霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第24巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 流転の涙
01 粉骨砕身
〔731〕
02 唖呍
〔732〕
03 波濤の夢
〔733〕
04 一島の女王
〔734〕
第2篇 南洋探島
05 蘇鉄の森
〔735〕
06 アンボイナ島
〔736〕
07 メラの滝
〔737〕
08 島に訣別
〔738〕
第3篇 危機一髪
09 神助の船
〔739〕
10 土人の歓迎
〔740〕
11 夢の王者
〔741〕
12 暴風一過
〔742〕
第4篇 蛮地宣伝
13 治安内教
〔743〕
14 タールス教
〔744〕
15 諏訪湖
〔745〕
16 慈愛の涙
〔746〕
霊の礎(一〇)
霊の礎(一一)
神諭
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスクのお知らせ
霊界物語
>
第24巻
> 第2篇 南洋探島 > 第8章 島に訣別
<<< メラの滝
(B)
(N)
神助の船 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第八章
島
(
しま
)
に
訣別
(
けつべつ
)
〔七三八〕
インフォメーション
著者:
巻:
篇:
よみ(新仮名遣い):
章:
よみ(新仮名遣い):
通し章番号:
口述日:
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm2408
愛善世界社版:
八幡書店版:
修補版:
校定版:
普及版:
初版:
ページ備考:
001
(玉治別)
『
神
(
かみ
)
の
経綸
(
しぐみ
)
も
白浪
(
しらなみ
)
の
002
三
(
み
)
つの
御玉
(
みたま
)
を
探
(
さぐ
)
らむと
003
執着心
(
しふちやくしん
)
の
何処
(
どこ
)
までも
004
深
(
ふか
)
き
海原
(
うなばら
)
に
浮
(
うか
)
びつつ
005
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
瀬戸
(
せと
)
の
海
(
うみ
)
越
(
こ
)
えて
006
家島
(
えしま
)
高島
(
たかしま
)
小戸島
(
せうどしま
)
007
国城山
(
くにしろやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
008
砦
(
とりで
)
を
構
(
かま
)
へて
瑞宝
(
ずゐはう
)
の
009
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
す
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
010
心
(
こころ
)
も
同
(
おな
)
じ
高姫
(
たかひめ
)
が
011
やうやう
妥協
(
だけふ
)
を
整
(
ととの
)
へて
012
再
(
ふたた
)
び
船
(
ふね
)
に
棹
(
さを
)
をさし
013
梅島
(
うめじま
)
竹島
(
たけじま
)
桜島
(
さくらじま
)
014
馬関
(
ばくわん
)
の
海峡
(
かいけふ
)
乗越
(
のりこ
)
えつ
015
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
も
大島
(
おほしま
)
や
016
栗島
(
くりしま
)
岩島
(
いはしま
)
竹野島
(
たけのしま
)
017
尚
(
なほ
)
も
進
(
すす
)
んで
琵琶
(
びは
)
の
島
(
しま
)
018
南洋一
(
なんやういち
)
の
霊場
(
れいぢやう
)
と
019
噂
(
うはさ
)
に
高
(
たか
)
き
竜宮島
(
りうぐうじま
)
020
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さぐ
)
るべく
021
尋
(
たづ
)
ね
来
(
きた
)
るぞ
果敢
(
はか
)
なけれ
022
吾
(
われ
)
は
聖地
(
せいち
)
に
現
(
あ
)
れませる
023
言依別
(
ことよりわけ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
024
稜威
(
いづ
)
の
御言
(
みこと
)
をかかぶりて
025
再度山
(
ふたたびやま
)
の
山麓
(
さんろく
)
に
026
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
きた
)
る
折柄
(
をりから
)
に
027
玉能
(
たまの
)
の
姫
(
ひめ
)
の
物語
(
ものがたり
)
028
三五教
(
あななひけう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
は
029
玉
(
たま
)
に
心
(
こころ
)
を
奪
(
うば
)
はれて
030
荒
(
あら
)
き
海路
(
うなぢ
)
を
渡
(
わた
)
りつつ
031
南洋
(
なんやう
)
さして
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
きし
032
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
くより
矢
(
や
)
も
楯
(
たて
)
も
033
耐
(
たま
)
り
兼
(
か
)
ねたる
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
034
天地
(
てんち
)
に
通
(
つう
)
ずる
真心
(
まごころ
)
は
035
玉能
(
たまの
)
の
姫
(
ひめ
)
を
動
(
うご
)
かせて
036
新
(
あらた
)
に
堅
(
かた
)
き
船
(
ふね
)
造
(
つく
)
り
037
御後
(
みあと
)
を
慕
(
した
)
ひ
来
(
きた
)
りけり
038
馬関
(
ばくわん
)
の
瀬戸
(
せと
)
を
過
(
す
)
ぐるとき
039
波
(
なみ
)
に
漂
(
ただよ
)
ひ
船
(
ふね
)
を
破
(
わ
)
り
040
岩
(
いは
)
に
喰
(
く
)
ひつき
泣
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
ぶ
041
二三
(
にさん
)
の
人
(
ひと
)
の
影
(
かげ
)
を
見
(
み
)
て
042
船
(
ふね
)
を
近寄
(
ちかよ
)
せ
眺
(
なが
)
むれば
043
バラモン
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
044
友彦
(
ともひこ
)
初
(
はじ
)
め
三五
(
あななひ
)
の
045
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
信徒
(
まめひと
)
と
046
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
りし
鶴
(
つる
)
さまや
047
清
(
きよ
)
さま
武
(
たけ
)
さま
四人
(
よにん
)
連
(
づれ
)
048
九死
(
きうし
)
一生
(
いつしやう
)
の
有様
(
ありさま
)
を
049
救
(
すく
)
うて
漸
(
やうや
)
く
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
050
来
(
きた
)
りて
見
(
み
)
れば
海端
(
うみばた
)
に
051
落
(
お
)
ちたる
笠
(
かさ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
052
此処
(
ここ
)
に
居
(
ゐ
)
ませる
印
(
しるし
)
ぞと
053
心
(
こころ
)
も
勇
(
いさ
)
み
身
(
み
)
も
勇
(
いさ
)
み
054
青葉
(
あをば
)
茂
(
しげ
)
れる
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
をば
055
潜
(
くぐ
)
りて
此処
(
