霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第8巻(未の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 智利の都
第1章 朝日丸
第2章 五十韻
第3章 身魂相応
第4章 烏の妻
第5章 三人世の元
第6章 火の玉
第2篇 四十八文字
第7章 蛸入道
第8章 改心祈願
第9章 鏡の池
第10章 仮名手本
第3篇 秘露より巴留へ
第11章 海の竜宮
第12章 身代り
第13章 修羅場
第14章 秘露の邂逅
第15章 ブラジル峠
第16章 霊縛
第17章 敵味方
第18章 巴留の関守
第4篇 巴留の国
第19章 刹那心
第20章 張子の虎
第21章 滝の村
第22章 五月姫
第23章 黒頭巾
第24章 盲目審神
第25章 火の車
第26章 讃嘆
第27章 沙漠
第28章 玉詩異
第29章 原山祇
第5篇 宇都の国
第30章 珍山峠
第31章 谷間の温泉
第32章 朝の紅顔
第33章 天上眉毛
第34章 烏天狗
第35章 一二三世
第36章 大蛇の背
第37章 珍山彦
第38章 華燭の典
第6篇 黄泉比良坂
第39章 言霊解一
第40章 言霊解二
第41章 言霊解三
第42章 言霊解四
第43章 言霊解五
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
サイトをリニューアルしました(
従来バージョンはこちら
)【新着情報】
(
サブスク
のお知らせ)
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第8巻(未の巻)
> 第5篇 宇都の国 > 第32章 朝の紅顔
<<< 谷間の温泉
(B)
(N)
天上眉毛 >>>
第三二章
朝
(
あした
)
の
紅顔
(
こうがん
)
〔三八二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻
篇:
第5篇 宇都の国
よみ(新仮名遣い):
うづのくに
章:
第32章 朝の紅顔
よみ(新仮名遣い):
あしたのこうがん
通し章番号:
382
口述日:
1922(大正11)年02月09日(旧01月13日)
口述場所:
筆録者:
東尾吉雄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
珍山峠の温泉に一同は七日間休息し、またもや珍の国を指して進んで行く。蚊々虎は駒山彦と軽口を叩きながら進んで行く。
正鹿山津見は、珍の国が見える峠に立って、日の出神から珍の国を守るようにと厳命を受けたにも関わらず、巴留の国へ宣伝に旅立ってしまったために、このような目に合い、命を危険にさらしたことの反省を語った。
蚊々虎は五月姫の気を探るようなたとえ話を面白おかしく話して一同の旅の慰めをしている。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-09-02 04:40:35
OBC :
rm0832
愛善世界社版:
215頁
八幡書店版:
第2輯 228頁
修補版:
校定版:
219頁
普及版:
95頁
初版:
ページ備考:
001
珍山峠
(
うづやまたうげ
)
の
谷間
(
たにま
)
には、
002
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
か、
003
偶然
(
ぐうぜん
)
か、
004
此処
(
ここ
)
に
不意
(
ゆくりな
)
くも
温泉
(
いでゆ
)
の
側
(
そば
)
に
邂
(
めぐ
)
り
合
(
あ
)
ひ、
005
滾々
(
こんこん
)
として
尽
(
つ
)
きざる
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
温
(
あたた
)
かき
温泉
(
をんせん
)
に、
006
日七日
(
ひなぬか
)
夜七夜
(
よななよ
)
、
007
心身
(
しんしん
)
を
浄
(
きよ
)
め、
008
又
(
また
)
もや
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
009
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら、
010
徐々
(
しづしづ
)
とこの
峠
(
たうげ
)
を
