霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一七章 再生(さいせい)再会(さいくわい)〔二〇四四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第81巻 天祥地瑞 申の巻 篇:第4篇 猛獣思想 よみ(新仮名遣い):もうじゅうしそう
章:第17章 再生再会 よみ(新仮名遣い):さいせいさいかい 通し章番号:2044
口述日:1934(昭和9)年08月15日(旧07月6日) 口述場所:水明閣 筆録者:林弥生 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
偽チンリウ姫を見破り、宴席でそのことを歌にほのめかした従臣の朝月は、はるか孤島の荒島に島流しにされてしまった。
絶海の孤島で、朝月は魚貝を採りつつ飢えをしのぎ、海原を眺めながら述懐の歌を歌っていた。
朝月は述懐の歌に、アララギ・センリウの姦計に陥った故国を憂い、また昨日の夢に不思議にも、命を奪われたかと思われたチンリウ姫が海亀に助けられて無事にイドム国にたどり着いたことを思い返して、神の恵みを祈っていた。
すると、チンリウ姫を救った神亀が荒島の波打ち際にぽかりと姿を現し、朝月を招くかのように首を上下に振りはじめた。朝月は、これぞ琴平別命の化身の救いと喜び、神亀の背中に飛び乗った。亀は朝月を背に乗せると、南へ南へとまっしぐらに進んで行く。
朝月が神亀に感謝の歌を歌ううちに、一日かけて神亀は、イドム国の真砂の浜辺に朝月を送り届けた。
亀に感謝の別れを告げた後、朝月が古木の茂る森に分け入って行くと、小さな小屋があり、そこからはかすかに女性の歌声が聞こえてきた。それは、チンリウ姫の述懐の歌であった。
朝月は自ら名乗ってチンリウ姫に目通りを申し出るが、姫は朝月がこのような場所にいるはずがないことを疑って警戒した。またもし本物だったとしても、朝月も自分とエームス王子の結婚を計った悪人の一人であると非難した。
朝月は、チンリウ姫が島流しにあった後、アララギ・センリウの企みを公の場で暴こうとしたために自分も島流しにあい、神亀に救われた経緯をチンリウ姫に訴え、忠誠を誓った。
チンリウ姫はようやく朝月に心を許し、朝月は姫に仕えてしばらく森の中で時を待つこととなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm8117
愛善世界社版: 八幡書店版:第14輯 520頁 修補版: 校定版:363頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 エームス(わう)(きさき)チンリウ(ひめ)贋物(にせもの)である。002()(じつ)は、003侍女(じぢよ)のセンリウ(ぢよ)がアララギと(はら)(あは)せ、004エームス(わう)(はじ)数多(あまた)重臣(ぢうしん)どもを籠絡(ろうらく)してゐることを(さと)つた朝月(あさづき)は、005宴会(えんくわい)(せき)(おい)()(こと)をほのめかしたので、006(たちま)ちアララギ、007センリウ()激怒(げきど)をかひ、008即座(そくざ)重罪(ぢゆうざい)(しよ)せられ、009海洋(かいやう)万里(ばんり)荒浪(あらなみ)にただよふ荒島(あらしま)(なが)された。010朝月(あさづき)は、011慷慨(かうがい)悲憤(ひふん)のあまり述懐(じゆつくわい)(うた)ふ。
012 (しほ)のひびきは滔々(たうたう)岩間(いはま)木霊(こだま)し、013()()(なみ)白馬(はくば)(たてがみ)()ちふり、014岸辺(きしべ)岩石(がんせき)にかみつく(ごと)物凄(ものすさま)じき光景(くわうけい)なりけり。015朝月(あさづき)はこの(しま)王者然(わうじやぜん)として(かひ)などを採集(さいしふ)し、016(うゑ)(しの)ぎつつ(うん)(てん)(まか)せながら縹渺(へうべう)たる海原(うなばら)(なが)めて(うた)ふ。
