霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 女権(ぢよけん)拡張(くわくちやう)〔六八四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第21巻 如意宝珠 申の巻 篇:第3篇 男女共権 よみ(新仮名遣い):だんじょきょうけん
章:第10章 女権拡張 よみ(新仮名遣い):じょけんかくちょう 通し章番号:684
口述日:1922(大正11)年05月20日(旧04月24日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年4月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
竜国別は吹雪の山を高春山に向かって進んで行く。岩の陰に雪を避け、一夜を明かすことになった。
うつらうつらしていると、妙齢の美人が赤子を抱いてやってきた。女は、自分は浪速の者で高春山の鬼婆にさらわれていたのを、逃げてきたのだ、と言った。
竜国別は枯れ柴に火をつけて暖をとった。女は、高春山の内情に通じていると言って、竜国別と一緒に魔神征服に行こうと言う。竜国別は断るが、女は竜国別を誘惑しようとする。
女は自分の審神をしろと竜国別に迫り、竜国別を困惑させる。女は羽衣の舞を舞って竜国別の身魂の曇りを取ってやろうと言い出し、そのために赤子を抱いてくれるように、と竜国別に頼む。
竜国別は、魔神征服の途上、赤子とは言え女の子を抱くことを渋るが、女は女性がいかに勝れているかをとうとうと演説し、とうとう竜国別は不承不承に赤子を抱こうとする。
するとどこからともなく法螺貝の音が響き、大男が雪を踏んで現れると、女に対して大喝した。女は金毛九尾白面の悪狐の正体を表して逃げて行った。竜国別は肝をつぶして夢心地になってしまった。
またそこへ、美妙の音楽が聞こえて天女が現れた。先の大男は鬼武彦、天女は言依別の本守護神・言依姫であった。二柱は竜国別の急を救うために現れたのであった。
鬼武彦は、玉治別、国依別、竜国別の三人では高春山征服は荷が重いので、自分に三人の加勢を命ずるようにと言依姫に頼むが、言依姫はこれは三人の卒業試験だから、危急の場合以外は見守るようにと鬼武彦に依頼した。
竜国別は夢が覚めた心地して、宣伝歌を歌いながら進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-05-12 18:55:57 OBC :rm2110
愛善世界社版:175頁 八幡書店版:第4輯 328頁 修補版: 校定版:181頁 普及版:78頁 初版: ページ備考:
001吹雪(ふぶき)(はげ)しき(やま)(おく)
002竜国別(たつくにわけ)宣伝使(せんでんし)
003高春山(たかはるやま)(むか)はむと
004(ましら)(こゑ)(みみ)()たれ
005(こころ)イソイソ(すす)()
006人煙(じんえん)(まれ)なる(たに)(みち)
007(ゆき)(うづ)もれゆき()れて
008路傍(ろばう)()てる岩蔭(いはかげ)
009少時(しばし)(いき)をば(やす)めける。
010 (たに)片方(かたへ)突出(つきで)(いは)(かげ)()()せ、011一夜(いちや)()かす(こと)となりぬ。012竜国別(たつくにわけ)はウツラウツラと(ねむ)りに()きけるが、013フト(みみ)()りしはなまめかしき(をんな)(こゑ)014(おどろ)いて()()ませば妙齢(めうれい)美人(びじん)015(びん)のほつれ()(ほほ)(あたり)七八本(しちはちほん)()(なが)ら、016(やや)(うれ)ひを(ふく)み、017一人(ひとり)赤児(あかご)()前方(ぜんぱう)()てり。
018竜国別(この)真夜中(まよなか)雪路(ゆきみち)(をんな)一人(ひとり)019(しか)乳呑児(ちのみご)()いて、020何処(どこ)()()でなされますか』
