霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第14巻(丑の巻)
序歌
信天翁(四)
凡例
総論歌
第1篇 五里夢中
01 三途川
〔551〕
02 銅木像
〔552〕
03 鷹彦還元
〔553〕
04 馬詈
〔554〕
05 風馬牛
〔555〕
第2篇 幽山霊水
06 楽隠居
〔556〕
07 難風
〔557〕
08 泥の川
〔558〕
09 空中滑走
〔559〕
第3篇 高加索詣
10 牡丹餅
〔560〕
11 河童の屁
〔561〕
12 復縁談
〔562〕
13 山上幽斎
〔563〕
14 一途川
〔564〕
15 丸木橋
〔565〕
16 返り咲
〔566〕
第4篇 五六七号
17 一寸一服
〔567〕
跋文
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。
実験用サイト
|
サブスク
霊界物語
>
第14巻
> 第1篇 五里夢中 > 第5章 風馬牛
<<< 馬詈
(B)
(N)
楽隠居 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第五章
風馬牛
(
ふうばぎう
)
〔五五五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第14巻 如意宝珠 丑の巻
篇:
第1篇 五里夢中
よみ(新仮名遣い):
ごりむちゅう
章:
第5章 風馬牛
よみ(新仮名遣い):
ふうばぎゅう
通し章番号:
555
口述日:
1922(大正11)年03月23日(旧02月25日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年11月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
三人は裸馬にまたがって小鹿峠の急坂を登っていった。弥次彦は馬と喧嘩を始めた。そして馬によってさんざんな目に会わされて戒められる。最後に馬は、自分は木花姫の分霊の罵倒観音だ、と洒落ると、姿が消えてしまう。
弥次彦は、馬はどこへ行ったのか、と与太彦、六に尋ねるが、二人は最初から馬などいない、と不思議がる。
今度は牛の群れが三人の方にやってきた。弥次彦は馬で懲りてもう乗ろうとしないが、与太彦と六は、楽をしようと牛に乗って、背から落ちた。
と思った瞬間、それは与太彦と六の夢であった。弥次彦は二人をからかう。そのとき、山岳が崩れるばかりの音が響いてきた。
何事かと驚いて三人は目を覚ました。気がつけば、三人は小鹿峠の道端で居眠りをしていたのであった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-12-19 01:42:31
OBC :
rm1405
愛善世界社版:
83頁
八幡書店版:
第3輯 187頁
修補版:
校定版:
87頁
普及版:
39頁
初版:
ページ備考:
001
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
駻馬
(
かんば
)
に
跨
(
またが
)
り
放屁
(
はうひ
)
の
砲撃
(
はうげき
)
を
受
(
う
)
けながら
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
の
急阪
(
きふはん
)
を
一目散
(
いちもくさん
)
に
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
002
弥
(
や
)
『
長鞭
(
ちやうべん
)
馬腹
(
ばふく
)
に
及
(
およ
)
ばずだ、
003
エー
邪魔
(
じやま
)
臭
(
くさ
)
い、
004
鞭
(
むち
)
は
無用
(
むよう
)
だ』
005
と
馬上
(
ばじやう
)
より
惜
(
を
)
し
気
(
げ
)
もなく
鞭
(
むち
)
を
投
(
な
)
げ
捨
(
す
)
てた。
006
馬
(
うま
)
『
無智
(
むち
)
な
奴
(
やつ
)
の、
007
人三
(
にんさん
)
化七
(
ばけしち
)
に
鞭
(
むち
)
の
必要
(
ひつえう
)
があるものかい、
008
牛飲
(
ぎういん
)
馬食
(
ばしよく
)
の
大将
(
たいしやう
)
奴
(
め
)
、
009
もう
此処
(
ここ
)
らで
一
(
ひと
)
つ
直立
(
ちよくりつ
)
してやらうかい』
010
弥
(
や
)
『
馬公
(
うまこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
011
減
(
へ
)
らず
口
(
ぐち
)
をたたくな。
012
古今
(
ここん
)
無双
(
むさう
)
の
乗馬
(
じやうば
)
の
達人
(
たつじん
)
、
013
弥次彦
(
やじひこ
)
サンを
知
(
し
)
らないか、
014
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
吐
(
ぬか
)
すと
胴腹
(
どんばら
)
を
締
(
し
)
めて
息
(
いき
)
を
止
(
と
)
めてやらうか』
015
馬
(
うま
)
『ヒヽヽヽヽヒンヒン、
016
可笑
(
をか
)
しい
哩
(
わい
)
、
017
蚊
(
か
)
の
一匹
(
いつぴき
)
も
留
(
とま
)
つたやうな
感覚
(
かんかく
)
も
起
(
おこ
)
らぬワ、
018
狐
(
きつね
)
の
容器
(
いれもの
)
奴
(
め
)
が』
019
弥
(
や
)
『オイ、
020
畜生
(
ちくしやう
)
、
021
口
(
くち
)
が
過
(
す
)
ぎるぞ。
022
主人
(
しゆじん
)
に
向
(
むか
)
つて
無礼
(
ぶれい
)
であらうぞ』
023
馬
(
うま
)
『ヒヽヽヽヽヒン、
024
美
(
み
)
ん
事
(
ごと
)
仰有
(
おつしや
)
る
