と、
177
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
歌
(
うた
)
はれたことを
貴下
(
あなた
)
覚
(
おぼ
)
えてゐますか。
178
昔
(
むかし
)
は
昔
(
むかし
)
、
179
今
(
いま
)
は
今
(
いま
)
後
(
あと
)
は
何
(
なん
)
だつたか
忘
(
わす
)
れました。
180
エヘン』
181
(
大正一一・二・八
旧一・一二
外山豊二
録)
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