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第22巻(酉の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 暗雲低迷
01 玉騒疑
〔693〕
02 探り合ひ
〔694〕
03 不知火
〔695〕
04 玉探志
〔696〕
第2篇 心猿意馬
05 壇の浦
〔697〕
06 見舞客
〔698〕
07 囈語
〔699〕
08 鬼の解脱
〔700〕
第3篇 黄金化神
09 清泉
〔701〕
10 美と醜
〔702〕
11 黄金像
〔703〕
12 銀公着瀑
〔704〕
第4篇 改心の幕
13 寂光土
〔705〕
14 初稚姫
〔706〕
15 情の鞭
〔707〕
16 千万無量
〔708〕
第5篇 神界経綸
17 生田の森
〔709〕
18 布引の滝
〔710〕
19 山と海
〔711〕
20 三の魂
〔712〕
余白歌
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第一五章
情
(
なさけ
)
の
鞭
(
むち
)
〔七〇七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第22巻 如意宝珠 酉の巻
篇:
第4篇 改心の幕
よみ(新仮名遣い):
かいしんのまく
章:
第15章 情の鞭
よみ(新仮名遣い):
なさけのむち
通し章番号:
707
口述日:
1922(大正11)年05月27日(旧05月01日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年7月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
鷹鳥姫と若彦は、この不思議を語り合っている。若彦と金・銀の三人は、とりもなおさず杢助にお礼を言いにいくことになって出立した。
三人が山麓の道にさしかかると、昼寝をしていた数十人の男たちに見咎められた。これはスマートボールらバラモン教徒の手勢だった。若彦は木の上に難をのがれ、金助と銀公はスマートボールに改心を促す。
スマートボールは怒って金・銀に襲い掛かるが、樹上から若彦が改心を促す宣伝歌を歌った。バラモン教徒たちは散り散りに逃げてしまった。
三人は生田の森の杢助の庵にたどり着いた。杢助は知らぬ態にて三人を迎える。若彦が玉能姫がここにいないか尋ねると、杢助は何事も神様に任せて執着を去れ、と若彦を諭す。
玉能姫は杢助親子に助けられてここにかくまわれていた。しかし杢助は女房を訪ねて教えの館を捨ててくる若彦の態度を、宣伝使として厳しく咎めたてた。また玉能姫は素盞嗚大神の御楯となって功名を表すまで夫に面会できないとのお示しを明かした。
若彦は杢助の言葉に胸を打たれ、伏し拝むと金・銀と共に去って行った。一方杢助は、神界の命とはいえ、若彦と玉能姫の間の生木を裂くような仕打ちをした苦しい胸の内をひとり明かして懺悔の涙に暮れている。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-05-30 02:20:08
OBC :
rm2215
愛善世界社版:
190頁
八幡書店版:
第4輯 450頁
修補版:
校定版:
197頁
普及版:
88頁
初版:
ページ備考:
001
時置師
(
ときおかしの
)
神
(
かみ
)
、
002
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
003
玉能姫
(
たまのひめ
)
は、
004
忽然
(
こつぜん
)
として
此
(
こ
)
の
場
(
ば
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
005
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
押寄
(
おしよ
)
せ
来
(
きた
)
りしバラモン
教
(
けう
)
のスマートボール
以下
(
いか
)
数拾
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
人影
(
ひとかげ
)
も、
006
煙
(
けむり
)
の
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
つた。
007
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
、
008
若彦
(
わかひこ
)
は
互
(
たがひ
)
に
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあは
)
せ、
009
不審
(
ふしん
)
の
念
(
ねん
)
に
駆
(
か
)
られながら、
010
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
『これ
若彦
(
わかひこ
)
さま、
011
なんと
不思議
(
ふしぎ
)
ぢやありませぬか。
012
私
(
わたくし
)
は
貴方
(
あなた
)
に
御
(
お
)
留守
(
るす
)
を
頼
(
たの
)
み、
013
此
(
この
)
山
(
やま
)
の
頂
(
いただき
)
に
玉能姫
(
たまのひめ
)
さまと
登
(
のぼ
)
つて
見
(
み
)
れば、
014
黄金
(
わうごん
)
の
立像
(
りつざう
)
四辺
(
あたり
)
眩
(
まば
)
ゆき
許
(
ばか
)
りに
輝
(
かがや
)
き
給
(
たま
)
ひ、
015
荘厳
(
さうごん
)
無比
(
むひ
)
にして
近
(
ちか
)
づくべからざるやうでしたが、
016
勇気
(
ゆうき
)
を
出
(
だ
)
して
御
(
お
)
側
(
そば
)
近
(
ちか
)
く
立寄
(
たちよ
)
つたと
思
(
おも
)
へば、
017
左右
(
さいう
)
の
御手
(
みて
)
を
伸
(
の
)
ばして
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
を
中空
(
ちうくう
)
に
投
(
ほ
)
り
上
(
あ
)
げ
給
(
たま
)
ひ、
018
後
(
あと
)
は
夢心地
(
ゆめごこち
)
、
019
覚
(
さ
)
めて
見
(
み
)
れば
吾
(
わが
)
庵
(
いほり
)
の
庭先
(
にはさき
)
に
倒
(
たふ
)
れてゐました。
020
さうして
天
(
てん
)
より
神
(
かみ
)
さまの
声
(
こゑ
)
聞
(
きこ
)
え、
021
いろいろの
教訓
(
けうくん
)
を
賜
(
たま
)
はりし
時
(
とき
)
は、
022
実
(
じつ
)
に
畏
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
つて
自分
(
じぶん
)
の
今
(
いま
)
までの
罪
(
つみ
)
が
山
(
やま
)
の
如
(
ごと
)
く
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
023
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ
心
(
こころ
)
の
苦
(
くる
)
しさ。
024
今迄
(
いままで
)
の
取違
(
とりちが
)
ひを
全
(
まつた
)
く
覚
(
さと
)
り、
025
神
(
かみ
)
さまに
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
されたと
思
(
おも
)
へば、
026
バラモン
教
(
けう
)
の
人
(
ひと
)
は
竹槍
(
たけやり
)
を
以
(
もつ
)
て、
027
妾
(
わたし
)
等
(
たち
)
二人
(
ふたり
)
を
突
(
つ
)
き
滅
(
ほろ
)
ぼさむと
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せ
