霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四六章 白日別(しらひわけ)〔三四六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻 篇:第8篇 一身四面 よみ(新仮名遣い):いっしんしめん
章:第46章 白日別 よみ(新仮名遣い):しらひわけ 通し章番号:346
口述日:1922(大正11)年02月02日(旧01月06日) 口述場所: 筆録者:高木鉄男 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
夜明けになって、日の出神一向は、筑紫の司・白日別の館の門を叩いた。一行には、ウラル教の酒のひょうたんを下げた、おかしな格好の蚊取別が従っている。
しかし呼べども白日別の館からは何の返事もない。日の出神は、蚊取別に、塀を飛び越して門を開けよ、と命じた。
不審がる蚊取別に対して、日の出神は蚊取別が下げているひょうたんから酒をすべて抜いてしまい、息を吹き込んだ。するとひょうたんは風船のように浮き上がり、蚊取別の体も宙に浮くほどになった。
蚊取別は邸内に入るとひょうたんを一度に破いたものだから、屋敷の中にドスンと落ちて、腰を抜かしてしまった。面那芸司は仕方なく、ひらりと塀を乗り越えて門を開けた。
一行は開いた門から奥へと進んで行く。腰を抜かした蚊取別は宣伝使たちに助けを呼んでいる。
祝姫が憐れをもよおして蚊取別を抱き起こそうとすると、蚊取別は祝姫を口説き始めた。祝姫はあきれて蚊取別のはげ頭をぴしゃりと叩いて先へ駆けて行く。
邸内はよく整えられていたが、人っ子ひとりなかった。奥殿には筑紫の国魂である純世姫の御魂が鎮祭されている。日の出神は書置きを見つけた。
その書置きによると、筑紫の大酋長・白日別は霊夢に国治立命の御子と神伊弉諾命の御子が降ることを知り、一族を引き連れて高砂島に渡ったという。そして高照彦に筑紫の守護職を譲る旨がしたためられていた。
日の出神はこの書置きに従い、高照彦を白日別と改め、筑紫の守護職に任じた。日の出神は常世の国へ、面那芸司は天教山へ、祝姫は黄金山に向かうこととし、三柱はここに袂を分かった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-06 19:44:12 文字数:2081 OBC :rm0746
愛善世界社版:280頁 八幡書店版:第2輯 134頁 修補版: 校定版:290頁 普及版:119頁 初版: ページ備考:
001 夜(よ)は仄々(ほのぼの)と明(あ)けかかる。002国家(こくか)興々(こうこう)と鳴(な)く鶏(にはとり)の、003声(こゑ)に日(ひ)の出(での)宣伝使(せんでんし)、004東天紅(とうてんくれなゐ)を兆(てう)して雲(くも)を披(ひら)きて昇(のぼ)りくる、005清新(せいしん)の晨(あした)の空気(いき)を吸(す)ひ乍(なが)ら、006露路(つゆぢ)を分(わ)けて、007日(ひ)は白々(しらじら)と白日別(しらひわけの)司(かみ)の館(やかた)に進(すす)み行(ゆ)く。
008 蚊取別(かとりわけ)は数多(あまた)の瓢箪(ふくべ)を腰(こし)にガラガラ云(い)はせながら、009跛(びつこ)を引(ひ)きつつ頭(あたま)を空中(くうちう)に上(あ)げたり下(さ)げたり、010息(いき)もセキセキ四(よ)人(にん)の後(あと)に跟(つ)いて来(く)る。011その姿(すがた)の可笑(をか)しさは、012飯蛸魚(いひだこ)が芋畑(いもばたけ)から立(た)つて逃(に)げる姿(すがた)その儘(まま)なりける。