021『ハイ(わたし)浪速(なには)(もの)御座(ござ)います。022高春山(たかはるやま)鬼婆(おにばば)(かどは)かされ、023日夜(にちや)責苦(せめく)()難渋(なんじふ)(いた)して()りましたが、024(なさけ)あるカーリンスと()(ばば)アの部下(ぶか)(おも)ひをかけられ、025ソツと(すく)はれて此処迄(ここまで)()(かへ)りました。026(しか)(なが)何時(なんどき)追手(おつて)がかからうやら()れませぬ。027どうぞ(たす)けて(くだ)さいませ。028(わたし)としても(この)(さむ)さに(こご)え、029身体(しんたい)強直(きやうちよく)して一歩(ひとあし)(すす)(こと)出来(でき)ないので御座(ござ)います。030どうぞ()御座(ござ)りますれば暖取(あた)らして(くだ)さいませぬか』
031竜国別『それは()難儀(なんぎ)(こと)でせう。032此処(ここ)()()(あつ)めて()(わけ)にもゆかず、033(こま)つたものですなア』
034『どうぞ貴方(あなた)(あたた)かいお(からだ)(ぬく)みを()けて(いただ)くことは出来(でき)ますまいか。035最早(もはや)()うなつては、036(はぢ)(なに)(かま)うて()れませぬ。037全身(ぜんしん)血液(けつえき)凝固(ぎようこ)しさうに御座(ござ)いますワ』
038竜国別『アー(こま)つた(こと)だなア。039(いま)高春山(たかはるやま)魔神(まがみ)征服(せいふく)(むか)途中(とちう)040(をんな)肉体(にくたい)()れると()(こと)絶対(ぜつたい)出来(でき)ない。041(なに)()(かんが)へは()ぬものかなア』
042四辺(あたり)見廻(みまは)せば、043雪明(ゆきあか)りに()()いたのは一束(ひとたば)枯柴(かれしば)044突出(つきで)(いは)(おほ)はれて(かわ)いた(まま)(のこ)つて()る。
045竜国別『アー此処(ここ)結構(けつこう)(たきぎ)がある。046何人(なにびと)()つて()いたか()らないが、047これも(かみ)(さま)()(かげ)だ、048これを()いて(だん)()つたら如何(どう)でせう』
049『それは好都合(かうつがふ)御座(ござ)います。050どうぞ()やして(くだ)さいませ。051しかし(あま)(おほ)きな()()くと追手(おつて)目標(めじるし)になつては(こま)りますから……』
052竜国別(よろ)しい(よろ)しい、053(ちひ)さく()やしませう。054しかし(ゆき)足形(あしかた)(たづ)ねて追手(おつて)()るかも()れますまい』
055『お(かげ)足跡(あしあと)()(ゆき)次々(つぎつぎ)(うづ)めてくれましたから、056大丈夫(だいぢやうぶ)御座(ござ)います』
057 竜国別(たつくにわけ)(ひうち)()()()し、058(たきぎ)()けて(だん)をとり、059(をんな)(うれ)しげに()(あぶ)つて()る。
060竜国別『いまのあなたの()(はなし)()れば、061高春山(たかはるやま)(とら)はれて()られたとの(こと)062(しか)らばアルプス(けう)内幕(うちまく)はよく御存(ごぞん)じでせうな』
063『ハイよく承知(しようち)(いた)して()ります。064到底(たうてい)あなた(がた)(さん)(にん)()(にん)()でになつた(ところ)で、065()んで()()(なつ)(むし)ですよ、066()めになつた(はう)(かへつ)てお()(ため)だと(おも)ひます』
067 竜国別(たつくにわけ)不機嫌(ふきげん)(かほ)で、
068竜国別仮令(たとへ)幾万(いくまん)強敵(きやうてき)があらうとも、069一旦(いつたん)我々(われわれ)言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)より任命(にんめい)された以上(いじやう)は、070(ひと)つの生命(いのち)()くなつても、071(この)使命(しめい)(はた)さねばならないのだから、072()(ところ)(まで)()(つも)りです』
