霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第7巻(午の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 大台ケ原
第1章 日出山上
第2章 三神司邂逅
第3章 白竜
第4章 石土毘古
第5章 日出ケ嶽
第6章 空威張
第7章 山火事
第2篇 白雪郷
第8章 羽衣の松
第9章 弱腰男
第10章 附合信神
第11章 助け船
第12章 熟々尽
第3篇 太平洋
第13章 美代の浜
第14章 怒濤澎湃
第15章 船幽霊
第16章 釣魚の悲
第17章 亀の背
第4篇 鬼門より竜宮へ
第18章 海原の宮
第19章 無心の船
第20章 副守飛出
第21章 飲めぬ酒
第22章 竜宮の宝
第23章 色良い男
第5篇 亜弗利加
第24章 筑紫上陸
第25章 建日別
第26章 アオウエイ
第27章 蓄音器
第28章 不思議の窟
第6篇 肥の国へ
第29章 山上の眺
第30章 天狗の親玉
第31章 虎転別
第32章 水晶玉
第7篇 日出神
第33章 回顧
第34章 時の氏神
第35章 木像に説教
第36章 豊日別
第37章 老利留油
第38章 雲天焼
第39章 駱駝隊
第8篇 一身四面
第40章 三人奇遇
第41章 枯木の花
第42章 分水嶺
第43章 神の国
第44章 福辺面
第45章 酒魂
第46章 白日別
第47章 鯉の一跳
第9篇 小波丸
第48章 悲喜交々
第49章 乗り直せ
第50章 三五〇
附録 第三回高熊山参拝紀行歌
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第7巻(午の巻)
> 第3篇 太平洋 > 第14章 怒濤澎湃
<<< 美代の浜
(B)
(N)
船幽霊 >>>
第一四章
怒濤
(
どたう
)
澎湃
(
はうはい
)
〔三一四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
篇:
第3篇 太平洋
よみ(新仮名遣い):
たいへいよう
章:
第14章 怒濤澎湃
よみ(新仮名遣い):
どとうほうはい
通し章番号:
314
口述日:
1922(大正11)年01月31日(旧01月04日)
口述場所:
筆録者:
高木鉄男
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年5月31日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
船客たちが四方山話にふける一方、船中に歌を歌う女(奇姫)があった。それは、遠く常世の国へ旅立った男を思う歌であった。
その歌を聴いて、白雪郷から来た長髪の荒男(国彦)は、その女が自分の息子の恋人であることを知った。男の息子(高彦)は、この恋愛が白雪郷の規則を破ったかどで、村を追放されていたのであった。
男は女に、息子の居場所を教えてくれ、と頼み込んだ。そのとき、突然嵐がやってきた。すると女は荒れ狂う海に身を投げてしまった。
男は女を助けようと自ら海に飛び込んだ。
そんな中、暗中に静かに宣伝歌が響き聞こえてきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-04 17:58:21
OBC :
rm0714
愛善世界社版:
82頁
八幡書店版:
第2輯 65頁
修補版:
校定版:
86頁
普及版:
35頁
初版:
ページ備考:
001
船戸
(
ふなど
)
の
神
(
かみ
)
はガラガラと
錨
(
いかり
)
を
釣上
(
つりあ
)
げたり。
002
折
(
をり
)
から
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
東風
(
とうふう
)
に
真帆
(
まほ
)
をかかげ
風
(
かぜ
)
を
孕
(
はら
)
まして、
003
果
(
はて
)
しもなき
大海原
(
おほうなばら
)
を
船底
(
ふなぞこ
)
に
鼓
(
つづみ
)
を
打
(
う
)
たせながら、
004
波上
(
はじやう
)
静
(
しづ
)
かに
辷
(
すべ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
005
日
(
ひ
)
は
西
(
にし
)
の
海
(
うみ
)
の
端
(
は
)
に
舂
(
うすづ
)
きて
水面
(
すゐめん
)
を
金色
(
こんじき
)
に
彩
(
いろど
)
りぬ。
006
東
(
ひがし
)
の
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
より
昇
(
のぼ
)
る
玉兎
(
ぎよくと
