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第三章 身魂(みたま)相応(さうおう)〔三五三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻 篇:第1篇 智利の都 よみ(新仮名遣い):てるのみやこ
章:第3章 身魂相応 よみ(新仮名遣い):みたまそうおう 通し章番号:353
口述日:1922(大正11)年02月06日(旧01月10日) 口述場所: 筆録者:高橋常祥 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
猿世彦と駒山彦は、清彦が立て板に水でしゃべり続けるのに感心して、手を放し、ひとつ宣伝を聞かせてくれ、と頼んだ。
清彦は、頓珍漢な説教を猿世彦・駒山彦に聞かせている。しまいに駒山彦は清彦を怒鳴りつける。先客はおかしな問答にわっと笑いさざめく。
このとき船の一隅より、ひとりの神人が立って宣伝歌を歌い始めた。
日の出神は、清彦が殴られながらも耐えて言霊で返していたその忍耐の真心を賞賛した。
清彦は日の出神の姿を見て伏し拝み、落涙に咽んでいる。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-30 21:37:03 OBC :rm0803
愛善世界社版:20頁 八幡書店版:第2輯 158頁 修補版: 校定版:21頁 普及版:10頁 初版: ページ備考:
001 猿世彦(さるよひこ)002駒山彦(こまやまひこ)双方(さうはう)一度(いちど)に、003清彦(きよひこ)(つか)みかかりし()(はな)して、004猿世彦(さるよひこ)は、
005清彦(きよひこ)006貴様(きさま)矢張(やつぱ)宣伝使(せんでんし)だ。007脱線(だつせん)したことを上手(じやうづ)にベラベラと饒舌(しやべ)りよる。008たとへ間違(まちが)うてをつても、009それだけ(べん)(まは)れば(あな)があつても、010(ふさ)がつて(しま)ふワ。011法螺(ほら)(とほ)名詮(めいせん)自称(じしやう)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(さま)だよ。012よう(おほ)きな法螺(ほら)()いたものだ。013(ひと)退屈(たいくつ)ざましに()かして(もら)はうかい』
014清彦(きよひこ)宣伝使(せんでんし)にお(たづ)ねするのに()かして(もら)はうかいとは失敬(しつけい)な、015懸河(けんが)弁舌(べんぜつ)016布留那(ふるな)雄弁者(ゆうべんしや)とは(この)(ほう)のことだよ。017身魂(みたま)(きよ)清彦(きよひこ)(きよ)(をしへ)(みみ)(きよ)めてトツクリと()け』
018(さる)019(こま)(えら)権幕(けんまく)だなあ、020宇宙(うちう)万有(ばんいう)一切(いつさい)のことを()(さと)すといふ宣伝使(せんでんし)(さま)だ。021なんでも御存(ごぞん)じだらう』
022清彦(きよひこ)勿論(もちろん)のことだ。023三千(さんぜん)世界(せかい)のことなら、024(なん)でも()うてくれ。025詳細(しやうさい)なる解決(かいけつ)(あた)へて(つか)はすとは(まを)さぬワイ』
026猿世彦(さるよひこ)三千(さんぜん)世界(せかい)(おも)ひだした。027三五教(あななひけう)には三千(さんぜん)世界(せかい)一度(いちど)(ひら)(うめ)(はな)028(ひら)いて()りて()(むす)ぶとか、029時鳥(ほととぎす)(こゑ)()けども姿(すがた)()えぬ、030とかいふ(をしへ)があるねー。031ありや一体(いつたい)(なん)といふことだい……ドツコイ…… (なん)といふことですか、032(つつし)んで()教示(けうじ)(うけたま)はりませう』