073『それは大変(たいへん)()決心(けつしん)結構(けつこう)御座(ござ)います。074(わたし)もあなたの(やう)()(つよ)()(かた)()()いて、075今迄(いままで)鬼婆(おにばば)(わたし)(くは)へた惨虐(ざんぎやく)(うら)みを()らしたいのですから、076どうぞ()れて()つて(くだ)さいませぬか』
077竜国別『イヤ滅相(めつさう)()い。078(をんな)(かた)道伴(みちづ)れなんか出来(でき)ますものか。079(また)あなたに(たす)けられて、080魔神(まがみ)征服(せいふく)()つたと()はれては、081末代(まつだい)恥辱(はぢ)ですから、082それだけは(ひら)()(ことわ)(いた)します』
083随分(ずゐぶん)(かた)(かた)ですなア。084さう()堅固(けんご)精神(せいしん)(をつと)が、085(わたし)()つて()たう御座(ござ)いますワ』
086竜国別『コレコレ女中(ぢよちう)087戯談(じやうだん)()加減(かげん)になさいませ。088貴女(あなた)(あか)(ばう)(ふところ)()いて()るぢやないか。089立派(りつぱ)(をつと)があるに相違(さうゐ)はありますまい』
090『イエイエ、091(をつと)はまだ()つた(こと)御座(ござ)いませぬ』
092竜国別(をつと)()いのに()があるとは、093(ひと)つの不思議(ふしぎ)ではありませぬか』
094『ホヽヽヽヽ、095三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)にも似合(にあ)はない(こと)仰有(おつしや)いますこと。096玉照姫(たまてるひめ)(さま)()生母(せいぼ)のお(たま)さまは、097(をつと)なしに妊娠(にんしん)なさつたぢやありませぬか』
098竜国別『それはさうだが、099ああ()ふことはまた例外(れいぐわい)だ。100普通(ふつう)(をんな)にさう()ふことがある道理(だうり)がない』
101(わたし)普通(ふつう)一般(いつぱん)(をんな)御覧(ごらん)になりましたか』
102竜国別『サア(べつ)()()(ところ)では、103(なん)(かは)つた(てん)もなし、104判別(はんべつ)がつきませぬワイ』
105(わたし)素性(すじやう)(わか)らない(やう)(こと)では審神者(さには)駄目(だめ)ですよ。106どうして高春山(たかはるやま)魔神(まがみ)帰順(きじゆん)させる(こと)出来(でき)ませうか』
107竜国別『これは(また)(めう)(をんな)()つたものだ。108(まへ)(えう)するに化物(ばけもの)だらう』
109(いづ)化物(ばけもの)には(ちが)ひありませぬ。110(しか)化物(ばけもの)にも(ぜん)(あく)とがあります。111(その)審神者(さには)をして(くだ)さいな』
112竜国別(この)(ゆき)()るのに、113一人(ひとり)山路(やまみち)赤児(あかご)(かか)へて(ある)くところを()れば、114()立派(りつぱ)(もの)だなかりそうだ。115鷹依姫(たかよりひめ)悪神(あくがみ)(くる)しめられて()げて(かへ)つたところを()れば、116どうせ(ろく)なものぢやなからうて』
117鷹依姫(たかよりひめ)(くる)しめられた(やう)(をんな)だから、118(ろく)(もの)()いと仰有(おつしや)りますが、119現在(げんざい)玉照姫(たまてるひめ)(さま)をお()(あそ)ばしたお(たま)(かた)は、120三国(みくに)(だけ)蜈蚣姫(むかでひめ)(くる)しめられたぢやありませぬか。121あなたの判断(はんだん)正鵠(せいこう)()いで()ますよ。122(たま)さまは立派(りつぱ)だが、123(わたし)雪路(ゆきみち)夜中(よなか)(ある)いて()るから(あや)しいと()(こと)先入主(せんにふしゆ)になつて、124()(くら)んだのぢやありますまいかなア』
