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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第7巻(午の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 大台ケ原
第1章 日出山上
第2章 三神司邂逅
第3章 白竜
第4章 石土毘古
第5章 日出ケ嶽
第6章 空威張
第7章 山火事
第2篇 白雪郷
第8章 羽衣の松
第9章 弱腰男
第10章 附合信神
第11章 助け船
第12章 熟々尽
第3篇 太平洋
第13章 美代の浜
第14章 怒濤澎湃
第15章 船幽霊
第16章 釣魚の悲
第17章 亀の背
第4篇 鬼門より竜宮へ
第18章 海原の宮
第19章 無心の船
第20章 副守飛出
第21章 飲めぬ酒
第22章 竜宮の宝
第23章 色良い男
第5篇 亜弗利加
第24章 筑紫上陸
第25章 建日別
第26章 アオウエイ
第27章 蓄音器
第28章 不思議の窟
第6篇 肥の国へ
第29章 山上の眺
第30章 天狗の親玉
第31章 虎転別
第32章 水晶玉
第7篇 日出神
第33章 回顧
第34章 時の氏神
第35章 木像に説教
第36章 豊日別
第37章 老利留油
第38章 雲天焼
第39章 駱駝隊
第8篇 一身四面
第40章 三人奇遇
第41章 枯木の花
第42章 分水嶺
第43章 神の国
第44章 福辺面
第45章 酒魂
第46章 白日別
第47章 鯉の一跳
第9篇 小波丸
第48章 悲喜交々
第49章 乗り直せ
第50章 三五〇
附録 第三回高熊山参拝紀行歌
余白歌
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>
霊主体従(第1~12巻)
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第7巻(午の巻)
> 第4篇 鬼門より竜宮へ > 第20章 副守飛出
<<< 無心の船
(B)
(N)
飲めぬ酒 >>>
第二〇章
副守
(
ふくしゆ
)
飛出
(
とびだし
)
〔三二〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
篇:
第4篇 鬼門より竜宮へ
よみ(新仮名遣い):
きもんよりりゅうぐうへ
章:
第20章 副守飛出
よみ(新仮名遣い):
ふくしゅとびだし
通し章番号:
320
口述日:
1922(大正11)年01月31日(旧01月04日)
口述場所:
筆録者:
谷村真友
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年5月31日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
竜宮島(冠島)には、潮満・潮干の玉が隠されている。船が着くと、船客たちはみな上陸し、竜宮の宮に詣でた。
日の出神は田依彦、時彦、芳彦を伴って島の山の奥深くへ分け入った。田依彦の案内でたどり着いたところは、芳しい匂いのする酒が天然に湧き出ていた。竜宮の乙姫様が造った、酒の滝であるという。
日の出神と田依彦は、お祭りをしてそれが終わったら酒を飲ませてやる、といって時彦、芳彦をじらし、最後に二人を後ろ手に縛って、酒をひしゃくでくみ上げて、顔の近くに突きつけた。
時彦と芳彦が何とか酒を飲もうと舌を出すうちに、卵のような焼け石が口から飛び出して、滝つぼのなかに落ち込んだ。それ以来、時彦、芳彦は酒の匂いも嫌になってしまった。
時彦と芳彦は、竜宮島の宮の造営を命ぜられ、久々司、久木司という名を与えられ、住家を造る役目となった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-06 18:12:12
OBC :
rm0720
愛善世界社版:
122頁
八幡書店版:
第2輯 79頁
修補版:
校定版:
128頁
普及版:
52頁
初版:
ページ備考:
001
船頭
『
竜宮
(
りうぐう
)
見
(
み
)
たさに
沓島
(
くつじま
)
越
(
こ
)
せば、
002
竜宮
(
りうぐう
)
送
(
おく
)
りの
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
く』
003
と
節
(
ふし
)
面白
(
おもしろ
)
く
船頭
(
せんどう
)
は
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めたり。
004
長閑
(
のどか
)
な
春
(
はる
)
の
海面
(
うみづら
)
に
幾百千
(
いくひやくせん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
白
(
しろ
)
き
帆
(
ほ
)
の
往来
(
わうらい
)
する
様
(
さま
)
、
005
春
(
はる
)
の
野
