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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第7巻(午の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 大台ケ原
第1章 日出山上
第2章 三神司邂逅
第3章 白竜
第4章 石土毘古
第5章 日出ケ嶽
第6章 空威張
第7章 山火事
第2篇 白雪郷
第8章 羽衣の松
第9章 弱腰男
第10章 附合信神
第11章 助け船
第12章 熟々尽
第3篇 太平洋
第13章 美代の浜
第14章 怒濤澎湃
第15章 船幽霊
第16章 釣魚の悲
第17章 亀の背
第4篇 鬼門より竜宮へ
第18章 海原の宮
第19章 無心の船
第20章 副守飛出
第21章 飲めぬ酒
第22章 竜宮の宝
第23章 色良い男
第5篇 亜弗利加
第24章 筑紫上陸
第25章 建日別
第26章 アオウエイ
第27章 蓄音器
第28章 不思議の窟
第6篇 肥の国へ
第29章 山上の眺
第30章 天狗の親玉
第31章 虎転別
第32章 水晶玉
第7篇 日出神
第33章 回顧
第34章 時の氏神
第35章 木像に説教
第36章 豊日別
第37章 老利留油
第38章 雲天焼
第39章 駱駝隊
第8篇 一身四面
第40章 三人奇遇
第41章 枯木の花
第42章 分水嶺
第43章 神の国
第44章 福辺面
第45章 酒魂
第46章 白日別
第47章 鯉の一跳
第9篇 小波丸
第48章 悲喜交々
第49章 乗り直せ
第50章 三五〇
附録 第三回高熊山参拝紀行歌
余白歌
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<<< 老利留油
(B)
(N)
駱駝隊 >>>
第三八章
雲天焼
(
くもてんやけ
)
〔三三八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
篇:
第7篇 日出神
よみ(新仮名遣い):
ひのでのかみ
章:
第38章 雲天焼
よみ(新仮名遣い):
くもてんやけ
通し章番号:
338
口述日:
1922(大正11)年02月02日(旧01月06日)
口述場所:
筆録者:
谷川常清
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年5月31日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
谷川の傍らに腰かけ、そま人たちが肥の国で群集が八島別の館を取り囲んだ事件の噂を語り合っていた。
そこへ宣伝歌が聞こえてくる。そま人たちは頭を抱えて道に横たわり、ぶるぶる震えていた。一人の勝れて大きな男は、泰然自若として宣伝歌を愉快げに聞いている。
日の出神は、この大男のそま人に声をかけた。大男は熊と名乗った。熊は豊の国の貧しさと惨状を述べて、宣伝使たちを追い返そうとする。
豊日別はどうしても豊の国へ案内せよ、と言い、熊は仕方なく宣伝使を都へ導き行く。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-06 19:32:16
OBC :
rm0738
愛善世界社版:
229頁
八幡書店版:
第2輯 116頁
修補版:
校定版:
236頁
普及版:
97頁
初版:
ページ備考:
001
春
(
はる
)
の
山辺
(
やまべ
)
は
緑
(
みどり
)
の
顔
(
かほ
)
を
天
(
てん
)
に
晒
(
さら
)
して
打
(
う
)
ち
笑
(
わら
)
ひ、
002
芳
(
かんば
)
しき
花
(
はな
)
は
黄
(
き
)
紫
(
むらさき
)
赤
(
あか
)
白
(
しろ
)
と
処々
(
ところどころ
)
に
咲
(
さ
)
き
乱
(
みだ
)
れて
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
を
綴
(
つづ
)
り、
003
百鳥
(
ももとり
)
は
長閑
(
のどか
)
な
声
(
こゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げてこの
世
(
よ
)
を
謳
(
うた
)
ふ。
004
春山
(
はるやま
)
の
霞
(
かすみ
)
を
別
(
わ
)
けて
下
(
くだ
)
り
来
(
く
)
る
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
、
005
身装
(
みなり
)
も
軽
(
かる
)
き
簑笠
(
みのかさ
)
の、
006
鎧冑
(
よろひかぶと
)
を
取
(
と
)
り
付
(
つ
)
けて、
007
草鞋
(
わらぢ
)
脚絆
(
きやはん
)
の
小手脛
(
こてすね
)
当
(
あて
)
、
008
勢
(
いきほひ
)
込
(
こ
)
ンで
進
(
すす
)
みくる。
009
潺々
(
せんせん
)
として
流
(
なが
)
れも
清
(
きよ
)
き
谷川
(
たにがは
)
の
傍
(
かたはら
)
に
腰
(
こし
)
打
(
う
)
ち
掛
(
か
)
け、
010
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
る
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
杣人
(
そまびと
)
ありけり。
011
甲
(
かふ
)
『オイ、
012
貴様
(
きさま
)
ら
聞