哩
(
わい
)
、
025
轡
(
くつわ
)
も
嵌
(
は
)
めずに
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
る
奴
(
やつ
)
があるかい、
026
余程
(
よつぽど
)
いい
頓馬
(
とんま
)
だな』
027
弥
(
や
)
『
頓馬
(
とんま
)
とは
貴様
(
きさま
)
の
事
(
こと
)
だよ』
028
馬
(
うま
)
『
弥次彦
(
やじひこ
)
の
馬鹿者
(
ばかもの
)
奴
(
め
)
、
029
お
竹
(
たけ
)
の
宿
(
やど
)
で
小便
(
せうべん
)
を
飲
(
の
)
まされよつて、
030
此奴
(
こいつ
)
は
馬
(
うま
)
の
小便
(
せうべん
)
ぢや
無
(
な
)
からうかと
馬首
(
ばしゆ
)
を
傾
(
かたむ
)
けて
思案
(
しあん
)
した
時
(
とき
)
の
可笑
(
をか
)
しさ、
031
屁馬
(
へま
)
ばつかりやる
奴
(
やつ
)
だな。
032
それだから
馬抜
(
まぬけ
)
野郎
(
やらう
)
と
言
(
い
)
ふのだ』
033
弥
(
や
)
『エー、
034
能
(
よ
)
く
囀
(
さへづ
)
る
頓馬
(
とんま
)
野郎
(
やらう
)
だ、
035
轡
(
くつわ
)
は
無
(
な
)
し
一寸
(
ちよつと
)
困
(
こま
)
つたな』
036
馬
(
うま
)
『
轡
(
くつわ
)
が
無
(
な
)
けりや
乗
(
の
)
るない、
037
貴様
(
きさま
)
は
木馬
(
きうま
)
で
結構
(
けつこう
)
だ。
038
何
(
なん
)
でも
今
(
いま
)
の
奴
(
やつ
)
は
金
(
かね
)
の
轡
(
くつわ
)
さへ
嵌
(
は
)
めさへすれば
温柔
(
おとな
)
しくなるのだよ、
039
如何
(
どう
)
だ、
040
金
(
かね
)
を
持
(
も
)
つとるかい』
041
弥
(
や
)
『
俺
(
おれ
)
も
貴様
(
きさま
)
のやうな
頓馬
(
とんま
)
だから
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
手許
(
てもと
)
不如意
(
ふによい
)
でヒンヒン(
貧々
(
ひんひん
)
)だ。
042
オイ
与太彦
(
よたひこ
)
、
043
貴様
(
きさま
)
の
馬
(
うま
)
は
如何
(
どう
)
だ』
044
与
(
よ
)
『
乗心地
(
のりごこち
)
が
良
(
よ
)
いワ。
045
女偏
(
をんなへん
)
に
馬
(
うま
)
の
字
(
じ
)
に
跨
(
またが
)
つた
様
(
やう
)
な
気分
(
きぶん
)
だよ』
046
弥
(
や
)
『エー
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
いワ、
047
コンナジヤジヤ
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
り
合
(
あは
)
したのが
災難
(
さいなん
)
だ。
048
オイ
六
(
ろく
)
サン、
049
お
前
(
まへ
)
は
如何
(
どう
)
だい』
050
六
(
ろく
)
『
俺
(
おれ
)
もチヨボチヨボだ、
051
乗心地
(
のりごこち
)
が
良
(
よ
)
いよ、
052
何
(
なに
)
とも
言
(
い
)
へぬ
良
(
よ
)
い
気持
(
きもち
)
だ。
053
丁度
(
ちやうど
)
金竜
(
きんりう
)
、
054
銀竜
(
ぎんりう
)
に
乗
(
の
)
つとる
様
(
やう
)
な
股倉
(
またぐら
)
加減
(
かげん
)
だよ』
055
弥
(
や
)
『エー、
056
異馬
(
いま
)
々々
(
いま
)
しい、
057
貧乏籤
(
びんばふくじ
)
を
抽
(
ひ
)
いたものだワイ』
058
馬
(
うま
)
『オイ
弥次
(
やじ
)
サン、
059
お
前
(
まへ
)
は
弥次馬
(
やじうま
)
だから
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
いよ。
060
マア
馬
(
うま
)
の
俺
(
おれ
)
の
背中
(
せなか
)
から
空中
(
くうちう
)
滑走
(
くわつそう
)
をやつて
着陸
(
ちやくりく
)
して
頭
(
あたま
)
をポカンと
割
(
わ
)
つて、
061
ま
一遍
(
いつぺん
)
十万
(
じふまん
)
億土
(
おくど
)
へ
行
(
い
)
つて
来
(
こ
)
い、
062
さうすれば
立派
(
りつぱ
)
な
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
れまいものでも
無
(
な
)
いワ』
063
弥
(
や
)
『エー、
064
能
(
よ
)
う
口答
(
くちごたへ
)
をする
馬鹿
(
ばか
)
野郎
(
やらう
)
だナア』
065
馬
(
うま
)
、
066
鬘
(
たてがみ
)
を
振
(
ふ
)
り
立
(
た
)
て
目
(
め
)
を
瞋
(
いか
)
らし
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
けてガブツと
腕
(
うで
)
を
噛
(
か
)
みかけやうとする。
067
弥
(
や
)
『コラ、
068
何
(
なに
)
をしやがるのだい、
069
ジヤジヤ
馬
(
うま
)
奴
(
め
)
が、
070
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
に
噛
(
か
)
まれて
堪
(
たま
)
るかい』
071
馬
(
うま
)
『
直立
(
ちよくりつ
)
しやうか、
072
貴様
(
きさま
)
は
四足
(
よつあし
)
の
容器
