霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第7巻(午の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 大台ケ原
第1章 日出山上
第2章 三神司邂逅
第3章 白竜
第4章 石土毘古
第5章 日出ケ嶽
第6章 空威張
第7章 山火事
第2篇 白雪郷
第8章 羽衣の松
第9章 弱腰男
第10章 附合信神
第11章 助け船
第12章 熟々尽
第3篇 太平洋
第13章 美代の浜
第14章 怒濤澎湃
第15章 船幽霊
第16章 釣魚の悲
第17章 亀の背
第4篇 鬼門より竜宮へ
第18章 海原の宮
第19章 無心の船
第20章 副守飛出
第21章 飲めぬ酒
第22章 竜宮の宝
第23章 色良い男
第5篇 亜弗利加
第24章 筑紫上陸
第25章 建日別
第26章 アオウエイ
第27章 蓄音器
第28章 不思議の窟
第6篇 肥の国へ
第29章 山上の眺
第30章 天狗の親玉
第31章 虎転別
第32章 水晶玉
第7篇 日出神
第33章 回顧
第34章 時の氏神
第35章 木像に説教
第36章 豊日別
第37章 老利留油
第38章 雲天焼
第39章 駱駝隊
第8篇 一身四面
第40章 三人奇遇
第41章 枯木の花
第42章 分水嶺
第43章 神の国
第44章 福辺面
第45章 酒魂
第46章 白日別
第47章 鯉の一跳
第9篇 小波丸
第48章 悲喜交々
第49章 乗り直せ
第50章 三五〇
附録 第三回高熊山参拝紀行歌
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第7巻(午の巻)
> 第1篇 大台ケ原 > 第7章 山火事
<<< 空威張
(B)
(N)
羽衣の松 >>>
第七章
山火事
(
やまくわじ
)
〔三〇七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
篇:
第1篇 大台ケ原
よみ(新仮名遣い):
おおだいがはら
章:
第7章 山火事
よみ(新仮名遣い):
やまかじ
通し章番号:
307
口述日:
1922(大正11)年01月30日(旧01月03日)
口述場所:
筆録者:
高木鉄男
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年5月31日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
日の出神ら三神は、腰を抜かして泣き叫ぶ豆寅を置いて、宣伝歌を歌いながらどんどんと先へ進んでいってしまった。
闇の中で、豆寅をからかう歌声が聞こえ始めた。豆寅は聞き覚えのある声に呼ばわった。田依彦は火打ちを取り出して枯れ枝に火をつけると、ようやく一同の顔が現れた。
しかし折からの烈風に火は燃え広がり、全山を焼き尽くすほどに勢いになってしまった。日の出神一行はこの山火事に驚いて引き返してきた。
このとき、山上を登ってきたのは、黄金山の三五教の宣伝使・国彦の三男・梅ケ香彦であった。梅ケ香彦は、満身の力を込めて伊吹戸主神に祈願をこらし、燃え広がる火に向かって息を吹きかけた。風はたちまち方向を転じて、ぴったりと消えうせた。
夜が明けると、山の八合目以下は全部灰の山になってしまっていることがわかった。焼き出された山麓の住人たちは田依彦たちを見つけて取り囲み、犯人を火あぶりの刑に処すると宣言した。
豆寅や田依彦たちが住人たちに責められているところへ、日の出神一行が戻ってきた。日の出神は、豆寅たちを山麓の酋長に預けて、焼けうせた人々の家を再建させた。豆寅は久々能智と名を与えられた。
そして、梅ケ香彦の功労を賞して、風木津別之忍男と名を与えた。日の出神、大戸日別、天吹男、風木津別之忍男の四柱は山を下り海を渡り、そこで別れて東西南北にいずこともなく宣伝使として進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-01 16:23:05
OBC :
rm0707
愛善世界社版:
39頁
八幡書店版:
第2輯 50頁
修補版:
校定版:
42頁
普及版:
17頁
初版:
ページ備考:
001
このとき
暗中
(
あんちう
)
に
声
(
こゑ
)
あり、
002
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
003
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわけ
)
る
004
身魂
(
みたま
)
を
磨
(
みが
)
けよ
立替
(
たてか
)
へよ
005
身
(
み
)
の
行状
(
をこなひ
)
を
立直
(
たてなほ
)
せ
006
この
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
007
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
008
ただ
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
