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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第7巻(午の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 大台ケ原
第1章 日出山上
第2章 三神司邂逅
第3章 白竜
第4章 石土毘古
第5章 日出ケ嶽
第6章 空威張
第7章 山火事
第2篇 白雪郷
第8章 羽衣の松
第9章 弱腰男
第10章 附合信神
第11章 助け船
第12章 熟々尽
第3篇 太平洋
第13章 美代の浜
第14章 怒濤澎湃
第15章 船幽霊
第16章 釣魚の悲
第17章 亀の背
第4篇 鬼門より竜宮へ
第18章 海原の宮
第19章 無心の船
第20章 副守飛出
第21章 飲めぬ酒
第22章 竜宮の宝
第23章 色良い男
第5篇 亜弗利加
第24章 筑紫上陸
第25章 建日別
第26章 アオウエイ
第27章 蓄音器
第28章 不思議の窟
第6篇 肥の国へ
第29章 山上の眺
第30章 天狗の親玉
第31章 虎転別
第32章 水晶玉
第7篇 日出神
第33章 回顧
第34章 時の氏神
第35章 木像に説教
第36章 豊日別
第37章 老利留油
第38章 雲天焼
第39章 駱駝隊
第8篇 一身四面
第40章 三人奇遇
第41章 枯木の花
第42章 分水嶺
第43章 神の国
第44章 福辺面
第45章 酒魂
第46章 白日別
第47章 鯉の一跳
第9篇 小波丸
第48章 悲喜交々
第49章 乗り直せ
第50章 三五〇
附録 第三回高熊山参拝紀行歌
余白歌
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<<< 雲天焼
(B)
(N)
三人奇遇 >>>
第三九章
駱駝隊
(
らくだたい
)
〔三三九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
篇:
第7篇 日出神
よみ(新仮名遣い):
ひのでのかみ
章:
第39章 駱駝隊
よみ(新仮名遣い):
らくだたい
通し章番号:
339
口述日:
1922(大正11)年02月02日(旧01月06日)
口述場所:
筆録者:
高木鉄男
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年5月31日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
熊公は大砂漠を越えるために、数十頭の駱駝を連れてきた。一向は駱駝に乗って豊の国の都に着いた。
都では、熊公の帰還を群集が声をそろえて祝した。実は熊公は、八十熊別という豊の国の大酋長であった。
八十熊別は神通力で日の出神が筑紫洲にやってきて、豊の国に来ることを前知し、砂漠の難を救うべく駱駝を引き連れて、そま人の格好をして霧島山麓まで出迎えていたのであった。
都の群集は酋長・八十熊別が連れてきた客人たちを見て、いろいろ話しに花を咲かせている。
宣伝使たちが招き入れられた八十熊別の館には、天を衝いて五色の雲が立ち昇った。群集はあっと驚いてその場に合掌するのみであった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-10 17:53:23
OBC :
rm0739
愛善世界社版:
237頁
八幡書店版:
第2輯 119頁
修補版:
校定版:
244頁
普及版:
101頁
初版:
ページ備考:
001
霧島山
(
きりしまやま
)
の
坂道
(
さかみち
)
を、
002
西南
(
せいなん
)
に
向
(
むか
)
つて
下
(
くだ
)
り
来
(
き
)
たりし
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
003
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
の
熊公
(
くまこう
)
を
先頭
(
せんとう
)
に
足
(
あし
)
に
任
(
まか
)
せて
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
004
熊公
(
くまこう
)
『モシモシ、
005
この
方
(
はう
)
へモー
少
(
すこ
)
し
行
(
ゆ
)
けば
大沙漠
(
だいさばく
)
です。
006
この
沙漠
(
さばく
)
をば
越
(
こ
)
えぬ
事
(
こと
)
には、
007
