霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三七章 老利留(らうりる)(いう)〔三三七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻 篇:第7篇 日出神 よみ(新仮名遣い):ひのでのかみ
章:第37章 老利留油 よみ(新仮名遣い):ろうりるゆ 通し章番号:337
口述日:1922(大正11)年02月02日(旧01月06日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
日の出神は面那芸、祝姫、豊日別(虎転別)を引き連れて、霧島の山の上から景色を打ち眺めていた。面那芸宣使は、豊日別が治めるべき豊の国を指し示した。そこは一面の大砂漠であった。
面那芸は、大砂漠に草木を植えて五穀を実らせるのが、豊日別の役目である、と伝えた。
どうやて砂漠に草木を繁茂させようか、という豊日別に対して、日の出神は豊日別の頭に毛が生えたら砂漠にも草木が生えるだろう、ただし非常な辛い目にあわなければならない、と言った。
豊日別は、天下のためなら痛い目も構いません、と言うと、日の出神は傍らの樹木の中から、青々とした木の枝を握って帰って来た。そして、木の枝を絞って油を取ると、豊日別の頭を荒砂でこすり始めた。
豊日別は痛さを必死でこらえている。日の出神はそこへ、今絞った油を豊日別の頭に塗りつけた。豊日別は涙をこぼして気張り、頭を抑えて目をふさぎ、息をつめてこらえている。
しばらくしてようやく痛みが止まった。日の出神は、人間は一度は大峠を越さなければならぬ、それはずいぶんと苦しいものだ、と諭した。
豊日別が頭をなでると、はげ頭には毛が生えていた。豊日別は飛び上がって喜ぶ。これは老利留という木の油であった。
豊日別ははげ頭に毛が生えた喜びに、勢いよくどんどんと峠を下り行く。四人の宣伝歌は谷々に響き渡った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:ローレル 月桂樹 データ凡例: データ最終更新日:2020-05-06 19:21:11 OBC :rm0737
愛善世界社版:223頁 八幡書店版:第2輯 114頁 修補版: 校定版:230頁 普及版:94頁 初版: ページ備考:
001(かみ)(ひかり)(かがや)かす
002この四柱(よはしら)宣伝使(せんでんし)
003()出神(でのかみ)(はじ)めとし
004(こころ)(ゆたか)(をさ)まれる
005豊日(とよひ)(わけ)宣伝使(せんでんし)
006(しこ)曲津(まがつ)祝姫(はふりひめ)
007面那芸(つらなぎ)(ひこ)諸共(もろとも)
008(くに)八十国(やそくに)八島別(やしまわけ)
009(かみ)(みこと)立別(たちわか)
010(やうや)くここを建日向(たけひむか)
011(わけ)(わか)れて(すす)()
012豊葦原(とよあしはら)(とよ)(くに)
013長閑(のどか)春日(はるひ)()(なが)
014(あし)(まか)せて山坂(やまさか)
015(いは)()()()()みさくみ
016(ふか)谷間(たにま)打渡(うちわた)
017(ゆた)けき(とよ)神国(かみくに)
018()()ひませる白日別(しらひわけ)
019筑紫(つくし)(くに)(わた)らむと
020(いさ)()くこそ雄々(をを)しけれ。
021 (きり)立昇(たちのぼ)霧島(きりしま)(やま)()()に、022四柱(よはしら)(こし)うち(おろ)(くさ)(うへ)どつか(しり)()ゑて、023(なが)るる(あせ)(ぬぐ)(なが)ら、024四方(よも)景色(けしき)(なが)めて、025()邪気(じやき)(はなし)(ふけ)りける。
026豊日別(とよひわけ)『あゝ(じつ)高山(かうざん)から()景色(けしき)雄大(ゆうだい)ですな。027四方(しはう)(やま)(つつ)まれ、028一方(いつぱう)には荒浪(あらなみ)時々(ときどき)(おそ)はれる()(くに)鳥無郷(とりなきさと)蝙蝠(かうもり)気取(きど)つて、029権利(けんり)だ、030義務(ぎむ)だ、031(とく)(そん)だと(せせ)つこましきことを()つて(あらそ)つたり、032(わけ)(わか)らぬ人間(にんげん)相手(あひて)昼夜(ちうや)(こころ)(くさ)らし、033心配(しんぱい)をしながら虎転別(とらてんわけ)悪魔(あくま)だとか、034(おに)だとか()はれて()るよりも、035()うして貴下(あなた)(がた)一緒(いつしよ)(もと)(こころ)(うま)(かは)つて、036自由(じいう)自在(じざい)山野(さんや)跋渉(ばつせふ)するのは、037(じつ)(なん)とも()へぬ天恵(てんけい)ですワ。038()れに(つい)(わたくし)は、039(とよ)(くに)豊日別(とよひわけ)となつて守護(しゆご)(いた)さねばなりませぬが、040(とよ)(くに)一体(いつたい)()方面(はうめん)(あた)るのでせうか』
041 面那芸(つらなぎの)宣使(かみ)四方(しはう)見廻(みまは)しながら、042眼下(がんか)展開(てんかい)せる大沙漠(だいさばく)(ゆび)さし、
043面那芸(とよ)(くに)はこの西南(せいなん)(あた)赤白(あかじろ)()える(ところ)ですよ』
044豊日別(とよひわけ)『よを、045(なん)だ、046(くさ)()一本(いつぽん)()えて()ないぢやありませぬか。047()れは沙漠(さばく)ではありますまいか』