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
てら
)
されて
日
(
ひ
)
は
海
(
うみ
)
に
隠
(
かく
)
るとも、
007
その
名
(
な
)
は
光
(
ひか
)
る
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
。
008
この
世
(
よ
)
の
幸
(
さち
)
を
祝
(
いは
)
ふ
祝姫
(
はふりひめ
)
、
009
連
(
つら
)
なる
浪
(
なみ
)
の
面那芸
(
つらなぎ
)
彦
(
ひこ
)
、
010
空
(
そら
)
は
一面
(
いちめん
)
の
星光
(
せいくわう
)
粗
(
まば
)
らに
輝
(
かがや
)
き、
011
月光
(
げつくわう
)
波間
(
はかん
)
に
浮
(
う
)
き
沈
(
しづ
)
み、
012
常世
(
とこよ
)
の
春
(
はる
)
の
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
、
013
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
に
踵
(
つ
)
いで
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
014
この
船
(
ふね
)
には
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
始
(
はじ
)
め
国々
(
くにぐに
)
の
沢山
(
たくさん
)
の
人々
(
ひとびと
)
が
四方山
(
よもやま
)
の
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
り、
015
波路
(
なみぢ
)
の
憂
(
う
)
さを
払
(
はら
)
ひ
慰
(
なぐさ
)
めてゐたり。
016
船中
(
せんちう
)
の
一方
(
いつぱう
)
より
白髪
(
しらが
)
交
(
まじ
)
りの
長髪
(
ちやうはつ
)
の
大男
(
おほをとこ
)
、
017
赤黒
(
あかぐろ
)
き
面
(
つら
)
をヌツト
出
(
だ
)
し、
018
男
『おい
船頭
(
せんどう
)
、
019
ここは
一体
(
いつたい
)
なんといふ
処
(
ところ
)
だ』
020
船頭
『
此処
(
ここ
)
かい、
021
ここは
海
(
うみ
)
といふ
処
(
ところ
)
だよ』
022
男
『
海
(
うみ
)
は
極
(
きま
)
つて
居
(
を
)
るワイ。
023
何
(
な
)
ンといふ
海
(
うみ
)
ぢや』
024
船頭
『
此処
(
ここ
)
かい、
025
ここは
乳
(
ちち
)
の
海
(
うみ
)
ぢや』
026
男
『フン
分
(
わか
)
つた。
027
生
(
うみ
)
の
父上
(
ちちうへ
)
母
(
はは
)
さまは
何処
(
どこ
)
に
如何
(
どう
)
して
御座
(
ござ
)
るやら、
028
生命
(
いのち
)
の
際
(
きは
)
に
唯
(
ただ
)
一目
(
ひとめ
)
、
029
会
(
あ
)
うて
死
(
し
)
にたい
顔
(
かほ
)
見
(
み
)
たい、
030
といふ
海
(
うみ
)
かい』
031
甲『
何処
(
どこ
)
の
奴
(
やつ
)
か
知
(
し
)
らぬが
縁起
(
えんぎ
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬ
)
かすない。
032
一寸
(
いつすん
)
下
(
した
)
は
水地獄
(
みづぢごく
)
だぞよ』
033
男『
貴様
(
きさま
)
こそ
縁起
(
えんぎ
)
の
悪
(
わる
)
いことを
云
(
い
)
ふ、
034
水地獄
(
みづぢごく
)
なンて
俺
(
おれ
)
は
大
(
だい
)
の
嫌
(
きら
)
ひだ。
035
瑞
(
みづ
)
の
霊
(
みたま
)
が
探険
(
たんけん
)
して
来
(
き
)
たやうな
恐
(
おそ
)
ろしい
処
(
ところ
)
が、
036
この
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
の
方
(
はう
)
に
在
(
あ
)
るかと
思
(
おも
)
へば、
037
船乗
(
ふなのり
)
も
嫌
(
いや
)
になつてしまふワ』
038
このとき
船
(
ふね
)
の
一方
(
いつぱう
)
より
涼
(
すず
)
しい
女
(
をんな
)
の
歌
(
うた
)
ふ
声
(
こゑ
)
聞
(
きこ
)
えきたる。
039
女『
山
(
やま
)
より
高
(
たか
)
き
父
(
ちち
