霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 亀(かめ)の背(せ)〔三一七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻 篇:第3篇 太平洋 よみ(新仮名遣い):たいへいよう
章:第17章 亀の背 よみ(新仮名遣い):かめのせ 通し章番号:317
口述日:1922(大正11)年01月31日(旧01月04日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
船から向こうに見える島影は、ニュージーランドの一つ島であった。大海原彦が鎮まり、真澄の玉が納まる、国治立大神が穿いたもうた沓嶋である。
波に漂っていた男女は、先に身を投げた女と、長髪の荒男であった。日の出神が差し招くと、二人を乗せた巨大な亀は船に近づいてきた。
男女は船に助け上げられ、これまでの来歴を語った。長髪の荒男は国彦といい、女は奇姫と言った。国彦は、船中に息子の高彦を認めて声をかけた。
国彦、高彦、奇姫は再会を果たし、船中にて高彦と奇姫は夫婦の契りを結んだ。そして三人手を取り合って宣伝歌を歌い、神に感謝を捧げた。
船中の客がこの有様をさまざま話し合っているうちに、船は沓嶋の港に無事に着いた。
高彦は天久比奢母智司の前身である。奇姫は、国久比奢母智司の前身である。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ:ニウジーランド(ニュージーランド) データ凡例: データ最終更新日:2020-05-10 01:19:06 文字数:2045 OBC :rm0717
愛善世界社版:101頁 八幡書店版:第2輯 71頁 修補版: 校定版:106頁 普及版:43頁 初版: ページ備考:
001 夜(よ)は漸(やうや)くに明(あ)け離(はな)れ、002東海(とうかい)の浪(なみ)を割(わ)つて昇(のぼ)る朝暾(てうとん)の光(ひかり)は、003さしもに広(ひろ)き海原(うなばら)を忽(たちま)ち金色(こんじき)の浪(なみ)に彩(いろど)り、004向(むか)ふに見(み)ゆる島影(しまかげ)は、005ニウジーランドの一(ひと)つ島(じま)、006大海原彦(おほうなばらひこ)の鎮(しづ)まりゐます、007真澄(ますみ)の玉(たま)の納(をさ)まりし、008国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)の穿(うが)たせ玉(たま)ひし沓嶋(くつのしま)。009浪(なみ)の間(ま)に間(ま)に浮(う)きつ沈(しづ)みつする様(さま)は、010荘厳(さうごん)身(み)に迫(せま)るの思(おも)ひあり。
011 怪(あや)しき船(ふね)に跨(また)がりて、012浪(なみ)に漂(ただよ)ふ男女(だんぢよ)の影(かげ)は、013船(ふね)を目掛(めが)けて近(ちか)より来(きた)る。014よくよく見(み)れば豈(あに)図(はか)らむや、015猛(たけ)り狂(くる)ふ浪間(なみま)に身(み)を投(な)げ捨(す)てたる白雪郷(はくせつきやう)の若(わか)き女(をんな)と、016白髪(しらが)交(まじ)りの長髪(ちやうはつ)の男(をとこ)の二人(ふたり)なりき。017日(ひ)の出神(でのかみ)は麾(さしまね)き「来(きた)れ、018来(きた)れ」と呼(よ)ばはれば、019男女(だんぢよ)を乗(の)せたる怪(あや)しき影(かげ)は、020やうやう船(ふね)に近寄(ちかよ)りきたるを見(み)れば巨大(きよだい)なる亀(かめ)なりき。021二人(ふたり)は直(ただ)ちに船(ふね)に飛(と)び乗(の)りぬ。022巨大(きよだい)の亀(かめ)は日(ひ)の出神(でのかみ)に打(う)ち向(むか)ひ、023熟々(つらつら)顔(かほ)を見交(みか)はしつつ又(また)も姿(すがた)を海(うみ)深(ふか)く没(ぼつ)したりける。024嗚呼(ああ)この亀(かめ)は何神(なにがみ)の化身(けしん)ならむか。
025 二人(ふたり)は此処(ここ)に再生(さいせい)の思(おも)ひをなして再(ふたた)び船中(せんちう)の客(きやく)となり、026日(ひ)の出神(でのかみ)に打(う)ち向(むか)ひ、027涙(なみだ)を湛(たた)へながら各自(かくじ)の経歴(けいれき)を物語(ものがた)り、028且(か)つ、