(
の
)
に
胡蝶
(
こてふ
)
の
群
(
むれ
)
の
飛交
(
とびか
)
ふ
如
(
ごと
)
き
美々
(
びび
)
しき
光景
(
くわうけい
)
なり。
006
船
(
ふね
)
は
漸
(
やうや
)
くにして
潮満
(
しほみつ
)
、
007
潮干
(
しほひる
)
の
玉
(
たま
)
の
隠
(
かく
)
されたる
冠島
(
かむりじま
)
の
岸
(
きし
)
に
着
(
つ
)
きぬ。
008
又
(
また
)
もや
船
(
ふね
)
の
諸人
(
もろびと
)
は
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らずこの
島
(
しま
)
に
上陸
(
じやうりく
)
し、
009
竜宮
(
りうぐう
)
の
宮
(
みや
)
に
詣
(
まう
)
でける。
010
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は、
011
祝姫
(
はふりひめ
)
、
012
面那芸
(
つらなぎ
)
二人
(
ふたり
)
に、
013
船客
(
せんきやく
)
に
向
(
むか
)
ひ
宣伝
(
せんでん
)
を
命
(
めい
)
じ
置
(
お
)
き、
014
自
(
みづか
)
らは
田依彦
(
たよりひこ
)
、
015
時彦
(
ときひこ
)
、
016
芳彦
(
よしひこ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
017
当山
(
たうざん
)
の
奥深
(
おくふか
)
く
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
しける。
018
田依彦
(
たよりひこ
)
は
道案内
(
みちあんない
)
として
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち、
019
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
はその
後
(
あと
)
に
随
(
したが
)
ひ
行
(
ゆ
)
く。
020
時彦
(
ときひこ
)
、
021
芳彦
(
よしひこ
)
は
屠所
(
としよ
)
に
曳
(
ひ
)
かるる
羊
(
ひつじ
)
の
如
(
ごと
)
く、
022
悄然
(
せうぜん
)
として
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
追従
(
つゐじゆう
)
する。
023
芳彦
(
よしひこ
)
『オイ
時公
(
ときこう
)
、
024
貴様
(
きさま
)
あまり
頑張
(
ぐわんば
)
るものだから、
025
たうとうこンな
山奥
(
やまおく
)
に
引張
(
ひつぱ
)
り
込
(
こ
)
まれるのだ。
026
どンな
目
(
め
)
に
遭
(
あ
)
はされるか
知
(
し
)
れやしない。
027
貴様
(
きさま
)
の
胸
(
むね
)
を
見
(
み
)
い、
028
大
(
おほ
)
きな
波
(
なみ
)
を
立
(
た
)
てて
胸
(
むね
)
をどきどきどき
彦
(
ひこ
)
ぢやないか』
029
時彦
(
ときひこ
)
『ヨヽヽ
芳公
(
よしこう
)
、
030
そんな
事
(
こと
)
は
止
(
よ
)
しにしてくれ。
031
俺
(
おれ
)
やもう
一足
(
ひとあし
)
も
歩
(
ある
)
けない。
032
アイタタ』
033
とバツタリ
谷道
(
たにみち
)
に
倒
(
たふ
)
れてしまつた。
034
田依彦
(
たよりひこ
)
は
後
(
あと
)
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
り、
035
田依彦
『オーイ、
036
早
(
はや
)
く
来
(
こ
)
ぬかい。
037
何
(
なに
)
をグヅグヅしてるのだい。
038
なめくじ
だつて、
039
もつと
足
(
あし
)
が
早
(
はや
)
いぞ。
040
この
山
(
やま
)
の
奥
(
おく
)
には
結構
(
けつこう
)
な
甘
(
うま
)
い
酒
(
さけ
)
が、
041
泉
(
いづみ
)
の
如
(
ごと
)
くに
湧
(
わ
)
いて
居
(
ゐ
)
るのだ。
042
そこで
貴様
(
きさま
)
らに
飲
(
の
)
ンで
飲
(
の
)
ンで
飲
(
のみ
)
堪能
(
たんのう
)
さしてやるのだから
喜
(
よろこ
)
ンで
来
(
こ
)
い。
043
何事
(
なにごと
)
も
神直日
(
かむなほひ
)
、
044
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し、
045
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
して、
046
