霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二一章 飲(の)めぬ酒(さけ)〔三二一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻 篇:第4篇 鬼門より竜宮へ よみ(新仮名遣い):きもんよりりゅうぐうへ
章:第21章 飲めぬ酒 よみ(新仮名遣い):のめぬさけ 通し章番号:321
口述日:1922(大正11)年01月31日(旧01月04日) 口述場所: 筆録者:井上留五郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
また海面は波荒く、船の出港は見合わされ、ほとんど一ケ月逗留することになった。
この島は、潮満、潮干の玉が秘め隠され、豊玉姫神、玉依姫神がこれを守護していた。大洪水以前に、ウラル彦の軍勢のために玉は取られ、二柱の女神は遠く東に逃れて、天の真奈井の冠島、沓島に隠れたという、因縁の深い島である。
その後は、ウラル彦の部下の荒熊別という者が占領して酒の泉を湛えた。神伊邪那岐神がこの島の守護神として真澄姫命を遣わした。そのため、荒熊別は常世の国へと逃げ帰ってしまった。
日の出神は真澄姫命の神霊を祭るために、久々司、久木司に命じて、竜宮島の竜の宮を造営させた。そして、田依彦を飯依彦と改名し、この島の守護神とした。
造営の人夫たちは、目付け役の久々司が行ってしまった後で、酒が飲みたいとこぼしている。そこへ、久木司がやってきて、自然に湧いている酒だから、遠慮なく飲むがよい、と飲酒を許可した。
人夫たちは先を争って酒の泉にやって来たが、大きな岩で蓋をされ、ところどころに人の口くらいの孔があいているのみであった。
人夫たちはその孔に舌を入れて、何とか酒を飲もうとしていたが、そのうちにめいめい喉がごろごろ鳴り出して、腹の中から焼け石が飛び出した。それ以降、この郷の人間は酒の匂いを嗅ぐのもいやになり、神の教えをよく守り、飯依彦の指揮にしたがって楽しく生活を送ることになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-06 18:01:40 文字数:2125 OBC :rm0721
愛善世界社版:129頁 八幡書店版:第2輯 81頁 修補版: 校定版:135頁 普及版:56頁 初版: ページ備考:
001 またもや海面(かいめん)は波(なみ)荒(あら)く猛(たけ)り狂(くる)ひ、002出帆(しゆつぱん)を見合(みあ)はすの止(や)むなきに致(いた)り、003風(かぜ)を待(ま)つこと殆(ほとん)ど一(いつ)ケ月(げつ)に及(およ)びける。
004 この島(しま)は潮満(しほみつ)、005潮干(しほひる)の玉(たま)を秘(ひ)めかくされ、006豊玉姫(とよたまひめの)神(かみ)、007玉依姫(たまよりひめの)神(かみ)これを守護(しゆご)し給(たま)ひつつありしが、008世界(せかい)大洪水(だいこうずゐ)以前(いぜん)に、009ウラル彦(ひこ)の率(ひき)ゆる軍勢(ぐんぜい)の為(ため)に玉(たま)は占領(せんりやう)され、010二柱(ふたはしら)の女神(めがみ)は遠(とほ)く東(ひがし)に逃(のが)れて、011天(あめ)の真名井(まなゐ)の冠島(をしま)、012沓島(めしま)に隠(かく)れたまひし因縁(いんねん)深(ふか)き嶋(しま)なりける。
013 その後(ご)はウラル彦(ひこ)の部下(ぶか)荒熊別(あらくまわけ)といふ者(もの)、014この島(しま)を占領(せんりやう)し、015数多(あまた)の部下(ぶか)を集(あつ)め、016酒(さけ)の泉(いづみ)を湛(たた)へて、017体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)のあらむかぎりを尽(つく)しゐたり。018然(しか)るに天教山(てんけうざん)に鎮(しづ)まり給(たま)ふ神(かむ)伊邪那岐(いざなぎの)神(かみ)はこの島(しま)の守護神(しゆごじん)として真澄姫(ますみひめの)命(みこと)を遣(つか)はし給(たま)ひぬ。019それより荒熊別(あらくまわけ)は神威(しんゐ)に怖(おそ)れ、020夜陰(やいん)に乗(じやう)じて常世(とこよ)の国(くに)に逃(に)げ帰(かへ)つたりける。021その時(とき)の名残(なごり)として、022今(いま)に酒(さけ)の泉(いづみ)は滾々(こんこん)と湧(わ)き出(で)て居(ゐ)たるなりき。