ここ
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
056
雄滝
(
をだき
)
雌滝
(
めだき
)
と
相並
(
あひなら
)
び
057
天下
(
てんか
)
に
無比
(
むひ
)
の
絶景
(
ぜつけい
)
と
058
憧憬
(
あこが
)
れ
居
(
ゐ
)
たる
折
(
をり
)
もあれ
059
忽
(
たちま
)
ち
包
(
つつ
)
む
深霧
(
ふかぎり
)
に
060
咫尺
(
しせき
)
を
弁
(
べん
)
ぜず
一行
(
いつかう
)
は
061
雄滝
(
をだき
)
の
前
(
まへ
)
に
佇
(
たたず
)
みて
062
様子
(
やうす
)
窺
(
うかが
)
ひ
居
(
ゐ
)
たりしが
063
雌滝
(
めだき
)
の
方
(
はう
)
より
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
064
怪
(
あや
)
しき
女
(
をんな
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
065
何事
(
なにごと
)
ならむと
気
(
き
)
を
苛
(
いら
)
ち
066
助
(
たす
)
けむものと
思
(
おも
)
へども
067
咫尺
(
しせき
)
弁
(
べん
)
ぜぬ
霧
(
きり
)
の
中
(
なか
)
068
手
(
て
)
を
下
(
くだ
)
すべき
由
(
よし
)
もなく
069
心
(
こころ
)
をいらつ
一刹那
(
いつせつな
)
070
忽
(
たちま
)
ち
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
科戸辺
(
しなどべ
)
の
071
神
(
かみ
)
の
伊吹
(
いぶき
)
に
払
(
はら
)
はれて
072
一望
(
いちばう
)
千里
(
せんり
)
の
晴
(
は
)
れの
空
(
そら
)
073
小路
(
こみち
)
を
伝
(
つた
)
ひ
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
074
高姫
(
たかひめ
)
さまの
一行
(
いつかう
)
が
075
愈
(
いよいよ
)
此処
(
ここ
)
に
立籠
(
たてこも
)
り
076
禊
(
みそぎ
)
の
修業
(
しゆげふ
)
の
最中
(
さいちう
)
と
077
覚
(
さと
)
りし
時
(
とき
)
の
嬉
(
うれ
)
しさよ
078
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
079
御霊
(
みたま
)
幸
(
さちは
)
ひましまして
080
高姫
(
たかひめ
)
さまの
胸
(
むね
)
の
中
(
うち
)
081
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
晴
(
は
)
らせかし
082
吾
(
われ
)
は
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
司
(
つかさ
)
083
玉能
(
たまの
)
の
姫
(
ひめ
)
や
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
084
誠
(
まこと
)
の
御言
(
みこと
)
に
従
(
したが
)
ひて
085
汝
(
なれ
)
が
命
(
いのち
)
を
救
(
すく
)
はむと
086
やうやう
此処
(
ここ
)
に
来
(
きた
)
りたり
087
嗚呼
(
ああ
)
高姫
(
たかひめ
)
よ
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
088
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
を
歩
(
あゆ
)
む
人
(
ひと
)
089
心
(
こころ
)
平
(
たひら
)
に
安
(
やす
)
らかに
090
吾
(
わが
)
一行
(
いつかう
)
の
真心
(
まごころ
)
を
091
うまら
に
詳細
(
つばら
)
に
聞召
(
きこしめ
)
せ』
092
と
歌
(
うた
)
ひつつ
男女
(
だんぢよ
)
七
(
しち
)
人
(
にん
)
、
093
高姫
(
たかひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
ち
現
(
あら
)
はれ、
094
歌
(
うた
)
に
装
(
よそほ
)
ひて
来意
(
らいい
)
を
述
(
の
)
べ
立
(
た
)
てたり。
095
高姫
(
たかひめ
)
は
一行
(
いつかう
)
の
姿
(
すがた
)
を
眺
(
なが
)
め、
096
高姫
『ヤアお
前
(
まへ
)
は
玉能姫
(
たまのひめ
)
と
初稚姫
(
はつわかひめ
)
さま、
097
それに
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
田吾作
(
たごさく
)
どの、
098
何用
(
なによう
)
あつて
執念深
(
しふねんぶか
)
く
高姫
(
たかひめ
)
の
後
(
あと
)
を
付
(
つ
)
け
狙
(
ねら
)
うてお
出
(
い
)
でたのだ。
099
矢
(
や
)
つ
張
(
ぱ
)
り
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
されてはならないと
思
(
おも
)
つて、
100
夜
(
よ
)
も
碌々
(
ろくろく
)
寝
(
ね
)
られず、
101
こんな
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
調
(
しら
)
べに
来
(
き
)
たのだらう。
102
遥々
(
はるばる
)
と
御
(
ご
)
遠方
(
ゑんぽう
)
の
処
(
ところ
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
様
(
さま
)
。
103
よもや
高姫
(
たかひめ
)
が
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
居
(
ゐ
)
るとは
思
(
おも
)
はなんだでせう。
104
サアかうなる
以上
(
いじやう
)
は
玉
(
たま
)
を
隠
(
かく
)
したのは、
105
此
(
この
)
竜宮島
(
りうぐうじま
)
に
間違
(
まちが
)
ひない。
106
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
余
(
あま
)
りも
探
(
さが
)
して
見
(
み
)
たが、
107
何分
(
なにぶん
)
大
(
おほ
)
きな
島
(
しま
)
だから
充分
(
じうぶん
)
に
調
(
しら
)
べる
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
108
サアよい
処
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
た。
109
今度
(
こんど
)
は
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
明瞭
(
はつきり
)
言
(
い
)
ひなされ』
110
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
静
(
しづ
)
かに、
111
玉能姫
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
112
何程
(
なにほど
)
お
探
(
さが
)
し
遊
(
あそ
)
ばしても、
113
三十万
(
さんじふまん
)
年
(
ねん
)
の
未来
(
みらい
)
でなければ、
114
三
(
みつ
)
つの
神宝
(
しんぱう
)
は
現
(
あら
)
はれませぬ。
115
妾
(
わたし
)
は
決
(
けつ
)
して
貴女
(
あなた
)
方
(
がた
)
の
玉探
(
たまさが
)
しを、
116
気
(
き
)
に
懸
(
か
)
けて
参
(
まゐ
)
つたのではありませぬ。
117
