霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二章 銅木像(どうもくぞう)〔五五二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第14巻 如意宝珠 丑の巻 篇:第1篇 五里夢中 よみ(新仮名遣い):ごりむちゅう
章:第2章 銅木像 よみ(新仮名遣い):どうもくぞう 通し章番号:552
口述日:1922(大正11)年03月23日(旧02月25日) 口述場所: 筆録者:谷村真友 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年11月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一行が脱衣婆に別れを告げて西へと進んで行くと、山に行く手をさえぎられた。天津祝詞をあげると、山は数十里の彼方へと退散して道が開けた。
突然、土中から見上げるばかりの大きさの銅木像が現れた。銅木像は、自分は機械であって、腹の中へ入れば機械装置で自分を操ることができるのだ、と告げた。源五郎は鼻の穴から銅木像に入って操ることになった。
源五郎が入った銅木像は、自分はウラル教の大目付だと大声を放つと、鼻の穴から黒煙を噴出した。次に、水洟を滅茶苦茶に四方八方に噴出した。
また、源五郎の銅木像は、着物を奪われた恨みとばかりに、熱い小便茶を噴出して一同にかける。音彦だけは面白がって、平気でこの光景を楽しんでいる。
銅木像は弥次彦、与太彦とおかしな問答を交わすと、どこかへ行ってしまった。すると、向こうから日の出別宣伝使ら一行がやってくるのが見えた。
気がつくと、三人は小鹿峠のふもとの川べりに気絶していて、日の出別宣伝使ら一行の鎮魂によって救われたところであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-12-19 01:31:59 OBC :rm1402
愛善世界社版:38頁 八幡書店版:第3輯 170頁 修補版: 校定版:40頁 普及版:17頁 初版: ページ備考:
001 音彦(おとひこ)002弥次彦(やじひこ)003与太彦(よたひこ)004源五郎(げんごらう)一行(いつかう)()(にん)は、005三途川(せうづがは)脱衣婆(だついばば)(わか)れを()げて、006際限(さいげん)もなき雑草(ざつさう)原野(げんや)西(にし)西(にし)へと(すす)()き、007ピタツと()(あた)つた禿山(はげやま)008三方(さんぱう)(やま)(かこ)まれ進路(しんろ)(うしな)当惑(たうわく)(てい)
009(おと)『サア、010ピタツと()(つま)つた、011これで冥土(めいど)(たび)()(つま)りだ、012(なん)とか(ひと)(かんが)へねばなるまい』
013()宣伝使(せんでんし)さま、014サア天津(あまつ)祝詞(のりと)言霊(ことたま)だ、015()()(とき)使用(しよう)するのが言霊(ことたま)活用(くわつよう)ぢやありませぬか』
016音彦『アヽさうだつたナア』
017()()ち、018(こゑ)(おごそ)かに天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)する。019(たちま)行当(ゆきあた)つた禿山(はげやま)(くも)(ごと)数十(すうじふ)()彼方(あなた)急速度(きふそくど)(もつ)遁走(とんそう)した。