来
(
きた
)
る
危機
(
きき
)
一髪
(
いつぱつ
)
の
際
(
さい
)
、
028
杢助
(
もくすけ
)
さまは
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
を
背
(
せな
)
に
負
(
お
)
ひ、
029
玉能姫
(
たまのひめ
)
さまを
伴
(
ともな
)
ひ、
030
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ、
031
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
を
背
(
せな
)
より
下
(
おろ
)
し
給
(
たま
)
うたと
思
(
おも
)
へば、
032
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
は
神懸
(
かみがかり
)
状態
(
じやうたい
)
に
御
(
お
)
成
(
な
)
り
遊
(
あそ
)
ばし、
033
娑婆
(
しやば
)
即
(
そく
)
寂光
(
じやくくわう
)
浄土
(
じやうど
)
の
因縁
(
いんねん
)
を
細々
(
こまごま
)
と
御
(
お
)
説
(
と
)
き
下
(
くだ
)
され、
034
ヤレ
有難
(
ありがた
)
やと
伏
(
ふ
)
し
拝
(
をが
)
むと
見
(
み
)
れば、
035
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
御
(
お
)
姿
(
すがた
)
は
煙
(
けむり
)
と
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
はれた。
036
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
があればあるものだなア』
037
若彦
(
わかひこ
)
『
私
(
わたくし
)
も
其
(
そ
)
の
通
(
とほ
)
りで
御座
(
ござ
)
います。
038
天
(
てん
)
から
女神
(
めがみ
)
の
声
(
こゑ
)
聞
(
きこ
)
え、
039
いろいろの
尊
(
たふと
)
き
教訓
(
けうくん
)
を
賜
(
たま
)
はり、
040
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
一行
(
いつかう
)
は
現
(
げん
)
に
此処
(
ここ
)
に
御
(
お
)
出
(
い
)
でになつたのは、
041
決
(
けつ
)
して
夢
(
ゆめ
)
でも
現
(
うつつ
)
でもありますまい。
042
又
(
また
)
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
部下
(
ぶか
)
の
人々
(
ひとびと
)
が
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せて
来
(
き
)
たのも
事実
(
じじつ
)
です。
043
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
は
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
親子
(
おやこ
)
に
救
(
すく
)
はれたも
同様
(
どうやう
)
ですから、
044
黙
(
だま
)
つて
居
(
を
)
る
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きますまい。
045
是
(
これ
)
から
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
宿
(
やど
)
を
訪
(
たづ
)
ね、
046
御
(
お
)
礼
(
れい
)
に
参
(
まゐ
)
らねばなりますまい』
047
鷹鳥姫(高姫)
『さうですかなア、
048
貴方
(
あなた
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが
妾
(
わたし
)
は
此処
(
ここ
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
給仕
(
きふじ
)
をしながら、
049
留守
(
るす
)
をしてゐます。
050
一度
(
いちど
)
御
(
お
)
礼
(
れい
)
に
行
(
い
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい。
051
金
(
きん
)
さま、
052
銀
(
ぎん
)
さま、
053
貴方
(
あなた
)
も
共
(
とも
)
に
助
(
たす
)
けて
頂
(
いただ
)
いたのだ。
054
若彦
(
わかひこ
)
さまと
一緒
(
いつしよ
)
に
杢助
(
もくすけ
)
さまの
宅
(
たく
)
迄
(
まで
)
、
055
御
(
お
)
礼
(
れい
)
に
行
(
い
)
つてお
出
(
い
)
でなさい』
056
金
(
きん
)
、
057
銀
(
ぎん
)
一度
(
いちど
)
に、
058
金助、銀公
『ハイ、
059
有難
(
ありがた
)
う、
060
御
(
お
)
伴
(
とも
)
致
(
いた
)
します』
061
と
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせ
)
ぶ。
062
茲
(
ここ
)
に
若彦
(
わかひこ
)
は
口
(
くち
)
を
嗽
(
そそ
)
ぎ
手
(
て
)
を
洗
(
あら
)
ひ、
063
高姫
(
たかひめ
)
、
064
金
(
きん
)
、
065
銀
(
ぎん
)
二人
(
ふたり
)
と
共
(
とも
)
に、
066
神前
(
しんぜん
)
に
向
(
むか
)
ひ
恭
(
うやうや
)
しく
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
067
神言
(
かみごと
)
を
宣
(
の
)
り、
068
庵
(
いほり
)
を
後
(
あと
)
に
崎嶇
(
きく
)
たる
山坂
(
やまさか
)
を
伝
(
つた
)
ひ
伝
(
つた
)
ひて
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
069
山麓
(
さんろく
)
の
稍
(
やや
)
平坦
(
へいたん
)
なる
大木
(
たいぼく
)
の
茂
(
しげ
)
みに
差掛
(
さしかか
)
る
時
(
とき
)
しも、
070
午睡
(
ひるね
)
をしてゐた
拾数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
、
071
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るよりスツクと
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
072
前途
(
ゆくて
)
に
大手
(
おほて
)
を
拡
(
ひろ
)
げ、
073
男たち
『ヤー、
074
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
若彦
(
わかひこ
)
であらう。
075
汝
(
なんぢ
)
は
玉能姫
(
たまのひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
魔神
(
ましん
)
を
使
(
つか
)
つて、
076
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
を
清泉
(
きよいづみ
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んだ
悪神
(
あくがみ
