霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 蛸入道(たこにふだう)〔三五七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻 篇:第2篇 四十八文字 よみ(新仮名遣い):しじゅうはちもじ
章:第7章 蛸入道 よみ(新仮名遣い):たこにゅうどう 通し章番号:357
口述日:1922(大正11)年02月06日(旧01月10日) 口述場所: 筆録者:有田九皐 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
闇の中に光明輝く姿を現した清彦は、絶対無限の神格備わり、眼もくらむばかりであった。猿世彦と駒山彦はしばらく息をこらしていたが、清彦の姿はばったりと消えうせた。
そして闇の中に大きな声が聞こえてきた。
その清彦の声によると、
今まで八頭八尾の大蛇の霊魂にたぶらかされて悪事の限りを尽くした自分だが、三五教の大慈の教えを聞いて、吾が身が恐ろしく、恥ずかしくなった。
日の出神の後を追って真人間になり、悪の改心の模範を天下に示そうと日夜、神に祈った。
そのお恵みで、朝日丸に乗り込んで日の出神にめぐり合い、教訓を賜って霊魂は神直日大直日に見直し聞き直され、今は日の出神のご名代にまでなることができた。
汝ら二人も、我を手本として片時も早く悪を悔い、善に立ち返って世界の鏡を謳われて黄泉比良坂の神業に参加せよ。
汝らの改心ができれば、また会うときもあろう。今は汝らが心の雲に隔てられて、自分の姿を現すことができないのが残念ではある。
そして辺りを照らす大火光となって中空に舞い上がり、智利の都を指して飛んでいった。
猿世彦と駒山彦はこの様を目の当たりにして、清彦の改心に心を打たれ、曲がりなりにも宣伝使となり、せめてもの罪の贖いをしよう、ということになった。そしてそれぞれ分かれてめいめい、高砂洲の宣伝を行うことになった。
猿世彦は南へ、駒山彦は北へと袂を分かった。
猿世彦は、光った頭から湯気を立てて、カン声を振り絞って海辺の村々を宣伝して回った。
ある漁村で漁師たちが猿世彦の姿を見て、大きな蛸が歩いてくると勘違いし、蛸の親分だと思って不漁の相談を持ちかけた。
猿世彦は快諾して、海に向かってカン声を絞って宣伝歌を歌い始めた。すると海面にたくさんの蛸が頭を出した。猿世彦が差し招くと、蛸たちはざるの中に数限りなく飛び込んだ。
このことが漁師仲間の評判となり、猿世彦は尊敬されることになった。この村はそれより、蛸取村と呼ばれるようになった。
蛸取村より数十町西方に、アリナの滝という大瀑布があった。猿世彦はそこに小さな庵を結んで、この地方の人々に三五教の教理を宣伝することになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-06-02 19:09:31 文字数:2338 OBC :rm0807
愛善世界社版:45頁 八幡書店版:第2輯 167頁 修補版: 校定版:47頁 普及版:20頁 初版: ページ備考:
001 忽(たちま)ち暗(やみ)の中(なか)に光明(くわうみやう)赫灼(かくしやく)たる神姿(しんし)を現(あらは)したる清彦(きよひこ)は、002絶対(ぜつたい)無限(むげん)の神格(しんかく)備(そな)はり、003仰(あふ)ぎ見(み)るに眼(め)も眩(くら)むばかりに全身(ぜんしん)輝(かがや)き渡(わた)りけり。
004 猿世彦(さるよひこ)、005駒山彦(こまやまひこ)は、006此(この)姿(すがた)に慴伏(しうふく)して屢(しば)し息(いき)を凝(こ)らしゐたるに、007清彦(きよひこ)の姿(すがた)は、008パツタリ消(き)えうせ、009暗(やみ)の中(なか)より耳(みみ)を裂(さ)く如(ごと)き大(だい)なる声(こゑ)聞(きこ)え来(き)たる。
