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第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
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第13巻(子の巻)
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第61巻(子の巻)
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第66巻(巳の巻)
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天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
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第25巻(子の巻)
序文
総説
第1篇 相縁奇縁
01 水禽の音
〔747〕
02 与太理縮
〔748〕
03 鶍の恋
〔749〕
04 望の縁
〔750〕
第2篇 自由活動
05 酒の滝壺
〔751〕
06 三腰岩
〔752〕
07 大蛇解脱
〔753〕
08 奇の巌窟
〔754〕
第3篇 竜の宮居
09 信仰の実
〔755〕
10 開悟の花
〔756〕
11 風声鶴唳
〔757〕
12 不意の客
〔758〕
第4篇 神花霊実
13 握手の涙
〔759〕
14 園遊会
〔760〕
15 改心の実
〔761〕
16 真如の玉
〔762〕
第5篇 千里彷徨
17 森の囁
〔763〕
18 玉の所在
〔764〕
19 竹生島
〔765〕
余白歌
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第一四章
園遊会
(
ゑんいうくわい
)
〔七六〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第25巻 海洋万里 子の巻
篇:
第4篇 神花霊実
よみ(新仮名遣い):
しんかれいじつ
章:
第14章 園遊会
よみ(新仮名遣い):
えんゆうかい
通し章番号:
760
口述日:
1922(大正11)年07月11日(旧閏05月17日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年5月25日
概要:
舞台:
地恩城
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
晩夏の頃、地恩城では友彦夫婦のために園遊会が開かれた。梅子姫は中央の蓮華岩に立って面白い歌を歌って興を添えた。また蜈蚣姫はこれまでの事を歌に歌いながら、面白い手つきをして踊って見せた。その他の人々も歌いかつ踊った。
園遊会が終わって幹部たちは居室に戻っていった。草の上ではマールが酔ってくだを巻いている。蜈蚣姫は昔はバラモン教で羽振りを利かせていたが、娘が三五教の女王になったら、俄かに心機一転したのが気に入らない、という。
貫州はそれをたしなめている。するとネルソン山の峰の上に、異様の女神が七八人現れ、瞬くうちに荘厳な神殿が聳え立つ蜃気楼を武公が発見した。
武公の注進により、幹部たちも高殿からこの明瞭な蜃気楼を眺めた。そこには諏訪の湖にて、多数の女神に手を引かれた清公ら四人の宣伝使が、何事か神勅を受けているのが見えた。
黄竜姫はこれを見て、この有様を言霊歌に歌った。そして、自らも諏訪の湖に赴いて珍の宝を戴き、自転倒島に奉る神業に着手しようと呼びかけた。黄竜姫たちは早速旅装を調えて出発した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
ニユージランド(ニュージーランド)
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-09-13 18:33:09
OBC :
rm2514
愛善世界社版:
202頁
八幡書店版:
第5輯 105頁
修補版:
校定版:
211頁
普及版:
90頁
初版:
ページ備考:
001
オーストラリヤの
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
は、
002
現在
(
げんざい
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
夏
(
なつ
)
計
(
ばか
)
りなれども、
003
此
(
この
)
時代
(
じだい
)
は
僅
(
わづ
)
かに
春夏
(
はるなつ
)
秋冬
(
あきふゆ
)
の
区別
(
くべつ
)
がついて
居
(
ゐ
)
た。
004
日中
(
につちう
)
は
年中
(
ねんぢう
)
殆
(
ほとん
)
ど
同
(
おな
)
じ
暑熱
(
しよねつ
)
であつたが、
005
朝夕
(
てうせき
)
夜間
(
やかん
)
の
気候
(
きこう
)
には
自然
(
しぜん
)
に
四季
(
しき
)
の
区別
(
くべつ
)
を
現
(
あら
)
はして
居
(
ゐ
)
た。
006
我国
(
わがくに
)
で
言
(
い
)
へば
殆
(
ほとん
)
ど
晩夏
(
ばんか
)
の
頃
(
ころ
)
、
007
城外
(
じやうぐわい
)
の
天
(
てん
)
を
封
(
ふう
)
じて
立
(
た
)
てる
老樹
(
らうじゆ
)
の
遠近
(
をちこち
)
に
生茂
(
おひしげ
)
る
馬場
(
ばんば
)
に
於
(
おい
)
て
友彦
(
ともひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
為
(
ため
)
に
大
(
だい
)
園遊会
(
ゑんいうくわい
)
が
開
(
ひら
)
かれた。
008
四面
(
しめん
)
山
(
やま
)
に
包
(
つつ
)
まれたる
地恩郷
(
ちおんきやう
)
は、
009
平地
(
へいち
)
としては
全島
(
ぜんたう
)
に
於
(
お
)
ける
第一
(
だいいち
)
の
高地
(
かうち
)
であつた。
010
谷川
(
たにがは
)
は
南北
(
なんぽく
)
を
流
(
なが
)
れ、
011
崎嶇
(
きく
)
たる
岩石
(
がんせき
)
、
012
谷々
(
たにだに
)
に
壁
(
かべ
)
の
如
(
ごと
)
く
突
(
つ
)
つ
立
(
た
)
ち、
013
奇勝
(
きしよう
)
絶景
(
ぜつけい
)
並
(
なら
)
ぶものなき
景勝
(
けいしよう
)
の
地
(
ち
)
である。
014
一
(
ひと
)
つ
嶋
(
じま
)
に
於
(
お
)
ける
景勝
(
けいしよう
)
の
地
(
ち
)
は、
015
第一
(
だいいち
)
に
諏訪
(
すは
)
の
湖
(
みづうみ
)
、
016
第二
(
だいに
)
にヒルの
郷
(
さと
)
のクシの
滝壺
(
たきつぼ
)
の
近辺
(
きんぺん
)
に
指
(
ゆび
)
を
屈
(
くつ
)
するのである。
017
されどヒルの
渓谷
(
けいこく
)
は
区域
(
くゐき
)
最
(
もつと
)
も
狭
(
せま
)
くして、
018
平地
(
へいち
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
無
(
な
)
く、
019
地恩郷
(
ちおんきやう
)
に
対
(
たい
)
して、
020
其
(
その
)
大小
(
だいせう
)
広狭
(
くわうけふ
)
の
点
(
てん
)
に
於
(
おい
)
て
比
(
くら
)
べものにならない。
021
土地
(
とち
)
高
(
たか
)
く
風
(
かぜ
)
清
(
きよ
)
く、
022
且
(
か
)
つ
面積
(
めんせき
)
広
(
ひろ
)
く、
023
大樹
(
たいじゆ
)
鬱蒼
(
うつさう
)
たる
点
(
てん
)
は、
024
全島
(
ぜんたう
)
第一
(
だいいち
)
と
称
(
しよう
)
せられて
居
(
ゐ
)
る。
025
門外
(
もんぐわい
)
の
広場
(
ひろば
)
の
森林
(
しんりん
)
には
所々
(
ところどころ
)
に
赤
(
あか
)
、
026
白
(
しろ
)
、
027
黒
(
くろ
)
、
028
青
(
あを
)
、
029
紅
(
べに
)
等
(
とう
)
の
面白
(
おもしろ
)
き
形
(
かたち
)
をしたる
岩石
(
がんせき
)
、
030
地中
(
ちちう
)
より
頭
(
かしら
)
をもたげ、
031
一見
(
いつけん
)
して
大
(
だい
)
なる
花
(
はな
)
の
地上
(
ちじやう
)
より
咲
(
さ
)
き
出
(
い
)
でたる
如
(
ごと
)
く
思
(
おも
)
はる。
032
岩石
(
がんせき
)
の
大部分
(
だいぶぶん
)
は、
033
蓮華
(
れんげ
)
の
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
き
出
(
い
)
