霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三四章 烏(からす)天狗(てんぐ)〔三八四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻 篇:第5篇 宇都の国 よみ(新仮名遣い):うづのくに
章:第34章 烏天狗 よみ(新仮名遣い):からすてんぐ 通し章番号:384
口述日:1922(大正11)年02月10日(旧01月14日) 口述場所: 筆録者:森良仁 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
夜更けに吹く風が松を揺らす音に五月姫は目を覚ました。そして寝ている一同の顔を批評し始めたが、みな顔になにやら落書きがしてあるのを見て、思わず笑ってしまった。
蚊々虎は寝た振りをして、五月姫の声におかしさをこらえている。駒山彦は五月姫の笑い声に目を覚まして怒ってしかりつけた。蚊々虎はついにこらえきれず、大笑いをしてしまう。
その声に淤縢山津見と正鹿山津見も目を覚ましてしまった。そうこうするうちに夜が明けて来たが、それで一同は、それぞれの顔に落書きがされていることに気がついた。
一同は蚊々虎のいたずらだとわかって呆れている。水のあるところまで行かないと、落書きを落とせないので、仕方なくこのまま大蛇峠へと進んでいった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-06-07 15:39:47 文字数:2778 OBC :rm0834
愛善世界社版:232頁 八幡書店版:第2輯 234頁 修補版: 校定版:236頁 普及版:102頁 初版: ページ備考:
001 月(つき)は中空(ちうくう)に輝(かがや)き、002星(ほし)稀(まれ)なる大御空(おほみそら)、003雲(くも)を散(ち)らして吹(ふ)く松風(まつかぜ)の音(おと)に、004五月姫(さつきひめ)は目(め)を醒(さ)まし淤縢山津見(おどやまづみ)の顔(かほ)に目(め)を注(そそ)ぎ、
005五月姫『これはこれは淤縢山津見(おどやまづみ)さまも、006ああして歩(ある)いて居(を)れば、007立派(りつぱ)な男(をとこ)らしい神(かみ)さまのやうな御(お)顔(かほ)だが、008一切(いつさい)万事(ばんじ)を忘(わす)れ、009御(お)寝(やすみ)になつた時(とき)の御(お)顔(かほ)は悪相(あくさう)に見(み)える。010是(これ)も矢張(やつぱ)り心(こころ)の色(いろ)かいなー。011正鹿(まさか)山津見(やまづみ)様(さま)の此(こ)の御鼻(みはな)は何(なん)として是(これ)ほど赤(あか)いのだらう。012鼻筋(はなすぢ)の通(とほ)つた、013綺麗(きれい)な男前(をとこまへ)だと思(おも)うたに、014此(こ)のまた鼻(はな)は何事(なにごと)ぞ、015甚(はなは)だ醜(みに)くい御(お)顔立(かほだち)。016ヤアヤア蚊々虎(かがとら)さまの御(お)顔(かほ)にも妙(めう)な色(いろ)が顕(あら)はれて居(を)る、017蚊々虎(かがとら)さま、018「世界(せかい)第一(だいいち)の色男(いろをとこ)」と書(か)いてある。019ホヽヽヽヽ、020罪(つみ)の無(な)ささうな御(お)顔(かほ)。021本当(ほんたう)に此(こ)の御(お)顔(かほ)は神(かみ)様(さま)のやうだわ。022ヤー嫌(いや)な事(こと)、023「五月姫(さつきひめ)に惚(ほ)れて、024よう妬(や)く男(をとこ)」アヽ嫌(いや)な事(こと)、025駒山(こまやま)さまたら何(なん)と妙(めう)な御(お)顔(かほ)に成(な)られたでせう。026ホヽヽヽヽ』
