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第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
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第77巻(辰の巻)
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第27巻(寅の巻)
序文
凡例
総説歌
第1篇 聖地の秋
01 高姫館
〔783〕
02 清潔法
〔784〕
03 魚水心
〔785〕
第2篇 千差万別
04 教主殿
〔786〕
05 玉調べ
〔787〕
06 玉乱
〔788〕
07 猫の恋
〔789〕
第3篇 神仙霊境
08 琉と球
〔790〕
09 女神託宣
〔791〕
10 太平柿
〔792〕
11 茶目式
〔793〕
第4篇 竜神昇天
12 湖上の怪物
〔794〕
13 竜の解脱
〔795〕
14 草枕
〔796〕
15 情意投合
〔797〕
第5篇 清泉霊沼
16 琉球の神
〔798〕
17 沼の女神
〔799〕
18 神格化
〔800〕
余白歌
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第六章
玉乱
(
たまらん
)
〔七八八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻
篇:
第2篇 千差万別
よみ(新仮名遣い):
せんさばんべつ
章:
第6章 玉乱
よみ(新仮名遣い):
たまらん
通し章番号:
788
口述日:
1922(大正11)年07月24日(旧06月01日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年6月20日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
玉照彦と玉照姫は、唯一本物だった紫の玉を持ってこさせた。高姫は、紛失しては大変だから自分が保管する、と言い出したため、国依別と言い争いになる。
玉照姫は、国依別に自宅待機を命じる。高姫は、言依別が出奔し、杢助が総務を辞職した今、自分が教主にならねばならぬ、と一人悦に入っている。
玉治別は波留彦、秋彦と共に高姫をたしなめ、またもや言い争いになる。玉照姫は、言依別は神界の経綸によって高砂島に渡ったことを明かし、杢助に筑紫島への出張を命じた。そして東助を総務兼教主代理とすることを発表し、高姫と黒姫は特別に相談役に任じた。
また、玉照姫は、もし高姫が紛失した四個の麻邇の玉を持ち帰ったら、高姫を教主とし、高山彦と黒姫を左守・右守の役とすることを約束した。
それを聞いて高姫は、集まった一堂の信者たちから玉の情報を集めようとしたり、すでに玉が見つかったかのごとく威張り散らしたりした。それでまたしても、玉治別・波留彦と言い争いになる。
すると突然、高山彦が高姫・黒姫に暇乞いを告げた。竜宮の一つ島へ帰って、宰相に戻り、活躍するつもりだと言う。高山彦が去ろうとすると、その袖に黒姫がすがりつき、当たり構わず泣いて引き止めた。
玉治別は高山彦の出立を促して、黒姫の帯を掴んだ。黒姫は金切り声を放って一場の愁嘆場を演じた。黒姫は玉治別を振りほどいて群集をかき分け、高山彦を追いかける。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-10-26 18:19:48
OBC :
rm2706
愛善世界社版:
119頁
八幡書店版:
第5輯 286頁
修補版:
校定版:
125頁
普及版:
54頁
初版:
ページ備考:
001
玉照姫
(
たまてるひめ
)
、
002
玉照彦
(
たまてるひこ
)
は
口
(
くち
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
003
玉照姫、玉照彦
『
英子姫
(
ひでこひめ
)
殿
(
どの
)
、
004
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
を
我
(
わが
)
前
(
まへ
)
に
持来
(
もちきた
)
られよ』
005
と
宣示
(
せんじ
)
された。
006
英子姫
(
ひでこひめ
)
は「ハイ」と
答
(
こた
)
へて
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
を
柳筥
(
やなぎばこ
)
に
納
(
をさ
)
めた
儘
(
まま
)
、
007
恭
(
うやうや
)
しく
捧持
(
ほうぢ
)
して
二神司
(
にしん
)
の
前
(
まへ
)
に
奉
(
たてまつ
)
らむとする
時
(
とき
)
しも、
008
高姫
(
たかひめ
)
は、
009
高姫
(
たかひめ
)
『
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
010
又
(
また
)
紛失
(
ふんしつ
)
すると
大変
(
たいへん
)
だから、
011
此
(
この
)
玉
(
たま
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
保管
(
ほくわん
)
致
(
いた
)
しておきます』
012
国依別
(
くによりわけ
)
『コリヤ
高
(
たか
)
、
013
又
(
また
)
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
へ
呑
(
の
)
んで
了
(
しま
)
ふ
積
(
つも
)
りだらう。
014
何程
(
なにほど
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
偉
(
えら
)
くとも、
015
玉照彦
(
たまてるひこ
)
、
016
玉照姫
(
たまてるひめ
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
を
反
(
そむ
)
く
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
くまい。
017
……サア
英子姫
(
ひでこひめ
)
さま、
018
お
二方
(
ふたかた
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
です、
019
躊躇
(
ちうちよ
)
逡巡
(
しゆんじゆん
)
するに
及
(
およ
)
びませぬ。
020
早
(
はや
)
く
献上
(
けんじやう
)
なさいませ』
021
高姫
(
たかひめ
)
『エー
又
(
また
)
しても
又
(
また
)
しても、
022
邪魔
(
じやま
)
計
(
ばか
)
り
致
(
いた
)
す
男
(
をとこ
)
だ。
023
今日
(
こんにち
)
只今
(
ただいま
)
限
(
かぎ
)
り、
024
国依別
(
くによりわけ
)
を
除名
(
ぢよめい
)
する』
025
国依別
(
くによりわけ
)
『エー
又
(
また
)
しても
又
(
また
)
しても、
026
玉
(
