霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 改悟(かいご)(むくい)〔六八三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第21巻 如意宝珠 申の巻 篇:第2篇 是生滅法 よみ(新仮名遣い):ぜしょうめっぽう
章:第9章 改悟の酬 よみ(新仮名遣い):かいごのむくい 通し章番号:683
口述日:1922(大正11)年05月19日(旧04月23日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年4月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
湖中の大岩石に取り残された三人の盗賊は、水に頭まで浸かってしまった。すると三個の火球が荒れ狂うと湖水が二つに割れ、三柱の女神が現れたと見えた。
たちまち大岩石周辺の湖水は干上がった。女神と見えたのは、杢助、お初、玉治別の三人であった。玉治別は、水が干上がったのは湖に住む大蛇の仕業であると言い、盗賊たちに改心を諭した。
杢助と玉治別は、宣伝歌を歌って三人に改心を促した。遠州、駿州、武州の三人は涙を流して感謝した。すると三人の本守護神が女神となって現れて喜びの舞を舞った。
そこへ、雲州、三州、甲州の三人が、一人の女神の手を引いてこの場に現れた。杢助が女神をよく見ると、亡くなった妻のお杉であった。雲州、三州、甲州の背後からは、また三柱の女神が現れて天に昇った。
雲州、三州、甲州は、お初に金銀を与えられて赦されてから、後ろ髪引かれる心地がして、お杉の墓に詣でたところ、お杉の精霊に出会い、杢助・お初のところへ連れて来たのであった。
これよりお杉の精霊も現世の執着を去って天国に昇ることができた。夫と娘の幸福を祈りつつ、天人の列に加わったのであった。
玉治別は遠州ら六人に諄々と道を説いて聞かせ、再会を約して別れを告げた。杢助、お初、玉治別の三人は、鷹依姫の岩窟を指して進んでいった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-05-02 01:41:57 OBC :rm2109
愛善世界社版:166頁 八幡書店版:第4輯 325頁 修補版: 校定版:171頁 普及版:75頁 初版: ページ備考:
001 (あめ)もなきに湖水(こすゐ)水量(みづかさ)(まさ)りゆき、002最早(もはや)(さん)(にん)(はな)位置(ゐち)まで(みづ)(ただよ)うて()た。003湖水(こすゐ)(そそ)()ちたる(ひと)(いは)(いま)水中(すゐちう)(ぼつ)し、004(くろ)(あたま)()(ばか)湖面(こめん)()かんで()(やう)()えた。005(つき)(にはか)黒雲(こくうん)(つつ)まれ、006咫尺(しせき)(べん)ぜざる(こま)かき(ゆき)(にはか)()(きた)り、007寒冷(かんれい)()をきる(ごと)くなり、008その生命(せいめい)瞬間(しゆんかん)(せま)るを、009(さん)(にん)如何(いかが)はせむと相互(さうご)(こころ)()(なが)ら、010(なほ)(かみ)(ねん)ずる(こと)()さずありけるが、011(たちま)暗黒(あんこく)水面(すゐめん)をパツと()らして()(きた)三箇(さんこ)火球(くわきう)ありて(さん)(にん)()上下(じやうげ)左右(さいう)()(くる)ふ。012湖水(こすゐ)(ふた)つに()れたりと()るや湖底(こてい)より(うる)はしき三柱(みはしら)女神(めがみ)013左手(ゆんで)(ちひ)さき(たま)(ささ)げ、014右手(めて)鋭利(えいり)なる両刃(もろは)(つるぎ)()()(なが)ら、015徐々(しづしづ)(さん)(にん)(まへ)(あら)はれ(きた)りしが何時(いつ)()にか(いは)水面(すゐめん)(たか)(あら)はれける。016(しか)して岩島(いはしま)()には一滴(いつてき)もなき(まで)017(みづ)左右(さいう)(わか)れて干上(ひあが)り、018(さん)(にん)女神(めがみ)()えしは(あやま)りにて、019さきに()ちたるは(ろく)(さい)のお(はつ)020(つぎ)玉治別(たまはるわけ)021(つぎ)杢助(もくすけ)大男(おほをとこ)なり。
