霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一五章 ()(ちが)ひ〔一六九七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第66巻 山河草木 巳の巻 篇:第3篇 異燭獣虚 よみ(新仮名遣い):いしょくじゅうきょ
章:第15章 喰ひ違ひ よみ(新仮名遣い):くいちがい 通し章番号:1697
口述日:1924(大正13)年12月17日(旧11月21日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年6月29日
概要: 舞台:オーラ山 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-04-19 12:40:02 OBC :rm6615
愛善世界社版:209頁 八幡書店版:第11輯 807頁 修補版: 校定版:213頁 普及版:67頁 初版: ページ備考:
001 玄真坊(げんしんばう)は、002サンダー、003スガコの二人(ふたり)美人(びじん)(うつつ)をぬかし、004いかにもして両手(りやうて)(はな)をかかへた色男(いろをとこ)たらむと、005(なな)(さが)りになつて数多(あまた)信者(しんじや)(かへ)つて()つたのを(さいは)ひ、006(みづか)包丁(はうちやう)()にして両人(りやうにん)(よろこ)びさうな珍味(ちんみ)佳肴(かかう)料理(れうり)にとりかかり、007ホクホクもので捻鉢巻(ねぢはちまき)008(たすき)がけで板場(いたば)(かせ)いでゐる。009そこへ附近(ふきん)村落(そんらく)宣伝(せんでん)()へて頭目(とうもく)のシーゴー(ばう)錫杖(しやくぢやう)をガチヤつかせ(なが)010ドシンドシンと(かへ)つて()た。
011シーゴー『これはこれは玄真坊(げんしんばう)殿(どの)012沢山(たくさん)部下(ぶか)のあるにも(かかは)らず、013()づから炊事(すゐじ)をなさるとは不思議(ふしぎ)千万(せんばん)014(ひと)(おも)からざれば()あらず(けい)せられずとか()つて、015さう軽々(かるがる)しうされちや部下(ぶか)(をさ)むる重鎮(ぢうちん)貫目(くわんめ)(ぜろ)になりますよ。016サアサア(はや)部下(ぶか)にいひつけて料理(れうり)をさせ、017貴僧(きそう)はヨリコ(ひめ)()女帝(によてい)(まへ)伺候(しこう)なされ。018拙者(せつしや)(これ)から女帝(によてい)(おん)(まへ)宣伝(せんでん)模様(もやう)報告(はうこく)(いた)(ござ)らう』
019 玄真坊(げんしんばう)は、
020(わる)(ところ)へシーゴーが(かへ)つて()やがつた』
021(いささ)面喰(めんくら)つたが、022流石(さすが)曲者(くせもの)023さあらぬ(てい)にて、
024玄真(げんしん)『アハヽヽヽ、025これはこれはシーゴー殿(どの)026(なが)らくの(あひだ)宣伝(せんでん)027()苦労(くらう)(ござ)つた。028貴殿(きでん)昼夜(ちうや)不断(ふだん)()尽力(じんりよく)によつて愚夫(ぐふ)愚婦(ぐふ)()()ること層一層(そういつそう)(おほ)く、029人山(ひとやま)日々(にちにち)(きづ)拙僧(せつそう)随分(ずゐぶん)疲労(ひらう)(いた)して(ござ)れば、030今日(こんにち)(みづか)料理(れうり)をなし、031(こころ)よく一杯(いつぱい)やつて浩然(こうぜん)()(やしな)はむと(おも)つた(ところ)(ござ)る。032サア(はや)女帝(によてい)のお(そば)()つてお(やす)(くだ)さい。033拙者(せつしや)はキツトあとからお(うかが)(いた)すで(ござ)らう』
