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霊界物語
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第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
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第6巻(巳の巻)
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第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
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第13巻(子の巻)
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第51巻(寅の巻)
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第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
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第66巻(巳の巻)
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第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
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第21巻(申の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 千辛万苦
01 高春山
〔675〕
02 夢の懸橋
〔676〕
03 月休殿
〔677〕
04 砂利喰
〔678〕
05 言の疵
〔679〕
第2篇 是生滅法
06 小杉の森
〔680〕
07 誠の宝
〔681〕
08 津田の湖
〔682〕
09 改悟の酬
〔683〕
第3篇 男女共権
10 女権拡張
〔684〕
11 鬼娘
〔685〕
12 奇の女
〔686〕
13 夢の女
〔687〕
14 恩愛の涙
〔688〕
第4篇 反復無常
15 化地蔵
〔689〕
16 約束履行
〔690〕
17 酒の息
〔691〕
18 解決
〔692〕
余白歌
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第九章
改悟
(
かいご
)
の
酬
(
むくい
)
〔六八三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第21巻 如意宝珠 申の巻
篇:
第2篇 是生滅法
よみ(新仮名遣い):
ぜしょうめっぽう
章:
第9章 改悟の酬
よみ(新仮名遣い):
かいごのむくい
通し章番号:
683
口述日:
1922(大正11)年05月19日(旧04月23日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年4月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
湖中の大岩石に取り残された三人の盗賊は、水に頭まで浸かってしまった。すると三個の火球が荒れ狂うと湖水が二つに割れ、三柱の女神が現れたと見えた。
たちまち大岩石周辺の湖水は干上がった。女神と見えたのは、杢助、お初、玉治別の三人であった。玉治別は、水が干上がったのは湖に住む大蛇の仕業であると言い、盗賊たちに改心を諭した。
杢助と玉治別は、宣伝歌を歌って三人に改心を促した。遠州、駿州、武州の三人は涙を流して感謝した。すると三人の本守護神が女神となって現れて喜びの舞を舞った。
そこへ、雲州、三州、甲州の三人が、一人の女神の手を引いてこの場に現れた。杢助が女神をよく見ると、亡くなった妻のお杉であった。雲州、三州、甲州の背後からは、また三柱の女神が現れて天に昇った。
雲州、三州、甲州は、お初に金銀を与えられて赦されてから、後ろ髪引かれる心地がして、お杉の墓に詣でたところ、お杉の精霊に出会い、杢助・お初のところへ連れて来たのであった。
これよりお杉の精霊も現世の執着を去って天国に昇ることができた。夫と娘の幸福を祈りつつ、天人の列に加わったのであった。
玉治別は遠州ら六人に諄々と道を説いて聞かせ、再会を約して別れを告げた。杢助、お初、玉治別の三人は、鷹依姫の岩窟を指して進んでいった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-05-02 01:41:57
OBC :
rm2109
愛善世界社版:
166頁
八幡書店版:
第4輯 325頁
修補版:
校定版:
171頁
普及版:
75頁
初版:
ページ備考:
001
雨
(
あめ
)
もなきに
湖水
(
こすゐ
)
の
水量
(
みづかさ
)
は
増
(
まさ
)
りゆき、
002
最早
(
もはや
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
鼻
(
はな
)
の
位置
(
ゐち
)
まで
水
(
みづ
)
は
漂
(
ただよ
)
うて
来
(
き
)
た。
003
湖水
(
こすゐ
)
に
聳
(
そそ
)
り
立
(
た
)
ちたる
一
(
ひと
)
つ
岩
(
いは
)
も
今
(
いま
)
は
水中
(
すゐちう
)
に
没
(
ぼつ