033駒山彦(こまやまひこ)『ソナイに叮嚀(ていねい)()うと(そん)がいくよ』
034猿世彦(さるよひこ)(だま)つてをれ、035(ただ)()はすのだもの』
036駒山彦(こまやまひこ)貴様(きさま)猿世彦(さるよひこ)他人真似(ひとまね)を、037また他処(ほか)でしやうと(おも)ふて()くのだらう』
038猿世彦(さるよひこ)『モシモシ清彦(きよひこ)宣伝使(せんでんし)(さま)039最前(さいぜん)三千(さんぜん)世界(せかい)(はなし)()かして(くだ)さいナ』
040清彦(きよひこ)『エヘン、041オホン、042アハン』
043猿世彦(さるよひこ)『また五十韻(ごじふゐん)か』
044清彦(きよひこ)(おれ)(くせ)だ、045マアしつかり()け。046三千(さんぜん)世界(せかい)一度(いちど)(ひら)(うめ)(はな)といふことはナ、047今日(こんにち)()(なか)(こめ)()(むし)沢山(たくさん)()えてきて、048おまけに(あそ)(やつ)ばかりで、049(こめ)()らぬ。050一方(いつぱう)には一年中(いちねんぢう)(こめ)(かほ)()たことの()い、051(くさ)()()つてをる人間(にんげん)もあるのだ。052それで(かみ)(さま)(たれ)(かれ)苦楽(くらく)(とも)にせよと仰有(おつしや)つて、053世界中(せかいぢう)がお(かゆ)()へと仰有(おつしや)るのだよ。054それも(いつ)ぺんに五膳(ごぜん)も、055八膳(はちぜん)()うてはいかぬ。056(いつ)ぺんに三膳(さんぜん)より余計(よけい)はいかぬ。057そこで三膳(さんぜん)にせー(かゆ)一度(いちど)といふのだよ』
058猿世彦(さるよひこ)成程(なるほど)それも面白(おもしろ)いが、059(ひら)(うめ)(はな)といふのは如何(どう)だい』
060清彦(きよひこ)(おほ)きな(くち)(ひら)いて、061五郎八(ごろはち)茶碗(ぢやわん)(かゆ)()つて、062(まへ)たちのやうな鼻高(はなだか)(かゆ)(すす)ると(はな)(かゆ)(うま)つてしまふのだ。063それで(ひら)()めの(はな)だ。064(ひら)いて()りて()(むす)ぶといふことは天井裏(てんじやううら)(ねずみ)(はし)姿(すがた)(うつ)るやうな(うす)(かゆ)でも()うとると、065ちつと米粒(こめつぶ)()をスウのだ。066それで(おほ)きな(くち)(ひら)いて、067ちつと()をもスウといふのだよ』
068猿世彦(さるよひこ)(ひと)莫迦(ばか)にしよる。069清彦(きよひこ)070真面目(まじめ)説教(せつけう)をせぬかい、071またブンなぐるぞ』
072清彦(きよひこ)貴様(きさま)たちにコンナ高遠(かうゑん)無量(むりやう)なる神界(しんかい)経綸(けいりん)(はな)して()かしたつて、073(みみ)三五教(あななひけう)だもの真正(ほんたう)(こと)(みみ)這入(はひ)(やう)になつてから()かして()らう。074この三五教(あななひけう)身魂(みたま)相応(さうおう)()れる(をしへ)だから、075(はじ)めて()()聖賢(せいけん)(をしへ)()いたところで、076石地蔵(いしぢざう)説教(せつけう)するやうなものだ。077まして(しいら)や、078蚯蚓(みみず)干乾(ひぼし)に、079真正(ほんたう)のことを()うて(たま)るかい。080身魂(みたま)(はや)(みが)け、081(みが)いたら身魂(みたま)相応(さうおう)説教(せつけう)をしてやるワイ』
082駒山彦(こまやまひこ)莫迦(ばか)にしよるなイ。083しかし(なが)(なみ)(うへ)(たび)だから、084軽口(かるくち)()くと(おも)えば、085辛抱(しんばう)ができる。086モツト()かしてくれ』
087清彦(きよひこ)貴様(きさま)らにわかる範囲内(はんゐない)講釈(かうしやく)をしてやらうかい』
088猿世彦(さるよひこ)時鳥(ほととぎす)(こゑ)()けども姿(すがた)()えぬといふことは、089一体(いつたい)どういふことですかいナ』