(
き
)
いたか、
013
この
間
(
あひだ
)
から
艮
(
うしとら
)
の
方
(
はう
)
に
当
(
あた
)
つて、
014
五色
(
ごしき
)
の
雲
(
くも
)
が
立
(
た
)
ち
昇
(
あが
)
つただらう。
015
アレヤ、
016
一体
(
いつたい
)
何
(
な
)
ンだと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
るか』
017
乙
(
おつ
)
『
乞食
(
こじき
)
の
雲
(
くも
)
つて
何
(
な
)
ンだい、
018
それや
貴様
(
きさま
)
らの
親類
(
しんるゐ
)
だらう。
019
乞食
(
こじき
)
の
雲助
(
くもすけ
)
が
立
(
た
)
ち
昇
(
あが
)
つた、
020
艮
(
うしとら
)
で
無
(
な
)
うても
此
(
こ
)
の
山道
(
やまみち
)
には、
021
何日
(
いつ
)
も
雲
(
くも
)
が
籠
(
かご
)
を
舁
(
かつ
)
いだり
乞食
(
こじき
)
が
徘徊
(
はいくわい
)
するじやないか』
022
甲
(
かふ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
、
023
貴様
(
きさま
)
はド
聾
(
つんぼ
)
だな。
024
五色
(
ごしき
)
の
雲
(
くも
)
が
立
(
た
)
ち
昇
(
あが
)
つたのだと
云
(
い
)
ふのだよ』
025
と
乙
(
おつ
)
の
耳
(
みみ
)
の
傍
(
そば
)
に
口
(
くち
)
を
寄
(
よ
)
せて
大声
(
おほごゑ
)
に
呶鳴
(
どな
)
る。
026
乙
『そンな
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
を
為
(
し
)
なくてもよう
聞
(
きこ
)
えて
居
(
を
)
るのだ。
027
乞食
(
こじき
)
と
雲助
(
くもすけ
)
が
何
(
ど
)
うしたと
云
(
い
)
ふのだい』
028
甲
(
かふ
)
『ハヽヽヽヽ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
029
金挺子
(
かなてこ
)
だね、
030
こンな
聾
(
つんぼ
)
に
話
(
はなし
)
をして
居
(
ゐ
)
ると
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れてしまふわ。
031
オイ
八公
(
はちこう
)
、
032
五色
(
ごしき
)
の
雲
(
くも
)
の
理由
(
わけ
)
を
聞
(
き
)
かして
呉
(
く
)
れ』
033
八
(
はち
)
は
威丈高
(
ゐたけだか
)
に
成
(
な
)
り、
034
八公
『
何
(
な
)
ンでも
肥
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
に
虎転別
(
とらてんわけ
)
とか、
035
雲天焼
(
くもてんやけ
)
とか、
036
妙
(
めう
)
な
名
(
な
)
の
悪神
(
わるがみ
)
がをつてな。
037
焼島別
(
やけしまわけ
)
とかいふ
宣伝使
(
せんでんし
)
の
館
(
やかた
)
に
火
(
ひ
)
を
点
(
つ
)
けよつたが、
038
その
煙
(
けぶり
)
が
天
(
てん
)
へ
舞
(
ま
)
ひ
昇
(
あが
)
つて、
039
空
(
そら
)
の
雲
(
くも
)
が
焼
(
や
)
けて、
040
それで
雲天焼
(
くもてんやけ
)
と
云
(
い
)
ふのだよ。
041
さうして
結構
(
けつこう
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
の
館
(
やかた
)
が、
042
スツカリ
焼
(
や
)
けて
島
(
しま
)
つた
別
(
わけ
)
といふのだ。
043
何
(
いづ
)
れ
焼
(
や
)
けて
島
(
しま
)
つた
別
(
わけ
)
は
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
がないので、
044
この
峠
(
たうげ
)
を
越
(
こ
)
して
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るかも
知
(
し
)
れないぞ。
045
又
(
また
)
あンな
奴
(
やつ
)
が
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
に
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
よつて、
046
肩
(
かた
)
の
凝
(
こ
)
るやうな
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ひよると、
047
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
にも
腰抜
(
こしぬ
)
けばかりは
居
(
ゐ
)
やしないから、
048
第二
(
だいに
)
の
雲天焼
(
くもてんやけ
)
が
現
(
あら
)
はれるに
定
(
きま
)
つてゐる、
049
物騒
(
ぶつそう
)
な
事
(
こと
)
だワイ』
050
乙
(
おつ
)
『その
雲天焼
(
くもてんやけ
)
とかいふ
奴
(
やつ
)
はこの
広
(
ひろ
