霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第21巻(申の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 千辛万苦
01 高春山
〔675〕
02 夢の懸橋
〔676〕
03 月休殿
〔677〕
04 砂利喰
〔678〕
05 言の疵
〔679〕
第2篇 是生滅法
06 小杉の森
〔680〕
07 誠の宝
〔681〕
08 津田の湖
〔682〕
09 改悟の酬
〔683〕
第3篇 男女共権
10 女権拡張
〔684〕
11 鬼娘
〔685〕
12 奇の女
〔686〕
13 夢の女
〔687〕
14 恩愛の涙
〔688〕
第4篇 反復無常
15 化地蔵
〔689〕
16 約束履行
〔690〕
17 酒の息
〔691〕
18 解決
〔692〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスクのお知らせ
霊界物語
>
第21巻
> 第4篇 反復無常 > 第18章 解決
<<< 酒の息
(B)
(N)
余白歌 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第一八章
解決
(
かいけつ
)
〔六九二〕
インフォメーション
著者:
巻:
篇:
よみ(新仮名遣い):
章:
よみ(新仮名遣い):
通し章番号:
口述日:
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm2118
愛善世界社版:
八幡書店版:
修補版:
校定版:
普及版:
初版:
ページ備考:
001
テーリスタンは
密室前
(
みつしつぜん
)
に
現
(
あら
)
はれて、
002
テーリスタン
『モシモシ
私
(
わたし
)
はテーリスタンで
御座
(
ござ
)
います。
003
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
004
黒姫
(
くろひめ
)
様
(
さま
)
、
005
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
は
如何
(
いかが
)
で
御座
(
ござ
)
いますか』
006
高姫
『お
前
(
まへ
)
はテーリスタンだな。
007
いつも
我々
(
われわれ
)
を
軽蔑
(
けいべつ
)
して
置
(
お
)
きながら、
008
今日
(
けふ
)
に
限
(
かぎ
)
つて
其
(
その
)
丁寧
(
ていねい
)
な
物
(
もの
)
云
(
い
)
ひは
何事
(
なにごと
)
だい。
009
大方
(
おほかた
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
がやつて
来
(
き
)
たものだから、
010
そんなお
追従
(
つゐしよう
)
を
云
(
い
)
ふのだらう。
011
なア
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
012
抜目
(
ぬけめ
)
のない
男
(
をとこ
)
ぢやありませぬか』
013
テーリスタン
『イエ
決
(
けつ
)
してさうぢや
御座
(
ござ
)
いませぬが、
014
どうも
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
に
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
感動
(
かんどう
)
しました。
015
何卒
(
どうぞ
)
早
(
はや
)
く
出
(
で
)
て
下
(
くだ
)
さいませ』
016
高姫
『
出
(
で
)
いと
云
(
い
)
つたつて、
017
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のやうに
海老錠
(
えびぢやう
)
をかけて
置
(
お
)
いたぢやないか。
018
お
前
(
まへ
)
は
妾
(
わし
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
を
石室
(
いはむろ
)
に
入
(
い
)
れた
積
(
つも
)
りか
知
(
し
)
らぬが、
019
高姫
(
たかひめ
)
大明神
(
だいみやうじん
)
、
020
黒姫
(
くろひめ
)
大明神
(
だいみやうじん
)
の
結構
(
けつこう
)
な
御
(
お
)
扉
(
みと
)
ぢやぞエ、
021
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
て
居
(
を
)
る。
022
大幣
(
おほぬさ
)
でも
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
て
十分
(
じふぶん
)
に
祓
(
はら
)
ひ
清
(
きよ
)
め、
023
お
供
(
そな
)
へ
物
(
もの
)
を
沢山
(
どつさり
)
と
奉
(
たてまつ
)
つて
冠装束
(
かむりしやうぞく
)
で
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
024
岩戸
(
いはと
)
開
(
びら
)
きの
舞
(
まひ
)
を
舞
(
ま
)
はぬ
事
(
こと
)
には、
025
此
(
この
)
女神
(
めがみ
)
さまは
滅多
(
めつた
)
に
出
(
で
)
はせぬぞエ』
026
テーリスタンは
鍵
(
かぎ
)
を
以
(
もつ
)
て、
027
ガタガタ
云
(
い
)
はせながら
石
(
いし
)
の
戸
(
と
)
をパツと
開
(
ひら
)
き、
028
テーリスタン
『サア
何卒
(
どうぞ
)
お
出
(
で
)
まし
下
(
くだ
)
さいませ』
029
黒姫
『アヽ
有
(
あ
)