(
いれもの
)
だから
一遍
(
いつぺん
)
ぐらゐ
人間
(
にんげん
)
らしう
直立
(
ちよくりつ
)
した
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
つて
見
(
み
)
るも
良
(
よ
)
からう』
073
弥
(
や
)
『コラ、
074
馬
(
うま
)
は
馬
(
うま
)
らしうせぬかい、
075
四足
(
よつあし
)
が
立
(
た
)
つて
歩
(
ある
)
くといふことは
天則
(
てんそく
)
違反
(
ゐはん
)
だぞ』
076
馬
(
うま
)
『ヒンヒンヒン、
077
それは
貴様
(
きさま
)
の
事
(
こと
)
だ。
078
四足
(
よつあし
)
身魂
(
みたま
)
が
偉相
(
えらさう
)
に、
079
立
(
た
)
つて
歩
(
ある
)
くのが
何
(
なに
)
が
不思議
(
ふしぎ
)
だい、
080
ヒンヒンヒン』
081
弥
(
や
)
『エー
仕様
(
しやう
)
の
無
(
な
)
い
奴
(
やつ
)
だ、
082
もう
暇
(
ひま
)
を
遣
(
つか
)
はす、
083
これから
親
(
おや
)
ゆづりの
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
に
乗
(
の
)
つて
歩
(
ある
)
かうかい、
084
胴柄
(
どうがら
)
ばかり
大
(
おほ
)
きくて、
085
屁
(
へ
)
ばつかり
達者
(
たつしや
)
な
頓馬
(
とんま
)
野郎
(
やらう
)
奴
(
め
)
、
086
止
(
と
)
まれ
止
(
と
)
まれ、
087
下
(
お
)
りてやらう』
088
馬
(
うま
)
『
下
(
おろ
)
さぬぞ
下
(
おろ
)
さぬぞ、
089
下
(
おろ
)
す
所
(
ところ
)
が
違
(
ちが
)
ふワ。
090
も
少
(
すこ
)
し
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
れ、
091
この
先
(
さき
)
に
大変
(
たいへん
)
な
断巌
(
だんがん
)
絶壁
(
ぜつぺき
)
があつて、
092
谷底
(
たにぞこ
)
には
猿捉茨
(
さるとりいばら
)
が
一面
(
いちめん
)
生
(
は
)
えてゐる、
093
そこまで
行
(
い
)
つて
下
(
おろ
)
してやらぬと
根
(
ね
)
つから
興味
(
きようみ
)
が
薄
(
うす
)
い
哩
(
わい
)
』
094
弥
(
や
)
『
此奴
(
こいつ
)
は
聊
(
いささ
)
か
迷惑
(
めいわく
)
千万馬
(
せんばんば
)
の、
095
閉口
(
へいこう
)
頓首
(
とんしゆ
)
ぢや』
096
馬
(
うま
)
『
今
(
いま
)
に
閉口
(
へいこう
)
頓死
(
とんし
)
だよ』
097
弥
(
や
)
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しやがるのだ、
098
落
(
おと
)
すなら
落
(
おと
)
して
見
(
み
)
よ。
099
貴様
(
きさま
)
の
鬘
(
たてがみ
)
に
喰
(
く
)
ひついて
居
(
ゐ
)
るから
貴様
(
きさま
)
も
一所
(
いつしよ
)
に
猿捉茨
(
さるとりいばら
)
の
中
(
なか
)
に
埋没
(
まいぼつ
)
だ。
100
死
(
し
)
んだ
馬
(
うま
)
につけたら
能
(
よ
)
う
動
(
うご
)
かぬほど、
101
其処
(
そこ
)
になつたらドツサリと
賃銀
(
ちんぎん
)
をはりこんで
与
(
や
)
る
哩
(
わい
)
』
102
馬
(
うま
)
『サア
之
(
これ
)
からだ、
103
一
(
ひ
)
ン
二
(
ふ
)
ン
三
(
み
)
ンツ』
104
弥
(
や
)
『コラ、
105
暴
(
あば
)
れるな、
106
静
(
しづか
)
にせないかい、
107
俺
(
おれ
)
は
貴様
(
きさま
)
が
暴
(
あば
)
れると
喰
(
く
)
ひついて
血
(
ち
)
を
吸
(
す
)
ふてやるぞ、
108
それでも
可
(
い
)
いかエーン』
109
馬
(
うま
)
『
何
(
なん
)
だか、
110
チツポイ
人間
(
にんげん
)
だと
思
(
おも
)
つたら
貴様
(
きさま
)
は
蚤
(
のみ
)
の
如
(
よ
)
うな
奴
(
やつ
)
だ。
111
馬偏
(
うまへん
)
に
蚤
(
のみ
)
といふ
奴
(
やつ
)
は
騒
(
さわ
)
ぐに
定
(
きま
)
つてる。
112
ヨシ
之
(
これ
)
から
一騒
(
ひとさわ
)
ぎだ、
113
覚悟
(
かくご
)
せい』
114
弥
(
や
)
『もう
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
い、
115
馬上
(
ばじやう
)
悠
(
ゆた
)
かに
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
名残
(
なご
)
りに
飲食
(
のみくひ
)
でもやらうかい。
116
馬
(
うま
)
よ
騒
(
さわ
)
げよ、
117
一寸先
(
いつすんさき
)
や
闇
(
やみ
)
だ、
118
蚤
(
のみ
)
が
食
(
く
)
ひついて
飲食
(
のみくひ
)
だ、
119
これが
牛飲
(
ぎういん
)
馬食
(
ばしよく
)
だ、
120
チツト
噛
(
かじ
)
つて
遣
(
や
)
らうかい』
121
馬
(
うま
)
『ヒンヒンヒン、
122
貧相
(
ひんさう
)
な
奴
(
やつ
)
だな、
123
品格
(
ひんかく
)
の
悪
(
わる
)
い』
124
弥
(
や
)
『
何
(
なん
)
だ、
125
宣伝使
(
せんでんし
)
の
人格
(
じんかく