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
三五教
(
あななひけう
)
の
教
(
をしへ
)
だ。
047
喜
(
よろこ
)
ばして
改心
(
かいしん
)
さして
遣
(
や
)
らうと
仰
(
おつ
)
しやるのだ。
048
何
(
なに
)
も
恐
(
こわ
)
いことはない。
049
酒
(
さけ
)
ぢや
酒
(
さけ
)
ぢや
早
(
はや
)
う
来
(
こ
)
ぬかい』
050
時彦
(
ときひこ
)
は
酒
(
さけ
)
と
聞
(
き
)
くや、
051
俄
(
にはか
)
に
元気
(
げんき
)
回復
(
くわいふく
)
し、
052
時彦
『ヤアヤア
有難
(
ありがた
)
い。
053
ほンたうかい』
054
と
云
(
い
)
ひながら
走
(
はし
)
り
出
(
だ
)
し、
055
どんどん
進
(
すす
)
んで
山奥
(
やまおく
)
の
谷間
(
たにま
)
に
屹立
(
きつりつ
)
する
大岩
(
おほいは
)
の
麓
(
ふもと
)
に
付
(
つ
)
く。
056
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
へぬ、
057
馨
(
かんば
)
しき
匂
(
にほ
)
ひのする
酒
(
さけ
)
が
天然
(
てんねん
)
に
湧
(
わ
)
き
出
(
いで
)
て
居
(
ゐ
)
るのを
見
(
み
)
て、
058
時彦
(
ときひこ
)
は
鼻
(
はな
)
蠢
(
うごめ
)
かし
咽
(
のど
)
をクウクウ
言
(
い
)
はせながら、
059
直
(
ただち
)
に
掬
(
すく
)
つて
飲
(
の
)
まむとするを、
060
田依彦
(
たよりひこ
)
はこれを
遮
(
さへぎ
)
り、
061
田依彦
『
待
(
ま
)
て
待
(
ま
)
て、
062
この
酒
(
さけ
)
は
無茶
(
むちや
)
苦茶
(
くちや
)
に
飲
(
の
)
ンだら、
063
命
(
いのち
)
が
無
(
な
)
くなる。
064
マア
神
(
かみ
)
さまに
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひした
上
(
うへ
)
の
事
(
こと
)
だ』
065
時
(
とき
)
、
066
芳
(
よし
)
『
死
(
し
)
ンでもよいから
早
(
はや
)
く
飲
(
の
)
まして
呉
(
く
)
れ、
067
モウ
堪
(
たま
)
らぬ
堪
(
たま
)
らぬ』
068
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
時彦
(
ときひこ
)
の
顔
(
かほ
)
をギロリと
睨
(
にら
)
みけるに、
069
時彦
(
ときひこ
)
は
睨
(
にら
)
まれて
縮
(
ちぢ
)
み
上
(
あ
)
がり
打
(
う
)
ち
伏
(
ふ
)
しぬ。
070
田依彦
(
たよりひこ
)
『ここは
酒
(
さけ
)
の
滝
(
たき
)
といふ
所
(
ところ
)
だ。
071
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
さまがお
造
(
つく
)
り
遊
(
あそ
)
ばした
酒
(
さけ
)
だから、
072
祝詞
(
のりと
)
を
上
(
あ
)
げてお
祓
(
はらひ
)
をしてそれからの
事
(
こと
)
だ。
073
サア
貴様
(
きさま
)
は
祓戸
(
はらひど
)
になれ、
074
俺
(
おれ
)
は
斎主
(
さいしゆ
)
になつてやらう。
075
芳彦
(
よしひこ
)
、
076
貴様
(
きさま
)
は
神饌係
(
しんせんがかり
)
だよ』
077
芳彦
『
神饌係
(
しんせんがかり
)
だつて、
078
何
(
なに
)
をお
供
(
そな
)
へするのだい』
079
田依彦
『
貴様
(
きさま
)
の
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
る
魂
(
たま
)
を
御
(
お
)
供
(
そな
)
へするのだよ』
080
芳彦
(
よしひこ
)
、
081
時彦
(
ときひこ
)
一度
(
いちど
)
に、
082
芳彦、時彦
『
玉
(
たま
)
を
供
(
そな
)
へたつて
折角
(
せつかく
)
拾
(
ひろ
)
うた
玉
(
たま
)
は、
083
竹熊
(
たけくま
)
に
奪
(
と
)
られてしもうたではないか』
084
田依彦
(
たよりひこ
)
は、
085
田依彦
『その
玉
(
たま
)
なら
俺
(
おれ
)
も
奪
(
と
)
られたのだ。
086
貴様
(
きさま
)
の
魂
(
たま
)
を
供
(
そな
)
へる
事
(
こと
)
だよ。
087
貴様
(
きさま
)
が
酒
(
さけ
)
が
飲
(
の
)
みたい