り
難
(
がた
)
う、
030
サア、
031
高姫
(
たかひめ
)
さま
出
(
で
)
ませうか』
032
高姫
『
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
033
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ひなさる、
034
お
前
(
まへ
)
さまは
呆
(
とぼ
)
けて
居
(
ゐ
)
るのか。
035
コレヤコレヤ、
036
テーリスタン、
037
貴様
(
きさま
)
は
人
(
ひと
)
の
住家
(
すみか
)
の
戸
(
と
)
を
勝手
(
かつて
)
に
開
(
あ
)
けよつて、
038
誰
(
たれ
)
の
許可
(
ゆるし
)
を
受
(
う
)
けたのだ。
039
家宅
(
かたく
)
侵入罪
(
しんにふざい
)
で
訴
(
うつた
)
へてやるがどうだい』
040
テーリスタン
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
041
さういちやつかずに、
042
御
(
お
)
頼
(
たの
)
みぢや、
043
出
(
で
)
て
下
(
くだ
)
さいな』
044
高姫
『
出
(
で
)
て
呉
(
く
)
れいと
頼
(
たの
)
むなら
聞
(
き
)
いてやらぬ
事
(
こと
)
もない。
045
今日
(
けふ
)
はお
供
(
そな
)
へ
物
(
もの
)
も、
046
祝詞
(
のりと
)
も
免除
(
めんぢよ
)
してやらう。
047
実
(
じつ
)
は
妾
(
わたし
)
も
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
く、
048
こんな
暗
(
くら
)
い
所
(
ところ
)
へ
居
(
を
)
りたい
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
い
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
い
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
いのだ。
049
サアサア
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
050
お
前
(
まへ
)
さまから
先
(
さき
)
に
出
(
で
)
なさい。
051
大分
(
だいぶん
)
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
から
出
(
で
)
たさうだつたから』
052
黒姫
『
先生
(
せんせい
)
からお
先
(
さき
)
へ
出
(
で
)
て
下
(
くだ
)
さいませ。
053
あまり
失礼
(
しつれい
)
ですから』
054
高姫
『そんならお
先
(
さき
)
へ
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
りませう。
055
長
(
なが
)
らく
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
になりました。
056
サアもう
此処
(
ここ
)
まで
出
(
で
)
た
以上
(
いじやう
)
は、
057
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
に、
058
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
夜光
(
やくわう
)
の
玉
(
たま
)
を
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
んだ
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
、
059
仮令
(
たとへ
)
何万
(
なんまん
)
人
(
にん
)
の
豪傑
(
がうけつ
)
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
るとも、
060
フンと
一
(
ひと
)
つ
鼻息
(
はないき
)
をしたら
飛
(
と
)
び
散
(
ち
)
つて
仕舞
(
しま
)
ふ
位
(
くらゐ
)
なものだ。
061
これから
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
を
一
(
ひと
)
つ
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
してやらうかなア』
062
テーリスタン
『
貴女
(
あなた
)
はお
腹
(
なか
)
は
空
(
す
)
きませぬか。
063
大分
(
だいぶん
)
にお
瘠
(
や
)
せになりましたな。
064
テーは
心配
(
しんぱい
)
ですワ』
065
高姫
『
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
や
二百
(
にひやく
)
日
(
にち
)
食
(
く
)
はいでも
瘠
(
やせ
)
るやうな
高姫
(
たかひめ
)
とは
些
(
ちつ
)
と
違
(
ちが
)
います。
066
イヤ
瘠
(
やせ
)
たのぢやない。
067
体
(
からだ
)
を
細
(
ほそ
)
くして
置
(
お
)
いたのだよ。
068
サアサア テーリスタン、
069
案内
(
あんない
)
をしなさい、
070
婆
(
ばば
)
アの
傍
(
そば
)
へ』
071
テーリスタン
『イヤ、
072
もう
最前
(
さいぜん
)
からカーリンスと
二人
(
ふたり
)
酔
(
よ
)
つて
管
(
くだ
)
をまいてまいて、
073
まき
潰
(
つぶ
)
した