たま
)
を
呑
(
の
)
まうと
致
(
いた
)
す
偽日
(
にせひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
、
027
今日
(
こんにち
)
只今
(
ただいま
)
より、
028
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
、
029
国依別
(
くによりわけ
)
の
口
(
くち
)
を
通
(
とほ
)
し、
030
高姫
(
たかひめ
)
を
除名
(
ぢよめい
)
する。
031
ウンウンウン』
032
高姫
(
たかひめ
)
『ヘン、
033
おいて
貰
(
もら
)
ひませうかい。
034
何程
(
なにほど
)
国依別
(
くによりわけ
)
でも、
035
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
のお
懸
(
かか
)
りなさる
筈
(
はず
)
がありますかい。
036
サア
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
国処立
(
くにとこた
)
ち
退
(
の
)
きの
命
(
みこと
)
となつて
帰
(
かへ
)
つて
貰
(
もら
)
ひませう』
037
玉照姫
(
たまてるひめ
)
、
038
高座
(
かうざ
)
より
声
(
こゑ
)
しとやかに、
039
玉照姫
(
たまてるひめ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
、
040
国依別
(
くによりわけ
)
両人共
(
りやうにんども
)
、
041
お
控
(
ひか
)
へめされ』
042
国依別
(
くによりわけ
)
『ハハー』
043
と
畏縮
(
ゐしゆく
)
して
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
平伏
(
へいふく
)
する。
044
高姫
(
たかひめ
)
、
045
高姫
(
たかひめ
)
『エーエ、
046
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
さへあれば
良
(
い
)
いのに、
047
無用
(
むよう
)
の
長物
(
ちやうぶつ
)
……でもない。
048
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
うても
二
(
ふた
)
つの
頭
(
かしら
)
が
並
(
なら
)
んで
居
(
ゐ
)
るのだから、
049
行
(
や
)
りにくいワイ。
050
両頭
(
りやうとう
)
蛇尾
(
だび
)
と
云
(
い
)
つて、
051
善悪
(
ぜんあく
)
両頭
(
りやうとう
)
使
(
つか
)
ひの
高姫
(
たかひめ
)
も
芝居
(
しばゐ
)
が
巧
(
うま
)
く
打
(
う
)
てませぬワイ』
052
と
小声
(
こごゑ
)
で
呟
(
つぶや
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
053
国依別
(
くによりわけ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
054
玉照姫
(
たまてるひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
もだし
難
(
がた
)
く、
055
貴女
(
あなた
)
の
除名
(
ぢよめい
)
を、
056
国依別
(
くによりわけ
)
茲
(
ここ
)
に
取消
(
とりけ
)
し
致
(
いた
)
します』
057
高姫
(
たかひめ
)
は
舌
(
した
)
をニヨツと
噛
(
か
)
み
出
(
だ
)
し、
058
あげ
面
(
づら
)
し
乍
(
なが
)
ら、
059
二三遍
(
にさんぺん
)
しやくつて
見
(
み
)
せ、
060
右
(
みぎ
)
の
肩
(
かた
)
を
無恰好
(
ぶかつかう
)
に
突起
(
とつき
)
させ、
061
高姫
(
たかひめ
)
『ヘン、
062
……
能
(
よ
)
う
仰有
(
おつしや
)
いますワイ。
063
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
更
(
あらた
)
めて
国依別
(
くによりわけ
)
を
外国行
(
ぐわいこくゆき
)
と
定
(
さだ
)
めるから、
064
喜
(
よろこ
)
んでお
受
(
う
)
けをなさるがよからう』
065
国依別
(
くによりわけ
)
『お
前
(
まへ
)
さまに
命令
(
めいれい
)
して
貰
(
もら
)
はなくとも、
066
言依別
(
ことよりわけの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
067
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
、
068
国依別
(
くによりわけ
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
世
(
よ
)
の
元
(
もと
)
となつて、
069
チヤンと
外国
(
ぐわいこく
)
で
仕組
(
しぐみ
)
がしてあるのだ。
070
七
(
なな
)
つの
玉
(
たま
)
もお
先
(
さき
)
に
海外
(
かいぐわい
)
の
或
(
ある
)
地点
(
ちてん
)
に
隠
(
かく
)
してあるのだから、
071
要
(
い
)
らぬ
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
で
御座
(
ござ
)
います』
072
高姫
(
たかひめ
)
『そんなら
国依別
(
くによりわけ
)
、
073
お
前
(
まへ
)
は
早
(
はや
)
くから
三
(
さん
)
人
(
にん
)
腹
(
はら
)
を
合
(
あは
)
せて
企
(
たく
)
んで
居
(
を
)
つたのだな』
074
国依別
(
くによりわけ
)
『どうでも
宜
(
よろ
)
しいワイ。
075
虚実
(
きよじつ
)
の
程
(
ほど
)
は
世界
(
せかい
)
の
見
(
み
)
えすく
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
が
御存
(
ごぞん
)
じの
筈
(
はず
)
だ』
076
玉照姫
(
たまてるひめ
)
『
国依別
(
くによりわけ
)
、
077
改
(
あらた
)
めて
申
(
まを
)
し
渡
(
わた
)
すべき
事
(
こと
)
あれば、
078
暫
(
しばら
)
く
汝
(
なんぢ
)
が
館
(
やかた
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
079
命
(
めい
)
を
待
(
ま
)
たれよ』
080
国依別
(
くによりわけ
)
『ハハー、
081
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました』