)
い
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
には
何
(
いづ
)
れ
居
(
を
)
るだらうね』
051
八公
(
はちこう
)
『
居
(
を
)
らいでかい、
052
居
(
を
)
らいで
耐
(
たま
)
らうかい。
053
俺
(
おら
)
がその
雲天焼
(
くもてんやけ
)
に
成
(
な
)
るのだもの』
054
乙
(
おつ
)
『
貴様
(
きさま
)
雲天焼
(
くもてんやけ
)
に
成
(
な
)
つて
何
(
ど
)
うするのだい』
055
八公
(
はちこう
)
『そンな
奴
(
やつ
)
が
来
(
き
)
よつたら
焼糞
(
やけくそ
)
になつて
焼
(
や
)
いて
こます
のだ』
056
乙
(
おつ
)
『それや
貴様
(
きさま
)
、
057
焼糞
(
やけくそ
)
に
成
(
な
)
つたら
雲天焼
(
くもてんやけ
)
ではないよ。
058
糞天焼
(
くそてんやけ
)
だよ』
059
と、
060
馬鹿口
(
ばかぐち
)
を
叩
(
たた
)
いてをる。
061
そこへ
微
(
かすか
)
に
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
。
062
八公
(
はちこう
)
『ヤア、
063
怖
(
こは
)
いぞ
肩
(
かた
)
の
凝
(
こ
)
る
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
え
出
(
だ
)
した。
064
長居
(
ながゐ
)
は
恐
(
おそ
)
れだ、
065
逃
(
に
)
げろ
逃
(
に
)
げろ』
066
乙
(
おつ
)
『
態
(
ざま
)
見
(
み
)
やがれ、
067
大法螺
(
おほぼら
)
計
(
ばか
)
り
吹
(
ふ
)
きよつて、
068
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
か
水
(
みづ
)
の
音
(
おと
)
か
風
(
かぜ
)
の
響
(
ひびき
)
か
分
(
わか
)
りもせぬのに、
069
日
(
ひ
)
の
暮
(
くれ
)
まぎれに
茅
(
かや
)
の
穂
(
ほ
)
を
見
(
み
)
て
幽霊
(
いうれい
)
だと
思
(
おも
)
つて
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かした
奴
(
やつ
)
のやうに、
070
見
(
み
)
つとも
無
(
な
)
いじやないか』
071
八公
(
はちこう
)
『
喧
(
やかま
)
しう
言
(
い
)
ふない。
072
頭
(
あたま
)
が
痛
(
いた
)
いわ、
073
逃
(
に
)
げろ
逃
(
に
)
げろ』
074
乙
(
おつ
)
は
一目散
(
いちもくさん
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
さうとする。
075
八公
(
はちこう
)
『
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つてくれ
俺
(
おれ
)
も
一緒
(
いつしよ
)
に
連
(
つ
)
れて
逃
(
に
)
げぬかい』
076
乙
(
おつ
)
『
貴様
(
きさま
)
足
(
あし
)
が
有
(
あ
)
るだらう。
077
貴様
(
きさま
)
勝手
(
かつて
)
に
歩
(
ある
)
かぬかい』
078
八公
(
はちこう
)
『
何
(
ど
)
うやら
俺
(
おれ
)
は
胴
(
どう
)
が
据
(
すわ
)
つたと
見
(
み
)
えてビクともできぬわい』
079
乙
(
おつ
)
『
貴様
(
きさま
)
臆病者
(
おくびやうもの
)
奴
(
め
)
、
080
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かしよつたな』
081
宣伝歌
(
せんでんか
)
は
益々
(
ますます
)
近
(
ちか
)
く
聞
(
きこ
)
え
来
(
き
)
たる。
082
日の出神ら宣伝使
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
083
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわけ
)
る
084
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
や
三柱
(
みはしら
)
が
085
今
(
いま
)
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
086
四方
(
よも
)
の
草木
(
くさき
)
も
神風
(
かみかぜ
)
に
087
靡
(
なび
)
き
伏
(
ふ
)
しけむ
醜草
(
しこぐさ
)
は
088
神
(
かみ
)
の
御息
(
みいき
)
に
散
(
ち
)
り
果
(
は
)
てむ
089
散
(
ち
)
りたる
後
(
のち
)
に
実
(
み
)
を
結
(
むす
)
ぶ
090
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
091
豊日
(
とよひ
)
の
別
(
わけ
)
と
現
(
あら
)
はれて
092
四方
(
よも
)
に
拡
(
ひろ
)
むる
宣伝歌
(
せんでんか
)
』
093
と
近辺
(
あたり
)
を