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
の
都
(
みやこ
)
には
行
(
ゆ
)
けませぬ。
008
幸
(
さいは
)
ひ
向
(
むか
)
ふの
森林
(
しんりん
)
に
沢山
(
たくさん
)
の
駱駝
(
らくだ
)
が
居
(
を
)
ります。
009
彼奴
(
きやつ
)
の
背中
(
せなか
)
に
跨
(
またが
)
つて
沙漠
(
さばく
)
を
横断
(
わうだん
)
いたしませうか』
010
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
『それは
面白
(
おもしろ
)
からう、
011
便利
(
べんり
)
だ。
012
駱駝
(
らくだ
)
を
七八頭
(
しちはつとう
)
引張
(
ひつぱ
)
つて
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れないか』
013
熊公
『
畏
(
かしこ
)
まりました』
014
と
熊公
(
くまこう
)
は
駱駝
(
らくだ
)
の
群
(
むれ
)
に
向
(
むか
)
つて
駈
(
か
)
け
出
(
だ
)
しぬ。
015
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
路傍
(
みちばた
)
の
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
うち
掛
(
か
)
け、
016
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
め
居
(
ゐ
)
る。
017
暫
(
しばら
)
くありて
駱駝
(
らくだ
)
を
使
(
つか
)
ひ
馴
(
な
)
れたる
熊公
(
くまこう
)
は、
018
数十頭
(
すうじつとう
)
の
駱駝
(
らくだ
)
を
引張
(
ひつぱ
)
り
来
(
き
)
たり。
019
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
『ヤア、
020
沢山
(
たくさん
)
のものだなあ』
021
熊公
(
くまこう
)
『
何
(
ど
)
れなつと、
022
御
(
お
)
気
(
き
)
に
入
(
い
)
つた
奴
(
やつ
)
に
御
(
お
)
召
(
め
)
し
下
(
くだ
)
さい。
023
外
(
ほか
)
の
奴
(
やつ
)
は
控
(
ひか
)
へとして
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
きます。
024
沙漠
(
さばく
)
の
中
(
なか
)
は
水
(
みづ
)
が
有
(
あ
)
りませぬから、
025
水
(
みづ
)
が
無
(
な
)
くなつたら、
026
此奴
(
こいつ
)
の
背中
(
せなか
)
の
団瘤
(
だんこぶ
)
を
破
(
やぶ
)
つて
水
(
みづ
)
を
出
(
だ
)
して
飲
(
の
)
みつつ
行
(
ゆ
)
くのです』
027
面那芸
(
つらなぎ
)
『
調法
(
てうはふ
)
なものだなあ』
028
と
感心
(
かんしん
)
する。
029
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
翻然
(
ひらり
)
と
駱駝
(
らくだ
)
に
跨
(
またが
)
り、
030
続
(
つづ
)
いて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
も
熊公
(
くまこう
)
も
同
(
おな
)
じく、
031
駱駝
(
らくだ
)
の
上
(
うへ
)
の
人
(
ひと
)
となりぬ。
032
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
『これは
焦暑
(
いらあつ
)
い、
033
焦付
(
こげつ
)
くやうな
沙漠
(
さばく
)
を
歩
(
ある
)
くより
苦労
(
くらう
)
はない。
034
本当
(
ほんたう
)
に
ラクダ
』
035
と
無駄口
(
むだぐち
)
を
喋
(
しやべ
)
りながら
駱駝
(
らくだ
)
を
並
(
なら
)
べて、
036
春風
(
はるかぜ
)
涼
(
すず
)
しき
不毛
(
ふまう
)
の
沙漠
(
さばく
)
を
進
(
すす
)
みゆく。
037
折
(
をり
)
から
旋風
(
せんぷう