020()『アヽ言霊(ことたま)威力(ゐりよく)()ふものは(えら)いものだナア。021信仰(しんかう)(ちから)(やま)をも(うご)かすと()ふことを()いて()る、022流石(さすが)宣伝使(せんでんし)だ、023貴方(あなた)信仰(しんかう)威力(ゐりよく)(たし)かなものだ。024もうかういふ経験(けいけん)()以上(いじやう)は、025焦熱(せうねつ)地獄(ぢごく)であらうが、026八寒(はつかん)地獄(ぢごく)であらうが、027(なん)(おそ)るる(ところ)あらむやだ。028地獄(ぢごく)のドン(ぞこ)まで浸入(しんにふ)して、029吾々(われわれ)一行(いつかう)幽政(いうせい)大改革(だいかいかく)断行(だんかう)するのだなア』
030(おと)『オイ(あま)油断(ゆだん)をするな、031油断(ゆだん)すると()らず()らずに慢心(まんしん)()(おも)はぬ失敗(しつぱい)(えん)ぜないとも(かぎ)らぬ。032隅々(すみずみ)までも()()けて(すす)まねばならぬぞ』
033 ()()(うち)忽然(こつぜん)として見上(みあ)ぐる(ばか)りの銅木像(どうもくぞう)地中(ちちう)よりヌツと(あら)はれて()た。
034()『イヨー()よつたなア、035矢張(やつぱ)幽界(いうかい)幽界(いうかい)だ。036(ひと)つの特徴(とくちよう)があるワイ。037オイコラ幽界(いうかい)化物(ばけもの)038吾々(われわれ)通路(つうろ)(さへぎ)不届(ふとど)きもの、039スツコメスツコメ。040現界(げんかい)化物(ばけもの)とは(ちが)つて幽界(いうかい)化物(ばけもの)はよつぽど形式(けいしき)(ちが)つて()るワイ。041コラ化物(ばけもの)返答(へんたふ)せぬかい、042銅木像(どうもくざう)()が』
043銅木像『グワツハヽヽヽー、044グウツフヽヽヽー、045ギエツヘヽヽヽー、046ギヰツヒヽヽヽー』
047弥次彦『ナンダ、048ガヽヽ、049ギヽヽと、050濁音(だくおん)のみを使(つか)ひよつて、051吾々(われわれ)(なん)心得(こころえ)()るのだい、052三途川(せうづがは)脱衣婆(だついばば)でさへも、053ヘコまして()弥次彦(やじひこ)さまだぞ』
054銅木像(おれ)(どう)()とで(つく)つた機械(きつかい)化物(ばけもの)だ。055愚図(ぐづ)々々(ぐづ)(ぬか)すと(どたま)から()みてやらうか』
056()『アハヽヽヽ、057貴様(きさま)大蛇(をろち)化物(ばけもの)だな、058()ましてやりたいが、059生憎(あひにく)(なん)にもないワイ、060田子(たご)宿(やど)のお(たけ)(うち)()まされた小便茶(しよんべんちや)なと()まして()らうか』
061(どう)『イヤ(おれ)(ちや)()みたくない。062(はだか)(やつ)()みたいのだ』
063()『ウンさうか、064よしよし()註文(ちうもん)(どほ)此処(ここ)にウラル(けう)源五郎(げんごらう)といふ(やつ)が、065真裸(まつぱだか)になつて()()るワイ、066これが()みたいのだらう』
067(どう)『ガーバー』
068()『ホンに、069()機嫌(きげん)()いお(かほ)だことわいのう。070サア(げん)チヤン、071()苦労(くらう)ながら(ひと)()みて(もら)(たま)へ』
072源五郎(はだか)はお(まへ)(こと)だよ、073その着物(きもの)(みんな)(わし)着物(きもの)だ。074モシモシ銅木像(どうもくぞう)さま、075弥次彦(やじひこ)076与太彦(よたひこ)小鹿峠(こしかたうげ)手前(てまへ)で、077真裸(まつぱだか)になりました。078(はだか)道中(だうちう)(つづ)けて()経験(けいけん)のある(やつ)です。079(わし)三途(せうづ)(かは)渡場(わたしば)此奴(こいつ)()二人(ふたり)泥棒(どろばう)されたのですから、080(これ)()二人(ふたり)をとつくりと()みて()つて(くだ)さいませ』