響
(
ひび
)
かせながら
一声
(
ひとこゑ
)
々々
(
ひとこゑ
)
と
近寄
(
ちかよ
)
り
来
(
く
)
る。
094
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
杣人
(
そまびと
)
は
頭
(
あたま
)
を
抱
(
かか
)
へ
呼吸
(
いき
)
を
詰
(
つ
)
めて
谷道
(
たにみち
)
に
横
(
よこ
)
たはりブルブル
震
(
ふる
)
へゐる。
095
中
(
なか
)
に
一人
(
ひとり
)
の
勝
(
すぐ
)
れて
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
泰然
(
たいぜん
)
自若
(
じじやく
)
として
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
け、
096
その
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
愉快気
(
ゆくわいげ
)
に
聴
(
き
)
き
入
(
い
)
りぬ。
097
声
(
こゑ
)
は
刻々
(
こくこく
)
に
近
(
ちか
)
づくと
共
(
とも
)
に
益々
(
ますます
)
高
(
たか
)
く
聞
(
きこ
)
え
出
(
だ
)
し、
098
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
は
立上
(
たちあが
)
り
声
(
こゑ
)
する
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つて
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めたり。
099
大男(熊公)
『
此処
(
ここ
)
は
亜弗利加
(
アフリカ
)
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
100
広
(
ひろ
)
い
沙漠
(
さばく
)
の
連
(
つらな
)
りし
101
不毛
(
ふまう
)
の
土地
(
とち
)
ぞ
荒野原
(
あれのはら
)
102
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
103
何
(
なに
)
ほど
力
(
ちから
)
が
有
(
あ
)
るとても
104
荒野
(
あらの
)
が
原
(
はら
)
の
荒風
(
あらかぜ
)
に
105
吹
(
ふ
)
かれて
体
(
からだ
)
は
砂
(
すな
)
まぶれ
106
頭
(
あたま
)
の
髪
(
かみ
)
はテカテカと
107
光
(
ひかり
)
の
強
(
つよ
)
い
禿頭
(
はげあたま
)
108
何
(
ど
)
ンな
神
(
かみ
)
なと
出
(
で
)
てうせよ
109
豊日
(
とよひ
)
の
別
(
わけ
)
の
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
110
豊日
(
とよひ
)
の
別
(
わけ
)
の
神国
(
かみくに
)
は
111
荒
(
あら
)
ぶる
神
(
かみ
)
や
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
112
曲
(
まが
)
つた
心
(
こころ
)
の
八公
(
はちこう
)
や
113
虎公
(
とらこう
)
のやうな
奴
(
やつ
)
が
居
(
を
)
る』
114
八公
(
はちこう
)
『ヤイ
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
ふのだい、
115
宣伝使
(
せんでんし
)
が
来
(
く
)
ると
思
(
おも
)
つて
貴様
(
きさま
)
一人
(
ひとり
)
が
助
(
たす
)
かり
度
(
た
)
いと
思
(
おも
)
ふのか、
116
俺
(
おれ
)
の
悪口
(
わるくち
)
まで
歌
(
うた
)
ひよつて
怪
(
け
)
しからぬ
奴
(
やつ
)
だ。
117
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
ろ』
118
大男
(
おほをとこ
)
(熊公)
『
八公
(
はちこう
)
、
119
熊公
(
くまこう
)
[
※
御校正本・校定版・愛世版すべて「熊公」になっている。しかしこの大男の名前が「熊公」なので、「虎公」の方が妥当であろう。
]
、
120
ここ
迄
(
まで
)
ござれ、
121
ドツコイシヨドツコイシヨ』
122
と、
123
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
し、
124
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
りながら、
125
八公
(
はちこう
)
を
嘲弄
(
てうろう
)
しつつ、
126
宣伝使
(
せんでんし
)
の
声
(
こゑ
)
のする
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つて
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
127
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
『お
前
(
まへ
)
は