009
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞直
(
ききなほ
)
せ
010
身
(
み
)
の
過
(
あやまち
)
は
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ』
011
と
歌
(
うた
)
ひながら
豆寅
(
まめとら
)
に
構
(
かま
)
はず、
012
ドシドシ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
013
豆寅
(
まめとら
)
は、
014
『モシモシ
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
、
015
大戸日別
(
おほとびわけ
)
様
(
さま
)
、
016
天吹男
(
あまのふきを
)
様
(
さま
)
、
017
しばらく
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さいナ。
018
腰
(
こし
)
が
抜
(
ぬ
)
けました、
019
頭
(
あたま
)
を
割
(
わ
)
られました。
020
助
(
たす
)
けて
助
(
たす
)
けて』
021
と
呶鳴
(
どな
)
りゐる。
022
宣伝使
(
せんでんし
)
の
声
(
こゑ
)
はだんだん
遠
(
とほ
)
くなり
行
(
ゆ
)
くのみなりき。
023
『
豆寅
(
まめとら
)
奴
(
やつこ
)
が
家
(
うち
)
を
出
(
で
)
て
024
草香
(
くさか
)
の
姫
(
ひめ
)
は
喜
(
よろこ
)
ンで
025
嬶
(
かか
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
026
御
(
お
)
膳
(
ぜん
)
を
据
(
す
)
ゑて
玉彦
(
たまひこ
)
に
027
目玉
(
めだま
)
を
剥
(
む
)
いて
立替
(
たてか
)
へよ
028
身
(
み
)
の
行
(
おこな
)
ひはさつぱりと
029
善
(
ぜん
)
から
悪
(
あく
)
に
立替
(
たてか
)
へた
030
この
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
つた
肝心
(
かんじん
)
の
031
目玉
(
めだま
)
も
光
(
ひか
)
る
鬼神
(
おにがみ
)
は
032
夜
(
よる
)
でも
光
(
ひか
)
る
豆寅
(
まめとら
)
の
033
頭
(
あたま
)
を
ぴつしやり
と
打叩
(
うちたた
)
き
034
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
さつ
さつと
035
跡白浪
(
あとしらなみ
)
と
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く
036
なにほど
頭
(
あたま
)
は
光
(
ひか
)
つても
037
心
(
こころ
)
は
暗
(
やみ
)
の
豆狸
(
まめだぬき
)
038
狐狸
(
きつねたぬき
)
に
魅
(
つま
)
まれて
039
巌窟
(
いはや
)
の
内
(
うち
)
へと
引込
(
ひきこ
)
まれ
040
目
(
め
)
から
火
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
出
(
で
)
て
041
暗
(
やみ
)
に
倒
(
たふ
)
れた
腰抜
(
こしぬ
)
けよ』
042
と
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
したる
者
(
もの
)
あり。
043
豆寅
(
まめとら
)
はその
声
(
こゑ
)
に
何処
(
どこ
)
ともなく
聞
(
き
)
き
覚
(
おぼ
)
えがあるので、
044
『やい、
045
暗
(
くら
)
がりに
俺
(
おれ
)
の
頭
(
あたま
)
を
しばき
よつて、
046
目
(
め
)
から
火
(
ひ
)
を
出
(
だ
)
させよつて、
047
びつくりさして
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かさした
奴
(
やつ
)
は
誰
(
たれ
)
だい』
048
と
呼
(
よ
)
べば、
049
暗
(
くらがり
)
から、
050
『
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かしたのは、
051
豆寅
(
まめとら
)
ぢやないか』
052
と
叫
(
さけ
)
ぶ
者
(
もの
)
あり。
053
豆寅
(
まめとら
)
は
大地
(
だいち
)
に
へたばり
ながら、
054
『
何
(
なん
)
だか
聞
(
き
)
き
覚
(
おぼ
)
えのある
声
(
こゑ
)
の
様
(
やう
)
だが、
055