081(どう)『ギヰツヒヽヽヽ、082オーさうだらう、083弥次彦(やじひこ)084与太彦(よたひこ)(あぢ)()ささうだのう』
085()『コラ源公(げんこう)086貴様(きさま)真正(ほんと)真裸(まつぱだか)だ、087(おれ)脱衣婆(だついばば)承認(しようにん)()着物(きもの)()()るのだよ。088モシモシ銅木像(どうもくぞう)さま、089それはお(かんが)(ちが)ひぢやありませぬか』
090銅木像(おれ)機械(きかい)だ、091モウこれ()りで(もの)()はぬ。092(まへ)たち勝手(かつて)(おれ)(はら)這入(はい)つて機械(きかい)使(つか)ふたが()からう。093(はら)這入(はい)れば色々(いろいろ)機械(きかい)装置(さうち)完備(くわんび)して()るから、094一々(いちいち)使用法(しようはふ)(しる)してある。095その(つな)をひくと(この)銅木像(どうもくざう)大活動(だいくわつどう)(えん)ずるのだ、096ガハヽヽヽヽ』
097()『ヤア此奴(こいつ)面白(おもしろ)いぞ、098吾々(われわれ)十万(じふまん)億土(おくど)(たび)をすると(おも)つて、099閻魔(えんま)(やつ)退屈(たいくつ)ざましにコンナ副産物(ふくさんぶつ)(こしら)へて()いたのだらう。100ヤアもう文明(ぶんめい)空気(くうき)()ふものは何処(どこ)までも()(わた)つたものだワイ、101(ひと)(おれ)這入(はい)つてこの機械(きかい)使(つか)つて()やうかなア』
102(げん)『お(まへ)()(おれ)着物(きもの)追剥(おひはぎ)をしたのだから、103(つみ)加重(かちよう)して()る、104到底(たうてい)この機械(きかい)使用(しよう)する権利(けんり)はなからう。105(おれ)(はだか)だから着物(きもの)(かは)りにこの銅木像(どうもくぞう)(なか)潜入(せんにふ)して、106(ひと)使(つか)つて()るから、107(まへ)()(ちから)一杯(いつぱい)相手(あひて)になつて()たらどうだ。108ウラル(けう)大目付役(おほめつけやく)と、109三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)信者(しんじや)との問答(もんだふ)面白(おもしろ)いかも()れないぞ』
110()『オイ弥次彦(やじひこ)111源五郎(げんごらう)()(とほ)りにさして()たらどうだ。112ナア音彦(おとひこ)さま、113それが()いぢやありませぬか』
114(おと)()からう、115ソンナラ(げん)チヤン、116あなた這入(はい)つて(くだ)さいナ』
117(げん)『コレは有難(ありがた)い、118(ひと)(あや)つり人形(にんぎやう)(やう)自由(じいう)自在(じざい)(うご)かして()ませうかい。119ヤア入口(いりぐち)何処(どこ)だ、120アハア(おほ)きな(はな)(あな)()けて()よる、121此処(ここ)から(ひと)つガサガサと這入(はい)つてやらうか』
122()つて銅木像(どうもくぞう)身体(からだ)杣人(そまびと)(やま)にでも(のぼ)るやうに(つゑ)をつきながら(のぼ)()く。
123()『イヨー面白(おもしろ)いな。124まるで(うし)(はへ)がたかつたやうに(ちい)さく()える。125よつぽど(おほ)きな銅木像(どうもくざう)だワイ』
126 源五郎(げんごらう)はとうとう(はな)(あな)から這入(はい)つて(しま)つた。
127()『ヤア、128とうとう這入(はい)つて(しま)ひよつた、129これから面白(おもしろ)いのだ、130オイ(はや)芸当(げいたう)(はじ)めぬかい』