034シーゴー『拙者(せつしや)随分(ずいぶん)疲労(ひらう)(いた)しました。035貴僧(きそう)のお()料理(れうり)賞翫(しやうがん)するのも、0351(また)結構(けつこう)(ござ)らう。036どうか精々(せいぜい)()馳走(ちそう)(ねが)()いものですわい。037(とき)玄真(げんしん)殿(どの)038コマの(むら)里庄(りしやう)(むすめ)サンダーと()(はな)(うそ)つく美人(びじん)当山(たうざん)()てゐる(はず)ですが御存(ごぞん)じでせうな。039拙者(せつしや)(おも)(ところ)あり山住(やまずま)ひの無聯(むれう)(なぐさ)めむとて、040懸河(けんが)(べん)(ふる)ひ、041当山(たうざん)(まで)おびきつけた(はず)(ござ)る。042御存(ごぞん)じならば一目(ひとめ)043(かれ)()はして(もら)()い、044アハヽヽヽ』
045 玄真坊(げんしんばう)(この)言葉(ことば)にヒヤリと(あたま)から冷水(ひやみづ)()びせかけられたやうな()がしたが、046もはや(かく)(わけ)にも()かず、047(おも)()つて、
048玄真(げんしん)成程(なるほど)049チツト(ばか)渋皮(しぶかは)のむけた美人(びじん)先日(せんじつ)(まゐ)りました』
050シーゴー『その美人(びじん)(いま)何処(どこ)にゐますか。051是非(ぜひ)一目(ひとめ)()()いものです。052かう身体(しんたい)(なは)(ごと)(つか)()てては053(さけ)一杯(いつぱい)二杯(にはい)()んだ(ところ)到底(たうてい)元気(げんき)恢復(くわいふく)(いた)さぬ。054絶世(ぜつせい)美人(びじん)(はな)(かんばせ)(なが)め、055丹花(たんくわ)(くちびる)より(しづ)かに()づる(こと)()(みみ)聴聞(ちやうぶん)するが唯一(ゆゐいつ)(ちから)(ござ)る。056美人(びじん)()みは所謂(いはゆる)生命(いのち)源泉(げんせん)となるものだから、057(じつ)拙者(せつしや)(いのち)洗濯用(せんたくよう)にもと(ぞん)じ、058布婁那(ふるな)(べん)(もつ)当山(たうざん)(さし)()()いた次第(しだい)059如才(じよさい)のない貴僧(きそう)(こと)であるから、060キツト大切(だいじ)にして()いて(くだ)さつたでせう。061貴下(あなた)のお()料理(れうり)所謂(いはゆる)062()美人(びじん)(たち)(すす)むる(ため)(ござ)らう。063イヤハヤ感謝(かんしや)(いた)しますよ。064貴殿(きでん)(みづか)料理(れうり)なんか()さるやうな(かた)ではないが、065恋愛(れんあい)()曲物(くせもの)(とり)(ひし)がれては、066からつきし駄目(だめ)ですな。067(こひ)(やつこ)となり、068(あま)んじて下郎(げらう)(やく)(あそ)ばすと()える。069()(なか)(なに)(つよ)いと()つても(こひ)()(やつ)ほど、070無限力(むげんりよく)をもつてゐる(やつ)はない。071(おに)(あざむ)髯武者(ひげむしや)男子(だんし)072しかも(この)白髪首(しらがくび)(つぼみ)(はな)(ほころ)びむとする優姿(やさすがた)(なが)め、073馥郁(ふくいく)たる香気(かうき)()いだ(とき)は、074もとの(むかし)(かへ)つたやうで(ござ)る、075アハヽヽヽ』