)
吹起
(
ふきおこ
)
り、
038
砂塵
(
さぢん
)
を
捲
(
ま
)
き
上
(
あ
)
げ、
039
四辺
(
しへん
)
暗澹
(
あんたん
)
として
咫尺
(
しせき
)
を
弁
(
べん
)
ぜざるに
立到
(
たちいた
)
り、
040
加
(
くは
)
ふるに
折悪
(
をりあ
)
しく
向
(
むか
)
ふ
風
(
かぜ
)
なれば、
041
時々
(
ときどき
)
一行
(
いつかう
)
は
駱駝
(
らくだ
)
の
頭
(
あたま
)
を
廻
(
めぐ
)
らして、
042
風
(
かぜ
)
を
背中
(
せなか
)
に
受
(
う
)
け
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めける。
043
暫
(
しばら
)
くありて
猛烈
(
まうれつ
)
なる
旋風
(
せんぷう
)
は、
044
ピタリと
止
(
とま
)
り、
045
酷熱
(
こくねつ
)
の
春
(
はる
)
の
太陽
(
たいやう
)
はガンガンと
輝
(
かがや
)
き
始
(
はじ
)
めたり。
046
熊公
(
くまこう
)
は
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
ち、
047
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めたり。
048
熊公
『
日
(
ひ
)
が
出
(
で
)
た
日
(
ひ
)
が
出
(
で
)
た
沙漠
(
さばく
)
の
空
(
そら
)
に
049
日
(
ひ
)
が
出
(
で
)
た
日
(
ひ
)
が
出
(
で
)
た
駱駝
(
らくだ
)
に
乗
(
の
)
つて
050
これが
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
051
頭
(
あたま
)
は
暑
(
あつ
)
い
顔
(
かほ
)
も
暑
(
あつ
)
い
052
厚
(
あつ
)
い
情
(
なさけ
)
に
絆
(
ほだ
)
されて
053
水
(
みづ
)
も
漏
(
も
)
らさぬ
熱
(
あつ
)
い
中
(
なか
)
054
暑
(
あつ
)
い
肥
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
055
豊日
(
とよひ
)
の
別
(
わけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
056
豊
(
とよ
)
の
都
(
みやこ
)
へ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
057
照
(
て
)
れよ
照
(
て
)
れ
照
(
て
)
れ
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
よ
058
吹
(
ふ
)
けよ
吹
(
ふ
)
け
吹
(
ふ
)
け
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
よ
059
起
(
た
)
てよ
起
(
た
)
てたて
砂煙
(
すなけぶり
)
060
駱駝
(
らくだ
)
の
足
(
あし
)
の
続
(
つづ
)
かむ
限
(
かぎ
)
り
061
駱駝
(
らくだ
)
は
えらかろ
己
(
おのれ
)
は
らくだ
062
雨
(
あめ
)
も
降
(
ふ
)
れ
降
(
ふ
)
れドツサリ
降
(
ふ
)
れよ
063
降
(
ふ
)
つて
湧
(
わ
)
いたる
宣伝使
(
せんでんし
)
064
天
(
てん
)
の
星
(
ほし
)
から
天降
(
あまくだ
)
り
065
豊
(
とよ
)
の
御国
(
みくに
)
の
砂
(
すな
)
の
原
(
はら
)
066
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
身
(
み
)
の
雄々
(
をを
)
しさよ
067
豊
(
とよ
)
の
都
(
みやこ
)
はもう
少
(
すこ
)
し
068
少
(
すこ
)
しと
云
(
い
)
つてもまだ
百
(
ひやく
)
里
(
り
)
069
百
(
ひやく
)
里
(
り
)
千
(
せん
)
里
(
り
)
も
何
(
な
)
ンのその
070
進
(
すす
)
めよ
進
(
すす
)
め
駱駝隊
(
らくだたい
)
071
進
(
すす
)
めよ
進
(
すす
)
め
駱駝隊