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
011
漸
(
やうや
)
く
一行
(
いつかう
)
は
珍山
(
うづやま
)
の
山頂
(
さんちやう
)
に
到達
(
たうたつ
)
したり。
012
蚊々虎
(
かがとら
)
は、
013
蚊々虎
『アヽアヽ、
014
苦
(
く
)
中
(
ちう
)
楽
(
らく
)
あり、
015
楽
(
らく
)
中
(
ちう
)
苦
(
く
)
あり、
016
苦楽
(
くらく
)
不二
(
ふじ
)
、
017
善悪
(
ぜんあく
)
一如
(
いちによ
)
とは
能
(
よ
)
く
言
(
い
)
うたものだ。
018
汗
(
あせ
)
をタラタラ
流
(
なが
)
して
苦
(
くる
)
しみてをれば、
019
結構
(
けつこう
)
な
温泉
(
をんせん
)
がチヤンと
吾々
(
われわれ
)
に
湯
(
ゆ
)
を
湧
(
わ
)
かして「サア
皆
(
みな
)
さま、
020
永々
(
ながなが
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
であつた。
021
嘸々
(
さぞさぞ
)
お
疲労
(
くたびれ
)
でせう」とも
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
はずに、
022
不言
(
ふげん
)
実行
(
じつかう
)
の
手本
(
てほん
)
を
見
(
み
)
せて
居
(
を
)
る。
023
又復
(
またまた
)
この
坂
(
さか
)
を
汗
(
あせ
)
みどろになつて
登
(
のぼ
)
つてくれば、
024
コンナ
結構
(
けつこう
)
な
平坦
(
へいたん
)
な
土地
(
とち
)
があつて、
025
涼
(
すず
)
しい
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて
来
(
く
)
るワイ。
026
極楽
(
ごくらく
)
の
余
(
あま
)
り
風
(
かぜ
)
だ。
027
本当
(
ほんたう
)
に
苦
(
くる
)
しまぬと、
028
楽
(
らく
)
の
味
(
あぢ
)
は
判
(
わか
)
らぬワイ』
029
駒山彦
(
こまやまひこ
)
も、
030
駒山彦
『
本当
(
ほんたう
)
に
結構
(
けつこう
)
だつた。
031
○○
[
※
御校正本・愛世版では「○○」と伏せ字になっているが、校定版・八幡版では「睾丸(きんたま)」という文字が入っている。
]
の
皺
(
しわ
)
伸
(
の
)
ばしだつたよ。
032
貴様
(
きさま
)
の
面
(
つら
)
も
余程
(
よほど
)
皺
(
しわ
)
が
取
(
と
)
れたよ』
033
蚊々虎
(
かがとら
)
は、
034
蚊々虎
『
馬鹿
(
ばか
)
を
言
(
い
)
ふない、
035
俺
(
おれ
)
は
素
(
もと
)
から
皺
(
しわ
)
ナンテ
有
(
あ
)
りやしないよ。
036
貴様
(
きさま
)
は
何時
(
いつ
)
も
弱虫
(
よわむし
)
だから、
037
一寸
(
ちよつと
)
した
事
(
こと
)
にでも
顔
(
かほ
)
を
顰
(
しか
)
めよるから、
038
自然
(
しぜん
)
に
皺
(
しわ
)
だらけだ。
039
オイ
勘定
(
かんぢやう
)
をして
見
(
み
)
よ、
040
沢山
(
たくさん
)
な
皺
(
しわ
)
だぞ。
041
四八
(
しは
)
三十二
(
さんじふに
)
も
寄
(
よ
)
つてるわ』
042
駒山彦
『よく
饒舌
(
しやべ
)
る
奴
(
やつ
)
だなあ、
043
口
(
くち
)
が
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
ほど
先
(
さき
)
に
生
(
うま
)
れたのだらう』
044
蚊々虎
『
山
(
やま
)
に
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
、
045
海
(
うみ
)
に
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
、
046
口
(
くち
)
に
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
といふ
劫
(
ごふ
)
を
経
(
へ
)
た
兄
(
にい
)