048面那芸(つらなぎ)大沙漠(だいさばく)ですよ。049そこに草木(くさき)植付(うゑつ)五穀(ごこく)(みの)らせ、050(ゆたか)(とよ)(くに)とするのが貴下(あなた)役目(やくめ)ですよ』
051豊日別(とよひわけ)天恵(てんけい)どころか、052非常(ひじやう)天刑(てんけい)です。053()うしたら草木(くさき)繁茂(はんも)し、054人間(にんげん)繁殖(はんしよく)して立派(りつぱ)国土(こくど)になりませうかな』
055日出(ひのでの)(かみ)豊日別(とよひわけ)さまの(あたま)禿(はげ)()()えたら()沙漠(さばく)にも草木(くさき)()えるだらう。056()れを(はや)さうと(おも)へば大変(たいへん)(つら)()をしなくちやならぬ』
057豊日別『この禿(はげ)(あたま)()()えますか』
058日出(ひのでの)(かみ)(いた)()をすれば()える。059()やして()げようか』
060豊日別(とよひわけ)少々(せうせう)(いた)()をしたつて天下(てんか)(ため)になることなら(かま)ひませぬ』
061 ()出神(でのかみ)つと立上(たちあが)(かたはら)樹木(じゆもく)(なか)姿(すがた)(かく)したるが、062(しば)らくありて青々(あをあを)とした()(えだ)(にぎ)(かへ)()たり、063(かたはら)(いは)(うへ)にその()(えだ)()み、064手頃(てごろ)(いし)(もつ)おさん(きぬた)()つやうに()(はじ)めたるに、065追々(おひおひ)()たれて(えだ)()容量低(かさびく)になり、066水気(みづけ)(したた)()しける。067()出神(でのかみ)(くろ)被面布(ひめんぷ)にくるくると(つつ)み、068一生(いつしやう)懸命(けんめい)(ちから)()めて(しぼ)り、069()(しる)は、070(いは)(うへ)(すこ)しく(くぼ)みし(ところ)(あぶら)となつて(みた)されける。
071日出(ひのでの)(かみ)『さあ、072(これ)から()()やして()げやう。073(ちつと)(いた)いが、074辛抱(しんばう)できますか』
075()ひながら、076豊日別(とよひわけ)(あたま)(かたはら)(あら)(すな)(つか)みて、077ゴシゴシと(こす)りけるに、078豊日別(とよひわけ)は、
079豊日別『イヽヽヽヽ』
080日出(ひのでの)(かみ)宣伝使(せんでんし)たる(もの)(いた)いなぞと弱音(よわね)()いてはならぬ、081そこが(をとこ)だ、082気張(きば)りなさい』
083豊日別『イヽヽヽヽ()気分(きぶん)ですワ』
084 ()出神(でのかみ)益々(ますます)ガシガシと(こす)る。085薄皮(うすかは)()ける、086()(にじ)む。
087豊日別『イヽヽヽヽ(いた)つて()気分(きぶん)ですワイ』
088日出(ひのでの)(かみ)『よし、089これからもう(ひと)()気分(きぶん)にして()げやう』
090(いま)(しぼ)つた(いは)(うへ)(あぶら)(すく)うて、091ビシヤビシヤと()りつける。092豊日別(とよひわけ)(かほ)(しか)め、093(また)もや、
094豊日別『イヽヽヽヽイヽヽヽヽ』
095泣声(なきごゑ)になつて()てゐる。
096日出(ひのでの)(かみ)『また貴方(あなた)弱音(よわね)()くな』
097豊日別(とよひわけ)『イヽヽヽヽイヽヽヽ()加減(かげん)です。098()ることなら、099もう()加減(かげん)()めて、100ホヽヽヽ()しいことない』
101(なみだ)をボロボロと(こぼ)して気張(きば)りゐる。
102日出(ひのでの)(かみ)『さあ、103これでよし』
104(ふたた)芝生(しばふ)(うへ)(こし)(おろ)したりける。105豊日別(とよひわけ)(あたま)(おさ)へ、106()(ふさ)ぎ、107(いき)()めて蹲踞(しやが)みゐる。108暫時(しばらく)すると(いた)みが()まり、109豊日別(とよひわけ)はやつと安心(あんしん)して(かほ)(ひも)()く。
110日出(ひのでの)(かみ)如何(どう)でした。111()気分(きぶん)でせう。112人間(にんげん)一度(いちど)大峠(おほたうげ)()さねばならぬ。113大峠(おほたうげ)()すのは随分(ずゐぶん)(くる)しいものだ』
114豊日別(とよひわけ)『いや、115この大峠(おほたうげ)まで(のぼ)つて()たが、116さう(くる)しいとは(おも)はなかつたのに、117しかし大峠(おほたうげ)どころの(さわ)ぎぢやありませぬよ。118随分(ずゐぶん)(いた)い、119ドツコイ(いた)つて結構(けつこう)()()ひました』
120日出(ひのでの)(かみ)(あたま)()()げて御覧(ごらん)なさい』
121 豊日別(とよひわけ)は、122(あたま)()で、
123豊日別『やあ、124()えた()えた。125すつかり()えた。126()(がた)う』
127(にはか)()(あが)(よろこ)ぶ。128これは老利留(らうりる)といふ()(あぶら)なりける。
129日の出神『さあさあ()かう』
130()出神(でのかみ)先頭(せんとう)()つ。131豊日別(とよひわけ)禿頭(はげあたま)()()えたのを(おほ)いに(よろこ)び、
132豊日別『さあ、133これで(わか)くなりました』
134(かた)(いか)らせながら、135ドンドンと(たうげ)(くだ)()く。136()(にん)(うた)宣伝歌(せんでんか)谷々(たにだに)(ひび)(わた)りぬ。
137大正一一・二・二 旧一・六 外山豊二録)
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