霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四五章 酒魂(くしみたま)〔三四五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻 篇:第8篇 一身四面 よみ(新仮名遣い):いっしんしめん
章:第45章 酒魂 よみ(新仮名遣い):くしみたま 通し章番号:345
口述日:1922(大正11)年02月02日(旧01月06日) 口述場所: 筆録者:井上留五郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
日の出神は蚊取別に語りかけた。蚊取別は三五教の宣伝使と聞いて、逃げ出そうとする。
日の出神は蚊取別を引き止めて、実は三五教は民には飲むな、といっておいて自分が飲む教えなのだ、と説示する。蚊取別は、それは本当にようわかった神様ですな、と感心している。
日の出神の共の三宣伝使は、日の出神の言いように合点がゆかず、怪訝な顔をしている。
丑三つ時になると、日の出神は何事か祈願を始めた。すると、あたりを照らす鏡のような火の玉が降り、光の甕となって芳しき酒を湛えた。
日の出神は酒を飲もうとする蚊取別の体を霊縛したため、蚊取別は飲もうとしても飲めない状態になった。そのうちに蚊取別の口から焼け石が三個飛び出して甕の中に落ちた。とたんに甕は消えうせた。
これ以降蚊取別は酒がすっかり嫌いになってしまい、三五教を信じることとなった。蚊取別は後に面那芸司の供となって諸方を遍歴し、生き神になることになる。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-24 15:49:06 文字数:2465 OBC :rm0745
愛善世界社版:273頁 八幡書店版:第2輯 132頁 修補版: 校定版:283頁 普及版:116頁 初版: ページ備考:
001 一(いつ)たん蹲踞(しやが)みたる蚊取別(かとりわけ)は群衆(ぐんしう)の散(ち)り失(う)せたるに、002ほつと一息(ひといき)し、003お山(やま)の大将(たいしやう)俺(おれ)一人(ひとり)と云(い)はぬばかりに、004薬鑵頭(やかんあたま)を振立(ふりた)てて、005篝火(かがりび)の前(まへ)に臂(ひぢ)を張(は)り威張(ゐば)りゐたり。
006 そこへ悠然(いうぜん)として現(あら)はれたる四(よ)人(にん)の宣伝使(せんでんし)の一人(ひとり)日(ひ)の出神(でのかみ)は、007蚊取別(かとりわけ)の肩(かた)をソツと敲(たた)きながら、
008日の出神『もしもし蚊取別(かとりわけ)の宣伝使(せんでんし)、009思(おも)はぬ所(ところ)でお目(め)にかかりました。010今(いま)木蔭(こかげ)より承(うけたま)はればウラル彦(ひこ)の宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)つて歩(ある)かれるさうですな。011それは誠(まこと)に御(ご)苦労(くらう)なことです。012常世(とこよ)の国(くに)の会議(くわいぎ)でお目(め)にかかりました私(わたくし)は大道別(おほみちわけ)ですよ、013否(い)や偽(にせ)の常世彦(とこよひこの)命(みこと)ですよ』
014 聞(き)くより蚊取別(かとりわけ)は後(あと)ふり向(む)いて、015ギロリと日(ひ)の出神(でのかみ)の顔(かほ)を見詰(みつ)め、016尻(しり)を後(あと)へ突(つ)き出(だ)し、017早(はや)くも逃腰(にげごし)になりゐる。
018日出(ひのでの)神(かみ)『あなた沢山(たくさん)な瓢箪(ふくべ)を持(も)つて居(ゐ)ますね』
019高照彦(たかてるひこ)『瓢箪(ふくべ)だと思(おも)つたら、020何(な)ンだ、021光(ひか)つた顔(かほ)だな。022瓢箪(ふくべ)によう似(に)た宣伝使(せんでんし)だ』