さまだよ』
047
駒山彦
『
蟒
(
うはばみ
)
みたいな
奴
(
やつ
)
だな。
048
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
経
(
た
)
つて、
049
初
(
はじ
)
めて
人間
(
にんげん
)
に
生
(
うま
)
れると
言
(
い
)
ふのだが、
050
貴様
(
きさま
)
は
何時
(
いつ
)
人間
(
にんげん
)
に
成
(
な
)
るのだい』
051
蚊々虎
『
人間
(
にんげん
)
どころか、
052
俺
(
おれ
)
は
神
(
かみ
)
さまだよ』
053
駒山彦
『さうだらう。
054
蚊
(
か
)
だとか
蚤
(
のみ
)
だとか、
055
虎
(
とら
)
だとか、
056
虫
(
むし
)
のやうな、
057
四
(
よ
)
つ
足
(
あし
)
のやうな
名
(
な
)
をつけよつて、
058
それで
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
か。
059
人
(
ひと
)
の
頭
(
あたま
)
に
止
(
と
)
まつて、
060
頭
(
あたま
)
を
カミ
様
(
さま
)
。
061
人間
(
にんげん
)
を
引
(
ひ
)
き
裂
(
さ
)
いて
喰
(
く
)
ふ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だらう』
062
蚊々虎
『ヤイ、
063
駒
(
こま
)
、
064
貴様
(
きさま
)
却々
(
なかなか
)
口
(
くち
)
が
達者
(
たつしや
)
に
成
(
な
)
りよつたな。
065
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
俺
(
おれ
)
のお
株
(
かぶ
)
を
奪
(
と
)
りよつて』
066
駒山彦
『
決
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
だ、
067
名
(
な
)
からして
駒
(
こま
)
さまだ。
068
駒
(
こま
)
の
如
(
ごと
)
くに
言霊
(
ことたま
)
がよく
転
(
ころ
)
ぶのだよ』
069
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
は、
070
立
(
た
)
つて
東南方
(
とうなんぱう
)
を
指
(
ゆび
)
さし、
071
正鹿山津見
『
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
様
(
さま
)
、
072
ズツと
向
(
むか
)
ふに
青々
(
あをあを
)
とした
高山
(
かうざん
)
が
見
(
み
)
えませう、
073
彼
(
あ
)
の
国
(
くに
)
が
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
ですよ。
074
私
(
わたくし
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
に、
075
「
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
を
守
(
まも
)
れよ」との
厳命
(
げんめい
)
を
受
(
う
)
けました。
076
然
(
しか
)
しながら、
077
まだ
外
(
ほか
)
に
尊
(
たふと
)
い
国
(
くに
)
がある
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
へて、
078
何
(
ど
)
うしても
気
(
き
)
が
落
(
お
)
ちつかず、
079
この
峠
(
たうげ
)
をドンドンと
登
(
のぼ
)
つて、
080
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
に
次
(
つ
)
いで
巴留
(
はる
)
の
都
(
みやこ
)
へ
宣伝
(
せんでん
)
に
行
(
い
)
つたのです。
081
さうした
処
(
ところ
)
が、
082
今度
(
こんど
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
戒
(
いまし
)
めだと
見
(
み
)
えて、
083