027 蚊々虎(かがとら)は五月姫(さつきひめ)の声(こゑ)を聞(き)きながら、028可笑(をか)しさを耐(こら)へて歯(は)を喰締(くひしば)り、029クークーと口(くち)の中(なか)で笑(わら)うて居(を)る。
030 駒山彦(こまやまひこ)は五月姫(さつきひめ)の声(こゑ)にムツクと起(お)き上(あが)り、031五月姫(さつきひめ)の襟髪(えりがみ)をグツと握(にぎ)つて、
032駒山彦『コラ素平太(すべた)、033何(なに)を吐(ぬ)かしよるのだい。034淤縢山津見(おどやまづみ)の顔(かほ)は悪相(あくさう)だの、035正鹿山津見(まさかやまづみ)の顔(かほ)が赤(あか)いの、036好(す)きだの嫌(きら)ひのと吐(ほ)ざきよつて、037剰(おま)けに「世界一(せかいいち)の色男(いろをとこ)だ」なんて、038俺(おれ)が知(し)らずと寝(ね)て居(を)るに余(あんま)りだ。039駒山彦(こまやまひこ)は「五月姫(さつきひめ)に惚(ほ)れて、040よう妬(や)く男(をとこ)」なんて馬鹿(ばか)にするな、041女旱(をんなひでり)のない世(よ)の中(なか)だ。042世界(せかい)に男(をとこ)の数(かず)が四分(しぶ)、043女(をんな)の数(かず)が六分(ろくぶ)、044何(なん)だ其(その)シヤツ面(つら)は。045貴様(きさま)のやうな女(をんな)は、046此(こ)の高砂島(たかさごじま)には、047笊(ざる)で量(はか)る程(ほど)ごろついて居(を)るのだ。048ヘン天上(てんじよう)眉毛(まゆげ)を附(つ)けよつて、049馬鹿(ばか)にするない。050人(ひと)が知(し)らぬと寝(ね)て居(ゐ)るかと思(おも)うて、051蚊々虎(かがとら)の顔(かほ)を穴(あな)の明(あ)くほど覗(のぞ)きよつて、052世界一(せかいいち)の色男(いろをとこ)だと、053何(なに)を吐(ほ)ざきよるのだ。054惚(ほ)れた貴様(きさま)の目(め)からは菊石(あばた)も靨(ゑくぼ)、055鼻(はな)の取(と)れたのも、056腰(こし)の曲(まが)つたのも、057優(しほ)らしう見(み)えるだらう。058月(つき)は皎々(かうかう)として天空(てんくう)高(たか)く輝(かがや)き渡(わた)れども、059お前(まへ)の胸(むね)は恋(こひ)の暗(やみ)だ。060味噌(みそ)も糞(くそ)も一所(いつしよ)雑多(くた)にしよつて、061誰(たれ)がお前(まへ)のやうな端女(はしため)に惚(ほ)れるの妬(や)くのと余(あんま)り馬鹿(ばか)にするない』
062蚊々虎(かがとら)『クヽヽヽヽヽ、063ウハヽヽヽヽ、064面白(おもしろ)い面白(おもしろ)い。065おつとどつこい、066クヽヽ桑(くは)の実(み)で顔(かほ)を彩(ゑど)られ、067面赤(おもあか)いワイ。068ウハヽヽヽ』
069 此(この)笑(わら)ひ声(ごゑ)に、070淤縢山津見(おどやまづみ)、071正鹿山津見(まさかやまづみ)の二人(ふたり)は、072ムツクと起(お)き上(あが)り、
073淤縢山津見『あゝよく寝入(ねい)つて居(ゐ)たのにあた喧(やかま)しい、074折角(せつかく)の面白(おもしろ)い夢(ゆめ)を破(やぶ)られて了(しま)うた。075貴様(きさま)らは困(こま)つた奴(やつ)ぢやなー。076夜明(よあ)けに間(ま)もあるまい。077モー一(ひ)と寝入(ねい)りせなくちやならないから、078お前(まへ)達(たち)も黙(だま)つて寝(ね)たら宜(よ)からう』