023日出(ひのでの)神(かみ)『又(また)貴方(あなた)は他人(ひと)の事(こと)をおつしやる。024人(ひと)の顔(かほ)の批評(ひへう)は止(や)めて下(くだ)さい』
025高照彦(たかてるひこ)『ハハハイ』
026蚊取別(かとりわけ)『ハア、027私(わたくし)はあれから常世(とこよ)の国(くに)を放(ほ)り出(だ)され、028流(なが)れ流(なが)れてナイヤガラの滝(たき)の水上(みなかみ)の鬼城山(きじやうざん)に、029永(なが)の月日(つきひ)を送(おく)りましたが、030悪(わる)い事(こと)を致(いた)しまして、031たうとう鬼城山(きじやうざん)も追(お)ひ出(だ)され、032それからウラル彦(ひこ)さまの宣伝歌(せんでんか)を聞(き)いて、033飛(と)び立(た)つ許(ばか)り勇(いさ)み立(た)ち、034今(いま)はこの通(とほ)り瓢箪(ふくべ)を提(さ)げて世界(せかい)に宣伝(せんでん)をやつて居(を)ります。035貴方(あなた)は矢張(やつぱ)りウラル彦(ひこ)の宣伝使(せんでんし)ですか』
036日出(ひのでの)神(かみ)『吾々(われわれ)は三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)だ』
037 蚊取別(かとりわけ)は宣伝使(せんでんし)と聞(き)いて、038逃(に)げ出(だ)さうとする。
039日出(ひのでの)神(かみ)『ままお待(ま)ちなさい。040私(わたくし)も斯(か)うやつて歩(ある)いて居(ゐ)るものの、041表面(へうめん)は酒(さけ)を飲(の)むな飲(の)むなと教(をし)へてゐるが、042その実(じつ)世界(せかい)の奴(やつ)が酒(さけ)を飲(の)むと、043吾々(われわれ)の飲(の)む酒(さけ)が無(な)くなつて困(こま)るので、044世界(せかい)の奴(やつ)は「飲(の)むな、045飲(の)ンだら悪(わる)いぞ」と云(い)つて止(と)めて廻(まは)つて、046自分(じぶん)一人(ひとり)こつそりと飲(の)ンでゐるのだ。047好(す)きな酒(さけ)を止(や)めと云(い)つたつて、048どうしても止(や)むものでない。049世(よ)の中(なか)はな、050かならず裏(うら)と表(おもて)とがあるものだ。051お前(まへ)さまも酒(さけ)を飲(の)め飲(の)めと云(い)うて歩(ある)くのは結構(けつこう)だが、052余(あま)り世界(せかい)の者(もの)に酒(さけ)ばかり飲(の)ますと、053お前(まへ)さまの飲(の)む酒(さけ)が無(な)くなつて了(しま)うぢやないか。054ウラル彦(ひこ)さまは本当(ほんたう)に博愛(はくあい)だな。055お前(まへ)さまもその博愛(はくあい)に感心(かんしん)して宣伝(せんでん)して居(ゐ)るのだらう。056さうして彼方(あちら)や此方(こちら)で頭(あたま)を敲(たた)かれたり、057瓢箪(ふくべ)を破(やぶ)られたり、058天下(てんか)の宣伝使(せんでんし)も並大抵(なみたいてい)の事(こと)ぢやありますまい、059御(お)察(さつ)し申(まを)す。060貴方(あなた)もここは一(ひと)つ考(かんが)へ直(なほ)して、061三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)になつて、062自分(じぶん)独(ひと)り美味(うま)い酒(さけ)を飲(の)む気(き)はないか。063世(よ)の中(なか)は何事(なにごと)も表(おもて)があれば裏(うら)がある。064昼(ひる)があれば夜(よる)があるものだ。065一(いち)枚(まい)の紙(かみ)にも裏表(うらおもて)がある。066なンぼウラル彦(ひこ)さまだとて、067裏(うら)ばかりでは間(ま)に合(あ)ふまい。068これからはウラル教(けう)を表(おもて)にして、069三五教(あななひけう)を裏(うら)にして、070表裏(へうり)揃(そろ)うて吾々(われわれ)と一緒(いつしよ)に宣伝(せんでん)に出(で)て来(き)ませぬか』