)
を
品等
(
ひんとう
)
すると
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
畜生
(
ちくしやう
)
の
分際
(
ぶんざい
)
としてあるものかい』
126
馬
(
うま
)
『ヤア、
127
もう
斯
(
こ
)
うなつたら
破
(
やぶ
)
れかぶれだ、
128
ジヤジヤ
馬
(
うま
)
だ』
129
と
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
鬘
(
たてがみ
)
を
震
(
ふる
)
つて
直立
(
ちよくりつ
)
し、
130
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
二三間
(
にさんげん
)
ばかり
空中
(
くうちう
)
に
跳
(
と
)
び
上
(
あが
)
り
狂
(
くる
)
ひ
廻
(
まは
)
るにぞ、
131
弥
(
や
)
『コラコラ
静
(
しづか
)
にせないか、
132
目
(
め
)
が
廻
(
まは
)
るわい、
133
目
(
め
)
どころか、
134
山
(
やま
)
も
道
(
みち
)
もみんな
廻
(
まは
)
り
出
(
だ
)
したワイ、
135
ジヤイロコンパスの
様
(
やう
)
に、
136
そこらが
廻転
(
くわいてん
)
し
出
(
だ
)
した
哩
(
わい
)
、
137
いい
加減
(
かげん
)
に
静
(
しづ
)
まらないか』
138
馬
(
うま
)
『
何
(
なに
)
、
139
貴様
(
きさま
)
が
落
(
お
)
ちる
所
(
ところ
)
まで
暴
(
あば
)
れるのだ。
140
今
(
いま
)
に
冥土
(
めいど
)
に
送
(
おく
)
つてやるのだ』
141
弥
(
や
)
『
鳴動
(
めいどう
)
も
爆発
(
ばくはつ
)
もあつたものかい、
142
これだけクルクル
廻
(
まは
)
る
地球
(
ちきう
)
上
(
じやう
)
は
俺
(
おれ
)
も
嫌
(
いや
)
になつた
哩
(
わい
)
、
143
何
(
なん
)
でも
世
(
よ
)
の
立替
(
たてかへ
)
が
急速度
(
きふそくど
)
を
以
(
もつ
)
て
開展
(
かいてん
)
して
行
(
ゆ
)
くと
見
(
み
)
えるわい。
144
アーア、
145
能
(
よ
)
く
廻
(
まは
)
る
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だ』
146
馬
(
うま
)
『
輪廻
(
りんね
)
に
迷
(
まよ
)
ふ
浅間
(
あさま
)
しさ、
147
回天
(
くわいてん
)
動地
(
どうち
)
の
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
すると
貴様
(
きさま
)
は
毎時
(
いつ
)
も
吐
(
ほざ
)
いてゐるが
如何
(
どう
)
だい、
148
回天
(
くわいてん
)
動地
(
どうち
)
の
大事業
(
だいじげふ
)
は
馬
(
うま
)
サンの
活動
(
くわつどう
)
に
勝
(
まさ
)
るものはあるまい、
149
一
(
いつ
)
分間
(
ぷんかん
)
に
八千回
(
はつせんくわい
)
、
150
回転
(
くわいてん
)
するジヤイロコンパスよりも
早
(
はや
)
い
俺
(
おれ
)
の
放
(
はな
)
れ
業
(
わざ
)
には
感心
(
かんしん
)
したか』
151
弥
(
や
)
『
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
つた、
152
もう
耐
(
こら
)
へて
呉
(
く
)
れえ』
153
馬
(
うま
)
『
醜態
(
ざま
)
見
(
み
)
やがれ、
154
一体
(
いつたい
)
俺
(
おれ
)
を
誰
(
たれ
)
だと
思
(
おも
)
つてるのだ』
155
弥
(
や
)
『
畜生
(
ちくしやう
)
の
馬公
(
うまこう
)
ぢやないか』
156
馬
(
うま
)
『
馬鹿
(
ばか
)
だな、
157
俺
(
おれ
)
は
木花姫
(
このはなひめ
)
の
分霊
(
わけみたま
)
だ、
158
罵倒
(
ばたふ
)
観音
(
くわんのん
)
だ。
159
すなはち
馬頭
(
ばとう
)
観音
(
くわんのん
)
様
(
さま
)
だよ』
160
弥
(
や
)
『これはこれは、
161
失礼
(
しつれい
)
いたしました、
162
何卒
(
どうぞ
)
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
163
馬
(
うま
)
ブウブウブスと
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
てて
屁
(
へ
)
のやうに
消
(
き
)
えて
仕舞
(
しま
)
つた。
164
弥
(
や
)
『アヽア、
165
大変
(
たいへん
)
だつた、
166
恐
(
こわ
)
い
目
(
め
)
に
遭
(
あ
)
はされた。
167
オー
与太公
(
よたこう
)
、
168
六公
(
ろくこう
)
、
169
貴様
(
きさま
)
、
170
馬
(
うま
)
は
如何
(
どう
)
したのだ』
171
与
(
よ
)
、
172
六
(
ろく
)
『
馬
(
うま
)
を
如何
(
どう
)
したつて、
173
誰
(
たれ
)
が
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
つたのだい』
174
弥
(
や
)
『
貴様
(
きさま
)
、
175
今
(
いま
)
いい
気
(
き
)
でヒン
馬
(
ば
)
に
跨
(
またが
)
つて
此処
(
ここ
)
まで
来
(
き
)
たのぢやないか』
176
二人
(
ふたり