)
の
恩
(
おん
)
040
海
(
うみ
)
より
深
(
ふか
)
き
母
(
はは
)
の
恩
(
おん
)
041
山
(
やま
)
と
海
(
うみ
)
との
恩
(
おん
)
忘
(
わす
)
れ
042
この
海原
(
うなばら
)
を
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
043
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
す
044
恋
(
こひ
)
しき
男
(
をとこ
)
に
会
(
あ
)
はむとて
045
此処
(
ここ
)
まで
来
(
き
)
たは
来
(
き
)
たものの
046
長
(
なが
)
き
浪路
(
なみぢ
)
に
倦
(
あ
)
き
果
(
は
)
てて
047
もと
来
(
き
)
し
国
(
くに
)
へ
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く
048
その
術
(
すべ
)
さへも
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
049
父母
(
ちちはは
)
棄
(
す
)
てて
恋慕
(
こひした
)
ふ
050
男
(
をとこ
)
に
付
(
つ
)
くか
恋慕
(
こひした
)
ふ
051
夫
(
をつと
)
を
捨
(
す
)
てて
海山
(
うみやま
)
の
052
深
(
ふか
)
き
恵
(
めぐ
)
みの
父母
(
ちちはは
)
の
053
御側
(
みそば
)
に
帰
(
かへ
)
り
村肝
(
むらきも
)
の
054
心
(
こころ
)
をつくし
仕
(
つか
)
ふるか
055
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
との
国境
(
くにざかひ
)
056
進
(
すす
)
むも
知
(
し
)
らに
退
(
しりぞ
)
くも
057
成
(
な
)
らぬ
苦
(
くる
)
しき
海
(
うみ
)
の
上
(
うへ
)
058
月
(
つき
)
は
御空
(
みそら
)
に
輝
(
かがや
)
けど
059
妾
(
わらは
)
は
思案
(
しあん
)
に
暮
(
くれ
)
の
鐘
(
かね
)
060
故郷
(
こきやう
)
を
思
(
おも
)
ふ
恋
(
こひ
)
しさの
061
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
も
掻
(
か
)
き
曇
(
くも
)
る
062
吁
(
ああ
)
如何
(
いか
)
にせむ
千尋
(
せんじん
)
の
063
深
(
ふか
)
き
海路
(
うなぢ
)
に
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げて
064
親
(
おや
)
に
背
(
そむ
)
きしこの
罪
(
つみ
)
を
065
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
との
神々
(
かみがみ
)
に
066
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
謝罪
(
しやざい
)
せむ』
067
と
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
むるや、
068
長髪
(
ちやうはつ
)
の
男
(
をとこ
)
はその
女
(
をんな
)
の
手
(
て
)
をグツト
握
(
にぎ
)
り、
069
男
『オイ
待
(
ま
)
て。
070
今
(
いま
)
の
歌
(
うた
)
で
様子
(
やうす
)
は
判
(
わか
)
つた。
071
俺
(
おれ
)
の
忰
(
せがれ
)
は
貴様
(
きさま
)
の
為
(
ため
)
に
結構
(
けつこう
)
な
白雪郷
(
はくせつきやう
)
に
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ず、
072
たうとう
里人
(
さとびと
)
より
刎
(
は
)
ね
出
(
だ
)
されて
仕舞
(
しま
)
つて、
073
この
前
(
まへ
)
の
月
(
つき
)
に
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
逐電
(
ちくでん
)
し、
074
夫
(
そ
)
れがために
俺
(
おれ
)
のところは
大変
(
たいへん
)
な
迷惑
(
めいわく
)
だ。
075
大切
(
たいせつ
)
な
忰
(
せがれ
)
は
白雪郷
(
はくせつきやう
)
の
