霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第8巻(未の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 智利の都
第1章 朝日丸
第2章 五十韻
第3章 身魂相応
第4章 烏の妻
第5章 三人世の元
第6章 火の玉
第2篇 四十八文字
第7章 蛸入道
第8章 改心祈願
第9章 鏡の池
第10章 仮名手本
第3篇 秘露より巴留へ
第11章 海の竜宮
第12章 身代り
第13章 修羅場
第14章 秘露の邂逅
第15章 ブラジル峠
第16章 霊縛
第17章 敵味方
第18章 巴留の関守
第4篇 巴留の国
第19章 刹那心
第20章 張子の虎
第21章 滝の村
第22章 五月姫
第23章 黒頭巾
第24章 盲目審神
第25章 火の車
第26章 讃嘆
第27章 沙漠
第28章 玉詩異
第29章 原山祇
第5篇 宇都の国
第30章 珍山峠
第31章 谷間の温泉
第32章 朝の紅顔
第33章 天上眉毛
第34章 烏天狗
第35章 一二三世
第36章 大蛇の背
第37章 珍山彦
第38章 華燭の典
第6篇 黄泉比良坂
第39章 言霊解一
第40章 言霊解二
第41章 言霊解三
第42章 言霊解四
第43章 言霊解五
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第8巻(未の巻)
> 第5篇 宇都の国 > 第33章 天上眉毛
<<< 朝の紅顔
(B)
(N)
烏天狗 >>>
第三三章
天上
(
てんじやう
)
眉毛
(
まゆげ
)
〔三八三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻
篇:
第5篇 宇都の国
よみ(新仮名遣い):
うづのくに
章:
第33章 天上眉毛
よみ(新仮名遣い):
てんじょうまゆげ
通し章番号:
383
口述日:
1922(大正11)年02月10日(旧01月14日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
日が暮れてきたところで、一同は夜を明かすことになった。正鹿山津見によると、この先は大蛇峠と言って大蛇がたくさん出るところで、夜に越えるのは危ないという。
一行は宣伝歌を歌い、野宿することになった。
蚊々虎は目を覚まして、寝ている一同の顔を評論しながら、草の汁で落書きを始めた。そして自分には「世界一の色男」と書いて面白がっている。駒山彦が蚊々虎の笑い声に目を覚まして蚊々虎をたしなめるた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-06-07 15:37:34
OBC :
rm0833
愛善世界社版:
223頁
八幡書店版:
第2輯 230頁
修補版:
校定版:
227頁
普及版:
99頁
初版:
ページ備考:
001
炎熱
(
えんねつ
)
焼
(
や
)
くが
如
(
ごと
)
き
夏
(
なつ
)
の
空
(
そら
)
002
花
(
はな
)
の
都
(
みやこ
)
と
謳
(
うた
)
はれし
003
巴留
(
はる
)
の
都
(
みやこ
)
を
後
(
あと
)
にして
004
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
005
漸
(
やうや
)
うここに
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
き
006
桃上彦
(
ももがみひこ
)
を
相添
(
あひそ
)
へて
007
天津
(
あまつ
)
御神
(
みかみ
)
の
珍
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
008
世
(
よ
)
の
民草
(
たみぐさ
)
を
救
(
すく
)
はむと
009
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しき
宣伝歌
(
せんでんか
)
010
足
(
あし
)
を
揃
(
そろ
)
へて
珍山
(
うづやま
)
の
011
峠
(
たうげ
)
を
下
(
くだ
)
る
雄々
(
をを
)
しさよ。
012
日
(
ひ
)
は
漸
(
やうや
)
く
西
(
にし
)
に
傾
(
かたむ
)
き、
013
山
(
やま
)
と
山
(
やま
)
との
谷道
(
たにみち
)
には
大
(
だい
)
なる
影
(
かげ
)
映
(
さ
)
し
来
(
き
)
たる。
014
駒山彦
(
こまやまひこ