125 竜国別(たつくにわけ)両手(りやうて)(むね)のあたりに()んで(ふと)(いき)をつき(かんが)()む。126(をんな)(たきぎ)先繰(せんぐ)()べる。127二人(ふたり)(かほ)益々(ますます)(あきら)かになつて()た。128竜国別(たつくにわけ)はフト(をんな)(かほ)()ると、129(ふた)つの(みみ)(うま)(やう)にビリビリと(うご)いて()るに()()いた。
130竜国別『あなたの(みみ)はどうしましたか。131人間(にんげん)なれば(みみ)(うご)かないのが通例(つうれい)だ。132(まへ)さまの(みみ)不随意(ふずゐい)(きん)発達(はつたつ)して()ると()えて、133畜生(ちくしやう)(やう)自由(じいう)自在(じざい)(うご)く。134コレヤ屹度(きつと)魔性(ましやう)(をんな)相違(さうゐ)あるまい』
135『オホヽヽヽ、136(みみ)(うご)くのがそれ(だけ)()になりますか。137あなたは(みみ)(どころ)肝腎(かんじん)霊魂(みたま)まで(しき)りに動揺(どうえう)し、138ハートには激浪(げきらう)怒濤(どたう)()(さわ)いで()るぢやありませぬか。139それの(はう)がよつ(ぽど)可笑(をか)しいワ、140ホヽヽヽヽ』
141竜国別『ハーテナ。142ますます(わか)らなくなつて()たワイ』
143本当(ほんたう)(わたし)だつて、144あなたの(やう)(わか)らぬ宣伝使(せんでんし)出会(であ)うた(こと)はありませぬワ。145(かみ)(さま)はイロイロ姿(すがた)をお(へん)(あそ)ばすぢやありませぬか。146()花姫(はなひめ)(さま)御覧(ごらん)なさい。147竜体(りうたい)にもなれば、148(けだもの)にもなり、149立派(りつぱ)(かみ)姿(すがた)にも(げん)じ、150乞食(こじき)にまで()(やつ)して衆生(しうじやう)済度(さいど)(あそ)ばすのに、151(わたし)(みみ)(うご)いたと()つて軽率(けいそつ)にも(けもの)(あつか)ひなさるのは、152チツト(きこ)えないぢやありませぬか』
153 竜国別(たつくにわけ)は、
154竜国別『ハーテナー』
155()つた()り、156(また)俯向(うつむ)く。
157『ハテナハテナと何程(なにほど)仰有(おつしや)つても、158あなたの身魂(みたま)(みが)けねば、159(この)談判(だんぱん)何時(いつ)までも()てませぬ。160ハテ(さと)りの(わる)宣伝使(せんでんし)だこと、161ホヽヽヽヽ』
162竜国別()(かく)今日(けふ)(ほん)守護神(しゆごじん)不在(ふざい)だから、163番頭(ばんとう)(ふく)守護神(しゆごじん)発動(はつどう)して()るので、164()つからお(まへ)さまの審神(さには)出来(でき)ない。165(ほん)守護神(しゆごじん)(かへ)つてから、166ユツクリと()(こたへ)(いた)しませう』
167『ホヽヽヽヽ、168うまい(こと)仰有(おつしや)いますこと。169一時遁(いちじのが)れの()(わけ)でせう。170そんな痩我慢(やせがまん)()して()()らずに、171(をとこ)らしくスツパリと、172身魂(みたま)(くも)つて()るので(わか)らないから……と仰有(おつしや)つたらどうです。173(わたし)素性(すじやう)()かす(ため)に、174(いま)此処(ここ)羽衣(はごろも)(まひ)()うて()せますから、175どうぞ(この)(あか)(ばう)一寸(ちよつと)()いて(くだ)さらぬか』
176竜国別(なに)()もあれ、177(たび)(なぐさ)めだ。178審神(さには)()ねて(その)(まひ)拝見(はいけん)(いた)さうかなア』