076 玄真坊(げんしんばう)二人(ふたり)美人(びじん)(なが)らく食料(しよくれう)()めにして(くるし)めおき、077今日(けふ)ヤツト両人(りやうにん)(かん)ばしい言葉(ことば)()したので(こひ)願望(ぐわんまう)成就(じやうじゆ)と、078なるべく(あぢ)のよい加減(かげん)のよい食物(しよくもつ)(あた)へ、079層一層(そういつそう)二人(ふたり)歓心(くんわしん)()むものと(こころ)(くだ)(ちから)(つく)し、080(あせ)(しぼ)つて(やうや)馳走(ちそう)(こしら)へた(ところ)へ、081シーゴーが(かへ)つて()て、082いろいろと(みみ)(いた)(こと)()かされ、083夜食(やしよく)(はづ)れた梟鳥(ふくろどり)か、084小田(をだ)(かはず)(へび)()はれて()きそこねたやうな(つら)をして、085ブツブツと(くち)(おく)にて小言(こごと)()(なが)ら、086匆々(さうさう)膳部(ぜんぶ)(こしら)へ、087シーゴーをして(はや)(この)()(たち)()らしめむと、088いろいろと(なぞ)をかけるけれども、089意地(いぢ)(わる)いシーゴーは(この)()()(ふさが)つて女帝(によてい)(そば)(うかが)ひに()かうとはせぬ。
090シーゴー『ハヽヽヽ、091(この)膳部(ぜんぶ)三人前(さんにんまへ)(ござ)るな、092成程(なるほど)093女帝(によてい)(さま)拙者(せつしや)貴殿(きでん)とで(ござ)るか、094ヤ、095貴僧(きそう)ばかりに(ほね)()らせても()まない。096拙者(せつしや)膳部(ぜんぶ)(はこ)びませう』
097玄真(げんしん)『イヤ、098(かま)(くだ)さるな。099徹頭(てつとう)徹尾(てつび)100拙者(せつしや)取扱(とりあつかひ)(いた)しませう。101サア(はや)貴僧(きそう)女帝(によてい)(さま)()機嫌(きげん)(うかが)つて()(くだ)さい。102女帝(によてい)(さま)先日(せんじつ)より貴僧(きそう)のお(かへ)りをお()()ねですからな』
103シーゴー『(しか)らば(これ)より女帝(によてい)(さま)()挨拶(あいさつ)(まゐ)りませう。104(さいは)拙者(せつしや)空腹(くうふく)なり、105時分(じぶん)もよし、106女帝(によてい)(さま)もお(なか)()いてゐるでせう。107貴僧(きそう)丹精(たんせい)をこらして()づから(こしら)へになつた百味(ひやくみ)飲食(おんじき)(さん)(にん)(いただ)くのも愉快(ゆくわい)(ござ)らう。108いや(たの)しい(こと)(ござ)る』
109 玄真坊(げんしんばう)二人(ふたり)美人(びじん)(よろこ)ばせ、110自分(じぶん)一緒(いつしよ)舌鼓(したつづみ)()つて二人(ふたり)(うれ)しい(かほ)()(なが)一杯(いつぱい)やらうと(おも)つて()たのに、111九分(くぶ)九厘(くりん)(ところ)にシーゴーに(かへ)つて()られ、
112『どうせ()馳走(ちそう)はあて(はづ)れの(ところ)()つて(はこ)ばねばならぬやうになつて()た。113(くは)ふるに、114苦心(くしん)惨憺(さんたん)して(わが)()八九分(はちくぶ)(なび)かせたサンダーは、115どうやら、116シーゴーが懸想(けさう)してゐるらしい。117(いま)のシーゴーの言葉(ことば)から(かんが)へて()れば、118(かれ)自分(じぶん)(つま)にしようと(おも)つて、119ここへ(まゐ)らせたのに(ちが)ひない。120イヤ(たしか)目的(もくてき)があつて弁舌(べんぜつ)にまかせ、121(かれ)サンダーを、122此処(ここ)へよこしたのだ。123ハテ()()める(こと)だわい。124三人前(さんにんまへ)馳走(ちそう)をシーゴーに()つけられた以上(いじやう)は、125どうしても女帝(によてい)(さま)(たてまつ)らねばなるまい。126自分(じぶん)(ぶん)()けを(のこ)して二人前(ににんまへ)127(おく)るとした(ところ)二人(ふたり)(をんな)一人前(いちにんまへ)膳部(ぜんぶ)とは可笑(をか)しい、128(また)女帝(によてい)(さま)命令(めいれい)で……(さん)(にん)(そろ)うて一杯(いつぱい)やらう……(など)()はれちや一人前(いちにんまへ)膳部(ぜんぶ)(たす)からない。