霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 弱腰(よわごし)男(をとこ)〔三〇九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻 篇:第2篇 白雪郷 よみ(新仮名遣い):はくせつきょう
章:第9章 弱腰男 よみ(新仮名遣い):よわごしおとこ 通し章番号:309
口述日:1922(大正11)年01月30日(旧01月03日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
日の出神は一度天教山に登り、青木ケ原の木の花姫の宮に至った。これまでの宣伝の旅を木の花姫命に報告した。木の花姫は深く感賞し、常世の国への出発を命じたのである。
日の出神は撞の御柱の神、天の御柱の神に謁し、種々の神勅をこうむり、欣然として再び宣伝の途についた。
田子の浦より出港し、青雲山のある月氏国の浜で、一ケ月停泊しなければならないことになった。日の出神は無聊のため、山に分け入って宣伝を試みた。
ここは青雲山の山続き、白雪山である。山野は青々と鳥は啼き歌い、のどかな場所である。日の出神は終日宣伝歌を歌い、くたびれて路傍の草花に身を横たえて、空を眺めていた。
そこへ二三の里人(八、六、鹿)が走ってきて、宣伝使を見ると、仰天して打ち倒れた。日の出神は何事かと問いかけた。
里人が答えて言うに、村は三五教の女宣伝使の感化によって皆が三五教を新興していたが、そこへ今日、大中教の宣伝使たちがやってきて、三五教の女宣伝使を誘拐した上、酋長夫婦を木に縛りつけ、村人に改宗を迫って脅迫している、という。
里人たちは何とか逃げてきたが、日の出神を大中教の宣伝使と間違えて、驚いたのであった。日の出神が、自分は三五教の宣伝使であると告げ、村に案内するようにと伝えた
しかし、三五教の加勢がたったひとりであることから、腰が引けている。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:2028 OBC :rm0709
愛善世界社版:53頁 八幡書店版:第2輯 54頁 修補版: 校定版:57頁 普及版:22頁 初版: ページ備考:
001 日(ひ)の出神(でのかみ)はそれより天教山(てんけうざん)に登(のぼ)り、002青木(あをき)ケ原(はら)の木(こ)の花姫宮(はなひめのみや)に致(いた)りて今(いま)までの神教(しんけう)宣伝(せんでん)の経過(けいくわ)を詳細(しやうさい)に物語(ものがた)りしが、003木(こ)の花姫(はなひめ)は深(ふか)く感賞(かんしやう)し、004再(ふたた)び常世国(とこよのくに)に出発(しゆつぱつ)を命(めい)じたまひける。005日(ひ)の出神(でのかみ)は撞(つき)の御柱(みはしら)の神(かみ)および天(あめ)の御柱(みはしら)の神(かみ)に謁(えつ)し、006種々(しゆじゆ)の神勅(しんちよく)を蒙(かうむ)り、007欣然(きんぜん)として再(ふたた)び宣伝(せんでん)の途(と)に就(つ)きにける。
008 田子(たご)の浦(うら)より今(いま)や常世国(とこよのくに)に向(むか)つて出帆(しゆつぱん)せむとする常世丸(とこよまる)の船客(せんきやく)となりぬ。009船中(せんちう)には数多(あまた)の人々(ひとびと)、010あるひは唐国(からくに)へ、011あるひは常世国(とこよのくに)へ通(かよ)ふべく満乗(まんじやう)しゐたり。012波(なみ)は静(しづ)かに風(かぜ)凪(な)ぎわたる海原(うなばら)を西(にし)へ西(にし)へと進(すす)み行(ゆ)く。013静(しづ)けき海(うみ)に漂(ただよ)ふこと数十(すうじふ)日(にち)、014遂(つひ)に青雲山(せいうんざん)のある月氏国(げつしこく)の浜辺(はまべ)に到着(たうちやく)し、015此処(ここ)に一同(いちどう)は上陸(じやうりく)して船路(ふなぢ)の疲(つか)れを休(やす)めける。016この船(ふね)は風(かぜ)の吹(ふ)き廻(まは)しの都合(つがふ)により一(いつ)ケ月(げつ)ばかりこの港(みなと)に碇泊(ていはく)するの止(や)むを得(え)ざるに立(た)ちいたりぬ。017日(ひ)の出神(でのかみ)は無聊(むれう)に苦(くる)しみ山(やま)深(ふか)く分(わ)け入(い)りて此(この)地(ち)に宣伝(せんでん)を試(こころ)みける。