所
(
とこ
)
です。
074
もはや
我々
(
われわれ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
ですから
安心
(
あんしん
)
して
下
(
くだ
)
さい』
075
高姫
『お
前
(
まへ
)
のやうな
者
(
もの
)
が
信者
(
しんじや
)
になれば、
076
安心
(
あんしん
)
所
(
どころ
)
か、
077
益々
(
ますます
)
気
(
き
)
をつけねばなるまい。
078
誰
(
たれ
)
に
許
(
ゆる
)
されて
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
になつたのだい』
079
テーリスタン
『
私
(
わたくし
)
はお
初
(
はつ
)
さまに
頼
(
たの
)
みました』
080
高姫
『お
初
(
はつ
)
さまて
誰
(
たれ
)
の
事
(
こと
)
だえ』
081
テーリスタン
『
五
(
いつ
)
つ
六
(
むつ
)
つのちつぽけな
娘
(
むすめ
)
の
子
(
こ
)
です。
082
貴女
(
あなた
)
を
岩窟
(
いはや
)
から
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
さねばならぬと
云
(
い
)
つて
唯
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
子供
(
こども
)
だてら
やつて
来
(
き
)
たのですよ』
083
高姫
『さうしてお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
其
(
その
)
子供
(
こども
)
に
降参
(
かうさん
)
したのかい』
084
テーリスタン
『ハイハイ
何処
(
どこ
)
ともなしに
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
が
備
(
そな
)
はつて
居
(
ゐ
)
るので、
085
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
降参
(
かうさん
)
をして
貴女
(
あなた
)
をお
救
(
すく
)
ひ
申
(
まを
)
したのです』
086
高姫
『
何
(
なん
)
と
偉
(
えら
)
い
子供
(
こども
)
もあればあるものぢやなア。
087
子供
(
こども
)
に
大人
(
おとな
)
が
助
(
たす
)
けられるなんて
昔
(
むかし
)
から
聞
(
き
)
いた
事
(
こと
)
がない。
088
時節
(
じせつ
)
と
云
(
い
)
ふものは
結構
(
けつこう
)
なものだな』
089
黒姫
『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
090
それで
世
(
よ
)
が
逆
(
さか
)
さまになつて
居
(
を
)
ると、
091
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
がお
筆
(
ふで
)
にお
示
(
しめ
)
しになつて
居
(
ゐ
)
るぢやありませぬか』
092
高姫
『
黒姫
(
くろひめ
)
さまは
暫
(
しばら
)
く
沈黙
(
ちんもく
)
して
居
(
ゐ
)
なさい。
093
言葉尻
(
ことばじり
)
を
捉
(
つか
)
まへられちや
却
(
かへつ
)
て
不利益
(
ふりえき
)
ですよ。
094
女
(
をんな
)
と
云
(
い
)
ふものは
成
(
な
)
る
可
(
べ
)
く
喋舌
(
しやべ
)
らぬ
方
(
はう
)
が
高尚
(
かうしやう
)
に
見
(
み
)
えて
宜敷
(
よろし
)
い、
095
併
(
しか
)
し
妾
(
わたし
)
は
例外
(
れいぐわい
)
だ。
096
何
(
ど
)
うしても
率先
(
そつせん
)
して
云
(
い
)
はねばならぬ
役廻
(
やくまは
)
りだから……これこれアルプス
教
(
けう
)
の
教主
(
けうしゆ
)
どの、
097
長
(
なが
)
らく
結構
(
けつこう
)
な
岩窟
(
がんくつ
)
ホテルに
逗留
(
とうりう
)
さして
頂
(
いただ
)
きまして、
098
日々
(
にちにち
)
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
を
根
(
ね
)
つから
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
しませず、
099
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
の
段
(
だん
)
有
(
あ
)
りがたくお
礼
(
れい
)
申上
(
まをしあ
)
げませぬワイ』
100
鷹依姫
『
別
(
べつ
)
に
山中
(
さんちう
)
の
事
(
こと
)
とて
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
も
御座
(
ござ
)
りませず、
101
テーリスタンやカーリンスに
申付
(
まをしつ
)
けて、
102
三度
(
さんど
)
々々
(
さんど
)
、
103
相当
(
さうたう
)
の
食物
(
しよくもつ
)
をお
上
(
あ
)
げ
申
(
まを
)
すやう
命令
(
めいれい
)
して
置
(
お
)
きましたが、
104
何
(
ど
)
うせお
気
(
き
)
に
召
(
め
)
すやうなものは
上
(
あ
)
げられませぬでしたらう』
105
テーリスタン
『コレ
婆
(
ば
)
アさん、
106
自分
(
じぶん
)
の
責任
(
せきにん
)
を
我々
(
われわれ
)
に
転嫁
(
てんか
)
するのかい。
107
私
(
わし
)
がそつと
隠