(
らくだたい
)
』
072
と
四辺
(
あたり
)
憚
(
はばか
)
らず、
073
出任
(
でまか
)
せの
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ひつつ
進
(
すす
)
みゆく。
074
数多
(
あまた
)
の
駱駝
(
らくだ
)
の
背
(
せ
)
に
載
(
の
)
せたる
果物
(
くだもの
)
に、
075
饑
(
うゑ
)
を
凌
(
しの
)
ぎながら、
076
日
(
ひ
)
を
重
(
かさ
)
ねて
漸
(
やうや
)
く
豊
(
とよ
)
の
都
(
みやこ
)
に
着
(
つ
)
きにける。
077
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
の
熊公
(
くまこう
)
は、
078
都
(
みやこ
)
間近
(
まぢか
)
くなりしより
元気
(
げんき
)
を
増
(
ま
)
し、
079
駱駝
(
らくだ
)
の
尻
(
しり
)
を
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
打
(
う
)
ちながら、
080
一目散
(
いちもくさん
)
に
都
(
みやこ
)
を
指
(
さ
)
して
獅子
(
しし
)
奮迅
(
ふんじん
)
の
勢
(
いきほひ
)
にて
駆込
(
かけこ
)
みぬ。
081
次
(
つ
)
いで
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
082
吾
(
わ
)
れ
劣
(
おと
)
らじと
駱駝
(
らくだ
)
の
尻
(
しり
)
に
鞭打
(
むちう
)
ちて、
083
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
駆
(
か
)
けり
行
(
ゆ
)
く。
084
豊
(
とよ
)
の
都
(
みやこ
)
の
入口
(
いりぐち
)
には、
085
数多
(
あまた
)
の
群衆
(
ぐんしう
)
声
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へてウローウローと、
086
熊公
(
くまこう
)
の
帰還
(
きくわん
)
を
祝
(
しゆく
)
しける。
087
この
熊公
(
くまこう
)
は、
088
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
の
大酋長
(
だいしうちやう
)
なり。
089
本名
(
ほんみやう
)
を
八十
(
やそ
)
熊別
(
くまわけ
)
といふ。
090
八十
(
やそ
)
熊別
(
くまわけ
)
は
神通力
(
じんつうりき
)
を
持
(
も
)
ちゐたり。
091
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が、
092
このアフリカの
筑紫島
(
つくしじま
)
に
渡
(
わた
)
り、
093
熊襲
(
くまそ
)
の
国
(
くに
)
に
上陸
(
じやうりく
)
し
肥
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
を
越
(
こ
)
え
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
に
下
(
くだ
)
り
来
(
く
)
ることを
前知
(
ぜんち
)
し、
094
この
沙漠
(
さばく
)
の
難
(
なん
)
を
救
(
すく
)
ふべく
数多
(
あまた
)
の
駱駝
(
らくだ
)
を
引連
(
ひきつ
)
れ、
095
霧島山
(
きりしまやま
)
の
山麓
(
さんろく
)
迄
(
まで
)
この
一行
(
いつかう
)
を
迎
(
むか
)
へむために
来
(
き
)
たりしものなり。
096
しかして
態
(
わざ
)
と
熊公
(
くまこう
)
と
只人
(
ただびと
)
の
名
(
な
)
を
名告
(
なの
)
り
居
(
ゐ
)
たるなり。
097
八十
(
やそ
)
熊別
(
くまわけ
)
は
豊
(
とよ
)
の
都
(
みやこ
)
に
着
(
つ
)
くや
否
(
いな
)
や、
098
国人
(
くにびと
)
は
踊
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
うて
無事
(
ぶじ
)
の
帰還
(
きくわん
)
を
祝
(
しゆく
)