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
が
教主
(
けうしゆ
)
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
命
(
めい
)
を
奉
(
ほう
)
じ、
118
高姫
(
たかひめ
)
さまは
玉
(
たま
)
に
心
(
こころ
)
を
奪
(
うば
)
はれ、
119
いらぬ
苦労
(
くらう
)
をなさるのが
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だから、
120
お
迎
(
むか
)
ひ
申
(
まを
)
して
来
(
こ
)
いとの
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
、
121
船
(
ふね
)
は
流
(
なが
)
され
嘸
(
さぞ
)
お
困
(
こま
)
りだといふ
事
(
こと
)
を、
122
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
先
(
さき
)
にお
分
(
わか
)
りだから、
123
二
(
ふた
)
つの
船
(
ふね
)
を
持
(
も
)
つてお
迎
(
むか
)
ひに
来
(
き
)
たのです。
124
どうぞ
吾々
(
われわれ
)
の
此処
(
ここ
)
へ
来
(
き
)
た
事
(
こと
)
を
善意
(
ぜんい
)
に
解
(
かい
)
して
下
(
くだ
)
さい』
125
高姫
『これはこれは
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
まで
抜
(
ぬ
)
け
目
(
め
)
のない
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
。
126
……
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
127
玉能姫
(
たまのひめ
)
さま、
128
船
(
ふね
)
を
二艘
(
にそう
)
も
持
(
も
)
つてようマア
来
(
こ
)
られました。
129
誠
(
まこと
)
に
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
有難
(
ありがた
)
いと
申
(
まを
)
したいが、
130
さう
安々
(
やすやす
)
とお
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
されぬ
理由
(
りいう
)
が……ヘン
御座
(
ござ
)
いますワイ。
131
あれだけ
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
に
揚壺
(
あげつぼ
)
を
喰
(
く
)
はし、
132
喜
(
よろこ
)
んで
居
(
ゐ
)
る
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
に
海洋
(
かいやう
)
万里
(
ばんり
)
の
此
(
この
)
島
(
しま
)
迄
(
まで
)
私
(
わたし
)
を
助
(
たす
)
けに
来
(
く
)
る
親切
(
しんせつ
)
があれば、
133
玉隠
(
たまかく
)
しをしたりして
我々
(
われわれ
)
を
苦
(
くる
)
しめる
道理
(
だうり
)
がない。
134
元
(
もと
)
をただせば
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
がコンナ
処
(
ところ
)
まで
来
(
き
)
て、
135
あらゆる
艱難
(
かんなん
)
苦労
(
くらう
)
するのも、
136
みな
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
、
137
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
138
杢助
(
もくすけ
)
、
139
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
のお
賢
(
かしこ
)
い
悪智慧
(
わるぢゑ
)
のお
蔭
(
かげ
)
ですワイ。
140
ようマアこれ
丈
(
だけ
)
人
(
ひと
)
に
心配
(
しんぱい
)
をかけて
下
(
くだ
)
さつた。
141
何程
(
なにほど
)
高姫
(
たかひめ
)
の
機嫌
(
きげん
)
をとらうと
思
(
おも
)
つても
其
(
その
)
手
(
て
)
には
乗
(
の
)
りませぬぞえ』
142
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らせ、
143
玉治別
『
何
(
なん
)
とマア
執念深
(
しふねんぶか
)
き
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
高姫
(
たかひめ
)
だなア、
144
命
(
いのち
)
からがら
小舟
(
こぶね
)
に
乗
(
の
)
つて、
145
万里
(
ばんり
)
の
波濤
(
はたう
)
を
渡
(
わた
)
り
助
(
たす
)
けに
来
(
き
)
ながら、
146
こんな
小言
(
こごと
)
を
聞
(
き
)
かうとは
思
(
おも
)
はなかつた。
147
……
高姫
(
たかひめ
)
さま、
148
お
前
(
まへ
)
さま、
149
本当
(
ほんたう
)
に
没分暁漢
(
わからずや
)
だなア』
150
高姫
『コレ
田吾作
(
たごさく
)
どの、
151
何
(
なに
)
をツベコベと
横槍
(
よこやり
)
を
入
(
い
)
れるのだイ。
152
お
前
(
まへ
)
は
宇都山
(
うづやま
)
村
(
むら
)
で、
153
芋
(
いも
)
の
赤子
(
あかご
)
さへ
大切
(
たいせつ
)
に
育
(
そだ
)
てて
居
(
ゐ
)
れば
性
(
しやう
)
に
合
(
あ
)
ふのだ。
154
言依別
(
ことよりわけ
)
の
珍
(
めづ
)
らしもの
喰
(
ぐ
)
ひに
抜擢
(
ばつてき
)
されて
宣伝使
(
せんでんし
)
になり、
155
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
名
(
な
)
を
戴
(
いただ
)
いたと
思
(
おも
)
うて、
156
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
の
生宮
(
いきみや
)
に、
157
何
(
なに
)
をツベコベほざくのだ、
158
スツコンで
居
(
ゐ
)
なさい。
159
あまり
偉相
(
えらさう
)
に
云
(
い
)
ふと
此
(
この
)
島
(
しま
)
の
熊蜂
(
くまばち
)
が
遣
(
や
)
つて
来
(
き
)
て……それ
其処
(
そこ
)
に
居
(
ゐ
)
る
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
様
(
やう
)
な
目
(
め
)
に
遭
(
あ
)
はされますよ』
160
と
言葉尻
(
ことばじり
)
をピンとはねて
体
(
からだ
)
を
揺
(
ゆす
)
り、
161
蜂
(
はち
)
を
払
(
はら
)
ふ
様
(
やう
)
な
態度
(
たいど
)
にてパタパタと
羽
(
は
)
ばたきして
見
(
み
)
せる。
162
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
初
(
はじ
)
めて
其処
(
そこ
)
に
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
倒
(
たふ
)
れて
居
(
ゐ
)
るに
気付
(
きづ
)
き、
163
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
164
言霊
(
ことたま
)
を
唱
(
とな
)
へ
鎮魂
(
ちんこん
)
を
施
(
ほどこ
)
した。
165
不思議
(
ふしぎ
)
や
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
腫
(
はれ
)