俺
(
おれ
)
の
嬶
(
かかあ
)
が、
056
玉彦
(
たまひこ
)
の
奴
(
やつ
)
に
御
(
お
)
膳
(
ぜん
)
を
据
(
す
)
ゑたとか
云
(
い
)
うたなあ』
057
『
善
(
ぜん
)
は
急
(
いそ
)
げぢや、
058
善因
(
ぜんいん
)
善果
(
ぜんぐわ
)
、
059
悪
(
あく
)
が
変
(
へん
)
じて
善
(
ぜん
)
となり
善
(
ぜん
)
が
変
(
へん
)
じて
悪
(
あく
)
となる。
060
どちらも
玉
(
たま
)
の
磨
(
みが
)
き
合
(
あ
)
ひの
玉彦
(
たまひこ
)
さまだぞ』
061
時彦
(
ときひこ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
ツ』
062
玉彦
(
たまひこ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
つて
何
(
な
)
ンだ。
063
玉奪
(
たまと
)
られ
奴
(
め
)
が』
064
時彦
(
ときひこ
)
『
玉取
(
たまと
)
られとは
貴様
(
きさま
)
のことぢや、
065
嬶取
(
かかあと
)
り
奴
(
め
)
が。
066
貴様
(
きさま
)
の
嬶
(
かかあ
)
に
密告
(
みつこく
)
しようか』
067
玉彦
(
たまひこ
)
『まあ
待
(
ま
)
て、
068
同
(
おな
)
じ
穴
(
あな
)
の
狐
(
きつね
)
、
069
貴様
(
きさま
)
も
密告
(
みつこく
)
するぞ』
070
田依彦
(
たよりひこ
)
は
火打袋
(
ひうちぶくろ
)
より
火打石
(
ひうちいし
)
火口
(
ほくち
)
を
取出
(
とりだ
)
し、
071
かちかち
と
打
(
うち
)
はじめ
傍
(
かたはら
)
の
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
枯枝
(
かれえだ
)
を
暗
(
くら
)
がりに
掻
(
か
)
き
集
(
あつ
)
めながら
火
(
ひ
)
を
点
(
つ
)
けたれば、
072
火
(
ひ
)
は
炎々
(
えんえん
)
として
燃
(
も
)
え
上
(
あが
)
り
一同
(
いちどう
)
の
顔
(
かほ
)
は
始
(
はじ
)
めて
明
(
あか
)
るくなりし。
073
折
(
をり
)
からの
烈風
(
れつぷう
)
に
煽
(
あふ
)
られて、
074
見
(
み
)
る
見
(
み
)
る
火
(
ひ
)
は
四方
(
しはう
)
に
燃
(
も
)
えひろがり、
075
轟々
(
ぐわうぐわう
)
と
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
てて
忽
(
たちま
)
ち
四辺
(
あたり
)
は
昼
(
ひる
)
のごとく
明
(
あか
)
くなりぬ。
076
火
(
ひ
)
は
次第
(
しだい
)
に
燃
(
も
)
え
拡
(
ひろ
)
がり、
077
全山
(
ぜんざん
)
を
殆
(
ほとん
)
ど
焼
(
や
)
き
尽
(
つく
)
さむ
勢
(
いきほひ
)
となり
来
(
き
)
たりたれば、
078
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
一行
(
いつかう
)
はにはかに
四辺
(
あたり
)
の
明
(
あか
)
くなりしに
驚
(
おどろ
)
き、
079
後
(
あと
)
振返
(
ふりかへ
)
り
見
(
み
)
れば、
080
全山
(
ぜんざん
)
ほとんど
火
(
ひ
)
の
山
(
やま
)
と
化
(
くわ
)
しゐる。
081
三柱
(
みはしら
)
は
石土
(
いはつち
)
毘古
(
びこ
)
、
082
石巣
(
いはす
)
比売
(
ひめ
)
の
消息
(
せうそく
)
を
気遣
(
きづか
)
ひ、
083
一目散
(
いちもくさん
)
に
後
(
あと
)
に
引返
(
ひきかへ
)
し、
084
急
(
いそ
)
いで
山
(
やま
)
を
登
(
のぼ
)
り
来
(
き
)
たりぬ。
085
このとき
山上
(
さんじやう
)
目
(
め
)
がけて
登
(
のぼ
)
りくる
宣伝使
(
せんでんし
)
ありき。
086
此
(
こ
)
は
黄金山
(
わうごんざん
)
の
三五教
(
あななひけう
)
を
天下
(
てんか
)
に
宣伝
(
せんでん
)
する、
087
国彦
(
くにひこ
)
の
三男
(
さんなん
)
梅ケ香彦
(
うめがかひこ
)
なりき。
088
全山
(
ぜんざん
)
ほとんど
焼
(
や
)
きつくして
已
(
すで
)
に
立岩
(
たちいは
)
の
麓
(
ふもと
)
に
燃
(
も
)
え
移
(
うつ
)
らむとする
時
(
とき
)
しも、
089
梅ケ香彦
(
うめがかひこ
)
は
満身
(
まんしん
)
の
力
(
ちから
)
を
籠
(
こ
)
め、
090
伊吹戸主
(
いぶきどぬしの