飲
(
の
)
みたいといふ
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
の
魂
(
たま
)
を
綺麗
(
きれい
)
サツパリ
御
(
お
)
供
(
そな
)
へせいと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だい』
088
時彦
(
ときひこ
)
『
何時
(
いつ
)
も
酒
(
さけ
)
を
見
(
み
)
るとクウクウ
云
(
い
)
つて、
089
臍
(
へそ
)
の
下
(
した
)
あたりから
上
(
あ
)
がつて
来
(
き
)
よるあの
魂
(
たま
)
が
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
と
云
(
い
)
ふのか、
090
それなら
俺
(
おれ
)
は
四
(
よ
)
つばかりあるわい』
091
芳彦
(
よしひこ
)
『
俺
(
おれ
)
も
二
(
ふた
)
つほど
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
る』
092
田依彦
(
たよりひこ
)
『
時彦
(
ときひこ
)
の
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
る
四
(
よつ
)
つの
魂
(
たま
)
と、
093
芳彦
(
よしひこ
)
の
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
る
二
(
ふた
)
つの
魂
(
たま
)
をお
供
(
そな
)
へするのだ。
094
皆
(
み
)
なその
副守
(
ふくしゆ
)
の
魂
(
たま
)
奴
(
め
)
が
酒
(
さけ
)
を
喰
(
くら
)
つて
貴様
(
きさま
)
の
魂
(
たましひ
)
や
身体
(
からだ
)
をわやにするのだ。
095
綺麗
(
きれい
)
サツパリと
御
(
お
)
供
(
そな
)
へしてしまへ』
096
時彦
(
ときひこ
)
『
御
(
お
)
供
(
そな
)
へせよと
言
(
い
)
つたつて
咽
(
のど
)
まで
出
(
で
)
て
来
(
き
)
ても
口
(
くち
)
へは
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ぬのだもの。
097
俺
(
おれ
)
の
腹
(
はら
)
を
切
(
き
)
つたつて
出
(
で
)
て
来
(
き
)
やしないし、
098
どうすれば
好
(
い
)
いのだ。
099
アヽ、
100
甘
(
うま
)
さうな
酒
(
さけ
)
だな、
101
飲
(
の
)
みたい
飲
(
の
)
みたい』
102
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
『
早
(
はや
)
く
御
(
お
)
祭
(
まつり
)
を
始
(
はじ
)
めぬかい』
103
芳彦、時彦
『ハイハイ
今
(
いま
)
始
(
はじ
)
めます。
104
一寸
(
ちよつと
)
手
(
て
)
を
洗
(
あら
)
うて
手水
(
てみづ
)
を
使
(
つか
)
ひまして
嗽
(
うがひ
)
を
致
(
いた
)
します。
105
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
106
田依彦
(
たよりひこ
)
『
貴様
(
きさま
)
らは
狡猾
(
ずる
)
い
奴
(
やつ
)
だナ。
107
嗽
(
うがひ
)
するなンて、
108
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
まうと
思
(
おも
)
つて、
109
早
(
はや
)
くしないか』
110
芳彦
『ハイハイ
友達
(
ともだち
)
の
好
(
よし
)
みで、
111
チツト
許
(
ばか
)
り
大目
(
おほめ
)
に
見
(
み
)
て
呉
(
く
)
れても。
112
好
(
よ
)
ささうなものだなあ』
113
と
芳彦
(
よしひこ
)
は
時彦
(
ときひこ
)
の
耳
(
みみ
)
に
口
(
くち
)
を
寄
(
よ
)
せて
囁
(
ささや
)
く。
114
かくして
祭典
(
さいてん
)
は
無事
(
ぶじ
)
に
済
(
す
)
みけるが、
115
肝腎
(
かんじん
)
の
御
(
お
)
供
(
そな
)
へ
物
(
もの
)
の
魂
(
たま
)
はどうしても
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ない。
116
時彦
(
ときひこ
)
『サア
御
(
お
)
祭
(
まつり
)
が
済
(
す
)
ンだ。
117
約束
(
やくそく
)
の
通
(
とほ
)
り
御
(
お
)
神酒
(
みき
)
を
頂