023 日(ひ)の出神(でのかみ)は真澄姫(ますみひめの)命(みこと)の神霊(しんれい)を祭(まつ)る可(べ)く、024久々(くくの)神(かみ)、025久木(くきの)神(かみ)に命(めい)じ、026大峡(おほがひ)小峡(をがひ)の木(き)を伐(き)り、027美(うつく)しき宮(みや)を営(いとな)ましめたまふ。028是(これ)を竜宮島(りうぐうじま)の竜(たつ)の宮(みや)といふ。029而(しか)して田依彦(たよりひこ)をこの嶋(しま)の守護神(しゆごじん)となし、030名(な)を飯依彦(いひよりひこ)と改(あらた)めしめたまへり。
031 久々(くくの)神(かみ)、032久木(くきの)神(かみ)はこの嶋(しま)の人々(ひとびと)をかり集(あつ)め、033宮殿(きうでん)造営(ざうえい)の棟梁(とうりやう)として忠実(ちうじつ)に立働(たちはたら)きぬ。034嶋(しま)の谷々(たにだに)には木(き)を伐(き)る音(おと)、035削(けづ)る音(おと)、036人(ひと)の叫(さけ)び声(ごゑ)盛(さか)ンに聞(きこ)えける。
037 日(ひ)の出神(でのかみ)は海辺(かいへん)の見(み)はらし佳(よ)き高殿(たかどの)に昇(のぼ)りて、038海上(かいじやう)の静(しづ)まるを待(ま)ちゐたまひぬ。
039 山(やま)の奥(おく)には彼方(あちら)にも此方(こちら)にも、040斧鉞(ふゑつ)の音(おと)丁々(ちやうちやう)と聞(きこ)え盛(さかん)に伐木(ばつぼく)しゐたり。
041甲『おい、042皆(みな)一服(いつぷく)しやうじやないか。043いま久々(くくの)神(かみ)があちらへ行(ゆ)きよつたで、044叔母(をば)の死(し)ンだも食(じ)き休(やす)みと云(い)ふ事(こと)があるよ。045鬼(おに)の様(やう)な大将(たいしやう)が彼方(あつち)へ行(い)つた留守(るす)の間(ま)に、046鬼(おに)の来(こ)ぬ間(ま)の洗濯(せんたく)だ。047おいおい、048休(やす)め休(やす)め』
049乙『おーい皆(みな)の奴(やつ)、050一緒(いつしよ)に休(やす)まうかい』
051丙『それでも休(やす)むと音(おと)が止(とま)るから、052また呶鳴(どな)られるよ』
053甲『休(やす)ンで、054そこらの木(き)を叩(たた)いて居(を)ればよいワイ』
055乙『一体(いつたい)、056宮(みや)を建(た)てるとか云(い)つて、057まるで吐血(とけつ)の起(おこ)つた様(やう)に、058夜(よ)さにも俺(おい)らを寝(ね)ささずに、059ひどく酷使(こきつか)ひよるじやないか。060結構(けつこう)な酒(さけ)はあーして湧(わ)いて居(を)るのに、061飲(の)まれぬなどと吐(ぬ)かしよるし、062堪(たま)つたものじやない。063合間(あひま)には酒(さけ)位(ぐらゐ)、064ただ湧(わ)いて居(を)るのじやもの、065飲(の)まして呉(く)れたつてよかりさうなものじやないか。066一体(いつたい)こりや何(なん)の宮(みや)だらう』
067甲『酒(さけ)を飲(の)まさぬから、068お前(まへ)達(たち)ア腹(はら)が立(た)つ、069その腹(はら)を立(た)てさせぬため、070神(かみ)さまを祭(まつ)らすのだ。071それで何(なん)でも、072腹(はら)がたつよ姫(ひめ)とか、073真澄姫(ますみひめ)とか桝呑姫(ますのみひめ)とかいふ神(かみ)さまじやさうだよ』
074乙『けたいな神(かみ)さまだね。075立(た)つものは腹(はら)ばかりぢやない。076疳癪(かんしやく)も立(た)つし、077鳥(とり)も立(た)つし、078立疳姫(たつかんひめ)の神(かみ)やら、079立鳥姫(たつとりひめ)の神(かみ)も祭(まつ)つたらどうだらう』
080丙『馬鹿(ばか)いふない。081それまた彼処(あすこ)へ痛(いた)い奴(やつ)さまが来(き)たぞ。082それそれ釘(くぎ)の神(かみ)さまだ』
083甲『釘(くぎ)ぢやない。084久木(くきの)神(かみ)さまといふのだい。085なまくらをして居(ゐ)ると、086首(くび)きりの神(かみ)さまにならつしやるぞ』
087 かかる処(ところ)へ久木(くきの)神(かみ)は廻(まは)り来(き)たり、
088久木神『オー、089皆(みな)の者(もの)御(ご)苦労(くらう)だな。090酒(さけ)が飲(の)みたさうな顔(かほ)をして居(ゐ)るが、091酒(さけ)はあまり飲(の)まぬがよいぞ。092俺(おれ)も今(いま)まで酒(さけ)が好(す)きだつたが、093たうとう嫌(きら)ひになつて了(しま)つた。094好(す)きなものを無理(むり)に止(や)めよと云(い)つても、095止(や)むものぢやない。096お前(まへ)たちは充分(じうぶん)に酒(さけ)を飲(の)ンで満足(たんのう)したら、097しまひには舌(した)がもつれ口(くち)が痺(しび)れ副守(ふくしゆ)が飛出(とびだ)して酒(さけ)が飲(の)めなくなるかも知(し)れぬぞよ。098飲(の)みたい飲(の)みたいと思(おも)つて辛抱(しんばう)して居(ゐ)ると、099根性(こんじやう)が曲(まが)つてよく無(な)い。100酒(さけ)は百薬(ひやくやく)の長(ちやう)だ、101御(お)神酒(みき)あがらぬ神(かみ)は無(な)いから、102お前(まへ)たちも神(かみ)さまになりたくば、103ちつとも遠慮(ゑんりよ)は要(い)らぬ。104自然(しぜん)に湧(わ)く酒(さけ)だから遠慮(ゑんりよ)なしに飲(の)ンで来(こ)い』