071蚊取別(かとりわけ)『あー貴方(あなた)はよく判(わか)つてゐる。072これまで三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)に沢山(たくさん)逢(あ)うたが、073それはそれは堅(かた)い堅(かた)い、074石部(いしべ)金吉(きんきち)鉄兜(かねかぶと)、075飲(の)みたい酒(さけ)も、076神(かみ)が怒(おこ)るの何(ど)うのと云(い)つて辛抱(しんばう)して、077グウグウいふ喉(のど)を抑(おさ)へて、078唾(つばき)を呑(の)ンで、079目(め)を剥(む)いて気張(きば)つてゐる苦(くる)しさ。080こンな事(こと)なら死(し)んだがましだ、081酒(さけ)無(な)くて何(なん)の己(おのれ)が桜(さくら)かなだ。082貴方(あなた)のやうな教(をしへ)なら、083ただ今(いま)より喜(よろこ)びて御(お)伴(とも)をいたしませう。084実(じつ)のところ私(わたくし)もさうしたいのだけれど、085何分(なにぶん)に智慧(ちゑ)が廻(まは)らぬものだから、086真正直(まつしやうぢき)にやつて来(き)ました。087本当(ほんたう)によう判(わか)つた神(かみ)さまですな。088さうでなくては、089世(よ)の中(なか)が渡(わた)れませぬ哩(わい)』
090と顔色(かほいろ)を変(か)へ、091肩(かた)をゆすつて歓(よろこ)ぶ。
092 三(さん)人(にん)の宣伝使(せんでんし)は合点(がつてん)ゆかず、093日(ひ)の出神(でのかみ)の蓑(みの)を引張(ひつぱ)り、
094三人『もしもし貴方(あなた)のおつしやることは、095ちつと違(ちが)ひはしませぬか』
096日出(ひのでの)神(かみ)『違(ちが)ひはしませぬよ。097細工(さいく)は粒々(りうりう)仕上(しあげ)を見(み)て下(くだ)さい』
098 一同(いちどう)は怪訝(けげん)な顔(かほ)つき。
099 夜(よ)は深々(しんしん)と更(ふ)けわたる、100水(みづ)も眠(ねむ)れる丑満(うしみつ)の頃(ころ)となり、101日(ひ)の出神(でのかみ)は何事(なにごと)か祈願(きぐわん)を籠(こ)めた。102たちまちその場(ば)に何処(いづこ)ともなく、103四辺(あたり)を照(てら)す鏡(かがみ)の如(ごと)き火(ひ)の玉(たま)は降(くだ)り来(きた)りぬ。
104 一同(いちどう)は驚(おどろ)きその火(ひ)の玉(たま)を凝視(みつ)めゐたり。105これぞ日(ひ)の出神(でのかみ)の奇魂(くしみたま)が、106今(いま)天(てん)より降(くだ)り来(きた)れるなりき。107見(み)る見(み)る大(だい)なる光(ひか)りの甕(かめ)となりぬ。108なんとも言(い)へぬ芳(かん)ばしき酒(さけ)は、109溢(あふ)るる許(ばか)り盛(も)られゐたり。110蚊取別(かとりわけ)は鼻(はな)をぴこつかせ、
111蚊取別(かとりわけ)『やあ、112是(これ)は是(これ)は結構(けつこう)な御(お)神酒(みき)、113頂(いただ)きませうか』
114と早(はや)くも甕(かめ)に向(むか)つて飛(と)び付(つ)かうとする。
115日出(ひのでの)神(かみ)『マア、116お待(ま)ちなさい。117この酒(さけ)は手(て)をつけたり、118杓(しやく)で汲(く)んでは神罰(しんばつ)が当(あた)ります。119天(てん)から与(あた)へて下(くだ)さつた、120結構(けつこう)な御(お)神酒(みき)、121静(しづ)かに口(くち)をつけて飲(の)まなくては味(あぢ)がありませぬ』
122蚊取別(かとりわけ)『こンな大(おほ)きな甕(かめ)に手(て)も触(ふ)れず、123杓(しやく)もつけずに、124どうして飲(の)めますか』
125日出(ひのでの)神(かみ)『私(わし)が今(いま)飲(の)ましてあげやう』
126蚊取別(かとりわけ)『有難(ありがた)う、127どうぞ早(はや)く飲(の)まして下(くだ)さい』