でたる
如
(
ごと
)
き
自然形
(
しぜんけい
)
をなし、
034
国人
(
くにびと
)
は
単
(
たん
)
に
之
(
これ
)
を
蓮華岩
(
れんげいは
)
と
云
(
い
)
ひ、
035
或
(
あるひ
)
は
蓮華
(
れんげ
)
の
馬場
(
ばんば
)
とも
名
(
な
)
づけて
居
(
ゐ
)
る。
036
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
以下
(
いか
)
数百
(
すうひやく
)
人
(
にん
)
の
人々
(
ひとびと
)
は、
037
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に、
038
思
(
おも
)
ひ
思
(
おも
)
ひの
遊戯
(
あそび
)
をなし、
039
歌
(
うた
)
ふ、
040
踊
(
をど
)
る、
041
舞
(
ま
)
ふ、
042
岩笛
(
いはぶえ
)
を
吹
(
ふ
)
く、
043
石
(
いし
)
を
拍
(
う
)
つ、
044
一絃琴
(
いちげんきん
)
、
045
二絃琴
(
にげんきん
)
、
046
三絃琴
(
さんげんきん
)
の
音
(
おと
)
嚠喨
(
りうりやう
)
として
響
(
ひび
)
き、
047
横笛
(
よこぶえ
)
、
048
縦笛
(
たてぶえ
)
、
049
磬盤
(
けいばん
)
などの
音
(
おと
)
は
最
(
もつと
)
も
賑
(
にぎは
)
しく、
050
思
(
おも
)
はず
身
(
み
)
を
天国
(
てんごく
)
にのぼせ、
051
妙音
(
めうおん
)
菩薩
(
ぼさつ
)
の
来
(
きた
)
りて
楽
(
がく
)
を
奏
(
そう
)
する
如
(
ごと
)
き
感
(
かん
)
に
打
(
う
)
たれ
居
(
ゐ
)
る。
052
梅子姫
(
うめこひめ
)
は
中央
(
ちうあう
)
の
最
(
もつと
)
も
高
(
たか
)
き
紫色
(
むらさきいろ
)
の
蓮華岩
(
れんげいは
)
に
登
(
のぼ
)
り、
053
面白
(
おもしろ
)
き
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
つて
興
(
きよう
)
を
添
(
そ
)
へた。
054
梅子姫
『
芙蓉山
(
はちすのやま
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
055
天教山
(
てんけうざん
)
に
現
(
あ
)
れませる
056
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
の
御
(
おん
)
身魂
(
みたま
)
057
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
梅子姫
(
うめこひめ
)
058
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
統御
(
うしは
)
げる
059
皇御国
(
すめらみくに
)
のスの
種
(
たね
)
を
060
四方
(
よも
)
に
間配
(
まくば
)
り
大八洲
(
おほやしま
)
061
数
(
かず
)
ある
中
(
なか
)
に
自転倒
(
おのころ
)
の
062
島根
(
しまね
)
の
国
(
くに
)
の
真秀良場
(
まほらば
)
や
063
青垣山
(
あをがきやま
)
を
繞
(
めぐ
)
らせる
064
下津
(
したつ
)
磐根
(
いはね
)
の
蓮華台
(
れんげだい
)
065
芙蓉山
(
はちすのやま
)
の
御
(
おん
)
移写
(
うつし
)
066
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
国人
(
くにびと
)
の
067
心
(
こころ
)
も
開
(
ひら
)
く
蓮葉
(
はちすば
)
の
068
匂
(
にほ
)
ひ
出
(
い
)
でたる
地恩郷
(
ちおんきやう
)
069
蓮華
(
れんげ
)
の
花
(
はな
)
の
此処
(
ここ
)
彼処
(
かしこ
)
070
咲
(
さ
)
き
乱
(
みだ
)
れたる
其
(
その
)
台
(
うてな
)
071
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
麻柱
(
あなな
)
ひし
072
貴
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
たる
八乙女
(
やをとめ
)
の
073
開
(
ひら
)
き
初
(
そ
)
めたる
梅子姫
(
うめこひめ
)
074
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
神人
(
かみびと
)
を
075
招
(
まね
)
き
集
(
つど
)
ふる
此
(
この
)
斎場
(
ゆには
)
076
教
(
をしへ
)
の
稜威
(
いづ
)
も
高天
(
たかあま
)
の
077
原
(
はら
)
に
坐
(
ま
)
します
日
(
ひ
)
の
御神
(
みかみ
)
078
月
(
つき
)
の
御神
(
みかみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
の
079
御水火
(
みいき
)
を
受
(
う
)
けて
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
080
大海原
(
おほうなばら
)
の
波
(
なみ
)
を
分
(
わ
)
け
081
雲
(
くも
)
を
起
(
おこ
)
して
久方
(
ひさかた
)
の
082
天津
(
あまつ
)
御国
(
みくに
)
に
昇
(
のぼ
)
る
如
(
ごと
)
083
御稜威
(
みいづ
)
畏
(
かしこ
)
き
神司
(
かむづかさ
)
084
母
(
はは
)
と
現
(
あ
)
れます
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
085
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
中津国
(
なかつくに
)
086
メソポタミヤの
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
087
エデンの
河
(
かは
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
088
清
(
きよ
)
き
誉
(
ほまれ
)
を
流
(
なが
)
したる
089
バラモン
教
(
けう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
090
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
片柱
(
かたはしら
)
091
天地
(
あめつち
)
四方
(
よも
)
の
神人
(
かみびと
)
を
092
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
救
(
すく
)
はむと
093
大国別
(
おほくにわけ
)
の
御言
(
みこと
)
もて
094
埃及国
(
エジプトこく
)
や
波斯
(
フサ
)
の
国
(
くに
)
095
印度
(
ツキ
)
の
国
(
くに
)
まで
教線
(
けうせん
)
を
096
布
(
し
)
かせ
給
(
たま
)
ひし
雄々
(
をを
)
しさよ
097
父
(
ちち
)
大神
(
おほかみ
)
の
神言
(
みこと
)
もて
098
天
(
あめ
)
の
太玉
(
ふとだま
)
神司
(
かむづかさ
)
099
エデンの
河
(
かは
)
を
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
100
顕恩城
(
けんおんじやう
)
に
出
(
い
)
でまして
101
天津誠
(
あまつまこと
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
102
𪫧怜
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
宣
(
の
)
りつれど
103
天運
(
てんうん
)
未
(
いま
)
だ
循環
(
めぐ
)
り
来
(
こ
)
ず
104
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
荒神
(
あらがみ
)
は
105
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
を
慮
(
はか
)
り
兼
(
か
)
ね
106
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
自転倒
(
おのころ
)
の
107
島
(
しま
)
に
渡
(
わた
)
らせ
給
(
たま
)
ひつつ
108
率
(
ひき
)
ゆる
人
(
ひと
)
も
大江山
(
おほえやま
)
109
稜威
(
いづ
)
の
砦
(
とりで
)
を
構
(
かま
)
へ
立
(
た
)
て
110
教
(
をしへ
)
の
花
(
はな
)
の
開
(
ひら
)
く
様
(
さま
)
111
みくに
ケ
嶽
(
だけ
)
や
鬼
(
おに
)
ケ
城
(
じやう
)
112
北
(
きた
)
と
南
(
みなみ
)
にバラモンの
113
教
(
をしへ
)
の
射場
(
いば
)
を
造
(
つく
)
りつつ
114
同
(
おな
)
じ
天地
(
てんち
)
の
珍
(
うづ
)
の
子
(
こ
)
と
115
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
三五
(
あななひ
)
の
116
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
に
追
(
お
)
はれまし
117
再
(
ふたた
)
び
波斯
(
フサ
)
の
本国
(
ほんごく
)
へ
118
帰
(
かへ
)
り
給
(
たま
)
ひし
痛
(
いた
)
ましさ
119
あゝさり
乍
(
なが
)
ら さり
乍
(
なが
)
ら
120
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
大神
(
おほかみ
)
の
121
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
は
天地
(
あめつち
)
の
122
百
(
もも
)
の
神人
(
かみびと
)
草木
(
くさき
)
まで
123
漏
(
も
)
れ
落
(
お
)
ちもなく
霑
(
うるほ
)
ひて
124
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
敵
(
てき
)
もなく
125
味方
(
みかた
)
の
差別
(
けぢめ
)
もなき
世
(
よ
)
をば
126
小
(
ちひ
)
さき
意地
(
いぢ
)
に
搦
(
から
)
まれて
127
右
(
みぎ
)
や
左
(
ひだり
)
や
北南
(
きたみなみ
)
128
種々
(
いろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
と
名
(
な
)
を
変
(
か
)
へて
129
荒
(
すさ
)
び
居
(
ゐ
)
るこそ
悲
(
かな
)
しけれ
130
転迷
(
てんめい
)
開悟
(
かいご
)
の
蓮花
(
はちすばな
)
131
愈
(
いよいよ
)
開
(
ひら
)
く
常磐木
(
ときはぎ
)
の
132
松
(
まつ
)
の
神代
(
かみよ
)
のめぐり
来
(
き
)
て
133
敵
(
てき
)
と
味方
(
みかた
)
の
区別
(
くべつ
)
なく
134
心
(
こころ
)
合
(
あは
)
せし
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
135
地恩
(
ちおん
)
の
郷
(
さと
)
に
三五
(
あななひ
)
の
136
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
く
嬉
(
うれ
)
しさは
137
高天原
(
たかあまはら
)
に
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いて
138
歓
(
ゑら
)
ぎ
遊
(
あそ
)
べる
如
(
ごと
)
くなり
139
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
140
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
141
一度
(
ひとたび
)
叛
(
そむ
)
きし
友彦
(
ともひこ
)
が
142
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
に
月
(
つき
)
は
照
(
て
)
り
143
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
る
今日
(
けふ
)
の
宵
(
よひ
)
144
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
や
145
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
146
此
(
この
)
有様
(
ありさま
)
を
詳細
(
つばらか
)
に
147
眺
(
なが
)
め
玉
(
たま
)
へば
如何
(
いか
)
ばかり
148
歓
(
ゑら
)
ぎ
給
(
たま
)
ふか
白雲
(
しらくも
)
の
149
包
(
つつ
)
む
谷間
(
たにま
)
ぞ
床
(
ゆか
)
しけれ
150
科戸
(
しなど
)
の
彦
(
ひこ
)
や
科戸姫
(
しなどひめ
)
151
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
152
地恩
(
ちおん
)
の
郷
(
さと
)
や
吾々
(
われわれ
)
が
153
心
(
こころ
)
を
包
(
つつ
)
む
雲霧
(
くもきり
)
を
154
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ
155
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
真相
(
しんさう
)
を
156
宇宙
(
うちう
)
主宰
(
しゆさい
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
157
御前
(
みまへ
)
に
現
(
あら
)
はし
奉
(
まつ
)
るべし
158
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
と
倶
(
とも
)
にます
159
親子
(
おやこ
)
兄弟
(
けいてい
)
睦
(
むつ
)
び
合
(
あ
)
ひ
160
此
(
この
)
楽園
(
らくゑん
)
に
神国
(
かみぐに
)
の
161
春
(
はる
)
を
楽
(
たの
)
しむ
一同
(
いちどう
)
の
162
花
(
はな
)
も
開
(
ひら
)
きし
蓮華台
(
れんげだい
)
163
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
の
岩
(
いは
)
の
上
(
へ
)
に
164
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
万代
(
よろづよ
)
も
165
栄
(
さか
)
えませよと
願
(
ね
)
ぎまつる
166
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
167
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
168
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つて、
169
紫
(
むらさき
)
の
蓮華岩
(
れんげいは
)
を
下
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
り、
170
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
め
居
(
ゐ
)
る。
171
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
稍
(
やや
)
く
の
字
(
じ
)
に
曲
(
まが
)
つた
体
(
からだ
)
を
揺
(
ゆす
)
ぶり
乍
(
なが
)
ら、
172
両手
(
りやうて
)
を
拡
(
ひろ
)
げて
手付
(
てつ
)
き
面白
(
おもしろ
)
く、
173
廁
(
かはや
)
の
水浸
(
みづづ
)
き
然
(
ぜん
)
として
歌
(
うた
)
ひ
踊
(
をど
)
り
始
(
はじ
)
めたり。
174
蜈蚣姫
『
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
瑞穂国
(
みづほくに
)
175
根分
(
ねわ
)
けの
国
(
くに
)
と
伝
(
つた
)
はりし
176
メソポタミヤにバラモンの
177
足
(
あし
)
場
(
ば
)
を
作
(
つく
)
り
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
178
世界
(
せかい
)
十字
(
じふじ
)
に
踏
(
ふ
)
みならす
179
蜈蚣
(
むかで
)
の
姫
(
ひめ
)
の
身
(
み
)
の
果
(
はて
)
は
180
メソポタミヤを
後
(
あと
)
にして
181
波斯
(
ペルシヤ
)
を
越
(
こ
)
えて
印度
(
ツキ
)
の
国
(
くに
)
182
大空
(
おほぞら
)
駆
(
か
)
ける
磐船
(
いはふね
)
に
183
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せつつ
自転倒
(
おのころ
)
の
184
島
(
しま
)
に
渡
(
わた
)
りて
彼方
(
あち
)
此方
(
こち
)
と
185
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
き
黄金
(
わうごん
)
の
186
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さぐ
)
らむと
187
思
(
おも
)
ひし
事
(
こと
)
も
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
188
阿波
(
あは
)
の
鳴門
(
なると
)
や
淡路島
(
あはぢしま
)
189
生命
(
いのち
)
の
瀬戸
(
せと
)
の
海
(
うみ
)
越
(
こ
)
えて
190
小豆
(
せうど
)
ケ
島
(
しま
)
や
南洋
(
なんやう
)
の
191
竜宮島
(
りうぐうじま
)
のアンボイナ
192
男滝
(
をだき
)
女滝
(
めだき
)
に
身
(
み
)
を
浴
(
よく
)
し
193
浪路
(
なみぢ
)
も
遠
(
とほ
)
き
太平
(
たいへい
)
の
194
洋
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
りて
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
195
船脚
(
ふなあし
)
早
(
はや
)
く
沓
(
くつ
)
の
島
(
しま
)
196
ニユージランドの
玉森
(
たまもり
)
に
197
一度
(
ひとたび
)
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めつつ
198
波
(
なみ
)
を
辷
(
すべ
)
りて
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
199
着
(
つ
)
くや
間
(
ま
)
もなく
地恩郷
(
ちおんきやう
)
200
神
(
かみ
)
の
立
(
た
)
てたる
三五
(
あななひ
)
の
201
教柱
(
をしへはしら
)
の
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
202
来
(
きた
)
りて
見
(
み
)
れば
吾
(
わが
)
娘
(
むすめ
)
203
小糸
(
こいと
)
の
姫
(
ひめ
)
の
面影
(
おもかげ
)
は
204
老
(
おい
)
の
眼
(
まなこ
)
もうるみなく
205
擬
(
まが
)
ふ
方
(
かた
)
なき
愛娘
(
まなむすめ
)
206
教
(
をしへ
)
の
光
(
ひかり
)
久方
(
ひさかた
)
の
207
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
の
雲
(
くも
)
分
(
わ
)
けて
208
天降
(
あも
)
りましたる
朝日子
(
あさひこ
)
の
209
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御
(
おん
)
守
(
まも
)
り
210
金勝要
(
きんかつかねの
)
大神
(
おほかみ
)
が
211
御
(
ご
)
分霊
(
ぶんれい
)
なる
真澄姫
(
ますみひめ
)
212
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
との
神々
(
かみがみ
)
の
213
其
(
その
)
懐
(
ふところ
)
に
抱
(
いだ
)
かれて
214
安々
(
やすやす
)
送
(
おく
)
る
老
(
おい
)
の
身
(
み
)
の
215
心
(
こころ
)
に
懸
(
かか
)
る
雲
(
くも
)
もなし
216
さはさり
乍
(
なが
)
ら
白雲
(
しらくも
)
の
217
彼方
(
あなた
)
に
遠
(
とほ
)
き
波斯
(
フサ
)
の
国
(
くに
)
218
夫
(
つま
)
の
命
(
みこと
)
は
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
が
219
少女
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
の
今日
(
けふ
)
の
様
(
さま
)
220
未
(
いま
)
だ
知
(
し
)
らずにましまさむ
221
翼
(
つばさ
)
なき
身
(
み
)
は
如何
(
いか
)
にせむ
222
空
(
そら
)
漕
(
こ
)
ぎ
渡
(
わた
)
る
鳥船
(
とりぶね
)
も
223
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
警告
(
いましめ
)
に
224
今
(
いま
)
は
用
(
もち
)
ゆる
術
(
すべ
)
もなく
225
空
(
そら
)
行
(
ゆ
)
く
雲
(
くも
)
の
吾
(
わが
)
為
(
ため
)
に
226
篤
(
あつ
)
き
心
(
こころ
)
のあるならば
227
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
夫
(
つま
)
の
辺
(
へ
)
に
228
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
親子
(
おやこ
)
の
喜
(
よろこ
)
びを
229
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
伝
(
つた
)
へかし
230
遠
(
とほ
)
く
四方
(
しはう
)
を
見渡
(
みわた
)
せば
231
霧
(
きり
)
に
隠
(
かく
)
れし
地恩郷
(
ちおんきやう
)
232
何
(
なん
)
の
目的
(
あてど
)
も
梨礫
(
なしつぶて
)
233
鳩
(
はと
)
の
使
(
つかひ
)
の
片音信
(
かただより
)
234
執着心
(
しふちやくしん
)
の
曲鬼
(
まがおに
)
を
235
伊吹
(
いぶき
)
祓
(
はら
)
ひに
打祓
(
うちはら
)
ひ
236
速川
(
はやかは
)
の
瀬
(
せ
)
に
清
(
きよ
)
めむと
237
心
(
こころ
)
に
覚悟
(
かくご
)
は
定
(
き
)
め
乍
(
なが
)
ら
238
忘
(
わす
)
れ
難
(
がた
)
きは
恩愛
(
おんあい
)
の
239
止
(
とど
)
むる
由
(
よし
)
なき
吾
(
わが
)
涙
(
なみだ
)
240
梅子
(
うめこ
)
の
姫
(
ひめ
)
よ
友彦
(
ともひこ
)
よ
241
テールス
姫
(
ひめ
)
よ
宇豆姫
(
うづひめ
)
よ
242
スマートボール
鶴公
(
つるこう
)
よ
243
其
(
その
)
他
(
た
)
並居
(
なみゐ
)
る
教子
(
をしへご
)
よ
244
神
(
かみ
)
の
真道
(
まみち
)
に
入
(
い
)
り
乍
(
なが
)
ら
245
心
(
こころ
)
もつれし
吾
(
わが
)
姿
(
すがた
)
246
眺
(
なが
)
めて
笑
(
わら
)
うて
下
(
くだ
)
さるな
247
道
(
みち
)
は
道
(
みち
)
なり
親
(
おや
)
と
子
(
こ
)
の
248
情
(
なさけ
)
は
世界
(
せかい
)
の
始
(
はじ
)
めより
249
今
(
いま
)
に
変
(
かは
)
らぬ
玉椿
(
たまつばき
)
250
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
永久
(
とこしへ
)
に
251
動
(
うご
)
かぬものと
神直日
(
かむなほひ
)
252
見直
(
みなほ
)
しまして
何時迄
(
いつまで
)
も
253
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
親子
(
おやこ
)
を
親子
(
おやこ
)
とし
254
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
に
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
255
尽
(
つく
)
させ
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
256
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
久方
(
ひさかた
)
の
257
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
の
声
(
こゑ
)
清
(
きよ
)
く
258
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
らむ
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
259
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
260
神
(
かみ
)
に
誓
(
ちか
)
ひし
教子
(
をしへご
)
よ
261
教
(
をしへ
)
を
守
(
まも
)
るピユリタンよ』
262
と
歯
(
は
)
の
抜
(
ぬ
)
けた
口
(
くち
)
から、
263
不整調
(
ふせいてう
)
な
言霊
(
ことたま
)
にて
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り、
264
蓮華岩
(
れんげいは
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
を
打下
(
うちおろ
)
し、
265
ホツと
息
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
いた。
266
続
(
つづ
)
いてスマートボール、
267
宇豆姫
(
うづひめ
)
、
268
鶴公
(
つるこう
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
歌
(
うた
)
は
数多
(
あまた
)
あれども、
269
山鳥
(
やまどり
)
の
尾
(
を
)
の
余
(
あま
)
り
長々
(
ながなが
)
しければ
省略
(
しやうりやく
)
す。
270
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
以下
(
いか
)
幹部
(
かんぶ
)
は、
271
園遊会
(
ゑんいうくわい
)
を
切
(
き
)
りあげて
表門
(
おもてもん
)
を
潜
(
くぐ
)
り、
272
各
(
おのおの
)
居室
(
きよしつ
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
273
貫州
(
くわんしう
)
、
274
武公
(
たけこう
)
、
275
マール、
276
ミユーズ
其
(
その
)
他
(
た
)
の
連中
(
れんぢう
)
は、
277
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
りて
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
ひ、
278
クダを
巻
(
ま
)
き、
279
解放
(
かいはう
)
的
(
てき
)
気分
(
きぶん
)
になつて、
280
彼方
(
あちら
)
に
五
(
ご
)
人
(
にん
)
此方
(
こちら
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
と、
281
木蔭
(
こかげ
)
に
足
(
あし
)
を
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
し、
282
芝草
(
しばくさ
)
を
むしり
乍
(
なが
)
ら
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
283
マールは
口
(
くち
)
を
縺
(
もつ
)
れさせ
乍
(
なが
)
ら、
284
マール
『モシモシ、
285
貫州
(
くわんしう
)
のボールさま……
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さまも
昔
(
むかし
)
はバラモン
教
(
けう
)
の
立派
(
りつぱ
)
な
大将株
(
たいしやうかぶ
)
で
終局
(
しまひのはて
)
にや
海洋
(
かいやう
)
万里
(
ばんり
)
の
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
まで
玉
(
たま
)
を
探
(
さが
)
しに
往
(
い
)
つたり、
286
宣伝
(
せんでん
)
をされたり、
287
三五教
(
あななひけう
)
を
目
(
め
)
の
敵
(
かたき
)
の
様
(
やう
)
に
敵対
(
てきた
)
うて
御座
(
ござ
)
つた
癖
(
くせ
)
に、
288
自分
(
じぶん
)
の
娘
(
むすめ
)
が
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
、
289
地恩城
(
ちおんじやう
)
の
女王
(
ぢよわう
)
さまになつたと
思
(
おも
)
つて、
290
俄
(
にはか
)
に
心機
(
しんき
)
一転
(
いつてん
)
し、
291
三五教
(
あななひけう
)
を
此
(
この
)
上
(
うへ
)
なき
結構
(
けつこう
)
な
教
(
をしへ
)
の
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
つて
御座
(
ござ
)
るのは、
292
チツと
可笑
(
をか
)
しなものですな。
293
梅子姫
(
うめこひめ
)
さまに、
294
最前
(
さいぜん
)
の
様
(
やう
)
に
耳
(
みみ
)
の
痛
(
いた
)
い
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
はれて、
295
何
(
なん
)
とも
思
(
おも
)
筈
(
はず
)
、
296
自分
(
じぶん
)
も
立
(
た
)
つて
踊
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
ひ、
297
妙
(
めう
)
な
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
はしやつたが、
298
一体
(
いつたい
)
全体
(
ぜんたい
)
何
(
なん
)
の
態
(
ざま
)
だ。
299
俺
(
わし
)
やモウ
胸糞
(
むねくそ
)
が
悪
(
わる
)
くて、
300
三五教
(
あななひけう
)
にお
仕
(
つか
)
へするのも
厭
(
いや
)
になつて
来
(
き
)
た。
301
……
貫州
(
くわんしう
)
さま、
302
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
りお
暇
(
ひま
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
して、
303
又
(
また
)
元
(
もと
)
の
土人
(
どじん
)
の
仲間
(
なかま
)
へ
還元
(
くわんげん
)
しますから、
304
どうぞ
悪
(
あし
)
からず
御
(
ご
)
承認
(
しようにん
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
305
と
巻舌
(
まきじた
)
になり、
306
フーフと
酒
(
さけ
)
臭
(
くさ
)
い
息
(
いき
)
を
貫州
(
くわんしう
)
に
吹
(
ふ
)
き
掛
(
か
)
け
乍
(
なが
)
ら、
307
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
む
様
(
やう
)
にして
詰寄
(
つめよ
)
つた。
308
貫州
(
くわんしう
)
『
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
道
(
みち
)
の
信者
(
しんじや
)
にはイロイロと
径路
(
けいろ
)
があるものだ。
309
悪
(
わる
)
いと
思
(
おも
)
へば
直
(
すぐ
)
に
改良
(
かいりやう
)
するのが
所謂
(
いはゆる
)
惟神
(
かむながら
)
の
道
(
みち
)
だよ。
310
貴様
(
きさま
)
の
様
(
やう
)
な
一本
(
いつぽん
)
調子
(
てうし
)
で、
311
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
信仰
(
しんかう
)
が
出来
(
でき
)
るものか。
312
要
(
えう
)
するに
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
は
理智
(
りち
)
に
依
(
よ
)
つて
かたづ
けようと
思
(
おも
)
つても
駄目
(
だめ
)
だ。
313
信入
(
しんにふ
)
も
悟入
(
ごにふ
)
も、
314
左旋
(
させん
)
も
右傾
(
うけい
)
も、
315
消極
(
せうきよく
)
も
積極
(
せつきよく
)
も
一寸
(
ちよつと
)
見
(
み
)
た
所
(
ところ
)
では
大変
(
たいへん
)
にかけ
離
(
はな
)
れて
居
(
を
)
る
様
(
やう
)
だが、
316
実際
(
じつさい
)
は
皆
(
みな
)
一体
(
いつたい
)
だ。
317
何方
(
どちら
)
から
入信
(
はい
)
つた
所
(
ところ
)
で、
318
落着
(
おちつ
)
く
所
(
ところ
)
は
天地
(
てんち
)
創造
(
さうざう
)
の
元
(
もと
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
信仰
(
しんかう
)
するのだ。
319
所謂
(
いはゆる
)
江南
(
かうなん
)
の
橘
(
たちばな
)
は
江北
(
かうほく
)
の
枳殻
(
からたち
)
だ。
320
バラモン
教
(
けう
)
であらうが、
321
三五教
(
あななひけう
)
であらうが、
322
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
二
(
ふた
)
つはない。
323
畢竟
(
つまり
)
人間
(
にんげん
)
の
考
(
かんが
)
へに
依
(
よ
)
つて
種々
(
いろいろ
)
の
雅号
(
ががう
)
を
附
(
つ
)
けたり、
324
勝手
(
かつて
)
な
障壁
(
しやうへき
)
を
拵
(
こしら
)
へて
威張
(
ゐば
)
る
丈
(
だけ
)
のものだよ。
325
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さまの……
吾々
(
われわれ
)
は……
態度
(
たいど
)
に
就
(
つ
)
いては
大賛成
(
だいさんせい
)
だよ。
326
貴様
(
きさま
)
もそこまで
理屈
(
りくつ
)
を
言
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
にならば、
327
最早
(
もはや
)
信仰
(
しんかう
)
の
門口
(
かどぐち
)
に
這入
(
はい
)
つたのだ。
328
宅
(
うち
)
の
女房
(
にようばう
)
の
名
(
な
)
がお
竹
(
たけ
)
でも、
329
お
松
(
まつ
)
でも
別
(
べつ
)
に
変
(
かは
)
りはないぢやないか。
330
お
竹
(
たけ
)
の
名
(
な
)
がお
松
(
まつ
)
にならうと、
331
お
松
(
まつ
)
の
名
(
な
)
がお
梅
(
うめ
)
にならうと、
332
人間
(
にんげん
)
其
(
その
)
者
(
もの
)
はチツとも
変
(
かは
)
りがないと
同様
(
どうやう
)
に、
333
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
一株
(
ひとかぶ
)
だから、
334
よく
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
て、
335
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
去就
(
きよしう
)
を
決
(
けつ
)
した
方
(
はう
)
がよからうぞ。
336
バラモン
教
(
けう
)
と
云
(
い
)
ふも
三五教
(
あななひけう
)
と
云
(
い
)
ふも、
337
但
(
ただし
)
はジヤンナイ
教
(
けう
)
と
云
(
い
)
ふも、
338
ウラル
教
(
けう
)
も、
339
教
(
をしへ
)
を
伝
(
つた
)
ふる
人間
(
にんげん
)
の
解釈
(
かいしやく
)
に
依
(
よ
)
りて、
340
深浅
(
しんせん
)
広狭
(
くわうけふ
)
の
区別
(
くべつ
)
が
付
(
つ
)
くまでだ。
341
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
深
(
ふか
)
く
広
(
ひろ
)
く、
342
入
(
い
)
り
易
(
やす
)
く、
343
愉快
(
ゆくわい
)
な
教
(
をしへ
)
を
信仰
(
しんかう
)
して、
344
其
(
その
)
日
(
ひ
)
其
(
その
)
日
(
ひ
)
を
安心
(
あんしん
)
立命
(
りつめい
)
して
行
(
ゆ
)
くのが、
345
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
信
(
しん
)
ずる
信者
(
しんじや
)
の
本領
(
ほんりやう
)
だ。
346
モチツト
話
(
はな
)
してやりたいが、
347
さうヅブロクになつて
居
(
ゐ
)
ては、
348
折角
(
せつかく
)
の
高論
(
かうろん
)
卓説
(
たくせつ
)
も
貴様
(
きさま
)
の
耳
(
みみ
)
には
這入
(
はい
)
るまい。
349
先
(
ま
)
づ
酔
(
ゑひ
)
が
醒
(
さ
)
めてから、
350
悠
(
ゆつく
)
りと
説明
(
せつめい
)
するから、
351
明日
(
あす
)
の
事
(
こと
)
にしよう』
352
マール『
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
らぬが、
353
チツとばかし、
354
気
(
き
)
に
喰
(
く
)
はなくなつて
来
(
き
)
たのだ。
355
そんなら
明日
(
あす
)
改
(
あらた
)
めて
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
はうかい』
356
と
行歩
(
かうほ
)
蹣跚
(
まんさん
)
として、
357
目
(
め
)
も
霞
(
かすみ
)
、
358
右
(
みぎ
)
の
腕
(
うで
)
で
両眼
(
りやうがん
)
を
横
(
よこ
)
にツルリと
撫
(
な
)
で、
359
鼻
(
はな
)
をツンとかみ
乍
(
なが
)
らあつちやにヨツたり、
360
こつちやへヨツたり、
361
八人脚
(
はちにんあし
)
になつて
門内
(
もんない
)
へよろめき
入
(
い
)
る
可笑
(
をか
)
しさ。
362
一同
(
いちどう
)
は
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて『ワツハヽヽヽ』と
笑
(
わら
)
ひ
転
(
ころ
)
げる。
363
紺碧
(
こんぺき
)
の
空
(
そら
)
は
俄
(
にはか
)
にドンヨリとして
来
(
き
)
た。
364
ネルソン
山
(
ざん
)
の
峰
(
みね
)
を
圧
(
あつ
)
して、
365
天空
(
てんくう
)
高
(
たか
)
く
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
る
異様
(
いやう
)
の
女神
(
めがみ
)
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
、
366
瞬
(
またた
)
く
間
(
うち
)
に
朱欄
(
しゆらん
)
碧瓦
(
へきぐわ
)
の
神殿
(
しんでん
)
現
(
あら
)
はれ、
367
数多
(
あまた
)
の
人々
(
ひとびと
)
の
影
(
かげ
)
、
368
手
(
て
)
に
取
(
と
)
る
如
(
ごと
)
く
天空
(
てんくう
)
に
筍
(
たけのこ
)
の
生
(
は
)
えた
如
(
ごと
)
く、
369
ポツリポツリと
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
る。
370
武公
(
たけこう
)
は
初
(
はじ
)
めて
此
(
この
)
蜃気楼
(
しんきろう
)
を
眺
(
なが
)
め、
371
『アツ』と
驚
(
おどろ
)
き、
372
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
に
注進
(
ちゆうしん
)
せむと、
373
転
(
こ
)
けつ
輾
(
まろ
)
びつあつちやへヨツたり、
374
こつちやへヨツたり、
375
八
(
はち
)
人
(
にん
)
連
(
づ
)
れの
歩
(
あゆ
)
みをし
乍
(
なが
)
ら、
376
奥深
(
おくふか
)
く
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
し
一同
(
いちどう
)
は
天
(
てん
)
を
仰
(
あふ
)
いで、
377
蜃気楼
(
しんきろう
)
の
立派
(
りつぱ
)
なるに
打驚
(
うちおどろ
)
き、
378
園遊会
(
ゑんいうくわい
)
の
余興
(
よきよう
)
だと、
379
興
(
きよう
)
がつて
居
(
ゐ
)
る。
380
武公
(
たけこう
)
の
注進
(
ちゆうしん
)
に
依
(
よ
)
りて、
381
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
、
382
梅子姫
(
うめこひめ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
最高
(
さいかう
)
幹部
(
かんぶ
)
は
高殿
(
たかどの
)
に
上
(
のぼ
)
り、
383
ネルソン
山
(
ざん
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
より
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つてパノラマの
如
(
ごと
)
く、
384
チクチクと
位置
(
ゐち
)
を
転
(
てん
)
じ
来
(
きた
)
る、
385
諏訪
(
すは
)
の
湖
(
うみ
)
の
蜃気楼
(
しんきろう
)
を
熟視
(
じゆくし
)
すれば、
386
数多
(
あまた
)
の
女神
(
めがみ
)
に
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
かれ、
387
左守
(
さもりの
)
神
(
かみ
)
たりし
清公
(
きよこう
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
四人
(
よにん
)
連
(
づ
)
れ、
388
何事
(
なにごと
)
か
神勅
(
しんちよく
)
を
受
(
う
)
け
居
(
を
)
る
姿
(
すがた
)
を
眺
(
なが
)
めて、
389
一同
(
いちどう
)
は
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
驚喜
(
きやうき
)
し、
390
直
(
ただち
)
に
天
(
てん
)
に
向
(
むか
)
つて
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
391
蜃気楼
(
しんきろう
)
は
益々
(
ますます
)
明瞭
(
めいれう
)
に、
392
且
(
か
)
つ
左右
(
さいう
)
に
長
(
なが
)
く
展開
(
てんかい
)
し、
393
湖面
(
こめん
)
に
浮
(
う
)
かぶ
白帆
(
しらほ
)
まで
判然
(
はつきり
)
と
映
(
うつ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
394
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
は
蜃気楼
(
しんきろう
)
を
見
(
み
)
て
言霊
(
ことたま
)
の
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めた。
395
黄竜姫
『
ア
ふげば
高
(
たか
)
し
久方
(
ひさかた
)
の
396
イ
域
(
ゐき
)
の
空
(
そら
)
に
現
(
あら
)
はれし
397
ウ
ヅの
宮居
(
みやゐ
)
の
蜃気楼
(
しんきろう
)
398
エ
にある
様
(
やう
)
な
姫神
(
ひめがみ
)
の
399
オ
ホ
空
(
ぞら
)
高
(
たか
)
く
現
(
あら
)
はれて
400
カ
ミの
御前
(
みまへ
)
を
伏
(
ふ
)
し
拝
(
をが
)
み
401
キ
ヨき
正
(
ただ
)
しき
太祝詞
(
ふとのりと
)
402
ク
モ
井
(
ゐ
)
に
高
(
たか
)
く
詔
(
の
)
りあげし
403
ケ
色
(
しき
)
は
殊
(
こと
)
に
美
(
うる
)
はしく
404
コ
バルト
色
(
いろ
)
の
山
(
やま
)
の
上
(
へ
)
を
405
サ
シ
登
(
のぼ
)
りたる
清公
(
きよこう
)
の
406
シ
ロき
顔容
(
かんばせ
)
珍
(
うづ
)
の
衣
(
きぬ
)
407
ス
ワの
湖
(
みづうみ
)
影
(
かげ
)
清
(
きよ
)
く
408
セ
マり
来
(
きた
)
れる
地恩城
(
ちおんじやう
)
409
ソ
ラ
高々
(
たかだか
)
と
現
(
あら
)
はれぬ
410
タ
カ
天原
(
あまはら
)
の
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
411
チ
五百万
(
いほよろづ
)
の
神人
(
しんじん
)
の
412
ツ
キ
添
(
そ
)
ひまつる
崇高
(
けだか
)
さよ
413
テ
ニ
手
(
て
)
に
玉
(
たま
)
を
携
(
たづさ
)
へて
414
ト
コ
世
(
よ
)
の
空
(
そら
)
を
打眺
(
うちなが
)
め
415
ナ
ガき
影
(
かげ
)
をば
和田
(
わだ
)
の
原
(
はら
)
416
ニ
シや
東
(
ひがし
)
や
北南
(
きたみなみ
)
417
ヌ
りたる
如
(
ごと
)
き
空
(
そら
)
の
色
(
いろ
)
418
ネ
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
まで
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
る
419
ノ
ゾミも
遂
(
と
)
げて
神人
(
しんじん
)
が
420
ハ
ナの
顔容
(
かんばせ
)
月
(
つき
)
の
眉
(
まゆ
)
421
ヒ
ダリ
右
(
みぎ
)
りの
侍女
(
まかたち
)
は
422
フ
ジの
額
(
ひたひ
)
に
雪
(
ゆき
)
の
肌
(
はだ
)
423
ヘ
グリの
山
(
やま
)
のそれの
如
(
ごと
)
424
ホ
ホベも
春
(
はる
)
の
花
(
はな
)
の
色
(
いろ
)
425
マ
ナコ
涼
(
すず
)
しく
眉
(
まゆ
)
濃
(
こゆ
)
く
426
ミ
ダレ
髪
(
かみ
)
さへ
顔
(
かほ
)
に
垂
(
た
)
れ
427
ム
ツび
合
(
あ
)
うたる
神
(
かみ
)
と
人
(
ひと
)
428
メ
グり
大足
(
おほたる
)
神
(
かみ
)
の
世
(
よ
)
の
429
モ
モの
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
弥生空
(
やよひぞら
)
430
ヤ
千代
(
ちよ
)
の
君
(
きみ
)
を
寿
(
こと
)
ほぎて
431
イ
ヅミも
清
(
きよ
)
き
湖
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
432
ユ
フに
言
(
い
)
はれぬ
麗
(
うるは
)
しさ
433
エ
に
見
(
み
)
る
如
(
ごと
)
き
光景
(
くわうけい
)
は
434
ヨ
にも
稀
(
まれ
)
なる
眺
(
なが
)
めなり
435
ワ
が
言霊
(
ことたま
)
の
清
(
きよ
)
ければ
436
ヰ
づくの
空
(
そら
)
も
澄
(
す
)
み
渡
(
わた
)
り
437
ウ
きつ
沈
(
しづ
)
みつ
行
(
ゆく
)
雲
(
くも
)
の
438
ヱ
らぎ
栄
(
さか
)
えて
永久
(
とこしへ
)
に
439
ヲ
サまる
御代
(
みよ
)
を
守
(
まも
)
れかし
440
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
441
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
442
左守
(
さもりの
)
神
(
かみ
)
と
仕
(
つか
)
へたる
443
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
も
清公
(
きよこう
)
が
444
地恩
(
ちおん
)
の
城
(
しろ
)
を
後
(
あと
)
にして
445
身
(
み
)
を
下
(
くだ
)
したるタカ
港
(
みなと
)
446
屋根無
(
たなな
)
し
船
(
ぶね
)
に
揺
(
ゆ
)
られつつ
447
ヒルの
港
(
みなと
)
に
漕
(
こ
)
ぎつけて
448
谷間
(
たにま
)
に
荒
(
すさ
)
ぶ
曲津霊
(
まがつひ
)
を
449
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
しセーランの
450
山
(
やま
)
の
麓
(
ふもと
)
を
踏越
(
ふみこ
)
えて
451
露
(
つゆ
)
の
枕
(
まくら
)
も
数
(
かず
)
重
(
かさ
)
ね
452
一望
(
いちばう
)
千
(
せん
)
里
(
り
)
の
玉野原
(
たまのはら
)
453
厳
(
きび
)
しき
暑熱
(
しよねつ
)
を
浴
(
あ
)
び
乍
(
なが
)
ら
454
進
(
すす
)
み
進
(
すす
)
んで
諏訪
(
すは
)
の
海
(
うみ
)
455
湖辺
(
こへん
)
に
漸
(
やうや
)
く
辿
(
たど
)
りつき
456
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
457
身禊
(
みそぎ
)
払
(
はら
)
ひてスクスクと
458
水児
(
みづご
)
の
みづ
の
魂
(
たま
)
となり
459
湖中
(
こちう
)
に
浮
(
うか
)
び
漂
(
ただよ
)
へる
460
男島
(
をしま
)
女島
(
めしま
)
に
助
(
たす
)
けられ
461
転迷
(
てんめい
)
開悟
(
かいご
)
の
教
(
のり
)
の
花
(
はな
)
462
開
(
ひら
)
いて
散
(
ち
)
りて
実
(
み
)
を
結
(
むす
)
び
463
天女
(
てんによ
)
の
如
(
ごと
)
く
浄化
(
じやうくわ
)
して
464
黄金
(
こがね
)
の
船
(
ふね
)
に
迎
(
むか
)
へられ
465
朱欄
(
しゆらん
)
碧瓦
(
へきぐわ
)
の
高殿
(
たかどの
)
に
466
導
(
みちび
)
かれたる
有様
(
ありさま
)
は
467
今
(
いま
)
目
(
ま
)
のあたり
見
(
み
)
えにけり
468
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
469
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
隔
(
へだ
)
てなし
470
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
に
塞
(
ふさ
)
がれる
471
雲
(
くも
)
を
払
(
はら
)
へば
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
472
光
(
ひかり
)
は
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
る
473
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
を
包
(
つつ
)
みたる
474
八重
(
やへ
)
棚雲
(
たなぐも
)
も
忽
(
たちま
)
ちに
475
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
に
払
(
はら
)
はれて
476
円満
(
ゑんまん
)
清朗
(
せいらう
)
望
(
もち
)
の
月
(
つき
)
477
尽
(
つ
)
きせぬ
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
は
478
天垂
(
あまた
)
る
地垂
(
ちた
)
る
海
(
うみ
)
に
垂
(
た
)
る
479
人
(
ひと
)
の
身魂
(
みたま
)
にたり
充
(
み
)
ちて
480
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
み
)
四
(
よ
)
五
(
いつ
)
つ
六
(
む
)
つ
481
七
(
なな
)
八
(
や
)
九
(
ここの
)
つ
十
(
たり
)
の
空
(
そら
)
482
百千万
(
ももちよろづ
)
の
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
の
483
守
(
まも
)
りも
深
(
ふか
)
き
竜宮嶋
(
りうぐうじま
)
484
妾
(
わらは
)
もいかで
此
(
この
)
儘
(
まま
)
に
485
地恩
(
ちおん
)
の
郷
(
さと
)
に
悠々
(
いういう
)
と
486
空
(
むな
)
しく
月日
(
つきひ
)
を
過
(
すご
)
さむや
487
いざこれよりは
村肝
(
むらきも
)
の
488
心
(
こころ
)
を
清
(
きよ
)
め
魂
(
たま
)
磨
(
みが
)
き
489
清
(
きよ
)
きが
上
(
うへ
)
にも
清
(
きよ
)
くして
490
神
(
かみ
)
の
集
(
あつ
)
まる
竜宮
(
りうぐう
)
の
491
諏訪
(
すは
)
の
湖
(
うみ
)
へと
立向
(
たちむか
)
ひ
492
天
(
てん
)
火
(
くわ
)
水
(
すゐ
)
地
(
ち
)
と
結
(
むす
)
びたる
493
珍
(
うづ
)
の
宝
(
たから
)
を
拝戴
(
はいたい
)
し
494
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
に
宮柱
(
みやばしら
)
495
太
(
ふと
)
しき
建
(
た
)
てて
永久
(
とこしへ
)
に
496
鎮
(
しづ
)
まり
居
(
ゐ
)
ます
大神
(
おほかみ
)
の
497
御前
(
みまへ
)
に
捧
(
ささ
)
げまつりなば
498
三五教
(
あななひけう
)
の
礎
(
いしずゑ
)
は
499
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
なり
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
500
四方
(
よも
)
の
国々
(
くにぐに
)
永久
(
とことは
)
に
501
黄金
(
わうごん
)
世界
(
せかい
)
を
造
(
つく
)
りなし
502
貴
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
功績
(
いさをし
)
を
503
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
に
現
(
あら
)
はさむ
504
三五教
(
あななひけう
)
の
人
(
ひと
)
達
(
たち
)
よ
505
天
(
てん
)
に
輝
(
かがや
)
く
蜃気楼
(
しんきろう
)
506
神
(
かみ
)
の
姿
(
すがた
)
を
目
(
ま
)
のあたり
507
眺
(
なが
)
めし
上
(
うへ
)
は
如何
(
いか
)
にして
508
安
(
やす
)
きを
貪
(
むさぼ
)
る
時
(
とき
)
ならむ
509
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
片時
(
かたとき
)
も
510
妾
(
わらは
)
と
共
(
とも
)
にネルソンの
511
高嶺
(
たかね
)
を
越
(
こ
)
えて
西
(
にし
)
の
空
(
そら
)
512
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
や
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
513
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
の
猛
(
たけ
)
ぶ
野
(
の
)
を
514
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
を
身
(
み
)
に
浴
(
あ
)
びて
515
安々
(
やすやす
)
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
かむとす
516
早々
(
はやはや
)
用意
(
ようい
)
召
(
め
)
されよ』……と
517
促
(
うなが
)
す
姫
(
ひめ
)
の
一言
(
ひとこと
)
に
518
蜈蚣
(
むかで
)
の
姫
(
ひめ
)
を
始
(
はじ
)
めとし
519
神
(
かみ
)
の
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
梅子姫
(
うめこひめ
)
520
宇豆姫
(
うづひめ
)
友彦
(
ともひこ
)
伴
(
ともな
)
ひて
521
テールス
姫
(
ひめ
)
も
諸共
(
もろとも
)
に
522
旅装
(
りよさう
)
を
整
(
ととの
)
へしづしづと
523
地恩
(
ちおん
)
の
城
(
しろ
)
を
後
(
あと
)
にして
524
身装
(
みなり
)
も
軽
(
かる
)
き
蓑笠
(
みのかさ
)
の
525
露
(
つゆ
)
押
(
お
)
し
分
(
わ
)
けて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
526
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
527
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ。
528
(
大正一一・七・一一
旧閏五・一七
松村真澄
録)
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