179『どこまでも徹底(てつてい)(てき)に、180()(つよ)いお(かた)ですこと、181ホヽヽヽヽ』
182竜国別()()ければならず、183()があつてはならず、184()(はら)(なか)へキユツと()()みて()ちついて()身魂(みたま)でないと、185(まこと)御用(ごよう)出来(でき)ませぬワイ』
186『ホヽヽヽヽ、187三五教(あななひけう)()神諭(しんゆ)(その)(まま)拝借(はいしやく)して、188巧妙(うま)(こと)仰有(おつしや)りますこと』
189竜国別日進(につしん)月歩(げつぽ)()(なか)190知識(ちしき)世界(せかい)(もと)めると()つて、191()(こと)(ただち)()つて(わが)(もの)とするのが、192豁達(かつたつ)自在(じざい)文明人(ぶんめいじん)としての本領(ほんりやう)だ。193(まへ)さまは浪速(なには)土地(とち)(うま)れたものだと()つたが、194文化(ぶんくわ)生活(せいくわつ)()ふものはどんなものだか()つて()るかい』
195『ホヽヽヽヽ、196文化(ぶんくわ)生活(せいくわつ)()いて(あき)れますよ。197そんなことは(とう)(むかし)御存(ごぞん)じの(わたし)198(ぶん)()ふのは()活動(くわつどう)する羽翼(うよく)(こゑ)……一秒(いちべう)時間(じくわん)何万回(なんまんくわい)とも()れぬ羽翼(うよく)廻転(くわいてん)から(おこ)声音(せいおん)ですよ。199(くわ)()ふのは(ひと)(ふんどし)相撲(すまふ)をとつたり(かほ)()めたりして、200生血(いきち)(しぼ)自分(じぶん)一人(ひとり)うまい(しる)()ふと()生活(せいくわつ)でせう。201体主(たいしゆ)霊従(れいじう)202我利(がり)々々(がり)亡者(まうじや)充満(じうまん)した()(なか)矯直(ためなほ)(ため)に、203国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)変性(へんじやう)男子(なんし)生宮(いきみや)()つて(をしへ)()れさせられ、204(その)御心(みこころ)世界(せかい)宣伝(せんでん)するお(まへ)さま(たち)が、205悪逆(あくぎやく)非道(ひだう)利己主義(われよし)文化(ぶんくわ)生活(せいくわつ)主張(しゆちやう)するとは、206逆様(さかさま)()(なか)とは()(なが)ら、207(じつ)矛盾(むじゆん)したものですなア。208それだから(かみ)(さま)がこれ(だけ)沢山(たくさん)宣伝使(せんでんし)があつても、209(まこと)(わか)つた(もの)一柱(ひとはしら)()いと()つて、210()(くや)(あそ)ばすのですよ。211三五教(あななひけう)(やぶ)(もの)依然(やつぱり)三五教(あななひけう)にあるとは千古(せんこ)不磨(ふま)金言(きんげん)ですワ。212(わたし)(この)第一言(だいいちごん)(たい)無量(むりやう)(かん)()たれて()ます。213サア(わたし)がこれから羽衣(はごろも)(まひ)()うて、214(たふと)(てん)(かみ)(さま)()招待(せうたい)申上(まをしあ)げ、215貴方(あなた)(こころ)岩戸(いはと)(ひら)いて()せませう。216どうぞ(この)(あか)(ばう)(かか)へて(くだ)さいませ』
217竜国別随分(ずゐぶん)(あい)らしいお()だ。218(しか)(をとこ)ですか、219(をんな)ですか』
220三十三(さんじふさん)(さう)(そろ)うた(をんな)です。221(をんな)(あか)(ばう)です』
222竜国別『ヤアそれならば御免(ごめん)(かうむ)りたい。223(をんな)を……仮令(たとへ)子供(こども)にもせよ、224魔神(まがみ)征討(せいたう)(のぼ)我々(われわれ)225()(わけ)には()きますまい』