079駒山彦(こまやまひこ)『ヤー淤縢山津見(おどやまづみ)さま、080貴方(あなた)の顔(かほ)はソラ何(な)んだ。081正鹿山津見(まさかやまづみ)さま、082其(その)鼻(はな)は何(ど)うした。083チト変(へん)だぜ』
084淤縢山津見(おどやまづみ)『変(へん)でも何(なん)でも宜(よ)い。085やつぱり顔(かほ)は顔(かほ)ぢや』
086正鹿山津見(まさかやまづみ)『鼻(はな)は鼻(はな)だよ。087アヽ喧(やかま)しい奴(やつ)だ』
088蚊々虎(かがとら)『ウハヽヽヽ』
089五月姫(さつきひめ)『ホヽヽヽヽ』
090駒山彦(こまやまひこ)『馬鹿(ばか)々々(ばか)しい、091笑(わら)ひ所(どころ)か、092人(ひと)の顔(かほ)の棚下(たなおろ)しをしよつて、093素平太(すべた)の癖(くせ)になア』
094淤縢山津見(おどやまづみ)『コレコレ駒山彦(こまやまひこ)、095三五教(あななひけう)だ。096宣(の)り直(なほ)さぬかい』
097駒山彦(こまやまひこ)『ハイハイ』
098 さう斯(こ)うする間(ま)に月(つき)の色(いろ)は漸(やうや)く褪(あ)せて、099其処(そこ)ら一面(いちめん)ホンノリと明(あか)くなり来(き)たりぬ。100諸鳥(ももとり)は言(い)ひ合(あは)したるやうに、101木々(きぎ)の梢(こずゑ)に囀(さへづ)り始(はじ)めた。102数十羽(すうじつぱ)の烏(からす)は、103五(ご)人(にん)が安臥(あんぐわ)せる上空(じやうくう)をアホウアホウと鳴(な)きわたる。
104蚊々虎(かがとら)『オイ、105阿呆(あはう)共(ども)、106起(お)きぬかい。107烏(からす)までアホウアホウと言(い)うてるよ。108お天道(てんと)さまに、109いい面曝(つらさら)しだ。110お前(まへ)たちの顔(かほ)は何(な)んだい』
111 一同(いちどう)はムツクと起上(おきあが)り互(たが)ひに顔(かほ)を見合(みあは)せ、
112一同(いちどう)『ヤーヤー、113ヨーヨー、114誰(たれ)だい、115コンナ悪戯(いたづら)をしよつたのは』
116駒山彦(こまやまひこ)『蚊々虎(かがとら)だ、117決(き)まつてるわ』
118蚊々虎『お前(まへ)たちの面(つら)を熟々(つらつら)考(かんが)ふるに、119之(これ)は矢張(やつぱ)り烏(からす)の仕業(しわざ)だなア。120烏(からす)が最前(さいぜん)も大(おほ)きな声(こゑ)でカアカアカアカア蚊々虎(かがとら)かも知(し)れぬと鳴(な)いて居(ゐ)たよ。121察(さつ)する所(ところ)、122要(えう)するに即(すなは)ち、123天狗(てんぐ)の悪戯(てんご)だよ。124天狗(てんぐ)といふ奴(やつ)はなア、125黒(くろ)い顔(かほ)しよつて腰(こし)の曲(まが)つてる癖(くせ)に、126悪戯(いたづら)をする奴(やつ)だ』
127 駒山彦(こまやまひこ)は吹(ふ)き出(だ)し、
128駒山彦『たうとう白状(はくじやう)しやがつたなア。129ヤー貴様(きさま)の顔(かほ)には「世界(せかい)第一(だいいち)の色男(いろをとこ)」だて、130馬鹿(ばか)にしよるわ。131俺(おれ)も何(なん)だか顔(かほ)が鬱陶敷(うつたうしい)、132顔(かほ)の皮(かは)が、133引(ひ)つ張(は)るやうだ。134正鹿山津見(まさかやまづみ)さま、135一寸(ちよつと)私(わたし)の顔(かほ)を見(み)て下(くだ)さいナ』