131(どう)『ウヽヽヽヽ、132ウラル(けう)大目付役(おほめつけやく)鷲掴(わしづかみ)源五郎(げんごらう)とは(おれ)(こと)だ。133サアサア三五教(あななひけう)(まめ)宣伝使(せんでんし)134モウかうなる以上(いじやう)大丈夫(だいぢやうぶ)だ、135銅木像(どうもくざう)合羽(かつぱ)(かぶ)つた源五郎(げんごらう)だ。136ウーフヽヽヽ』
137()『ヤア怪体(けつたい)銅木像(どうもくざう)だ、138源五郎(げんごらう)気取(きど)りになりよつて()しからぬ。139ヤイ銅木像(どうもくざう)140洒落(しやれ)(こと)をするない』
141(どう)洒落(しやれ)たも洒落(しやれ)ぬもあつたものかい』
142とグルグルグルと(じや)()(がさ)(ごと)目玉(めだま)急速度(きふそくど)(もつ)廻転(くわいてん)させる。
143()『ヤア(おつ)(こと)をやりよるワ。144多寡(たくわ)機械(きかい)だ、145輪転機(りんてんき)でも使(つか)ひよつて目玉(めだま)廻転(くわいてん)させて()るのだらう。146コラ(あんま)目玉(めだま)()くと()がモーターになつてへコ()れるぞ』
147(どう)『この()(こは)いか、148冥途(いど)(たび)ぢや、149()たちの()()まして()()めに()(おれ)から()()いて()せたのだ、150(ついで)(はな)()いて()らうか』
151()()いて()よ、152(おれ)此処(ここ)(ゆつく)りと春風(はるかぜ)()かれて花見(はなみ)見物(けんぶつ)をやつて()らう。153ヨウ小山(こやま)のやうな(はな)をピコツカせよるぞ、154無恰好(ぶかつかう)(はな)だなア。155ヤア()いた()いた、156(なん)だベンチレーターのやうな(はな)をしよつて、157天井(てんじやう)()ぐやうな調子(てうし)(はな)(あな)(うへ)()けて()やがる。158天井(てんじやう)燻香(くんかう)したと(おも)(ちが)へよつたなア、159オイ化像(ばけざう)160チツト勘考(かんかう)して()い』
161(どう)(おれ)鼻息(はないき)()()らしてやろうか、162このベンチレーターは猛烈(まうれつ)噴煙(ふんえん)()くから用意(ようい)(いた)せ』
163()『アハヽヽヽ、164(かは)れば(かは)るものだ、165機械(きかい)(もの)()時節(じせつ)だから、166これも形式(けいしき)(かは)つた蓄音器(ちくおんき)だなア。167オイ蓄音器(ちくおんき)先生(せんせい)168レコードが(やぶ)れぬ(やう)(しづ)かに(まは)して()よ、169(あんま)虐使(ぎやくし)すると使用(しよう)期間(きかん)短縮(たんしゆく)するぞ』
170 化像(ばけざう)(みぎ)()をガタガタガタガタと(うご)かし、171機械(きかい)(てき)(ゆび)(もつ)一方(いつぱう)小鼻(こばな)(おさ)へ、172(ひだり)直径(ちよくけい)一丈(いちぢやう)(ぐらゐ)大鼻孔(だいびこう)より黒煙(こくえん)(しき)りに噴出(ふんしゆつ)し、173四辺(あたり)真暗闇(まつくらやみ)になつて(しま)つた。
174()『コラコラ化像(ばけざう)175程度(ていど)()らぬかい、176治安(ちあん)妨害(ばうがい)だぞ。177(すこ)しソツと()かぬか』
178(どう)()かいでかい()かいでかい、179()いて()いて()(まく)つてやるのだ』
180()此奴(こいつ)(おも)(ちが)ひだ、181意想外(いさうぐわい)だ。182モシモシ宣伝使(せんでんし)さま、183言霊(ことたま)言霊(ことたま)だ』
184(おと)弥次彦(やじひこ)さま、185(ゆつく)りなさいませ、186()()()いたら原料(げんれう)()くなるから大丈夫(だいぢやうぶ)だ、187(なに)ほど(おほ)きいと()つたつて、188さう無尽蔵(むじんざう)(つづ)くものぢやないからナア』
