玉照姫は、初稚姫、玉能姫、お玉の方に紫の玉を守らせて、ひとまず館に帰った。幹部たちも解散した。
高山彦は旅装を整え、アールとエースを従えて館を立ち居でようとしたときに、夜叉のように髪を振り乱して追いかけてきた黒姫に、ばったり出くわした。高山彦は裏口へ回って逃げようとしたが、黒姫は癪を起こしてその場に伸びてしまった。
これを見捨てるわけにもゆかず、仕方なく高山彦はアールとエースと共に黒姫を介抱した。黒姫は気を取り戻した。高山彦は、玉探しのためにこれまでの縁をあきらめてくれ、と改めて懇願した。
黒姫は高山彦につらつらと恨み言を述べ、懐剣を抜いて喉に当てて見せた。高山彦は意に介さず行こうとするが、黒姫はアールとエースにも命じて高山彦に食らいついて放さない。
高山彦は黒姫の執着心をたしなめ、改心して皆に愛されるようになって欲しいと説示し、アールとエースに命じて出立しようとする。
そこへ玉治別がやってきた。あくまでしがみつく黒姫に、高山彦はついに当て身を食わせて気絶させた。高山彦は玉治別に、気絶から回復させるツボを教えると、アールとエースを従えて行ってしまった。
玉治別は教えられたツボを押して黒姫を回復させると、黒姫に説諭した。黒姫は回復させてくれたことを玉治別に感謝し、また一切の執着を捨てるべく、錦の宮に向かって共に拍手祈願をした。
ちなみに、言依別命は国依別を連れて、南米と高砂島に渡り、鷹依姫と竜国別の行方を尋ねるかたがた、宣伝の旅に出ることになった。
高姫は春彦と常彦を連れて、四個の玉を見つけ出そうと言依別命を追って高砂島に行くことになった。
杢助は初稚姫、玉治別、五十子姫、亀彦、音彦、黄竜姫、蜈蚣姫を率いて、波斯の国のウブスナ山脈の斎苑の館を指して行くことになった。
黒姫は、高山彦が竜宮島または筑紫島に行ったと聞いて、二人の従者を引き連れて追っかけて行くことになった。