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霊界物語
霊主体従（第1～12巻）
第7巻（午の巻）
序文
凡例
総説
第1篇 大台ケ原
第1章 日出山上
第2章 三神司邂逅
第3章 白竜
第4章 石土毘古
第5章 日出ケ嶽
第6章 空威張
第7章 山火事
第2篇 白雪郷
第8章 羽衣の松
第9章 弱腰男
第10章 附合信神
第11章 助け船
第12章 熟々尽
第3篇 太平洋
第13章 美代の浜
第14章 怒濤澎湃
第15章 船幽霊
第16章 釣魚の悲
第17章 亀の背
第4篇 鬼門より竜宮へ
第18章 海原の宮
第19章 無心の船
第20章 副守飛出
第21章 飲めぬ酒
第22章 竜宮の宝
第23章 色良い男
第5篇 亜弗利加
第24章 筑紫上陸
第25章 建日別
第26章 アオウエイ
第27章 蓄音器
第28章 不思議の窟
第6篇 肥の国へ
第29章 山上の眺
第30章 天狗の親玉
第31章 虎転別
第32章 水晶玉
第7篇 日出神
第33章 回顧
第34章 時の氏神
第35章 木像に説教
第36章 豊日別
第37章 老利留油
第38章 雲天焼
第39章 駱駝隊
第8篇 一身四面
第40章 三人奇遇
第41章 枯木の花
第42章 分水嶺
第43章 神の国
第44章 福辺面
第45章 酒魂
第46章 白日別
第47章 鯉の一跳
第9篇 小波丸
第48章 悲喜交々
第49章 乗り直せ
第50章 三五〇
附録 第三回高熊山参拝紀行歌
余白歌
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霊界物語
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霊主体従（第1～12巻）
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第7巻（午の巻）
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＜＜＜ 飲めぬ酒
(B)
(N)
色良い男 ＞＞＞
第二二章
竜宮
(
りうぐう
)
の
宝
(
たから
)
〔三二二〕
インフォメーション
著者：
出口王仁三郎
巻：
霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
篇：
第4篇 鬼門より竜宮へ
よみ（新仮名遣い）：
きもんよりりゅうぐうへ
章：
第22章 竜宮の宝
よみ（新仮名遣い）：
りゅうぐうのたから
通し章番号：
322
口述日：
1922（大正11）年01月31日（旧01月04日）
口述場所：
筆録者：
加藤明子
校正日：
校正場所：
初版発行日：
1922（大正11）年5月31日
概要：
舞台：
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です（一部加筆訂正してあります）。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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：
日の出神は、飯依彦に竜宮島の国魂・真澄姫の鎮祭を命じた。そして面那芸、天久比奢母智、国久比奢母智を伴い、西南指して船出していった。
飯依彦は埠頭に立って、白扇を開いて船を見送る歌を歌った。飯依彦はかつて田依彦と呼ばれていたときとは違い、真澄姫神の神徳に感じて身魂は向上し、優長な歌で日の出神一行を送った。
久々司はまた見送りの歌を歌い、久木司は面白く踊り狂って一行を送った。
沖へ出ると、船頭はこのあたりは竜宮の大海原で、宝が海の底に眠っている、と歌を歌った。
日の出神が問いただすと、船から海底の宝が見えるのだが、恐ろしい竜神が宝を守っているのだという。このあたりの魚介類は金や銀の色をしているが、一匹でも取ると竜神の怒りを買って、海が荒れる。また、歌なら歌ってもよいが、大きな声で話をしたりすると、やはり竜神の怒りに触れる、とのことであった。
それを聞いた日の出神は竜神に向かって名乗ると、宝を見せてくれないか、と頼みかけた。すると海面には数限りない宝珠・宝玉が浮かび出た。
日の出神が「もうよい」と言うと宝はまたしても海底に沈んでいった。船中の人々は手を打ってその美観を褒め称えた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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：
備考：
タグ：
データ凡例：
データ最終更新日：
2020-05-06 18:04:36
OBC ：
rm0722
愛善世界社版：
135頁
八幡書店版：
第2輯 84頁
修補版：
校定版：
141頁
普及版：
58頁
初版：
ページ備考：
001
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
飯依彦
(
いひよりひこ
)
をして、
002
竜宮島
(
りうぐうじま
)
［
※