)
神
(
かみ
)
に
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らし、
091
燃
(
も
)
え
拡
(
ひろ
)
がる
焔
(
ほのほ
)
に
向
(
むか
)
つて
息吹
(
いきふき
)
かけたるに、
092
風
(
かぜ
)
はたちまち
方向
(
はうかう
)
を
変
(
へん
)
じ、
093
山上
(
さんじやう
)
より
暴風
(
ばうふう
)
吹
(
ふ
)
き
来
(
きた
)
りて、
094
瞬
(
またた
)
く
間
(
うち
)
にぴつたりと
消
(
き
)
えうせにけり。
095
時
(
とき
)
しも
夜
(
よ
)
は
漸
(
やうや
)
く
明
(
あ
)
け
放
(
はな
)
れ、
096
山
(
やま
)
の
八合目
(
はちがふめ
)
以下
(
いか
)
は
全部
(
ぜんぶ
)
灰
(
はひ
)
の
山
(
やま
)
と
変
(
かは
)
りぬ。
097
山麓
(
さんろく
)
にある
神人
(
しんじん
)
の
住家
(
すみか
)
は
全部
(
ぜんぶ
)
焼
(
や
)
け
落
(
お
)
ちければ、
098
山麓
(
さんろく
)
の
住民
(
ぢうみん
)
は
何人
(
なにびと
)
の
所為
(
しよゐ
)
ぞと
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
に
手配
(
てくば
)
りをなし、
099
山
(
やま
)
の
谷々
(
たにだに
)
を
隈
(
くま
)
なく
尋
(
たづ
)
ね
廻
(
まは
)
りゐたりける。
100
豆寅
(
まめとら
)
、
101
田依彦
(
たよりひこ
)
、
102
時彦
(
ときひこ
)
、
103
芳彦
(
よしひこ
)
、
104
玉彦
(
たまひこ
)
は
余
(
あま
)
りの
大火
(
たいくわ
)
に
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
105
一
(
ひ
)
と
所
(
ところ
)
に
首
(
くび
)
を
鳩
(
あつ
)
めて
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
おのの
)
きゐたり。
106
住家
(
すみか
)
を
失
(
うしな
)
ひし
数多
(
あまた
)
の
人々
(
ひとびと
)
はこの
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
107
口々
(
くちぐち
)
に、
108
『この
山
(
やま
)
を
焼
(
や
)
きよつたのは
大方
(
おほかた
)
貴様
(
きさま
)
らならむ。
109
元
(
もと
)
の
通
(
とほ
)
りに
建
(
た
)
てて
返
(
かへ
)
さばよし、
110
さなくば
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
を
縛
(
しば
)
つて
帰
(
かへ
)
り、
111
酋長
(
しうちやう
)
の
前
(
まへ
)
にて
火炙
(
ひあぶ
)
りの
刑
(
けい
)
に
処
(
しよ
)
せむ』
112
と
怒
(
いか
)
りの
顔色
(
がんしよく
)
物凄
(
ものすご
)
く
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
てたるに、
113
豆寅
(
まめとら
)
は
周章
(
あわ
)
てて、
114
『わゝゝゝ、
115
わしは、
116
ちゝゝゝとゝゝゝしゝゝゝ』
117
大勢
(
おほぜい
)
の
中
(
なか
)
よりは、
118
『この
瓢箪
(
へうたん
)
』
119
と
云
(
い
)
ひながら
携
(
たづさ
)
へ
持
(
も
)
てる
棒千切
(
ぼうちぎれ
)
をもつてポンと
叩
(
たた
)
けば、
120
豆寅
(
まめとら
)
は
声
(
こゑ
)
を
揚
(
あ
)
げて
泣
(
な
)
き
出
(
だ
)
し、
121
右手
(
みぎて
)
の
二
(
に
)
の
腕
(
うで
)
にて
両眼
(
りやうがん
)
を
擦
(
す
)
り
乍
(
なが
)
ら、
122
『
今日
(
けふ
)
は
如何
(
いか
)
なる
悪日
(
あくにち
)
ぞ、
123
折角
(
せつかく
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
に
助
(
たす
)
けられ、
124
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
つて
恋
(
こひ
)
しき
妻
(
つま
)
の
草香姫
(
くさかひめ
)
に
取付
(
とりつ
)
き、
125
互
(
たがひ
)
に
抱
(
いだ
)
いて
泣
(
な
)
かむものと
思
(
おも
)
ふ
間
(
ま
)
もなく、
126
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