散々
(
さんざん
)
な
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
ひ、
084
お
蔭
(
かげ
)
で
生命
(
いのち
)
だけは
助
(
たす
)
かりました。
085
これを
思
(
おも
)
へば、
086
吾々
(
われわれ
)
は
我
(
が
)
を
出
(
だ
)
すことは
出来
(
でき
)
ませぬ。
087
ただ
長上
(
ちやうじやう
)
の
命令
(
めいれい
)
に
従
(
したが
)
つて、
088
神妙
(
しんめう
)
にお
勤
(
つと
)
めするに
限
(
かぎ
)
ると、
089
ほとほと
改心
(
かいしん
)
いたしました』
090
蚊々虎
(
かがとら
)
『アンナ
細長
(
ほそなが
)
い
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
に、
091
ウヅウヅして
居
(
ゐ
)
るのも
気
(
き
)
が
利
(
き
)
かないと
思
(
おも
)
つたのでせう。
092
まだ
外
(
ほか
)
に
結構
(
けつこう
)
な
国
(
くに
)
が
亜拉然丁
(
ある
ぜんちん
)
と
思
(
おも
)
つて、
093
欲
(
よく
)
の
熊鷹
(
くまたか
)
、
094
股
(
また
)
が
裂
(
さ
)
けたと
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
なものですな、
095
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
さま』
096
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
は、
097
淤縢山津見
『コラコラ
蚊々虎
(
かがとら
)
、
098
貴様
(
きさま
)
は
直
(
ぢき
)
にそれだから
困
(
こま
)
る。
099
何故
(
なぜ
)
それほど
言霊
(
ことたま
)
が
汚
(
きたな
)
いのか』
100
蚊々虎
『これは
怪
(
け
)
しからぬ。
101
貴方
(
あなた
)
は
私
(
わたくし
)
の
発言権
(
はつげんけん
)
を
妨害
(
ばうがい
)
するのですか』
102
淤縢山津見
『いや、
103
さうではない。
104
あまりお
喋
(
しやべ
)
りが
過
(
す
)
ぎると
声
(
こゑ
)
が
草臥
(
くたび
)
れて、
105
まさか
の
時
(
とき
)
に
言霊
(
ことたま
)
の
力
(
ちから
)
が
弱
(
よわ
)
ると
困
(
こま
)
るから
気
(
き
)
をつけたのだよ。
106
それよりも
峠
(
たうげ
)
に
上
(
あが
)
つた
祝
(
いはひ
)
に、
107
気楽
(
きらく
)
な
世間話
(
せけんばなし
)
でもして、
108
悠
(
ゆつ
)
くりと
休
(
やす
)
まうかい』
109
蚊々虎
『ドンナ
話
(
はなし
)
でも
宜
(
よろ
)
しいか、
110
貴方
(
あなた
)
は
発言権
(
はつげんけん
)
を
決
(
けつ
)
して
止
(
と
)
めませぬな』
111
淤縢山津見
『
宜
(
よろ
)
しい
宜
(
よろ
)
しい、
112
何
(
なん
)
なと
仰有
(
おつしや
)
れ。
113
貴方
(
あなた
)
の
好
(
す
)
きな
話
(
はなし
)
を、
114
静
(
しづか
)
に
面白
(
おもしろ
)
く
願
(
ねが
)
ひます』
115
蚊々虎
『
静
(
しづか
)
に
面白
(
おもしろ
)
く
話
(
はなし
)
が
出来
(
でき
)
ますか。
116
貴方
(
あなた
)
は
無理
(
むり
)
を
言
(
い
)
ひますね。
117
丁度
(
ちやうど
)
、
118
黙
(
だま
)
つてもの
言
(
い
)
へ、
119
寝
(
ね
)
て
走
(
はし
)
れ、
120
睾玉
(
きんたま
)
喰
(
く
)
はへて
背伸
(
せの
)
びせよ、
121
と
云
(
い
)
ふやうな
御
(
ご
)
註文
(
ちうもん
)
ですな。
122
如何
(
いか
)
に
雄弁家
(
ゆうべんか
)
の
蚊々虎
(
かがとら
)
でも、
123
それ
計
(
ばか
)
りは
御免
(
ごめん
)
だ』
124
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