御校正本・愛世版では「竜宮城」だが、校定版・八幡版では「竜宮島」に直している。ストーリー上は「竜宮島」の方が適正なので、霊界物語ネットでも「竜宮島」に直した。
］
の
国魂
(
くにたま
)
、
003
真澄姫
(
ますみひめ
)
の
御魂
(
みたま
)
を
宮柱
(
みやばしら
)
太敷
(
ふとしき
)
立
(
た
)
て、
004
鎮
(
しづ
)
め
祭
(
まつ
)
らしめ、
005
ここに
祝姫
(
はふりひめ
)
、
006
面那芸
(
つらなぎ
)
、
007
天
(
あまの
)
久比奢母智
(
くひざもち
)
、
008
国
(
くにの
)
久比奢母智
(
くひざもち
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
009
順風
(
じゆんぷう
)
に
帆
(
ほ
)
を
揚
(
あ
)
げ
西南
(
せいなん
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
勇
(
いさ
)
ましさ。
010
飯依彦
(
いひよりひこ
)
を
始
(
はじ
)
め
久久司
(
くくのかみ
)
、
011
久木司
(
くきのかみ
)
は
埠頭
(
ふとう
)
に
立
(
た
)
つて、
012
この
船
(
ふね
)
を
名残
(
なごり
)
惜
(
を
)
し
気
(
げ
)
に
見送
(
みおく
)
つた。
013
飯依彦
(
いひよりひこ
)
は
白扇
(
はくせん
)
をひらいて
歌
(
うた
)
ひながら
此
(
こ
)
の
一行
(
いつかう
)
を
見送
(
みおく
)
りぬ。
014
飯依彦
『
高天原
(
たかあまはら
)
に
宮柱
(
みやばしら
)
015
千木高
(
ちぎたか
)
知
(
し
)
りて
永久
(
とこしへ
)
に
016
鎮
(
しづ
)
まり
居
(
ゐ
)
ます
伊弉諾
(
いざなぎ
)
の
017
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
や
木花姫
(
このはなひめ
)
の
018
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
019
造
(
つく
)
り
固
(
かた
)
めて
黄金
(
わうごん
)
の
020
山
(
やま
)
の
麓
(
ふもと
)
に
現
(
あ
)
れませる
021
三五教
(
あななひけう
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
022
教
(
をしへ
)
を
四方
(
よも
)
に
敷島
(
しきしま
)
の
023
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
024
世
(
よ
)
は
常暗
(
とこやみ
)
となるとても
025
御稜威
(
みいづ
)
輝
(
かがや
)
く
大空
(
おほぞら
)
の
026
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
や
祝姫
(
はふりひめ
)
027
外
(
ほか
)
三柱
(
みはしら
)
の
神人
(
かみびと
)
が
028
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
へ
鹿島立
(
かしまだち
)
029
見送
(
みおく
)
りまつる
我
(
わが
)
心
(
こころ
)
030
風
(
かぜ
)
も
凪
(
な
)
げ
凪
(
な
)
げまた
雨
(
あめ
)
も
031
降
(
ふ
)
らずに
波
(
なみ
)
も
平
(
たひら
)
けく
032
いと
安
(
やす
)
らけく
出
(
い
)
でませよ
033
神徳
(
みいづ
)
の
波
(
なみ
)
に
照
(
て
)
らされて
034
心
(
こころ
)
の
暗
(
やみ
)
も
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
り
035
名
(
な
)
さへ
目出度
(
めでた
)
き
飯依彦
(
いひよりひこ
)
の
036
命
(
みこと
)
と
貴
(
たふと
)
き
名
(
な
)
を
負
(
お
)
ひて
037
依
(
よ
)
さし
玉
(
たま
)
ひし
竜宮
(
りうぐう
)
の
038
常磐
(
ときは
)
堅磐
(
かきは
)
の
島守
(
しまもり
)
は
039
心
(
こころ
)
も
真澄
(
ますみ
)
の
姫神
(
ひめがみ
)
の
040
宮
(
みや
)
に
仕
(
つか
)
へて
三五
(
あななひ
)
の
041
清
(
きよ
)
き
教
(
をしへ
)
を
遠近
(
をちこち
)
に
042
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
し
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
043
仕
(
つか
)
へまつらせ
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