で
泣
(
な
)
いて
死
(
し
)
ぬとは
情
(
なさけ
)
ない。
127
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
に
助
(
たす
)
けられ、
128
今度
(
こんど
)
は
火
(
ひ
)
の
出
(
で
)
に
殺
(
ころ
)
されるか。
129
草香姫
(
くさかひめ
)
いまは
の
際
(
きは
)
に
唯
(
ただ
)
一目
(
ひとめ
)
、
130
やさしい
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
せて
呉
(
く
)
れ。
131
死
(
し
)
ぬるこの
身
(
み
)
は
厭
(
いと
)
はぬが、
132
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
りし
草香姫
(
くさかひめ
)
、
133
これを
聞
(
き
)
いたら
泣
(
な
)
くであらう。
134
思
(
おも
)
へば
悲
(
かな
)
しい
憐
(
いぢ
)
らしい』
135
群衆
(
ぐんしう
)
の
中
(
なか
)
より、
136
『エイ、
137
めそめそ
と
吼面
(
ほえづら
)
かわき
よつて、
138
そンな
事
(
こと
)
は
聞
(
き
)
き
度
(
たく
)
は
無
(
な
)
い。
139
誰
(
たれ
)
が
火
(
ひ
)
を
出
(
だ
)
したのか、
140
確
(
しつ
)
かり
返答
(
へんたふ
)
せ』
141
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
黙然
(
もくねん
)
として
俯向
(
うつむ
)
き
居
(
を
)
るのみ。
142
豆寅
(
まめとら
)
は、
143
『たゝゝゝ
確
(
たし
)
かに
田依彦
(
たよりひこ
)
が
致
(
いた
)
しました』
144
と
云
(
い
)
はむとするや、
145
田依彦
(
たよりひこ
)
は、
146
『こら
馬鹿
(
ばか
)
ツ』
147
と
云
(
い
)
ひながら、
148
またもや
豆寅
(
まめとら
)
の
頭
(
あたま
)
を
棒千切
(
ぼうちぎれ
)
を
以
(
もつ
)
て
がん
と
叩
(
たた
)
く。
149
このとき
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
山上
(
さんじやう
)
より
降
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
りこの
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て、
150
『やあ
豆寅
(
まめとら
)
か、
151
頭
(
あたま
)
は
如何
(
どう
)
した。
152
何
(
なに
)
を
泣
(
な
)
いて
居
(
を
)
る』
153
豆寅
(
まめとら
)
は
地獄
(
ぢごく
)
で
仏
(
ほとけ
)
に
逢
(
あ
)
うたる
心地
(
ここち
)
して、
154
『まあまあ、
155
よう
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました』
156
と
立上
(
たちあが
)
り、
157
『やいこら
田依彦
(
たよりひこ
)
、
158
時彦
(
ときひこ
)
、
159
芳彦
(
よしひこ
)
、
160
玉彦
(
たまひこ
)
、
161
その
外
(
ほか
)
みなの
奴
(
やつ
)
らよつく
聞
(
き
)
け。
162
この
方
(
はう
)
は
勿体
(
もつたい
)
なくも
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
一
(
いち
)
の
御
(
ご
)
家来
(
けらい
)
、
163
そのまた
家来
(
けらい
)
のその
家来
(
けらい
)
、
164
もうちつと
下
(
した
)
のその
家来
(
けらい
)
、
165
豆寅彦
(
まめとらひこ
)
さまだぞ、
166
無礼
(
ぶれい
)
を
ひろい
だその
罪
(
つみ
)
容赦
(
ようしや
)
はならぬ』
167
と
章魚
(
たこ
)
の
跳
(
はね
)
る
様
(
やう
)
な
姿
(
すがた
)
になつて
肩肱
(
かたひぢ
)
怒
(
いか
)
らしにはかに
元気
(
げんき
)
づく。
168
衆人
(
しうじん
)
はこの
見幕
(
けんまく
)
に
或
(
あるひ
)
は
恐
(
おそ
)
れ
或
(
あるひ
)
は
噴
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し、
169
無言
(
むごん
)
のまま
言
(
い
)
ひ
合
(
あは
)
した
様
(
やう
)
に
大地
(
だいち
)
に
平伏
(
ひれふ
)
したり。
170
これは