018 此処(ここ)は青雲山(せいうんざん)の山(やま)つづき、019白雪山(はくせつざん)といふ小高(こだか)き山(やま)の麓(ふもと)にして、020山野(さんや)は青々(あをあを)と種々(しゆじゆ)の草木(くさき)の花(はな)は所狭(ところせ)きまでに咲(さ)き乱(みだ)れ居(を)り、021胡蝶(こてふ)の花(はな)に戯(たはむ)る姿(すがた)、022鳥(とり)の梢(こずゑ)に飛(と)び交(か)ひて唄(うた)ふ声(こゑ)、023実(じつ)に長閑(のどか)さの限(かぎ)りなり。024日(ひ)の出神(でのかみ)は長(なが)き日(ひ)を終日(しうじつ)宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ひ、025遂(つひ)に草臥(くたび)れて眠気(ねむけ)を催(もよほ)し、026路傍(ろばう)の草花(くさばな)の中(なか)に身(み)を横(よこた)へ腕(うで)を枕(まくら)にしながら、027淡(あは)き雲(くも)の散(ち)り行(ゆ)くを眺(なが)めつつありぬ。028ここは白雪山(はくせつざん)の山口(やまぐち)なりき。029かかる所(ところ)へ二三(にさん)の里人(さとびと)と見(み)えて息(いき)を喘(はづ)ませながら走(はし)り来(きた)り、030路傍(ろばう)に横臥(わうぐわ)せる宣伝使(せんでんし)の姿(すがた)を見(み)て両手(りやうて)をひろげ大口(おほぐち)を開(あ)け、
031『アツ』
032とばかりに仰天(ぎやうてん)し、033その場(ば)に打(う)ち倒(たふ)れける。034日(ひ)の出神(でのかみ)は怪(あや)しみて、
035『汝(なんぢ)なに故(ゆゑ)なれば、036わが姿(すがた)を見(み)て驚(おどろ)くか』
037と尋(たづ)ぬるに、
038甲(かふ)『貴下(あなた)はウラ、039ウラ、040ウラル彦(ひこ)の、041カヽ神(かみ)様(さま)の御(ご)家来(けらい)の宣伝使(せんでんし)様(さま)ではありませぬか。042どゝどゝどうぞ此(この)場(ば)は見逃(みのが)して下(くだ)さいませ。043私(わたくし)は何(なに)も彼(か)も包(つつ)み隠(かく)さず申上(まをしあげ)ます。044先(さき)つ頃(ころ)より此(この)村(むら)に三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)祝姫(はふりひめ)と云(い)ふ、045それはそれは美(うつく)しい女性(ぢよせい)の宣伝使(せんでんし)が現(あら)はれて、046色々(いろいろ)のことを教(をし)へて呉(く)れまして、047わが里(さと)の酋長(しうちやう)をはじめ、048老若(らうにやく)男女(なんによ)は一人(ひとり)も残(のこ)らずこの山奥(やまおく)の岩神(いはがみ)の前(まへ)に寄(よ)り集(あつ)まり、049その女性(ぢよせい)を中(なか)に、050種々(しゆじゆ)の結構(けつこう)な話(はなし)を承(うけたま)はりつつありました。051酋長(しうちやう)夫婦(ふうふ)はすつかりその言葉(ことば)に感心(かんしん)いたして白雪郷(はくせつきやう)は一人(ひとり)も残(のこ)らず三五教(あななひけう)の神(かみ)様(さま)を祭(まつ)る事(こと)となりました。052今日(けふ)もその祭(まつり)を行(おこな)つて居(を)ります所(ところ)へ、053ウラル彦(ひこ)の宣伝使(せんでんし)が現(あら)はれ、054その女性(ぢよせい)を掠奪(ふんだく)つて山(やま)の奥(おく)へ連(つ)れて行(い)つてしまひ、055私(わたくし)らの酋長(しうちやう)夫婦(ふうふ)は大木(たいぼく)に縛(しば)りつけられて了(しま)ひました。056さうして逃(に)げるなら逃(に)げて見(み)よ、057皆(みな)の奴(やつ)共(ども)、058この山(やま)はウラル彦(ひこ)の宣伝使(せんでんし)が取(と)り巻(ま)いてをるから、059今(いま)この場(ば)ですつかり三五教(あななひけう)を捨(す)てて、060大中教(だいちうけう)の神(かみ)を祭(まつ)ればよし、061違背(ゐはい)に及(およ)ばば、062酋長(しうちやう)を始(はじ)め皆(みな)の奴(やつ)を亡(ほろ)ぼして了(しま)うと、063いかい眼(め)を剥(む)いて呶鳴(どな)られました。064私(わたくし)はやうやくに虎口(ここう)を逃(のが)れて此処(ここ)まで来(く)ることは来(き)ましたが、065たうとう大中教(だいちうけう)の宣伝使(せんでんし)様(さま)に見(み)つけられました。066どうぞ命(いのち)ばかりはお助(たす)け下(くだ)さい』
067と涙(なみだ)を流(なが)して泣(な)き入(い)るを、068日(ひ)の出神(でのかみ)は驚(おどろ)いて、069むつくと立(た)ち上(あが)り、