082
と
丁寧
(
ていねい
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
をなし、
083
終
(
をは
)
つて、
084
国依別
(
くによりわけ
)
『ヤア、
085
テールス
姫
(
ひめ
)
、
086
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
087
玉治別
(
たまはるわけ
)
、
088
久助
(
きうすけ
)
、
089
お
民
(
たみ
)
さま、
090
竜宮
(
りうぐう
)
の
女王
(
ぢよわう
)
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
、
091
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
一統
(
いつとう
)
の
方々
(
かたがた
)
、
092
高姫
(
たかひめ
)
、
093
黒姫
(
くろひめ
)
に
対
(
たい
)
して、
094
充分
(
じゆうぶん
)
の
防戦
(
ばうせん
)
をなされませや。
095
此
(
この
)
国依別
(
くによりわけ
)
が
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
るや
否
(
いな
)
や、
096
そろそろと
又
(
また
)
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
しますからなア』
097
玉治別
(
たまはるわけ
)
『ヤア
有難
(
ありがた
)
う、
098
あとは
我
(
わが
)
輩
(
はい
)
が
引受
(
ひきう
)
ける、
099
安心
(
あんしん
)
して
帰
(
かへ
)
つて
呉
(
く
)
れ。
100
さうして
言依別
(
ことよりわけ
)
様
(
さま
)
に
宜
(
よろ
)
しく
申上
(
まをしあ
)
げて
呉
(
く
)
れ。
101
……オツト
失敗
(
しま
)
つた、
102
言依別
(
ことよりわけ
)
様
(
さま
)
は
最早
(
もはや
)
どつかへ
御
(
お
)
不在
(
るす
)
になつた
筈
(
はず
)
だなア』
103
高姫
(
たかひめ
)
『
今
(
いま
)
の
両人
(
りやうにん
)
が
話振
(
はなしぶり
)
を
聞
(
き
)
けば、
104
玉治別
(
たまはるわけ
)
も
同類
(
どうるゐ
)
と
見
(
み
)
える。
105
お
前
(
まへ
)
もトツトとここを
退場
(
たいぢやう
)
なされ。
106
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
命令
(
めいれい
)
する』
107
玉治別
(
たまはるわけ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
108
大
(
おほ
)
きに
憚
(
はばか
)
りさんで
御座
(
ござ
)
います。
109
済
(
す
)
みませぬが、
110
私
(
わたし
)
の
進退
(
しんたい
)
は
私
(
わたし
)
の
自由
(
じいう
)
ですから、
111
余
(
あま
)
り
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
に
構
(
かま
)
うて
下
(
くだ
)
さいますな』
112
高姫
(
たかひめ
)
、
113
杢助
(
もくすけ
)
の
方
(
はう
)
にギヨロリと
目
(
め
)
を
転
(
てん
)
じ、
114
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
さまは
総務
(
そうむ
)
を
辞職
(
じしよく
)
した
以上
(
いじやう
)
は、
115
そんな
高
(
たか
)
い
所
(
ところ
)
に
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
頑張
(
ぐわんば
)
つて
居
(
を
)
る
権利
(
けんり
)
はありますまい。
116
トツトと
御
(
お
)
下
(
さが
)
りめされ。
117
サア
是
(
これ
)
からは、
118
言依別
(
ことよりわけ
)
は
逐電
(
ちくでん
)
致
(
いた
)
すなり、
119
杢助
(
もくすけ
)
は
辞職
(
じしよく
)
をするなり、
120
ヤツパリ
此
(
この
)
八尋殿
(
やひろどの
)
は
高姫
(
たかひめ
)
が
教主
(
けうしゆ
)
となつて
行
(
や
)
らねばならぬかなア。
121
時節
(
じせつ
)
は
待
(
ま
)
たねばならぬものだ』
122
玉治別
(
たまはるわけ
)
『コレハしたり、
123
高姫
(
たかひめ
)
さま、
124
誰
(
たれ
)
の
命令
(
めいれい
)
を
受
(
う
)
けて
貴女
(
あなた
)
は
教主
(
けうしゆ
)
になるのですか。
125
誰
(
たれ
)
もあなたを
教主
(
けうしゆ
)
として
尊敬
(
そんけい
)
し、
126
且
(
か
)
つ
服従
(
ふくじゆう
)
する
者
(
もの
)
はありますまいぞ』
127
高姫
(
たかひめ
)
『コレコレ
田吾
(
たご
)
さま、
128
お
黙
(
だま
)
りなされ。
129
天地
(
てんち
)
開闢
(
かいびやく
)
の
初
(
はじめ
)
から
系統
(
ひつぽう
)
の
身魂
(
みたま
)
、
130
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
教主
(
けうしゆ
)
になるのは、
131
きまり
切
(
き
)
つた
神界
(
しんかい
)
の
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
だ。
132
それだから
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
守護
(
しゆご
)
に
致
(
いた
)
すぞよと、
133
お
筆先
(
ふでさき
)
にチヤンと
書
(
か
)
いてあるのだ。
134
……
今
(
いま
)
までは
悪
(
あく
)
の
身魂
(
みたま
)
に
結構
(
けつこう
)
な
高天原
(
たかあまはら
)
をワヤにしられて
居
(
ゐ
)
たが、
135
世
(
よ
)
は
持切
(
もちきり
)
には
致
(
いた
)
させぬぞよ。
136
天晴
(
あつぱ
)
れ
誠
(
まこと
)
の
生神
(
いきがみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
守護
(
しゆご
)
となつたら、
137
今迄
(
いままで
)
上
(
うへ
)
へあがりて
偉相
(
えらさう
)
に
申
(
まを
)
して
居
(
を
)
りた
御
(
おん
)
方
(
かた
)
アフンとする