)
し、
004
黒
(
くろ
)
い
頭
(
あたま
)
が
三
(
み
)
つ
許
(
ばか
)
り
湖面
(
こめん
)
に
浮
(
う
)
かんで
居
(
ゐ
)
る
様
(
やう
)
に
見
(
み
)
えた。
005
月
(
つき
)
は
俄
(
にはか
)
に
黒雲
(
こくうん
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
006
咫尺
(
しせき
)
を
弁
(
べん
)
ぜざる
細
(
こま
)
かき
雪
(
ゆき
)
は
俄
(
にはか
)
に
降
(
ふ
)
り
来
(
きた
)
り、
007
寒冷
(
かんれい
)
身
(
み
)
をきる
如
(
ごと
)
くなり、
008
その
生命
(
せいめい
)
瞬間
(
しゆんかん
)
に
迫
(
せま
)
るを、
009
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
如何
(
いかが
)
はせむと
相互
(
さうご
)
に
心
(
こころ
)
を
揉
(
も
)
み
乍
(
なが
)
ら、
010
尚
(
なほ
)
も
神
(
かみ
)
を
念
(
ねん
)
ずる
事
(
こと
)
を
為
(
な
)
さずありけるが、
011
忽
(
たちま
)
ち
暗黒
(
あんこく
)
の
水面
(
すゐめん
)
をパツと
照
(
て
)
らして
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
る
三箇
(
さんこ
)
の
火球
(
くわきう
)
ありて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
身
(
み
)
の
上下
(
じやうげ
)
左右
(
さいう
)
に
荒
(
あ
)
れ
狂
(
くる
)
ふ。
012
湖水
(
こすゐ
)
は
二
(
ふた
)
つに
割
(
わ
)
れたりと
見
(
み
)
るや
湖底
(
こてい
)
より
美
(
うる
)
はしき
三柱
(
みはしら
)
の
女神
(
めがみ
)
、
013
左手
(
ゆんで
)
に
小
(
ちひ
)
さき
玉
(
たま
)
を
捧
(
ささ
)
げ、
014
右手
(
めて
)
に
鋭利
(
えいり
)
なる
両刃
(
もろは
)
の
剣
(
つるぎ
)
を
抜
(
ぬ
)
き
持
(
も
)
ち
乍
(
なが
)
ら、
015
徐々
(
しづしづ
)
と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
りしが
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
岩
(
いは
)
は
水面
(
すゐめん
)
に
高
(
たか
)
く
現
(
あら
)
はれける。
016
而
(
しか
)
して
岩島
(
いはしま
)
の
根
(
ね
)
には
一滴
(
いつてき
)
もなき
迄
(
まで
)
、
017
水
(
みづ
)
は
左右
(
さいう
)
に
分
(
わか
)
れて
干上
(
ひあが
)
り、
018
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
女神
(
めがみ
)
と
見
(
み
)
えしは
誤
(
あやま
)
りにて、
019
さきに
立
(
た
)
ちたるは
六
(
ろく
)
歳
(
さい
)
のお
初
(
はつ
)
、
020
次
(
つぎ
)
に
玉治別
(
たまはるわけ
)
、
021
次
(
つぎ
)
に
杢助
(
もくすけ
)
の
大男
(
おほをとこ
)
なり。
022
遠州
(
ゑんしう
)
『ヤア
貴方
(
あなた
)
は
玉治別
(
たまはるわけ
)
さま、
023
何卒
(
どうぞ
)
生命
(
いのち
)
ばかりは
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さい』
024
玉治別
(
たまはるわけ
)
『
此
(
この
)
湖水
(
こすゐ
)
は
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
眷族
(
けんぞく
)
の
大蛇
(
だいじや
)
の
棲処
(
すみか
)
である。
025
此
(
この
)
湖
(
うみ
)
の
水
(
みづ
)
を
左右
(
さいう
)
に
割
(
わ
)
つたのは
全
(
まつた
)
く
大蛇
(
だいじや
)
の
仕業
(
しわざ
)
であるぞ。
026
早
(
はや
)
く
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
悔悟
(
くわいご
)
を
致
(
いた
)
し、
027
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
れば
宜
(
よ
)
し、
028
さなくば
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
く
神変
(
しんぺん
)
不可思議
(
ふかしぎ
)
の
神術
(
かむわざ
)
を
以
(
もつ
)
て、
029
汝
(
なんぢ
)
を
飽迄
(
あくまで
)
も
懲
(
こら
)
しめてくれむ。
030
いつ
迄
(
まで
)
も
我
(
が
)
を
張
(
は
)
るならば
大蛇
(
だいじや
)
の
腹
(
はら
)
に
葬
(
はうむ
)
られる
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
が、
031
今
(
いま