)
『
馬鹿
(
ばか
)
言
(
い
)
ふない、
177
俺
(
おれ
)
たちは
親譲
(
おやゆづ
)
りの
交通
(
かうつう
)
機関
(
きくわん
)
で
てく
つて
来
(
き
)
たのだ、
178
貴様
(
きさま
)
も
矢張
(
やつぱ
)
り
何
(
なん
)
だか
妙
(
めう
)
な
面
(
つら
)
をしよつて
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
いだまま
歩
(
ある
)
いて
居
(
を
)
つたぢやないか、
179
歩
(
ある
)
きもつて
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
よつたのだな、
180
気楽
(
きらく
)
な
奴
(
やつ
)
だ、
181
アヽコンナ
奴
(
やつ
)
と
道連
(
みちづ
)
れになるのも
頼
(
たよ
)
りない
事
(
こと
)
だナア』
182
弥
(
や
)
『ハテ、
183
面妖
(
めんえう
)
な、
184
合点
(
がてん
)
の
往
(
ゆ
)
かぬこの
場
(
ば
)
の
光景
(
くわうけい
)
、
185
何物
(
なにもの
)
の
仕業
(
しわざ
)
なるぞ』
186
与
(
よ
)
『アハヽヽヽ、
187
何
(
なん
)
だ、
188
大
(
おほ
)
きな
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
きよつてコンナ
処
(
ところ
)
で
芝居
(
しばゐ
)
をやつたとて
誰
(
たれ
)
も
観客
(
くわんきやく
)
は
出
(
で
)
て
来
(
き
)
はせないぞ。
189
ど
拍子
(
びやうし
)
の
抜
(
ぬ
)
けた
銅羅声
(
どらごゑ
)
を
出
(
だ
)
しよつて、
190
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
を
廻転
(
くわいてん
)
させて
大根
(
だいこん
)
役者
(
やくしや
)
奴
(
め
)
が、
191
何
(
なん
)
の
真似
(
まね
)
だい、
192
チツト
春
(
はる
)
さきで
逆上
(
のぼ
)
せよつたな、
193
アハヽヽヽヽ』
194
弥
(
や
)
『そうすると
矢張
(
やつぱ
)
り
夢
(
ゆめ
)
だつたかいな』
195
与
(
よ
)
『
一遍
(
いつぺん
)
手洗
(
てうづ
)
を
使
(
つか
)
はむかい、
196
恍
(
とぼ
)
け
人足
(
にんそく
)
奴
(
め
)
、
197
貴様
(
きさま
)
は
図体
(
づうたい
)
ばかり
仁王
(
にわう
)
の
荒削
(
あらけづ
)
り
見
(
み
)
たいな
奴
(
やつ
)
だが、
198
大男
(
おほをとこ
)
総身
(
そうみ
)
に
智慧
(
ちゑ
)
が
廻
(
まは
)
りかねか、
199
独活
(
うど
)
の
大木
(
たいぼく
)
、
200
胴柄
(
どうがら
)
倒
(
たふ
)
し、
201
困
(
こま
)
つた
奴
(
やつ
)
だナア。
202
この
与太
(
よた
)
サンは
身体
(
からだ
)
は
小
(
ちい
)
さくても
山椒
(
さんせう
)
小粒
(
こつぶ
)
でもヒリリツと
辛
(
から
)
いと
言
(
い
)
ふ
哥兄
(
にい
)
サンだぞ』
203
弥
(
や
)
『チヤチヤ
吐
(
ぬか
)
すない、
204
鶏
(
にはとり
)
は
跣足
(
はだし
)
だ』
205
与
(
よ
)
『
馬
(
うま
)
は
大
(
おほ
)
きうてもふりまらだ、
206
チツト
褌
(
ふんどし
)
でも
締
(
し
)
めて、
207
しつかりせむかい、
208
アハヽヽヽ』
209
弥
(
や
)
『この
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
はやつぱり
噂
(
うはさ
)
の
通
(
とほ
)
り
化物
(
ばけもの
)
峠
(
たうげ
)
だ、
210
しつかりせむとお
三狐
(
さんぎつね
)
に
ちよろ
まかされるぞ』
211
与
(
よ
)
『アハヽヽヽ、
212
吐
(
ぬか
)
したりな
吐
(
ぬか
)
したりな、
213
自分
(
じぶん
)
が
ちよろ
まかされよつて
憚
(
はばか
)
りさまだ、
214
この
与太
(
よた
)
サンはチツト
身魂
(
みたま
)
の
製造法
(
せいざうはふ
)
が
違
(
ちが
)
ふのだ。
215
貴様
(
きさま
)
のやうな
粗製
(
そせい
)
濫造
(
らんざう
)
とは
聊
(
いささ
)
か
選
(
せん
)
を
異
(
こと
)
にしてゐるのだぞ、
216
喃
(
の
)
う
六公
(
ろくこう
)
』
217
六
(
ろく
)
『
恰
(
まる
)
で
弥次
(
やじ
)
サンは
六道
(
ろくだう
)
の
辻
(
つじ
)
に
亡者
(
まうじや
)
が
迷
(
まよ
)
ふた
様
(
やう
)
な
人
(
ひと
)
ですな』
218
与
(
よ
)
『オイオイ、
219
亡者
(
まうじや
)
の
序
(
ついで
)
に
向
(
むか
)
ふを
見
(
み
)
よ、
220
沢山
(
たくさん
)
の
亡者
(
まうじや
)
が
来
(
く
)
るぢやないか』
221
弥
(
や
)
『
貴様
(
きさま
)
こそ
恍
(
とぼ
)
けて
居
(
ゐ
)
よる、
222
彼奴
(
あいつ
)
は
牛
(
うし
)
じやないか』
223
与
(
よ
)
『
牛
(
うし
)
だから
もうじや
』
224
弥
(
や
)
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しやがる、
225
コンナ
処
(
ところ
)
で
口合
(
くちあ
)
ひを
出
(
だ
)
しやがつて』
226
六
(
ろく
)
『