)
は、
015
駒山彦
『ヤア、
016
大分
(
だいぶ
)
に
涼
(
すず
)
しくなつて
来
(
き
)
たねー。
017
無
(
な
)
ければならず、
018
有
(
あ
)
つては
困
(
こま
)
るものは
太陽
(
たいやう
)
の
光熱
(
くわうねつ
)
だ。
019
斯
(
か
)
うして
山蔭
(
やまかげ
)
に
日
(
ひ
)
が
隠
(
かく
)
れると、
020
夜
(
よる
)
のやうに
涼
(
すず
)
しくなつて
来
(
き
)
た。
021
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
涼味
(
すずしさ
)
は
旅行
(
たび
)
をして
見
(
み
)
ねば
味
(
あぢ
)
はふことは
出来
(
でき
)
ぬものだナア』
022
蚊々虎
(
かがとら
)
は
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らせ、
023
蚊々虎
『
貴様
(
きさま
)
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
ふか、
024
罰当
(
ばちあた
)
り
奴
(
め
)
が。
025
無
(
な
)
ければならぬものの、
026
有
(
あ
)
つては
困
(
こま
)
るとは、
027
そら
何
(
なん
)
だ、
028
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ。
029
無
(
な
)
ければならぬもので、
030
無
(
な
)
くては
困
(
こま
)
る
日天
(
につてん
)
様
(
さま
)
、
031
暑
(
あつ
)
い
光熱
(
くわうねつ
)
を
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
から
照
(
てら
)
して
下
(
くだ
)
さつたのは、
032
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
厚
(
あつ
)
い
御恵
(
みめぐみ
)
だ。
033
さうして
涼
(
すず
)
しき
蔭
(
かげ
)
を
吾
(
われ
)
らに
投
(
な
)
げ
与
(
あた
)
へ、
034
澄
(
す
)
み
切
(
き
)
つた
風
(
かぜ
)
を
吹
(
ふ
)
かして
下
(
くだ
)
さるのは、
035
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
吾々
(
われわれ
)
を
保護
(
ほご
)
したまふ
清
(
きよ
)
き
涼
(
すず
)
しき
御恵
(
みめぐみ
)
の
御
(
お
)
かげだと
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
さぬか』
036
駒山彦
『やあ、
037
此奴
(
こいつ
)
は
一
(
ひと
)
つ
失策
(
しくじ
)
つた。
038
御
(
お
)
天道
(
てんだう
)
様
(
さま
)
、
039
いま
蚊々虎
(
かがとら
)
の
云
(
い
)
つた
通
(
とほ
)
りに
駒山彦
(
こまやまひこ
)
は
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
します』
040
蚊々虎
『ソラ
見
(
み
)
たか』
041
駒山彦
『
空
(
そら
)
見
(
み
)
たつて
日天
(
につてん
)
様
(
さま
)
は、
042
山
(
やま
)
に
御
(
お
)
隠
(
かく
)
れになつてゐるじやないか』
043
蚊々虎
『
空呆
(
そらとぼ
)
けるない』
044
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
は、
045
淤縢山津見
『ヤアヤア、
046
また
始
(
はじ
)
まつたか。
047
面白
(
おもしろ
)
いねー』
048
五月姫
(
さつきひめ
)
は
俯
(
うつ
)
むいて、
049
五月姫
『ホヽヽヽヽ』
050
と
微
(
かす
)
かに
笑
(
わら
)
ふ。
051
蚊々虎
(
かがとら
)
は、
052
蚊々虎
『
五月
(
さつき
)
の
空
(
そら
)
の
五月姫
(
さつきひめ
)
、
053
床
(
ゆか
)
しい
声
(
こゑ
)
で
花
(
はな
)
の
唇
(
くちびる
)
を
開
(
ひら
)
いて、
054
ホヽヽヽヽ
杜鵑
(