しける。
099
国人
(
くにびと
)
の
歓呼
(
よろこび
)
の
声
(
こゑ
)
に
包
(
つつ
)
まれて、
100
八十
(
やそ
)
熊別
(
くまわけ
)
は
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
と
共
(
とも
)
に
吾
(
わが
)
館
(
やかた
)
に
轡
(
くつわ
)
を
連
(
つら
)
ねて、
101
悠々
(
いういう
)
と
奥深
(
おくふか
)
く
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
しける。
102
あとに
残
(
のこ
)
りし
群集
(
ぐんしふ
)
は、
103
口々
(
くちぐち
)
に
言葉
(
ことば
)
の
花
(
はな
)
を
咲
(
さ
)
かしゐたりけり。
104
甲
(
かふ
)
『オイ
大酋長
(
だいしうちやう
)
の
八十
(
やそ
)
熊別
(
くまわけ
)
さまは、
105
何
(
ど
)
う
考
(
かんが
)
へてあンな
蓑虫
(
みのむし
)
見
(
み
)
た
様
(
やう
)
な、
106
乞食
(
こじき
)
の
様
(
やう
)
な、
107
色
(
いろ
)
の
白
(
しろ
)
い
奴
(
やつ
)
や、
108
赤
(
あか
)
い
奴
(
やつ
)
や、
109
黒
(
くろ
)
い
奴
(
やつ
)
をあの
広
(
ひろ
)
い
沙漠
(
さばく
)
を
越
(
こ
)
えて
引張
(
ひつぱ
)
つて
来
(
き
)
たのであらうか。
110
チツト
物好
(
ものず
)
きにも
程
(
ほど
)
があるぢやないか。
111
あンな
奴
(
やつ
)
を
連
(
つ
)
れて
来
(
こ
)
ようものなら、
112
豊
(
とよ
)
の
国
(
くに
)
はさつぱり
蹂躪
(
ふみにじ
)
られてしまひ、
113
ドド
の
ドン
詰
(
づま
)
りは、
114
自分
(
じぶん
)
も
敲
(
たた
)
き
出
(
だ
)
されてしまふかも
知
(
し
)
れやあしないぜ』
115
乙
(
おつ
)
『
八十
(
やそ
)
熊別
(
くまわけ
)
さま
丈
(
だけ
)
なら
宜
(
よ
)
いが、
116
俺
(
おれ
)
たちも
何処
(
どこ
)
へ
敲
(
たた
)
きやられるか
知
(
し
)
れやあしない。
117
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
になつたものだのー』
118
丙
(
へい
)
『
貴様
(
きさま
)
たちに
何
(
なに
)
が
判
(
わか
)
るかい。
119
アレ
丈
(
だけ
)
力
(
ちから
)
の
強
(
つよ
)
い
賢
(
かしこ
)
い
立派
(
りつぱ
)
な
八十
(
やそ
)
熊別
(
くまわけ
)
さまに
抜目
(
ぬけめ
)
があるものかい、
120
燕雀
(
えんじやく
)
何
(
な
)
ンぞ
大鵬
(
たいほう
)
の
志
(
こころざし
)
を
知
(
し
)
らむやだ。
121
燕
(
つばめ
)
や
雀
(
すずめ
)
がチユーチユーと
云
(
い
)
つたつて
あく
ものかい』
122
乙
(
おつ
)
『
燕雀
(
えんじやく
)
とは
何
(
な
)
ンぢや、
123
俺
(
おい
)
らが
燕雀
(
えんじやく
)
なら、
124
貴様
(
きさま
)
たちは
糞蟲
(
くそむし
)
だよ』
125
丙
(
へい
)
『
何
(
なに
)
が
糞蟲
(
くそむし
)
だい、
126
糞
(
くそ
)
が
呆
(
あき
)
れらあ。
127
燕雀
(
えんじやく
)
の
糞
(
くそ
)
から
湧
(
わ
)
きよつた、
128
貴様
(
きさま
)
が
糞蟲
(
くそむし
)
だよ』
129
丁
(
てい
)
『
貴様
(
きさま
)
らは
何
(
な
)
ンにも
知
(
し
)
りはしない、
130
この
方
(
はう
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
を
謹
(
つつし
)
ンで
承
(
うけたま
)
はらう。
131
この
間
(
あひだ
)
も
艮
(
うしとら
)
の
天
(
てん
)
に
当
(
あた
)
つて、
132
五色
(
ごしき
)
の
雲
(
くも
)
が
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
つたのを、
133
貴様
(
きさま
)