は、
125
淤縢山津見
『さう
気
(
き
)
を
廻
(
まは
)
して
怒
(
おこ
)
つては
困
(
こま
)
る。
126
何
(
なん
)
でもいい、
127
一寸
(
ちよつと
)
位
(
くらゐ
)
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
でも
構
(
かま
)
はぬ』
128
蚊々虎
(
かがとら
)
は、
129
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
大胡座
(
おほあぐら
)
をかき、
130
蚊々虎
『エヽ、
131
人間
(
にんげん
)
もいい
加減
(
かげん
)
に
片付
(
かたづ
)
く
時
(
とき
)
には
片付
(
かたづ
)
くものだ。
132
ある
処
(
ところ
)
に
祝姫
(
はふりひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
古今
(
ここん
)
独歩
(
どくぽ
)
、
133
珍無類
(
ちんむるゐ
)
、
134
奇妙
(
きめう
)
奇天烈
(
きてれつ
)
、
135
何
(
なん
)
とも
彼
(
かん
)
とも
言
(
い
)
うに
言
(
い
)
はれぬ、
136
素適
(
すてき
)
滅法界
(
めつぽうかい
)
の
美人
(
びじん
)
があつた。
137
そのお
姫
(
ひめ
)
さまを、
138
彼方
(
あちら
)
からも
此方
(
こちら
)
からも、
139
女房
(
にようばう
)
にくれ、
140
夫
(
をつと
)
にならうと
矢
(
や
)
の
催促
(
さいそく
)
であつたが、
141
祝姫
(
はふりひめ
)
は、
142
自分
(
じぶん
)
の
容色
(
きりよう
)
に
自惚
(
うぬぼ
)
れて、
143
私
(
わたくし
)
は
天下
(
てんか
)
絶世
(
ぜつせい
)
の
美人
(
びじん
)
だ、
144
アンナ
人
(
ひと
)
の
嫁
(
よめ
)
になるのは
嫌
(
いや
)
だ、
145
アンナ
男
(
をとこ
)
を
婿
(
むこ
)
に
取
(
と
)
るのは、
146
提燈
(
ちやうちん
)
に
釣鐘
(
つりがね
)
だ、
147
孔雀
(
くじやく
)
の
嫁
(
よめ
)
に
烏
(
からす
)
の
婿
(
むこ
)
だ、
148
あまりこの
美人
(
びじん
)
を
見損
(
みそこな
)
ひするな。
149
私
(
わたくし
)
もこれから、
150
天下
(
てんか
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
になつて
一
(
ひと
)
つ
功
(
こう
)
を
建
(
たて
)
て、
151
偉
(
えら
)
い
者
(
もの
)
になつた
暁
(
あかつき
)
は、
152
世界中
(
せかいぢう
)
の
立派
(
りつぱ
)
な
男
(
をとこ
)
の、
153
権威
(
けんゐ
)
のある
婿
(
むこ
)
を
選
(
よ
)
り
取
(
ど
)
りすると
言
(
い
)
つて、
154
どれもこれも、
155
こぐちから
肱鉄砲
(
ひぢてつぱう
)
を
乱射
(
らんしや
)
して
居
(
ゐ
)
た。
156
さうする
間
(
あひだ
)
に、
157
桜
(
さくら
)
の
花
(
はな
)
は
何時
(
いつ
)
までも
梢
(
こずゑ
)
に
止
(
とど
)
まらず、
158
花
(
はな
)
の
色
(
いろ
)
はうつりにけりな
徒
(
いたづ
)
らにわがみ
世
(
よ
)
にふるながめせしまに
159
と
何処
(
どこ
)
やらの
三五教
(
あななひけう
)
とか、
160
穴
(
あな
)
ない
姫
(
ひめ
)
とかが
言
(
い
)
つた
様
(
やう
)
に、
161
段々
(
だんだん
)
と
顔
(
かほ
)
に
小皺
(
こじわ
)
が
寄
(
よ
)
つて
昔
(
むかし
)
の
色香
(
いろか
)
は、
162
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
褪
(
あ
)
せて
了
(
しま
)
つた。
163
それでも、
164
何処
(
どこ
)
やらに
残
(
のこ
)
る
姥桜
(
うばざくら
)
の
其
(
その
)
色
(
いろ
)
は、
165
実
(