)
の
張本
(
ちやうほん
)
、
077
手足
(
てあし
)
も
顔
(
かほ
)
も
傷
(
きず
)
だらけに
致
(
いた
)
しやがつた。
078
サア、
079
これからは
返報
(
へんぱう
)
がやしして
呉
(
く
)
れむ、
080
覚悟
(
かくご
)
をせよ』
081
と
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
より
棍棒
(
こんぼう
)
打振
(
うちふ
)
り
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
る。
082
若彦
(
わかひこ
)
は
飽
(
あ
)
く
迄
(
まで
)
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
を
支持
(
しぢ
)
すれども、
083
敵
(
てき
)
の
勢
(
いきほひ
)
余
(
あま
)
り
猛烈
(
まうれつ
)
にして
危
(
あやふ
)
くなりければ、
084
四辺
(
あたり
)
の
枝
(
えだ
)
振
(
ぶ
)
りよき
松
(
まつ
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
猿
(
ましら
)
の
如
(
ごと
)
く
駆
(
か
)
け
上
(
のぼ
)
つた。
085
金助
(
きんすけ
)
、
086
銀公
(
ぎんこう
)
の
二人
(
ふたり
)
は
松
(
まつ
)
の
小株
(
こかぶ
)
を
楯
(
たて
)
に
取
(
と
)
り、
087
金助
(
きんすけ
)
『オイ、
088
スマートボール、
089
カナンボールの
阿兄
(
あにい
)
、
090
その
腹立
(
はらだち
)
は
最
(
もつと
)
もだが、
091
此
(
こ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
知
(
し
)
つたことぢやない。
092
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
が
作
(
つく
)
つた
心
(
こころ
)
の
穽
(
おとしあな
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだのだ。
093
敵
(
てき
)
は
汝
(
なんぢ
)
の
心
(
こころ
)
に
潜
(
ひそ
)
んでゐるぞ。
094
マア
気
(
き
)
を
落着
(
おちつ
)
けよ。
095
貴様
(
きさま
)
は
今
(
いま
)
杢助
(
もくすけ
)
の
娘
(
むすめ
)
初稚姫
(
はつわかひめ
)
に
危急
(
ききふ
)
を
救
(
すく
)
はれて、
096
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
遁
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りながら、
097
其
(
そ
)
の
御恩
(
ごおん
)
を
忘
(
わす
)
れ、
098
未
(
ま
)
だ
三五教
(
あななひけう
)
に
敵意
(
てきい
)
を
含
(
ふく
)
むのか。
099
貴様
(
きさま
)
冷静
(
れいせい
)
に
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
よ』
100
スマート『
考
(
かんが
)
へるも
考
(
かんが
)
へぬもあつたものかい。
101
俺
(
おれ
)
が
何時
(
いつ
)
杢助
(
もくすけ
)
の
娘
(
むすめ
)
に
救
(
たす
)
けられたか。
102
莫迦
(
ばか
)
を
云
(
い
)
ふない、
103
テンで
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
の
庵
(
いほり
)
に
行
(
い
)
つたこともない。
104
なア、
105
カナン、
106
妙
(
めう
)
なことを
金助
(
きんすけ
)
の
奴
(
やつ
)
吐
(
ぬか
)
すぢやないか』
107
金助
『
吐
(
ぬか
)
すも
吐
(
ぬか
)
さぬもあつたものかい、
108
白々
(
しらじら
)
しい。
109
僅
(
わづ
)
か
一人
(
ひとり
)
や
二人
(
ふたり
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
向
(
むか
)
つて、
110
竹槍隊
(
たけやりたい
)
を
引率
(
いんそつ
)
し、
111
芋刺
(
いもざ
)
しにして
呉
(
く
)
れむと、
112
大人気
(
おとなげ
)
なくも
襲撃
(
しふげき
)
して
来
(
き
)
よつたぢやないか。
113
余
(
あま
)
り
空
(
そら
)
惚
(
とぼ
)
けない』
114
スマートボール
『
貴様
(
きさま
)
はちつと
逆上
(
のぼ
)
せてゐよるなア。
115
これから
俺
(
おれ
)
が
谷水
(
たにみづ
)
でも
掬
(
すく
)
つて
飲
(
の
)
ましてやらう』
116
金助
『
逆上
(
のぼ
)
せて
居
(
ゐ
)
るのは
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
ぢや。
117
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
のやうな
分
(
わか
)
らん
屋
(
や
)
には
相手
(
あひて
)
になるなと
云
(
い
)
つて、
118
若彦
(
わかひこ
)
さまを
此
(
こ
)
の
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
の
頂上
(
てつぺん
)
まで
上
(
のぼ
)
らせてござるのだ。
119
ちつと
上
(
のぼ
)
せ
様
(
やう
)
が
違
(
ちが
)
ふぞ。
120
水
(
みづ
)
を
飲
(
の
)
ましてやると
云
(
い
)
ひよつたが、
121
俺
(
おれ
)
の
欲
(
ほつ
)
する
水
(
みづ
)
は、
122
飲
(
の
)
めば
直様
(
すぐさま
)
、
123
汗
(
あせ
)
や
小便
(
せうべん
)
になるやうな
水
(
みづ
)
ではない。
124
乾
(
かわ
)
くことなく、
125
尽
(
つ
)
くることなき
身魂
(
みたま
)
を
洗
(
あら
)
ふ
生命
(
いのち
)
の
水
(
みづ
)
だ。
126
瑞
(
みづ
)
の
身魂
(
みたま
)
の
救
(
すく
)
ひの
清水
(
せいすゐ
)
だ。
127
サア、
128
これから
俺
(
おれ
)
が
飲
(
の
)
ましてやらう。
129
確
(
しつか
)
り
聞
(
き
)
けよ』
130
カナン『
金助
(
きんすけ
)
の
奴
(
やつ
)
、
131
貴様
(
きさま
)
は
筒井
(
つつい
)
順慶
(
じゆんけい
)
式
(
しき
)
だな。
132
腹
(
はら
)
の
黒
(
くろ
)
い
裏返
(
うらがへ
)
り
者
(
もの
)
、
133
サア、
134
一
(
ひと
)
つ
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
ましてやらう。
135
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ』
136
と
迫
(
せま
)
り
来
(
きた
)
る。
137
金助
(
きんすけ
)
『アハヽヽヽ、
138
俺
(
おれ
)
の
腹
(
はら
)
が
黒
(
くろ
)
いと
吐
(
ぬか
)
すが、
139
貴様
(
きさま
)
が
大将
(
たいしやう
)
と
仰
(
あふ
)
ぐ
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
何
(
ど