は
刻々
(
こくこく
)
に
ひすぼ
り、
166
忽
(
たちま
)
ち
元
(
もと
)
の
姿
(
すがた
)
に
復
(
かへ
)
り、
167
玉治別
(
たまはるわけ
)
に
向
(
むか
)
ひ
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
168
涙
(
なみだ
)
を
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
く
流
(
なが
)
し
感謝
(
かんしや
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
して
居
(
ゐ
)
る。
169
高姫
『コレハコレハ
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さま、
170
お
仕合
(
しあは
)
せな
事
(
こと
)
、
171
妾
(
わたし
)
が
今
(
いま
)
救
(
たす
)
けて
上
(
あ
)
げようと
思
(
おも
)
つて、
172
色々
(
いろいろ
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
願
(
ねが
)
つて
居
(
を
)
つた
所
(
ところ
)
、
173
半時
(
はんとき
)
ばかりの
間
(
あひだ
)
に
全快
(
ぜんくわい
)
させてやらうと、
174
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
仰有
(
おつしや
)
つて
恰度
(
ちやうど
)
今
(
いま
)
半時
(
はんとき
)
許
(
ばか
)
り
経
(
た
)
つた
所
(
ところ
)
だ。
175
其処
(
そこ
)
へ
玉治別
(
たまはるわけ
)
がやつて
来
(
き
)
て
烏
(
からす
)
の
おどし
の
様
(
やう
)
な
恰好
(
かつかう
)
して
鎮魂
(
ちんこん
)
をしてそれで
癒
(
なほ
)
つたと
思
(
おも
)
ふと
大
(
おほ
)
きな
間違
(
まちが
)
ひ、
176
恰度
(
ちやうど
)
好
(
い
)
い
時刻
(
じこく
)
に
来
(
き
)
よつて
自分
(
じぶん
)
が
癒
(
なほ
)
した
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
うて、
177
お
前
(
まへ
)
さまの
感謝
(
かんしや
)
の
言葉
(
ことば
)
を
手柄顔
(
てがらがほ
)
に
偉相
(
えらさう
)
に、
178
……
蚯蚓切
(
みみずき
)
りの
蛙飛
(
かはづと
)
ばしの
癖
(
くせ
)
に、
179
鎮魂
(
ちんこん
)
に、
180
神力
(
しんりき
)
があつてたまりますか。
181
コンナ
男
(
をとこ
)
に
病気
(
びやうき
)
が
癒
(
なほ
)
せる
位
(
くらゐ
)
なら、
182
妾
(
わたし
)
は
既
(
すで
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
はやめて
居
(
を
)
りますよ』
183
蜈蚣姫
『ドチラのお
蔭
(
かげ
)
だか
知
(
し
)
りませぬが、
184
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
185
然
(
しか
)
し
高姫
(
たかひめ
)
さま、
186
貴女
(
あなた
)
の
最前
(
さいぜん
)
濃霧
(
のうむ
)
に
包
(
つつ
)
まれた
時
(
とき
)
、
187
……
貫州
(
くわんしう
)
だけ
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
され、
188
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
でドウなとして
下
(
くだ
)
さい……と
祈
(
いの
)
つて
居
(
ゐ
)
ましたねエ。
189
随分
(
ずゐぶん
)
水臭
(
みづくさ
)
いお
方
(
かた
)
ですワ』
190
高姫
(
たかひめ
)
は
無言
(
むごん
)
。
191
玉能姫
『
貴女
(
あなた
)
が
噂
(
うはさ
)
に
聞
(
き
)
きました
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
で
御座
(
ござ
)
いますか。
192
これは
珍
(
めづ
)
らしい
所
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
にかかりました。
193
妾
(
わたし
)
は
生田森
(
いくたのもり
)
の
玉能姫
(
たまのひめ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
194
此
(
この
)
小
(
ちひ
)
さい
女
(
をんな
)
の
方
(
かた
)
は
聖地
(
せいち
)
に
於
(
おい
)
て
有名
(
いうめい
)
な
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
で
御座
(
ござ
)
います』
195
蜈蚣姫
『さうかいナア。
196
……お
前
(
まへ
)
がアノ
梃
(
てこ
)
でも
棒
(
ぼう
)
でも
動
(
うご
)
かぬ
玉能姫
(
たまのひめ
)
だな。
197
さうして
頑固者
(
ぐわんこもの
)
の
杢助
(
もくすけ
)
の
娘
(
むすめ
)
と
云
(
い
)
ふのは
此奴
(
こいつ
)
かいなア。
198
ホンニ
一寸
(
ちよつと
)
小賢
(
こざか
)
しい
悪気
(
わるぎ
)
の
有
(
あ
)
りさうな、
199
無
(
な
)
ささうな
顔
(
かほ
)
をして
居
(
ゐ
)
るワイ、
200
オホヽヽヽ。
201
……ヤアお
前
(
まへ
)
は
糞
(
くそ
)
まぶれになつて
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
た
友彦
(
ともひこ
)
ぢやないか。
202
大方
(
おほかた
)
妾
(
わし
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ、
203
娘
(
むすめ
)
に
逢
(
あ
)
はうと
思
(
おも
)
つて
来
(
き
)
たのだらう。
204
エヽ
穢
(
けが
)
らはしい。
205
友彦
(
ともひこ
)
の
糞彦
(
くそひこ
)
、
206
サア、
207
トツトと
帰
(
かへ
)
らつしやれ』
208
友彦
『
私
(
わたし
)
は
決
(
けつ
)
して
小糸姫
(
こいとひめ
)
に
未練
(
みれん
)
があつて
参
(
まゐ
)
つたのではありませぬ。
209
淡路島
(
あはぢしま
)
の
酋長
(
しうちやう
)
東助
(
とうすけ
)
様
(
さま
)
が、
210
私
(
わたし
)
の
大罪
(
だいざい
)
を
赦
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さいまして、
211
其
(
その
)
代
(
かは
)
り
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
をお
助
(
たす
)
けする
為
(
た
)
めに
船
(
ふね
)
を
持
(
も
)
つて
行
(
ゆ
)
けと
命
(
めい
)
ぜられ、
212
清
(
きよ
)
さま、
213
武
(
たけ
)
さま、
214
鶴
(
つる
)
さまと
一緒
(
いつしよ
)
に
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
うて
参
(
まゐ
)
つたのです。
215
東助
(
とうすけ
)
様
(
さま
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
がお
告
(
つ
)
げ
遊
(
あそ
)
ばしたには、
216
お
前
(
まへ
)
さまは
南洋
(
なんやう
)
のアンボイナ
島
(
たう
)
で
船
(
ふね
)
をとられるに
違
(
ちが
)
ひないから、
217
船
(
ふね
)
を
持
(
も
)
つて