じつ
)
に
素適
(
すてき
)
滅法界
(
めつぽふかい
)
のものだつた。
166
祝姫
(
はふりひめ
)
は、
167
何
(
なに
)
これでも
偉者
(
えらもの
)
となりさへすれば、
168
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
一
(
いち
)
ホド、
169
二
(
に
)
キリヨウ、
170
三
(
さん
)
カネだと
言
(
い
)
つて、
171
高
(
たか
)
く
止
(
と
)
まつて
居
(
を
)
つたが、
172
たうとう
天罰
(
てんばつ
)
が
当
(
あた
)
つて、
173
私
(
わたくし
)
によう
似
(
に
)
た
名
(
な
)
の
付
(
つ
)
いた、
174
蚊取別
(
かとりわけ
)
といふ
天下
(
てんか
)
一品
(
いつぴん
)
の
禿
(
はげ
)
ちやまの
瓢箪面
(
へうたんづら
)
のヘツピリ
腰
(
ごし
)
の
禿
(
はげ
)
だらけの
男
(
をとこ
)
と
夫婦
(
めをと
)
になつて、
175
宣伝使
(
せんでんし
)
になつた
実際
(
じつさい
)
の
話
(
はなし
)
があるよ。
176
五月姫
(
さつきひめ
)
さまも、
177
いい
加減
(
かげん
)
に
覚悟
(
かくご
)
をせぬと、
178
朝
(
あした
)
の
紅顔
(
こうがん
)
、
179
夕
(
ゆふ
)
べの
白骨
(
はくこつ
)
で、
180
見返
(
みかへ
)
る
者
(
もの
)
は
無
(
な
)
いやうに
成
(
な
)
つて、
181
清
(
せい
)
少納言
(
せうなごん
)
の
様
(
やう
)
に
門
(
かど
)
に
立
(
た
)
つて、
182
妾
(
わらは
)
の
老骨
(
らうこつ
)
を
買
(
か
)
はぬかと
言
(
い
)
つたつて、
183
買手
(
かひて
)
が
無
(
な
)
くなつて
了
(
しま
)
ひますよ』
184
駒山彦
(
こまやまひこ
)
は
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し、
185
駒山彦
『アハヽヽヽ、
186
うまいのう、
187
イヤ
感心
(
かんしん
)
だ。
188
然
(
しか
)
し
蚊々虎
(
かがとら
)
、
189
心配
(
しんぱい
)
するな。
190
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
も
貴様
(
きさま
)
が
天狗
(
てんぐ
)
と
喧嘩
(
けんくわ
)
すると
云
(
い
)
つて
駆出
(
かけだ
)
した
後
(
あと
)
で、
191
五月姫
(
さつきひめ
)
さまが、
192
「
蚊々虎
(
かがとら
)
さまは
本当
(
ほんたう
)
に
色
(
いろ
)
こそ
黒
(
くろ
)
いが、
193
快活
(
くわいくわつ
)
な
人
(
ひと
)
ですね。
194
妾
(
わたし
)
あの
人
(
ひと
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
宣伝
(
せんでん
)
に
行
(
ゆ
)
くのなら、
195
一寸
(
ちよつと
)
も
苦
(
くるし
)
い
事
(
こと
)
はありませぬわ。
196
面白
(
おもしろ
)
くて
旅
(
たび
)
の
疲労
(
つかれ
)
も
忘
(
わす
)
れて
了
(
しま
)
ふ」と
言
(
い
)
つていらつしやつたよ、
197
ねえ
五月姫
(
さつきひめ
)
さま、
198
さうでしたね』
199
と
顔
(
かほ
)
を
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
む。
200
五月姫
(
さつきひめ
)
は、
201
顔
(
かほ
)
に
袖
(
そで
)
をあてて
愧
(
はづ
)
かしげに
伏向
(
うつむ
)
く。
202
蚊々虎
(
かがとら
)
『ヘン、
203
天下
(
てんか
)
の
色男
(
いろをとこ
)
、
204
俺
(
おれ
)
の
吸引力
(
きふいんりよく
)
は
豪
(
えら
)
いものだらう』
205
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
『あゝ
蚊々虎
(
かがとら
)
さまの
弁舌
(
べんぜつ
)
といひ、
206
勇気