)
眼前
(
がんぜん
)
に
突発
(
とつぱつ
)
するぞ』
032
駿州
(
すんしう
)
『
何卒
(
どうぞ
)
今度
(
こんど
)
ばかりはお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいませ。
033
決
(
けつ
)
して
悪事
(
あくじ
)
は
致
(
いた
)
しませぬ』
034
湖水
(
こすゐ
)
は
見渡
(
みわた
)
す
限
(
かぎ
)
り
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
水量
(
みづかさ
)
減
(
げん
)
じて、
035
遂
(
つい
)
には
湖底
(
こてい
)
まで
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
036
只
(
ただ
)
一条
(
ひとすぢ
)
の
川
(
かは
)
、
037
真
(
ま
)
ん
中
(
なか
)
を
流
(
なが
)
るるのみとはなりぬ。
038
此
(
この
)
時
(
とき
)
又
(
また
)
もや
杢助
(
もくすけ
)
、
039
玉治別
(
たまはるわけ
)
、
040
お
初
(
はつ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
近寄
(
ちかよ
)
り
来
(
きた
)
る。
041
其
(
その
)
歌
(
うた
)
、
042
杢助
(
もくすけ
)
『
瀬織津
(
せおりつ
)
姫
(
ひめの
)
大神
(
おほかみ
)
の
043
神言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
044
神
(
かみ
)
の
使
(
つかひ
)
は
津田
(
つだ
)
の
湖
(
うみ
)
045
枉津
(
まがつ
)
の
棲処
(
すみか
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
046
世
(
よ
)
の
災患
(
わざはひ
)
を
救
(
すく
)
はむと
047
心
(
こころ
)
に
腹帯
(
はらおび
)
、
時置師
(
ときおかし
)
048
神
(
かみの
)
命
(
みこと
)
の
世
(
よ
)
を
忍
(
しの
)
ぶ
049
賤
(
しづ
)
の
樵夫
(
きこり
)
と
身
(
み
)
を
窶
(
やつ
)
し
050
名
(
な
)
も
杢助
(
もくすけ
)
と
改
(
あらた
)
めて
051
津田
(
つだ
)
の
湖
(
うみ
)
をば
根底
(
ねそこ
)
より
052
清
(
きよ
)
めむものと
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
つ
053
折
(
をり
)
しもあれや
三五
(
あななひ
)
の
054
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
055
玉治別
(
たまはるわけ
)
が
訪
(
たづ
)
ね
来
(
き
)
て
056
執着心
(
しふちやくしん
)
の
深
(
ふか
)
かりし
057
妻
(
つま
)
の
霊魂
(
みたま
)
を
弔
(
とむら
)
ひつ
058
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
の
苦
(
くるし
)
みを
059
救
(
すく
)
ひ
給
(
たま
)
ひし
神恩
(
しんおん
)
に
060
報
(
むく
)
いむ
為
(
ため
)
と
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
に
061
娘
(
むすめ
)
お
初
(
はつ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
062
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
063
生命
(
いのち
)
救
(
すく
)
ひし
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
064
鼓
(
つづみ
)
の
滝
(
たき
)
に
現
(
あら
)
はれて
065
鋼
(
まがね
)
の
鍬
(
くは
)
を
打
(
う
)
ち
揮
(
ふる
)
ひ
066
さしもに
堅
(
かた
)
き
岩石
(
がんせき
)
を
067
きつて
落
(
おと
)
せば
忽
(
たちま
)
ちに
068
底
(
そこ
)
を
現
(
あら
)
はす
津田
(
つだ
)
の
湖
(
うみ
)
069
ここに
三人
(
みたり
)
はイソイソと
070
遠州
(
ゑんしう
)
武州
(
ぶしう
)
駿州
(
すんしう
)
の
071
生命
(
いのち
)
を
託
(
あづ
)
けた
一
(
ひと
)
つ
岩
(
いは
)
072
来
(
きた
)
りて
見
(
み
)
れば
此
(
こ
)
は
如何
(
いか
)
に
073
我
(
われ
)
等
(
ら
)
が
姿
(
すがた
)
か
幻
(
まぼろし
)
か
074
寸分
(
すんぶん
)
違
(
たが
)
はぬ
三柱
(
みはしら
)
の
075
女神
(
めがみ
)
は
此処
(
ここ
)
に
現
(
あ
)
れましぬ
076
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
御光
(
みひかり
)
に
077
今
(
いま
)
は
漸
(
やうや
)
く
照
(
て
)