ほととぎす
)
、
055
声
(
こゑ
)
も
聞
(
きこ
)
えりや
姿
(
すがた
)
も
見
(
み
)
える。
056
見
(
み
)
れば
見
(
み
)
るほど
気高
(
けだか
)
い
姿
(
すがた
)
の
花菖蒲
(
はなあやめ
)
、
057
黒白
(
あやめ
)
も
分
(
わ
)
かぬ
暗
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
に、
058
綾
(
あや
)
に
尊
(
たふと
)
き
五月姫
(
さつきひめ
)
の
御
(
おん
)
道伴
(
みちづ
)
れ。
059
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
何
(
ど
)
うしても
女
(
をんな
)
に
限
(
かぎ
)
るねー。
060
男
(
をとこ
)
ばつかり
歩
(
ある
)
いて
居
(
を
)
ると、
061
何時
(
いつ
)
となしにゴツゴツとして
角張
(
かくば
)
つて、
062
どうもうまく
車
(
くるま
)
の
運転
(
うんてん
)
がつかぬやうだ』
063
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『
蚊々虎
(
かがとら
)
、
064
貴様
(
きさま
)
は
く
の
字形
(
じなり
)
の
腰付
(
こしつ
)
きで、
065
女
(
をんな
)
が
無
(
な
)
ければ
角
(
かど
)
が
立
(
た
)
つの、
066
ゴツゴツするのとようも
言
(
い
)
へたものぢや。
067
貴様
(
きさま
)
らに、
068
何
(
なん
)
ぼ
五月姫
(
さつきひめ
)
だつて
暑苦
(
あつくる
)
しい、
069
誰
(
たれ
)
が
秋波
(
しうは
)
を
送
(
おく
)
るものかい。
070
好
(
よ
)
い
気
(
き
)
になりよつて、
071
煽
(
おだ
)
て
揚
(
あ
)
げられて、
072
天下
(
てんか
)
の
色男
(
いろをとこ
)
は
俺
(
おれ
)
だいと
云
(
い
)
ふやうな、
073
その
鼻息
(
はないき
)
は
何
(
なん
)
だい』
074
蚊々虎
『
大分
(
だいぶ
)
駒
(
こま
)
の
息
(
いき
)
も
荒
(
あら
)
くなつたが、
075
弱
(
よわ
)
い
奴
(
やつ
)
だな。
076
苦
(
くる
)
しいのか、
077
夫
(
そ
)
れ
程
(
ほど
)
苦
(
くる
)
しければ
恰度
(
ちやうど
)
其処
(
そこ
)
に
都合
(
つがふ
)
の
好
(
よ
)
い
岩
(
いは
)
がある。
078
其処
(
そこ
)
で
一服
(
いつぷく
)
やつたら
何
(
ど
)
うだ。
079
足
(
あし
)
の
弱
(
よわ
)
い、
080
腰
(
こし
)
の
弱
(
よわ
)
い
宣伝使
(
せんでんし
)
を
伴
(
つ
)
れて
歩
(
ある
)
くと、
081
足手
(
あして
)
纏
(
まと
)
ひになつて
困
(
こま
)
る。
082
まあ
貴様
(
きさま
)
一服
(
いつぷく
)
でもするが
好
(
よ
)
いわ。
083
モシモシ
淤縢山
(
おどやま
)
さま、
084
正鹿山
(
まさかやま
)
さま
貴方
(
あなた
)
達
(
たち
)
も
何
(
なん
)
なら
一服
(
いつぷく
)
なさつたら
如何
(
どう
)
ですか。
085
五月姫
(
さつきひめ
)
さま
貴方
(
あなた
)
は
女
(
をんな
)
にも
似合
(
にあ
)
はぬ
御
(
お
)
脚
(
あし
)
は
達者
(
たつしや
)
だ。
086
脚
(
あし
)
の
達者
(
たつしや
)
なもの
同士
(
どうし
)
一足
(
ひとあし
)
御
(
お
)
先
(
さき
)
へ
失敬
(
しつけい
)
しませうか』
087
駒山彦
『ヤア、
088
うまい
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひよる。
089
貴様
(
きさま
)
の
腹
(
はら
)
は
読
(
よ
)
めたぞ。
090
五月
(
さつき
)
さま、
091
貴方
(
あなた
)
も
休
(
やす
)
みなさい。
092
蚊々虎
(
かがとら
)
一人
(
ひとり
)
先
(
さき
)
に
行
(
い
)
つて、
093
道
(
みち
)
を
踏
(
ふ
)
ん
迷
(
まよ
)
つて
谷底
(
たにそこ
)
へ
落
(
お
)
ちて
寂滅
(
じやくめつ
