霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二七章 蓄音器(ちくおんき)〔三二七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻 篇:第5篇 亜弗利加 よみ(新仮名遣い):あふりか
章:第27章 蓄音器 よみ(新仮名遣い):ちくおんき 通し章番号:327
口述日:1922(大正11)年02月01日(旧01月05日) 口述場所: 筆録者:谷村真友 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
小島別はこれは邪神の声でないと悟り、岩窟の神の御名を問うた。しかし岩窟の声はますます小島別を譴責する。
小島別はしきりに赦しを懇願するが、神の声はますます激烈になる。最後に岩窟は百雷の一時にとどろくような大音響を立てて唸り始め、小島別は驚いて大地にぺたりと倒れこんだ。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-06 18:56:13 文字数:3401 OBC :rm0727
愛善世界社版:166頁 八幡書店版:第2輯 94頁 修補版: 校定版:172頁 普及版:71頁 初版: ページ備考:
001 小島別(こじまわけ)はこの巌窟(がんくつ)の中(なか)より出(いづ)る声(こゑ)に、002合点(がつてん)ゆかぬといふ身振(みぶ)りをしながら、003以前(いぜん)の元気(げんき)に引(ひき)かへて、004虫(むし)のやうな声(こゑ)を搾(しぼ)り出(だ)し、
005小島別『さう仰有(おつしや)る貴方(あなた)様(さま)は果(はた)して何(いづ)れの神(かみ)に坐(ま)しますや、006御(おん)名(な)を名告(なの)らせ給(たま)へ』
007 巌窟(がんくつ)の中(なか)より大声(おほごゑ)にて又(また)も、
008声『アハヽヽヽヽ、009あかぬあかぬまだ改心(かいしん)はできぬ。010オホヽヽヽヽ恐(おそ)ろしい渋太(しぶとい)奴(やつ)ぢやな、011ウフヽヽヽヽ浮(う)か浮(う)かするな、012この世(よ)は悪魔(あくま)の巣窟(さうくつ)ぞ、013エヘヽヽヽヽ豪(えら)さうに威張(ゐば)つて歩(ある)く宣伝使(せんでんし)、014頭(あたま)の先(さき)から足許(あしもと)まで好(よ)く気(き)をつけよ。015イヒヽヽヽヽ威張(ゐばり)散(ち)らして竜宮(りうぐう)の小島別(こじまわけ)の宣伝使(せんでんし)、016カヽヽヽヽ必(かなら)ず神(かみ)を鰹節(かつをぶし)にいたすなよ、017コヽヽヽヽ小島別(こじまわけ)の盲(めくら)ども、018クヽヽヽヽ腐(くさ)つた魂(たま)の宣伝使(せんでんし)、019臭(くさ)い物(もの)に蓋(ふた)して歩(ある)く小島別(こじまわけ)、020ケヽヽヽヽ見当(けんたう)の取(と)れぬ神(かみ)の仕組(しぐみ)、021好(よ)く味(あぢ)はうておくがよい、022キヽヽヽヽ気違(きちが)ひじみた小島別(こじまわけ)、023真(まこと)の神(かみ)が気(き)をつける内(うち)に改心(かいしん)いたすが好(よ)いぞ、024サヽヽヽヽさらりと迷(まよ)ひを覚(さ)ませ小島別(こじまわけ)、025天(あめ)の探女(さぐめ)の仲間入(なかまいり)をいたすな、026ソヽヽヽヽ損(そん)と思(おも)へば手(て)も出(だ)さぬ、027我身(わがみ)の徳(とく)と思(おも)つたら牛(うし)の骨(ほね)でも手(て)を出(いだ)す、028欲心坊(よくしんばう)の小島別(こじまわけ)、029スヽヽヽヽ好(す)きぢや嫌(きら)ひと人(ひと)に区別(くべつ)を立(た)てる宣伝使(せんでんし)。030セヽヽヽヽ脊(せ)に腹(はら)は替(か)へられぬと甘(うま)い言葉(ことば)に遁(にげ)を打(う)つて薄志(はくし)弱行(じやくかう)の張本人(ちやうほんにん)、031シヽヽヽヽ知(し)らぬ事(こと)をば知(し)つたやうに法螺(ほら)吹(ふ)き歩(ある)く宣伝使(せんでんし)』