(
いただ
)
かして
貰
(
もら
)
はうかい』
118
田依彦
(
たよりひこ
)
『まだまだ
待
(
ま
)
てまて、
119
俺
(
おれ
)
のいふ
通
(
とほ
)
りにして
魂
(
たま
)
を
出
(
だ
)
すのだ』
120
と
云
(
い
)
ひながら
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
に
目配
(
めくば
)
せした。
121
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
時彦
(
ときひこ
)
を
後手
(
うしろで
)
に
廻
(
まは
)
し
堅
(
かた
)
く
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げたまふ。
122
田依彦
(
たよりひこ
)
は
芳彦
(
よしひこ
)
の
手
(
て
)
を
後
(
うしろ
)
に
廻
(
まは
)
し、
123
是
(
こ
)
れまた
同
(
おな
)
じく
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げたり。
124
二人
(
ふたり
)
は
泣声
(
なきごゑ
)
を
出
(
だ
)
しながら、
125
時彦、芳彦
『オイ
田依彦
(
たよりひこ
)
、
126
アンマリじやないか。
127
田依
(
たより
)
ない
彦
(
ひこ
)
、
128
頼
(
たよ
)
りに
思
(
おも
)
ふこなさまはナンデこの
様
(
やう
)
に
無情
(
つれな
)
いぞよ。
129
アーン アーン アーン』
130
田依彦
(
たよりひこ
)
『
貴様
(
きさま
)
らは
狂言
(
きやうげん
)
をするのか
馬鹿
(
ばか
)
ツ!
飲
(
の
)
みたけりや
飲
(
の
)
まして
遣
(
や
)
らう』
131
と
言
(
い
)
ひながら、
132
匂
(
にほ
)
ひの
高
(
たか
)
い
甘
(
うま
)
さうな
酒
(
さけ
)
をこの
滝壺
(
たきつぼ
)
から
大
(
だい
)
の
柄杓
(
ひしやく
)
に
汲
(
く
)
み
上
(
あ
)
げて、
133
二人
(
ふたり
)
の
口先
(
くちさき
)
に
交
(
かは
)
る
交
(
がは
)
る
突付
(
つきつ
)
ける。
134
二人
(
ふたり
)
は
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
して
飲
(
の
)
まうとする。
135
田依彦
(
たよりひこ
)
が、
136
田依彦
『ドツコイさうは
行
(
ゆ
)
かぬ』
137
と
後
(
うしろ
)
へ
引
(
ひ
)
く。
138
また
杓
(
しやく
)
を
出
(
だ
)
す。
139
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
す。
140
また
後
(
うしろ
)
へ
引
(
ひ
)
く。
141
突出
(
つきだ
)
す。
142
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
す。
143
杓
(
しやく
)
を
引
(
ひ
)
く。
144
忽
(
たちま
)
ち
時彦
(
ときひこ
)
は「カツ」と
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
した
矢先
(
やさき
)
に、
145
卵
(
たまご
)
の
如
(
ごと
)
き
焼
(
や
)
け
石
(
いし
)
が
飛出
(
とびだ
)
し
滝壺
(
たきつぼ
)
の
中
(
なか
)
に「ジユン」と
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
てて
落込
(
おちこ
)
みける。
146
芳彦
(
よしひこ
)
の
咽
(
のど
)
からもクワツクワツといふ
音
(
おと
)
がして、
147
二
(
ふた
)
つの
焼石
(
やけいし
)
が
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し
滝壺
(
たきつぼ
)
の
中
(
なか
)
に
落込
(
おちこ
)
みける。
148
芳彦
(
よしひこ
)
は、
149
芳彦
『アア
俺
(
おら
)
もう
酒
(
さけ
)
の
匂
(
にほ
)
ひを
嗅
(
か
)
ぐのも
嫌
(
いや
)
になつたよ。
150
酒
(
さけ
)
は
嫌
(
きら
)
ひだよ、
151
酒
(
さけ
)
は
嫌
(
きら
)
ひ
嫌
(
きら
)
ひ』
152
と
首
(
くび
)
を
振
(
ふ
)
りだす。
153
田依彦
(
たよりひこ
)
は、
154
田依彦
『
今迄
(
いままで
)
アレほど
好
(
す
)
きな
酒
(
さけ
)
を
嫌
(
きら
)
ひといふことがあるか、