)
為楽
(
ゐらく
)
だ。
094
先
(
さき
)
へ
行
(
ゆ
)
け、
095
骨
(
ほね
)
くらゐは
駒山彦
(
こまやまひこ
)
が
道伴
(
みちづ
)
れの
好意
(
よしみ
)
で
拾
(
ひろ
)
つてやるワイ』
096
蚊々虎
『ヤア、
097
邪魔
(
じやま
)
臭
(
くさ
)
い
縁起
(
えんぎ
)
でも
無
(
な
)
いこと
云
(
い
)
ひよるから、
098
俺
(
おれ
)
も
一
(
ひと
)
つ
達者
(
たつしや
)
な
足
(
あし
)
を
辛抱
(
しんばう
)
して
休
(
やす
)
ましてやろかい』
099
駒山彦
『
倒頭
(
たうとう
)
本音
(
ほんね
)
を
吹
(
ふ
)
きよつた。
100
アハヽヽヽ』
101
一行
(
いつかう
)
は、
102
平面
(
へいめん
)
な
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
に
足
(
あし
)
を
伸
(
の
)
ばして
暫時
(
しばらく
)
休息
(
きうそく
)
する。
103
太陽
(
たいやう
)
は
全
(
まつた
)
く
地平線
(
ちへいせん
)
下
(
か
)
に
没
(
ぼつ
)
せしと
見
(
み
)
えて、
104
四辺
(
あたり
)
は
追々
(
おひおひ
)
と
暗
(
くら
)
くなり
来
(
き
)
たる。
105
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
は
不安
(
ふあん
)
な
顔
(
かほ
)
で、
106
正鹿山津見
『まだ
是
(
これ
)
から
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
へは
余程
(
よほど
)
の
道程
(
みちのり
)
があります。
107
この
先
(
さき
)
にモー
一
(
ひと
)
つ
大
(
おほ
)
きな
山
(
やま
)
を
越
(
こ
)
さねばなりませぬが、
108
何分
(
なにぶん
)
荊棘
(
けいきよく
)
の
茂
(
しげ
)
つた
猪
(
しし
)
より
通
(
かよ
)
つたことの
無
(
な
)
い、
109
而
(
そ
)
して
嶮
(
けは
)
しい
山道
(
やまみち
)
ですから、
110
悠
(
ゆつ
)
くりと
此処
(
ここ
)
で
夜
(
よ
)
を
明
(
あ
)
かしませうか。
111
この
先
(
さき
)
の
山
(
やま
)
は
天雲山
(
てんうんざん
)
と
云
(
い
)
つて
此
(
この
)
珍山峠
(
うづやまたうげ
)
よりも
余程
(
よほど
)
高
(
たか
)
いですよ。
112
而
(
そ
)
して
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
大変
(
たいへん
)
な
大蛇
(
をろち
)
や
毒蛇
(
どくじや
)
が
道
(
みち
)
に
横
(
よこ
)
たはつて
居
(
ゐ
)
ますから、
113
夜
(
よる
)
の
旅
(
たび
)
は
危険
(
きけん
)
ですからな。
114
此
(
こ
)
の
峠
(
たうげ
)
を
大蛇峠
(
をろちたうげ
)
と
云
(
い
)
ふ
位
(
くらゐ
)
ですから』
115
蚊々虎
『
何
(
なに
)
ツ!、
116
大蛇峠
(
をろちたうげ
)
ですか、
117
大蛇
(
をろち
)
が
出
(
で
)
ると、
118
其奴
(
そいつ
)
は
面白
(
おもしろ
)
い。
119
日頃
(
ひごろ
)
の
腕試
(
うでだめ
)
し
度胸
(
どきよう
)
試
(
だめ
)
しだ。
120
夫
(
そ
)
れを
聞
(
き
)
けば
蚊々虎
(
かがとら
)
の
腕
(
うで
)
は
りゆう
りゆうと
鳴
(
な
)
つて
来
(
く
)
る。
121
ヤア、
122
面白
(
おもしろ
)
い、
123
矢
(
や
)
も
楯
(
たて
)
も
堪
(
たま
)
らぬやうになつて
来
(
き
)
たワ。
124
オイ、
125
一同
(
いちどう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
126
一
(
ひと
)
つ
大蛇
(
だいじや
)
に
向
(
むか
)
つて
宣伝歌
(
せんでんか
)
でも
聞
(
き
)
かしてやらうじやないか。
127
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
徳
(
とく
)