くちあい
ものには
蝿
(
はへ
)
が
集
(
たか
)
るか、
227
アハヽヽヽヽ』
228
弥
(
や
)
『
真実
(
ほんと
)
に
沢山
(
たくさん
)
な
もう
公
(
こう
)
ぢや、
229
オイ
如何
(
どう
)
だ
与太公
(
よたこう
)
、
230
馬
(
うま
)
を
牛
(
うし
)
に
乗
(
の
)
り
換
(
か
)
へたら』
231
与
(
よ
)
『
乗
(
の
)
り
換
(
か
)
へるも
乗
(
の
)
り
換
(
か
)
へぬもあつたものかい、
232
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
つた
覚
(
おぼ
)
えがないぢやないか』
233
牛
(
うし
)
の
群
(
むれ
)
ドシドシと
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
突進
(
とつしん
)
し
来
(
き
)
たる。
234
与
(
よ
)
『
牛公
(
うしこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
235
貴様
(
きさま
)
の
喧嘩
(
けんくわ
)
ぢやないが
天地間
(
てんちかん
)
は、
236
もちつ、
237
もたれつぢや。
238
如何
(
どう
)
だ、
239
附合
(
つきあひ
)
に
俺
(
おれ
)
を
一
(
ひと
)
つ
乗
(
の
)
せて
行
(
ゆ
)
かないか、
240
附合
(
つきあひ
)
ぢやと
言
(
い
)
つても
俺
(
おれ
)
を
突
(
つ
)
いては
困
(
こま
)
るよ』
241
牛
(
うし
)
『
もう
止
(
や
)
めておこかい、
242
もう
昧
(
まい
)
頑固
(
ぐわんこ
)
な
もう
碌
(
ろく
)
を
乗
(
の
)
せたつて
もう
からぬからな』
243
与
(
よ
)
『
此奴
(
こいつ
)
、
244
洒落
(
しやれ
)
た
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひよる、
245
一寸
(
ちよつと
)
談
(
はな
)
せる
哩
(
わい
)
、
246
乗
(
の
)
つてやらうか』
247
牛
(
うし
)
『
乗
(
の
)
るなら
乗
(
の
)
れ、
248
その
代
(
かは
)
りに
牛々
(
ぎうぎう
)
言
(
い
)
ふ
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
はされるぞ』
249
与
(
よ
)
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しよるのだ、
250
ソンナ
不心得
(
ふこころえ
)
の
事
(
こと
)
をしよつたが
最後
(
さいご
)
、
251
貴様
(
きさま
)
の
どたま
をトン
骨
(
こつ
)
とやつて
肉
(
にく
)
は
喰
(
くら
)
ひ
皮
(
かは
)
は
太鼓
(
たいこ
)
に
張
(
は
)
つてやるのだ』
252
牛
(
うし
)
『マア
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
、
253
乗
(
の
)
つたが
良
(
よ
)
からう』
254
与『ヨー
有難
(
ありがた
)
い、
255
牛
(
うし
)
に
引
(
ひ
)
かれて
善光寺
(
ぜんくわうじ
)
詣
(
まゐ
)
りと
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
るが、
256
牛
(
うし
)
に
乗
(
の
)
つてコーカス
詣
(
まゐ
)
りか。
257
合
(
あ
)
ふたり、
258
適
(
かな
)
ふたり、
259
開
(
あ
)
いた
口
(
くち
)
に
牡丹餅
(
ぼたもち
)
、
260
三口
(
みつくち
)
に
しんこ
、
261
四
(
よ
)
つ
口
(
くち
)
に
羊羹
(
やうかん
)
、
262
○○に
踵
(
きびす
)
、
263
ピツタリコ
だ。
264
水
(
みづ
)
も
漏
(
も
)
らさぬ
仲
(
なか
)
となつてコーカス
詣
(
まう
)
でだ』
265
牛
(
うし
)
『オイ
与太公
(
よたこう
)
、
266
俺
(
おれ
)
の
朋輩
(
ともがら
)
は
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
、
267
貴様
(
きさま
)
の
連
(
つ
)
れは
三匹
(
さんびき
)
だ、
268
この
中
(
うち
)
から
選挙
(
せんきよ
)
して
何
(
ど
)
れなつと
乗
(
の
)
るが
宜
(
よ
)
からう』
269
弥
(
や
)
『サアサア
選挙権
(
せんきよけん
)
の
所有者
(
しよいうしや
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
だ、
270
被
(
ひ
)
選挙権
(
せんきよけん
)
者
(
しや
)
も
三匹
(
さんびき
)
だ、
271
如何
(
どう
)
だ、
272
普通
(
ふつう
)
選挙
(
せんきよ
)
でやらうかな』
273
牛
(
うし
)
『
如何
(
どう
)
でも
宜
(
よ
)
いワ、
274
早
(
はや
)
くやらないか』
275
与
(
よ
)
『
一
(
いち
)
人
(
にん
)
一票
(
いつぺう
)
だ、
276
俺
(
おれ
)
は
赤
(
あか
)
の
牝
(
めん
)
だ』
277
牛
(
うし
)
『
貴様
(
きさま
)
、
278
矢張
(
やつぱ
)
り
牝
(
めん
)
が
好
(
す
)
きだな、
279
余程
(
よつぽど
)
あかだと
見
(
み
)
える
哩
(
わい
)
』
280
六
(
ろく
)
『
俺
(