136とニウと突(つ)き出(だ)す。
137正鹿山津見『ヨー書(か)いたりな書(か)いたりな、138しかも赤字(あかじ)で、139五月姫(さつきひめ)に惚(ほ)れて能(よ)う妬(や)く男(をとこ)ハヽヽヽヽ』
140駒山彦『ヤー夫(そ)れで読(よ)めた。141五月姫(さつきひめ)さま、142済(す)まなかつた、143宣(の)り直(なほ)しますよ。144貴方(あなた)私(わたし)の顔(かほ)の字(じ)を見(み)たのだなア。145私(わたし)はまたお前(まへ)さまが私(わたし)の悪口(あくこう)を云(い)うたのだと思(おも)うて一寸(ちよつと)愛想(あいさう)に怒(おこ)つてみた。146心(こころ)の底(そこ)から決(けつ)して決(けつ)して怒(おこ)つては居(ゐ)ないよ。147量見(りやうけん)して下(くだ)さい』
148蚊々虎(かがとら)『涙(なみだ)弱(よわ)い奴(やつ)ぢやなア、149直(ぢき)に女(をんな)とみたら目(め)を細(ほそ)くしよつて、150結構(けつこう)な男(をとこ)の頭(あたま)をピヨコピヨコ下(さげ)る腰抜(こしぬけ)男(をとこ)奴(め)、151ハヽヽヽヽ』
152五月姫(さつきひめ)『皆(みな)さまのお顔(かほ)に何(なん)だか赤(あか)いものが附(つ)いて居(ゐ)ますよ。153妾(わたくし)の顔(かほ)にも何(なに)か附(つ)いて居(ゐ)やしませぬか』
154 一同(いちどう)は手(て)を打(う)ちて、
155一同『ヨー秀逸(しういつ)だ、156天上(てんじやう)眉毛(まゆげ)だ。157それで幾層倍(いくそうばい)神格(しんかく)が上(あが)つたかも知(し)れやしないワ』
158 五月姫(さつきひめ)は、
159五月姫『ホヽヽヽヽ』
160と笑(わら)ひながら袖(そで)にて顔(かほ)を隠(かく)す。161淤縢山津見(おどやまづみ)は襟(えり)を正(ただ)し、162容(かたち)を改(あらた)め儼然(げんぜん)として、
163淤縢山津見『コラコラ蚊々虎(かがとら)、164悪戯(いたづら)をするにも程(ほど)があるぞよ。165何(なん)だ、166吾々(われわれ)一同(いちどう)の顔(かほ)を知(し)らぬ間(ま)に彩(ゑど)りよつて、167吾々(われわれ)の顔(かほ)は草紙(さうし)でないぞ、168ノートブツクとは違(ちが)ふぞ』
169蚊々虎(かがとら)『私(わたし)もチヨボチヨボだ。170誰(たれ)か腰(こし)の曲(まが)つた烏天狗(からすてんぐ)でもやつて来(き)て、171悪戯(いたづら)をしたのでせう。
172此(この)世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
173心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おおなほひ)
174唯(ただ)何事(なにごと)も人(ひと)の世(よ)は
175直日(なほひ)に見直(みなほ)せ聞(き)き直(なほ)せ
176身(み)の過(あやま)ちは宣(の)り直(なほ)せ』
177駒山彦(こまやまひこ)『勝手(かつて)な奴(やつ)ぢやなア、178都合(つがふ)が悪(わる)いと直(ぢき)に宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ひよる。179ホントに困(こま)つた男(をとこ)だ』