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
の
者
(
もの
)
か』
128
大男
(
おほをとこ
)
『ハイ
私
(
わたくし
)
は
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
の
熊
(
くま
)
といふ
野郎
(
やらう
)
です。
129
能
(
よ
)
う
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
130
しかし、
131
この
国
(
くに
)
は
七分
(
しちぶ
)
どほり
沙漠
(
さばく
)
で
毎日
(
まいにち
)
日日
(
ひにち
)
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
きます。
132
それはそれは
えらい
砂烟
(
すなけぶり
)
で
目
(
め
)
も
鼻
(
はな
)
も
開
(
あ
)
けて
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ。
133
それで
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
の
木草
(
きくさ
)
の
繁
(
しげ
)
つた
山
(
やま
)
を
撰
(
えら
)
ンで、
134
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
を
食
(
く
)
つたり
兎
(
うさぎ
)
や
猪
(
しし
)
を
生捕
(
いけどつ
)
て
生活
(
せいくわつ
)
をして
居
(
ゐ
)
る
惨目
(
みぢめ
)
な
国
(
くに
)
であります。
135
駱駝
(
らくだ
)
は
沢山
(
たくさん
)
に
居
(
を
)
りますが、
136
彼奴
(
あいつ
)
馬鹿
(
ばか
)
な
奴
(
やつ
)
で
大
(
おほ
)
きな
図体
(
づうたい
)
をしよつて
何
(
なに
)
も
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
たず、
137
時々
(
ときどき
)
虎
(
とら
)
や
狼
(
おほかみ
)
に
追
(
お
)
はれて
吾々
(
われわれ
)
人間
(
にんげん
)
の
居
(
を
)
る
処
(
ところ
)
へ
妙
(
めう
)
な
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して
押寄
(
おしよ
)
せて
来
(
く
)
るなり、
138
その
時
(
とき
)
には
吾々
(
われわれ
)
の
歩
(
ある
)
く
場
(
ば
)
も
無
(
な
)
いやうな
目
(
め
)
に
会
(
あは
)
せます。
139
貴下
(
あなた
)
はこの
国
(
くに
)
に
折角
(
せつかく
)
御
(
お
)
出
(
い
)
で
下
(
くだ
)
さつたが、
140
もう
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
りになつたが
宜
(
よろ
)
しからう。
141
世界
(
せかい
)
は
広
(
ひろ
)
いのにこンな
悪
(
わる
)
い
国
(
くに
)
に
御
(
お
)
出
(
い
)
でになつたつて
仕方
(
しかた
)
が
有
(
あ
)
りませぬ。
142
肥
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
の
八島別
(
やしまわけ
)
のやうに
又
(
また
)
虎転別
(
とらてんわけ
)
とか
云
(
い
)
ふ
悪者
(
わるもの
)
が
出
(
で
)
てきて
惨
(
ひど
)
い
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はされては
御
(
お
)
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
ですから、
143
もうこれ
限
(
かぎ
)
りこの
山
(
やま
)
を
引
(
ひ
)
き
返
(
かへ
)
して
熊襲
(
くまそ
)
の
国
(
くに
)
にでも
御
(
お
)
出
(
い
)
でなさいませ。
144
私
(
わたくし
)
は
決
(
けつ
)
して
悪
(
わる
)
いことは
申
(
まを
)
しませぬ。
145
貴下
(
あなた
)
の
歌
(
うた
)
はつしやる
宣伝歌
(
せんでんか
)
は
誠
(
まこと
)
に
結構
(
けつこう
)
ですが、
146
この
国
(
くに
)
の
人間
(
にんげん
)
の
耳
(
みみ
)
には
余
(
あんま
)
り
立派
(
りつぱ
)
過
(
す
)
ぎて
這入
(
はい
)
りませぬ』
147
と
虎転別
(
とらてんわけ
)
の
豊日別
(
とよひわけ
)
が
現在
(
げんざい
)
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
居
(
を
)
るのも
知
(
し
)
らずに
喋
(
しやべ
)
り
立
(
た
)
てゐる。
148
豊日別
(
とよひわけ
)
『
俺
(
おれ
)
はその
悪者
(
わるもの
)
の
虎転別
(
とらてんわけ
)
だよ。
149
今
(
いま
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御
(
お
)
取計
(
とりはか
)
らひに
依
(
よ
)
つて
此
(
こ
)