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
るぞよ。
138
ビツクリ
致
(
いた
)
して
逆
(
さか
)
トンボリを
打
(
う
)
たねばならぬぞよ。
139
それを
見
(
み
)
るのが
神
(
かみ
)
は
辛
(
つら
)
いから、
140
耳
(
みみ
)
がたこになる
程
(
ほど
)
知
(
し
)
らしたが、
141
チツとも
聞入
(
ききい
)
れないから
是非
(
ぜひ
)
なき
事
(
こと
)
と
諦
(
あきら
)
めて
下
(
くだ
)
されよ。
142
決
(
けつ
)
して
神
(
かみ
)
を
恨
(
うら
)
めて
下
(
くだ
)
さるなよ。
143
我
(
わが
)
身
(
み
)
の
心
(
こころ
)
を
恨
(
うら
)
めるより
仕様
(
しやう
)
がないぞよ。
144
……と
現
(
あら
)
はれて
居
(
を
)
りませうがな。
145
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
三五教
(
あななひけう
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
表
(
おもて
)
に
立
(
た
)
たねば、
146
神界
(
しんかい
)
の
仕組
(
しぐみ
)
は
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
しませぬぞエ。
147
誠
(
まこと
)
の
者
(
もの
)
が
三
(
さん
)
人
(
にん
)
あれば
立派
(
りつぱ
)
に
立替
(
たてかへ
)
が
成就
(
じやうじゆ
)
すると
仰有
(
おつしや
)
るのだから、
148
イヤな
御
(
お
)
方
(
かた
)
は
退
(
の
)
いて
下
(
くだ
)
されよ。
149
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
生粋
(
きつすゐ
)
の
水晶玉
(
すいしやうだま
)
の
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
根本
(
こつぽん
)
の、
150
地
(
ぢ
)
になる
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
と
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
の
生宮
(
いきみや
)
と、
151
高山彦
(
たかやまひこ
)
と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
さへあれば、
152
立派
(
りつぱ
)
に
神業
(
しんげふ
)
は
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
しますワイな。
153
グツグツ
申
(
まを
)
すと
帳
(
ちやう
)
を
切
(
き
)
るぞえ』
154
玉治別
(
たまはるわけ
)
『アハヽヽヽ、
155
よう
慢心
(
まんしん
)
したものだなア。
156
……コレコレ
波留彦
(
はるひこ
)
さま、
157
秋彦
(
あきひこ
)
さま、
158
お
前
(
まへ
)
と
私
(
わたし
)
と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
世
(
よ
)
の
元
(
もと
)
となつて、
159
高姫軍
(
たかひめぐん
)
に
向
(
むか
)
つて
一
(
ひと
)
つ
戦闘
(
せんとう
)
を
開始
(
かいし
)
したらどうだ』
160
波留彦
(
はるひこ
)
『それは
至極
(
しごく
)
面白
(
おもしろ
)
い
事
(
こと
)
でせう。
161
……なア、
162
秋彦
(
あきひこ
)
さま』
163
高姫
(
たかひめ
)
『コレコレ
滝
(
たき
)
、
164
鹿
(
しか
)
、
165
田吾作
(
たごさく
)
、
166
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
何程
(
なにほど
)
三角
(
さんかく
)
同盟
(
どうめい
)
を
作
(
つく
)
つても
駄目
(
だめ
)
だよ。
167
モウ
今日
(
けふ
)
から
宣伝使
(
せんでんし
)
なんか、
168
性
(
しやう
)
に
合
(
あ
)
はないことをスツパリ
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて、
169
紫姫
(
むらさきひめ
)
さまの
門掃
(
かどは
)
きになつたり、
170
宇都山
(
うづやま
)
郷
(
がう
)
に
往
(
い
)
つて
芋
(
いも
)
の
赤子
(
あかご
)
を
育
(
そだ
)
てたり、
171
ジヤンナの
郷
(
さと
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
土人
(
どじん
)
にオーレンス、
172
サーチライスと
持
(
も
)
てはやされる
方
(
はう
)
が
御
(
お
)
互
(
たがひ
)
に
得策
(
とく
)
だ。
173
(
高姫
(
たかひめ
)
は
逆上
(
ぎやくじやう
)
の
余
(
あま
)
り
滝
(
たき
)
と
友
(
とも
)
と
同
(
おなじ
)
うして
喋
(
しやべ
)
つてゐる)いよいよ
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
教主
(
けうしゆ
)
となつた
以上
(
いじやう
)
は
何事
(
なにごと
)
も
立替
(
たてかへ
)
だ。
174
今
(
いま
)
更
(
あらた
)
めて
教主
(
けうしゆ
)
より
除名
(
ぢよめい
)
するツ』
175
玉照姫
(
たまてるひめ
)
高座
(
かうざ
)
より、
176
玉照姫
(
たまてるひめ
)
『
三五教
(
あななひけう
)
の
教主
(
けうしゆ
)
は
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
、
177
神界
(
しんかい
)
の
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
に
依
(
よ
)
りて
高砂島
(
たかさごじま
)
へ
御
(
お
)
渡
(
わた
)
り
遊
(
あそ
)
ばした。
178
又
(
また
)
杢助
(
もくすけ
)
は
神界
(
しんかい
)
の
都合
(
つがふ
)
に
依
(
よ
)
り
筑紫
(
つくし
)
の
島
(
しま
)
へ
出張
(
しゆつちやう
)
を
命
(
めい
)
ずる。
179
淡路
(
あはぢ
)
の
島
(
しま
)
の
人子
(
ひとご
)
の
司
(
つかさ
)
東助
(
とうすけ
)
を
以
(
も
)
つて
三五教
(
あななひけう
)
の
総務
(
そうむ
)
に
任
(
にん
)
じ、
180
且
(
か
)
つ
臨時
(
りんじ