129アさうすりや二人(ふたり)美人(びじん)(この)玄真坊(げんしんばう)益々(ますます)信用(しんよう)(おと)道理(だうり)だ。130……(ひと)(だま)した残酷(ざんこく)(やつ)だ……と、131層一層(そういつそう)(うら)まれるやうになつちや(こひ)目的(もくてき)達成(たつせい)しない。132チヨツ、133(えら)いジレンマにかかつたものだわい。134アーアー、135此方(こちら)()てれば、136彼方(あちら)()たぬ、137彼方(あちら)()てれば此方(こちら)()たぬ。138両方(りやうはう)()つれば()()たぬ……とは自分(じぶん)(こと)だ。139アーア』
140吐息(といき)をついてゐる。141そこへ(あわ)ただしく、142パンクが女帝(によてい)使(つかひ)として、143やつて()た。
144パンク『もしもし玄真坊(げんしんばう)(さま)145女帝(によてい)(さま)のお使(つかひ)(まゐ)りましたが、146(いま)シーゴー(さま)(ひさ)(ぶり)宣伝(せんでん)()へお(かへ)りになりましたので、147女帝(によてい)(さま)非常(ひじやう)にお(よろこ)(あそ)ばし、148貴方(あなた)にも()(もら)つて女帝(によてい)(さま)149左守(さもり)150右守(うもり)のお三方(さんかた)祝酒(いはひざけ)()み、151()馳走(ちそう)をお(あが)(あそ)ばすので、152(わたし)女帝(によてい)(さま)が「料理(れうり)をせよ」と(おほ)せられました(ところ)153シーゴーさまの仰有(おつしや)るのには、154「イヤ女帝(によてい)(さま)155()心配(しんぱい)(くだ)さいますな。156(いま)玄真坊(げんしんばう)(さま)天眼通(てんがんつう)(もつ)て、157拙者(せつしや)(かへ)るのを前知(ぜんち)158三人分(さんにんぶん)馳走(ちそう)(こしら)へて()られますから、159それさへここへ(はこ)んで()れば、160いい」との(こと)161流石(さすが)女帝(によてい)(さま)も「玄真坊(げんしんばう)(さま)(なん)と、162(えら)(やつ)だな」と、163(した)をまいて感心(かんしん)(あそ)ばしましたよ。164サア、165何卒(どうぞ)()ちかねですから、166女帝(によてい)(さま)のお居間(ゐま)へお()(くだ)さい。167膳部(ぜんぶ)(わたし)(はこ)ばして(いただ)きます』
168 玄真坊(げんしんばう)是非(ぜひ)なく溝狸(どぶだぬき)(あたま)から煮茶(にえちや)(かぶ)せられたやうな不足(ふそく)(かほ)して、169二人(ふたり)(をんな)(こころ)(のこ)しつつ天王(てんわう)(やしろ)床下(ゆかした)(きづ)かれた地下室(ちかしつ)170女帝(によてい)居間(ゐま)へと(すす)()く。
171 女帝(によてい)一段(いちだん)(たか)(とこ)(うへ)()()め、172シーゴー、173玄真坊(げんしんばう)(すこ)(さが)つて鼎座(かなへざ)となり、174(さけ)()()はし(なが)手柄話(てがらばなし)(はな)()かした。175パンクは(さけ)()ぎ、176(めし)つぎの(やく)忠実(ちうじつ)(つと)めてゐる。177(なに)()つても山賊(さんぞく)親分(おやぶん)だから、178(あま)小難(こむつかし)行儀(ぎやうぎ)もない。179(さけ)()(なが)ら、180()(なが)ら、181諄々(じゆんじゆん)(はなし)(つづ)けて()ふ。
182ヨリコ『シーゴー殿(どの)183(なが)らくの宣伝(せんでん)184()苦労(くらう)であつた。185その効果(かうくわ)(むな)しからず、186(かみ)(さま)大変(たいへん)()繁昌(はんぜう)だよ。187随分(ずいぶん)(ほね)()つたでせうな。188その影響(えいきやう)として玄真殿(げんしんどの)も、189大変(たいへん)多忙(たばう)(きは)めてゐたやうだ、190其方(そなた)(かへ)つたら、191一度(いちど)慰労会(ゐらうくわい)(もよほ)()いと(おも)つて()(ところ)だ。192サア()(なが)()(なが)ら、193其方(そなた)活動(くわつどう)(ぶり)()かして(もら)はう』