おれ
)
は
白
(
しろ
)
の
牝
(
めん
)
だ』
281
牛
(
うし
)
『
白
(
しろ
)
い
牛
(
うし
)
に
烏
(
からす
)
のやうな
男
(
をとこ
)
が
乗
(
の
)
ると
似合
(
にあ
)
はないぞ、
282
一層
(
いつそ
)
黒
(
くろ
)
にして
乗
(
の
)
つてやれ』
283
六
(
ろく
)
『
俺
(
おれ
)
は
牛
(
うし
)
に
乗
(
の
)
るのは
しろ
人
(
うと
)
だから
白
(
しろ
)
にするのだ。
284
黒
(
くろ
)
に
乗
(
の
)
つて、
285
苦労
(
くらう
)
するのは
困
(
こま
)
るからのう』
286
弥
(
や
)
『
俺
(
おれ
)
は
選挙権
(
せんきよけん
)
の
棄却
(
ききやく
)
だ』
287
牛
(
うし
)
『
神聖
(
しんせい
)
な
一票
(
いつぺう
)
の
選挙権
(
せんきよけん
)
を
放棄
(
はうき
)
すると
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるものか、
288
立憲
(
りつけん
)
政治
(
せいぢ
)
を
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
てゐる』
289
弥
(
や
)
『
俺
(
おれ
)
は
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
つた
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
て、
290
懲
(
こ
)
り
懲
(
こ
)
りした、
291
もうもう
乗
(
の
)
り
物
(
もの
)
は
廃止
(
はいし
)
だ。
292
これからボツボツと
てくる
事
(
こと
)
にしやう、
293
乗
(
の
)
つた
所
(
ところ
)
で
牛
(
うし
)
の
奴
(
やつ
)
、
294
足
(
あし
)
が
遅
(
おそ
)
いから
却
(
かへつ
)
てテクが
良
(
い
)
い
訳
(
わけ
)
だ』
295
与
(
よ
)
『ソンナラ
俺
(
おれ
)
は
乗
(
の
)
せて
貰
(
もら
)
はう。
296
オイ
六公
(
ろくこう
)
、
297
貴様
(
きさま
)
も
乗
(
の
)
つたり』
298
六
(
ろく
)
『
乗
(
の
)
らいでか、
299
ロハで
乗
(
の
)
せてやらうと
言
(
い
)
ふのだもの、
300
コンナ
安価
(
やす
)
い
乗
(
の
)
り
物
(
もの
)
があるかい、
301
サア
白
(
しろ
)
サン、
302
赤
(
あか
)
サン、
303
歩
(
ある
)
いたり
歩
(
ある
)
いたり』
304
赤
(
あか
)
、
305
白
(
しろ
)
『ヤア
当選
(
たうせん
)
の
光栄
(
くわうえい
)
を
得
(
え
)
まして
有難
(
ありがた
)
うございます』
306
与
(
よ
)
『
極
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
だ、
307
一騎
(
いつき
)
当千
(
たうせん
)
の
英雄
(
えいゆう
)
豪傑
(
がうけつ
)
が
乗
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだもの、
308
当選
(
たうせん
)
するのは
当然
(
たうぜん
)
だ、
309
サア
進
(
すす
)
んだり
進
(
すす
)
んだり』
310
赤
(
あか
)
『オイ、
311
与太
(
よた
)
サン、
312
この
先
(
さき
)
へ
行
(
ゆ
)
くと
峻
(
きつ
)
い
阪
(
さか
)
がある、
313
その
阪
(
さか
)
まで
行
(
い
)
つたら
直立
(
ちよくりつ
)
するから
覚悟
(
かくご
)
してお
呉
(
く
)
れや』
314
与
(
よ
)
『よしよし
直立
(
ちよくりつ
)
せい、
315
俺
(
おれ
)
は
貴様
(
きさま
)
の
角
(
つの
)
に
喰
(
くら
)
ひ
付
(
つ
)
いて
居
(
を
)
るから
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だよ』
316
白
(
しろ
)
『これこれ
六
(
ろく
)
サン、
317
俺
(
おれ
)
もチヨボチヨボだ、
318
この
先
(
さき
)
へ
行
(
ゆ
)
くと
羊腸
(
やうちやう
)
の
小径
(
こみち
)
がある、
319
そこを
通
(
とほ
)
る
時
(
とき
)
は
如何
(
どう
)
しても
直立
(
ちよくりつ
)
せねばならぬから、
320
しつかりなさいよ、
321
千
(
せん
)
人
(
にん
)
の
者
(
もの
)
が
九百
(
くひやく
)
九十九
(
くじふく
)
人
(
にん
)
まで
落
(
お
)
ちて
死
(
し
)
ぬ
処
(
ところ
)
だから……』
322
六
(
ろく
)
『ヤアソンナ
処
(
ところ
)
があるのかい、
323
ソンナラもう
此処
(
ここ
)
で
破約
(
はやく
)
だ、
324
小便
(
せうべん
)
だ、
325
下
(
おろ
)
して
呉
(
く
)
れ』
326
白
(
しろ
)
『
下
(
おろ
)
して
堪
(
たま
)
るか、
327
喃
(
のう
)
、
328
赤公
(
あかこう
)
』
329
赤
(
あか
)
『
極
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
だ、
330
下
(
おろ
)
すのはまだ
早
(
はや
)
い、
331
断巌
(
だんがん
)
絶壁
(
ぜつぺき
)
で
振
(
ふ
)
り
落
(
おと
)
してやらうかい』
332
与
(
よ
)