(
かく
)
して
高姫
(
たかひめ
)
さまや
黒姫
(
くろひめ
)
さまに
進上
(
しんじやう
)
しようと
思
(
おも
)
へば、
108
隼
(
はやぶさ
)
のやうな
目
(
め
)
でジロジロと
私
(
わし
)
を
睨
(
にら
)
みつけ、
109
さうして
水
(
みづ
)
一滴
(
いつてき
)
、
110
飯
(
めし
)
一粒
(
ひとつぶ
)
やつてはならない。
111
斯
(
か
)
うして
置
(
お
)
けば、
112
高姫
(
たかひめ
)
がカンピンタンになるだらう。
113
都合
(
つがふ
)
よく
干
(
ひ
)
からびた
時
(
とき
)
に、
114
腹
(
はら
)
に
呑
(
の
)
んだ
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
も
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
も
刳
(
く
)
り
抜
(
ぬ
)
いて
取
(
と
)
ると
云
(
い
)
つたのでは
無
(
な
)
かつたのではないか。
115
今
(
いま
)
となつて、
116
そんな
卑怯
(
ひけふ
)
な
二枚舌
(
にまいじた
)
を
使
(
つか
)
ふものぢや
無
(
な
)
いワ。
117
なア、
118
カーリンス、
119
俺
(
おれ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
間違
(
まちが
)
ひはあるまい』
120
カーリンス
『オヽ、
121
さうとも さうとも、
122
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
にさへ
けち
けち
云
(
い
)
つて
酒
(
さけ
)
も
碌
(
ろく
)
に
呑
(
の
)
まさない
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
い、
123
悪党婆
(
あくたうばば
)
アだから、
124
どうしてあれだけ
憎
(
にく
)
んで
居
(
ゐ
)
た
高姫
(
たかひめ
)
さまや
黒姫
(
くろひめ
)
さまに、
125
飲食物
(
いんしよくぶつ
)
を
差上
(
さしあ
)
げる
筈
(
はず
)
があらうかい』
126
鷹依姫
『お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
嘘
(
うそ
)
を
云
(
い
)
ふのだ。
127
私
(
わし
)
を
八方
(
はつぱう
)
攻撃
(
こうげき
)
喰
(
く
)
はして
困
(
こま
)
らす
積
(
つも
)
りだな』
128
テーリスタン
『
定
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
だ。
129
大勢
(
おほぜい
)
の
人
(
ひと
)
を
困
(
こま
)
らせて
置
(
お
)
くと
其
(
その
)
罪障
(
めぐり
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
130
自分
(
じぶん
)
も
又
(
また
)
困
(
こま
)
らねばならぬ
事
(
こと
)
が
出来
(
しゆつたい
)
致
(
いた
)
すぞよ、
131
と
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
仰有
(
おつしや
)
つた。
132
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立
(
た
)
て
別
(
わ
)
けると
云
(
い
)
ふのは
此
(
この
)
事
(
こと
)
だ。
133
現
(
げん
)
にお
初
(
はつ
)
さまはまだ
年
(
とし
)
は
六
(
むつ
)
つだが、
134
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
生
(
うま
)
れ
代
(
かは
)
りだ。
135
此
(
この
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
れば
善悪
(
ぜんあく
)
正邪
(
せいじや
)
が
一遍
(
いつぺん
)
に
分
(
わか
)
るのだ……
私
(
わたくし
)
が
悪
(
わる
)
いですか
婆
(
ばば
)
が
悪
(
わる
)
いですか
判断
(
はんだん
)
して
下
(
くだ
)
さいな』
136
お初
『お
婆
(
ば
)
アさまもあんまり
良
(
よ
)
い
事
(
こと
)
はない。
137
テーリスタンもカーリンスもあまり
善人
(
ぜんにん
)
でもありませぬよ。
138
早
(
はや
)
う
改心
(
かいしん
)
をしなさい。
139
改心
(
かいしん
)
さへすれば
皆
(
みな
)
元
(
もと
)
の
善人
(
ぜんにん
)
になれますよ』
140
テー、
141
カーの
二人
(
ふたり
)
は
顔
(
かほ
)
を
真赤
(
まつか
)
に
頭
(
あたま
)
を
掻
(
か
)
いて
俯
(
うつ
)
むく。
142
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
表口
(
おもてぐち
)
より、
143
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら、
144
竜国別
(
たつくにわけ
)
、
145
玉治別
(
たまはるわけ
)
、
146
国依別
(
くによりわけ
)
を
先頭
(
せんとう
)
に、
147
力強
(
ちからづよ
)
の
杢助
(
もくすけ
)
、
148
其
(
その
)
他
(
た
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