194シーゴー『ハイ、195()顕著(けんちよ)なる(わたし)(はたら)きと()へばタライの(むら)美人(びじん)スガコを(はじ)め、196コマの(むら)美人(びじん)サンダー(ひめ)を、197うまく此方(こなた)引寄(ひきよ)せおき、198(なほ)宣伝(せんでん)をつづくる(うち)199ハルナの(みやこ)より地教山(ちけうざん)(むか)ふバラモン(ぐん)勇将(ゆうしやう)大足別(おほだるわけ)部下(ぶか)附近(ふきん)村落(そんらく)宿営(しゆくえい)をなし、200金銭(きんせん)物品(ぶつぴん)掠奪(りやくだつ)し、201婦女(ふぢよ)(かん)(はなはだ)しきは美人(びじん)()()(いへ)()(など)202乱暴(らんばう)狼籍(らうぜき)(いた)らざるなく、203(われ)()縄張(なはばり)(あら)すこと(はなはだ)しく、204人心(じんしん)恟々(きようきよう)として、205(てん)(すく)ひを(もと)むる好時節(かうじせつ)206(この)()(いつ)してなるものかと、207獅子(しし)奮迅(ふんじん)(いきほひ)にて昼夜(ちうや)(わか)たず宣伝(せんでん)(いた)しました。208(うち)にも(もつと)愉快(ゆくわい)なるはタライの(むら)里庄(りしやう)ジャンクは義勇軍(ぎゆうぐん)(おこ)し、209バルガン(じやう)(むか)(こと)となり、210最愛(さいあい)(むすめ)行衛(ゆくゑ)()れず、211自分(じぶん)(いま)戦場(せんぢやう)(むか)(うへ)はもとより(いき)(かへ)(こと)(おも)ひも()らず、212可惜(あたら)巨万(きよまん)財産(ざいさん)相続(さうぞく)するものがないと()破目(はめ)213(これ)(てん)(あた)へ、214(ひろ)はずんばあるべからずと、215修験者(しゆげんじや)仮装(かさう)(さいは)ひ、216(かれ)出陣(しゆつぢん)間際(まぎは)(かれ)(おとな)ひ、217(ほとん)応接(おうせつ)(いとま)なき多忙(たばう)をつけ()み、218「オーラ(ざん)(くだ)(たま)天来(てんらい)救世主(きうせいしゆ)219玄真坊(げんしんばう)全部(ぜんぶ)財産(ざいさん)(たてまつ)れよ」と(かけ)()つた(ところ)220ジャンクの(まを)すには「一人(ひとり)(むすめ)生死(せいし)(わか)らぬ今日(こんにち)場合(ばあひ)221(われ)(また)戦場(せんぢやう)(むか)はば(かばね)山野(さんや)(さら)覚悟(かくご)222財産(ざいさん)必要(ひつえう)はない、223(かみ)(さま)(たてまつ)るから天下(てんか)万民(ばんみん)のため、224善用(ぜんよう)せよ」との(たの)み、225イヤハヤ大成功(だいせいこう)(ござ)る、226アハヽヽヽ』
227ヨリコ『(いま)(はじ)めぬ其方(そなた)(はたら)き、228天晴(あつぱれ)々々(あつぱれ)229マサカの(とき)軍資(ぐんし)()つる(こと)出来(でき)るであらう。230流石(さすが)はシーゴー殿(どの)231ヤツパリ(しし)()(いぬ)(しし)()(いぬ)だ。232それでこそ三千(さんぜん)(にん)頭目(とうもく)として(はづ)かしからぬ頭目(とうもく)だ』
233(しき)りに()めそやかす。234シーゴーは満面(まんめん)得意(とくい)大口(おほぐち)()けて(わら)(なが)(かた)()すつて玄真坊(げんしんばう)(むか)ひ、