に
依
(
よ
)
つて
大蛇
(
だいじや
)
は
神格化
(
しんかくくわ
)
して
大変
(
たいへん
)
な
美人
(
びじん
)
になるよ』
128
駒山彦
(
こまやまひこ
)
は
呆
(
あき
)
れて、
129
駒山彦
『また
美人
(
びじん
)
のことを
云
(
い
)
ひよる。
130
貴様
(
きさま
)
一人
(
ひとり
)
行
(
ゆ
)
くが
好
(
よ
)
いワ』
131
蚊々虎
『
驚
(
おどろ
)
いたか、
132
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
したか、
133
おつ
魂消
(
たまげ
)
たか、
134
何
(
なん
)
だい
其
(
そ
)
の
顔色
(
かほいろ
)
は。
135
青大将
(
あをだいしやう
)
のやうに
真蒼
(
まつさを
)
になりよつて、
136
阿呆
(
あはう
)
大将
(
だいしやう
)
奴
(
め
)
が』
137
駒山彦
『コラコラ、
138
蚊々虎
(
かがとら
)
、
139
阿呆
(
あはう
)
大将
(
だいしやう
)
と
云
(
い
)
ふことがあるか、
140
駒山
(
こまやま
)
の
前
(
まへ
)
で
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ』
141
蚊々虎
『
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
すとも、
142
今
(
いま
)
まで
駱駝
(
らくだ
)
に
乗
(
の
)
つてゐたが、
143
今度
(
こんど
)
は
大蛇
(
だいじや
)
の
背
(
せなか
)
に
乗
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しだ』
144
駒山彦
『
偉
(
えら
)
い
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
くね。
145
実物
(
じつぶつ
)
を
拝見
(
はいけん
)
したら
反対
(
あべこべ
)
に
蚊々虎
(
かがとら
)
の
方
(
はう
)
から、
146
尾
(
を
)
を
巻
(
ま
)
いて
遁
(
に
)
げるだらう』
147
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
は
静
(
しづ
)
かに、
148
正鹿山津見
『
闇夜
(
やみよ
)
の
事
(
こと
)
と
云
(
い
)
ひ、
149
峻山
(
しゆんざん
)
絶壁
(
ぜつぺき
)
といひ、
150
夜道
(
よみち
)
に
日
(
ひ
)
は
暮
(
くれ
)
ませぬ。
151
まあ、
152
悠
(
ゆつ
)
くりと
致
(
いた
)
しませう』
153
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
は、
154
その
尾
(
を
)
について、
155
淤縢山津見
『また
新
(
あたら
)
しい
日輪
(
にちりん
)
様
(
さま
)
を
拝
(
をが
)
むまで、
156
此処
(
ここ
)
で
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
あげ
)
て
御
(
お
)
日待
(
ひま
)
ちを
致
(
いた
)
しませうか』
157
一同
(
いちどう
)
『よろしからう』
158
と
巌上
(
がんじやう
)
に
端坐
(
たんざ
)
し、
159
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
160
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
一通
(
ひととほ
)
り
歌
(
うた
)
つて、
161
岩
(
いは
)
の
褥
(
しとね
)
に
腕枕
(
うでまくら
)
、
162
星
(
ほし
)
の
紋
(
もん
)
のついた
青
(
あを
)
い
蒲団
(
ふとん
)
を
被
(
かぶ
)
つて、
163
華胥
(
くわしよ
)
の
国
(
くに
)
に
遊楽
(
いうらく
)
の
身
(
み
)
となりぬ。
164
半
(
はん
)
円
(
ゑん
)
の
月
(
つき
)
は
東天
(
とうてん
)
をかすめて
昇
(
のぼ
)
り
来
(
き
)
たる。
165
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