(
ゆうき
)
と
云
(
い
)
ひ、
207
さう
無
(
な
)
くては
天下
(
てんか
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
には
成
(
な
)
れませぬ。
208
吾々
(
われわれ
)
のやうに、
209
巴留
(
はる
)
の
都
(
みやこ
)
へ
行
(
い
)
つて、
210
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つて
居
(
を
)
ると、
211
後
(
うしろ
)
に
目
(
め
)
が
無
(
な
)
いから、
212
駱駝隊
(
らくだたい
)
にグサリと
突
(
つ
)
かれて、
213
芋刺
(
いもざし
)
と
成
(
な
)
り、
214
沙漠
(
さばく
)
の
中
(
なか
)
へ
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
まれる
様
(
やう
)
なことでは、
215
宣伝使
(
せんでんし
)
も
何
(
なに
)
もあつたものではない。
216
これから
一
(
ひと
)
つ、
217
蚊々虎
(
かがとら
)
さまに
傚
(
なら
)
つて、
218
胆玉
(
きもだま
)
でも
練
(
ね
)
りませうかい』
219
駒山彦
(
こまやまひこ
)
は、
220
駒山彦
『おい
蚊々公
(
かがこう
)
、
221
お
目出度
(
めでた
)
う』
222
蚊々虎
(
かがとら
)
『エー
妬
(
や
)
くない』
223
駒山彦
『
妬
(
や
)
くないと
云
(
い
)
つたつて、
224
天道
(
てんだう
)
様
(
さま
)
も
焦
(
こげ
)
つくほど
俺
(
おい
)
らの
頭
(
あたま
)
を
焼
(
や
)
くではないか。
225
焼
(
や
)
くのは
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
の
陽気
(
やうき
)
だよ。
226
あまり
暑
(
あつ
)
いので、
227
貴様
(
きさま
)
は
一寸
(
ちよつと
)
逆上
(
のぼ
)
せ
上
(
あが
)
つたな。
228
水
(
みづ
)
でもあれば
頭
(
あたま
)
からブツかけてやるのだが、
229
生憎
(
あいにく
)
山
(
やま
)
の
頂辺
(
てつぺん
)
で
水
(
みづ
)
も
無
(
な
)
し、
230
幸福
(
しあはせ
)
な
奴
(
やつ
)
だワイ』
231
淤縢山津見
『サアサア
皆
(
みな
)
さま
汗
(
あせ
)
も
大分
(
だいぶん
)
乾
(
かわ
)
きました。
232
これからぼつぼつ
峠
(
たうげ
)
を
下
(
くだ
)
りませう』
233
と
言
(
い
)
ひつつ
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて、
234
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
は
歩
(
ある
)
き
出
(
だ
)
した。
235
蚊々虎
『あゝあゝ、
236
肝腎
(
かんじん
)
の
正念場
(
しやうねんば
)
に
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬことだワイ』
237
と
蚊々虎
(
かがとら
)
は
小声
(
こごゑ
)
に
呟
(
つぶや
)
き、
238
振返
(
ふりかへ
)
り
振返
(
ふりかへ
)
り、
239
五月姫
(
さつきひめ
)
の
顔
(
かほ
)
を
窃
(
ぬす
)
み
目
(
め
)
に
眺
(
なが
)
めつつ
坂
(
さか
)
を
下
(
くだ
)
る。
240
(
大正一一・二・九
旧一・一三
東尾吉雄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 谷間の温泉
(B)
(N)
天上眉毛 >>>
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第8巻(未の巻)
> 第5篇 宇都の国 > 第32章 朝の紅顔
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第32章 朝の紅顔|第8巻|霊主体従|霊界物語|/rm0832】
合言葉「みろく」を入力して下さい→