235シーゴー『玄真殿(げんしんどの)236拙者(せつしや)腕前(うでまへ)はザツトこんなもので(ござ)る。237貴殿(きでん)一寸(ちよつと)238おあやかりなさい。239女帝(によてい)(さま)のお()めの言葉(ことば)(いただ)いて、240もはや天下(てんか)(にぎ)つたやうな気分(きぶん)(いた)すで(ござ)る、241アハヽヽヽ』
242(ゑひ)(まぎ)らし威丈高(ゐだけだか)(わら)ふ。243玄真坊(げんしんばう)折角(せつかく)二人(ふたり)のナイスを(よろこ)ばせようと(おも)244丹精(たんせい)()らして料理(れうり)した膳部(ぜんぶ)()()げられ、245田舎(いなか)(ぢい)(さん)()もある豆腐屋(とうふや)()つて、246油揚(あげ)()つて(かへ)りに(とび)(さら)はれたやうな()のぬけた(つら)をさらし、247(はん)()きの(てい)にて、
248玄真(げんしん)拙僧(せつそう)だとて、249仲々(なかなか)苦労(くらう)(ござ)る。250相手(あひて)(かは)れど(ぬし)(かは)らず、251(あさ)から(ばん)まで雲霞(うんか)(ごと)(あつ)まり(きた)老若(らうにやく)男女(なんによ)(たい)して一々(いちいち)(なん)とか、252かんとか、253ごまかさねばならず、254(なか)には(ほね)のある(やつ)があつて「そんな(はず)がない」とか「()()はぬ」とか、255(むつ)かしい哲学(てつがく)(たて)()つて理窟(りくつ)をこねる(こと)もあり、256()幾度(いくたび)257ヒヤヒヤ、258アブアブ、259する(こと)があるか()れないのですよ。260その(たび)(ごと)冷汗(ひやあせ)()る、261心臓(しんざう)(をど)る、262(はら)はデングり(がへ)る。263何程(なにほど)小便(せうべん)()りきつて()つても、264活神(いきがみ)(さま)中途(ちうと)便所(べんじよ)()(わけ)にも()かず、265大便(だいべん)尚更(なほさら)のこと、266真青(まつさを)(かほ)して、267高座(かうざ)(のぼ)つてゐる(とき)(くる)しさ。268シーゴー殿(どの)のやうに自由(じいう)自在(じざい)(ひろ)原野(げんや)横行(わうかう)濶歩(くわつぽ)するのと(ちが)い、269その(くる)しさは幾層倍(いくそうばい)かも()れませぬぞ。270拙者(せつしや)活動(くわつどう)地味(ぢみ)ではあるが、271(もつと)(くる)しく(かつ)功績(こうせき)(おほ)い。272シーゴー殿(どの)活動(くわつどう)()はば外的(ぐわいてき)花々(はなばな)しくて、273愉快(ゆくわい)で、274(くは)ふるに功労(こうらう)一々(いちいち)()()えるのだから、275拙者(せつしや)よりも余程(よほど)勲功(くんこう)(たか)いやうに、2751一寸(ちよつと)()えるが、276どうしてどうして277拙僧(せつそう)苦心(くしん)(くら)ぶれば九牛(きうぎう)一毛(いちもう)にも()かないだらう』
278シーゴー『ヘン、279(なに)(ほど)(くる)しいと()つても、280(なな)(さが)れば上跨(あげまた)()つて(うつく)しい(をんな)口説(くど)(なが)ら、281(やす)んでゐられるのだから(らく)なものだ。282拙者(せつしや)(ごと)きは昼夜(ちうや)区別(くべつ)なく、283荒風(あらかぜ)()()くられ、284時々(ときどき)ポリスの追跡(つゐせき)をうけ、285バラモン(ぐん)()ひまくられ、286(いぬ)には(ほえ)つかれ、287猛獣(まうじう)にも(おびや)かされ、288おまけに(つゆ)弾丸(たま)289(しも)(つるぎ)()()びて、290荒涼(くわうりやう)たる原野(げんや)(なか)縦横(じうわう)無尽(むじん)馳駆(ちく)する(くる)しさ。291到底(たうてい)岩窟(いはや)(なか)蟄居(ちつきよ)する守宮(やもり)さまの、292想像(さうざう)()(ところ)ではない。293エー、294(とき)拙者(せつしや)弁舌(べんぜつ)(ふる)ひ、295千変(せんぺん)万化(ばんくわ)秘術(ひじゆつ)(つく)して当山(たうざん)(さし)()けたるスガコ、296サンダーの二人(ふたり)美人(びじん)如何(いかが)なされたか。297(をとこ)(ばか)りの酒宴(しゆえん)ではネツカラ(きよう)(ござ)らぬ。298玄真坊(げんしんばう)殿(どの)299どうか両人(りやうにん)をこれへ引出(ひきだ)し、300(さけ)相手(あひて)(うた)でも(うた)はせては如何(いかが)(ござ)るな』