105と云(い)ひ捨(す)てて、106この場(ば)を立(た)ち去(さ)る。107後(あと)見送(みおく)つて、
108甲『おいおい、109久々(くくの)神(かみ)は酒(さけ)を飲(の)むなと、110喧(やかま)しう吐(ぬ)かすが、111いま来(き)た久木(くきの)神(かみ)さまは流石(さすが)に苦労人(くらうじん)じやなあ。112根性(こんじやう)が歪(ゆが)ンではいかぬから、113飲(の)みたい丈(だ)け飲(の)ンで来(こ)いと云(い)ひよつたぞ。114お許(ゆる)しが出(で)たのだ。115天下(てんか)御免(ごめん)だ。116飲(の)ンで来(こ)うかい』
117一同『よからう、118よからう』
119と、120大勢(おほぜい)は先(さき)を争(あらそ)うて、121酒(さけ)の湧(わ)き出(いづ)る滝壺(たきつぼ)指(さ)して走(はし)り行(ゆ)く。
122 来(き)て見(み)れば酒(さけ)の泉(いづみ)の滝壺(たきつぼ)は、123千引(ちびき)の岩(いは)にてすつかり包(つつ)まれ、124処々(ところどころ)に人(ひと)の口(くち)位(ぐらゐ)な孔(あな)が上面(じやうめん)に開(あ)いてをる。
125甲『やいやい皆(みな)の奴(やつ)、126久木(くきの)神(かみ)も腹(はら)が悪(わる)いじやないか。127こンな巨大(おほ)きな岩(いは)で、128何時(いつ)の間(ま)にやら、129ぴつたりと蓋(ふた)をして置(お)きよつて、130飲(の)みたけりや飲(の)ンで来(こ)いなンて、131俺(おい)らを馬鹿(ばか)にするじやないか』
132一同『さうだな、133しかし其処(そこ)に孔(あな)が開(あ)いて居(を)るじやないか。134その孔(あな)から口(くち)を突込(つつこ)ンだらどうだい』
135甲『おー、136それもさうだ。137皆(みな)の奴(やつ)ここから飲(の)まう飲(の)まう』
138 一同(いちどう)は岩蓋(いはぶた)の上(うへ)に取(と)り縋(すが)つて、139その孔(あな)より舌(した)を突(つ)き出(だ)して見(み)てゐたるが、
140甲『おい甘(うま)さうな酒(さけ)は沢山(たくさん)あるが、141舌(した)が届(とど)かぬワイ。142もう一分(いちぶ)といふ所(ところ)だ』
143乙『貴様(きさま)舌(した)が短(みじか)いのだ、144どれどれ俺(おれ)が飲(の)ンで見(み)てやらう』
145甲『貴様(きさま)は何時(いつ)も舌(した)の長(なが)い奴(やつ)だ。146舌長(したなが)に物(もの)を吐(ぬ)かすから、147こンな時(とき)にや重宝(ちようほう)だ。148やつて見(み)よ』
149乙『エヘン』
150と咳払(せきばら)ひしながら、151岩(いは)の孔(あな)から舌(した)を突込(つきこ)ンで見(み)たが、152是(これ)も届(とど)かない。153交(かは)る交(がは)るやつて見(み)たが、154どうしても酒(さけ)の所(ところ)までは、155間隔(かんかく)があつて嘗(な)めることが出来(でき)ない。156しかしその孔(あな)からは何(なん)とも云(い)へぬ馨(かんば)しい酒(さけ)の匂(にほ)ひがして居(を)るので、157各自(めいめい)に口(くち)を当(あ)てて匂(にほ)ひを嗅(か)いだ。158喉(のど)は各自(めいめい)にごろごろ唸(うな)り出(だ)して、159腹(はら)の中(なか)の焼石(やけいし)は残(のこ)らず酒壺(さけつぼ)に向(むか)つてジユンジユンと音(おと)を立(た)てて、160落(お)ち込(こ)みにける。
161 それよりこの郷(さと)の人間(にんげん)は、162酒(さけ)の匂(にほ)ひを嗅(か)ぐさへも嫌(いや)になり、163神(かみ)の教(をしへ)をよく守(まも)り、164飯依彦(いひよりひこの)神(かみ)の指揮(さしづ)に従(したが)ひて、165名(な)にし負(お)ふ竜宮島(りうぐうじま)の楽(たの)しき生活(せいくわつ)を送(おく)りたりける。
166(大正一一・一・三一 旧一・四 井上留五郎録)
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