迎
(
むか
)
ひに
行
(
い
)
つて
来
(
こ
)
いと
仰有
(
おつしや
)
られて、
218
情深
(
なさけぶか
)
い
東助
(
とうすけ
)
様
(
さま
)
が、
219
お
前
(
まへ
)
を
助
(
たす
)
ける
様
(
やう
)
に
私
(
わたし
)
をお
遣
(
つか
)
はしになつたのだ。
220
東助
(
とうすけ
)
さまにお
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
さねばなりませぬぞえ。
221
高姫
(
たかひめ
)
さま、
222
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さま、
223
どうです。
224
これでも
不足
(
ふそく
)
を
云
(
い
)
ふ
処
(
ところ
)
がありますかい』
225
高姫
『
友
(
とも
)
さま、
226
イランお
世話
(
せわ
)
だ。
227
誰
(
たれ
)
が
助
(
たす
)
けて
呉
(
く
)
れと
頼
(
たの
)
みました。
228
自分
(
じぶん
)
が
勝手
(
かつて
)
に
口実
(
こうじつ
)
を
設
(
まう
)
けて、
229
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
さうと
思
(
おも
)
ひよつて
来
(
き
)
たのだらう。
230
ヘン
阿呆
(
あはう
)
らしい。
231
誰
(
たれ
)
がお
礼
(
れい
)
を
云
(
い
)
ふ
馬鹿
(
ばか
)
があるものかい。
232
いい
加減
(
かげん
)
に
人
(
ひと
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にして
置
(
お
)
きなさい。
233
余人
(
よにん
)
はイザ
知
(
し
)
らず、
234
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
に
限
(
かぎ
)
つて、
235
ソンナ
巧妙
(
かうめう
)
な
嘘
(
うそ
)
を
喰
(
く
)
ひませぬわいなア。
236
オホヽヽヽ』
237
と
一言
(
ひとこと
)
々々
(
ひとこと
)
肩
(
かた
)
から
胴体
(
どうたい
)
を
揺
(
ゆす
)
つて
嘲弄
(
てうろう
)
する。
238
友彦
(
ともひこ
)
は
疳筋
(
かんすぢ
)
を
立
(
た
)
て、
239
友彦
『
私
(
わたし
)
は
何程
(
なにほど
)
嘲笑
(
てうせう
)
されても
不足
(
ふそく
)
を
云
(
い
)
はれてもかまはぬが、
240
さういふ
挨拶
(
あいさつ
)
をされて
東助
(
とうすけ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
して、
241
ドウいふ
返事
(
へんじ
)
をしてよいか
分
(
わか
)
りませぬ。
242
何
(
なん
)
とか
其処
(
そこ
)
は
人情
(
にんじやう
)
を
弁
(
わきま
)
へての
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
が
有
(
あ
)
りさうなものですなア』
243
高姫
『ヘン、
244
巧
(
うま
)
い
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
いますワイ。
245
人
(
ひと
)
を
家島
(
えじま
)
に
放
(
ほ
)
つたらかして、
246
東助
(
とうすけ
)
の
野郎
(
やらう
)
、
247
清
(
きよ
)
、
248
武
(
たけ
)
、
249
鶴
(
つる
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
引捉
(
ひつとら
)
へ、
250
気楽
(
きらく
)
さうに
追分
(
おひわけ
)
を
歌
(
うた
)
つて
帰
(
い
)
んだぢやないか。
251
それ
丈
(
だ
)
け
親切
(
しんせつ
)
があるなら、
252
ナゼ
私
(
わし
)
を
家島
(
えじま
)
へ
放
(
ほ
)
つて
帰
(
い
)
んで
仕舞
(
しま
)
つた。
253
ナント
巧
(
うま
)
い
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
うても、
254
事実
(
じじつ
)
が
事実
(
じじつ
)
だから
仕方
(
しかた
)
がありますまい。
255
オー
恐
(
こわ
)
や
恐
(
こわ
)
や、
256
虫
(
むし
)
も
殺
(
ころ
)
さぬ
様
(
やう
)
な
面
(
つら
)
をして
居
(
ゐ
)
るチツペの
初稚姫
(
はつわかひめ
)
や
玉能姫
(
たまのひめ
)
が、
257
此
(
この
)
年寄
(
としより
)
に
素破抜
(
すつぱぬ
)
きを
喰
(
く
)
はして、
258
玉隠
(
たまかく
)
しをやると
云
(
い
)
ふ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だから、
259
油断
(
ゆだん
)
も
隙
(
すき
)
もあつたものぢやないワイなア。
260
何程
(
なにほど
)
親切
(
しんせつ
)
にして
見
(
み
)
せて
下
(
くだ
)
さつても、
261
心
(
こころ
)
から
親切
(
しんせつ
)
でない
以上
(
いじやう
)
は、
262
有難
(
ありがた
)
いともナントモ
思
(
おも
)
ひませぬ。
263
却
(
かへつ
)
て
其
(
その
)
仕打
(
しうち
)
が
憎
(
にく
)
らしい。
264
イヒヽヽヽ』
265
と
上下
(
うへした
)
の
歯
(
は
)
を
けたり
と
合
(
あ
)
はせ
唇
(
くちびる
)
を
四角
(
しかく
)
にして、
266
前
(
まへ
)
に
突出
(
つきだ
)
して
見
(
み
)
せる。
267
友彦
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
268
あまりぢやありませぬか。
269
東助
(
とうすけ
)
さまはアヽ
見
(
み
)
えても、
270
親切
(
しんせつ
)
な
方
(
かた
)
ですよ』
271
高姫
『
親切
(
しんせつ
)
ぢやと
云
(
い
)
つて
船頭
(
せんどう
)
位
(
くらゐ
)
をして
居
(
ゐ
)
る
奴
(
やつ
)
が
何
(
なん
)
になるか。
272
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
天眼通
(
てんがんつう
)
でチヤンと
調
(
しら
)
べてある。
273
船頭
(
せんどう
)
社会
(
なかま
)
の
ヤンチヤ
で
家
(
いへ
)
も
何
(
なに
)
も
無
(
な
)
い
奴
(
やつ
)
だらう。
274
偉
(
えら
)
さうに
国城山
(
くにしろやま
)
に
清
(
きよ
)
、
275
鶴
(
つる
)
、
276
武
(
たけ
)
を
来
(
こ
)
させよつて、
277
一廉
(
いつかど
)
酋長
(
しうちやう
)
だとか
金持
(
かねもち
)
だとか
吐
(
ぬか
)
しよつて、
278
態
(
わざ
)
とに
八百長
(
やほちやう
)
で
友彦
(
ともひこ
)
を
引縛
(
ひつくく
)
つて
帰
(
かへ
)
り、
279
其
(
その
)
後
(
あと
)
を
追
(
おひ
)
かけて
来
(
き
)
たのだらう。
280
船頭
(
せんどう
)
が
賃銭
(
ちんせん
)
なしに
誰
(
たれ
)
がお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
をよこすものか。
281
又
(
また
)
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
も
日頃
(
ひごろ
)
の
泥棒
(
どろばう
)
根性
(
こんじやう
)
を
発揮
(
はつき
)
して、
282
高姫
(
たかひめ
)
が
玉
(
たま
)
を
発見
(
はつけん
)
したら、
283
フンだくつて
帰
(
かへ
)
らうと
思
(
おも
)
うて
来
(
き
)
たのに