189 化像(ばけざう)(また)もや(ひだり)(うで)をガタガタガタガタと(おと)をさせ、190機械(きかい)(てき)(ひだり)小鼻(こばな)(おさ)へ、191(みぎ)()(もと)位置(ゐち)にチント(なほ)し、192(まね)(ねこ)のやうな恰好(かつかう)にし、193今度(こんど)(みぎ)(あな)から()くわ()くわ滅茶(めつちや)やたらに、194二百十(にひやくとを)()暴雨(あらし)のやうにブウブウ(ねば)つたミヅバナ四方(しはう)八方(はつぱう)吹散(ふきち)らす。
195()『アーア、196コリヤたまらぬ、197(はな)だらけだ、198何処(どこ)もかもニチヤニチヤになつてしまつた。199まるで紙雛(かんびな)()みて()()したやうな()面相(めんさう)になつたワイ、200オイ化像(ばけざう)201もう()加減(かげん)中止(ちうし)せぬかい、202しぶとい(やつ)ぢやなア』
203(どう)(おれ)はしぶとい、204貴様(きさま)(やう)淡泊(たんぱく)人間(にんげん)とは(ちが)ふ、205粘着性(ねんちやくせい)()つて()るのだ、206まだまだまだまだ(ねば)つく(やつ)噴出(ふんしゆつ)するぞ。207宿(やど)()くてお(たけ)(うち)()めて(もら)つて、208結構(けつこう)握飯(にぎりめし)頂戴(ちやうだい)して(ばば)鼻汁(はな)(まじ)つたの、209(まじ)らぬのと小言(こごと)をほざきよつたその(むく)い、210身体中(からだぢう)鼻啖(はなたん)でこね(まは)して()るのだぞ』
211()『コレコレ音彦(おとひこ)(さま)212イヤ宣伝使(せんでんし)さま、213コンナ(とき)こそ、214それ科戸(しなど)(かぜ)(あめ)八重雲(やへくも)吹放(ふきはな)(こと)(ごと)く、215大津辺(おほつべ)()大船(おほふね)()こき(はな)(くそ)こき(はな)ちて、216大和田(おほわだ)(はら)(はな)()れる(こと)(ごと)く、217(はら)(たま)(きよ)(たま)へをやつて(くだ)さいな、218かう(よご)れてはどうにも、219こうにも仕方(しかた)がない』
220(おと)『マヽじつくりとするのだよ。221芸者(げいしや)でさへも(はな)()しいと()ふて()ぶた()をこすりながら、222ボンボラ三味線(さみせん)()きよる。223(なに)もせないで(これ)()沢山(たくさん)はな頂戴(ちやうだい)すれば結構(けつこう)だ。224(ばけ)さま(また)()頂戴(ちやうだい)225はな()()(えん)()()226はな沢山(たくさん)()つて(また)()(くだ)さい………ナンテ()つて背中(せなか)をポンと(たた)いた。227さうすると弥次彦(やじひこ)蒟蒻(こんにやく)(やう)になつてグニヤグニヤとなるまでには大分(だいぶ)資本(もと)()る、228コンナに沢山(たくさん)はな頂戴(ちやうだい)して、229不足(ふそく)()(どころ)か』
230()『モシモシ宣伝使(せんでんし)さま、231貴方(あなた)はどうかして()ますなア、232芸者(げいしや)花代(はなだい)混線(こんせん)して()やしませぬか』
233(おと)天混線(てんこんせん)(むなし)うする(なか)れ、234(とき)鼻汁(はなじる)泣面(なきづら)(あた)るを、235アハヽヽヽヽ』
236()『ドウモ、237尾籠(びろう)(こと)だワイ、238鼻振(びしん)239紙也(かみなり)240()(あめ)だ、241ヤアもう結構(けつこう)々々(けつこう)242花見(はなみ)だと(おも)つて()つたに落花(らくくわ)狼籍(らうぜき)243開闢(かいびやく)以来(いらい)()ンばりとした花見(はなみ)遊山(ゆさん)だ。244オイ源公(げんこう)245イヽ加減(かげん)悪戯(いたづら)()めたらどうだい』