010『猿世彦(さるよひこ)、011駒山彦(こまやまひこ)、012よく聞(き)けよ。013吾(われ)は汝(なんぢ)の知(し)る如(ごと)く、014今(いま)までは八頭(やつがしら)八尾(やつを)の大蛇(をろち)の霊魂(みたま)に誑(たぶら)かされ、015曲事(まがごと)のあらむ限(かぎ)りを尽(つ)くしたることは、016汝(なんぢ)らの熟知(じゆくち)する通(とほ)りなり。017然(さ)れど吾(われ)は三五教(あななひけう)の大慈悲(だいじひ)の神(かみ)の教(をしへ)を聞(き)きてより、018今(いま)までの吾身(わがみ)の為(な)し来(きた)りし事(こと)が恐(おそ)ろしく且(か)つ恥(はづか)しくなり、019日(ひ)の出神(でのかみ)の後(あと)を追(お)ひ、020真人間(まにんげん)に成(な)つて今(いま)までの悪(あく)に引(ひき)かへ、021善一筋(ぜんひとすぢ)の行(おこな)ひをなさむ、022悪(あく)も改心(かいしん)すれば此(この)通(とほ)りといふ模範(もはん)を、023天下(てんか)に示(しめ)すべく日夜(にちや)、024神(かみ)に祈(いの)りゐたるに、025神(かみ)の恵(めぐ)みは目(ま)の当(あた)り、026不思議(ふしぎ)にも名(な)さへ目出度(めでた)き朝日丸(あさひまる)に乗(の)り込(こ)み、027日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)に廻(めぐ)り会(あ)ひ、028結構(けつこう)な教訓(けうくん)を賜(たまは)りてより、029吾(わが)霊魂(みたま)は、030神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)に見直(みなほ)し聞(き)き直(なほ)され、031今(いま)は清(きよ)き清彦(きよひこ)が霊魂(れいこん)になつて世界(せかい)の暗(やみ)を照(てら)す日(ひ)の出神(でのかみ)の御(ご)名代(みやうだい)、032汝(なんぢ)ら二人(ふたり)は吾(わが)改心(かいしん)を手本(てほん)として、033一(いち)時(じ)も早(はや)く片時(かたとき)も速(すみや)かに悪(あく)を悔(く)い、034善(ぜん)に立帰(たちかへ)り、035世界(せかい)の鏡(かがみ)と謳(うた)はれて、036黄泉(よもつ)比良坂(ひらさか)の神業(かむわざ)に参加(さんか)せよ。037汝(なんぢ)の改心(かいしん)次第(しだい)によつて、038吾(われ)は再会(さいくわい)することあらむ。039汝(なんぢ)らが心(こころ)の雲(くも)に隔(へだ)てられ、040遺憾(ゐかん)ながら、041吾(わが)姿(すがた)を汝(なんぢ)らの目(め)に現(あら)はすことは出来(でき)なくなりしぞ。042駒山彦(こまやまひこ)、043猿世彦(さるよひこ)、044さらば』
045と云(い)ふより早(はや)く、046又(また)もや四辺(あたり)を照(てら)す大火光(だいくわくわう)となりて中空(ちうくう)に舞上(まひあが)り、047智利(てる)の都(みやこ)を指(さ)して中空(ちうくう)をかすめ飛去(とびさ)りける。
048猿世彦(さるよひこ)『オイ駒公(こまこう)、049本当(ほんたう)に清彦(きよひこ)は日(ひ)の出神(でのかみ)となりよつたな。050もうこれから清彦(きよひこ)の悪口(わるくち)は止(や)めにしようかい。051吾々(われわれ)を山(やま)の奥(おく)へ連(つ)れて行(ゆ)きよつて、052放(ほつ)とけ捨(ぼり)を喰(く)はした腹立(はらだち)まぎれに心(こころ)を鬼(おに)にして、053何処(どこ)までも邪魔(じやま)をしてやらうと思(おも)つたが、054たうてい悪(あく)は永続(ながつづ)きはせないよ。055お前(まへ)と俺(おれ)とが船(ふね)の中(なか)で、056あれだけ拳骨(げんこつ)を喰(くら)はしてやつても、057俺(おれ)の体(からだ)は鉄(てつ)じやといひよつて、058痛(いた)いのを辛抱(しんばう)して馬鹿口(ばかぐち)を叩(たた)いて笑(わら)ひに紛(まぎ)らして居(ゐ)たのは、059一通(ひととほ)りの忍耐力(にんたいりよく)ではないよ。060思(おも)へば馬鹿(ばか)な事(こと)を吾々(われわれ)はしたものだナ。061日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)はあの時(とき)に俺(おい)らの行(おこな)ひを見(み)て、062何(なん)と端(はし)たない奴(やつ)だ、063訳(わけ)の判(わか)らぬ馬鹿者(ばかもの)だと心(こころ)の中(なか)で思(おも)つて御座(ござ)つたぢやらう。064俺(おれ)はソンナ事(こと)を思(おも)ひだすと情(なさけ)無(な)くなつて消(き)えたい様(やう)になつて来(く)るわ』