姿
(
すがた
)
は
手
(
て
)
に
取
(
と
)
る
如
(
ごと
)
く
明
(
あきら
)
かに
見
(
み
)
え
出
(
だ
)
し
来
(
き
)
たりぬ。
166
蚊々虎
(
かがとら
)
は
目
(
め
)
を
醒
(
さま
)
し、
167
蚊々虎
『ヤア、
168
何
(
ど
)
れも
此
(
こ
)
れも、
169
よく
臥
(
ふ
)
せり
居
(
を
)
つたものだナア。
170
人間
(
にんげん
)
も
罪
(
つみ
)
の
無
(
な
)
いものだワイ。
171
何奴
(
どいつ
)
の
顔
(
かほ
)
が
一番
(
いちばん
)
罪
(
つみ
)
のない
顔
(
かほ
)
をしてゐるか、
172
一々
(
いちいち
)
点検
(
てんけん
)
をしてやらうかい。
173
まづ
第一
(
だいいち
)
に
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
の
首実検
(
くびじつけん
)
に
及
(
およ
)
ぶとしようか。
174
ヤア、
175
此奴
(
こいつ
)
は
昔
(
むかし
)
から
悪
(
わる
)
い
奴
(
やつ
)
だと
思
(
おも
)
つたが、
176
ホンニ
一寸
(
ちよつと
)
悪
(
わる
)
さうな
顔
(
かほ
)
をしてをるワイ。
177
この
口許
(
くちもと
)
が
一寸
(
ちよつと
)
憎
(
にく
)
らしい。
178
大
(
おほ
)
きな
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
けよつて、
179
涎
(
よだれ
)
を
出
(
だ
)
して
居
(
を
)
る
所
(
ところ
)
の
態
(
ざま
)
と
云
(
い
)
つたら、
180
見
(
み
)
られたものぢや
無
(
な
)
いワイ。
181
幸
(
さいは
)
ひ
峠
(
たうげ
)
を
下
(
くだ
)
る
時
(
とき
)
に
むし
つてきた
桑
(
くは
)
の
実
(
み
)
がある。
182
此奴
(
こいつ
)
で
一
(
ひと
)
つ
顔
(
かほ
)
を
彩
(
ゑど
)
つてやらうかナア』
183
と
独語
(
ひとりごと
)
を
云
(
い
)
ひながら、
184
口
(
くち
)
の
辺
(
あた
)
り
目
(
め
)
の
周囲
(
まはり
)
に
紫
(
むらさき
)
の
汁
(
しる
)
を
塗
(
ぬり
)
つけた。
185
月影
(
つきかげ
)
に
すかし
て
見
(
み
)
て、
186
蚊々虎
『ヤア、
187
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
188
明日
(
あす
)
の
朝
(
あさ
)
になつたら
随分
(
ずゐぶん
)
吃驚
(
びつくり
)
することだらう。
189
此奴
(
こいつ
)
は「
地獄
(
ぢごく
)
行
(
ゆ
)
き」と
書
(
か
)
いて
置
(
お
)
いてやれ』
190
と
頬辺
(
ほほべた
)
に
印
(
しるし
)
を
入
(
い
)
れる。
191
蚊々虎
『ヤア、
192
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
の
顔
(
かほ
)
か。
193
此奴
(
こいつ
)
は
割
(
わり
)
とは
悪人
(
あくにん
)
に
似合
(
にあ
)
はぬ
好
(
よ
)
い
顔
(
かほ
)
だな。
194
彩
(
ゑど
)
ると
却
(
かへ
)
つて
似合
(
にあ
)
はぬかも
知
(
し
)
れないが、
195
片怨
(
かたうら
)
みがあるといかぬから、
196
何
(
なん
)
なと
書
(
か
)
いてやらうか』
197
と
鼻
(
はな
)
を
紫
(
むらさき
)
に
塗
(
ぬ
)
つて
了
(
しま
)
つた。
198
蚊々虎
『サア、
199
これから
矢釜敷家
(
やかましや
)
の
駒公
(
こまこう
)
だ。
200
此奴
(
こいつ
)
の
額
(
ひたい
)
に
何
(
なん
)
と
書
(
か
)
いてやらうかナ。
201
分
(
わか
)
つた「
五月姫
(
さつきひめ
)
欲
(
ほ
)
しさに、
202
よう
妬
(
や
)
く
男
(
をとこ
)
」と、
203
ハヽヽヽヽ
是
(
これ
)
で
好
(
い
)
い。
204
サアこれから
五月姫
(
さつきひめ
)
の
番
(
ばん
)
だ、
205
花
(
はな
)
の
顔
(
かんばせ
)
月
(
つき
)
の
眉
(