のアルプス
教
(
けう
)
の
信者
(
しんじや
)
を
従
(
したが
)
へ、
149
どやどやと
這入
(
はい
)
つて
来
(
く
)
る。
150
玉治別
(
たまはるわけ
)
『ヨー、
151
貴女
(
あなた
)
は
高姫
(
たかひめ
)
さま、
152
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
153
ヨウ、
154
マア
無事
(
ぶじ
)
で
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さつた。
155
我々
(
われわれ
)
は
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
内命
(
ないめい
)
を
受
(
う
)
けて、
156
漸
(
やうや
)
く
三方
(
さんぱう
)
より
当山
(
たうざん
)
に
攻
(
せ
)
め
登
(
のぼ
)
り、
157
言霊戦
(
ことたません
)
に
向
(
むか
)
つたのです。
158
あゝこれで
結構
(
けつこう
)
だ。
159
此
(
この
)
方
(
かた
)
は
湯谷
(
ゆや
)
ケ
谷
(
だに
)
の
杢助
(
もくすけ
)
さまと
云
(
い
)
つて、
160
実
(
じつ
)
は
時置師
(
ときおかしの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
変名
(
へんめい
)
、
161
大変
(
たいへん
)
なお
世話
(
せわ
)
になつたのですワ』
162
高姫
『それはそれは
皆
(
みな
)
さま
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
でした。
163
よう
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつた。
164
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
とやら、
165
玉治別
(
たまはるわけ
)
さまが
いかい
お
世話
(
せわ
)
になられたさうです。
166
私
(
わたし
)
から
厚
(
あつ
)
くお
礼
(
れい
)
申上
(
まをしあ
)
げます』
167
黒姫
『
皆様
(
みなさま
)
よくこそお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいました。
168
時
(
とき
)
にこの
婆
(
ば
)
アさまはまだ
改心
(
かいしん
)
せないのかな』
169
お初
『サアお
婆
(
ば
)
アさま、
170
モウ
斯
(
か
)
うなつては
我
(
が
)
を
張
(
は
)
つても
駄目
(
だめ
)
ですよ。
171
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
もすつかり
懺悔
(
ざんげ
)
して
誠
(
まこと
)
の
心
(
こころ
)
に
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
り、
172
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
として、
173
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
清
(
きよ
)
く
麗
(
うるは
)
しくお
暮
(
くら
)
しなさい』
174
とお
初
(
はつ
)
の
小
(
ちひ
)
さき
唇
(
くちびる
)
より、
175
何
(
なん
)
となく
底力
(
そこぢから
)
のある
声
(
こゑ
)
にて
極
(
き
)
めつけられ、
176
さしもに
頑固
(
ぐわんこ
)
な
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
も
涙
(
なみだ
)
をハラハラと
流
(
なが
)
し、
177
遂
(
つい
)
には
声
(
こゑ
)
を
放
(
はな
)
つて
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
泣
(
な
)
き
伏
(
ふ
)
しにける。
178
お
初
(
はつ
)
『サア、
179
これからは
高姫
(
たかひめ
)
さまだ。
180
お
前
(
まへ
)
さまはウラナイ
教
(
けう
)
を
樹
(
た
)
てて
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
様
(
さま
)
に
反対
(
はんたい
)
をして
居
(
を
)
つた
時
(
とき
)
、
181
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
館
(
やかた
)
に
立
(
た
)
ち
入
(
い
)
り、
182
冠島
(
かむりじま
)
の
宝庫
(
はうこ
)
の
鍵
(
かぎ
)
を
盗
(
ぬす
)
み
出
(
だ
)
し、
183
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
玉
(
たま
)
を
奪
(
うば
)
ひ
取
(
と
)
つて
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
んだその
罪
(
つみ
)
で、
184
こんな
岩窟
(
がんくつ
)
へ
長
(
なが
)
らく
閉
(
と
)
じ
籠
(
こ
)
められ、
185
苦
(
くる
)
しんだのですよ。
186
何程
(
なにほど
)
負
(
ま
)
けぬ
気
(
き
)
になつて
空元気
(
からげんき
)
を
出
(
だ
)
しても
矢張
(
やつぱり
)
辛
(
つら
)