032 小島別(こじまわけ)は縮(ちぢみ)上(あが)り、
033小島別『何(いづ)れの神(かみ)様(さま)か知(し)りませぬが、034もう改心(かいしん)いたします、035これで許(こ)らえて下(くだ)さいませ』
036声『タヽヽヽヽ』
037小島別『もう沢山(たくさん)です、038どうぞ御免(ごめん)を蒙(かうむ)ります、039骨身(ほねみ)にこたへますワ』
040 穴(あな)の中(なか)より、
041声『沢山(たくさん)でない、042まだまだあるぞ、043七十五(しちじふご)声(せい)の有(あ)らむかぎり教(をし)へてやらねば目(め)が覚(さ)めぬ、044トヽヽヽヽ当惑顔(たうわくがほ)の宣伝使(せんでんし)栃麺棒(とちめんぼう)の小島別(こじまわけ)、045トツクリ思案(しあん)をするが好(よ)い、046トテも逃(のが)れぬ此(この)場(ば)の仕儀(しぎ)、047トコヨの国(くに)に遣(や)つてしもうか、048トテも改心(かいしん)は覚束(おぼつか)ないぞ、049ツヽヽヽヽ月夜(つきよ)に釜(かま)を抜(ぬ)かれた様(やう)につまらぬ面(つら)した小島別(こじまわけ)、050掴(つか)まえ所(どころ)の無(な)いやうな道(みち)にはづれた宣伝使(せんでんし)、051テヽヽヽヽ手柄顔(てがらがほ)して世(よ)の中(なか)を廻(まは)つて歩(ある)く宣伝使(せんでんし)、052チヽヽヽヽ智慧(ちゑ)も力(ちから)もない癖(くせ)に、053チツトの手柄(てがら)を笠(かさ)に被(き)て、054力(ちから)の自慢(じまん)の宣伝使(せんでんし)。055ナヽヽヽヽ長(なが)い間(あひだ)の慢神(まんしん)でお道(みち)のために艱難(かんなん)苦労(くらう)、056救(すく)ひのためとは何(なに)の囈語(たわごと)、057情(なさけ)ないぞよ、058思(おも)へば思(おも)へば涙(なみだ)がこぼれる小島別(こじまわけ)、059ノヽヽヽヽ喉(のど)から血(ち)を吐(は)く神(かみ)の胸(むね)、060よう汲(く)みとらぬ宣伝使(せんでんし)、061ヌヽヽヽヽぬかるな気(き)をつけ小島別(こじまわけ)、062ネヽヽヽヽ熱心(ねつしん)らしく見(み)せかけて此(この)世(よ)を誑(たば)かる小島別(こじまわけ)、063ニヽヽヽヽ日天(につてん)様(さま)に叱(しか)られて、064目(め)さへ不自由(ふじゆう)な小島別(こじまわけ)』
065小島別『何(いづ)れの神(かみ)様(さま)か存(ぞん)じませぬがもう沢山(たくさん)でございます、066これで御(お)赦(ゆる)しを願(ねが)ひます』
067 岩窟(いはや)の中(なか)より一層(いつそう)大(おほ)きな声(こゑ)で、
068声『ハヽヽヽヽ耻(はづ)かしいか、069腹(はら)が立(た)つか、070神(かみ)の言葉(ことば)に歯節(はぶし)はたつまい、071ホヽヽヽヽほうけ面(づら)して常世(とこよ)の国(くに)より竜宮城(りうぐうじやう)へ、072肩(かた)怒(いか)らして帰(かへ)つて来(き)た小島別(こじまわけ)の信天翁(あはうどり)、073フヽヽヽヽぶるぶる振(ふる)ふ頭(あたま)をかくしあやまり入(い)つた宣伝使(せんでんし)、074ヘヽヽヽヽ屁(へ)つぴり腰(ごし)の小島別(こじまわけ)、075へなへな腰(ごし)の宣伝使(せんでんし)、076ヒヽヽヽヽ日暮(ひぐれ)に企(たく)みた梟鳥(ふくろどり)、077夜食(やしよく)にはづれて小難(こむつ)かしい面(つら)をさらした小島別(こじまわけ)』
078小島別『もうもう沢山(たくさん)でございます、079解(わか)りました、080貴神(あなた)はウヽヽヽウシトヽヽヽトラ』
081 岩窟(いはや)の中(なか)より、