155
飲
(
の
)
め
飲
(
の
)
め』
156
と
杓
(
しやく
)
を
突出
(
つきだ
)
す。
157
芳彦
(
よしひこ
)
は
悲
(
かな
)
しさうに
泣
(
な
)
き
出
(
だ
)
しける。
158
田依彦
『そんなら
好
(
よ
)
し』
159
と
田依彦
(
たよりひこ
)
は
芳彦
(
よしひこ
)
の
縛
(
いましめ
)
を
解
(
と
)
く。
160
芳彦
(
よしひこ
)
は
目
(
め
)
を、
161
ギロギロさせながら
恨
(
うら
)
めしさうに
酒
(
さけ
)
の
滝壺
(
たきつぼ
)
を
眺
(
なが
)
め
居
(
ゐ
)
る。
162
田依彦
(
たよりひこ
)
はまた
杓
(
しやく
)
に
酒
(
さけ
)
を
汲
(
く
)
ンで
今度
(
こんど
)
は
時彦
(
ときひこ
)
の
鼻
(
はな
)
の
先
(
さき
)
に
突出
(
つきだ
)
す。
163
時彦
(
ときひこ
)
は
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
す。
164
田依彦
(
たよりひこ
)
は、
165
田依彦
『オツトドツコイそれやならぬ』
166
と
杓
(
しやく
)
を
後
(
うしろ
)
へ
引
(
ひ
)
く。
167
また
杓
(
しやく
)
を
出
(
だ
)
す。
168
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
す。
169
また
後
(
うしろ
)
へ
引
(
ひ
)
くと
俄
(
にはか
)
に「クワツクワツクワツ」と
三声
(
みこゑ
)
叫
(
さけ
)
びしその
途端
(
とたん
)
に
咽
(
のど
)
から
焼石
(
やけいし
)
三箇
(
さんこ
)
一度
(
いちど
)
に
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し、
170
酒
(
さけ
)
の
滝壺
(
たきつぼ
)
の
中
(
なか
)
に『ジユンジユンジユン』と
音
(
おと
)
をさせて
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
みにける。
171
田依彦
(
たよりひこ
)
は、
172
田依彦
『サア
時彦
(
ときひこ
)
御
(
お
)
祭
(
まつり
)
は
済
(
す
)
ンだ。
173
御
(
お
)
供物
(
そなへもの
)
も
是
(
こ
)
れで
終
(
しま
)
ひだ。
174
何
(
なん
)
ぼなと
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
め』
175
と
杓
(
しやく
)
に
酒
(
さけ
)
を
汲
(
く
)
ンで
口
(
くち
)
の
辺
(
はた
)
へ
持
(
も
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
176
時彦
(
ときひこ
)
は
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ
口
(
くち
)
を
閉
(
と
)
ぢ、
177
首
(
くび
)
を
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
つて、
178
時彦
『もうもう
酒
(
さけ
)
は
匂
(
にほ
)
ひを
利
(
き
)
くのも
嫌
(
いや
)
だ。
179
酒
(
さけ
)
は
嫌
(
きら
)
ひだ、
180
勘忍
(
かんにん
)
々々
(
かんにん
)
』
181
と
頭
(
あたま
)
を
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
る。
182
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
時彦
(
ときひこ
)
の
縛
(
いましめ
)
を
解
(
と
)
きけるが、
183
是
(
こ
)
れぎり
二人
(
ふたり
)
は
酒
(
さけ
)
の
匂
(
にほ
)
ひを
嗅
(
か
)
ぐのも
嫌
(
いや
)
になりたりける。
184
ここに
時彦
(
ときひこ
)
、
185
芳彦
(
よしひこ
)
は
竜宮島
(
りうぐうじま
)
の
宮
(
みや
)
の
造営
(
ざうえい
)
を
命
(
めい
)
ぜられ、
186
「
久久
(
くくの
)
神
(
かみ
)
、
187
久木
(
くきの
)
神
(
かみ
)
」といふ
名
(
な
)
を
貰
(
もら
)
つて
住家
(
すみか
)
を
造
(
つく
)
る
役目
(
やくめ
)
となりぬ。
188
(
大正一一・一・三一
旧一・四
谷村真友
録)
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