かつたでせう。
187
今
(
いま
)
妾
(
わたし
)
の
前
(
まへ
)
にその
玉
(
たま
)
を
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
しなさい。
188
さうして
又
(
また
)
、
189
昔
(
むかし
)
竹熊
(
たけくま
)
と
云
(
い
)
ふ
悪神
(
わるがみ
)
が
居
(
を
)
つて、
190
八尋殿
(
やひろどの
)
へ
竜宮城
(
りうぐうじやう
)
の
使神
(
ししん
)
を
招待
(
せうたい
)
し、
191
芳彦
(
よしひこ
)
の
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
つた
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
を
取
(
と
)
つたが、
192
竹熊
(
たけくま
)
の
終焉
(
しゆうえん
)
と
共
(
とも
)
に
死海
(
しかい
)
へ
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだ
十個
(
じつこ
)
の
玉
(
たま
)
の
中
(
なか
)
で、
193
この
玉
(
たま
)
ばかりは
汚
(
けが
)
されず、
194
中空
(
ちうくう
)
に
飛
(
と
)
んで
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
へ
落
(
お
)
ちて
来
(
き
)
た
玉
(
たま
)
ですよ。
195
それをこの
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
が
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れて、
196
それを
御
(
ご
)
神体
(
しんたい
)
としてアルプス
教
(
けう
)
を
樹
(
た
)
てて
居
(
を
)
つたのだが、
197
其
(
その
)
玉
(
たま
)
をお
前
(
まへ
)
さまは
又
(
また
)
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
んで
仕舞
(
しま
)
つたぢやないか。
198
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
に
何程
(
なにほど
)
玉
(
たま
)
があると
云
(
い
)
つても、
199
さう
云
(
い
)
ふ
悪
(
わる
)
い
心
(
こころ
)
で
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
んだのだから、
200
少
(
すこ
)
しも
光
(
ひかり
)
が
出
(
で
)
ない。
201
サア
私
(
わたし
)
が
此所
(
ここ
)
で
出
(
だ
)
して
上
(
あ
)
げよう。
202
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
玉
(
たま
)
は
素盞嗚
(
すさのをの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
御
(
お
)
返
(
かへ
)
し
申
(
まを
)
し、
203
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
は
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さまに
返
(
かへ
)
してお
上
(
あ
)
げなさいませ』
204
高姫
『ハイ
仕方
(
しかた
)
が
御座
(
ござ
)
いませぬ、
205
如何
(
どう
)
したら
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
んだ
玉
(
たま
)
が
出
(
で
)
ませうかなア』
206
お初
『
心配
(
しんぱい
)
は
要
(
い
)
りませぬ。
207
私
(
わたし
)
が
今
(
いま
)
楽
(
らく
)
に
出
(
だ
)
してあげませう』
208
と
云
(
い
)
ひつつ、
209
高姫
(
たかひめ
)
の
腰
(
こし
)
を
一
(
ひと
)
つエヽと
声
(
こゑ
)
かけ
打
(
う
)
つた
機
(
はづみ
)
に、
210
ポイと
口
(
くち
)
から
飛
(
と
)
んで
出
(
で
)
たのは
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
である。
211
もう
一
(
ひと
)
つ
左
(
ひだり
)
の
手
(
て
)
で
腰
(
こし
)
を
打
(
う
)
つた
機
(
はづみ
)
に
飛
(
と
)
んで
出
(
で
)
たのが
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
玉
(
たま
)
であつた。
212
高姫
(
たかひめ
)
はグタリと
疲
(
つか
)
れて
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
れる。
213
お初
『
高姫
(
たかひめ
)
さまは
斯
(
か
)
う
見
(
み
)
えても
心配
(
しんぱい
)
は
要
(
い
)
りませぬ、
214
暫
(
しばら
)
く
休息
(
きうそく
)
なされば
元気
(
げんき
)
は
元
(
もと
)
の
通
(
とほ
)
りになります。
215
サア
竜国別
(
たつくにわけ
)
さま、
216
貴方
(
あなた
)
は
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
を
大切
(
たいせつ
)
に
預