)
うだい。
140
身体
(
からだ
)
一面
(
いちめん
)
真黒
(
まつくろ
)
ぢやないか。
141
其
(
そ
)
の
股肱
(
ここう
)
と
仕
(
つか
)
へてゐる
貴様
(
きさま
)
の
顔
(
かほ
)
は
野山
(
のやま
)
の
炭焼
(
すみや
)
きか、
142
炭団玉
(
たどんだま
)
か、
143
但
(
ただし
)
は
屋根葺
(
やねふき
)
爺
(
おやぢ
)
か、
144
アフリカの
黒
(
くろ
)
ン
坊
(
ばう
)
か、
145
烏
(
からす
)
のお
化
(
ば
)
けか、
146
紺屋
(
こんや
)
の
丁稚
(
でつち
)
か、
147
岩戸
(
いはと
)
を
閉
(
し
)
めた
曲神
(
まがかみ
)
か、
148
得体
(
えたい
)
の
分
(
わか
)
らぬ
真黒
(
まつくろ
)
黒助
(
くろすけ
)
。
149
アハヽヽヽ』
150
と
肩
(
かた
)
を
大
(
おほ
)
きく
揺
(
ゆす
)
り、
151
二三度
(
にさんど
)
足
(
あし
)
で
大地
(
だいち
)
に
餅
(
もち
)
搗
(
つ
)
きながら
笑
(
わら
)
つて
見
(
み
)
せた。
152
スマート、
153
カナンは
烈火
(
れつくわ
)
の
如
(
ごと
)
く
憤
(
いきどほ
)
り、
154
スマートボール、カナンボール
『
腹黒
(
はらぐろ
)
の
二枚舌
(
にまいじた
)
、
155
腰抜
(
こしぬ
)
け
野郎
(
やらう
)
奴
(
め
)
、
156
云
(
い
)
はして
置
(
お
)
けば
際限
(
さいげん
)
もなき
雑言
(
ざふごん
)
無礼
(
ぶれい
)
、
157
最早
(
もはや
)
勘忍
(
かんにん
)
相成
(
あひな
)
らぬ、
158
覚悟
(
かくご
)
致
(
いた
)
せ』
159
と
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りつく。
160
金
(
きん
)
、
161
銀
(
ぎん
)
二人
(
ふたり
)
は
拾数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
を
相手
(
あひて
)
にコロンツ、
162
コロンツと
格闘
(
かくとう
)
を
始
(
はじ
)
めた。
163
松
(
まつ
)
の
大木
(
たいぼく
)
の
上
(
うへ
)
より
若彦
(
わかひこ
)
は
声
(
こゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
164
若彦
『
神
(
かみ
)
の
造
(
つく
)
りし
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
165
恵
(
めぐ
)
みの
露
(
つゆ
)
に
潤
(
うるほ
)
ひて
166
大神宝
(
おほみたから
)
と
生
(
うま
)
れたる
167
世界
(
せかい
)
の
人
(
ひと
)
は
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
168
人
(
ひと
)
のみならず
鳥
(
とり
)
獣
(
けもの
)
169
魚貝
(
ぎよかひ
)
の
端
(
はし
)
に
至
(
いた
)
るまで
170
神
(
かみ
)
の
造
(
つく
)
りし
貴
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
171
互
(
たがひ
)
に
憎
(
にく
)
み
争
(
あらそ
)
ふは
172
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
造
(
つく
)
りし
祖神
(
おやがみ
)
の
173
深
(
ふか
)
き
心
(
こころ
)
に
背
(
そむ
)
くなり
174
スマートボール
其
(
その
)
他
(
ほか
)
の
175
バラモン
教
(
けう
)
の
人々
(
ひとびと
)
よ
176
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
も
同
(
おな
)
じ
天地
(
あめつち
)
の
177
神
(
かみ
)
のみ
息
(
いき
)
に
生
(
うま
)
れたる
178
断
(
き
)
つても
断
(
き
)
れぬ
同胞
(
はらから
)
よ
179
愛
(
あい
)
し
愛
(
あい
)
され
助
(
たす
)
け
合
(
あ
)
ひ
180
聖
(
きよ
)
き
尊
(
たふと
)
き
此
(
こ
)
の
世
(
よ
)
をば
181
一日
(
ひとひ
)
も
長
(
なが
)
く
存
(
なが
)
らへて
182
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
降
(
ふ
)
らします
183
恵
(
めぐみ
)
の
雨
(
あめ
)
に
浴
(
よく
)
し
合
(
あ
)
ひ
184
互
(
たがひ
)
に
心
(
こころ
)
打
(
う
)
ち
解
(
と
)
けて
185
四海
(
しかい
)
同胞
(
どうはう
)
の
標本
(
へうほん
)
を
186
世界
(
せかい
)
に
示
(
しめ
)
し
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
と
187
生
(
うま
)
れし
実
(
じつ
)
をめいめいに
188
挙
(
あ
)
げよぢやないか
人々
(
ひとびと
)
よ
189
三五教
(
あななひけう
)
やバラモンと
190
名
(
な
)
は
変
(
かは
)
れども
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
191
誠
(
まこと
)
と
心
(
こころ
)
は
皆
(
みな
)
一
(
ひと
)
つ
192
一
(
ひと
)
つ
心
(
こころ
)
に
睦
(
むつ
)
び
合
(
あ
)
ひ
193
下
(
くだ
)
らぬ
争
(
あらそ
)
ひ
打切
(
うちき
)
りて
194
手
(
て
)
を
引合
(
ひきあ
)
うて
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
195
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
春
(
はる
)
をやすやすと
196
心
(
こころ
)
楽
(
たの
)
しきパラダイス
197
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
世
(
よ
)
を
松
(
まつ
)
の
上
(
うへ
)
198
松
(
まつ
)
の
緑
(
みどり
)
の
若彦
(
わかひこ
)
が
199
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
に
照
(
て
)
らされし
200
心
(
こころ
)
の
魂
(
たま
)
を
打開
(
うちあ
)
けて
201
神
(
かみ
)
より
出
(
い
)
でし
同胞
(
はらから
)
に
202
真心
(
まごころ
)
籠
(
こ
)
めて
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
す
203
あゝ
諸人
(
もろびと
)
よ
諸人
(
もろびと
)
よ
204
三五教
(
あななひけう
)
やバラモンと
205
小
(
ちひ
)
さき
隔
(
へだ
)
てを
打破
(
うちやぶ
)
り
206
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
として
207
清
(
きよ
)
き
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
永遠
(
とこしへ
)
に
208