246(どう)今度(こんど)小便(せよんべん)竜吐水(りうとすゐ)だ、247田子(たご)宿(しゆく)(おい)土瓶(どびん)(なか)小便(せよんべん)()れたを(おぼ)えて()るだらう。248(をり)(あし)土瓶(どびん)()(あは)せがないから貴様(きさま)薬鑵頭(やくわんあたま)を、249土瓶(どびん)代用(だいよう)として注入(ちうにふ)してやらう、250チツト(あつ)小便茶(せよんべんちや)だぞ』
251()()れはこれはめつそうな、252沢山(たくさん)(はな)頂戴(ちやうだい)いたしまして(その)(うへ)に、253結構(けつこう)なお(ちや)頂戴(ちやうだい)しましては、254(かへつ)てお()(どく)さまで御座(ござ)います、255(わたくし)迷惑(めいわく)いたします、256どうぞお(ちや)(だけ)はまた(ほか)のお(きやく)()()つて(くだ)さい。257生憎(あひにく)(はだか)一旦(いつたん)されたものだからお茶代(ちやだい)御座(ござ)いませぬからお(ちや)()(ぞん)258それでは商売(しやうばい)資本(もと)(つづ)きますまい。259閻魔(えんま)(ちやう)から執達吏(しつたつり)がやつて()て、260破産(はさん)申請(しんせい)をやられては(かへつ)てお(いへ)迷惑(めいわく)261(あと)はさつぱり家計(かけい)紊乱(びんらん)(とも)苦辛(くしん)為体(ていたらく)262マアマアお(ちや)(だけ)はお()(くだ)さつたが()ろしからう』
263(どう)『この芸者(げいしや)(ちや)()(こと)大々(だいだい)々々(だいだい)(きら)ひで御座(ござ)んす。264(ちや)(くらゐ)はエヽ遠慮(ゑんりよ)なしにあがつて(くだ)さい。265本当(ほんたう)番茶(ばんちや)なら()いが小便茶(せよんべんちや)で、266あまり原料(もと)()りませぬ。267(ちや)つとおあがりなさい。268薬鑵(やかん)(ふた)()けて(くだ)さい』
269()『イヤもう沢山(たくさん)270此方(こつち)薬鑵(やくわん)(ちや)(わか)して()りますから、271この(うへ)(いただ)いた(ところ)(たふ)(うへ)(たふ)()むやうなもの、272倹約(けんやく)流行(りうかう)()(なか)273無駄(むだ)費用(ひよう)(はぶ)いて、274それを社会(しやくわい)事業(じげふ)にでも投資(とうし)した(はう)(なに)ほど娑婆(しやば)人間(にんげん)(よろこ)(こと)(わか)りませぬぞ』
275(どう)『ヤアそれでも、276もうすでに準備(じゆんび)出来(でき)()ます』
277(だい)竜吐水(りうとすゐ)(ごと)小便茶(せうべんちや)(にじ)のやうに()()した。
278()『コリヤ、279(あつ)(あつ)い、280何程(なんぼ)(あつ)(こころざし)()つても、281コー(ちや)にされては有難(ありがた)くもないワ、282(しか)一利(いちり)あれば一害(いちがい)あり、283(はな)だらけの身体(からだ)洗濯(せんたく)には()つて()いぢや、284(はら)()つが茶腹(ちやばら)()つ、285(しか)小便(せよんべん)(だけ)閉口(へいこう)だ』
286(どう)『それは見本(みほん)だ、287本物(ほんもの)()れから幾何(いくら)でも大洪水(だいこうずゐ)()たほど()馳走(ちそう)して()げませう』
288()『お香水(かうすゐ)なら結構(けつこう)だが、289この見本(みほん)ではねつから()()らぬ、290破約(はやく)だ。291もう此方(こちら)からこの代物(しろもの)小便(せよんべん)しますワ』
292(どう)『アハヽヽヽヽ』