(
あづか
)
つて
聖地
(
せいち
)
へお
帰
(
かへ
)
りなさい。
217
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さま、
218
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
は
貴方
(
あなた
)
の
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
たものだ、
219
何
(
ど
)
うか
受取
(
うけと
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
220
鷹依姫
『
私
(
わたくし
)
も
最早
(
もはや
)
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
しました
以上
(
いじやう
)
は
玉
(
たま
)
の
必要
(
ひつえう
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ。
221
何卒
(
どうぞ
)
これを
聖地
(
せいち
)
へ
献上
(
けんじやう
)
致
(
いた
)
したう
御座
(
ござ
)
います。
222
私
(
わたくし
)
も
白状
(
はくじやう
)
を
致
(
いた
)
しまするが、
223
私
(
わたくし
)
には
唯
(
たつた
)
一人
(
ひとり
)
の
伜
(
せがれ
)
が
御座
(
ござ
)
いました。
224
その
伜
(
せがれ
)
が
極道者
(
ごくだうもの
)
で
近所
(
きんじよ
)
の
人
(
ひと
)
に
迷惑
(
めいわく
)
をかけたり、
225
喧嘩
(
けんくわ
)
をする、
226
賭博
(
ばくち
)
はうつ、
227
女
(
をんな
)
に
ずぼる
、
228
妾
(
わたし
)
が
意見
(
いけん
)
をすれば「
何
(
なに
)
、
229
親顔
(
おやがほ
)
をしてゴテゴテ
云
(
い
)
ふな」と
撲
(
なぐ
)
りつける、
230
終
(
しまひ
)
の
果
(
はて
)
には
親
(
おや
)
をふり
捨
(
す
)
てて、
231
何処
(
いづこ
)
ともなく
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
して
仕舞
(
しま
)
ひました。
232
極道
(
ごくだう
)
の
子
(
こ
)
は
尚
(
なほ
)
可愛
(
かあい
)
とか
申
(
まを
)
しまして、
233
況
(
ま
)
して
一人
(
ひとり
)
の
天
(
てん
)
にも
地
(
ち
)
にもかけ
替
(
が
)
へのない
伜
(
せがれ
)
、
234
も
一度
(
いちど
)
会
(
あ
)
ひたい
事
(
こと
)
だと
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
し、
235
とうとうバラモン
教
(
けう
)
に
入信
(
にふしん
)
し、
236
遂
(
つひ
)
にアルプス
教
(
けう
)
を
樹
(
た
)
てる
事
(
こと
)
になつたので
御座
(
ござ
)
います。
237
妾
(
わたし
)
のやうな
不運
(
ふうん
)
なものは
世界
(
せかい
)
に
御座
(
ござ
)
いませぬ』
238
玉治別
『さうしてその
伜
(
せがれ
)
の
名
(
な
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
方
(
かた
)
でしたか』
239
と
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
問
(
と
)
ひに、
240
鷹依姫
『ハイ、
241
今
(
いま
)
は
如何
(
どう
)
なつたか
行方
(
ゆくへ
)
は
分
(
わか
)
りませぬが、
242
顔
(
かほ
)
の
特徴
(
とくちやう
)
と
云
(
い
)
へば
一割
(
いちわり
)
人
(
ひと
)
より
鼻
(
はな
)
の
高
(
たか
)
いもので
御座
(
ござ
)
いました。
243
そして
名
(
な
)
は
竜若
(
たつわか
)
と
申
(
まを
)
します。
244
偉
(
えら
)
いまあ
極道
(
ごくだう
)
で
親
(
おや
)
に
心配
(
しんぱい
)
をかけよつたが、
245
今頃
(
いまごろ
)
はどうして
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
か、
246
アーア』
247
と
袖
(
そで
)
を
絞
(
しぼ
)
る。
248
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
不審
(
ふしん
)
さうに、
249
玉治別
『コレコレ
竜国別
(
たつくにわけ
)
、
250
お
前
(
まへ
)
も
竜若
(
たつわか
)
と
云
(
い
)
つたぢやないか。
251
そして
一人
(
ひとり
)
の
母
(
はは
)
があると
話
(
はな
)
した
事
(
こと
)
があるなア。
252
何処
(
どこ
)
やら
此
(
この
)
婆
(
ば
)
アさまに
目許
(
めもと
)
、
253
鼻
(
はな
)
の
高
(
たか
)
い
具合
(
ぐあひ
)
がよく
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
るやうだ。
254
もしや
此
(
この
)
婆
(
ば
)
アさまぢやあるまいかな』
255
竜国別
(
たつくにわけ
)
は
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み、
256
ウンと
吐息
(
といき
)
しながら
涙
(
なみだ
)
をホロホロと
流
(