013 日(ひ)の出神(でのかみ)の一行(いつかう)は、014白日別(しらひわけ)の館(やかた)に近付(ちかづ)き、015門(もん)を叩(たた)いて打(う)てども打(う)てども、016何(なん)の答(こた)へもなければ、017日(ひ)の出神(でのかみ)は蚊取別(かとりわけ)に向(むか)つて、
018日の出神『汝(なんぢ)はこの塀(へい)を越(こ)え、019中(なか)より門(もん)を開(ひら)け』
020と命(めい)じたまへば、021蚊取別(かとりわけ)は、
022蚊取別『これ程(ほど)高(たか)い塀(へい)を私(わたくし)のやうな跛(びつこ)が、023何(ど)うして越(こ)せませうか』
024日出(ひのでの)神(かみ)『越(こ)せるとも、025越(こ)せる工夫(くふう)がある。026斯(か)うするのだ』
027と云(い)ひ乍(なが)ら、028腰(こし)の瓢箪(ふくべ)の詰(つめ)を抜(ぬ)いて、
029日出(ひのでの)神(かみ)『お前(まへ)はもう酒(さけ)は嫌(きら)ひになつたのであるから、030もう酒(さけ)はいらない、031捨(す)てて遣(や)らう、032未練(みれん)は無(な)いか』
033蚊取別(かとりわけ)『ハイ、034未練(みれん)も焼酎(せうちう)も有(あ)りませぬ、035並酒(なみさけ)ばかりです。036もう放(ほ)かしても一寸(ちよつと)も惜(を)しいとは思(おも)ひませぬ。037しかし是(こ)れで一生(いつしやう)酒(さけ)と縁切(えんぎ)れぢやと思(おも)ふと、038名残(なごり)惜(をし)い様(やう)な気(き)がいたします。039放(ほ)かすは放(ほ)かしますが、040一寸(ちよつと)嘗(な)めてみても宜(よろ)しいか』
041日出(ひのでの)神(かみ)『卑(いや)しい奴(やつ)ぢや、042思(おも)ひ切(き)りの悪(わる)い男(をとこ)じやなあ』
043と云(い)ひながら、044瓢箪(ふくべ)の詰(つめ)を抜(ぬ)いて残(のこ)らず大地(だいち)に棄(す)てて仕舞(しま)つた。045そして沢山(たくさん)の瓢箪(へうたん)の口(くち)より、046一々(いちいち)日(ひ)の出神(でのかみ)は力(ちから)限(かぎ)りに息(いき)を吹込(ふきこ)み玉(たま)へば、047瓢箪(へうたん)は見(み)る見(み)る膨張(ぼうちやう)して、048風船玉(ふうせんだま)のやうに薄(うす)くなり、049蚊取別(かとりわけ)は自然(しぜん)にフウと舞(ま)ひ颺(あが)りたり。
050蚊取別(かとりわけ)『モシモシ颺(あが)ります颺(あが)ります、051どうしたら宜(よろ)しいか』
052日出(ひのでの)神(かみ)『その瓢箪(へうたん)を一(ひと)つ一(ひと)つ放(ほ)かすのだ。053薄(うす)くなつて居(ゐ)るから爪(つめ)で破(やぶ)れ』
054 蚊取別(かとりわけ)は爪(つめ)の先(さき)でパチパチと破(やぶ)つた。055一度(いちど)に瓢箪(へうたん)は破(やぶ)れて、056図顛倒(づてんだう)と屋敷(やしき)の中(なか)に落(お)ちた。057門内(もんない)にはドスン、058「アイタタ」の声(こゑ)聞(きこ)えゐたり。
059日出(ひのでの)神(かみ)『おい、060早(はや)く門(もん)を開(あ)けぬか』
061蚊取別(かとりわけ)『あかぬあかぬ薩張(さつぱり)あかぬ。062抜(ぬ)けた抜(ぬ)けた』
063面那芸(つらなぎ)『何(なに)が抜(ぬ)けたのだい』
064蚊取別(かとりわけ)『腰(こし)だ、065腰(こし)だ』
066面那芸(つらなぎ)『間(ま)に合(あ)はぬ奴(やつ)だナア。067腰(こし)を抜(ぬ)かしよつて』