180蚊々虎『実際(じつさい)の悪戯者(いたづらもの)はよう判明(わか)つて居(ゐ)る。181いま此方(こな)さまが指(ゆび)の先(さき)で此(この)人(ひと)だとハツキリ指(ゆびさ)してやるから、182此方(こな)さまの指(ゆび)の先(さき)の落(お)ちて行(ゆ)く先(さき)を見(み)て居(を)るがよいワイ。183今(いま)の今(いま)の悪戯(いたづら)小僧(こぞう)は何処(どこ)から来(き)たか、184東(ひがし)から来(き)たか、185西(にし)から来(き)たか、186南(みなみ)から来(き)たか、187きたかきたか矢張(やつぱ)り北(きた)ぢや、188乾(いぬゐ)の隅(すみ)の腰(こし)の屈(かが)んだ烏天狗(からすてんぐ)のやうな、189世界(せかい)で一(いち)の色男(いろをとこ)、190蚊々虎(かがとら)さまが皆(みな)書(か)いた、191この鼻(はな)さまぢや』
192と、193自分(じぶん)の鼻(はな)を押(おさ)へて見(み)せる。194駒山彦(こまやまひこ)も、
195駒山彦『俺(おれ)も一(ひと)つ書(か)いてやろ、196蚊々虎(かがとら)そこに寝(ね)ぬか』
197蚊々虎『後(あと)は明晩(みやうばん)に悠然(ゆつくり)と伺(うかが)ひませう』
198駒山彦『何故(なぜ)そんな悪戯(いたづら)をするのか』
199 蚊々虎(かがとら)は腕(うで)を捲(まく)り肩(かた)を怒(いか)らしながら、
200蚊々虎『是(これ)には深(ふか)い仔細(しさい)がある。201是(これ)から先(さき)の大蛇峠(をろちたうげ)を越(こ)える時(とき)に、202胴(どう)の周囲(まはり)が嘘(うそ)八百(はつぴやく)八十八(はちじふはち)丈(ぢやう)、203身体(からだ)の長(たけ)は八百(はつぴやく)八十八(はちじふはち)万里(まんり)、204尨大(でか)い大蛇(をろち)に出会(でつくわ)すのだ。205夫(それ)で淤縢山津見(おどやまづみ)は怖(こは)い顔(かほ)して見(み)せる、206正鹿山津見(まさかやまづみ)は赤(あか)い鼻(はな)をニユーと突(つ)き出(だ)して大蛇(をろち)を笑(わら)はせ転(ころ)ばすためだ。207蚊々虎(かがとら)は天下一(てんかいち)の色男(いろをとこ)はコンナものぢやと大蛇(をろち)の奴(やつ)に見惚(みと)れさすのぢや。208駒山彦(こまやまひこ)はデレ助(すけ)と云(い)ふものはアンナシヤツ面(つら)かと、209大蛇(をろち)に穴(あな)の明(あ)くほど見詰(みつ)めさすのだ。210さうして天女(てんによ)のやうな五月姫(さつきひめ)を、211何(なん)とまあ別嬪(べつぴん)も有(あ)るものぢやと見詰(みつ)めさすのぢや。212つまり魅(み)を入(い)れさすのぢや。213大蛇(をろち)に魅(み)を入(い)れられたら五月姫(さつきひめ)さまは助(たす)かりつこは無(な)いワ』
214駒山彦(こまやまひこ)『アヽ顔(かほ)を洗(あら)うと云(い)うたつて、215水(みづ)も何(なに)も有(あ)りやしない。216御(ご)一同(いちどう)このまま水(みづ)のある所(ところ)まで行(ゆ)きませうか』
217一同(いちどう)『仕方(しかた)が無(な)いなア、218サア参(まゐ)りませう』
219と草鞋(わらぢ)脚絆(きやはん)に身(み)を固(かた)め、220さしもに嶮(けは)しき大蛇峠(をろちたうげ)に向(むか)つて足(あし)を運(はこ)びける。
221(大正一一・二・一〇 旧一・一四 森良仁録)
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