規則
(
きそく
)
を
破
(
やぶ
)
つて、
076
村
(
むら
)
は
逐
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
され、
077
俺
(
おれ
)
も
浮世
(
うきよ
)
の
義理
(
ぎり
)
で
勘当
(
かんどう
)
はしたものの、
078
如何
(
どう
)
しても
忘
(
わす
)
れられぬは
親子
(
おやこ
)
の
情愛
(
じやうあい
)
だ。
079
年寄
(
としよ
)
つた
俺
(
おれ
)
が
遥々
(
はるばる
)
この
浪路
(
なみぢ
)
を
渡
(
わた
)
つて
忰
(
せがれ
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ふも
子
(
こ
)
故
(
ゆゑ
)
に
迷
(
まよ
)
ふ
親心
(
おやごころ
)
、
080
俺
(
おれ
)
の
女房
(
にようばう
)
は
夫
(
そ
)
れを
苦
(
く
)
にして
死
(
し
)
ンで
了
(
しま
)
ひよつたぞよ。
081
お
前
(
まへ
)
も
夫
(
そ
)
れほど
俺
(
おれ
)
の
忰
(
せがれ
)
を
慕
(
した
)
つて、
082
この
海原
(
うなばら
)
を
渡
(
わた
)
つて
行
(
ゆ
)
かうと
云
(
い
)
ふ
親切
(
しんせつ
)
は、
083
俺
(
おれ
)
が
忰
(
せがれ
)
を
思
(
おも
)
ふも
同
(
おな
)
じことだ。
084
思
(
おも
)
へば
実
(
じつ
)
に
有難
(
ありがた
)
い。
085
清
(
きよ
)
いお
前
(
まへ
)
の
志
(
こころざし
)
、
086
俺
(
おれ
)
の
可愛
(
かあい
)
い
忰
(
せがれ
)
を
愛
(
あい
)
して
呉
(
く
)
れるお
前
(
まへ
)
と
思
(
おも
)
へば、
087
如何
(
どう
)
したものか
今
(
いま
)
までの
腹立
(
はらだち
)
もスツカリと
水
(
みづ
)
の
泡沫
(
あわ
)
のやうに
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
つて、
088
今
(
いま
)
は
一層
(
いつそう
)
憐
(
あはれ
)
なやうな
心持
(
こころもち
)
がして
来
(
き
)
た。
089
何
(
な
)
ンでも
堅
(
かた
)
い
約束
(
やくそく
)
をして
居
(
を
)
るのであらう。
090
お
前
(
まへ
)
に
聞
(
き
)
けば
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
の
何処
(
どこ
)
に
居
(
を
)
るといふことは
判
(
わか
)
つて
居
(
を
)
らう
筈
(
はず
)
、
091
どうぞ
包
(
つつ
)
まず
親
(
おや
)
ぢやと
思
(
おも
)
うて、
092
俺
(
おれ
)
に
逐一
(
ちくいち
)
知
(
し
)
らして
呉
(
く
)
れ。
093
俺
(
おれ
)
が
何
(
なに
)
ほど
山野
(
さんや
)
を
駈廻
(
かけまは
)
つて
探
(
さが
)
したとて、
094
この
海
(
うみ
)
よりも
広
(
ひろ
)
いダダツ
広
(
ぴろ
)
い
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
を、
095
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
や
二十
(
にじふ
)
年
(
ねん
)
探
(
さが
)
したとて、
096
探
(
さが
)
し
当
(
あた
)
らるるものではない。
097
忰
(
せがれ
)
の
在処
(
ありか
)
を
聞
(
き
)
かして
呉
(
く
)
れたら、
098
俺
(
おれ
)
もお
前
(
まへ
)
と
親子
(
おやこ
)
に
成
(
な
)
り、
099
親子
(
おやこ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
睦
(
むつ
)
まじう、
100
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
の
何処
(
いづこ
)
の
端
(
はて
)
でも
厭
(
いと
)
はず、
101
暮
(
くら
)
す
考
(
かんがへ
)
だ』
102
とさしも
頑丈
(
ぐわんぢやう
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
も、
103
子
(
こ
)
ゆゑの
暗
(
やみ
)
に