065駒山彦(こまやまひこ)『それならこれから何(ど)うすると云(い)ふのだイ』
066猿世彦(さるよひこ)『まあ、067改心(かいしん)より仕方(しかた)が無(な)いな。068清彦(きよひこ)のやうにああ云(い)ふ立派(りつぱ)な日(ひ)の出神(でのかみ)になれなくても、069せめて曲(まが)りなりにでも宣伝使(せんでんし)になつて、070今(いま)までの罪(つみ)を贖(あがな)ひ、071身魂(みたま)を研(みが)いて、072黄泉(よもつ)比良坂(ひらさか)の神業(かむわざ)に参加(さんか)したいものだ。073どうでトコトンの改心(かいしん)は出来(でき)はしないが、074せめて悪口(わるくち)なと云(い)はないやうにして、075世界(せかい)を助(たす)けに廻(まは)らうじやないか。076而(さう)して一(ひと)つの功(こう)が立(たつ)たら又(また)清彦(きよひこ)の日(ひ)の出神(でのかみ)が会(あ)うてくれるだらう。077その時(とき)には立派(りつぱ)な宣伝使(せんでんし)だ、078天(あめ)の御柱(みはしら)の神(かみ)の片腕(かたうで)に成(な)つて働(はたら)かうと儘(まま)だよ。079是(これ)から各自(めいめい)に一人(ひとり)宛(づつ)宣伝(せんでん)する事(こと)にしようかい』
080駒山彦(こまやまひこ)『よからう よからう』
081と二人(ふたり)は茲(ここ)に袂(たもと)を別(わか)ち、082何処(いづこ)とも無(な)く足(あし)に任(まか)せて宣伝歌(せんでんか)を覚束(おぼつか)無(な)げに歌(うた)ひながら、083進(すす)み行(ゆ)く。084夜(よ)は仄々(ほのぼの)と白(しら)み初(そ)めぬ。085猿世彦(さるよひこ)は南(みなみ)へ、086駒山彦(こまやまひこ)は北(きた)へ北(きた)へと進(すす)み行(ゆ)く。
087 猿世彦(さるよひこ)は光(ひか)つた頭(あたま)から湯気(ゆげ)を立(た)てながら、088力(ちから)一(いつ)ぱい癇声(かんごゑ)を振搾(ふりしぼ)つて海辺(うみべ)の村々(むらむら)を歌(うた)つて行(ゆ)く。089ある漁夫町(りようしまち)に着(つ)きけるに、090四五(しご)人(にん)の漁夫(りようし)は猿世彦(さるよひこ)の奇妙(きめう)な姿(すがた)を見(み)て、
091甲(かふ)『オイ、092此(この)間(あひだ)からの風(かぜ)の塩梅(あんばい)で漁(りよう)が無(な)い無(な)いと云(い)つて、093お前(まへ)たちは悔(くや)みてゐるが、094天道(てんだう)は人(ひと)を殺(ころ)さずだ。095あれ見(み)よ、096大(おほ)きな章魚(たこ)が一疋(いつぴき)歩(ある)いて来(く)るわ。097あれでも生捕(いけど)つて料理(れうり)をしたら何(ど)うだらうかナア』
098乙(おつ)『シーツ、099高(たか)うは云(い)はれぬ、100聞(き)いて居(ゐ)るぞ。101聞(きこ)えたら逃(に)げるぞ逃(に)げるぞ』
102甲(かふ)『章魚(たこ)に聞(きこ)えてたまるかい。103なんぼ云(い)ふても聞(き)かぬ奴(やつ)は、104彼奴(あいつ)は耳(みみ)が蛸(たこ)になつたと云(い)ふだろ、105かまはぬかまはぬ大(おほ)きな声(こゑ)で話(はな)せ話(はな)せ。106オイ、107そこへ来(く)る蛸入道(たこにふだう)、108俺(おれ)はな、109此(この)村(むら)の漁夫(りようし)だが、110此(この)間(あひだ)から漁(りよう)が無(な)くて困(こま)つて居(ゐ)たのだ。111貴様(きさま)の蛸(たこ)のやうな頭(あたま)を俺(おれ)に呉(く)れないかイ』
112猿世彦(さるよひこ)『あゝあなた方(がた)は此処(ここ)の漁夫(りようし)さまですか。113蛸(たこ)は上(あ)げたいは山々(やまやま)ですが、114一(ひと)つよりかけがへの無(な)いこの蛸頭(たこあたま)、115残念(ざんねん)ながら御(お)上(あ)げ申(まを)す訳(わけ)には行(ゆ)きませぬ』