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
暮
(
くら
)
さうか
209
返答
(
へんたふ
)
聞
(
き
)
かせ
早
(
はや
)
聞
(
き
)
かせ
210
汝
(
なれ
)
が
心
(
こころ
)
の
仇波
(
あだなみ
)
は
211
汝
(
なれ
)
が
心
(
こころ
)
に
立
(
た
)
ち
騒
(
さわ
)
ぐ
212
波
(
なみ
)
の
鎮
(
しづ
)
まる
其
(
そ
)
の
間
(
あひだ
)
213
この
若彦
(
わかひこ
)
は
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
214
松
(
まつ
)
の
梢
(
こずゑ
)
に
安坐
(
あんざ
)
して
215
改心
(
かいしん
)
するを
待
(
ま
)
ち
暮
(
くら
)
す
216
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
217
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ
218
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
219
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
220
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
221
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
御親
(
みおや
)
ぞや
222
人
(
ひと
)
は
残
(
のこ
)
らず
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
223
人
(
ひと
)
と
人
(
ひと
)
とは
同胞
(
はらから
)
よ
224
親子
(
おやこ
)
兄弟
(
きやうだい
)
睦
(
むつ
)
び
合
(
あ
)
ひ
225
五六七
(
みろく
)
の
神代
(
みよ
)
を
永遠
(
とこしへ
)
に
226
手
(
て
)
を
引合
(
ひきあ
)
うて
楽
(
たのし
)
まむ
227
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あ
)
れまして
228
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
別
(
わ
)
け
給
(
たま
)
ふ
229
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
230
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
231
唯
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
吾々
(
われわれ
)
は
232
互
(
たがひ
)
に
胸
(
むね
)
を
明
(
あ
)
かし
合
(
あ
)
ひ
233
過
(
あやま
)
ちあらば
御
(
お
)
互
(
たがひ
)
に
234
諫
(
いさ
)
め
交
(
かは
)
して
天地
(
あめつち
)
の
235
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
に
叶
(
かな
)
ひつつ
236
二
(
ふた
)
つの
教
(
をしへ
)
を
解
(
と
)
け
合
(
あは
)
せ
237
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
神界
(
しんかい
)
の
238
道
(
みち
)
に
復
(
かへ
)
ろぢやないかいな
239
道
(
みち
)
に
進
(
すす
)
もぢやないかいな
240
これ
若彦
(
わかひこ
)
が
一生
(
いつしやう
)
の
241
バラモン
教
(
けう
)
の
人々
(
ひとびと
)
に
242
対
(
たい
)
して
願
(
ねが
)
ふ
真心
(
まごころ
)
ぞ
243
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
244
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
245
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つた。
246
俄
(
にはか
)
に
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
春風
(
はるかぜ
)
に、
247
松葉
(
まつば
)
の
戦
(
そよ
)
ぎ
そよ
そよと、
248
梢
(
こずゑ
)
を
伝
(
つた
)
ひ
下
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
る。
249
此
(
こ
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
辟易
(
へきえき
)
し、
250
スマートボールを
始
(
はじ
)
めとし、
251
数多
(
あまた
)
の
人々
(
ひとびと
)
一散
(
いつさん
)
に、
252
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
253
金
(
きん
)
、
254
銀
(
ぎん
)
一度
(
いちど
)
に、
255
金助、銀公
『
若彦
(
わかひこ
)
さま、
256
貴方
(
あなた
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
に
依
(
よ
)
つて
一同
(
いちどう
)
の
者
(
もの
)
は、
257
頭
(
あたま
)
を
抱
(
かか
)
へ
尻
(
しり
)
引
(
ひつ
)
からげ、
258
初
(
はじ
)
めの
勢
(
いきほひ
)
にも
似
(
に
)
ず、
259
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
遁
(
に
)
げ
散
(
ち
)
つて
了
(
しま
)
ひました。
260
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
とても
良心
(
りやうしん
)
の
閃
(
ひらめ
)
きはありませうが、
261
さうぢやと
云
(
い
)
つて
決
(
けつ
)
して
油断
(
ゆだん
)
はなりませぬ。
262
気
(
き
)
をつけて
参
(
まゐ
)
りませうか』
263
若彦
(
わかひこ
)
『マア
急
(
いそ
)
ぐに
及
(
およ
)
ばぬ。
264
バラモン
教
(
けう
)
の
人々
(
ひとびと
)
に
対
(
たい
)
し、
265
私
(
わたくし
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
が
功
(
こう
)
を
奏
(
そう
)
したか、
266
奏
(
そう
)
しなかつたかは
知
(
し
)
りませぬが、
267
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
吾々
(
われわれ
)
の
進路
(
しんろ
)
を
開
(
ひら
)
いて
呉
(
く
)
れただけでも
結構
(
けつこう
)
だ。
268
此
(
こ
)
の
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
の
麓
(
ふもと
)
に
於
(
おい
)
て
大神
(
おほかみ
)
さまに
感謝
(
かんしや
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