082声『マヽヽヽヽ待(ま)て待(ま)て、083まだある まだある まだあるぞ、084曲津(まがつ)の正体(しやうたい)ひきむいて呉(く)れる、085盲目(まうもく)の宣伝使(せんでんし)、086老碌爺(おいぼれぢぢ)の小島別(こじまわけ)、087ムヽヽヽヽ無理(むり)と思(おも)ふか小島別(こじまわけ)、088虫(むし)が好(す)くまい此(この)方(はう)の言葉(ことば)、089無理(むり)と思(おも)ふか無理(むり)ではないぞ、090昔(むかし)昔(むかし)の其(そ)の昔(むか)し、091古(ふる)き神世(かみよ)の昔(むか)しより此(この)世(よ)を守(まも)る無限(むげん)絶対(ぜつたい)の生神(いきがみ)、092この方(はう)の姿(すがた)は見(み)えたか。093メヽヽヽヽ盲(めくら)の分際(ぶんざい)で神(かみ)の姿(すがた)は解(わか)るまい。094ミヽヽヽヽ見(み)えぬは道理(だうり)目(め)の帳(とばり)、095かき上(あ)げて神(かみ)の光(ひかり)を身(み)に宿(やど)せ、096ヤヤヽヽヽ大和(やまと)魂(だましひ)と申(まを)せども、097汝(なんぢ)の魂(たましひ)は曇(くも)り切(き)りたるやまこ騙(だまし)、098知(し)らず識(し)らずの間(あひだ)に世人(よびと)を迷(まよ)はし騙(だま)すやまこの立派(りつぱ)な宣伝使(せんでんし)、099ヨヽヽヽヽ世(よ)の中(なか)に鬼(おに)は居(ゐ)ないと申(まを)して歩(ある)く腰抜(こしぬけ)の宣伝使(せんでんし)、100鬼(おに)は在(あ)るぞよ、101この鬼神(おにがみ)の姿(すがた)が見(み)えぬか、102ユヽヽヽヽ幽霊(いうれい)の如(ごと)きフナフナ腰(ごし)で神(かみ)の大道(たいだう)を開(ひら)くとは片腹痛(かたはらいた)い、103エエヽヽヽ縁(えにし)の糸(いと)に繋(つな)がれて、104斯程(かほど)に曇(くも)つた魂(たましひ)さへ、105神(かみ)から綱(つな)をかけられて助(たす)けてもらうた小島別(こじまわけ)、106イヽヽヽヽ何時(いつ)まで言(い)うても同(おな)じ事(こと)、107今日(けふ)かぎり宣伝使(せんでんし)の役(やく)をサツパり返上(へんじやう)せよ、108言分(いひぶん)あるか、109違背(ゐはい)があるか、110何(いづ)れになりと返答(へんたふ)聞(き)かう』
111小島別『ハイハイどうも仕方(しかた)がありませぬ、112平(ひら)あやまりにあやまります、113臍(へそ)の緒(を)切(き)つてから、114こんな薄(うす)い目(め)に逢(あ)うた事(こと)はありませぬワ、115どうなりと神(かみ)様(さま)の思召(おぼしめ)しにして下(くだ)さい』
116声『ラヽヽヽヽ乱心(らんしん)賊子(ぞくし)とは貴様(きさま)のこと、117これしきの小言(こごと)に膽(きも)を潰(つぶ)し難(なん)を避(さ)け、118易(やす)きにつかむといたす卑劣(ひれつ)極(きは)まる宣伝使(せんでんし)、119リヽヽヽヽ理屈(りくつ)ばかり並(なら)べたて月日(つきひ)をくらす小島別(こじまわけ)、120ルヽヽヽヽ累卵(るいらん)の危(あやふ)きこの世(よ)を振捨(ふりす)て、121我身(わがみ)の安全(あんぜん)を謀(はか)る卑怯(ひけふ)未練(みれん)の宣伝使(せんでんし)、122レヽヽヽヽ連木(れんぎ)で腹(はら)を切(き)る様(やう)なその場(ば)逃(のが)れの言訳(いひわけ)いたす狡猾(かうくわつ)至極(しごく)の小島別(こじまわけ)、123ロヽヽヽヽ碌(ろく)でもない囈言(たわごと)世界(せかい)にひろむる小島別(こじまわけ)、124ワヽヽヽヽ我身(わがみ)の目的(しがく)ばかり日(ひ)に夜(よ)に企(たく)む小島別(こじまわけ)』
125小島別『モモヽ何(な)ンぼ神(かみ)様(さま)でもあまりでございます。126神(かみ)様(さま)は善言(ぜんげん)美詞(びし)を御(お)使(つか)ひ遊(あそ)ばす筈(はず)だのに、127あなたは乱言(らんげん)暴語(ばうご)を仰有(おつしや)いますが……』