らされて
078
霊肉
(
れいにく
)
一致
(
いつち
)
の
清姿
(
きよすがた
)
079
最早
(
もはや
)
我
(
われ
)
等
(
ら
)
は
神界
(
しんかい
)
の
080
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
の
太柱
(
ふとばしら
)
081
実
(
げ
)
に
尊
(
たふと
)
さの
限
(
かぎ
)
りなり
082
アヽ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
人々
(
ひとびと
)
よ
083
今
(
いま
)
より
心
(
こころ
)
を
取直
(
とりなほ
)
し
084
小
(
ちひ
)
さき
欲
(
よく
)
を
打
(
う
)
ち
捨
(
す
)
すてて
085
万劫
(
まんご
)
末代
(
まつだい
)
萎
(
しを
)
れない
086
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
かせ
087
味
(
あぢ
)
も
香
(
か
)
もある
桃
(
もも
)
の
実
(
み
)
の
088
神
(
かみ
)
の
御楯
(
みたて
)
と
逸早
(
いちはや
)
く
089
成
(
な
)
りて
仕
(
つか
)
へよ
現世
(
うつしよ
)
は
090
夢幻
(
ゆめまぼろし
)
の
浮世
(
うきよ
)
ぞや
091
幾千代
(
いくちよ
)
までも
限
(
かぎ
)
りなく
092
生命
(
いのち
)
栄
(
さか
)
えて
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
093
生
(
い
)
きたる
儘
(
まま
)
に
神
(
かみ
)
となり
094
世人
(
よびと
)
を
救
(
すく
)
ふ
人
(
ひと
)
となり
095
早
(
はや
)
く
心
(
こころ
)
を
改
(
あらた
)
めて
096
我
(
われ
)
等
(
ら
)
に
従
(
したが
)
ひ
来
(
きた
)
れかし』
097
玉治別
(
たまはるわけ
)
『
高春山
(
たかはるやま
)
は
高
(
たか
)
くとも
098
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
は
猛
(
たけ
)
くとも
099
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
言霊
(
ことたま
)
に
100
服
(
まつろ
)
へ
和
(
やは
)
すは
眼前
(
まのあたり
)
101
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
102
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
103
我
(
われ
)
等
(
ら
)
を
始
(
はじ
)
め
杢助師
(
もくすけし
)
104
神
(
かみ
)
の
化身
(
けしん
)
のお
初
(
はつ
)
嬢
(
ぢやう
)
105
厚
(
あつ
)
く
守
(
まも
)
りて
此
(
この
)
度
(
たび
)
の
106
言霊戦
(
ことたません
)
に
恙
(
つつが
)
なく
107
全
(
まつた
)
き
勝利
(
しようり
)
を
得
(
え
)
させかし
108
此
(
この
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
109
洗
(
あら
)
ひ
清
(
きよ
)
めて
霊
(
たま
)
幸
(
ち
)
はふ
110
神
(
かみ
)
の
尊
(
たふと
)
き
宮
(
みや
)
となし
111
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
神業
(
しんげふ
)
に
112
使
(
つか
)
はせ
給
(
たま
)
へ
天教山
(
てんけうざん
)
に
113
永久
(
とは
)
に
鎮
(
しづ
)
まる
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
の
114
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
や
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
115
治
(
をさ
)
めまします
素盞嗚
(
すさのを
)
の
116
神
(
かみ
)
の
尊
(
みこと
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
117
心
(
こころ
)
に
潜
(
ひそ
)
む
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
118
醜女
(
しこめ
)
探女
(
さぐめ
)
も
喜
(
よろこ
)
びて
119
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
となり
変
(
かは
)
り
120
此
(
この
)
肉体
(
にくたい
)
を
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
121
いと
健
(
すこや
)
かに
現世
(
うつしよ
)
に
122
立
(
た
)
ちて
働
(
はたら
)
く
神代
(
かみしろ
)
と
123
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