まゆ
)
、
206
何処
(
どこ
)
にも
欠点
(
けつてん
)
がないワイ。
207
それでも
御
(
お
)
附合
(
つきあひ
)
に
何
(
なん
)
とかせなくてはなるまい。
208
オーさうだ、
209
角隠
(
つのかく
)
しの
天上
(
てんじやう
)
眉毛
(
まゆげ
)
だ』
210
と、
211
チヨボチヨボと
額
(
ひたい
)
に
円
(
まる
)
を
描
(
ゑが
)
いた。
212
蚊々虎
『やあ、
213
此奴
(
こいつ
)
は
素的
(
すてき
)
だ。
214
ますます
別嬪
(
べつぴん
)
になつた。
215
何処
(
どこ
)
とも
無
(
な
)
しに
愛嬌
(
あいけう
)
が
弥増
(
いやまし
)
て
威厳
(
ゐげん
)
が
加
(
くは
)
はつた。
216
ヤア、
217
これで
済
(
す
)
みか。
218
俺
(
おれ
)
だけ
無疵
(
むきず
)
で
居
(
を
)
つては
面白
(
おもしろ
)
くないから、
219
俺
(
おれ
)
も
一
(
ひと
)
つやつてやらうかな、
220
ウンさうだ。
221
「
世界一
(
せかいいち
)
の
色男
(
いろをとこ
)
」と
書
(
か
)
いて
置
(
お
)
いてやろかい。
222
ハヽヽヽヽ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
223
ドツコイ
面黒
(
おもくろ
)
い
面黒
(
おもくろ
)
い、
224
五百
(
ごひやく
)
羅漢
(
らかん
)
の
陳列場
(
ちんれつぢやう
)
見
(
み
)
たやうになつて
了
(
しま
)
つた。
225
ワハヽヽヽ』
226
駒山彦
(
こまやまひこ
)
は
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まして、
227
駒山彦
『
誰
(
たれ
)
だ、
228
安眠
(
あんみん
)
の
妨害
(
ばうがい
)
する
奴
(
やつ
)
は。
229
人間
(
にんげん
)
はな、
230
刹那心
(
せつなしん
)
だよ。
231
寝
(
ね
)
る
時
(
とき
)
にはグツと
寝
(
ね
)
て、
232
働
(
はたら
)
く
時
(
とき
)
には
働
(
はたら
)
くのだぞ。
233
気違
(
きちが
)
ひの
様
(
やう
)
に
五月姫
(
さつきひめ
)
と
婚礼
(
こんれい
)
でもしてゐるやうな
夢
(
ゆめ
)
でも
見
(
み
)
居
(
を
)
つたのか。
234
何
(
なん
)
だい、
235
夜中
(
よなか
)
に
笑
(
わら
)
ひよつて
早
(
はや
)
く
寝
(
ね
)
ぬか』
236
蚊々虎
『ハイハイ、
237
寝
(
ね
)
ます
寝
(
ね
)
ます、
238
お
前
(
まへ
)
等
(
たち
)
も
頭
(
あたま
)
を
上
(
あ
)
げぬと
寝
(
ね
)
るがよいワイ。
239
ヤア、
240
早
(
はや
)
く
寝
(
ね
)
て
了
(
しま
)
つたな。
241
全
(
まる
)
で
鱶
(
ふか
)
の
化物
(
ばけもの
)
を
見
(
み
)
たやうな
奴
(
やつ
)
だ。
242
ワハヽヽヽ、
243
誰
(
たれ
)
も
彼
(
かれ
)
も
罪
(
つみ
)
の
無
(
な
)
いやうな
有
(
あ
)
るやうな
顔
(
かほ
)
してよく
寝
(
ね
)
てるワイ。
244
この
蚊々虎
(
かがとら
)
も
附
(
つ
)
き
合
(
あ
)
ひだ。
245
狸
(
たぬき
)
の
空寝入
(
そらねい
)
りでもやらかさうかナア』
246
とゴロツと
肘
(
ひぢ
)
を
枕
(
まくら
)
に
横
(
よこ
)
たわりける。
247
真心
(
まごころ
)
や
巌面
(
いはおも
)
寝暖
(
ゐぬく
)
桑
(
くは
)
の
夢
(
ゆめ
)
(弓)
248
(
大正一一・二・一〇
旧一・一四
外山豊二
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 朝の紅顔
(B)
(N)
烏天狗 >>>
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第8巻(未の巻)
> 第5篇 宇都の国 > 第33章 天上眉毛
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第33章 天上眉毛|第8巻|霊主体従|霊界物語|/rm0833】
合言葉「みろく」を入力して下さい→