226(なに)仰有(おつしや)いますか。227(をんな)(ぐらゐ)()(なか)潔白(けつぱく)なものはありますまい。228あなた(がた)(ふた)()には婦人(ふじん)(たい)し、229軽侮(けいぶ)()(もつ)(のぞ)まれるのが()しからぬ。230我々(われわれ)(あたら)しい婦人(ふじん)となつてどこまでも女権(ぢよけん)拡張(くわくちやう)をやらねばならない。231婦人(ふじん)代議士(だいぎし)さへ選出(せんしゆつ)される()(なか)(なん)()頭脳(あたま)(ふる)(こと)仰有(おつしや)るのでせう』
232竜国別(なん)()つても、233(をとこ)(やう)234(をんな)(いん)だ。235おまけに(つき)七日(なぬか)(けが)れがある。236そんな(けが)れた(をんな)(をとこ)(さは)つてどうなるものか。237(きよ)きが(うへ)にも(きよ)くせなくては、238神業(しんげふ)(つと)まりますまい』
239(をとこ)(くらゐ)不潔苦(むさくる)しい肉体(にくたい)はありますまい。240十三(じふさん)元素(げんそ)とか、241十五(じふご)元素(げんそ)にて(かた)()げた肉体(にくたい)の、242(なか)腐敗(ふはい)せる燐火(りんくわ)()える、243臭気(しうき)(はげ)しい醜体(しうたい)()(なが)ら、244(つき)(いつ)週間(しうかん)づつ(けが)れを排除(はいじよ)し、245(きよ)められた(をんな)肉体(にくたい)(けが)れるとは、246ソラまア(なん)とした(わか)らぬ(こと)仰有(おつしや)るのでせう。247開闢(かいびやく)(はじめ)より、248(をんな)ならでは()()けぬ(くに)()ふぢやありませぬか。249太陽界(たいやうかい)(しろ)しめす大神(おほかみ)(さま)(をとこ)でしたか。250木花(このはな)咲耶姫(さくやひめ)(さま)はどうでせう。251変性(へんじやう)男子(なんし)身魂(みたま)252国治立(くにはるたちの)(みこと)(さま)(にく)(みや)(をとこ)ですか、253よく(かんが)へて御覧(ごらん)なさい』
254竜国別短兵急(たんぺいきふ)にさう攻撃(こうげき)されては、255()()()げませぬ。256(しか)牝鶏(ひんけい)(あかつき)()ぐる(とき)(その)(いへ)(ほろ)ぶ、257()(こと)がある。258(なん)()つても牝鶏(めんどり)牝鶏(めんどり)だ。259何程(なにほど)(をんな)(をとこ)真似(まね)をしようと(おも)つても、260第一(だいいち)体格(たいかく)(おと)つて()る。261鼻下(びか)(ひげ)もなければ、262腮髯(あごひげ)もない。263それから()ても男尊(だんそん)女卑(ぢよひ)()(こと)証明(しようめい)されるぢやないか』
264『よく掃清(はききよ)められた(には)には、265雑草(ざつさう)一本(いつぽん)()えて()りますまい。266(はな)(した)(なが)くして(をんな)(はな)をたらす天罰(てんばつ)(むく)いとして、267雑草(ざつさう)がムシヤクシヤと()えて()るのだ。268(まへ)さまは(ひげ)大変(たいへん)自慢(じまん)にして()るが、269(その)(ひげ)(をとこ)卑劣(ひれつ)根性(こんじやう)(かく)(ため)道具(だうぐ)だ。270つまり世間(せけん)卑下(ひげ)をせなくてはならぬ(ところ)を、271(かみ)(さま)のお(めぐみ)(つつ)(やう)にして(もら)つて()るのだから、272ヒゲ()ふのですよ、273オホヽヽヽ』
274竜国別『どこまでも男子(だんし)馬鹿(ばか)にするぢやないか。275(わし)天下(てんか)男子(だんし)(かは)つて、276(おほ)いに男尊(だんそん)女卑(ぢよひ)至当(したう)なる道理(だうり)徹底(てつてい)させなくてはならない。277転婆(てんば)(をんな)跋扈(ばつこ)する()(なか)だから……』