090清彦(きよひこ)『そりや貴様(きさま)身体(からだ)朝夕(あさゆふ)ついてゐるものだ。091(かゆ)()ふと(くそ)(やはら)かくなつて、092雪隠(せつちん)にゆくとポトポトと(おと)がするだらう。093さうして(あと)から芋粥(いもがゆ)妄念(もうねん)がスーと()る。094それで(くそ)がポトポト、095()がスーだ。096(くそ)肥料(こえ)になつて()くから、097こゑきけどもだ。098スーとでた()(かたち)()えぬだらう。099それで、100スーとでた()姿(すがた)()えぬと(かみ)(さま)仰有(おつしや)るのだよ』
101猿世彦(さるよひこ)馬鹿(ばか)ツ』
102大喝(だいかつ)する。103船客(せんきやく)一同(いちどう)はワツと一度(いちど)(わら)ひさざめく。
104 このとき(ふね)一隅(いちぐう)より容貌(ようばう)温順(おんじゆん)にして、105寛仁(くわんじん)大度(たいど)()()ち、106思慮(しりよ)高遠(かうゑん)にして智徳(ちとく)(すぐ)れ、107文武(ぶんぶ)両道(りやうだう)兼備(けんび)せるごとき一大(いちだい)神人(しんじん)()つて宣伝歌(せんでんか)(うた)(はじ)めけり。
108(日の出神)波風(なみかぜ)(あら)きアラビヤの
109筑紫(つくし)(しま)(あと)()
110(かみ)御稜威(みいづ)高砂(たかさご)
111智利(てる)(みやこ)(すす)みゆく
112(めぐみ)(ひろ)和田(わだ)(はら)
113御稜威(みいづ)(ふか)海洋(かいやう)
114(そこ)ひも()れぬ皇神(すめかみ)
115仕組(しぐみ)(いと)(あやつ)られ
116(こころ)()ぎし(なみ)(うへ)
117鬼城(きじやう)(やま)(あと)()
118()れにし(さと)猿世彦(さるよひこ)
119()せる(こころ)駒山彦(こまやまひこ)
120(なが)れてここに清彦(きよひこ)
121(かみ)(みこと)宣伝使(せんでんし)
122(みぎ)(ひだり)詰寄(つめよ)つて
123蠑螺(さざえ)(こぶし)(かた)めつつ
124痛々(いたいた)しくも(うち)かかる
125身魂(みたま)(きよ)清彦(きよひこ)
126(こら)へて(しの)真心(まごころ)
127(すめ)大神(おほかみ)御心(みこころ)
128(かな)(まつ)らむ天津(あまつ)()
129堅磐(かきは)常磐(ときは)智利(てる)(くに)
130襤褸(つづれ)(にしき)(まと)へども
131(こころ)(そら)照妙(てるたへ)
132(あや)(にしき)(つつ)まれて
133千尋(ちひろ)(そこ)(うみ)よりも
134(ふか)罪科(つみとが)(あがな)ひて
135(いま)(たつと)宣伝使(せんでんし)
136三五教(あななひけう)(ひら)きゆく
137(われ)暗夜(やみよ)()らすてふ
138()出神(でのかみ)宣伝使(せんでんし)
139(はし)なく此処(ここ)(のり)(ふね)
140(こころ)(ひと)つに托生(たくしやう)
141(すく)ひの(ふね)()()げて
142荒浪(あらなみ)(たけ)海原(うなばら)
143黒雲(くろくも)つつむ常世国(とこよくに)
144(あま)岩戸(いはと)押開(おしあ)けて
145()出神(でのかみ)神国(かみくに)
146(つく)(かた)めむ宣伝使(せんでんし)
147(つく)(かた)めむ宣伝使(せんでんし)
148(さわや)かに(うた)()したる神人(しんじん)あり。149清彦(きよひこ)はこの(こゑ)(おどろ)合掌(がつしやう)しながら、150()出神(でのかみ)英姿(えいし)伏拝(ふしをが)み、151落涙(らくるい)()せびける。
152大正一一・二・六 旧一・一〇 高橋常祥録)
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