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
をはじめ
梅ケ香彦
(
うめがかひこ
)
、
171
大戸日別
(
おほとびわけ
)
、
172
天吹男
(
あまのふきを
)
の
威厳
(
ゐげん
)
に
何
(
な
)
ンとなく
打
(
う
)
たれたる
故
(
ゆゑ
)
なりき。
173
豆寅
(
まめとら
)
は
自分
(
じぶん
)
に
降伏
(
かうふく
)
したものと
思
(
おも
)
ひ、
174
ますます
鼻息
(
はないき
)
荒
(
あら
)
く、
175
『やい
田依彦
(
たよりひこ
)
、
176
貴様
(
きさま
)
は
最前
(
さいぜん
)
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
うた。
177
玉彦
(
たまひこ
)
が
俺
(
おれ
)
の
留守中
(
るすちう
)
に、
178
俺
(
おれ
)
の
嬶
(
かかあ
)
をちよろまかしたと
吐
(
ぬ
)
かしただらう、
179
本当
(
ほんたう
)
か
白状
(
はくじやう
)
いたせ。
180
貴様
(
きさま
)
は
嬶
(
かかあ
)
の
兄弟
(
きやうだい
)
ぢやと
思
(
おも
)
うて、
181
許
(
ゆる
)
してやりたいは
山々
(
やまやま
)
なれど、
182
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
には
親子
(
おやこ
)
兄弟
(
きやうだい
)
他人
(
たにん
)
の
区別
(
くべつ
)
はない。
183
やい
玉彦
(
たまひこ
)
返答
(
へんたふ
)
はどうだ』
184
と
威張
(
ゐば
)
りだす。
185
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
又
(
また
)
もや
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながらこの
場
(
ば
)
を
見捨
(
みす
)
てて
行
(
ゆ
)
かむとす。
186
豆寅
(
まめとら
)
は、
187
『もしもし
家来
(
けらい
)
を
捨
(
す
)
てて
何処
(
どこ
)
に
御
(
お
)
越
(
こ
)
し
遊
(
あそ
)
ばす。
188
夫
(
そ
)
れはあんまり
胴欲
(
どうよく
)
ぢや』
189
と
袖
(
そで
)
に
縋
(
すが
)
つて
泣
(
な
)
き
付
(
つ
)
く。
190
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
梅ケ香彦
(
うめがかひこ
)
に、
191
風木津別
(
かぜけつわけ
)
之
(
の
)
忍男
(
おしを
)
と
名
(
な
)
を
与
(
あた
)
へてその
功労
(
こうらう
)
を
賞
(
しやう
)
し、
192
豆寅
(
まめとら
)
以下
(
いか
)
の
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
山麓
(
さんろく
)
の
酋長
(
しうちやう
)
なる
大屋
(
おほや
)
毘古
(
びこ
)
の
身許
(
みもと
)
に
預
(
あづ
)
けて、
193
焼
(
や
)
け
失
(
う
)
せたる
人々
(
ひとびと
)
の
住家
(
すみか
)
を
新
(
あらた
)
に
造
(
つく
)
らしめたり。
194
豆寅
(
まめとら
)
はここに
久々能智
(
くくのち
)
といふ
名
(
な
)
を
与
(
あた
)
へられける。
195
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
山
(
やま
)
を
下
(
くだ
)
り
海
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
り
四柱
(
よはしら
)
ここに
袖
(
そで
)
を
分
(
わか
)
ちて、
196
東西
(
とうざい
)
南北
(
なんぼく
)
に
何処
(
どこ
)
ともなく、
197
宣伝使
(
せんでんし
)
として
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
きける。
198
(
大正一一・一・三〇
旧一・三
高木鉄男
録)
199
(序~第七章 昭和一〇・二・二一 於島根県地恩郷 王仁校正)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 空威張
(B)
(N)
羽衣の松 >>>
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第7巻(午の巻)
> 第1篇 大台ケ原 > 第7章 山火事
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第7章 山火事|第7巻|霊主体従|霊界物語|/rm0707】
合言葉「みろく」を入力して下さい→