128声『イヒヽヽヽヽ痛(いた)いか痛(いた)いか耳(みみ)が痛(いた)からう、129ウフヽヽヽヽうつかり聞(き)いて後悔(こうくわい)するな、130浮世(うきよ)の暗(やみ)に彷徨(さまよ)ふ汝(なんぢ)、131狼狽者(うろたへもの)の宣伝使(せんでんし)、132ヱヘヽヽヽヽ』
133小島別『モモもうこらへて下(くだ)さいませ』
134 巌窟(がんくつ)の中(なか)より、
135声『えぐいと思(おも)ふか俺(おれ)の言葉(ことば)、136ヰヒヽヽヽヽ命(いのち)が惜(を)しいか小島別(こじまわけ)、137忌々(いまいま)しいか、138意見(いけん)が合(あ)はぬか、139鼬(いたち)の最後屁(さいごぺ)、140以後(いご)は必(かなら)ず慎(つつし)めよ。141ガヽヽヽヽ我(が)が折(を)れねば餓鬼道(がきだう)に落(おと)してやるが、142ギヽヽヽヽ義理(ぎり)も人情(にんじやう)も弁(わきま)へ知(し)らぬ宣伝使(せんでんし)なら止(や)めて置(お)け、143グヽヽヽヽ愚(ぐ)にもつかない世迷言(よまいごと)、144愚図(ぐづ)愚図(ぐづ)いたすと日(ひ)が暮(くれ)るぞ、145ゲヽヽヽヽ元気(げんき)の無(な)さそなその面附(つらつき)、146ゴヽヽヽヽ劫託(ごふたく)並(なら)べたその報(むく)い、147ザヽヽヽヽ醜体(ざま)さらされて耻(はぢ)をかく、148ジヽヽヽヽ自業(じごう)自得(じとく)だ小島別(こじまわけ)、149ズヽヽヽヽ図抜(ずぬ)けた馬鹿(ばか)の分際(ぶんざい)で、150づうづうしくも天下(てんか)を廻(まは)る宣伝使(せんでんし)、151ゼヽヽヽヽ善(ぜん)と悪(あく)とを弁(わきま)へよ、152善(ぜん)に見(み)へても悪(あく)もあり、153悪(あく)と見(み)えても善(ぜん)がある、154善(ぜん)と悪(あく)との真釣(まつ)り合(あ)ひ、155ゾヽヽヽヽ存外(ぞんぐわい)渋太(しぶと)い宣伝使(せんでんし)、156これでも改心(かいしん)いたさぬか』
157小島別『モシモシもう改心(かいしん)いたします。158あまりと言(い)へば余(あま)りの雑言(ざふごん)、159御(ご)無礼(ぶれい)ではございませぬか』
160声『ダヽヽヽヽ黙(だま)つて聞(き)いてをれ、161神(かみ)をだしに致(いた)したその報(むく)い、162ヂヽヽヽヽ地震(ぢしん)、163雷(かみなり)、164火(ひ)の車(くるま)、165好(よ)くも駄法螺(だぼら)を吹(ふ)きをつたナ。166ヅヽヽヽヽ図抜(づぬ)けた間抜(まぬ)けの宣伝使(せんでんし)。167デヽヽヽヽデンデン虫(むし)の角(つの)生(はや)し、168理屈(りくつ)を争(あらそ)ふ小癪面(こしやくづら)、169ドヽヽヽヽ』
170小島別『ドヽヽドウも恐(おそ)れ入(い)りました、171どうも恐(おそ)れ入(いり)ました。172何卒(どうぞ)これで御(お)赦(ゆる)し下(くだ)さいませ、173どうもかうも頭(あたま)が痛(いた)くて堪(たま)りませぬ』
174 巌窟(がんくつ)の中(なか)より、
175声『胴欲(どうよく)と思(おも)ふか、176何処(どこ)の何国(いづく)へ行(い)つたとて、177度胸(どきよう)の据(すは)らぬ宣伝使(せんでんし)、178どうして道教(だうけう)が開(ひら)けやうか、179バヽヽヽヽ馬鹿(ばか)を尽(つく)すも程(ほど)がある、180馬鹿(ばか)に与(あた)ふる薬(くすり)はないぞ、181米搗(こめつ)きバツタの腰(こし)のやうに稚桜姫(わかざくらひめ)の目(め)の前(まへ)で腰(こし)をぺこぺこ何(なん)の態(ざま)』