鎖
(
とざ
)
されて
四辺
(
あたり
)
かまはず
蚕豆
(
そらまめ
)
のやうな
涙
(
なみだ
)
をボロボロと
溢
(
こぼ
)
すその
憐
(
あはれ
)
さ。
104
今
(
いま
)
までさしも
晴朗
(
せいらう
)
なりし
大空
(
おほぞら
)
も
忽
(
たちま
)
ち
黒雲
(
こくうん
)
蔽
(
おほ
)
ひ、
105
一望
(
いちばう
)
模糊
(
もこ
)
として
電光
(
でんくわう
)
閃々
(
せんせん
)
、
106
雷鳴
(
らいめい
)
轟
(
とどろ
)
き、
107
凄然
(
せいぜん
)
として
風
(
かぜ
)
荒
(
あ
)
れ
狂
(
くる
)
ひ、
108
雨
(
あめ
)
は
沛然
(
はいぜん
)
として
降
(
ふ
)
り
来
(
きた
)
り、
109
怒濤
(
どとう
)
澎湃
(
はうはい
)
実
(
じつ
)
に
惨澹
(
さんたん
)
たる
光景
(
くわうけい
)
となりぬ。
110
今
(
いま
)
まで
四方山
(
よもやま
)
の
話
(
はなし
)
に
喧噪
(
けんそう
)
を
極
(
きは
)
めたる
一同
(
いちどう
)
の
乗客
(
せんきやく
)
は、
111
顔色
(
がんしよく
)
蒼白
(
さうはく
)
となり
得
(
え
)
もいはれぬ
不安
(
ふあん
)
の
念
(
ねん
)
に
満
(
み
)
たされけるが、
112
アツと
一声
(
ひとこゑ
)
叫
(
さけ
)
ぶよと
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に、
113
麗
(
うるは
)
しき
女
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
は
荒
(
あ
)
れ
狂
(
くる
)
ふ
浪
(
なみ
)
に
向
(
むか
)
つてザンブと
許
(
ばか
)
り
身
(
み
)
を
投
(
とう
)
じたり。
114
長髪
(
ちやうはつ
)
の
男
(
をとこ
)
は
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに、
115
男
『ヤアわが
娘
(
むすめ
)
、
116
いな
他処
(
よそ
)
の
女
(
をんな
)
、
117
何故
(
なぜ
)
に
投身
(
とうしん
)
したぞ。
118
助
(
たす
)
ける
術
(
すべ
)
は
無
(
な
)
いか、
119
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
救
(
すく
)
へ
救
(
すく
)
へ』
120
という
声
(
こゑ
)
も、
121
猛
(
たけ
)
り
狂
(
くる
)
ふ
浪
(
なみ
)
の
音
(
おと
)
に
遮
(
さへぎ
)
られて、
122
一同
(
いちどう
)
の
耳
(
みみ
)
には
通
(
かよ
)
はざりける。
123
男
(
をとこ
)
は
天
(
てん
)
に
向
(
むか
)
つて
合掌
(
がつしやう
)
し
暫
(
しば
)
し
何事
(
なにごと
)
か
祈
(
いの
)
ると
見
(
み
)
えしが、
124
またもや
身
(
み
)
を
跳
(
をど
)
らして
海中
(
かいちう
)
にザンブとばかり
飛込
(
とびこ
)
み、
125
水煙
(
みづけぶり
)
を
立
(
た
)
てて
姿
(
すがた
)
は
跡白浪
(
あとしらなみ
)
と
成
(
な
)
りにける。
126
心
(
こころ
)
なき
海
(
うみ
)
の
面
(
おも
)
は
怒濤
(
どたう
)
の
山岳
(
さんがく
)
凄
(
すさま
)
じく、
127
船
(
ふね
)
を
木葉
(
このは
)
のごとく
翻弄
(
ほんろう
)
するのみ。
128
黒白
(
あやめ
)
も
分
(
わ
)
かぬ
深黒
(
しんこく
)
の
海面
(
かいめん
)
に、
129
一道
(
いちだう
)
の
光明
(
くわうみやう
)
船
(
ふね
)
を
目
(
め
)
がけて
射照
(
いてら
)
し
来
(
きた
)
るあり。
130
天
(
てん
)
には
電光
(
でんくわう
)
時々
(
ときどき
)
閃
(
ひらめ
)
き
渡
(
わた
)
り、
131
雷鳴
(
らいめい
)
轟
(
とどろ
)
き
惨
(
さん
)
また
惨
(
さん
)
。
132
一同
(
いちどう
)
何
(
いづ
)
れも
決死
(
けつし
)
の
覚悟
(
かくご
)
。
133
否
(
いな
)
ただ
口々
(
くちぐち
)
に
忍
(
しの
)
び
忍
(
しの
)
びに
何物
(
なにもの
)
をか
祈
(
いの
)
りゐたりけり。
134
(日の出神)