022遠州(ゑんしう)『ヤア貴方(あなた)玉治別(たまはるわけ)さま、023何卒(どうぞ)生命(いのち)ばかりは(たす)けて(くだ)さい』
024玉治別(たまはるわけ)(この)湖水(こすゐ)八岐(やまた)大蛇(をろち)眷族(けんぞく)大蛇(だいじや)棲処(すみか)である。025(この)(うみ)(みづ)左右(さいう)()つたのは(まつた)大蛇(だいじや)仕業(しわざ)であるぞ。026(はや)(こころ)(そこ)から悔悟(くわいご)(いた)し、027(まこと)(みち)()(かへ)れば()し、028さなくば()くの(ごと)神変(しんぺん)不可思議(ふかしぎ)神術(かむわざ)(もつ)て、029(なんぢ)飽迄(あくまで)(こら)しめてくれむ。030いつ(まで)()()るならば大蛇(だいじや)(はら)(はうむ)られる(やう)(こと)が、031(いま)眼前(がんぜん)突発(とつぱつ)するぞ』
032駿州(すんしう)何卒(どうぞ)今度(こんど)ばかりはお(たす)(くだ)さいませ。033(けつ)して悪事(あくじ)(いた)しませぬ』
034 湖水(こすゐ)見渡(みわた)(かぎ)次第(しだい)々々(しだい)水量(みづかさ)(げん)じて、035(つい)には湖底(こてい)まで(あら)はれ(きた)り、036(ただ)一条(ひとすぢ)(かは)037()(なか)(なが)るるのみとはなりぬ。
038 (この)(とき)(また)もや杢助(もくすけ)039玉治別(たまはるわけ)040(はつ)(さん)(にん)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)(この)()近寄(ちかよ)(きた)る。041(その)(うた)
042杢助(もくすけ)瀬織津(せおりつ)(ひめの)大神(おほかみ)
043神言(みこと)(かしこ)玉治別(たまはるわけ)
044(かみ)使(つかひ)津田(つだ)(うみ)
045枉津(まがつ)棲処(すみか)言向(ことむ)けて
046()災患(わざはひ)(すく)はむと
047(こころ)腹帯(はらおび)時置師(ときおかし)
048(かみの)(みこと)()(しの)
049(しづ)樵夫(きこり)()(やつ)
050()杢助(もくすけ)(あらた)めて
051津田(つだ)(うみ)をば根底(ねそこ)より
052(きよ)めむものと(とき)()
053(をり)しもあれや三五(あななひ)
054(かみ)(をしへ)宣伝使(せんでんし)
055玉治別(たまはるわけ)(たづ)()
056執着心(しふちやくしん)(ふか)かりし
057(つま)霊魂(みたま)(とむら)ひつ
058根底(ねそこ)(くに)(くるし)みを
059(すく)(たま)ひし神恩(しんおん)
060(むく)いむ(ため)(いま)此処(ここ)
061(むすめ)(はつ)諸共(もろとも)
062(あら)はれ(きた)(たま)()
063生命(いのち)(すく)ひし(その)(うへ)
064(つづみ)(たき)(あら)はれて
065(まがね)(くは)()(ふる)
066さしもに(かた)岩石(がんせき)
067きつて(おと)せば(たちま)ちに
068(そこ)(あら)はす津田(つだ)(うみ)
069ここに三人(みたり)はイソイソと
070遠州(ゑんしう)武州(ぶしう)駿州(すんしう)
071生命(いのち)(あづ)けた(ひと)(いは)
072(きた)りて()れば()如何(いか)
073(われ)()姿(すがた)(まぼろし)
074寸分(すんぶん)(たが)はぬ三柱(みはしら)