違
(
ちが
)
ひない。
284
三百
(
さんびやく
)
両
(
りやう
)
フンだくつたり、
285
人
(
ひと
)
の
女房
(
にようばう
)
を
狙
(
ねら
)
ひそこねて、
286
雪隠
(
せんち
)
を
潜
(
くぐ
)
つて
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
したりする
様
(
やう
)
な
男
(
をとこ
)
が、
287
何
(
ど
)
んな
巧
(
うま
)
い
言
(
こと
)
を
云
(
い
)
うても
駄目
(
だめ
)
だ。
288
モツト
人格
(
じんかく
)
のある
男
(
をとこ
)
が
云
(
い
)
ふのなら、
289
一
(
ひと
)
つや
半分
(
はんぶん
)
は
承知
(
しようち
)
をせまいものでもないが、
290
お
前
(
まへ
)
の
様
(
やう
)
な
泥棒
(
どろばう
)
根性
(
こんじやう
)
の
男
(
をとこ
)
や、
291
清
(
きよ
)
、
292
鶴
(
つる
)
、
293
武
(
たけ
)
の
様
(
やう
)
な
裏返
(
うらがへ
)
り
者
(
もの
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が、
294
ドウして、
295
……ヘン
信
(
しん
)
じられますか。
296
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
297
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
298
田吾作
(
たごさく
)
だとて
其
(
その
)
通
(
とほ
)
りだ。
299
七
(
しち
)
人
(
にん
)
が
腹
(
はら
)
を
合
(
あは
)
せ、
300
高姫
(
たかひめ
)
や
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
手柄
(
てがら
)
を
横取
(
よこど
)
りしようと
思
(
おも
)
つてやつて
来
(
き
)
た
其
(
その
)
計略
(
けいりやく
)
、
301
仮令
(
たとへ
)
千万言
(
せんまんげん
)
を
尽
(
つく
)
し
弁解
(
べんかい
)
しても……ヘン、
302
だアめですよ』
303
と
両手
(
りやうて
)
を
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
にニユウと
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
し、
304
腰
(
こし
)
を
曲
(
かが
)
め、
305
尻
(
しり
)
を
縦
(
たて
)
に
振
(
ふ
)
つて、
306
蛙
(
かへる
)
の
如
(
ごと
)
く
二三
(
にさん
)
間前
(
げんまへ
)
にピヨンピヨン
飛
(
と
)
んでキヨクツて
見
(
み
)
せる。
307
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
がり、
308
蜈蚣姫
『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
が
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
ろうとも、
309
どうぞお
気
(
き
)
に
障
(
さ
)
へて
下
(
くだ
)
さいますな。
310
あの
方
(
かた
)
は
一寸
(
ちよつと
)
変
(
かは
)
つて
居
(
ゐ
)
ますから、
311
妾
(
わたし
)
は
船
(
ふね
)
を
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつたのが
何
(
なに
)
より
有難
(
ありがた
)
い。
312
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
、
313
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
有難
(
ありがた
)
う。
314
此
(
この
)
通
(
とほ
)
りお
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
します』
315
と
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
しながら
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
して
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
感謝
(
かんしや
)
する。
316
玉能姫
『
何
(
なに
)
これしきの
事
(
こと
)
に、
317
お
礼
(
れい
)
を
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さつては、
318
玉能姫
(
たまのひめ
)
一行
(
いつかう
)
、
319
却
(
かへつ
)
て
恥
(
はづ
)
かしい
様
(
やう
)
な
気
(
き
)
が
致
(
いた
)
します。
320
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
相身互
(
あひみたが
)
ひで
御座
(
ござ
)
います。
321
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
に
他人
(
たにん
)
だの
敵
(
かたき
)
だのと
云
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
が
有
(
あ
)
らう
道理
(
だうり
)
が
御座
(
ござ
)
いませぬ。
322
サア
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
斯様
(
かやう
)
な
所
(
ところ
)
に
居
(
ゐ
)
られましても、
323
玉
(
たま
)
は
決
(
けつ
)
して
出
(
で
)
ては
参
(
まゐ
)
りませぬ。
324
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
りませう』
325
蜈蚣姫
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う。
326
ソンナラ
船
(
ふね
)
を
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
すつたのを
幸
(
さいは
)
ひ、
327
妾
(
わたし
)
は
娘
(
むすめ
)
の
小糸姫
(
こいとひめ
)
に
逢
(
あ
)
ひたくてなりませぬから、
328
竜宮
(
りうぐう
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
に
渡
(
わた
)
りますから、
329
どうぞ
一艘
(
いつそう
)
の
船
(
ふね
)
をお
貸
(
か
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
330
玉能姫
『
二艘
(
にそう
)
持
(
も
)
つて
参
(
まゐ
)
りましたから、
331
一艘
(
いつそう
)
丈
(
だけ
)
はどうぞ、
332
御
(
ご
)
自由
(
じいう
)
にお
使
(
つか
)
ひ
下
(
くだ
)
さい。
333
……サア
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
334
妾
(
わたし
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
聖地
(
せいち
)
に
帰
(
かへ
)
りませう。
335
お
供
(
とも
)
致
(
いた
)
しますから』
336
高姫
『ナント
云
(
い
)
つても
此処
(
ここ
)
は
一寸
(
いつすん
)
も
動
(
うご
)
きませぬぞへ、
337
高姫
(
たかひめ
)
は』
338
玉治別
(
たまはるわけ
)
は、
339
玉治別
『ソンナラお