なが
)
して
居
(
ゐ
)
る。
257
お
初
(
はつ
)
『
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
の
伜
(
せがれ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
竜国別
(
たつくにわけ
)
に
間違
(
まちが
)
ひはない。
258
親子
(
おやこ
)
の
対面
(
たいめん
)
させるために、
259
神
(
かみ
)
が
仕組
(
しぐ
)
んで
当山
(
たうざん
)
へ
差
(
さ
)
し
向
(
む
)
けられたのです。
260
竜国別
(
たつくにわけ
)
の
改心
(
かいしん
)
に
免
(
めん
)
じ、
261
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
の
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
して
上
(
あ
)
げよう。
262
竜国別
(
たつくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
263
昨夜
(
さくや
)
古
(
ふる
)
き
社
(
やしろ
)
の
前
(
まへ
)
にて
汝
(
なんぢ
)
の
逢
(
あ
)
うた
女
(
をんな
)
は
妾
(
わたし
)
の
化身
(
けしん
)
であつたぞや』
264
竜国別
(
たつくにわけ
)
は
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
265
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
にかき
暮
(
く
)
れる。
266
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
は
涙
(
なみだ
)
を
払
(
はら
)
ひ、
267
鷹依姫
『アヽ、
268
其方
(
そなた
)
は
伜
(
せがれ
)
の
竜若
(
たつわか
)
であつたか。
269
ヨウ、
270
マア
改心
(
かいしん
)
して
下
(
くだ
)
さつた。
271
立派
(
りつぱ
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
になつたものだ。
272
もう
是
(
これ
)
限
(
かぎ
)
り
母
(
はは
)
も
改心
(
かいしん
)
するから、
273
何卒
(
どうぞ
)
妾
(
わたし
)
の
罪
(
つみ
)
をお
詫
(
わび
)
して
下
(
くだ
)
さい』
274
竜国別
『
母様
(
ははさま
)
で
御座
(
ござ
)
いましたか、
275
お
懐
(
なつ
)
かしう
存
(
ぞん
)
じます』
276
鷹依姫
『お
前
(
まへ
)
、
277
額
(
ひたひ
)
の
疵
(
きず
)
は
如何
(
どう
)
なさつた。
278
矢張
(
やつぱり
)
人
(
ひと
)
に
憎
(
にく
)
まれて
怪我
(
けが
)
をしたのぢやないかな』
279
竜国別
『エヽ』
280
お初
『
竜国別
(
たつくにわけ
)
は
此
(
この
)
額
(
ひたひ
)
の
疵
(
きず
)
によつて、
281
身魂
(
みたま
)
の
罪
(
つみ
)
をすつかり
取払
(
とりはら
)
はれ、
282
水晶
(
すゐしやう
)
の
身魂
(
みたま
)
と
生
(
うま
)
れ
変
(
かは
)
れり。
283
其
(
その
)
徳
(
とく
)
に
依
(
よ
)
り
親子
(
おやこ
)
の
対面
(
たいめん
)
を
許
(
ゆる
)
したのである。
284
決
(
けつ
)
して
争
(
あらそ
)
ひなどを
致
(
いた
)
したのではないから、
285
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさるがよからう。
286
何時
(
いつ
)
まで
云
(
い
)
うても
果
(
はて
)
しがなければ、
287
サア
皆
(
みな
)
さま、
288
一緒
(
いつしよ
)
に
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
289
感謝
(
かんしや
)
祈願
(
きぐわん
)
の
詞
(
じ
)
を
捧
(
ささ
)
げて、
290
聖地
(
せいち
)
へ
一同
(
いちどう
)
うち
揃
(
そろ
)
うて
参
(
まゐ
)
りませう』
291
との
言葉
(
ことば
)
に
一同
(
いちどう
)
ハツと
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ、
292
口
(
くち
)
を
嗽
(
すす
)
ぎ、
293
手
(
て
)
を
洗
(
あら
)
つて
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
294
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
音頭
(
おんど
)
に
連
(
つ
)
れて
高唱
(
かうしやう
)
する。
295
(
大正一一・五・二一
旧四・二五
加藤明子
録)
296
(昭和一〇・六・五 王仁校正)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 酒の息
(B)
(N)
余白歌 >>>
霊界物語
>
第21巻
> 第4篇 反復無常 > 第18章 解決
Tweet
文芸社文庫『あらすじで読む霊界物語』絶賛発売中!
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【18 解決|第21巻(申の巻)|霊界物語/rm2118】
合言葉「みろく」を入力して下さい→