278『ホヽヽヽヽ、279(をとこ)(くらゐ)得手(えて)勝手(かつて)(もの)がありませうか。280女房(にようばう)(くち)(さき)でウマい(こと)ばつかり()つて、281社交(しやかう)(ため)だとか、282外交(ぐわいかう)手段(しゆだん)だとか、283(うま)辞令(じれい)()()して女房(にようばう)手前(てまへ)(つく)ろひ、284狐鼠(こそ)々々(こそ)(いへ)()()し、285スベタ(をんな)(しやく)をさせ、286(よだれ)をたらして、287()がな(すき)がなズボリ()み、288スゴスゴと(うち)(かへ)つては、289(やま)(かみ)如何(どう)してウマク弁解(べんかい)しようかと、290そんな(こと)ばかりに(こころ)(なや)ましてゐる、291腑甲斐(ふがひ)ない(をとこ)は、292世界(せかい)九分(くぶ)九厘(くりん)()つても差支(さしつかへ)ありますまい。293ヤツパリ(をんな)家庭(かてい)女王(ぢよわう)ですよ。294(をんな)がそれ(ほど)(いや)しいものなら、295なぜ亭主(おやぢ)になつた(をとこ)はそれ(だけ)女房(にようばう)遠慮(ゑんりよ)をしたり、296弁解(べんかい)をするのだらう。297(なん)()つても(をとこ)下劣(げれつ)ですよ。298天下(てんか)(こと)一切(いつさい)(をんな)でなければ解決(かいけつ)はつきますまい』
299竜国別『お(まへ)さまは浪速(なには)土地(とち)(うま)れた(だけ)に、300新刊(しんかん)雑誌(ざつし)でも沢山(たくさん)(かぢ)つて()ると()え、301随分(ずゐぶん)口先(くちさき)巧妙(うま)いものだなア』
302日進(につしん)月歩(げつぽ)()(なか)303(いち)(にち)新聞紙(しんぶんし)()なくても雑誌(ざつし)(ひもと)かなくても、304社会(しやくわい)(おく)れて(しま)ふのですから、305(をんな)十分(じふぶん)時勢(じせい)(おく)れない(やう)注意(ちゆうい)(はら)つて()りますよ。306(をとこ)(やう)にスベタ(をんな)機嫌(きげん)()つたり女房(にようばう)顔色(かほいろ)()弁解(べんかい)ばかりに心力(しんりよく)費消(ひせう)する野呂作(のろさく)とは、307(おほい)(おもむき)(ちが)ふのです。308グヅグヅして()ると、309(いま)女尊(ぢよそん)男卑(だんぴ)(じつ)(あら)はれ、310亭主(おやぢ)(あか)(ばう)(せな)にひつ(くく)り、311(なべ)(した)から、312(はし)(もと)から、313(なに)から(なに)まで、314女房(にようばう)頤使(いし)(したが)つて、315御用(ごよう)(うけたま)はらねばならぬ(やう)になつて()ますよ。316(げん)(いま)でもチヨコチヨコ、317さういふ(こと)実現(じつげん)して()ます。318(をんな)長煙管(ながぎせる)(くは)へながら、319(あご)指図(さしづ)をして()(れい)沢山(たくさん)あるのです。320これも時代(じだい)趨勢(すうせい)だから、321(さか)(くるま)()(こと)出来(でき)ませぬ。322男子(だんし)(すべか)らく沈黙(ちんもく)(まも)り、323従順(じうじゆん)態度(たいど)()るのが、324今後(こんご)男子(だんし)立場(たちば)として安全(あんぜん)第一(だいいち)良法(りやうはふ)(かんが)へますワ、325オホヽヽヽ』
326竜国別『イヤもう()(くらゐ)で、327女権(ぢよけん)拡張論(くわくちやうろん)演説(えんぜつ)中止(ちゆうし)(めい)じませう』
328『そんなら(この)(あか)(ばう)()いて()れますか』
329竜国別『エー仕方(しかた)がない。330そんなら今日(けふ)(かぎ)りて女尊(ぢよそん)男卑(だんぴ)(じつ)(しめ)しませう。331(しか)明日(あす)からは捲土(けんど)重来(ぢゆうらい)332男子(だんし)(ため)大気焔(だいきえん)()いて、333現代(げんだい)のハイカラ婦人(ふじん)心胆(しんたん)(さむ)からしめる覚悟(かくご)だから、334(その)(つも)りで応戦(おうせん)準備(じゆんび)をなさるが()からう』