293()『オイオイ源五郎(げんごらう)のサツク()が、294()加減(かげん)悪戯(いたづら)()めたらどうだい』
295(どう)貴様(きさま)脱衣婆(だついばば)上前(うはまへ)をハネよつて、296源五郎(げんごらう)着物(きもの)無理(むり)掠奪(りやくだつ)した()しからぬ(やつ)だ、297(いま)此処(ここ)(はだか)になれ。298その着物(きもの)をすつかりと源五郎(げんごらう)さまに返上(へんじやう)するのだ』
299()『エヽ穢苦(むさくる)しい、300鼻汁(はなみづ)だらけの小便茶(せよんべんちや)(しゆ)みたコンナ着物(きもの)は、301(たれ)()たいものかい。302サア何時(いつ)でも(かへ)してやるワ』
303(どう)洗濯(せんたく)をして(もと)(とほ)りに綺麗(きれい)(かわ)かして(かへ)すのだぞ』
304()305()洗濯(せんたく)せえと()つたつて(かは)もなし(ばば)ぢやあるまいし、306ソンナ無理(むり)註文(ちうもん)はするものぢやないワ、307(かへ)してやつたら結構(けつこう)だ』
308とムクムクと(はだか)になり、
309二人(ふたり)『サアこれでスイとした(うま)赤子(あかご)だ』
310(どう)『ウワハヽヽヽヽ、311見事(みごと)(はだか)になりよつたなア、312これから(おれ)(くち)から万本針(まんぼんばり)()いて()らう、313貴様(きさま)身体(からだ)(みな)ささつて()がはへた(やう)にしてやるワ、314キツヒヽヽヽ』
315()『エヽ仕様(しやう)もない針合(はりあひ)のない(こと)だ、316愚図(ぐづ)々々(ぐづ)()かすとハリ(たふ)すぞ。317モシモシ宣伝使(せんでんし)さま(なに)して御座(ござ)る、318吾々(われわれ)二人(ふたり)()れほど(くる)しみて()るのに、319貴方(あなた)傍観(ばうくわん)して()つて、320それで(ひと)(たす)ける宣伝使(せんでんし)()へますか』
321(おと)『ヨー結構(けつこう)花見(はなみ)だ。322桜花(あうくわ)爛漫(らんまん)として(くも)(ごと)く、323そこへ日光(につくわう)七色(なないろ)(えい)じた(にじ)(うるは)しさ、324(あと)から(はり)(やう)霧雨(きりあめ)ビシヨビシヨと()つて()るこの風情(ふぜい)()つたら、325(なん)とも(たと)(やう)のない気候(きこう)326与太彦(よたひこ)327弥次彦(やじひこ)二人(ふたり)花見踊(はなみをどり)をして()せるし、328(あやつ)人形(にんぎやう)色々(いろいろ)曲芸(きよくげい)(えん)じて観覧(くわんらん)(きよう)すると()体裁(ていさい)だから面白(おもしろ)くて(たま)らぬワイ。329霊界(れいかい)物語(ものがたり)第一(だいいつ)(くわん)にあつた(とほ)り、330()(ちう)(らく)あり、331(らく)(ちう)()ありだ。332天国(てんごく)()つても(くる)しみあり、333地獄(ぢごく)()つても(たのし)みがあると()ふは()()つたものだ、334(こころ)()ちやう(ひと)つで地獄(ぢごく)となり、335極楽(ごくらく)となる。336嗚呼(ああ)有難(ありがた)いものだ』
337()『アヽ薩張(さつぱ)駄目(だめ)だ。338(ちから)(おも)宣伝使(せんでんし)はこの(とほ)知覚(ちかく)神経(しんけい)麻痺(まひ)しちまつて、339コンナ(くる)しい場面(ばめん)極楽(ごくらく)浄土(じやうど)()えるとは(なん)とした(こと)だらう』
340(どう)『サア(これ)からだ、341(みぎ)(あし)(おれ)(ひと)四股(しこ)()みたら小鹿峠(こしかたうげ)がガタガタガタガタ、342(ひだり)(あし)をウンと()みたら貴様(きさま)()天上(てんじやう)()がけてプリンプリン、343泥田(どろた)(なか)真逆(まつさか)(さま)にヅドン キューの一言(ひとこゑ)冥土(めいど)旅路(たびぢ)344アハヽヽヽ』