128 日出(ひのでの)神(かみ)は又(また)もや甕(かめ)に向(むか)つて、129何事(なにごと)か神文(しんもん)を唱(とな)へける。130忽(たちま)ち甕(かめ)は横(よこ)に平(ひら)たくなり、131その代(かは)りに丈(たけ)は低(ひく)くなりぬ。132口(くち)をつけるには丁度(ちやうど)よき加減(かげん)となりけり。
133蚊取別(かとりわけ)『あゝ見(み)とる間(ま)に、134甕(かめ)が地(つち)の中(なか)へ這入(はい)りよつたな。135ちやうど私(わたし)の体(からだ)の丈(たけ)に比(くら)べて、136よい加減(かげん)の所(ところ)へ来(き)たワ』
137日出(ひのでの)神(かみ)『さあ飲(の)ましてあげませう』
138と云(い)ひながら、139蚊取別(かとりわけ)の身体(からだ)に霊縛(れいばく)を施(ほどこ)した。140蚊取別(かとりわけ)は首(くび)から下(した)は、141材木(ざいもく)のやうに堅(かた)くなりぬ。
142 蚊取別(かとりわけ)は酒(さけ)に心(こころ)を奪(と)られて、143身体(からだ)の強直(きやうちよく)した事(こと)も気(き)が付(つ)かず、144首(くび)ばかり振(ふ)り居(ゐ)たる。145日(ひ)の出神(でのかみ)は蚊取別(かとりわけ)の二本(にほん)の脚(あし)をグツと掴(つか)みて、146甕(かめ)の上(うへ)に突(つ)き出(だ)したるに、147蚊取別(かとりわけ)は舌(した)を出(だ)して、
148蚊取別(かとりわけ)『もしもし、149も少(すこ)し一寸(いつすん)許(ばか)り下(さ)げて下(くだ)さい、150届(とど)きませぬ』
151日出(ひのでの)神(かみ)『よしよし』
152と云(い)つて七八分(しちはちぶ)下(さ)げた。153蚊取別(かとりわけ)は一生(いつしやう)懸命(けんめい)に舌(した)を出(だ)し、
154蚊取別(かとりわけ)『もう一分(いちぶ)下(さ)げて下(くだ)さらぬか、155届(とど)きませぬ』
156日出(ひのでの)神(かみ)『よしよし』
157蚊取別(かとりわけ)『そら反対(はんたい)です、158高(たか)うなりました。159もちつと下(した)まで』
160 日(ひ)の出神(でのかみ)は蚊取別(かとりわけ)を上(あ)げたり、161下(おろ)したり、162どうしても酒(さけ)の処(ところ)へまで届(とど)かざりけり。163蚊取別(かとりわけ)は声(こゑ)を搾(しぼ)り出(だ)して、
164蚊取別『あゝ鈍(どん)なお方(かた)だな、165もちつと下(さ)げて下(くだ)さいな』
166 斯(か)くして半時(はんとき)ばかりも時間(じかん)を経(へ)にける。167蚊取別(かとりわけ)は、
168蚊取別『かゝゝ』
169と咳払(せきばら)ひをすると共(とも)に、170焼石(やけいし)が三箇(さんこ)飛(と)び出(だ)し、171ジユンジユンと音(おと)を立(た)てて甕(かめ)の中(なか)に落(お)ち込(こ)みし途端(とたん)に、172甕(かめ)は煙(けぶり)のごとく消(き)え失(う)せにけり。
173 そこら一面(いちめん)もとの暗夜(やみよ)となり、174空(そら)には閃(ひらめ)く星(ほし)の影(かげ)、175地(ち)には暗(やみ)を透(すか)して蚊取別(かとりわけ)の頭(あたま)薄(うす)く光(ひか)りゐるのみなりける。
176 これより蚊取別(かとりわけ)は、177すつかり酒(さけ)が嫌(きら)ひになつて了(しま)ひ、178しかして三五教(あななひけう)を信(しん)ずる事(こと)となり、179面那芸(つらなぎの)司(かみ)の供(とも)となりて諸方(しよはう)を遍歴(へんれき)し、180知(し)らぬまに生神(いきがみ)となりにける。
181(大正一一・二・二 旧一・六 井上留五郎録)
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