献
(
ささ
)
げませう』
269
と
言
(
い
)
ひ
終
(
をは
)
り
早
(
はや
)
くも
拍手
(
はくしゆ
)
再拝
(
さいはい
)
、
270
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
の
絶頂
(
ぜつちやう
)
を
目標
(
めあて
)
に
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
始
(
はじ
)
めた。
271
若彦
(
わかひこ
)
外
(
ほか
)
二人
(
ふたり
)
が
汗
(
あせ
)
を
流
(
なが
)
して
奏上
(
そうじやう
)
する
英気
(
えいき
)
に
充
(
み
)
ちた
顔
(
かほ
)
を、
272
遠慮
(
ゑんりよ
)
えしやくもなく
山
(
やま
)
の
春風
(
はるかぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて
通
(
とほ
)
る。
273
再度山
(
ふたたびやま
)
の
山麓
(
さんろく
)
、
274
生田
(
いくた
)
の
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
に
庵
(
いほり
)
を
結
(
むす
)
ぶ
杢助
(
もくすけ
)
の
仮住居
(
かりずまゐ
)
、
275
形
(
かたち
)
ばかりの
門戸
(
もんこ
)
を
開
(
ひら
)
いて
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
る
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
があつた。
276
その
中
(
なか
)
の
一人
(
ひとり
)
は
若彦
(
わかひこ
)
である。
277
若彦
(
わかひこ
)
は、
278
若彦
『
頼
(
たの
)
みます
頼
(
たの
)
みます』
279
と
門
(
もん
)
の
戸
(
と
)
を
叩
(
たた
)
いて
訪
(
おとな
)
へば、
280
(杢助)
『オー』
281
と
答
(
こた
)
へて
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
る
以前
(
いぜん
)
の
杢助
(
もくすけ
)
、
282
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
にて、
283
杢助
『ヤーお
前
(
まへ
)
さまは
若彦
(
わかひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
284
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
の
庵
(
いほり
)
に
於
(
おい
)
て
身魂
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
き、
285
旁
(
かたがた
)
御教
(
みをしへ
)
を
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
と
共
(
とも
)
に
四方
(
よも
)
に
宣伝
(
せんでん
)
して
御座
(
ござ
)
ると
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
たが、
286
今日
(
けふ
)
は
又
(
また
)
如何
(
いか
)
なる
風
(
かぜ
)
の
吹
(
ふ
)
き
廻
(
まは
)
しか、
287
此
(
こ
)
の
杢助
(
もくすけ
)
が
隠家
(
かくれが
)
を
訪
(
たづ
)
ねて
御
(
お
)
越
(
こ
)
し
遊
(
あそ
)
ばしたのは、
288
如何
(
いか
)
なる
御用
(
ごよう
)
でございますか』
289
若彦
『
最前
(
さいぜん
)
は
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
様
(
さま
)
始
(
はじ
)
め
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
、
290
いかい
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
になりました。
291
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
さむかと
思
(
おも
)
ふ
間
(
ま
)
もなく、
292
貴方
(
あなた
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
さま、
293
玉能姫
(
たまのひめ
)
と
共
(
とも
)
に
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
り
遊
(
あそ
)
ばしたので、
294
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
さまも
一
(
ひと
)
つ、
295
言葉
(
ことば
)
の
御
(
お
)
礼
(
れい
)
に
行
(
い
)
つて
来
(
こ
)
ねば
済
(
す
)
まないから「
若彦
(
わかひこ
)
、
296
お
前
(
まへ
)
御
(
お
)
礼
(
れい
)
に
行
(
い
)
つて
来
(
こ
)
い」との
仰
(
あふ
)
せ、
297
遅
(
おく
)
れながら
只今
(
ただいま
)
参
(
まゐ
)
りました』
298
杢助
『
此
(
こ
)
の
日
(
ひ
)
の
暮
(
くれ
)
紛
(
まぎ
)
れに
三人
(
さんにん
)
連
(
づ
)
れで、
299
此処
(
ここ
)
へやつて
来
(
く
)
るとは
合点
(
がてん
)
が
行
(
ゆ
)
かぬ。
300
此
(
こ
)
の
杢助
(
もくすけ
)
は
二三
(
にさん
)
日前
(
にちまへ
)
から
閾
(
しきゐ
)
一
(
ひと
)
つ
跨
(
また
)
げた
事
(
こと
)
はござらぬ。
301
随
(
したが
)
つて
貴方
(
あなた
)
を
最前
(
さいぜん
)
とやら
御
(
お
)
助
(
たす
)
け
申
(
まを
)
した
覚
(
おぼ
)
えはござらねば、
302
何
(
ど
)
うぞ
此
(
この
)
儘
(
まま
)
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
303
と
膠
(
にべ
)
も
杓子
(
しやくし
)
もなく、
304
榎
(
えのき
)
で
鼻
(
はな
)
を
擦
(
こす
)
つたやうな
挨拶
(
あいさつ
)
振
(
ぶ
)
り、
305
稍
(
やや
)
面
(
つら
)
を
膨
(
ふく
)
らし、
306
目
(
め
)
を
凝視
(
みつ
)
めて
不機嫌
(
ふきげん
)
顔
(
がほ
)
、
307
若彦
(
わかひこ
)
は
合点
(
がてん
)
行
(
ゆ
)
かず、
308
暫
(
しば
)
し
答
(
こた
)
ふる
言葉
(
ことば
)
も
知
(
し
)
らなかつたが、
309
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つたやうに、
310
若彦
『
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
貴方
(
あなた
)
の
宅
(
うち
)
に
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
になつて
居
(
を
)
りませぬか』
311
杢助
『それを
訊
(
たず
)
ねて
何
(
なん
)
となさる。
312
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