前
(
まへ
)
さまの
御
(
ご
)
勝手
(
かつて
)
になさいませ。
340
……サア
皆
(
みな
)
さま、
341
帰
(
かへ
)
りたい
方
(
かた
)
は
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つて
帰
(
かへ
)
りませぬか。
342
居
(
を
)
りたい
方
(
かた
)
は
手
(
て
)
を
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さい。
343
一
(
いち
)
、
344
二
(
に
)
、
345
三
(
さん
)
……ヤア
何方
(
どなた
)
も
帰
(
かへ
)
りたいと
見
(
み
)
えます。
346
一人
(
ひとり
)
も
居
(
を
)
りたい
人
(
ひと
)
はないと
見
(
み
)
えます。
347
一寸
(
いつすん
)
も
動
(
うご
)
かないと
仰有
(
おつしや
)
つた
高姫
(
たかひめ
)
さまでさへも
手
(
て
)
を
上
(
あ
)
げなさらぬワイ』
348
高姫
『
誰
(
たれ
)
が
田吾作
(
たごさく
)
の
命令
(
めいれい
)
に
服従
(
ふくじう
)
して、
349
この
尊
(
たふと
)
い
手
(
て
)
を
安々
(
やすやす
)
と
上
(
あ
)
げたり
下
(
さ
)
げたりしますかいナア。
350
ササ
早
(
はや
)
う
往
(
い
)
つて
丈夫
(
ぢやうぶ
)
な
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
りませうかい』
351
とムクムクと
起上
(
おきあが
)
り、
352
浜辺
(
はまべ
)
を
指
(
さ
)
して
一目散
(
いちもくさん
)
に
走
(
はし
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
353
一同
(
いちどう
)
は
高姫
(
たかひめ
)
のあとに
付
(
つ
)
き
添
(
そ
)
ひ
浜辺
(
はまべ
)
に
向
(
むか
)
ふ。
354
高姫
(
たかひめ
)
は
早
(
はや
)
くも
一艘
(
いつそう
)
の
船
(
ふね
)
に
飛
(
と
)
び
乗
(
の
)
り
大勢
(
おほぜい
)
を
残
(
のこ
)
し、
355
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
に
遠
(
とほ
)
く
漕
(
こ
)
いで
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
356
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
舌
(
した
)
をまきながら、
357
玉治別
『ヤア
高姫
(
たかひめ
)
の
奴
(
やつ
)
、
358
怪
(
け
)
しからぬ
事
(
こと
)
をしよる。
359
大
(
おほ
)
きい
好
(
い
)
い
船
(
ふね
)
に
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
乗
(
の
)
りよつて
此
(
この
)
小船
(
こぶね
)
に
是
(
これ
)
丈
(
だ
)
けの
者
(
もの
)
が
乗
(
の
)
るのは
大変
(
たいへん
)
に
険難
(
けんのん
)
だ。
360
波
(
なみ
)
の
静
(
しづ
)
かな
時
(
とき
)
は
好
(
よ
)
いが、
361
チツトでも
波
(
なみ
)
が
立
(
た
)
つたら
遣
(
や
)
り
切
(
き
)
れない。
362
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
になつたものだ』
363
と
磯端
(
いそばた
)
に
地団駄
(
ぢだんだ
)
踏
(
ふ
)
んで
口惜
(
くや
)
しがつて
居
(
ゐ
)
る。
364
一方
(
いつぱう
)
高姫
(
たかひめ
)
はメラの
滝
(
たき
)
の
麓
(
ふもと
)
に
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
印籠
(
いんろう
)
を
忘
(
わす
)
れた
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
し、
365
イヤイヤ
乍
(
なが
)
ら
再
(
ふたた
)
び
船
(
ふね
)
を
漕
(
こ
)
いで
此方
(
こちら
)
へ
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
る。
366
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて、
367
玉治別
『ヤア、
368
さすがの
高姫
(
たかひめ
)
も
沖
(
おき
)
まで
出
(
で
)
て
恐
(
こわ
)
くなつたと
見
(
み
)
え、
369
後戻
(
あともど
)
りして
来
(
き
)
をる。
370
偉
(
えら
)
さうに
云
(
い
)
つても
流石
(
さすが
)
は
女
(
をんな
)
だ。
371
これでは
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
も
好
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
なものだなア。
372
アハヽヽヽ』
373
一同
『オホヽヽヽ』
374
大勢
(
おほぜい
)
一度
(
いちど
)
にドツト
笑
(
わら
)
ふ。
375
此
(
この
)
時
(
とき
)
長途
(
ちやうと
)
の
航海
(
かうかい
)
に
馴
(
な
)
れた
手
(
て
)
で、
376
艪
(
ろ
)
を
操
(
あやつ
)
り
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く
戻
(
もど
)
つて
来
(
き
)
た
高姫
(
たかひめ
)
は、
377
高姫
『
皆
(
みな
)
さま、
378
一寸
(
ちよつと
)
漕
(
こ
)
いで
見
(
み
)
たが
随分
(
ずゐぶん
)
面白
(
おもしろ
)
いものだ。
379
是
(
これ
)
なら
仮令
(
たとへ
)
百
(
ひやく
)
里
(
り
)
千
(
せん
)
里
(
り
)
漕
(
こ
)
いだところで
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だよ。
380
妾
(
わたし
)
はメラの
滝
(
たき
)
に
落
(
おと
)
し
物
(
もの
)
をしたから、
381
五六丁
(
ごろくちやう
)
の
所
(
ところ
)
だから
往
(
い
)
つて
来
(
く
)
るよつて
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さいよ。
382
……コレコレ
貫州
(
くわんしう
)
、
383
玉治別
(
たまはるわけ
)
さま、
384
妾
(
わたし
)
に
付
(
つ
)
いてお
出
(
い
)
で、
385
若
(
も
)
し
船
(
ふね
)
を
出
(
だ
)
されちや
大変
(
たいへん
)
だから……』
386
貫州
(
くわんしう
)
、
387
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
口
(
くち
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
388
玉治別、貫州
『
滅相
(
めつさう
)
な、
389
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
は
揃
(
そろ
)
ひも
揃
(
そろ
)
うて
足
(
あし
)
の
裏
(
うら
)
を
竹
(
たけ
)
の
切
(
き
)
り
株
(
かぶ
)
に
突
(
つ
)
き、
390
一歩
(
いつぽ
)
も
歩
(
ある
)
けないのだよ。
391
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
は
此
(
この
)
海
(
うみ
)
の
景色
(
けしき
)
を