)
教主
(
けうしゆ
)
代理
(
だいり
)
を
命
(
めい
)
ずる。
181
高姫
(
たかひめ
)
、
182
黒姫
(
くろひめ
)
は
特
(
とく
)
に
抜擢
(
ばつてき
)
して
相談役
(
さうだんやく
)
に
致
(
いた
)
す。
183
玉治別
(
たまはるわけ
)
、
184
秋彦
(
あきひこ
)
、
185
友彦
(
ともひこ
)
、
186
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
187
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
、
188
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
以前
(
いぜん
)
の
儘
(
まま
)
現職
(
げんしよく
)
に
止
(
とど
)
まるべし』
189
と
宣示
(
せんじ
)
し
玉
(
たま
)
うた。
190
高姫
(
たかひめ
)
『
玉照姫
(
たまてるひめ
)
さまもチツと
聞
(
きこ
)
えませぬワイ。
191
玉照彦
(
たまてるひこ
)
様
(
さま
)
は
何
(
なん
)
とも
仰有
(
おつしや
)
らぬに、
192
女
(
をんな
)
のかしましい
差
(
さ
)
し
出口
(
でぐち
)
。
193
何程
(
なにほど
)
結構
(
けつこう
)
な
身魂
(
みたま
)
でも、
194
此
(
この
)
三五教
(
あななひけう
)
は
艮
(
うしとら
)
の
金神
(
こんじん
)
、
195
坤
(
ひつじさる
)
の
金神
(
こんじん
)
、
196
金勝要
(
きんかつかねの
)
神
(
かみ
)
、
197
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
、
198
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生魂
(
いきだま
)
で
開
(
ひら
)
いて
行
(
ゆ
)
かねばならぬお
道
(
みち
)
、
199
お
玉
(
たま
)
の
腹
(
はら
)
から
生
(
うま
)
れて
出
(
で
)
た
変則
(
へんそく
)
的
(
てき
)
十八
(
じふはち
)
ケ
月
(
げつ
)
の
胎生
(
たいせい
)
……
言
(
い
)
はば
天下
(
てんか
)
無類
(
むるゐ
)
の
畸形児
(
きけいじ
)
ぢやないか。
200
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つても
今度
(
こんど
)
計
(
ばか
)
りは
命令
(
めいれい
)
を
聞
(
き
)
きませぬぞ』
201
玉照姫
(
たまてるひめ
)
『
汝
(
なんぢ
)
高姫
(
たかひめ
)
、
202
四個
(
よんこ
)
の
麻邇
(
まに
)
の
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ね、
203
それを
持帰
(
もちかへ
)
りなば、
204
始
(
はじ
)
めて
汝
(
なんぢ
)
を
教主
(
けうしゆ
)
に
任
(
にん
)
じ、
205
高山彦
(
たかやまひこ
)
、
206
黒姫
(
くろひめ
)
を
左守
(
さもり
)
、
207
右守
(
うもり
)
の
神
(
かみ
)
に
任
(
にん
)
ずべし。
208
誠
(
まこと
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
又
(
また
)
玉依姫
(
たまよりひめ
)
の
身魂
(
みたま
)
なれば、
209
其
(
その
)
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
をつきとめ
我
(
わが
)
前
(
まへ
)
に
奉
(
たてまつ
)
れ』
210
高姫
(
たかひめ
)
『
其
(
その
)
お
言葉
(
ことば
)
に
間違
(
まちが
)
ひはありますまいな。
211
宜
(
よろ
)
しい。
212
言依別
(
ことよりわけ
)
と
杢助
(
もくすけ
)
の
両人
(
りやうにん
)
、
213
腹
(
はら
)
を
合
(
あは
)
せて
隠
(
かく
)
しよつたに、
214
間違
(
まちが
)
ひない。
215
証拠
(
しようこ
)
は……これ……
此
(
この
)
教主
(
けうしゆ
)
の
書置
(
かきお
)
き、
216
立派
(
りつぱ
)
に
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れてお
目
(
め
)
にかけます。
217
其
(
その
)
代
(
かは
)
りにこれを
持帰
(
もちかへ
)
つたが
最後
(
さいご
)
御
(
お
)
約束
(
やくそく
)
通
(
どほ
)
り
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
が
教主
(
けうしゆ
)
ですから、
218
満場
(
まんぢやう
)
の
皆様
(
みなさま
)
もよつく
聞
(
き
)
いておいて
下
(
くだ
)
されや。
219
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
神力
(
しんりき
)
をこれから
現
(
あら
)
はしてお
目
(
め
)
にかける。
220
其
(
その
)
時
(
とき
)
には
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
221
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
222
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
、
223
玉治別
(
たまはるわけ
)
、
224
友彦
(
ともひこ
)
、
225
テールス
姫
(
ひめ
)
、
226
久助
(
きうすけ
)
、
227
お
民
(
たみ
)
、
228
佐田彦
(
さだひこ
)
、
229
波留彦
(
はるひこ
)
……
其
(
その
)
他
(
た
)
の
連中
(
れんちう
)
は
残
(
のこ
)
らず
馘首
(
かくしゆ
)
するから
覚悟
(
かくご
)
なさいませ、
230
とはいふものの、
231
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
知
(
し
)
つてる
者
(
もの
)
があれば、
232
そつと
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
に
云
(
い
)
つて
来
(
こ
)
い……でもよい。
233
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
以心
(
いしん
)
伝心
(
でんしん
)
無声
(
むせい
)
霊話
(
れいわ
)
でもよいから……』
234
玉治別
(
たまはるわけ
)
、
235
両手
(
りやうて
)
を
拡
(
ひろ
)
げ、
236
体
(
からだ
)
を
前後
(
まへうし
)
ろにブカブカさせ
乍
(
なが
)
ら、
237
玉治別
(
たまはるわけ
)
『アツハツハヽ、
238
アツハツハヽヽ』
239
と
壇上
(
だんじやう
)
で
妙
(
めう
)
な
身振
(
みぶり
)
をして
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
した。
240
高姫
(
たかひめ
)
『オイ
田吾
(
たご
)
さま、
241
そろそろ
守護神
(
しゆごじん
)
が
現
(
あら
)
はれかけたぢやないか。
242
其
(
その
)
態
(
ざま
)
は
何
(
なん
)
ぢやいな。
243
コレコレ
皆
(
みな
)
さま、
244
御覧
(
ごらん
)
の
通
(
とほ
)
り、
245
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
表
(
おもて
)
になると、
246
皆
(
みんな
)
の
身魂
(
みたま
)
が
現
(
あら
)
はれて
恥
(
はづか
)
しい
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ますぞえ。
247
今
(
いま
)
の
所
(
ところ
)
は
言依別
(
ことよりわけ
)
や
東助
(
とうすけ
)
さまが
表面
(
へうめん
)
主権
(
しゆけん
)
を
握
(
にぎ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
様
(
やう
)
だが、
248
実際
(
じつさい
)
の
所
(
ところ
)
は
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
の
置物
(
おきもの
)
だ。
249
実地
(
じつち
)
誠
(
まこと
)
の
権利
(
けんり
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
にあるのだから、
250
取違
(
とりちがひ
)
をなされますなや。
251
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
も
中々
(
なかなか
)
大抵
(
たいてい
)
ぢやない。
252
遥々
(
はるばる
)
と
高砂島
(
たかさごじま
)
や
筑紫
(
つくし
)
の
島
(
しま
)
まで
行
(
い
)
くのは
並
(
なみ
)
や
大抵
(
たいてい
)
ぢや
御座
(
ござ
)
らぬ。
253
魚心
(
うをごころ
)
あれば
水心
(
みづごころ
)
だ。
254
出世
(
しゆつせ
)
をしたい
人
(
ひと
)
は
誰
(
たれ
)
に
拘
(
かか
)
はらず、
255
我
(
わ
)
れ
一
(
いち
)
とお
働
(
はたら
)
きなされ。
256
お
働
(
はたら
)
き
次第
(
しだい
)
で
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
御
(
ご
)
出世
(
しゆつせ
)
をさして
上
(
あ
)
げますぞえ』
257
波留彦
(
はるひこ
)
一同
(
いちどう
)
を
見
(
み
)
まはし
乍
(
なが
)
ら、
258
波留彦
(
はるひこ
)
『
皆
(
みな
)
さま、
259
今
(
いま
)
高姫
(
たかひめ
)
の
仰有
(
おつしや
)
つた
通
(
とほ
)
り、
260
手柄
(
てがら
)
のしたい
人
(
ひと
)
はお
手
(
て
)
を
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さい……
一
(
いち
)
、
261
二
(
に
)
、
262
三
(
さん
)
……ヤア
唯
(
ただ
)
の
一人
(
ひとり
)
も
手
(
て
)
を
上
(
あ
)
げる
人
(
ひと
)
がありませぬなア』
263
玉治別
(
たまはるわけ
)
『それで
当然
(
あたりまへ
)
だよ。
264
地位
(
ちゐ
)
も
財産
(
ざいさん
)
も
名誉
(
めいよ
)
も
捨
(
す
)
てて、
265
一心
(
いつしん
)
に
神界
(
しんかい
)
の
為
(
ため
)
に
尽
(
つく
)
さうと
云
(
い
)
ふ
誠
(
まこと
)
の
人
(
ひと
)
計
(
ばか
)
りだから、
266
そんな
人欲
(
にんよく
)
に
捉
(
とら
)
はれて、
267
三五教
(
あななひけう
)
へ
入信
(
はい
)
つた
者
(
もの
)
は
一人
(
ひとり
)
もありませぬワイ。
268
人欲
(
にんよく
)
の
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれてるのは
高姫
(
たかひめ
)
さまに
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
269
高山彦
(
たかやまひこ
)
位
(
くらゐ
)
なものだなア』
270
一同
(
いちどう
)
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて「
賛成
(
さんせい
)
々々
(
さんせい
)
」と
呼
(
よ
)
ぶ。
271
高姫
(
たかひめ
)
『
口
(
くち
)
と
心
(
こころ
)
とサツパリ
裏表
(
うらおもて
)
の
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
計
(
ばか
)
りがよつて
来
(
き
)
て、
272
すました
顔
(
かほ
)
して
御座
(
ござ
)
るのが
見
(
み
)
えすいて
可笑
(
をか
)
しう
御座
(
ござ
)
いますワイの、
273
オツホヽヽヽ』
274
高山彦
(
たかやまひこ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
275
私
(
わたし
)
は
今日
(
こんにち
)
限
(
かぎ
)
りお
暇
(
ひま
)
を
頂
(
いただ
)
きまして、
276
竜宮
(
りうぐう
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
へ
帰
(
かへ
)
り、
277
元
(
もと
)
のブランヂーとなつて
活動
(
くわつどう
)
致
(
いた
)
します。
278
仮令
(
たとへ
)
貴女
(
あなた
)
が
目的
(
もくてき
)
を
達
(
たつ
)
して
教主
(
けうしゆ
)
になられても、
279
私
(
わたし
)
はあなたの
麾下
(
きか
)
につくのは
真平
(
まつぴら
)
御免
(
ごめん
)
ですよ。
280
……
黒姫
(
くろひめ
)
もこれから
充分
(
じゆうぶん
)
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
さまを
発揮
(
はつき
)
して、
281
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
さまと
御
(
ご
)
一緒
(
いつしよ
)
に
御
(
ご
)
活動
(
くわつどう
)
なされませ。
282
左様
(
さやう
)
なら……』
283
と
云
(
い
)
ひすて、
284
玉照彦
(
たまてるひこ
)
、
285
玉照姫
(
たまてるひめ
)
の
方
(
かた
)
に
向
(
むか
)
つて
丁寧
(
ていねい
)
に
辞儀
(
じぎ
)
をなし、
286
高山彦
(
たかやまひこ
)
『
英子姫
(
ひでこひめ
)
、
287
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
、
288
梅子姫
(
うめこひめ
)
、
289
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
290
其
(
その
)
外
(
ほか
)
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
、
291
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
よく
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
に
御
(
ご
)
奉仕
(
ほうし
)
遊
(
あそ
)
ばされん
事
(
こと
)
を
高山彦
(
たかやまひこ
)
祈
(
いの
)
り
上
(
あ
)
げ
奉
(
たてまつ
)
ります。
292
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
の
方々
(
かたがた
)
、
293
此
(
この
)
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
今日
(
こんにち
)
限
(
かぎ
)
り
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
と
関係
(
くわんけい
)
を
解
(
と
)
き、
294
皆様
(
みなさま
)
の
前
(
まへ
)
にて
公然
(
こうぜん
)
黒姫
(
くろひめ
)
に
暇
(
いとま
)
を
使
(
つか
)
はします。
295
どうぞ
其
(
その
)
お
心組
(
つもり
)
で
高山彦
(
たかやまひこ
)
を
可愛
(
かあい
)
がつて
下
(
くだ
)
さいませ』
296
玉治別
(
たまはるわけ
)
『それでこそ
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまぢや。
297
感心
(
かんしん
)
々々
(
かんしん
)
』
298
一同
(
いちどう
)
は「
万歳
(
ばんざい
)
」と
手
(
て
)
をあげて
歓呼
(
くわんこ
)
する。
299
高山彦
(
たかやまひこ
)
は、
300
高山彦
(
たかやまひこ
)
『
皆
(
みな
)
さま、
301
左様
(
さやう
)
ならば
之
(
これ
)
より
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
へ
参
(
まゐ
)
ります。
302
高姫
(
たかひめ
)
殿
(
どの
)
、
303
黒姫
(
くろひめ
)
殿
(
どの
)
、
304
さらば……』
305
と
立出
(
たちい
)
でんとする。
306
黒姫
(
くろひめ
)
は
周章
(
あわて
)
て
裾
(
すそ
)
をひき
止
(
と
)
め、
307
黒姫
(
くろひめ
)
『マアマア
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さんせいな。
308
最前
(
さいぜん
)
からのあなたの
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
、
309
残
(
のこ
)
らず
承知
(
しようち
)
いたしました。
310
……とは
云
(
い
)
ふものの
情
(
なさけ
)
なや、
311
過
(
す
)
ぎし
逢
(
あ
)
う
夜
(
よ
)
の
睦言
(
むつごと
)
を、
312
身
(
み
)
にしみじみと
片時
(
かたとき
)
も、
313
思
(
おも
)
ひ
忘
(
わす
)
るるひまもなう、
314
年月
(
としつき
)
重
(
かさ
)
ぬる
其
(
その
)
内
(
うち
)
に、
315
うつり
易
(
やす
)
いは
殿御
(
とのご
)
の
心
(
こころ
)
と
秋
(
あき
)
の
空
(
そら
)
、
316
もしや
見捨
(
みすて
)
はなさらぬかと、
317
ホンにあらゆる
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
さまや、
318
竜宮
(
りうぐう
)
さまに
願
(
ぐわん
)
かけて、
319
案
(
あん
)
じ
暮
(
くら
)
した
甲斐
(
かひ
)
もなう、
320
今日
(
けふ
)
突然
(
とつぜん
)
離別
(
りべつ
)
とは、
321
余
(
あんま
)
りムゴイ
御
(
おん
)
仕打
(
しうち
)
、
322
これが
如何
(
どう
)
して
泣
(
な
)
かずに
居
(
ゐ
)
られませうか、
323
オンオン』
324
とあたりを
構
(
かま
)
はず、
325
皺
(
しわ
)
くちや
顔
(
がほ
)
に
涙
(
なみだ
)
を
夕立
(
ゆふだち
)
の
如
(
ごと
)
くたらして
泣沈
(
なきしづ
)
む。
326
玉治別
(
たまはるわけ
)
『
悔
(
くや
)
んで
帰
(
かへ
)
らぬ
互
(
たがひ
)
の
縁
(
えん
)
、
327
中
(
なか
)
をへだつる
玉治川
(
たまはるがは
)
。
328
……サアサア
高山彦
(
たかやまひこ
)
さま、
329
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
りが
大切
(
たいせつ
)
だ。
330
グヅグヅして
居
(
ゐ
)
ると、
331
又
(
また
)
もやシヤツつかれますよ。
332
あとは
此
(
この
)
玉治別
(
たまはるわけ
)
が、
333
全責任
(
ぜんせきにん
)
を
負
(
お
)
うて
引受
(
ひきう
)
けますから、
334
一切
(
いつさい
)
構
(
かま
)
はず
勝手
(
かつて
)
にお
越
(
こ
)
し
遊
(
あそ
)
ばせ』
335
高山彦
(
たかやまひこ
)
『
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しく
御
(
お
)
頼
(
たの
)
み
申
(
まを
)
す』
336
と
立出
(
たちい
)
でんとする。
337
黒姫
(
くろひめ
)
『
高山
(
たかやま
)
さまも
聞
(
きこ
)
えませぬ。
338
お
前
(
まへ
)
と
二人
(
ふたり
)
の
其
(
その
)
仲
(
なか
)
は、
339
昨日
(
きのふ
)
や
今日
(
けふ
)
の
事
(
こと
)
ではありますまい。
340
私
(
わたし
)
をふりすてて
帰
(
い
)
のうとは、
341
余
(
あんま
)
り
聞
(
きこ
)
えぬ
胴欲
(
どうよく
)
ぢや。
342
厭
(
いや
)
なら
嫌
(
いや
)
で、
343
無理
(
むり
)
に
添
(
そ
)
はうとは
言
(
い
)
ひませぬ。
344
生田
(
いくた
)
の
川
(
かは
)
の
大水
(
おほみづ
)
を
渡
(
わた
)
つた
時
(
とき
)
の
私
(
わたし
)
の
正体
(
しやうたい
)
[
※
第19巻第3章で黒姫は蛇体に還元して、水が氾濫した川を渡っているが、生田川ではなく白瀬川と呼ばれている。(どちらも由良川の別名と思われる)
]
、
345
よもや
忘
(
わす
)
れては
居
(
を
)
りますまいな』
346
高山彦
(
たかやまひこ
)
『
一度
(
いちど
)
還元
(
くわんげん
)
した
以上
(
いじやう
)
は
再
(
ふたた
)
び
還元
(
くわんげん
)
出来
(
でき
)
ぬ
大蛇
(
をろち
)
の
身魂
(
みたま
)
、
347
もう
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ。
348
日高川
(
ひだかがは
)
を
蛇体
(
じやたい
)
になつて
渡
(
わた
)
つた
清姫
(
きよひめ
)
[
※
平安時代の安珍・清姫伝説で、道成寺に逃げた安珍を追い駆け、清姫は蛇体に変じて日高川を渡ったことを指す。
]
の
様
(
やう
)
に
太平洋
(
たいへいやう
)
を
横切
(
よこぎ
)
つて、
349
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
色男
(
いろをとこ
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
なさい。
350
地恩
(
ちおん
)
の
郷
(
さと
)
の
大釣鐘
(
おほつりがね
)
を
千代
(
ちよ
)
の
住家
(
すみか
)
として、
351
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
安逸
(
あんいつ
)
に
余生
(
よせい
)
を
送
(
おく
)
る
考
(
かんが
)
へだ。
352
さうすれば
極
安珍
(
ごくあんちん
)
なものだ。
353
何程
(
なにほど
)
お
前
(
まへ
)
が
地団駄
(
ぢだんだ
)
ふんで
道成寺
(
だうじやうじ
)
かうせうじ
などといつて、
354
藻掻
(
もが
)
いた
所
(
ところ
)
でモウ
駄目
(
だめ
)
だよ。
355
アハヽヽヽ』
356
と
大
(
おほ
)
きく
肩
(
かた
)
をゆすり
乍
(
なが
)
ら
悠々
(
いういう
)
として
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く。
357
黒姫
(
くろひめ
)
は
夜叉
(
やしや
)
の
如
(
ごと
)
く、
358
あと
追
(
お
)
つかけんと、
359
婆
(
ば
)
さまに
似合
(
にあ
)
はず
捩鉢巻
(
ねぢはちまき
)
をし、
360
裾
(
すそ
)
を
太腿
(
ふともも
)
の
上
(
うへ
)
あたりまで
引
(
ひき
)
あげて、
361
大股
(
おほまた
)
にドンドンとかけ
出
(
だ
)
しかけた。
362
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
追
(
お
)
ひすがつて
黒姫
(
くろひめ
)
の
後
(
うしろ
)
よりムンヅと
許
(
ばか
)
り
帯
(
おび
)
をひつつかんで
力
(
ちから
)
に
任
(
まか
)
せ、
363
グツと
引戻
(
ひきもど
)
す。
364
黒姫
(
くろひめ
)
は
金切声
(
かなきりごゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
365
黒姫
(
くろひめ
)
『
千危
(
せんき
)
一機
(
いつき
)
の
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
、
366
どこの
何方
(
どなた
)
か
知
(
し
)
らねども、
367
必
(
かなら
)
ずとめて
下
(
くだ
)
さるな。
368
妾
(
わたし
)
にとつて
一生
(
いつしやう
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
、
369
アヽ
残念
(
ざんねん
)
や
口惜
(
くちを
)
しや、
370
そこ
放
(
はな
)
しや』
371
と
振向
(
ふりむ
)
く
途端
(
とたん
)
に
見合
(
みあは
)
す
顔
(
かほ
)
と
顔
(
かほ
)
、
372
黒姫
(
くろひめ
)
『ヤアお
前
(
まへ
)
は
意地
(
いぢ
)
くね
悪
(
わる
)
い
田吾作
(
たごさく
)
殿
(
どの
)
、
373
ここは
願
(
ねがひ
)
ぢや、
374
放
(
はな
)
しておくれ』
375
玉治別
(
たまはるわけ
)
『
意地
(
いぢ
)
くね
悪
(
わる
)
い
田吾作
(
たごさく
)
だから
放
(
はな
)
さないのだよ。
376
雪隠
(
せんち
)
の
水
(
みづ
)
つき
婆
(
ばば
)
うき
ぢやと
人
(
ひと
)
が
笑
(
わら
)
ひますよ。
377
まあチツと
気
(
き
)
をおちつけなされ。
378
高山
(
たかやま
)
さま
計
(
ばか
)
りが
男
(
をとこ
)
ぢやありますまい。
379
男旱魃
(
をとこひでり
)
もない
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に、
380
コラ
又
(
また
)
きつう
惚
(
ほれ
)
たものだなア』
381
黒姫
(
くろひめ
)
は、
382
黒姫
(
くろひめ
)
『エー
放
(
ほ
)
つといて』
383
と
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りふり
放
(
はな
)
し、
384
群衆
(
ぐんしう
)
の
中
(
なか
)
を
無理
(
むり
)
に
押分
(
おしわ
)
け
人
(
ひと
)
を
押倒
(
おしたふ
)
し、
385
ふみにじり
乍
(
なが
)
ら、
386
尻
(
しり
)
まで
出
(
だ
)
して
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
つかけ
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
387
(
大正一一・七・二四
旧六・一
松村真澄
録)
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