らも
見
(
み
)
たじやらう』
134
丙
(
へい
)
『オー
見
(
み
)
た
見
(
み
)
た、
135
あれは
一体
(
いつたい
)
なンだらうナア』
136
丁
(
てい
)
『
黙
(
だま
)
つて
俺
(
おれ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
け。
137
天
(
てん
)
に
風雲
(
ふううん
)
の
変
(
へん
)
あり
人
(
ひと
)
に
病
(
やまひ
)
の
苦
(
くる
)
しみありだ。
138
何
(
な
)
ンでも
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
変
(
かは
)
つて
来
(
く
)
るのよ。
139
夫
(
そ
)
れで
賢
(
かしこ
)
い
八十
(
やそ
)
熊別
(
くまわけ
)
様
(
さま
)
は
御覧
(
ごらん
)
遊
(
あそ
)
ばして、
140
何
(
な
)
ンでも
立派
(
りつぱ
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
艮
(
うしとら
)
の
方
(
はう
)
に
現
(
あら
)
はれてござると
仰有
(
おつしや
)
つて、
141
駱駝
(
らくだ
)
を
引連
(
ひきつ
)
れて
御
(
お
)
出
(
いで
)
遊
(
あそ
)
ばしたのぢや。
142
夫
(
そ
)
れ
今
(
いま
)
大酋長
(
だいしうちやう
)
様
(
さま
)
に
踵
(
つ
)
いて
来
(
き
)
たあの
神
(
かみ
)
さまは、
143
五色
(
ごしき
)
の
雲
(
くも
)
の
変化
(
へんげ
)
遊
(
あそ
)
ばしたのに
違
(
ちが
)
ひないのだ。
144
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
吐
(
ぬ
)
かすと
天罰
(
てんばつ
)
が
当
(
あた
)
るぞ』
145
甲
(
かふ
)
『
道理
(
だうり
)
で、
146
乞食
(
こじき
)
の
雲助
(
くもすけ
)
が
天
(
てん
)
から
降
(
ふ
)
つて
来
(
き
)
よつたのか、
147
てん
で
別
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬわい。
148
やそ
天
(
てん
)
やけ
とか
雲天焼
(
くもてんやけ
)
とか、
149
何
(
な
)
ンとか
云
(
い
)
ふ
神
(
かみ
)
が
交
(
まじ
)
つとると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
じや』
150
丁
(
てい
)
『
分
(
わか
)
らぬ
奴
(
やつ
)
ぢや、
151
貴様
(
きさま
)
らに
話
(
はなし
)
は
出来
(
でき
)
ぬ。
152
掴
(
つか
)
まへ
処
(
どころ
)
の
無
(
な
)
い
事
(
こと
)
ばかり
吐
(
ぬ
)
かしよつて』
153
甲
(
かふ
)
『
掴
(
つか
)
まへても
居
(
を
)
らぬのに
話
(
はな
)
すも
はなさぬ
も
有
(
あ
)
るものかい、
154
馬鹿
(
ばか
)
ツ!』
155
没分漢
(
わからずや
)
が
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて、
156
勝手
(
かつて
)
な
下馬評
(
げばひやう
)
を
試
(
こころ
)
みてゐる。
157
八十
(
やそ
)
熊別
(
くまわけ
)
の
館
(
やかた
)
には、
158
又
(
また
)
もや
天
(
てん
)
を
衝
(
つ
)
いて
五色
(
ごしき
)
の
雲
(
くも
)
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
つた。
159
群集
(
ぐんしふ
)
はアツと
叫
(
さけ
)
ンでその
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
れ
合掌
(
がつしやう
)
するのみ。
160
(
大正一一・二・二
旧一・六
高木鉄男
録)
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(B)
(N)
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