124
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
125
と
玉治別
(
たまはるわけ
)
が
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
れば、
126
今迄
(
いままで
)
現
(
あら
)
はれたる
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
姿
(
すがた
)
は、
127
又
(
また
)
もや
元
(
もと
)
の
女神
(
めがみ
)
となつて
天女
(
てんによ
)
の
舞
(
まひ
)
を
舞
(
ま
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
128
中空
(
ちうくう
)
さして
昇
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
き、
129
遂
(
つい
)
には
神姿
(
すがた
)
も
見
(
み
)
えずなりにけり。
130
遠州
(
ゑんしう
)
、
131
駿州
(
すんしう
)
、
132
武州
(
ぶしう
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
涙
(
なみだ
)
を
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
くに
流
(
なが
)
しつつ
感謝
(
かんしや
)
に
咽
(
むせ
)
ぶ。
133
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
背後
(
はいご
)
よりは
紫
(
むらさき
)
の
雲
(
くも
)
、
134
シユウシユウと
湯烟
(
ゆえん
)
の
如
(
ごと
)
く
音
(
おと
)
をたてて
頭上
(
づじやう
)
に
高
(
たか
)
く
立昇
(
たちのぼ
)
り、
135
其
(
その
)
中
(
うち
)
より
蜃気楼
(
しんきろう
)
の
如
(
ごと
)
く
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
女神
(
めがみ
)
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ひ、
136
右手
(
めて
)
に
鈴
(
すず
)
を
持
(
も
)
ち、
137
左
(
ひだり
)
に
日月
(
じつげつ
)
の
紋
(
もん
)
を
記
(
しる
)
したる
扇
(
あふぎ
)
を
開
(
ひら
)
いて
中空
(
ちうくう
)
に
舞
(
ま
)
ひ
狂
(
くる
)
ふ。
138
之
(
これ
)
ぞ
遠州
(
ゑんしう
)
、
139
駿州
(
すんしう
)
、
140
武州
(
ぶしう
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
が
体
(
からだ
)
を
離
(
はな
)
れたるより、
141
その
精霊中
(
せいれいちう
)
の
本
(
ほん
)
守護神
(
しゆごじん
)
は
喜
(
よろこ
)
び
給
(
たま
)
ひて
其
(
その
)
神姿
(
しんし
)
を
現
(
あら
)
はし
歓喜
(
よろこび
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
したるなりき。
142
一同
(
いちどう
)
は
此
(
この
)
奇瑞
(
きずゐ
)
に
感歎
(
かんたん
)
し
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
する
折
(
をり
)
しも、
143
雲州
(
うんしう
)
、
144
三州
(
さんしう
)
、
145
甲州
(
かふしう
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は、
146
容色
(
ようしよく
)
艶麗
(
えんれい
)
なる
女神
(
めがみ
)
の
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
き、
147
杢助
(
もくすけ
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれて、
148
前非
(
ぜんぴ
)
を
悔
(
く
)
い
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
合掌
(
がつしやう
)
する。
149
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
かれて
此処
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれし
女神
(
めがみ
)
を
見
(
み
)
れば、
150
こは
抑
(
そも
)
如何
(
いか
)
に、
151
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
以前
(
いぜん
)
の
壮健
(
さうけん
)
なりし
花
(
はな
)
の
盛
(
さか
)
りのお
杉
(
すぎ
)
が
姿
(
すがた
)
なりければ、
152
杢助
(
もくすけ
)
は
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず、
153
杢助
『アヽ
女房
(