075女神(めがみ)此処(ここ)()れましぬ
076(かみ)(めぐみ)御光(みひかり)
077(いま)(やうや)()らされて
078霊肉(れいにく)一致(いつち)清姿(きよすがた)
079最早(もはや)(われ)()神界(しんかい)
080(まこと)(みち)太柱(ふとばしら)
081()(たふと)さの(かぎ)りなり
082アヽ(さん)(にん)人々(ひとびと)
083(いま)より(こころ)取直(とりなほ)
084(ちひ)さき(よく)()()すてて
085万劫(まんご)末代(まつだい)(しを)れない
086(まこと)(ひと)つの(はな)()かせ
087(あぢ)()もある(もも)()
088(かみ)御楯(みたて)逸早(いちはや)
089()りて(つか)へよ現世(うつしよ)
090夢幻(ゆめまぼろし)浮世(うきよ)ぞや
091幾千代(いくちよ)までも(かぎ)りなく
092生命(いのち)(さか)えて(かみ)(くに)
093()きたる(まま)(かみ)となり
094世人(よびと)(すく)(ひと)となり
095(はや)(こころ)(あらた)めて
096(われ)()(したが)(きた)れかし』
097玉治別(たまはるわけ)高春山(たかはるやま)(たか)くとも
098鷹依姫(たかよりひめ)(たけ)くとも
099(まこと)(ひと)つの言霊(ことたま)
100(まつろ)(やは)すは眼前(まのあたり)
101あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
102御霊(みたま)(さち)はひましまして
103(われ)()(はじ)杢助師(もくすけし)
104(かみ)化身(けしん)のお(はつ)(ぢやう)
105(あつ)(まも)りて(この)(たび)
106言霊戦(ことたません)(つつが)なく
107(まつた)勝利(しようり)()させかし
108(この)(さん)(にん)(にく)(みや)
109(あら)(きよ)めて(たま)()はふ
110(かみ)(たふと)(みや)となし
111神政(しんせい)成就(じやうじゆ)神業(しんげふ)
112使(つか)はせ(たま)天教山(てんけうざん)
113永久(とは)(しづ)まる()花姫(はなひめ)
114(かみ)(みこと)斎苑(いそ)(やかた)
115(をさ)めまします素盞嗚(すさのを)
116(かみ)(みこと)(おん)(まへ)
117(こころ)(ひそ)(おに)大蛇(をろち)
118醜女(しこめ)探女(さぐめ)(よろこ)びて
119(まこと)(かみ)となり(かは)
120(この)肉体(にくたい)何時(いつ)(まで)
121いと(すこや)かに現世(うつしよ)
122()ちて(はたら)神代(かみしろ)
123(まも)らせ(たま)惟神(かむながら)
124御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
125玉治別(たまはるわけ)(こゑ)(かぎ)りに(うた)(をは)れば、126今迄(いままで)(あら)はれたる(さん)(にん)姿(すがた)は、127(また)もや(もと)女神(めがみ)となつて天女(てんによ)(まひ)()(なが)ら、128中空(ちうくう)さして(のぼ)()き、129(つい)には神姿(すがた)()えずなりにけり。130遠州(ゑんしう)131駿州(すんしう)132武州(ぶしう)(さん)(にん)(なみだ)(たき)(ごと)くに(なが)しつつ感謝(かんしや)(むせ)ぶ。133(さん)(にん)背後(はいご)よりは(むらさき)(くも)134シユウシユウと湯烟(ゆえん)(ごと)(おと)をたてて頭上(づじやう)(たか)立昇(たちのぼ)り、135(その)(うち)より蜃気楼(しんきろう)(ごと)(さん)(にん)女神(めがみ)(あら)はれ(たま)ひ、136右手(めて)(すず)()ち、137(ひだり)日月(じつげつ)(もん)(しる)したる(あふぎ)(ひら)いて中空(ちうくう)()(くる)ふ。