たるものは、
313
一切
(
いつさい
)
を
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
任
(
まか
)
せ、
314
総
(
すべ
)
ての
執着
(
しふちやく
)
を
去
(
さ
)
り、
315
師匠
(
ししやう
)
を
杖
(
つゑ
)
につかず、
316
人
(
ひと
)
を
相手
(
あひて
)
とせず、
317
親子
(
おやこ
)
女房
(
にようばう
)
血類
(
けつるい
)
を
力
(
ちから
)
にすなとの
教
(
をしへ
)
ではござらぬか。
318
何
(
なに
)
を
血迷
(
ちまよ
)
うて
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
の
霊場
(
れいぢやう
)
に
玉能姫
(
たまのひめ
)
を
伴
(
つ
)
れ
込
(
こ
)
み、
319
穢
(
けが
)
らはしくも
此
(
こ
)
の
杢助
(
もくすけ
)
の
宅
(
たく
)
に
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
居
(
ゐ
)
ないかなぞと
以
(
もつ
)
ての
外
(
ほか
)
の
御
(
お
)
心得
(
こころえ
)
違
(
ちが
)
ひ、
320
左様
(
さやう
)
な
腐
(
くさ
)
つた
魂
(
たましひ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
には
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
絶縁
(
ぜつえん
)
致
(
いた
)
します。
321
此
(
こ
)
の
閾
(
しきゐ
)
、
322
一歩
(
いつぽ
)
でも
跨
(
また
)
げるなら、
323
サア、
324
跨
(
また
)
げて
見
(
み
)
なさい』
325
奥
(
おく
)
には
玉能姫
(
たまのひめ
)
の
咳
(
せき
)
払
(
ばら
)
ひ、
326
若彦
(
わかひこ
)
の
耳
(
みみ
)
には
殊更
(
ことさら
)
刺激
(
しげき
)
を
与
(
あた
)
へた。
327
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
杢助
(
もくすけ
)
に
救
(
すく
)
はれ、
328
此処
(
ここ
)
に
病気
(
いたづき
)
の
身
(
み
)
を
横
(
よこた
)
へながら、
329
若彦
(
わかひこ
)
との
問答
(
もんだふ
)
を
心
(
こころ
)
痛
(
いた
)
めて
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
330
飛
(
と
)
び
立
(
た
)
つばかり
会
(
あ
)
ひたさ
見
(
み
)
たさに、
331
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
心
(
こころ
)
は
矢竹
(
やたけ
)
に
焦
(
あせ
)
れども、
332
人目
(
ひとめ
)
の
関
(
せき
)
や、
333
抜
(
ぬ
)
きさしならぬ
杢助
(
もくすけ
)
の
堅
(
かた
)
き
言葉
(
ことば
)
に
遮
(
さへぎ
)
られ、
334
何
(
なん
)
と
返答
(
いらへ
)
もないじやくり、
335
夜具
(
やぐ
)
に
食
(
く
)
ひつきハラハラと
涙
(
なみだ
)
を
袂
(
たもと
)
に
拭
(
ぬぐ
)
ひつつあつた。
336
杢助
(
もくすけ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
心
(
こころ
)
を
察
(
さつ
)
し
得
(
え
)
ない
程
(
ほど
)
の
木石漢
(
ぼくせきかん
)
にはあらねども、
337
二人
(
ふたり
)
を
思
(
おも
)
ふ
慈悲心
(
じひしん
)
の
波
(
なみ
)
にせかれて
涙
(
なみだ
)
を
隠
(
かく
)
し、
338
態
(
わざ
)
と
呶鳴声
(
どなりごゑ
)
、
339
杢助
『ヤイ、
340
黄昏
(
たそがれ
)
のこととて
顔
(
かほ
)
は
慥
(
たし
)
かに
分
(
わか
)
らねど、
341
其
(
そ
)
の
声
(
こゑ
)
は
若彦
(
わかひこ
)
によく
似
(
に
)
たり。
342
恐
(
おそ
)
らくは
若彦
(
わかひこ
)
に
間違
(
まちが
)
ひなからうかも
知
(
し
)
れぬ。
343
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
三五教
(
あななひけう
)
には
不惜
(
ふじやく
)
身命
(
しんみやう
)
的
(
てき
)
宣伝使
(
せんでんし
)
の
数多
(
あまた
)
綺羅星
(
きらぼし
)
の
如
(
ごと
)
く、
344
心
(
こころ
)
の
玉
(
たま
)
を
輝
(
かがや
)
かし
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
を
猛進
(
まうしん
)
し、
345
世人
(
せじん
)
を
導
(
みちび
)
く
身分
(
みぶん
)
として
女房
(
にようばう
)
に
心
(
こころ
)
を
奪
(
うば
)
はれ、
346
教
(
をしへ
)
の
館
(
やかた
)
を
捨
(
す
)
てて
遥々
(
はるばる
)
訪
(
たづ
)
ね
来
(
く
)
る
如
(
ごと
)
き
腰抜
(
こしぬ
)
けは
一人
(
ひとり
)
も
御座
(
ござ
)
らぬ。
347
汝
(
なんぢ
)
は
神
(
かみ
)
の
名
(
な
)
否
(
いな
)
宣伝使
(
せんでんし
)
の
雅号
(
ががう
)
をサツクとなし、
348
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
誑
(
たば
)
かる
泥坊
(
どろばう
)
の
類
(
たぐひ
)
ならむ。
349
汝
(
なんぢ
)
の
如
(
ごと
)
き
偽物
(
にせもの
)
、
350
諸方
(
しよはう
)
を
徘徊
(
はいくわい
)
致
(
いた
)
すに
依
(
よ
)
つて、
351
第一
(
だいいち
)
三五教
(
あななひけう
)
の
面
(
つら
)
汚
(
よご
)
し、
352
獅子
(
しし
)
身中
(
しんちう
)
否
(
いな
)
志士
(
しし
)
集団
(
しふだん
)
の
団体
(
だんたい
)
をして
腰抜教
(
こしぬけけう
)
と
天下
(
てんか
)
に
誤解
(
ごかい
)
せしめ、
353
神
(
かみ
)
の
神聖
(
しんせい
)
を
冒涜
(
ばうとく
)
するもの、
354
汝
(
なんぢ
)
は
是
(
これ
)
より
己
(
おの
)
が
住家
(
すみか
)
へ
帰
(
かへ
)
り、
355
一意
(
いちい
)
専念
(
せんねん
)
身魂
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
き、
356
名実
(
めいじつ
)
相合
(
あひがつ
)
する
神人
(
しんじん
)
となつて、
357
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
宣伝使
(
せんでんし
)
が
希望
(
きばう
)
ならば
宣伝使
(
せんでんし
)
となれ。
358
それが
嫌
(
いや
)
なら
只今
(
ただいま
)
の
儘
(
まま
)
流浪人
(
さすらひびと
)
となつて
人
(
ひと
)
の
門戸
(
もんこ
)
を
叩
(
たた
)
き、
359
乞食
(
こじき
)
の
恥
(
はぢ
)
を
曝
(
さら
)
すがよからう。
360
斯
(
か
)
く
申
(
まを
)
す
杢助
(
もくすけ
)
の
心
(