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
洒落
(
しやれ
)
た
事
(
こと
)
を
吐
(
ほざ
)
いてゐよる、
333
エー、
334
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
い、
335
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
空中
(
くうちう
)
滑走
(
くわつそう
)
だ。
336
一
(
ひい
)
、
337
二
(
ふう
)
、
338
三
(
みつ
)
つ、
339
ドスン、
340
アイタヽヽヽ』
341
弥
(
や
)
『オイオイ
貴様
(
きさま
)
、
342
何
(
なん
)
だ、
343
二人
(
ふたり
)
とも
道
(
みち
)
を
歩
(
ある
)
きもつて
跳
(
と
)
び
上
(
あが
)
りよつて
地
(
ち
)
べた
に
へた
つて、
344
アイタタもあつたものかい、
345
しつかりせぬか』
346
与
(
よ
)
『オレは、
347
もう
もう、
348
牛々
(
ぎうぎう
)
云
(
い
)
ふ
目
(
め
)
に
遭
(
あ
)
はされちやつた』
349
弥
(
や
)
『
如何
(
どう
)
したと
言
(
い
)
ふのだ、
350
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たのぢや
無
(
な
)
いか、
351
歩
(
ある
)
きもつて
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
る
奴
(
やつ
)
が
何処
(
どこ
)
にあるかい』
352
与
(
よ
)
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しよるのだ、
353
歩
(
ある
)
きもつて
夢
(
ゆめ
)
見
(
み
)
るのは
貴様
(
きさま
)
が
教祖
(
けうそ
)
ぢやないか、
354
俺
(
おれ
)
も
競争
(
きやうさう
)
して
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
てやつたのだ、
355
ナア
六公
(
ろくこう
)
、
356
貴様
(
きさま
)
も
碌
(
ろく
)
でもない
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たのだらう』
357
弥
(
や
)
『アハヽヽヽヽ、
358
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
偉
(
えら
)
いものだ、
359
俺
(
おれ
)
が
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たと
言
(
い
)
つて
襤褸糞
(
ぼろくそ
)
に
笑
(
わら
)
ひよるものだから
罰
(
ばつ
)
は
覿面
(
てきめん
)
、
360
貴様
(
きさま
)
も
同
(
おな
)
じ
様
(
やう
)
に
歩
(
ある
)
きもつて
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
せられよつたな。
361
これだからアルコールの
脱
(
ぬ
)
けた
甘酒
(
あまざけ
)
のやうな
低脳児
(
ていなうじ
)
と
同行
(
どうかう
)
するのは
困
(
こま
)
ると
言
(
い
)
ふのだ』
362
この
時
(
とき
)
山岳
(
さんがく
)
も
崩
(
くづ
)
るる
許
(
ばか
)
りの
怪音
(
くわいおん
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
363
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
驚
(
おどろ
)
いて
目
(
め
)
を
醒
(
さま
)
せば
豈
(
あに
)
図
(
はか
)
らむや
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
の
道端
(
みちばた
)
にコクリコクリと
居睡
(
ゐねむ
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
364
三
(
さん
)
人
(
にん
)
『アーア
偉
(
えら
)
い
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
た
喃
(
のう
)
、
365
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
に
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たり、
366
何
(
なに
)
が
何
(
なん
)
だか
有名
(
いうめい
)
無実
(
むじつ
)
、
367
曖昧
(
あいまい
)
朦朧
(
まうろう
)
、
368
アア
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
だ、
369
こしつか
りと
腹帯
(
はらおび
)
でも
締
(
し
)
めて
行
(
い
)
かうかい』
370
(
大正一一・三・二三
旧二・二五
北村隆光
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 馬詈
(B)
(N)
楽隠居 >>>
霊界物語
>
第14巻
> 第1篇 五里夢中 > 第5章 風馬牛
Tweet
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【05 風馬牛|第14巻(丑の巻)|霊界物語/rm1405】
合言葉「みろく」を入力して下さい→