029二人『海中(かいちう)に身(み)を投(とう)ずる折(をり)しも、030何処(どこ)よりともなく一道(いちだう)の光明(くわうみやう)が現(あら)はれて来(き)ました。031妾(わたし)はその光(ひかり)を眼当(めあて)に浪(なみ)に漂(ただよ)ひ、032浮(う)きつ沈(しづ)みつ参(まゐ)りました。033私(わたくし)の後(あと)より一人(ひとり)の男(をとこ)又(また)も追(お)つかけ来(きた)り、034そうかうするうち、035光(ひかり)は消(き)えて真(しん)の暗(やみ)、036身(み)は何物(なにもの)かの上(うへ)に二人(ふたり)とも乗(の)せられて居(ゐ)ました。037さうして日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)の宣伝歌(せんでんか)は、038猛(たけ)り狂(くる)ふ風(かぜ)の音(おと)、039浪(なみ)の響(ひび)きを透(とほ)して手(て)に取(と)る如(ごと)く聞(きこ)えました。040私(わたくし)はその歌(うた)について共(とも)に合唱(がつしやう)いたしました。041不思議(ふしぎ)や天津(あまつ)御空(みそら)は晴(は)れ渡(わた)り、042風(かぜ)凪(な)ぎ浪(なみ)静(しづ)まり、043長閑(のどか)な春(はる)の浪(なみ)の上(うへ)に比類稀(たぐひまれ)なる大亀(おほがめ)の背(せ)に救(すく)はれ御船(みふね)に助(たす)けられたる嬉(うれ)しさを、044いつの世(よ)にかは忘(わす)れませう。045実(じつ)に有難(ありがた)き大神(おほかみ)の深(ふか)き恵(めぐ)みや』
046と、047嬉(うれ)し涙(なみだ)に暮(く)れて二人(ふたり)は交(かは)る交(がは)る感謝(かんしや)する。
048 一人(ひとり)の名(な)は国彦(くにひこ)と云(い)ひ、049この女(をんな)は奇姫(くしひめ)と云(い)ふ。050国彦(くにひこ)は傍(かたは)らに黙然(もくねん)として俯(うつむ)き居(を)る男(をとこ)の顔(かほ)を横目(よこめ)に見(み)て、
051国彦『ヤアお前(まへ)は高彦(たかひこ)か』
052と叫(さけ)べば、053若(わか)き男(をとこ)は、
054高彦『アヽ、055父上(ちちうへ)様(さま)か、056若気(わかげ)の致(いた)り、057尊(たふと)き親(おや)の恩(おん)を忘(わす)れ、058えらい苦労(くらう)をかけました。059お赦(ゆる)し下(くだ)さいませ。060ただ何事(なにごと)も今(いま)までの罪(つみ)は見直(みなほ)し聞(き)き直(なほ)し、061宣(の)り直(なほ)しを願(ねが)ひます』
062と涙(なみだ)と共(とも)に語(かた)る。063国彦(くにひこ)は両眼(りやうがん)に涙(なみだ)を浮(うか)べ、
064国彦『アヽ高彦(たかひこ)、065天(てん)にも地(ち)にも親(おや)一人(ひとり)子(こ)一人(ひとり)、066如何(どう)してお前(まへ)を憎(にく)もうぞ。067老先(おいさき)短(みじか)い我(わ)が命(いのち)一人(ひとり)の我子(わがこ)に生(い)き別(わか)れ、068この世(よ)に生(い)きて詮(せん)もなし、069たとへ汝(おまへ)の行方(ゆくへ)が一生(いつしやう)知(し)れぬとも、070汝(おまへ)の渡(わた)りし常世(とこよ)の国(くに)のせめて土(つち)になりたいと思(おも)ひ定(さだ)めて、071此処(ここ)まで来(き)た親(おや)の心(こころ)、072どうしてお前(まへ)が憎(にく)からう、073心配(しんぱい)するな。074お前(まへ)が里(さと)の規則(きそく)を破(やぶ)り白雪郷(はくせつきやう)を追放(つゐはう)せられたその後(のち)は、075後(あと)に残(のこ)りし老(おい)の身(み)の明暮(あけくれ)涙(なみだ)の袖(そで)を絞(しぼ)るばかりであつたが、076如何(いか)なる神(かみ)の御(お)引(ひ)き合(あは)せか渡(わた)る世間(せけん)に鬼(おに)は無(な)い。077それにも一(ひと)つ嬉(うれ)しいは、078お前(まへ)の慕(した)うた彼女(かのぢよ)はいま此処(ここ)に来(き)てをる。079俺(おれ)がこれから仲媒(なかだち)して、080天晴(あつぱれ)親子(おやこ)夫婦(ふうふ)の契(ちぎり)を結(むす)ばせやう。081オイ高彦(たかひこ)、082可憐(かれん)の女(をんな)に、083よう来(き)たと柔(やさ)しい言葉(ことば)をかけてやれ。084広(ひろ)い世(よ)の中(なか)に親(おや)となり、085子(こ)となり、086女房(にようばう)となるも昔(むかし)の神代(かみよ)から神(かみ)の結(むす)びし深(ふか)い因縁(いんねん)、087同(おな)じ船(ふね)の一蓮(いちれん)托生(たくしやう)』