044
名残
(
なごり
)
は
尽
(
つ
)
きぬ
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
045
いと
安
(
やす
)
らけく
出
(
い
)
でませよ
046
うら
安
(
やす
)
らけく
渡
(
わた
)
りませ』
047
と
挨拶
(
あいさつ
)
にかへて
歌
(
うた
)
ふ。
048
今
(
いま
)
まで
田依彦
(
たよりひこ
)
と
云
(
い
)
はれし
時
(
とき
)
にはその
身魂
(
みたま
)
も
下劣
(
げれつ
)
にして、
049
一
(
ひと
)
つの
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ふにも
野趣
(
やしゆ
)
を
帯
(
お
)
び
居
(
ゐ
)
たるが、
050
ここに
飯依彦
(
いひよりひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
神名
(
しんめい
)
をたまひ、
051
この
島
(
しま
)
の
守神
(
まもりがみ
)
たる
御魂
(
みたま
)
の
真澄姫
(
ますみひめの
)
神
(
かみ
)
の
神徳
(
しんとく
)
に
感
(
かん
)
じて、
052
かくも
優長
(
いうちやう
)
なる
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ふことを
得
(
え
)
たるは
身魂
(
みたま
)
の
向上
(
こうじやう
)
したる
証拠
(
せうこ
)
なるべし。
053
久久司
(
くくのかみ
)
は
又
(
また
)
もや
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
054
久久司
『
時
(
とき
)
は
待
(
ま
)
たねばならぬもの
055
時
(
とき
)
が
来
(
き
)
た
来
(
き
)
た
時彦
(
ときひこ
)
の
056
好
(
すき
)
な
酒
(
さけ
)
まで
止
(
や
)
める
時
(
とき
)
057
時
(
とき
)
のお
蔭
(
かげ
)
で
時彦
(
ときひこ
)
も
058
天
(
てん
)
から
下
(
くだ
)
つた
生神
(
いきがみ
)
の
059
お
目
(
め
)
に
留
(
と
)
まつて
久久司
(
くくのかみ
)
060
飯依彦
(
いひよりひこ
)
に
従
(
したが
)
うて
061
真澄
(
ますみ
)
の
姫
(
ひめ
)
によく
仕
(
つか
)
へ
062
きつとこの
島
(
しま
)
守
(
まも
)
ります
063
後
(
あと
)
に
心
(
こころ
)
は
沖
(
おき
)
の
船
(
ふね
)
064
馳
(
は
)
せ
行
(
ゆ
)
く
帆柱
(
ほばしら
)
打
(
う
)
ち
眺
(
なが
)
め
065
隠
(
かく
)
るるまでも
拝
(
をが
)
みます
066
どうぞ
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
でお
達者
(
たつしや
)
で
067
この
海
(
うみ
)
御
(
お
)
渡
(
わた
)
り
遊
(
あそ
)
ばせよ
068
また
逢
(
あ
)
ふ
時
(
とき
)
もありませう
069
逢
(
あ
)
うたその
時
(
とき
)
や
百年目
(
ひやくねんめ
)
070
二人
(
ふたり
)
の
仲
(
なか
)
は
芳彦
(
よしひこ
)
の
071
離
(
はな
)
れぬ
私
(
わたし
)
は
釘
(
くぎ
)
鎹
(
かすがひ
)
072
必
(
かなら
)
ず
案
(
あん
)
じて
下
(
くだ
)
さるな
073
尊
(
たふと
)
き
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
よ
074
その
他
(
た
)
の
尊
(
たふと
)
い
宣伝使
(
せんでんし
)
075
これでお
別
(
わか
)
れ
致
(
いた
)
します』
076
と
扇
(
あふぎ
)
をひらいて
歌
(
うた
)
ひ、
077
舞
(
ま
)
ひ、
078
この
船
(
ふね
)
を
見送
(
みおく
)
りぬ。
079
久木司
(
くきのかみ
)
は、
080
久木司
『
私
(
わたし
)
は
歌
(
うた
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ、
081
踊
(
をど
)
つてお
別
(
わか
)
れいたします』
082
と
口
(
くち
)
の
奥
(
おく
)
にて
何
(
なに
)
か
小声
(
こごゑ
)
に
囁
(
ささや
)
きながら、
083
大地
(
だいち
)
を
踏
(
ふ
)
み
轟
(
とどろ
)
かせ、
084
汗
(
あせ
)
をしぼつて
手振
(
てぶり
)
足振
(
あしぶり
)
面白
(
おもしろ
)
く
踊
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
ひぬ。
085
船中
(