116丙(へい)『なにをぐづぐづ云(い)ふのだイ。117聞(き)かな聞(き)かぬで好(よ)い、118与(く)れな与(く)れぬで好(よ)い。119皆(みな)寄(よ)つてたかつて、120蛸(たこ)を釣(つ)つてやるぞ』
121猿世彦(さるよひこ)『それは結構(けつこう)です。122各自(めいめい)に御(お)釣(つ)りなさい。123蛸(たこ)が釣(つ)れるやうに祈(いの)つて上(あ)げますから』
124甲(かふ)『お前(まへ)さまが祈(いの)る。125これ丈(だけ)とれぬ蛸(たこ)が釣(つ)れますかい』
126猿世彦(さるよひこ)『釣(つ)れいでか、127そこが神(かみ)さまだ。128釣(つ)るのが邪魔(じやま)臭(くさ)ければ、129お前(まへ)さまも、130わしの云(い)ふやうに、131声(こゑ)を合(あは)して宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ひなさい。132蛸(たこ)はヌラヌラと海(うみ)から勝手(かつて)に這上(はいあが)つて、133お前(まへ)さまの持(も)つて居(を)る笊(ざる)の中(なか)に這入(はい)つて呉(く)れる。134そこを蓋(ふた)を閉(しめ)て家(いへ)へ持(も)つて帰(かへ)るのだ』
135 猿世彦(さるよひこ)は、136口(くち)から出(で)まかせに、137コンナ事(こと)を云(い)つてしまひける。
138乙(おつ)『おい、139蛸(たこ)の親方(おやかた)、140本当(ほんたう)にお前(まへ)の云(い)ふ通(とほ)りにすれば、141蛸(たこ)は上(あが)つて来(く)るかい』
142甲(かふ)『そら、143きまつた事(こと)だよ。144何分(なにぶん)親分(おやぶん)が云(い)はつしやるのだもの、145乾児(こぶん)が出(で)て来(こ)ぬ事(こと)があるかい。146夫(そ)れだから貴様(きさま)達(たち)もこの親分(おやぶん)の云(い)ふ事(こと)を聞(き)けと云(い)ふのだ。147俺(おれ)が呼(よ)んでも来(き)たり来(こ)なかつたり、148貴様(きさま)らは不心得(ふこころえ)な奴(やつ)だぞ。149もしもし蛸(たこ)の親方(おやかた)、150蛸(たこ)を呼(よ)んで下(くだ)さいな』
151 猿世彦(さるよひこ)は海面(かいめん)に向(むか)ひ、152疳声(かんごゑ)を搾(しぼ)りながら、153宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ひ始(はじ)めた。154漁夫(りようし)はその後(あと)について合唱(がつしやう)した。155海面(かいめん)には処々(ところどころ)に丸(まる)い渦(うづ)を描(ゑが)いて、156蛸入道(たこにふだう)の頭(あたま)がポコポコと顕(あら)はれて来(き)た。157猿世彦(さるよひこ)は、
158『来(きた)れ 来(きた)れ』
159と蛸(たこ)に向(む)かつて麾(さしまね)いた。160蛸(たこ)はその声(こゑ)の終(をは)ると共(とも)に、161笊(ざる)の中(なか)に数限(かずかぎ)りなく飛(と)び込(こ)みけり。162このこと漁夫(りようし)仲間(なかま)の評判(ひやうばん)と成(な)りて、163猿世彦(さるよひこ)を日(ひ)の出神(でのかみ)と尊敬(そんけい)する事(こと)となりぬ。164それより此(この)漁村(ぎよそん)は、165蛸取村(たことりむら)と名付(なづ)けられたり。
166 蛸取村(たことりむら)より数十町(すうじつちやう)西方(せいはう)に当(あた)つて、167アリナの滝(たき)と云(い)ふ大瀑布(だいばくふ)あり。168猿世彦(さるよひこ)は其処(そこ)に小(ちい)さき庵(いほり)を結(むす)び、169この地方(ちはう)の人々(ひとびと)に三五教(あななひけう)の教理(けうり)を宣伝(せんでん)する事(こと)となりける。
170(大正一一・二・六 旧一・一〇 有田九皐録)
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