こころ
)
は
千万
(
せんばん
)
無量
(
むりやう
)
、
361
推量
(
すゐりやう
)
致
(
いた
)
して
名誉
(
めいよ
)
泥坊
(
どろばう
)
の
二人
(
ふたり
)
と
共
(
とも
)
に
疾
(
と
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
れ。
362
又
(
また
)
玉能姫
(
たまのひめ
)
とやらの
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
363
神界
(
しんかい
)
のため
夫
(
をつと
)
に
暫
(
しばら
)
く
離
(
はな
)
れて
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
御楯
(
みたて
)
となり、
364
華々
(
はなばな
)
しき
功名
(
こうみやう
)
を
致
(
いた
)
す
迄
(
まで
)
、
365
夫
(
をつと
)
に
面会
(
めんくわい
)
は
致
(
いた
)
すまいぞ』
366
と
声
(
こゑ
)
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて
夫婦
(
ふうふ
)
に
聞
(
き
)
かす
杢助
(
もくすけ
)
が
情
(
なさけ
)
の
言葉
(
ことば
)
、
367
若彦
(
わかひこ
)
は
胸
(
むね
)
に
鎹
(
かすがひ
)
打
(
う
)
たるる
心地
(
ここち
)
、
368
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ
杢助
(
もくすけ
)
の
庵
(
いほり
)
を
伏
(
ふ
)
し
拝
(
をが
)
み、
369
名残
(
なごり
)
惜
(
を
)
しげに
振返
(
ふりかへ
)
り
振返
(
ふりかへ
)
り、
370
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
と
共
(
とも
)
に、
371
闇
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
に
包
(
つつ
)
まれてしまつた。
372
後
(
あと
)
に
杢助
(
もくすけ
)
は
声
(
こゑ
)
を
湿
(
しめ
)
らせながら
独言
(
ひとりごと
)
、
373
杢助
『
大神
(
おほかみ
)
のため、
374
世人
(
よびと
)
のためとは
云
(
い
)
ひながら、
375
生木
(
なまき
)
を
裂
(
さ
)
くやうな
杢助
(
もくすけ
)
が
仕打
(
しうち
)
ち、
376
若彦
(
わかひこ
)
必
(
かなら
)
ず
恨
(
うら
)
んで
呉
(
く
)
れな。
377
それに
就
(
つい
)
ても
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
378
せめて
一目
(
ひとめ
)
なりと
会
(
あ
)
はして
呉
(
く
)
れたら
良
(
よ
)
ささうなものだのに、
379
気強
(
きづよ
)
い
杢助
(
もくすけ
)
であると
嘸
(
さぞ
)
恨
(
うら
)
んで
居
(
ゐ
)
るであらう。
380
最前
(
さいぜん
)
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
知
(
し
)
らせに
依
(
よ
)
つて
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
へ
救援
(
きうゑん
)
に
向
(
むか
)
ふ
折
(
を
)
りしも
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
御
(
お
)
伴
(
とも
)
をしようと
云
(
い
)
つた。
381
其
(
その
)
時
(
とき
)
無下
(
むげ
)
に
叱
(
しか
)
りつけ
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
を
背
(
せな
)
に
負
(
お
)
ひ、
382
後
(
あと
)
に
心
(
こころ
)
を
残
(
のこ
)
しつつ
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
が
館
(
やかた
)
に
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
れば、
383
神
(
かみ
)
の
御
(
お
)
告
(
つげ
)
に
寸分
(
すんぶん
)
違
(
たが
)
はず、
384
悲惨
(
ひさん
)
の
幕
(
まく
)
が
下
(
お
)
りて
居
(
ゐ
)
た。
385
玉能姫
(
たまのひめ
)
の
幽体
(
いうたい
)
は
又
(
また
)
見
(
み
)
えつ
隠
(
かく
)
れつ
来
(
き
)
て
居
(
を
)
つたやうだ。
386
嗚呼
(
ああ
)
無理
(
むり
)
もない。
387
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
今
(
いま
)
会
(
あ
)
はせるは
易
(
やす
)
けれど、
388
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
内命
(
ないめい
)
もあり、
389
且
(
かつ
)
又
(
また
)
至仁至愛
(
みろく
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
厳
(
きび
)
しき
御
(
お
)
示
(
しめ
)
し、
390
何程
(
なにほど
)
玉能姫
(
たまのひめ
)
の
心情
(
しんじやう
)
を
察
(
さつ
)
すればとて、
391
神
(
かみ
)
さまの
仰
(
おほせ
)
には
背
(
そむ
)
かれず、
392
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
と
人情
(
にんじやう
)
の
締木
(
しめき
)
にかかつた
此
(
こ
)
の
杢助
(
もくすけ
)
の
胸
(
むね
)
の
苦
(
くる
)
しさよ。
393
アヽ
両人
(
りやうにん
)
、
394
今
(
いま
)
の
辛
(
つら
)
き
別
(
わか
)
れは
勝利
(
しようり
)
の
都
(
みやこ
)
に
達
(
たつ
)
する
首途
(
かどで
)
、
395
杢助
(
もくすけ
)
が
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
も
些
(
ちつと
)
は
推量
(
すゐりやう
)
して
下
(
くだ
)
され』
396
と
流石
(
さすが
)
剛毅
(
がうき
)
の
杢助
(
もくすけ
)
も
情
(
なさけ
)
に
絡
(
から
)
まれ、
397
潜々
(
さめざめ
)
と
落涙
(
らくるい
)
に
咽
(
むせ
)
んでゐる。
398
奥
(
おく
)
には
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
399
玉能姫
(
たまのひめ
)
が
奏
(
かな
)
づる
一絃琴
(
いちげんきん
)
の
音
(
ね
)
、
400
しとやかに
鼓膜
(
こまく
)
をそそる。
401
(
大正一一・五・二七
旧五・一
外山豊二
録)
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第六歌集『霧の海』
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【15 情の鞭|第22巻(酉の巻)|霊界物語/rm2215】
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