せんちう
)
の
人々
(
ひとびと
)
も
見送
(
みおく
)
る
数多
(
あまた
)
の
神人
(
かみびと
)
も
一度
(
いちど
)
にどつと
哄笑
(
こうせう
)
したり。
086
船
(
ふね
)
は
容赦
(
ようしや
)
なく
纜
(
ともづな
)
を
解
(
と
)
いて
櫓
(
ろ
)
の
音
(
おと
)
ぎいぎいと
響
(
ひび
)
かせながら、
087
追々
(
おひおひ
)
岸
(
きし
)
を
遠
(
とほ
)
ざかり
行
(
ゆ
)
く。
088
船頭
(
せんどう
)
は
舳
(
へさき
)
に
立
(
た
)
ちて
唄
(
うた
)
ふ。
089
船頭
『ここは
竜宮
(
りうぐう
)
の
大海原
(
おほうなばら
)
よ、
090
可惜
(
あたら
)
宝
(
たから
)
は
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
』
091
と
海上
(
かいじやう
)
の
風
(
かぜ
)
に
慣
(
な
)
れたる
声
(
こゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
し
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
し
唄
(
うた
)
ふ。
092
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は、
093
日の出神
『オイ
船頭
(
せんどう
)
、
094
今
(
いま
)
お
前
(
まへ
)
の
唄
(
うた
)
つた
歌
(
うた
)
は、
095
あたら
宝
(
たから
)
は
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
といつたなあ、
096
それや
又
(
また
)
どういふ
訳
(
わけ
)
か
聞
(
き
)
かして
呉
(
く
)
れないか』
097
船頭
『ハイ
左様
(
さやう
)
でございます。
098
この
頃
(
ごろ
)
のやうな
春
(
はる
)
の
海
(
うみ
)
では
判
(
わか
)
りませぬが、
099
やがて
秋
(
あき
)
が
来
(
く
)
ると
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
が
ハツキリ
と
見
(
み
)
えます。
100
それはそれは
綺麗
(
きれい
)
な
金
(
きん
)
や
銀
(
ぎん
)
が
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
一面
(
いちめん
)
に
山
(
やま
)
のやうになつて
居
(
ゐ
)
ます。
101
恰度
(
ちやうど
)
この
下
(
した
)
辺
(
あた
)
りは
最
(
もつと
)
も
多
(
おほ
)
い
処
(
ところ
)
です』
102
日の出神
『お
前
(
まへ
)
たちはその
綺麗
(
きれい
)
な
宝
(
たから
)
をどうして
採
(
と
)
らぬのか』
103
船頭
『エイ
滅相
(
めつさう
)
もない。
104
この
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
には
結構
(
けつこう
)
な
宝
(
たから
)
も
沢山
(
たくさん
)
ありますが、
105
恐
(
こわ
)
いものも
沢山
(
たくさん
)
ゐます。
106
太
(
ふと
)
い
太
(
ふと
)
い
竜神
(
りうじん
)
さまが、
107
金
(
きん
)
や
銀
(
ぎん
)
の
鱗
(
うろこ
)
をぴかぴかさして
誰
(
た
)
れも
採
(
と
)
らないやうに
守
(
まも
)
つてゐらつしやる。
108
この
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
に
居
(
を
)
るものは、
109
鯛
(
たひ
)
でも、
110
蝦
(
えび
)
でも、
111
蛸
(
たこ
)
でも
皆
(
みな
)
金
(
きん
)
や
銀
(
ぎん
)
の
色
(
いろ
)
をしてゐます。
112
蝦
(
えび
)
一匹
(
いつぴき
)
でも
釣
(
つ
)
つたが
最後
(
さいご
)
、
113
竜宮
(
りうぐう
)
様
(
さま
)
が
怒
(
いか
)
つてそれはそれは
豪
(
えら
)
いこと
海
(
うみ
)
が
荒
(
あ
)
れます。
114
それで
誰
(
たれ
)
も
雑魚
(
ざこ
)
一匹
(
いつぴき
)
この
辺
(
へん
)
では
捕
(
と
)
りませぬ。
115
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
物
(
もの
)
いつても
此処
(
ここ
)
では
竜宮
(
りうぐう
)
様
(
さま
)
に
怒
(
おこ
)
られます。
116
竜宮
(
りうぐう
)
さまの
好
(
す
)
きなのは
只
(
ただ
)
歌
(
うた
)
ばかりです。
117
歌
(
うた
)