088と嬉(うれ)し涙(なみだ)にかき曇(くも)る。089此処(ここ)に親子(おやこ)夫婦(ふうふ)の契(ちぎり)を結(むす)び、090三(さん)人(にん)手(て)に手(て)を取(と)つて宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ひ神(かみ)に感謝(かんしや)を捧(ささ)ぐる殊勝(しゆしよう)さよ。091船(ふね)の一方(いつぱう)には、
092甲(かふ)(熊公)『オイ、093馬鹿(ばか)にするじやないか。094お安(やす)くないところを見(み)せつけよつて、095俺(おれ)もかうはして居(を)るものの、096国(くに)に帰(かへ)れば、097皺(しわ)だらけの父母(ふぼ)もあれば、098頗(すこぶ)る別嬪(べつぴん)の女房(にようばう)もあるのだ。099それで近所(きんじよ)の奴(やつ)等(ら)あ、100俺(おれ)の事(こと)を歌(うた)に唄(うた)ひよつて「よい嬶(かか)持(も)つたが一生(いつしやう)の徳(とく)だよ、101近所(きんじよ)も喜(よろこ)ぶ、102爺(おやぢ)も喜(よろこ)ぶ、103お婆(ばば)も喜(よろこ)ぶ、104第一(だいいち)熊(くま)さま喜(よろこ)ぶ、105熊(くま)さまどころか、106伜(せがれ)も喜(よろこ)ぶ」とこんな歌(うた)を唄(うた)ひよるのだよ』
107乙(おつ)『オイ、108涎(よだれ)を拭(ふ)かぬか、109見(み)つともない』
110熊(くま)『あまり嫉妬(やく)ない、111あまりやくと色(いろ)が黒(くろ)くなるぞ』
112乙(おつ)『貴様(きさま)とこの嬶(かかあ)は、113あれでも別嬪(べつぴん)だと思(おも)うて居(を)るのか、114笑(わら)はしやがる。115鼻(はな)は獅子舞(ししまひ)、116眼玉(めだま)は猫(ねこ)で、117菊石(あばた)だらけで、118おまけに跛者(びつこ)と来(き)て居(を)るのだから、119悪(わる)い事(こと)にかけたら完全(くわんぜん)無欠(むけつ)だ。120ウンその尻(けつ)で思(おも)ひ出(だ)した、121貴様(きさま)の嬶(かかあ)は村中(むらぢう)にない大(おほ)きなだん尻(じり)をぶりぶりさしよつて、122歩(ある)く態(ざま)つたらありやしないよ。123それでも貴様(きさま)はみつちやも笑靨(ゑくぼ)、124獅子鼻(ししばな)も却(かへ)つて優(しほ)らしい、125歩(ある)く姿(すがた)は品(しな)がよい位(くらゐ)に思(おも)つて居(を)るだらう。126ほんとにお目出度(めでた)い奴(やつ)だよ』
127熊(くま)『オイ、128小(ちひ)さい声(こゑ)で云(い)はぬかい、129人(ひと)の前(まへ)だぞ。130此処(ここ)に居(を)る奴(やつ)は俺(おれ)の嬶(かかあ)のことを知(し)りやしない、131それだから別嬪(べつぴん)らしう俺(おれ)が云(い)つて居(を)るのに貴様(きさま)が大(おほ)きな声(こゑ)で素破抜(すつぱぬ)きよつて、132あまり気(き)が利(き)かぬぢやないか。133些(ち)と心得(こころえ)て呉(く)れぬと困(こま)るよ』
134乙(おつ)『困(こま)るたつて、135事実(じじつ)は事実(じじつ)ぢやないか。136貴様(きさま)とこの嬶(かかあ)はどて南瓜(かぼちや)の七(しち)お多福(たふく)で、137おまけに菊石面(あばたづら)で、138ど跛者(ちんば)で大(おほ)きなだん尻(じり)をぶりぶりさして歩(ある)いて居(ゐ)る姿(すがた)たら見(み)られた態(ざま)ぢやないぞ。139それで俺(おれ)のところの村(むら)の名物(めいぶつ)だ』
140と態(わざ)と大(おほ)きな声(こゑ)で呶鳴(どな)るを、141熊公(くまこう)は『シツ』と低(ひく)い声(こゑ)で制(せい)してゐる。
142乙(おつ)『貴様(きさま)「シツ」なンて俺(おれ)を牛(うし)でも追(お)ふやうな扱(あつか)ひをしよるのか、143俺(おれ)が牛(うし)なら貴様(きさま)は熊(くま)だ。144黒熊(くろくま)、145嬶(かかあ)大明神(だいみようじん)ばかり拝(をが)むで居(を)る赤熊(あかぐま)穴熊(あなぐま)さまだよ』
146と自暴自棄(やけ)気味(ぎみ)になつて喋(しやべ)りたてて居(ゐ)る。147かく話(はな)す中(うち)に船(ふね)は沓嶋(くつじま)の港(みなと)に無事(ぶじ)に着(つ)きけり。
148 高彦(たかひこ)は天久(あまの)比奢母智(くひざもちの)司(かみ)の前身(ぜんしん)にして、149奇姫(くしひめ)は国(くにの)久比奢母智(くひざもちの)司(かみ)の前身(ぜんしん)なりける。
150(大正一一・一・三一 旧一・四 加藤明子録)
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