182小島別『モシモシ、183岩(いは)の神(かみ)様(さま)、184もう沢山(たくさん)でございます。185昔(むかし)の棚卸(たなおろし)までなさいまして、186大勢(おほぜい)の前(まへ)でございます、187私(わたくし)の顔(かほ)は丸潰(まるつぶ)れ、188チツトは大慈(だいじ)大悲(だいひ)の御心(みこころ)に、189この世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)、190心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)、191ただ何事(なにごと)も人(ひと)の世(よ)は、192直霊(なほひ)に見直(みなほ)せ聞(き)き直(なほ)せ、193身(み)の過(あやまち)は宣(の)り直(なほ)せぢやございませぬか』
194 岩窟(がんくつ)の中(なか)より、
195声『ヂヽヽヽヽヂツクリ聞(き)かぬか、196ヂレツタイか、197地震(ぢしん)の孫(まご)め、198ビヽヽヽヽ貧乏(びんばふ)動(ゆる)ぎもさせぬぞよ、199ブヽヽヽヽ仏頂面(ぶつちやうづら)の宣伝使(せんでんし)、200武運(ぶうん)の尽(つ)きた小島別(こじまわけ)、201ベヽヽヽヽ便所(べんじよ)の掃除(さうぢ)が性(しやう)に合(あ)ふ、202尻(しり)の締(しま)りのつかぬ宣伝使(せんでんし)、203ボヽヽヽヽ呆(ぼけ)た面(つら)してボロボロ涙(なみだ)、204パヽヽヽヽパツパ一服(いつぷく)するがよい』
205小島別『ハイハイ有難(ありがた)う、206やれやれアアもうこれで済(す)みたか、207長(なが)い岩(いは)のやうな堅(かた)い御(お)説教(せつけう)を曲津(まがつ)か何(なに)が云(い)ふのか知(し)らぬが、208ほンたうに豪(えら)い目(め)に会(あ)はして、209どつさり油(あぶら)を搾(と)りよつた。210しかし俺(おれ)は夢(ゆめ)でも見(み)て居(ゐ)やせぬかな、211一寸(ちよつと)頬(ほほ)べたを捻(ひね)つて見(み)よう。212アヽ矢張(やつぱ)り痛(いた)いな、213一体(いつたい)全体(ぜんたい)岩(いは)の前(まへ)で何(なん)のことだい。214岩(いは)ぬは言(い)ふに弥(いや)まさるが、215この岩(いは)はほンたうに怪体(けつたい)な巌窟(がんくつ)だ、216まるで天然(てんねん)の安(やす)い蓄音器(ちくおんき)見(み)た様(やう)だワイ。217オイ蓄音器(ちくおんき)先生(せんせい)、218ヤイ俺(おれ)は天下(てんか)晴(は)れての宣伝使(せんでんし)だぞ、219俺(おれ)でもお前(まへ)の言(い)ふやうな事(こと)は何(なん)でも言(い)へるわい。220なンぼなと言(い)へ』
221声『ピヽヽヽヽ』
222小島別『ヨー、223なンだ鵯(ひよどり)でも居(を)るのかな、224オイ鵯(ひよどり)の谷渡(たにわた)り、225いくらでもピヽと囀(さへづ)れ、226天下(てんか)晴(は)れての宣伝使(せんでんし)だぞ、227俺(おれ)が黙(だま)つて聞(き)いてやつて居(を)れば、228調子(てうし)に乗(の)りよつて殆(ほとん)ど言霊(ことたま)の七十五(しちじふご)声(せい)を並(なら)べよつた、229仕舞(しまひ)に往生(わうじやう)しよつて何(なん)の醜態(ざま)だい、230腹(はら)下(くだ)りが雪隠(せんち)に行(い)つたやうにピヽヽヽヽそら何(なん)の態(ざま)だ、231穴(けつ)が呆(あき)れて雪隠(せつちん)が躍(をど)るわ』
232 このとき巌窟(がんくつ)は百雷(ひやくらい)の一(いち)時(じ)に轟(とどろ)く如(ごと)き大音響(だいおんきやう)を立(た)てて唸(うな)り出(だ)したりければ、233小島別(こじまわけ)は心砕(しんくだ)け魂消(たまき)ゆる許(ばか)りに驚(おどろ)きて大地(だいち)にぺたりと倒(たふ)れける。
234(大正一一・二・一 旧一・五 谷村真友録)
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