ならどんな
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
唄
(
うた
)
つても
構
(
かま
)
やせぬが、
118
妙
(
めう
)
な
話
(
はなし
)
をしたり、
119
欲
(
よく
)
な
話
(
はなし
)
でもしやうものなら、
120
それはそれは
恐
(
おそ
)
ろしい
目
(
め
)
に
遭
(
あ
)
はされます』
121
日の出神
『さうかい。
122
竜神
(
りうじん
)
といふ
奴
(
やつ
)
よほど
歌
(
うた
)
の
好
(
すき
)
な
奴
(
やつ
)
と
見
(
み
)
えるな』
123
船頭
『もしもしそンな
失礼
(
しつれい
)
な
事
(
こと
)
をおつしやつたら
竜神
(
りうじん
)
さまに
怒
(
おこ
)
られますよ。
124
竜神
(
りうじん
)
様
(
さま
)
はよほど
暢気
(
のんき
)
な
御
(
お
)
神
(
かみ
)
ぢやと
云
(
い
)
ひ
直
(
なほ
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
125
と
云
(
い
)
ひながら
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
を
変
(
か
)
へて、
126
ぶるぶる
慄
(
ふる
)
ひゐる。
127
日の出神
『
何
(
なに
)
心配
(
しんぱい
)
するにや
及
(
およ
)
ばぬ。
128
俺
(
おれ
)
がこれから
竜神
(
りうじん
)
に
一
(
ひと
)
つ
談判
(
だんぱん
)
して、
129
その
宝
(
たから
)
を
見
(
み
)
せて
貰
(
もら
)
はう。
130
モシ
竜神殿
(
りうじんどの
)
、
131
乙姫
(
おとひめ
)
の
眷属殿
(
けんぞくどの
)
、
132
我
(
われ
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
ぢや、
133
宝
(
たから
)
を
一遍
(
いつぺん
)
見
(
み
)
せて
呉
(
く
)
れよ』
134
と
云
(
い
)
ひも
終
(
をは
)
らず、
135
たちまち
海面
(
かいめん
)
は
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
にまン
円
(
まる
)
き
渦
(
うづ
)
を
巻
(
ま
)
ききたりぬ。
136
船頭
(
せんどう
)
は
驚
(
おどろ
)
いてますます
慄
(
ふる
)
ひ
上
(
あが
)
りゐる。
137
ブク
ツと
音
(
おと
)
がすると
共
(
とも
)
に
大
(
おほ
)
きな
金塊
(
きんくわい
)
が
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
に
浮
(
う
)
き
出
(
で
)
て、
138
次
(
つい
)
で
右
(
みぎ
)
にも
左
(
ひだり
)
にも、
139
前
(
まへ
)
にも
後
(
うしろ
)
にも
数限
(
かずかぎ
)
りのなき
金銀
(
きんぎん
)
、
140
真珠
(
しんじゆ
)
、
141
瑪瑙
(
めのう
)
、
142
瑠璃
(
るり
)
、
143
硨磲
(
しやこ
)
などの
立派
(
りつぱ
)
な
宝玉
(
ほうぎよく
)
は、
144
水面
(
すゐめん
)
に
浮
(
う
)
き
上
(
あが
)
り、
145
実
(
じつ
)
に
何
(
なん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
美観
(
びくわん
)
なりける。
146
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は、
147
日の出神
『もうよろしい、
148
乙姫
(
おとひめ
)
殿
(
どの
)
に
宜敷
(
よろしう
)
云
(
い
)
うて
下
(
くだ
)
さい』
149
と
言葉
(
ことば
)
終
(
をは
)
ると
共
(
とも
)
に
浮
(
う
)
き
出
(
で
)
たる
諸々
(
もろもろ
)
の
宝
(
たから
)
は
又
(
また
)
もやぶくぶくと
音
(
おと
)
をさせて
海底
(
かいてい
)
に
残
(
のこ
)
らず
潜
(
ひそ
)
みける。
150
船客
(
せんきやく
)
一同
(
いちどう
)
は
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つてその
美観
(
びくわん
)
を
褒
(
ほ
)
めたり。
151
船
(
ふね
)
は
悠々
(
いういう
)
として
西南
(
せいなん
)
に
向
(
むか
)
つて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
152
（
大正一一・一・三一
旧一・四
加藤明子
録）
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