068と云(い)ひながら翻然(ひらり)と体(たい)をかわし、069もんどり打(う)つて門内(もんない)に飛込(とびこ)ンだ、070忽(たちま)ち門(もん)は左右(さいう)にサツと開(ひら)かれた。
071面那芸(つらなぎ)『皆(みな)さま御(お)待(ま)たせ致(いた)しました、072さあお這入(はい)り下(くだ)さい』
073 四(よ)人(にん)の宣伝使(せんでんし)はドシドシ奥(おく)へ進(すす)み行(ゆ)く。
074蚊取別(かとりわけ)『あゝもしもし、075私(わたくし)を如何(どう)して下(くだ)さいます。076私(わたくし)を、077私(わたくし)を』
078と叫(さけ)びをる。079祝姫(はふりひめ)は気(き)の毒(どく)がり、080後(あと)に引返(ひきかへ)して蚊取別(かとりわけ)の手(て)を取(と)り抱(だ)き起(おこ)さうとしたるに、081蚊取別(かとりわけ)は何(ど)うしても腰(こし)を上(あ)げぬ。
082祝姫(はふりひめ)『何故(なぜ)起(お)きないのですか』
083蚊取別(かとりわけ)『はい、084私(わたくし)は嬶(かか)よりも子(こ)よりも、085好(す)きな酒(さけ)がすつかり嫌(きら)ひになりました。086かうなると思(おも)ひ出(だ)すのは、087国(くに)に残(のこ)した女房(にようばう)の事(こと)。088あゝあゝ、089もうこの頃(ごろ)は死(し)んだか生(い)きたか、090何分(なにぶん)太平洋(たいへいやう)を越(こ)えて永(なが)い歳月(としつき)、091何(な)ンぼ女房(にようばう)が有(あ)つたとてまさかの間(ま)には合(あ)ひませぬ、092察(さつ)する処(ところ)貴方(あなた)は独身(ひとりみ)らしい、093何(ど)うぞ私(わたくし)に輿入(こしい)れして下(くだ)さい。094そしたら腰(こし)が立(た)ちますよ』
095祝姫(はふりひめ)『オホホヽヽヽまだ貴方(あなた)は酒(さけ)に酔(よ)うて居(ゐ)るのですか。096何(なに)ほど男旱(をとこひでり)の世(よ)の中(なか)でも、097云(い)うと済(す)まぬが、098貴方(あなた)の様(やう)な黒(くろ)いお方(かた)の女房(にようばう)に誰(たれ)がなりますか。099軈(やが)て烏(からす)が婿(むこ)に取(と)りませう。100私(わたくし)はたとへ烏(からす)に身(み)を任(まか)しても、101貴方(あなた)のやうな瓢箪面(へうたんづら)には真平(まつぴら)御免(ごめん)ですよ。102阿呆(あほ)らしい、103サアサア早(はや)く御(お)立(た)ちなさい。104日(ひ)の出神(でのかみ)さまに睨(にら)まれたら怺(たま)りませぬよ』
105蚊取別(かとりわけ)『アーア、106成(な)るは厭(いや)なり、107思(おも)ふは成(な)らず、108私(わたし)の好(す)く人(ひと)また他人(ひと)も好(す)く。109アーア気(き)の揉(も)める事(こと)だワイ』
110祝姫(はふりひめ)『知(し)りませぬ』
111とツンとして、112足(あし)を早(はや)めてさつさと奥(おく)に行(ゆ)かうとする。113蚊取別(かとりわけ)は蓑(みの)を握(にぎ)つて、
114蚊取別『もしもし、115さう素気(すげ)無(な)くしたものでは有(あ)りませぬ。116旅(たび)は道伴(みちづ)れ世(よ)は情(なさけ)』
117祝姫(はふりひめ)『エヽ、118情(なさ)け無(な)い』
119と禿頭(はげあたま)をぴしやつと叩(たた)いて一目散(いちもくさん)に走(はし)り行(ゆ)く。120蚊取別(かとりわけ)は腰(こし)を抜(ぬ)かした儘(まま)、
121蚊取別『オーイ、122オーイ』
123と叫(さけ)びゐる。