335 ()かる(ところ)何処(いづく)ともなく「ブーブー」と法螺貝(ほらがひ)()(こゑ)336(こだま)(ひび)()した。337(をんな)はあたりをキヨロキヨロ見廻(みまは)し、338(こころ)(おち)つかぬ様子(やうす)である。339ザクザクと(ゆき)()()らし、340(この)()(あら)はれた(だい)(をとこ)341(この)(てい)()て、
342男(鬼武彦)(なんぢ)魔性(ましやう)(をんな)343そこを(うご)くなツ』
344大喝(だいかつ)した。345(をんな)乳呑児(ちのみご)火中(くわちう)(とう)じ、346(たちま)金毛(きんまう)九尾(きうび)白面(はくめん)悪狐(あくこ)となつて、347宙空(ちうくう)をかけり姿(すがた)(かく)したり。348竜国別(たつくにわけ)はこれを()(きも)(つぶ)し、349夢心地(ゆめごこち)()つて(しま)つた。350(また)もや大空(おほぞら)美妙(びめう)音楽(おんがく)(きこ)えて()た。351ややあつて(また)もや(くだ)天女(てんによ)姿(すがた)352巨人(きよじん)(まへ)(あら)はれて、
353女神(言依姫)『アヽ其方(そなた)鬼武彦(おにたけひこ)(さま)354よく竜国別(たつくにわけ)(たす)けて(くだ)さりました。355(わらは)聖地(せいち)(おい)竜国別(たつくにわけ)危急(ききふ)(さと)り、356()(もの)取敢(とりあ)へず救援(きうゑん)(むか)うた言依別(ことよりわけ)(ほん)守護神(しゆごじん)言依姫(ことよりひめ)御座(ござ)ります』
357鬼武彦(なに)358これしきの(こと)()()めの(ことば)頂戴(ちやうだい)(いた)しまして、359(じつ)汗顔(かんがん)(いた)りで御座(ござ)ります。360(しか)竜国別(たつくにわけ)361玉治別(たまはるわけ)362国依別(くによりわけ)(さん)(にん)では、363(あま)りに高春山(たかはるやま)征服(せいふく)は、364()(おも)すぎる(やう)ですから、365(わたくし)加勢(かせい)(めい)じて(いただ)けませぬか』
366言依姫(かれ)()(さん)(にん)の、367今度(こんど)卒業(そつげふ)試験(しけん)同様(どうやう)ですから、368どうぞ(かま)()てをしてやつて(くだ)さりますな。369(しか)(なが)危急(ききふ)場合(ばあひ)は、370()助勢(じよせい)(ねが)ひおきます。371サアこれから聖地(せいち)()して(かへ)りませう』
372二人(ふたり)(くも)()り、373中空(ちうくう)姿(すがた)(かく)したり。374(また)もや()()(ゆき)しばき、375(あらし)(おと)()(さま)せば岩窟(がんくつ)(まへ)()()き、376(その)正中(まんなか)巨岩(きよがん)()()まれてあつた。377赤児(あかご)()えたのは、378()岩石(いはいし)である。379竜国別(たつくにわけ)(ゆめ)()めたる心地(ここち)して、380夜明(よあ)けに()もなき雪空(ゆきぞら)を、381宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)前進(ぜんしん)する。
382 アヽ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
383大正一一・五・二〇 旧四・二四 松村真澄録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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