138(これ)遠州(ゑんしう)139駿州(すんしう)140武州(ぶしう)(さん)(にん)(ふく)守護神(しゆごじん)(からだ)(はな)れたるより、141その精霊中(せいれいちう)(ほん)守護神(しゆごじん)(よろこ)(たま)ひて(その)神姿(しんし)(あら)はし歓喜(よろこび)()(へう)したるなりき。142一同(いちどう)(この)奇瑞(きずゐ)感歎(かんたん)天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)する(をり)しも、143雲州(うんしう)144三州(さんしう)145甲州(かふしう)(さん)(にん)は、146容色(ようしよく)艶麗(えんれい)なる女神(めがみ)()()き、147杢助(もくすけ)(まへ)(あら)はれて、148前非(ぜんぴ)()(なみだ)(なが)して合掌(がつしやう)する。149(さん)(にん)()()かれて此処(ここ)(あら)はれし女神(めがみ)()れば、150こは(そも)如何(いか)に、151(じふ)(ねん)以前(いぜん)壮健(さうけん)なりし(はな)(さか)りのお(すぎ)姿(すがた)なりければ、152杢助(もくすけ)(おも)はず()らず、
153杢助『アヽ女房(にようばう)精霊(せいれい)か、154()くも無事(ぶじ)()てくれた』
155お初『お(かあ)さま、156よう()(くだ)さいました』
157とお(はつ)はお(すぎ)精霊(せいれい)()りついて(うれ)(なみだ)()(くづ)るる。158甲州(かふしう)159雲州(うんしう)160三州(さんしう)(さん)(にん)(うしろ)よりは(また)もや紫雲(しうん)()(のぼ)り、161以前(いぜん)(ごと)(うる)はしき女神(めがみ)(あら)はれ空中(くうちう)舞曲(ぶきよく)(そう)し、162(これ)(また)雲中(うんちう)神姿(すがた)(かく)しける。
163 暴悪(ばうあく)無道(ぶだう)盗賊(たうぞく)164三州(さんしう)165雲州(うんしう)166甲州(かふしう)杢助(もくすけ)(むすめ)のお(はつ)誠心(まごころ)(ほだ)され、167一旦(いつたん)金銀(きんぎん)(うば)()りて(かへ)りしものの(なん)となく後髪(うしろがみ)()かるる心地(ここち)して、168(すぎ)(はか)()らず()らず()()せられしが、169(この)(とき)(はか)よりヌツと(あら)はれし(かげ)は、170()(おとろ)へて()したる(はず)のお(すぎ)にして、171中肉(ちうにく)中背(ちうぜい)(いろ)飽迄(あくまで)(しろ)元気(げんき)飽迄(あくまで)旺盛(わうせい)なる姿(すがた)なりけり。172(すぎ)(これ)より娑婆(しやば)執着心(しふちやくしん)をさり天国(てんごく)(のぼ)り、173(あと)(のこ)せし(をつと)(ならび)一粒種(ひとつぶだね)(わが)()幸福(かうふく)(いの)り、174(たふと)天人(てんにん)(れつ)(くは)はりける。175(これ)(おも)へば(おそ)るべきは執着心(しふちやくしん)欲望(よくばう)なり。176あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
177 (これ)より玉治別(たまはるわけ)遠州(ゑんしう)以下(いか)()(にん)諄々(じゆんじゆん)として(まこと)(みち)()き、178再会(さいくわい)(やく)して此処(ここ)(わか)れを()げ、179杢助(もくすけ)180(はつ)(とも)艱難(かんなん)(をか)して、181鷹依姫(たかよりひめ)割拠(かつきよ)せる岩窟(いはや)(むか)つて宣伝歌(せんでんか)(とな)へながら(いきほひ)よく(のぼ)()く。
182大正一一・五・一九 旧四・二三 北村隆光録)
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