124 日(ひ)の出神(でのかみ)の一行(いつかう)は、125館(やかた)の内(うち)を隈(くま)なく探(さが)し見(み)たが、126猫(ねこ)一匹(いつぴき)もゐない。127不思議(ふしぎ)ぢやと其処辺(そこら)中(ぢう)を開(あ)けて見(み)たるに、128国魂(くにたま)の神(かみ)純世姫(すみよひめ)の御魂(みたま)は奥殿(おくでん)に鄭重(ていちよう)に鎮祭(ちんさい)されてあり。129さうして一切(いつさい)の器具(きぐ)は、130秩序(ちつじよ)よく整頓(せいとん)してある。131一同(いちどう)は神殿(しんでん)に向(むか)つて天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)したるが、132神殿(しんでん)には何一(なにひと)つ供物(くもつ)は無(な)かりける。133一(いち)枚(まい)の紙片(しへん)に何事(なにごと)か記(しる)しあり。134日(ひ)の出神(でのかみ)は恭(うやうや)しく神殿(しんでん)に進(すす)み、135これを手(て)に戴(いただ)き拝読(はいどく)したるに、136神(かみ)に奏上(そうじやう)する祝詞(のりと)と思(おも)ひの外(ほか)、137次(つぎ)の様(やう)なことが記(しる)されありける。
138一、139私(わたくし)は白日別(しらひわけ)と申(まを)す、140筑紫(つくし)の国(くに)の大酋長(だいしうちやう)であります。141一昨夜(いつさくや)の夢(ゆめ)に、142国治立(くにはるたち)の命(みこと)の珍(うづ)の御子(みこ)と、143神(かむ)伊邪那岐(いざなぎの)命(みこと)の珍(うづ)の御子(みこ)が、144この筑紫(つくし)の島(しま)にお降(くだ)りになるから、145汝(なんぢ)ら一族(いちぞく)は、146この国(くに)と館(やかた)を明(あ)け渡(わた)し、147一(いち)時(じ)も早(はや)く高砂(たかさご)の島(しま)に立(た)ち去(さ)りて、148その島(しま)の守護職(しゆごしよく)となれ。149跡(あと)は高照彦(たかてるひこの)神(かみ)鎮(しづ)まり給(たま)へば、150筑紫(つくし)の国(くに)も、151葦原(あしはら)の瑞穂(みづほ)の国(くに)も穏(おだや)かに治(をさ)まるべしとの、152夢(ゆめ)の御(お)告(つ)げでありましたから、153私(わたくし)は夜(よ)の間(うち)に一族(いちぞく)を引連(ひきつ)れてこの島(しま)を立退(たちの)きました。154跡(あと)は宜(よろ)しくお願(ねが)ひ致(いた)します。
155   日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)
156   高照彦(たかてるひこ)様(さま)
157   外(ほか)御(ご)一同(いちどう)様(さま)
158と記(しる)しありぬ。159日(ひ)の出神(でのかみ)はこの遺書(ゐしよ)に依(よ)り、160高照彦(たかてるひこ)を筑紫(つくし)の国(くに)の守護職(しゆごしよく)となし、161名(な)も白日別(しらひわけ)と改(あらた)めしめ、162天運(てんうん)の到(いた)るを待(ま)つ事(こと)としたまひぬ。
163 此(これ)より日(ひ)の出神(でのかみ)は常世(とこよ)の国(くに)へ、164面那芸(つらなぎの)司(かみ)は天教山(てんけうざん)へ、165祝姫(はふりひめ)は黄金山(わうごんざん)に向(むか)つて進(すす)む事(こと)となり、166三柱(みはしら)は此処(ここ)に惜(を)しき袂(たもと)を別(わか)ちたりける。
167(大正一一・二・二 旧一・六 高木鉄男録)
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