301玄真(げんしん)如何(いか)にも、302(もつと)(なが)ら、303(かれ)(いま)断食(だんじき)修業中(しうげふちう)(ござ)れば、304仮令(たとへ)()()した(ところ)で、305()には()ひますまい。306顔色(がんしよく)憔悴(せうすゐ)して(つち)(ごと)く、307(ほとん)(この)()(ひと)ではあるまい(ごと)(やつ)れた姿(すがた)308(むし)()ないが(はな)(ござ)らう』
309シーゴー『(しか)らば修業(しうげふ)()んだ(うへ)310拙者(せつしや)も、311ユルユル女神(めがみ)(さま)にお()にかからう。312もし女帝(によてい)(さま)313(わたし)()褒美(ほうび)にサンダーと()(をんな)(いただ)()いもので(ござ)います』
314ヨリコ『サンダーと()ひ、315スガコと()ひ、316(いづ)れも其方(そなた)苦心(くしん)惨澹(さんたん)結果(けつくわ)317引寄(ひきよ)せたものだから、318其方(そなた)自由(じいう)にしたが()からう。319(わたし)(をんな)(こと)でもあり美人(びじん)必要(ひつえう)はないから、320其方(そなた)勇気(ゆうき)をつなぐ(ため)321自由(じいう)にしたが()からうぞや。322玄真坊(げんしんばう)天帝(てんてい)化身(けしん)だから、323ここ(しばら)くは(をんな)なんかに(こころ)()せず、324飽迄(あくまで)聖者(せいじや)()りすまし、325目的(もくてき)成就(じやうじゆ)(まで)辛抱(しんばう)して(もら)()いものだ。326のう玄真坊(げんしんばう)327其方(そち)もそれ(くらゐ)(かんが)へはあるだらう』
328 玄真坊(げんしんばう)(あたま)をかき(なが)ら、
329玄真(げんしん)『ハイ、330エー、331(なん)(ござ)います。332エー、333拙僧(せつそう)もあく(まで)聖者(せいじや)気取(きど)り、334なるべく生神(いきがみ)としての信用(しんよう)(たも)()く、335昼夜(ちうや)(こころ)()んでゐますが、336(なん)()つても二人(ふたり)美人(びじん)337拙僧(せつそう)恋慕(れんぼ)(いた)し、338()けても()れても玄真(げんしん)々々(げんしん)()つて、339夢現(ゆめうつつ)となり(こひ)にやつれて(いま)()(かげ)もなき有様(ありさま)340(この)両人(りやうにん)(この)(まま)にしておけば、341もはや(いのち)(ほろ)ぶるより(みち)はありませぬ。342(この)両人(りやうにん)こそは(おと)(きこ)えし富豪(ふがう)(むすめ)343どこ(まで)生命(いのち)(たも)たせ人質(ひとじち)となし、344(かれ)(おや)財産(ざいさん)()()げて、345軍資金(ぐんしきん)充実(じゆうじつ)(はか)らねばならぬからと(ぞん)じ、346()ゆるが(ごと)二人(ふたり)恋慕(れんぼ)(うる)さい(なが)ら、347(やなぎ)(かぜ)()(なが)し、348タワタワと()(あぜ)(わた)るやうにして、349今日(けふ)()(まで)350(かれ)()(こころ)(なぐさ)将来(しやうらい)(のぞ)みを(いだ)かせておきましたが、351拙者(せつしや)(かほ)()せない(とき)(かれ)(こが)(じに)(いた)します。