にようばう
)
の
精霊
(
せいれい
)
か、
154
能
(
よ
)
くも
無事
(
ぶじ
)
に
居
(
ゐ
)
てくれた』
155
お初
『お
母
(
かあ
)
さま、
156
よう
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました』
157
とお
初
(
はつ
)
はお
杉
(
すぎ
)
の
精霊
(
せいれい
)
に
取
(
と
)
りついて
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
泣
(
な
)
き
崩
(
くづ
)
るる。
158
甲州
(
かふしう
)
、
159
雲州
(
うんしう
)
、
160
三州
(
さんしう
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
後
(
うしろ
)
よりは
又
(
また
)
もや
紫雲
(
しうん
)
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
り、
161
以前
(
いぜん
)
の
如
(
ごと
)
く
美
(
うる
)
はしき
女神
(
めがみ
)
現
(
あら
)
はれ
空中
(
くうちう
)
に
舞曲
(
ぶきよく
)
を
奏
(
そう
)
し、
162
之
(
これ
)
亦
(
また
)
雲中
(
うんちう
)
に
神姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
しける。
163
暴悪
(
ばうあく
)
無道
(
ぶだう
)
の
盗賊
(
たうぞく
)
、
164
三州
(
さんしう
)
、
165
雲州
(
うんしう
)
、
166
甲州
(
かふしう
)
も
杢助
(
もくすけ
)
が
娘
(
むすめ
)
のお
初
(
はつ
)
の
誠心
(
まごころ
)
に
絆
(
ほだ
)
され、
167
一旦
(
いつたん
)
金銀
(
きんぎん
)
は
奪
(
うば
)
ひ
取
(
と
)
りて
帰
(
かへ
)
りしものの
何
(
なん
)
となく
後髪
(
うしろがみ
)
引
(
ひ
)
かるる
心地
(
ここち
)
して、
168
お
杉
(
すぎ
)
の
墓
(
はか
)
に
知
(
し
)
らず
識
(
し
)
らず
引
(
ひ
)
き
寄
(
よ
)
せられしが、
169
此
(
この
)
時
(
とき
)
墓
(
はか
)
よりヌツと
現
(
あら
)
はれし
影
(
かげ
)
は、
170
痩
(
や
)
せ
衰
(
おとろ
)
へて
死
(
し
)
したる
筈
(
はず
)
のお
杉
(
すぎ
)
にして、
171
中肉
(
ちうにく
)
中背
(
ちうぜい
)
の
色
(
いろ
)
飽迄
(
あくまで
)
白
(
しろ
)
く
元気
(
げんき
)
飽迄
(
あくまで
)
旺盛
(
わうせい
)
なる
姿
(
すがた
)
なりけり。
172
お
杉
(
すぎ
)
は
之
(
これ
)
より
娑婆
(
しやば
)
の
執着心
(
しふちやくしん
)
をさり
天国
(
てんごく
)
に
上
(
のぼ
)
り、
173
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
せし
夫
(
をつと
)
並
(
ならび
)
に
一粒種
(
ひとつぶだね
)
の
我
(
わが
)
娘
(
こ
)
の
幸福
(
かうふく
)
を
祈
(
いの
)
り、
174
尊
(
たふと
)
き
天人
(
てんにん
)
の
列
(
れつ
)
に
加
(
くは
)
はりける。
175
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば
恐
(
おそ
)
るべきは
執着心
(
しふちやくしん
)
と
欲望
(
よくばう
)
なり。
176
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
177
之
(
これ
)
より
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
遠州
(
ゑんしう
)
以下
(
いか
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
に
諄々
(
じゆんじゆん
)
として
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
説
(
と
)
き、
178
再会
(
さいくわい
)
を
約
(
やく
)
して
此処
(
ここ
)
に
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げ、
179
杢助
(
もくすけ
)
、
180
お
初
(
はつ
)
と
共
(
とも
)
に
艱難
(
かんなん
)
を
冒
(
をか
)
して、
181
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
の
割拠
(
かつきよ
)
せる
岩窟
(
いはや
)
に
向
(
むか
)
つて
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
唱
(
とな
)
へながら
勢
(
いきほひ
)
よく
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
182
(
大正一一・五・一九
旧四・二三
北村隆光
録)
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