霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 玉乱(たまらん)〔七八八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻 篇:第2篇 千差万別 よみ(新仮名遣い):せんさばんべつ
章:第6章 玉乱 よみ(新仮名遣い):たまらん 通し章番号:788
口述日:1922(大正11)年07月24日(旧06月01日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年6月20日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
玉照彦と玉照姫は、唯一本物だった紫の玉を持ってこさせた。高姫は、紛失しては大変だから自分が保管する、と言い出したため、国依別と言い争いになる。
玉照姫は、国依別に自宅待機を命じる。高姫は、言依別が出奔し、杢助が総務を辞職した今、自分が教主にならねばならぬ、と一人悦に入っている。
玉治別は波留彦、秋彦と共に高姫をたしなめ、またもや言い争いになる。玉照姫は、言依別は神界の経綸によって高砂島に渡ったことを明かし、杢助に筑紫島への出張を命じた。そして東助を総務兼教主代理とすることを発表し、高姫と黒姫は特別に相談役に任じた。
また、玉照姫は、もし高姫が紛失した四個の麻邇の玉を持ち帰ったら、高姫を教主とし、高山彦と黒姫を左守・右守の役とすることを約束した。
それを聞いて高姫は、集まった一堂の信者たちから玉の情報を集めようとしたり、すでに玉が見つかったかのごとく威張り散らしたりした。それでまたしても、玉治別・波留彦と言い争いになる。
すると突然、高山彦が高姫・黒姫に暇乞いを告げた。竜宮の一つ島へ帰って、宰相に戻り、活躍するつもりだと言う。高山彦が去ろうとすると、その袖に黒姫がすがりつき、当たり構わず泣いて引き止めた。
玉治別は高山彦の出立を促して、黒姫の帯を掴んだ。黒姫は金切り声を放って一場の愁嘆場を演じた。黒姫は玉治別を振りほどいて群集をかき分け、高山彦を追いかける。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-10-26 18:19:48 OBC :rm2706
愛善世界社版:119頁 八幡書店版:第5輯 286頁 修補版: 校定版:125頁 普及版:54頁 初版: ページ備考:
001 玉照姫(たまてるひめ)002玉照彦(たまてるひこ)(くち)(そろ)へて、
003玉照姫、玉照彦英子姫(ひでこひめ)殿(どの)004(むらさき)(たま)(わが)(まへ)持来(もちきた)られよ』
005宣示(せんじ)された。006英子姫(ひでこひめ)は「ハイ」と(こた)へて(むらさき)(たま)柳筥(やなぎばこ)(をさ)めた(まま)007(うやうや)しく捧持(ほうぢ)して二神司(にしん)(まへ)(たてまつ)らむとする(とき)しも、008高姫(たかひめ)は、
009高姫(たかひめ)一寸(ちよつと)()つて(くだ)さい。010(また)紛失(ふんしつ)すると大変(たいへん)だから、011(この)(たま)()出神(でのかみ)保管(ほくわん)(いた)しておきます』
012国依別(くによりわけ)『コリヤ(たか)013(また)(はら)(なか)()んで(しま)(つも)りだらう。014何程(なにほど)()出神(でのかみ)(えら)くとも、015玉照彦(たまてるひこ)016玉照姫(たまてるひめ)()命令(めいれい)(そむ)(わけ)には()くまい。017……サア英子姫(ひでこひめ)さま、018二方(ふたかた)()命令(めいれい)です、019躊躇(ちうちよ)逡巡(しゆんじゆん)するに(およ)びませぬ。020(はや)献上(けんじやう)なさいませ』
021高姫(たかひめ)『エー(また)しても(また)しても、022邪魔(じやま)(ばか)(いた)(をとこ)だ。023今日(こんにち)只今(ただいま)(かぎ)り、024国依別(くによりわけ)除名(ぢよめい)する』
025国依別(くによりわけ)『エー(また)しても(また)しても、026(たま)()まうと(いた)偽日(にせひ)出神(でのかみ)027今日(こんにち)只今(ただいま)より、028国治立(くにはるたちの)(みこと)029国依別(くによりわけ)(くち)(とほ)し、030高姫(たかひめ)除名(ぢよめい)する。031ウンウンウン』
032高姫(たかひめ)『ヘン、033おいて(もら)ひませうかい。034何程(なにほど)国依別(くによりわけ)でも、035国治立(くにはるたちの)(みこと)(さま)のお(かか)りなさる(はず)がありますかい。036サア(いち)()(はや)国処立(くにとこた)退()きの(みこと)となつて(かへ)つて(もら)ひませう』
037 玉照姫(たまてるひめ)038高座(かうざ)より(こゑ)しとやかに、
039玉照姫(たまてるひめ)高姫(たかひめ)040国依別(くによりわけ)両人共(りやうにんども)041(ひか)へめされ』
042国依別(くによりわけ)『ハハー』
043畏縮(ゐしゆく)して(その)()平伏(へいふく)する。044高姫(たかひめ)
045高姫(たかひめ)『エーエ、046()出神(でのかみ)生宮(いきみや)さへあれば()いのに、047無用(むよう)長物(ちやうぶつ)……でもない。048(なん)()うても(ふた)つの(かしら)(なら)んで()るのだから、049()りにくいワイ。050両頭(りやうとう)蛇尾(だび)()つて、051善悪(ぜんあく)両頭(りやうとう)使(つか)ひの高姫(たかひめ)芝居(しばゐ)(うま)()てませぬワイ』
052小声(こごゑ)(つぶや)いて()る。
053国依別(くによりわけ)高姫(たかひめ)さま、054玉照姫(たまてるひめ)(さま)()命令(めいれい)もだし(がた)く、055貴女(あなた)除名(ぢよめい)を、056国依別(くによりわけ)(ここ)取消(とりけ)(いた)します』
057 高姫(たかひめ)(した)をニヨツと()()し、058あげ(づら)(なが)ら、059二三遍(にさんぺん)しやくつて()せ、060(みぎ)(かた)無恰好(ぶかつかう)突起(とつき)させ、
061高姫(たかひめ)『ヘン、062……()仰有(おつしや)いますワイ。063()出神(でのかみ)(あらた)めて国依別(くによりわけ)外国行(ぐわいこくゆき)(さだ)めるから、064(よろこ)んでお()けをなさるがよからう』
065国依別(くによりわけ)『お(まへ)さまに命令(めいれい)して(もら)はなくとも、066言依別(ことよりわけの)(かみ)(さま)067杢助(もくすけ)(さま)068国依別(くによりわけ)(さん)(にん)()(もと)となつて、069チヤンと外国(ぐわいこく)仕組(しぐみ)がしてあるのだ。070(なな)つの(たま)もお(さき)海外(かいぐわい)(ある)地点(ちてん)(かく)してあるのだから、071()らぬ()世話(せわ)御座(ござ)います』
072高姫(たかひめ)『そんなら国依別(くによりわけ)073(まへ)(はや)くから(さん)(にん)(はら)(あは)せて(たく)んで()つたのだな』
074国依別(くによりわけ)『どうでも(よろ)しいワイ。075虚実(きよじつ)(ほど)世界(せかい)()えすく()出神(でのかみ)(さま)御存(ごぞん)じの(はず)だ』
076玉照姫(たまてるひめ)国依別(くによりわけ)077(あらた)めて(まを)(わた)すべき(こと)あれば、078(しばら)(なんぢ)(やかた)立帰(たちかへ)り、079(めい)()たれよ』
080国依別(くによりわけ)『ハハー、081承知(しようち)(いた)しました』
082丁寧(ていねい)挨拶(あいさつ)をなし、083(をは)つて、
084国依別(くによりわけ)『ヤア、085テールス(ひめ)086玉能姫(たまのひめ)087玉治別(たまはるわけ)088久助(きうすけ)089(たみ)さま、090竜宮(りうぐう)女王(ぢよわう)黄竜姫(わうりようひめ)091蜈蚣姫(むかでひめ)(その)()一統(いつとう)方々(かたがた)092高姫(たかひめ)093黒姫(くろひめ)(たい)して、094充分(じゆうぶん)防戦(ばうせん)をなされませや。095(この)国依別(くによりわけ)(この)()立去(たちさ)るや(いな)や、096そろそろと(また)()()しますからなア』
097玉治別(たまはるわけ)『ヤア有難(ありがた)う、098あとは(わが)(はい)引受(ひきう)ける、099安心(あんしん)して(かへ)つて()れ。100さうして言依別(ことよりわけ)(さま)(よろ)しく申上(まをしあ)げて()れ。101……オツト失敗(しま)つた、102言依別(ことよりわけ)(さま)最早(もはや)どつかへ()不在(るす)になつた(はず)だなア』
103高姫(たかひめ)(いま)両人(りやうにん)話振(はなしぶり)()けば、104玉治別(たまはるわけ)同類(どうるゐ)()える。105(まへ)もトツトとここを退場(たいぢやう)なされ。106()出神(でのかみ)命令(めいれい)する』
107玉治別(たまはるわけ)高姫(たかひめ)さま、108(おほ)きに(はばか)りさんで御座(ござ)います。109()みませぬが、110(わたし)進退(しんたい)(わたし)自由(じいう)ですから、111(あま)()親切(しんせつ)(かま)うて(くだ)さいますな』
112 高姫(たかひめ)113杢助(もくすけ)(はう)にギヨロリと()(てん)じ、
114高姫(たかひめ)『お(まへ)さまは総務(そうむ)辞職(じしよく)した以上(いじやう)は、115そんな(たか)(ところ)何時(いつ)(まで)頑張(ぐわんば)つて()権利(けんり)はありますまい。116トツトと()(さが)りめされ。117サア(これ)からは、118言依別(ことよりわけ)逐電(ちくでん)(いた)すなり、119杢助(もくすけ)辞職(じしよく)をするなり、120ヤツパリ(この)八尋殿(やひろどの)高姫(たかひめ)教主(けうしゆ)となつて()らねばならぬかなア。121時節(じせつ)()たねばならぬものだ』
122玉治別(たまはるわけ)『コレハしたり、123高姫(たかひめ)さま、124(たれ)命令(めいれい)()けて貴女(あなた)教主(けうしゆ)になるのですか。125(たれ)もあなたを教主(けうしゆ)として尊敬(そんけい)し、126()服従(ふくじゆう)する(もの)はありますまいぞ』
127高姫(たかひめ)『コレコレ田吾(たご)さま、128(だま)りなされ。129天地(てんち)開闢(かいびやく)(はじめ)から系統(ひつぽう)身魂(みたま)130()出神(でのかみ)生宮(いきみや)教主(けうしゆ)になるのは、131きまり()つた神界(しんかい)()経綸(けいりん)だ。132それだから()出神(でのかみ)守護(しゆご)(いた)すぞよと、133筆先(ふでさき)にチヤンと()いてあるのだ。134……(いま)までは(あく)身魂(みたま)結構(けつこう)高天原(たかあまはら)をワヤにしられて()たが、135()持切(もちきり)には(いた)させぬぞよ。136天晴(あつぱ)(まこと)生神(いきがみ)(おもて)(あら)はれて()()守護(しゆご)となつたら、137今迄(いままで)(うへ)へあがりて偉相(えらさう)(まを)して()りた(おん)(かた)アフンとする(こと)出来(でき)るぞよ。138ビツクリ(いた)して(さか)トンボリを()たねばならぬぞよ。139それを()るのが(かみ)(つら)いから、140(みみ)がたこになる(ほど)()らしたが、141チツとも聞入(ききい)れないから是非(ぜひ)なき(こと)(あきら)めて(くだ)されよ。142(けつ)して(かみ)(うら)めて(くだ)さるなよ。143(わが)()(こころ)(うら)めるより仕様(しやう)がないぞよ。144……と(あら)はれて()りませうがな。145(たれ)(なん)()つても三五教(あななひけう)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)(おもて)()たねば、146神界(しんかい)仕組(しぐみ)成就(じやうじゆ)(いた)しませぬぞエ。147(まこと)(もの)(さん)(にん)あれば立派(りつぱ)立替(たてかへ)成就(じやうじゆ)すると仰有(おつしや)るのだから、148イヤな()(かた)退()いて(くだ)されよ。149(まこと)(ひと)つの生粋(きつすゐ)水晶玉(すいしやうだま)大和(やまと)(だましひ)根本(こつぽん)の、150()になる()出神(でのかみ)生宮(いきみや)竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)生宮(いきみや)と、151高山彦(たかやまひこ)(さん)(にん)さへあれば、152立派(りつぱ)神業(しんげふ)成就(じやうじゆ)(いた)しますワイな。153グツグツ(まを)すと(ちやう)()るぞえ』
154玉治別(たまはるわけ)『アハヽヽヽ、155よう慢心(まんしん)したものだなア。156……コレコレ波留彦(はるひこ)さま、157秋彦(あきひこ)さま、158(まへ)(わたし)(さん)(にん)()(もと)となつて、159高姫軍(たかひめぐん)(むか)つて(ひと)戦闘(せんとう)開始(かいし)したらどうだ』
160波留彦(はるひこ)『それは至極(しごく)面白(おもしろ)(こと)でせう。161……なア、162秋彦(あきひこ)さま』
163高姫(たかひめ)『コレコレ(たき)164鹿(しか)165田吾作(たごさく)166(まへ)(たち)何程(なにほど)三角(さんかく)同盟(どうめい)(つく)つても駄目(だめ)だよ。167モウ今日(けふ)から宣伝使(せんでんし)なんか、168(しやう)()はないことをスツパリ(おも)()つて、169紫姫(むらさきひめ)さまの門掃(かどは)きになつたり、170宇都山(うづやま)(がう)()つて(いも)赤子(あかご)(そだ)てたり、171ジヤンナの(さと)(かへ)つて土人(どじん)にオーレンス、172サーチライスと()てはやされる(はう)()(たがひ)得策(とく)だ。173高姫(たかひめ)逆上(ぎやくじやう)(あま)(たき)(とも)(おなじ)うして(しやべ)つてゐる)いよいよ()出神(でのかみ)教主(けうしゆ)となつた以上(いじやう)何事(なにごと)立替(たてかへ)だ。174(いま)(あらた)めて教主(けうしゆ)より除名(ぢよめい)するツ』
175 玉照姫(たまてるひめ)高座(かうざ)より、
176玉照姫(たまてるひめ)三五教(あななひけう)教主(けうしゆ)言依別(ことよりわけの)(みこと)177神界(しんかい)()経綸(けいりん)()りて高砂島(たかさごじま)()(わた)(あそ)ばした。178(また)杢助(もくすけ)神界(しんかい)都合(つがふ)()筑紫(つくし)(しま)出張(しゆつちやう)(めい)ずる。179淡路(あはぢ)(しま)人子(ひとご)(つかさ)東助(とうすけ)()つて三五教(あななひけう)総務(そうむ)(にん)じ、180()臨時(りんじ)教主(けうしゆ)代理(だいり)(めい)ずる。181高姫(たかひめ)182黒姫(くろひめ)(とく)抜擢(ばつてき)して相談役(さうだんやく)(いた)す。183玉治別(たまはるわけ)184秋彦(あきひこ)185友彦(ともひこ)186蜈蚣姫(むかでひめ)187黄竜姫(わうりようひめ)188玉能姫(たまのひめ)以前(いぜん)(まま)現職(げんしよく)(とど)まるべし』
189宣示(せんじ)(たま)うた。
190高姫(たかひめ)玉照姫(たまてるひめ)さまもチツと(きこ)えませぬワイ。191玉照彦(たまてるひこ)(さま)(なん)とも仰有(おつしや)らぬに、192(をんな)のかしましい()出口(でぐち)193何程(なにほど)結構(けつこう)身魂(みたま)でも、194(この)三五教(あななひけう)(うしとら)金神(こんじん)195(ひつじさる)金神(こんじん)196金勝要(きんかつかねの)(かみ)197竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)198()出神(でのかみ)生魂(いきだま)(ひら)いて()かねばならぬお(みち)199(たま)(はら)から(うま)れて()変則(へんそく)(てき)十八(じふはち)(げつ)胎生(たいせい)……()はば天下(てんか)無類(むるゐ)畸形児(きけいじ)ぢやないか。200(なん)仰有(おつしや)つても今度(こんど)(ばか)りは命令(めいれい)()きませぬぞ』
201玉照姫(たまてるひめ)(なんぢ)高姫(たかひめ)202四個(よんこ)麻邇(まに)(たま)所在(ありか)(たづ)ね、203それを持帰(もちかへ)りなば、204(はじ)めて(なんぢ)教主(けうしゆ)(にん)じ、205高山彦(たかやまひこ)206黒姫(くろひめ)左守(さもり)207右守(うもり)(かみ)(にん)ずべし。208(まこと)()出神(でのかみ)(また)玉依姫(たまよりひめ)身魂(みたま)なれば、209(その)(たま)所在(ありか)をつきとめ(わが)(まへ)(たてまつ)れ』
210高姫(たかひめ)(その)言葉(ことば)間違(まちが)ひはありますまいな。211(よろ)しい。212言依別(ことよりわけ)杢助(もくすけ)両人(りやうにん)213(はら)(あは)せて(かく)しよつたに、214間違(まちが)ひない。215証拠(しようこ)は……これ……(この)教主(けうしゆ)書置(かきお)き、216立派(りつぱ)()()れてお()にかけます。217(その)(かは)りにこれを持帰(もちかへ)つたが最後(さいご)()約束(やくそく)(どほ)(この)高姫(たかひめ)教主(けうしゆ)ですから、218満場(まんぢやう)皆様(みなさま)もよつく()いておいて(くだ)されや。219()出神(でのかみ)神力(しんりき)をこれから(あら)はしてお()にかける。220(その)(とき)には玉能姫(たまのひめ)221蜈蚣姫(むかでひめ)222黄竜姫(わうりようひめ)223玉治別(たまはるわけ)224友彦(ともひこ)225テールス(ひめ)226久助(きうすけ)227(たみ)228佐田彦(さだひこ)229波留彦(はるひこ)……(その)()連中(れんちう)(のこ)らず馘首(かくしゆ)するから覚悟(かくご)なさいませ、230とはいふものの、231(たま)所在(ありか)()つてる(もの)があれば、232そつと(この)高姫(たかひめ)()つて()い……でもよい。233()(かく)以心(いしん)伝心(でんしん)無声(むせい)霊話(れいわ)でもよいから……』
234 玉治別(たまはるわけ)235両手(りやうて)(ひろ)げ、236(からだ)前後(まへうし)ろにブカブカさせ(なが)ら、
237玉治別(たまはるわけ)『アツハツハヽ、238アツハツハヽヽ』
239壇上(だんじやう)(めう)身振(みぶり)をして(わら)()した。
240高姫(たかひめ)『オイ田吾(たご)さま、241そろそろ守護神(しゆごじん)(あら)はれかけたぢやないか。242(その)(ざま)(なん)ぢやいな。243コレコレ(みな)さま、244御覧(ごらん)(とほ)り、245()出神(でのかみ)(おもて)になると、246(みんな)身魂(みたま)(あら)はれて(はづか)しい(こと)出来(でき)ますぞえ。247(いま)(ところ)言依別(ことよりわけ)東助(とうすけ)さまが表面(へうめん)主権(しゆけん)(にぎ)つて()(やう)だが、248実際(じつさい)(ところ)(とこ)()置物(おきもの)だ。249実地(じつち)(まこと)権利(けんり)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)にあるのだから、250取違(とりちがひ)をなされますなや。251()出神(でのかみ)中々(なかなか)大抵(たいてい)ぢやない。252遥々(はるばる)高砂島(たかさごじま)筑紫(つくし)(しま)まで()くのは(なみ)大抵(たいてい)ぢや御座(ござ)らぬ。253魚心(うをごころ)あれば水心(みづごころ)だ。254出世(しゆつせ)をしたい(ひと)(たれ)(かか)はらず、255()(いち)とお(はたら)きなされ。256(はたら)次第(しだい)()出神(でのかみ)()出世(しゆつせ)をさして()げますぞえ』
257 波留彦(はるひこ)一同(いちどう)()まはし(なが)ら、
258波留彦(はるひこ)(みな)さま、259(いま)高姫(たかひめ)仰有(おつしや)つた(とほ)り、260手柄(てがら)のしたい(ひと)はお()()げて(くだ)さい……(いち)261()262(さん)……ヤア(ただ)一人(ひとり)()()げる(ひと)がありませぬなア』
263玉治別(たまはるわけ)『それで当然(あたりまへ)だよ。264地位(ちゐ)財産(ざいさん)名誉(めいよ)()てて、265一心(いつしん)神界(しんかい)(ため)(つく)さうと()(まこと)(ひと)(ばか)りだから、266そんな人欲(にんよく)(とら)はれて、267三五教(あななひけう)入信(はい)つた(もの)一人(ひとり)もありませぬワイ。268人欲(にんよく)(くも)(つつ)まれてるのは高姫(たかひめ)さまに黒姫(くろひめ)さま、269高山彦(たかやまひこ)(くらゐ)なものだなア』
270 一同(いちどう)()()つて「賛成(さんせい)々々(さんせい)」と()ぶ。
271高姫(たかひめ)(くち)(こころ)とサツパリ裏表(うらおもて)体主(たいしゆ)霊従(れいじう)(ばか)りがよつて()て、272すました(かほ)して御座(ござ)るのが()えすいて可笑(をか)しう御座(ござ)いますワイの、273オツホヽヽヽ』
274高山彦(たかやまひこ)高姫(たかひめ)さま、275(わたし)今日(こんにち)(かぎ)りお(ひま)(いただ)きまして、276竜宮(りうぐう)(ひと)(じま)(かへ)り、277(もと)のブランヂーとなつて活動(くわつどう)(いた)します。278仮令(たとへ)貴女(あなた)目的(もくてき)(たつ)して教主(けうしゆ)になられても、279(わたし)はあなたの麾下(きか)につくのは真平(まつぴら)御免(ごめん)ですよ。280……黒姫(くろひめ)もこれから充分(じゆうぶん)竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さまを発揮(はつき)して、281()出神(でのかみ)さまと()一緒(いつしよ)()活動(くわつどう)なされませ。282左様(さやう)なら……』
283()ひすて、284玉照彦(たまてるひこ)285玉照姫(たまてるひめ)(かた)(むか)つて丁寧(ていねい)辞儀(じぎ)をなし、
286高山彦(たかやまひこ)英子姫(ひでこひめ)287五十子(いそこ)(ひめ)288梅子姫(うめこひめ)289初稚姫(はつわかひめ)290(その)(ほか)()一同(いちどう)(さま)291()機嫌(きげん)よく()神業(しんげふ)()奉仕(ほうし)(あそ)ばされん(こと)高山彦(たかやまひこ)(いの)()(たてまつ)ります。292()一同(いちどう)方々(かたがた)293(この)高山彦(たかやまひこ)今日(こんにち)(かぎ)高姫(たかひめ)(さま)関係(くわんけい)()き、294皆様(みなさま)(まへ)にて公然(こうぜん)黒姫(くろひめ)(いとま)使(つか)はします。295どうぞ(その)心組(つもり)高山彦(たかやまひこ)可愛(かあい)がつて(くだ)さいませ』
296玉治別(たまはるわけ)『それでこそ高山彦(たかやまひこ)さまぢや。297感心(かんしん)々々(かんしん)
298 一同(いちどう)は「万歳(ばんざい)」と()をあげて歓呼(くわんこ)する。299高山彦(たかやまひこ)は、
300高山彦(たかやまひこ)(みな)さま、301左様(さやう)ならば(これ)より(ひと)(じま)(まゐ)ります。302高姫(たかひめ)殿(どの)303黒姫(くろひめ)殿(どの)304さらば……』
305立出(たちい)でんとする。306黒姫(くろひめ)周章(あわて)(すそ)をひき()め、
307黒姫(くろひめ)『マアマア()つて(くだ)さんせいな。308最前(さいぜん)からのあなたの()言葉(ことば)309(のこ)らず承知(しようち)いたしました。310……とは()ふものの(なさけ)なや、311()ぎし()()睦言(むつごと)を、312()にしみじみと片時(かたとき)も、313(おも)(わす)るるひまもなう、314年月(としつき)(かさ)ぬる(その)(うち)に、315うつり(やす)いは殿御(とのご)(こころ)(あき)(そら)316もしや見捨(みすて)はなさらぬかと、317ホンにあらゆる天地(てんち)(かみ)さまや、318竜宮(りうぐう)さまに(ぐわん)かけて、319(あん)(くら)した甲斐(かひ)もなう、320今日(けふ)突然(とつぜん)離別(りべつ)とは、321(あんま)りムゴイ(おん)仕打(しうち)322これが如何(どう)して()かずに()られませうか、323オンオン』
324とあたりを(かま)はず、325(しわ)くちや(がほ)(なみだ)夕立(ゆふだち)(ごと)くたらして泣沈(なきしづ)む。
326玉治別(たまはるわけ)(くや)んで(かへ)らぬ(たがひ)(えん)327(なか)をへだつる玉治川(たまはるがは)328……サアサア高山彦(たかやまひこ)さま、329(おも)()りが大切(たいせつ)だ。330グヅグヅして()ると、331(また)もやシヤツつかれますよ。332あとは(この)玉治別(たまはるわけ)が、333全責任(ぜんせきにん)()うて引受(ひきう)けますから、334一切(いつさい)(かま)はず勝手(かつて)にお()(あそ)ばせ』
335高山彦(たかやまひこ)何分(なにぶん)(よろ)しく()(たの)(まを)す』
336立出(たちい)でんとする。
337黒姫(くろひめ)高山(たかやま)さまも(きこ)えませぬ。338(まへ)二人(ふたり)(その)(なか)は、339昨日(きのふ)今日(けふ)(こと)ではありますまい。340(わたし)をふりすてて()のうとは、341(あんま)(きこ)えぬ胴欲(どうよく)ぢや。342(いや)なら(いや)で、343無理(むり)()はうとは()ひませぬ。344生田(いくた)(かは)大水(おほみづ)(わた)つた(とき)(わたし)正体(しやうたい)第19巻第3章で黒姫は蛇体に還元して、水が氾濫した川を渡っているが、生田川ではなく白瀬川と呼ばれている。(どちらも由良川の別名と思われる)345よもや(わす)れては()りますまいな』
346高山彦(たかやまひこ)一度(いちど)還元(くわんげん)した以上(いじやう)(ふたた)還元(くわんげん)出来(でき)大蛇(をろち)身魂(みたま)347もう大丈夫(だいぢやうぶ)だ。348日高川(ひだかがは)蛇体(じやたい)になつて(わた)つた清姫(きよひめ)平安時代の安珍・清姫伝説で、道成寺に逃げた安珍を追い駆け、清姫は蛇体に変じて日高川を渡ったことを指す。(やう)太平洋(たいへいやう)横切(よこぎ)つて、349高山彦(たかやまひこ)色男(いろをとこ)(たづ)ねて()なさい。350地恩(ちおん)(さと)大釣鐘(おほつりがね)千代(ちよ)住家(すみか)として、351高山彦(たかやまひこ)安逸(あんいつ)余生(よせい)(おく)(かんが)へだ。352さうすれば安珍(ごくあんちん)なものだ。353何程(なにほど)(まへ)地団駄(ぢだんだ)ふんで道成寺(だうじやうじ)かうせうじなどといつて、354藻掻(もが)いた(ところ)でモウ駄目(だめ)だよ。355アハヽヽヽ』
356(おほ)きく(かた)をゆすり(なが)悠々(いういう)として()でて()く。357黒姫(くろひめ)夜叉(やしや)(ごと)く、358あと()つかけんと、359()さまに似合(にあ)はず捩鉢巻(ねぢはちまき)をし、360(すそ)太腿(ふともも)(うへ)あたりまで(ひき)あげて、361大股(おほまた)にドンドンとかけ()しかけた。362玉治別(たまはるわけ)()ひすがつて黒姫(くろひめ)(うしろ)よりムンヅと(ばか)(おび)をひつつかんで(ちから)(まか)せ、363グツと引戻(ひきもど)す。364黒姫(くろひめ)金切声(かなきりごゑ)()して、
365黒姫(くろひめ)千危(せんき)一機(いつき)(この)場合(ばあひ)366どこの何方(どなた)()らねども、367(かなら)ずとめて(くだ)さるな。368(わたし)にとつて一生(いつしやう)一大事(いちだいじ)369アヽ残念(ざんねん)口惜(くちを)しや、370そこ(はな)しや』
371振向(ふりむ)途端(とたん)見合(みあは)(かほ)(かほ)
372黒姫(くろひめ)『ヤアお(まへ)意地(いぢ)くね(わる)田吾作(たごさく)殿(どの)373ここは(ねがひ)ぢや、374(はな)しておくれ』
375玉治別(たまはるわけ)意地(いぢ)くね(わる)田吾作(たごさく)だから(はな)さないのだよ。376雪隠(せんち)(みづ)つき(ばば)うきぢやと(ひと)(わら)ひますよ。377まあチツと()をおちつけなされ。378高山(たかやま)さま(ばか)りが(をとこ)ぢやありますまい。379男旱魃(をとこひでり)もない()(なか)に、380コラ(また)きつう(ほれ)たものだなア』
381 黒姫(くろひめ)は、
382黒姫(くろひめ)『エー()つといて』
383(ちから)(かぎ)りふり(はな)し、384群衆(ぐんしう)(なか)無理(むり)押分(おしわ)(ひと)押倒(おしたふ)し、385ふみにじり(なが)ら、386(しり)まで()して一生(いつしやう)懸命(けんめい)高山彦(たかやまひこ)(あと)()つかけ(はし)()く。
387大正一一・七・二四 旧六・一 松村真澄録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
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