352それで拙者(せつしや)(かれ)犠牲(ぎせい)となつて日夜(にちや)真理(しんり)()きさとし、353不離(ふり)不即(ふそく)態度(たいど)()し、354(かれ)元気(げんき)恢復(くわいふく)する(まで)355時々(ときどき)(なぐさ)めてやる(かんが)へで(ござ)いますれば、356(これ)から拙者(せつしや)(かれ)岩窟(いはや)(おとな)うとも(けつ)して(あや)しまないやうにお(ねが)(いた)します。357(かれ)()二人(ふたり)元気(げんき)恢復(くわいふく)して(もと)身体(からだ)となる(まで)358仮令(たとへ)シーゴー殿(どの)()へども(かれ)(へや)出入(しゆつにふ)せぬやう、359女帝(によてい)(さま)より(きび)しく(おん)(まをし)()(くだ)さいますやうに……』
360(むし)のよい予防線(よばうせん)()つて()ふ。
361 シーゴーは(かた)()すつて高笑(たかわら)ひ、
362シーゴー『アハヽヽヽ、363玄真殿(げんしんどの)予防線(よばうせん)364(いな)鉄条網(てつでうまう)365イヤハヤ、366シーゴー、367感奮(かんぷん)(つかまつ)つた。368それ()けの(うで)がなくては美人(びじん)(たい)し、369云々(うんぬん)する資格(しかく)(ござ)るまい。370玄真坊(げんしんばう)(とし)(わか)男前(をとこまへ)もいい。371拙者(せつしや)御覧(ごらん)(ごと)(かしら)霜雪(さうせつ)(いただ)き、372到底(たうてい)(わか)(をんな)(この)面付(つらつき)では(ござ)らぬ。373(この)(てん)(おい)ては玄真坊(げんしんばう)殿(どの)(たい)一歩(いつぽ)(ゆづ)らねばなりませぬ。374(しか)(なが)ら、375玄真殿(げんしんどの)376(この)()馳走(ちそう)女帝(によてい)(さま)吾々(われわれ)(くち)這入(はい)るべき(もの)ではなかつたのでせう。377断食(だんじき)をしてゐると()ふ、3771修業者(しうげふしや)(むか)つての献立(こんだて)378大方(おほかた)影膳(かげぜん)にお(つく)りなさつたのであらう。379拙者(せつしや)はお(かげ)(いただ)いて()馳走(ちそう)鱈腹(たらふく)(いただ)いたが380(さぞ)3801二人(ふたり)断食者(だんじきしや)()ちかねてゐる(こと)でせう。381サア玄真殿(げんしんどの)382()苦労(くらう)(なが)ら、383炊事場(すゐじば)()つて二人前(ににんまへ)384(いな)三人前(さんにんまへ)料理(れうり)調進(てうしん)()され。385てもさても、386器用(きよう)なお(かた)(ござ)る。387アハヽヽヽ』
388とあてこすられ、389玄真坊(げんしんばう)今戸焼(いまどやき)出来(でき)そこのうた布袋(ほてい)のやうな(つら)をして、390しやちこばつてゐる。
391ヨリコ『面白(おもしろ)玄真坊(げんしんばう)(おも)ざしは
392()きそこねたる羅漢面(らかんづら)かな』
393玄真坊(げんしんばう)(これ)はしたり羅漢面(らかんづら)とは(いぶ)かしや
394女帝(によてい)言葉(ことば)(おぼ)えざりけり』
395シーゴー『(いは)()()()()きし艶人(あでびと)
396(こころ)()みてや(なれ)のをののき』
397玄真坊(げんしんばう)(なん)なりと(そし)れば(そし)(われ)(ただ)
398(かみ)のまにまに(すす)むのみなる』
399ヨリコ『何事(なにごと)(みづ)(なが)せよ(さかづき)
400(なか)にも()める(もち)月影(つきかげ)
401大正一三・一二・一七 旧一一・二一 於祥雲閣 北村隆光録)
ロシアのプーチン大統領が霊界物語に予言されていた!?<絶賛発売中>
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki