第一三章 握手の涙〔七五九〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第25巻 海洋万里 子の巻
篇:第4篇 神花霊実
よみ(新仮名遣い):しんかれいじつ
章:第13章 握手の涙
よみ(新仮名遣い):あくしゅのなみだ
通し章番号:759
口述日:1922(大正11)年07月11日(旧閏05月17日)
口述場所:
筆録者:加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1923(大正12)年5月25日
概要:
舞台:地恩城
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:招き入れられた友彦を、蜈蚣姫やスマートボールはやや疑いの面持ちで迎えたが、黄竜姫は、友彦が真に改心をしてテールス姫と共に地恩城にやってきたことに対し喜びを表した。
友彦は黄竜姫と蜈蚣姫に、来し方の悪事を心から詫びて悔悟の涙を流した。それに対して黄竜姫は心から打ち解けた様を表した。
友彦は地恩城と讃える歌を歌い、自分が開いたネルソン山以西の地域も三五教の光によって救うように、黄竜姫に懇願した。それに対して梅子姫は、メソポタミヤの顕恩郷の故事を引き合いにした歌を歌って、友彦の神業を讃えた。
友彦夫婦は黄竜姫の部下となり、全島に三五教を流布することとなった。一同は宣伝歌を歌い、友彦夫婦は貴賓として地恩城に数日間滞在した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:2021-09-12 17:57:27
OBC :rm2513
愛善世界社版:187頁
八幡書店版:第5輯 100頁
修補版:
校定版:195頁
普及版:85頁
初版:
ページ備考:
001天恩豊な地恩城 002春秋冬も夏景色
003木々の木の葉は麗しく 004果物豊に実りつつ
005衣食の道に身をもがく 006難みも要らぬ一つ島
007顕恩郷を立ち出でて 008錫蘭島に立て籠り
009閨の友彦後にして 010大海原を渡り来る
011小糸の姫の行先を 012鵜の目鷹の目つけ狙ひ
013三十路に余る男の頃の 014島に渡りて彼方此方と
016道を開きし友彦が
018蜈蚣の姫に邂逅ひ
019命の瀬戸の海中に 020堅磐常磐に浮びたる
021小豆が島に名も高き
024洲本の庄の酋長が
025捕手の者に縛られて 026何の言ひ訳淡路島
027東助夫婦の情にて
029水泡と消えて釣小舟 030清武鶴の三人と
031馬関の関の浪を越え 032千引の岩に船をあて
037蜈蚣の姫や高姫の
041小糸の姫の生の母 042蜈蚣の姫に再会し
043何の云ひ訳荒波を 044乗り切り乗り切り沓島や
046蜈蚣の姫の一行と
048小糸の姫の住ひたる
049地恩の城に来て見れば 050情を知らぬ国人に
051手も無く叩き出だされて 052傍の林に潜みつつ
053黄竜姫の宿の夫 054嬉し嬉しの再会を
055悦ぶ間もなく夢醒めて 056四辺を見れば岩の上
057腰の骨さへ打ち砕き
061赤心籠めて宣りつれば
064尾の上を伝ひてネルソンの
065峰の頂上に辿り着き 066後振り返り眺むれば
067一望千里の雲の奥 068地恩の城は何処ぞと
069眼を見はりつつ憧憬るる
071吹き捲くられて友彦は
073翼無き身は如何にせむ
075人事不省の折柄に 076此地に住める郷人は
077不思議と傍に立ち寄りて
079待ち焦れたる救世主
081喜び勇み雀躍りし
083担ぎ帰りし面白さ
085テールス(照子)姫に思はれて
087月日を重ね往くうちに 088三五教の感化力
090三五の月の御教は
091朝日の昇る勢で 092四方に拡がり栄え行く
093友彦夫婦は意を決し 094地恩の城に神徳の
095花を開かす黄竜姫 096御許に到り其昔
097蜈蚣の姫や小糸姫 098母娘の者を悩ませし
101事情細かに物語り 102漸く妻の諒解を
103得たる嬉しさ夫婦連れ
105暫しの暇を告げながら 106供をも連れず入り来る
107其真心ぞ雄々しけれ
109神の御幸を蒙りて 110前非を悔いし友彦が
111母娘の前に手をつきて
115清き尊き物語 116神と神との御水火より
117組み立てられし瑞御霊 118神の使の瑞月が
119粗製濫造の蓄音器
122又もや廻転始めける
125黄竜姫や友彦の
127恋の縺れの糸口を
129宣らせ給へよ天津神 130国津御神や大八洲彦
131神の命の御前に 132慎み敬ひ願ぎまつる。
134 友彦夫婦は、135小糸姫に誘はれ奥殿深く進み入る。136友彦の来訪を聞いて胸踊らせた蜈蚣姫、137スマートボールや其他の一同は、138珍らしさと忌はしさの混乱したる如き面持にて、139中腰になりながら出迎ふ。140黄竜姫は友彦の手を固く握り、141二三回揺ぶり、
155『ジヤンナの郷に天降りました友彦の救世主よ、156妻のテールス姫殿、157御無事で御神業によく仕へて下さいました。158妾も貴方が今迄の態度を改め、159誠の道に御活動遊ばすを仄に聞き、160愛慕の念に堪へず、161何とかしてお便りを聞き度いものだ、162又神様のお許しあれば一度会見をして今迄の御無礼を謝し、163互に了解を得て御神業に参加したく思つて居りました。164能くマア御遠方の処遥々お入来下さいました』
165との意味であつた。166(これから解り易いやう日本語を用ふ)
167友彦『ハイ有難う御座います。168鬼熊別様、169蜈蚣姫様の御両親に対し、170若気の至りとは申しながら、171天にも地にも一粒種の貴方様を、172悪魔の為に吾精神を魅せられ、173あのやうな不都合な事を致しました私の罪を、174お咎めも下されず、175唯今の御親切なる打ち解けたる御挨拶、176実に痛み入りました。177私は過ぎ来し方の御無礼を思ひ出す度に神の光に照らされて、178五体をぐたぐたに神様から斬り虐まれるやうな苦痛を感じ、179寝ても覚めても居られないので、180恥を忍び直接女王様に拝顔を得、181心ゆく迄お詫を申上げ、182且つお恨みのありたけを酬うて貰ひ、183さうして自分の罪を赦され、184至粋至純な元の御魂に立ち帰り、185安心して御神務に奉仕したく存じまして、186女房にも事情を打ち明け、187態とに供人も召し連れず、188昔の友彦となつてお詫びに参りました。189何卒今迄の御無礼を、190神直日大直日に見直し聞き直し、191お赦し下さらむ事を、192偏にお願ひ致します』
193と涙をハラハラと流し、194真心より詫び入る。195黄竜姫は、
196黄竜姫『ハイ有難う御座います。197罪は却つて私に御座います。198お慈悲深い神様に何事もお任せ致しまして、199正しき清き御交際をお願ひ申上げます』
200と心の底より打ち解ける其殊勝さ。201友彦は一同に向ひ歌を詠んで挨拶に代へた。
202友彦『沖に浮かべる一つ島 203地恩の城に現れませる
204神威輝き天地の 205恵も開く梅子姫
206三千世界に神徳を 207隈なく照らす黄竜姫
212千歳祝ぐ松の世の 213梢に巣ぐふ鶴公の
214右守の神の御前に 215神の教の友彦が
216赤き心を打ち明けて
219言解き詫し奉る
220朝日は照るとも曇るとも
222仮令大地は沈むとも 223誠の道は何時迄も
225教の御子と選まれて
227仕ふる吾等の頼もしさ
228此世を造りし神直日 229心も広き大直日
230唯何事も人の世は 231直日に見直し聞き直し
232身の過ちは宣り直す 233神の尊き言霊の
234底ひも知れぬ御恵 235吾人共に大前に
236広大無辺の神恩を 237畏み感謝し奉る
240地恩の城は永久に 241朝日の豊栄登るごと
242栄え栄えて果も無く 243輝き渡る天津日の
245山の彼方の国人を
246一人も残さず三五の 247神の恵に救ひ上げ
248野蛮未開の魔の郷を 249開きて進む神の徳
252立たせ給ひて黄竜の 253姫は雄々しく此島の
255吾は友彦テールス姫と
256力を一つに合せつつ 257汝が命の神業を
260仁慈無限の御心に
262心撓まぬ桑の弓 263射貫かにや止まぬ鉄石の
264胸打ち明けていつ迄も 265固き心を誓ひ置く
268 梅子姫は総代的に立ち上つて祝歌を歌つた。
269梅子姫『無限絶対無始無終 270仰ぐも高き大宇宙
271𪫧怜に委曲に造りたる
273仁慈無限の御心を 274三千世界の万有に
276遠き神代の昔より
277心を千々に配らせつ 278天津神達国津神
279百の神達千万の
281草の片葉や鳥獣 282昆虫の末に至る迄
285泥の世界を清めむと 286清き御魂を幸はひて
288此処を聖地と定めつつ
290四方に開かせ給ひけり
291神の最初の出現は
293人の歴史の初まりは
298神を伊仕へ南米の
303祀ると云へど其元は
305自転倒島に現れませる 306神の教も皆一つ
309教と云へど人の世の 310風土や人情に画されて
312黄竜姫も友彦も
315其根本に立ち帰り 316此世を造りし神直日
317心も広き大直日 318国治立や豊国姫
319神の命の霊の裔 320埴安彦や埴安姫
322教を四方に開きます
326神の教に天が下
327四方の国々島々を 328残る隈なく統一し
330神業清くミロク神
331十字の架を背に負ひて
333天教地教の山の上に 334世人を救ふ神の業
335其神徳の一滴 336此処に滴り竜宮の
337名に負ふ珍の一つ島
339聖地に比すべき地恩郷
341珍の真秀良場永久に 342治め給へる黄竜姫
343教の御子の友彦が 344心の底より打ち解けて
348名詮自称の一つ島
349一つ心に真実を 350籠めて仕ふる神の道
351三千世界に隈もなく 352一度に開く梅子姫
353心も勇み身も勇み 354父大神が三五の
355清き御旨に叶ひつつ 356教の道の永久に
360天は地となり地は天と
361変る艱難の来るとも 362地恩の郷に三五の
363厳の御柱弥高に 364瑞の御柱永久に
365顕幽揃うて立つ上は 366如何で揺がむ国治立の
367神の尊の御仰せ 368心清めて朝夕に
370神の恵は天地と
371共永久に変らまじ
373御霊の幸を賜へかし』
374 茲に目出度く友彦は黄竜姫と再会し、375麻柱の至誠を捧げ、376東西相和し相助け、377友彦は黄竜姫の忠実なる部下となつて大神の大道を、378全島に力の限り拡充する事となつた。379いよいよ一同打ち揃ひ、380神前に例の如く祝詞を奏上し、381宣伝歌を歌ひ終り、382十二分の歓喜に満たされて一旦各自の館に帰り、383友彦夫婦は貴賓として鄭重なる待遇を受け、384数日城内に滞留する事となつた。
385(大正一一・七・一一 旧閏五・一七 加藤明子録)