眺
(
なが
)
めて
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るから、
392
貴女
(
あなた
)
一人
(
ひとり
)
行
(
い
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい、
393
決
(
けつ
)
してお
前
(
まへ
)
さまのやうに
意地
(
いぢ
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
はせぬからなア』
394
高姫
(
たかひめ
)
は
慌
(
あわただ
)
しくメラの
滝
(
たき
)
の
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つて、
395
青葉
(
あをば
)
を
縫
(
ぬ
)
うて
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
したり。
396
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
に
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
397
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
398
玉治別
(
たまはるわけ
)
、
399
清
(
きよ
)
、
400
鶴
(
つる
)
、
401
武
(
たけ
)
の
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
新
(
あたら
)
しき
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
り
込
(
こ
)
みぬ。
402
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
403
友彦
(
ともひこ
)
、
404
久助
(
きうすけ
)
、
405
スマートボール、
406
お
民
(
たみ
)
其
(
そ
)
の
他
(
た
)
二人
(
ふたり
)
は、
407
稍
(
やや
)
古
(
ふる
)
き
小船
(
こぶね
)
に
身
(
み
)
を
寄
(
よ
)
せたり。
408
さうして
手早
(
てばや
)
く
纜
(
ともづな
)
を
解
(
と
)
き、
409
十間
(
じつけん
)
ばかり
陸
(
おか
)
をはなれて
面白
(
おもしろ
)
可笑
(
をか
)
しさうに
笑
(
わら
)
ひさざめき
居
(
ゐ
)
る。
410
そこに
高姫
(
たかひめ
)
は
印籠
(
いんろう
)
を
引掴
(
ひつつか
)
み、
411
スタスタと
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
412
高姫
『
妾
(
わたし
)
に
応答
(
こたへ
)
もなしに…………
何故
(
なぜ
)
船
(
ふね
)
を
出
(
だ
)
したのだい。
413
サア、
414
早
(
はや
)
く
船
(
ふね
)
を
漕
(
こ
)
いでこちらへ
寄
(
よ
)
せなされよー』
415
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
新船
(
さらぶね
)
を、
416
友彦
(
ともひこ
)
は
古船
(
ふるぶね
)
を
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
漕
(
こ
)
ぎ
出
(
だ
)
す。
417
一刻
(
いつこく
)
々々
(
いつこく
)
陸地
(
りくち
)
を
遠
(
とほ
)
ざかる。
418
高姫
(
たかひめ
)
は
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに、
419
高姫
『オーイその
船
(
ふね
)
、
420
此方
(
こちら
)
へ
寄
(
よ
)
せるのだー』
421
友彦
『ナンダか
知
(
し
)
らぬが、
422
友彦
(
ともひこ
)
が
漕
(
こ
)
げば
漕
(
こ
)
ぐほど
船
(
ふね
)
が
先
(
さき
)
へ
行
(
ゆ
)
くのだよ』
423
と
歌
(
うた
)
を
謡
(
うた
)
ひながら、
424
意地悪
(
いぢわる
)
く
沖
(
おき
)
に
向
(
むか
)
つて
漕
(
こ
)
ぎ
始
(
はじ
)
めける。
425
高姫
(
たかひめ
)
は
赤裸
(
まつぱだか
)
になり、
426
印籠
(
いんろう
)
を
口
(
くち
)
に
銜
(
くは
)
へ、
427
着物
(
きもの
)
を
頭
(
あたま
)
にくくりつけ、
428
抜手
(
ぬきて
)
を
切
(
き
)
つて
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
乗
(
の
)
つた
古船
(
ふるぶね
)
に
向
(
むか
)
つて
泳
(
およ
)
ぎ
行
(
ゆ
)
く。
429
友彦
(
ともひこ
)
は
相変
(
あいかは
)
らず
急
(
いそ
)
いで
艪
(
ろ
)
を
漕
(
こ
)
ぐ。
430
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は、
431
蜈蚣姫
『コレコレ
友彦
(
ともひこ
)
、
432
ソンナ
意地
(
いぢ
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
をするものでない。
433
高姫
(
たかひめ
)
さまの
心
(
こころ
)
にもなつて
見
(
み
)
たがよからう』
434
友彦
『
余
(
あま
)
り
口
(
くち
)
が
好
(
い
)
いから
改心
(
かいしん
)
の
為
(
た
)
めに、
435
友彦
(
ともひこ
)
が
一寸
(
ちよつと
)
いちや
つかしてやつたのです。
436
ソンナラ
待
(
ま
)
ちませうか』
437
と
艪
(
ろ
)
の
手
(
て
)
を
休
(
やす
)
める。
438
高姫
(
たかひめ
)
は
命
(
いのち
)
カラガラ
漸
(
やうや
)
くにして
船
(
ふね
)
に
喰
(
く
)
ひつきぬ。
439
スマートボール、
440
貫州
(
くわんしう
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
両手
(
りやうて
)
を
持
(
も
)
つて、
441
やつとの
事
(
こと
)
で
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
に
引上
(
ひきあ
)
げた。
442
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
艪
(
ろ
)
を
操
(
あや
)
つりながら
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
見捨
(
みす
)
てて
何処
(
どこ
)
ともなく
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
443
……
高姫
(
たかひめ
)
、
444
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
一行
(
いつかう
)
を
乗
(
の
)
せた
船
(
ふね
)
は
友彦
(
ともひこ
)
に
操
(
あやつ
)
られ、
445
西南
(
せいなん
)
の
縹渺
(
へうべう
)
たる
大海原
(
おほうなばら
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
446
(
大正一一・七・二
旧閏五・八
谷村真友
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< メラの滝
(B)
(N)
神助の船 >>>
霊界物語
>
第24巻
> 第2篇 南洋探島 > 第8章 島に訣別
Tweet
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【08 島に訣別|第24巻(亥の巻)|霊界物語/rm2408】
合言葉「みろく」を入力して下さい→