『
浪風
(
なみかぜ
)
荒
(
あら
)
き
海原
(
うなばら
)
も
135
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
の
咆
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
ぶ
136
荒野
(
あれの
)
の
原
(
はら
)
も
何
(
なん
)
のその
137
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
任
(
まか
)
す
身
(
み
)
は
138
心
(
こころ
)
も
安
(
やす
)
き
法
(
のり
)
の
船
(
ふね
)
139
御世
(
みよ
)
を
救
(
すく
)
ひの
宣伝使
(
せんでんし
)
140
風
(
かぜ
)
も
吹
(
ふ
)
け
吹
(
ふ
)
け
浪
(
なみ
)
荒
(
あ
)
れよ
141
鳴
(
な
)
る
雷
(
いかづち
)
も
轟
(
とどろ
)
けよ
142
仮令
(
たとへ
)
この
身
(
み
)
は
海底
(
うなぞこ
)
の
143
藻屑
(
もくづ
)
となりて
果
(
は
)
つるとも
144
などや
恐
(
おそ
)
れむ
竜宮
(
りうぐう
)
の
145
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御守
(
みまも
)
りに
146
開
(
ひら
)
く
稜威
(
みいづ
)
も
高天原
(
たかあまはら
)
の
147
聖地
(
せいち
)
に
救
(
すく
)
はれ
永久
(
とこしへ
)
に
148
春
(
はる
)
の
弥生
(
やよひ
)
の
花
(
はな
)
の
頃
(
ころ
)
149
心
(
こころ
)
の
清
(
きよ
)
き
益良夫
(
ますらを
)
が
150
暗路
(
やみぢ
)
を
光
(
ひか
)
り
照
(
てら
)
すてふ
151
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
152
風
(
かぜ
)
も
悪魔
(
あくま
)
も
祝姫
(
はふりひめ
)
153
荒
(
あら
)
き
海面
(
うみづら
)
面那芸
(
つらなぎ
)
の
154
凪
(
なぎ
)
て
目出度
(
めでた
)
き
和田
(
わだ
)
の
原
(
はら
)
155
凪
(
なぎ
)
て
目出度
(
めでた
)
き
和田
(
わだ
)
の
原
(
はら
)
156
千尋
(
ちひろ
)
の
海
(
うみ
)
に
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げし
157
吾身
(
わがみ
)
の
罪
(
つみ
)
を
久比奢母智
(
くひざもち
)
158
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
の
真心
(
まごころ
)
は
159
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
とに
貫
(
つらぬ
)
きて
160
今
(
いま
)
に
海原
(
うなばら
)
凪
(
な
)
ぎ
渡
(
わた
)
り
161
鏡
(
かがみ
)
のごとく
成
(
な
)
りぬべし
162
実
(
げ
)
にも
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
163
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みは
弥広
(
いやひろ
)
き
164
大海原
(
おほうなばら
)
の
如
(
ごと
)
くなり
165
大海原
(
おほうなばら
)
の
如
(
ごと
)
くなり』
166
と
暗中
(
あんちう
)
より
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
宣伝歌
(
せんでんか
)
響
(
ひび
)
き
来
(
き
)
たりぬ。
167
(
大正一一・一・三一
旧一・四
高木鉄男
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 美代の浜
(B)
(N)
船幽霊 >>>
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第7巻(午の巻)
> 第3篇 太平洋 > 第14章 怒濤澎湃
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第14章 怒濤澎湃|第7巻|霊主体従|霊界物語|/rm0714】
合言葉「みろく」を入力して下さい→