の
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
の
守護職
(
しゆごしよく
)
と
成
(
な
)
つたのだ。
150
お
前
(
まへ
)
らは
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
の
都
(
みやこ
)
へ
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
を
案内
(
あんない
)
いたせ』
151
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
熟々
(
つくづく
)
と
豊日別
(
とよひわけ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て、
152
大男
(
おほをとこ
)
『イヤー、
153
肥
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
の
虎転別
(
とらてんわけ
)
といふ
奴
(
やつ
)
は
頭
(
あたま
)
の
禿
(
は
)
げた
悪者
(
わるもの
)
だといふ
事
(
こと
)
だのに、
154
それにお
前
(
まへ
)
さまは
毛
(
け
)
が
生
(
は
)
えて
居
(
ゐ
)
るでは
無
(
な
)
いか、
155
結構
(
けつこう
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
だらう。
156
それに
何
(
なん
)
ぞや
鬼
(
おに
)
のやうな
人
(
ひと
)
の
嫌
(
きら
)
ふ
悪
(
あく
)
の
強
(
つよ
)
い
虎転別
(
とらてんわけ
)
じやなンて
戯言
(
ぜうだん
)
にも
程
(
ほど
)
がある、
157
本当
(
ほんたう
)
の
名
(
な
)
を
仰言
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
158
豊日別
(
とよひわけ
)
『そりや
実際
(
じつさい
)
だ。
159
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ、
160
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
の
都
(
みやこ
)
へ
案内
(
あんない
)
してくれ』
161
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
は、
162
不承
(
ふしやう
)
無精
(
ぶしやう
)
ながら
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて、
163
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
の
都
(
みやこ
)
へ、
164
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
導
(
みちび
)
き
行
(
ゆ
)
く。
165
八公
(
はちこう
)
その
他
(
た
)
四五
(
しご
)
の
杣人
(
そまびと
)
は
路傍
(
みちばた
)
に
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かしたるまま、
166
八公
(
はちこう
)
『オイオイ
熊公
(
くまこう
)
貴様
(
きさま
)
どこへ
行
(
ゆ
)
く。
167
豊
(
とよ
)
の
都
(
みやこ
)
にでもそンな
奴
(
やつ
)
を
案内
(
あんない
)
したら、
168
この
国
(
くに
)
は
大変
(
たいへん
)
だぞ。
169
俺
(
おれ
)
一人
(
ひとり
)
でも
雲天焼
(
くもてんやけ
)
に
成
(
な
)
つてやるぞ』
170
と
叫
(
さけ
)
ぶ。
171
熊公
(
くまこう
)
『
八公
(
はちこう
)
の
腰抜
(
こしぬ
)
け、
172
喧
(
やかま
)
しう
云
(
い
)
ふない、
173
善
(
ぜん
)
か
悪
(
あく
)
か
未
(
ま
)
だ
知
(
し
)
れやしない。
174
馬
(
うま
)
には
乗
(
の
)
つて
見
(
み
)
い、
175
人
(
ひと
)
には
添
(
そ
)
うて
見
(
み
)
いだ。
176
貴様
(
きさま
)
も
早
(
はや
)
く
腰
(
こし
)
を
癒
(
なほ
)
して
後
(
あと
)
から
俺
(
おれ
)
の
処
(
ところ
)
を
探
(
たづ
)
ねて
来
(
こ
)
い』
177
と
云
(
い
)
ひながら
都
(
みやこ
)
を
指
(
さ
)
してドンドンと
急
(
いそ
)
ぎ
行
(
ゆ
)
く。
178
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
又
(
また
)
もや
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひつつ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
179
(
大正一一・二・二
旧一・六
谷川常清
録)
180
(第三三章~第三八章 昭和一〇・二・二五 於天恩郷透明殿 王仁校正)
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