070『我(われ)は三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)なり。071これより汝(なんぢ)らの里人(さとびと)を救(すく)ひ与(あた)へむ。072疾(と)く案内(あんない)せよ』
073と云(い)ひつつ再(ふたた)び宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ひ始(はじ)めたるに、074甲乙丙(かふおつへい)の三(さん)人(にん)は俄(にはか)に元気(げんき)づき、
075乙(おつ)『サアもう大丈夫(だいぢやうぶ)だ。076それだから酋長(しうちやう)様(さま)が、077どンな事(こと)があつてもこの神(かみ)様(さま)に離(はな)れな、078叶(かな)はぬ時(とき)はきつと助(たす)けて下(くだ)さると仰有(おつしや)つたぢやないか。079それに何(なん)だよ貴様(きさま)は最前(さいぜん)も最前(さいぜん)とて、080肝腎(かんじん)の宣伝使(せんでんし)は引攫(ひつさら)はれてゆく、081信仰(しんかう)の強(つよ)い酋長(しうちやう)夫婦(ふうふ)は木(き)に縛(しば)られて居(を)つても、082三五教(あななひけう)の神(かみ)様(さま)は助(たす)けて呉(く)れやしない、083やはり長(なが)いものには捲(ま)かれよと云(い)ふことがある、084今(いま)までの信仰(しんかう)をサラリと止(や)めて、085大中教(だいちうけう)に入(はい)らうぢやないかと、086たつた今(いま)泣(な)き面(づら)かわいてほざきよつた癖(くせ)に、087今(いま)の元気(げんき)たら何(なん)のことだい』
088丙(へい)『そりや貴様(きさま)のことだよ、089現(げん)にいま貴様(きさま)さう云(い)つたぢやないか。090宣伝使(せんでんし)様(さま)に告(つ)げられたら耐(たま)らぬと思(おも)ひよつて、091俺(おれ)が云(い)つたやうに宣伝使(せんでんし)様(さま)に思(おも)はせやうたつて、092そンなことは生神(いきがみ)様(さま)ぢや、093よく御存(ごぞん)じだぞ』
094乙(おつ)『先(さき)ンずれば人(ひと)を制(せい)す。095貴様(きさま)が喋(しやべ)らぬ間(うち)に俺(おれ)の方(はう)から先鞭(せんべん)をつけたのだ』
096 甲(かふ)は低(ひく)い声(こゑ)で、
097『オイ貴様(きさま)ら、098さう喜(よろこ)ンだつて先方(むかう)は多勢(たぜい)、099此方(こちら)は一人(ひとり)の宣伝使(せんでんし)だ。100何程(なにほど)強(つよ)いかつて高(たか)が知(し)れて居(を)る。101この宣伝使(せんでんし)も女性(ぢよせい)のやうにふん縛(じば)られて、102山奥(やまおく)に連(つ)れて行(い)かれる連中(れんぢう)であらうも知(し)れぬぜ。103あまり喜(よろこ)ぶな考(かんが)へものだぞ』
104 乙(おつ)丙(へい)溜息(ためいき)を吐(つ)きながら、
105『さうかなあ、106困(こま)つたものだよ。107しかしお手際(てぎは)をまだ拝見(はいけん)せないのだから、108そつと見(み)えかくれに跟(つ)いて行(い)つたらどうだい』
109 日(ひ)の出神(でのかみ)は、
110『オイ、111三(さん)人(にん)の者(もの)、112何(なに)を分(わか)らぬ事(こと)をいつて居(を)るか。113早(はや)く先(さき)に立(た)つて案内(あんない)をせよ。114心(こころ)が焦(せ)く』
115甲(かふ)『貴神(あなた)、116大丈夫(だいぢやうぶ)ですか。117それはそれはオトロしい奴(やつ)が沢山(たくさん)をりますぜ』
118と指(ゆび)をつき出(だ)しながら、
119『この山(やま)をツーとかう行(い)つてかう曲(まが)つて、120又(また)かう曲(まが)つて、121かう、122かう、123かう、124ツーとお出(いで)なさいましたら其処(そこ)に皆(みな)が縛(しば)られて頭(あたま)をはられたり、125突(つ)かれたり、126猿(さる)が責(せ)められたやうに、127キヤツキヤツ云(い)うて居(ゐ)ます。128その声(こゑ)を便(たよ)りにとつととお越(こ)しやす。129左様(さやう)なら』
130と尻引(しりひ)きからげ逃(に)げむとする。131日(ひ)の出神(でのかみ)は、
132『オイ待(ま)て』
133と云(い)ひながら襟髪(えりがみ)をむんづと掴(つか)みける。
134(大正一一・一・三〇 旧一・三 加藤明子録)
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