345()(なん)だ、346小鹿峠(こしかたうげ)(こと)まで(なら)べよつて、347オイ源五郎(げんごらう)348()加減(かげん)()()ぬかい、349今度(こんど)(おれ)(ばん)だ』
350 銅木像(どうもくざう)はムクムクと()(あが)四股(しこ)をドンドンと()みながら、351さしも(たか)禿山(はげやま)一足(ひとあし)(また)げ、352のそりのそりと(あゆ)()し、
353銅木像『ヤアヤア太陽(たいやう)(あんま)(ひく)いものだから、354(あたま)()(あた)りよつて仕方(しかた)がないワ、355あすこにも(つき)がぶら(さが)つて()る、356(こし)でもしやがめ(とほ)つてやらうかい』
357(かみなり)のやうに()呶鳴(どな)りつつ西(にし)(はう)へと(すす)()く。
358()『ヤアヤア化像(ばけざう)(やつ)359源五郎(げんごらう)一緒(いつしよ)(はら)(なか)()れて何処(どこ)へか()つてしまひよつた、360アヽ仕方(しかた)がない、361真裸(まつぱだか)だ、362(たれ)()ぬかいな、363着物(きもの)用意(ようい)をせなくちや閻魔(えんま)(ちやう)()(まで)に、364ポリスに出会(であ)つたらまた監禁(かんきん)だ』
365()『オイオイ(むか)ふを()よ、366()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)(さき)()鷹彦(たかひこ)367岩彦(いはひこ)368梅彦(うめひこ)369亀彦(かめひこ)面々(めんめん)()つて()るぢやないか、370祝詞(のりと)(こゑ)(きこ)()したぞ』
371()『ヤア()()た、372()宣伝使(せんでんし)何処(どこ)()つたかと(おも)へば、373矢張(やつぱ)大蛇(おろち)()まれて冥土(めいど)(たび)をやつてゐるのだなア、374(しか)しまア道連(みちづれ)出来(でき)(にぎ)やかで()いワイ』
375 ()出別(でわけ)一行(いつかう)(うま)(ひづめ)(おと)カツカツと此方(こちら)(むか)つて(すす)()る。
376()『モシモシ、377(わたくし)(あたま)小便(せよんべん)だらけだ、378(みづ)でも()いて(きよ)めて(くだ)さいませぬか』
379()『ヤア鷹彦(たかひこ)サン、380岩彦(いはひこ)サン、381貴方(あなた)がた一同(いちどう)谷川(たにがは)(みづ)でも、382()みてかけてやつて(くだ)さい』
383(たか)384(いは)(かしこ)まりました』
385(たに)(くだ)りて(くち)(みづ)(ふく)(さん)(にん)(かほ)(むか)つて伊吹(いぶき)をした。386ウヽーンと(うな)ると(とも)にハツと()()けば、387小鹿峠(こしかたうげ)(ふもと)河辺(かはべり)(さん)(にん)気絶(きぜつ)して()たるなり。
388()『ヤー結構(けつこう)々々(けつこう)389吾々(われわれ)()るのが(すこ)(おそ)かつたら、390とうとう冥土(めいど)(たび)をする(ところ)だつたなア、391マア(いのち)があつて(なに)より結構(けつこう)392サア()れからフサの(みやこ)()いて、393それからコーカス(ざん)(すす)(こと)にしよう』
394大正一一・三・二三 旧二・二五 谷村真友録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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