017(あふ)げば(たか)久方(ひさかた)
018雲井(くもゐ)(そら)()てもなく
019(あを)()()(わが)みたま
020ふくれふくれて(つき)となり
021(また)(わか)れては(ほし)となり
022(きは)みも()らぬ大宇宙(だいうちう)
023わが物顔(ものがほ)(わた)りゆく
024われは朝月(あさづき)のかげなれや
025(なみ)()けつつ(のぼ)りゆく
026朝日(あさひ)(かげ)()らされて
027(ひる)姿(すがた)をかくせども
028(よる)さり()れば夕月(ゆふづき)
029(かげ)はきらきら波間(なみま)()らし
030千尋(ちひろ)(うみ)(そこ)ひには
031(きよ)()みきる夕月(ゆふづき)
032(あした)(つき)のゆらゆらに
033(なみ)にたゆたふ雄々(をを)しさよ
034伊佐子(いさご)(しま)(あと)にして
035千重(ちへ)荒浪(あらなみ)(わた)りつつ
036独木(まるき)(ふね)()()れば
037(おと)名高(なだか)荒島(あらしま)
038ただ一本(いつぽん)()(くさ)
039荒風浪(あらかぜなみ)()かれつつ
040()ふるひまなき(いは)(しま)
041堅磐(かきは)常磐(ときは)海中(わだなか)
042(うか)ぶも雄々(をを)しこの島根(しまね)
043朝月(あさづき)はここに(なが)されて
044世塵(せぢん)()らず安々(やすやす)
045堅磐(かきは)常磐(ときは)(さか)ゆなり
046荒浪(あらなみ)如何(いか)(たけ)るとも
047(あつ)(さむ)さは(おそ)ふとも
048(なに)(おそ)れむ大丈夫(ますらを)
049弥猛心(やたけごころ)をくじくべき
050ああ面白(おもしろ)面白(おもしろ)
051この荒島(あらしま)(ひろ)ければ
052永久(とは)住家(すみか)(さだ)めつつ
053(もも)魚族(うろくづ)(とも)として
054竜宮(りうぐう)(わう)とうたはれむ
055さはさりながらあはれなるかな
056チンリウ(ひめ)曲者(くせもの)
057奸計(たくみ)(わな)(おちい)りて
058()ても()つかぬ替玉(かへだま)
059センリウ侍女(じぢよ)()ひられて
060(おも)はぬ(つみ)をかぶせられ
061(かくれ)(しま)(なが)されし
062()(あは)れさの()(せま)
063木田山(きたやま)(じやう)(ひら)かれし
064祝賀(しゆくが)(えん)出席(しゆつせき)
065うち(いだ)したる言霊(ことたま)
066(はげ)しき矢玉(やだま)()ぢおそれ
067(こころ)きたなきアララギは
068わが(こと)()をさへぎりつ
069疑惑(ぎわく)(つみ)()ひながら
070(こひ)(くる)へる若王(わかぎみ)
071(むすめ)のセンリウ(ぢよ)とともに
072わが()(にく)める()のあまり
073高手(たかて)小手(こて)にいましめて
074この荒島(あらしま)(なが)したり
075われは大丈夫(ますらを)覚悟(かくご)はすれど
076隙間(すきま)(かぜ)にもあてられず
077宮中(きうちう)(ふか)(そだ)ちたる
078チンリウ(ひめ)()(しま)
079(なが)したるこそ(にく)らしき
080さはさりながら()(しま)
081()()(かくれ)島ケ根(しまがね)
082(ゆふ)さり()れば荒浪(あらなみ)
083全島(ぜんたう)姿(すがた)をかくすなる
084危険(きけん)(しま)()てたるは
085(ひめ)生命(いのち)をとらむ(ため)
086アララギどもの謀計(はかりごと)
087(おも)へば(おも)へば(にく)らしや
088(いま)となりては
089()けど(くや)めど姫君(ひめぎみ)
090姿(すがた)最早(もはや)荒浪(あらなみ)
091(はら)()まれて(かげ)もなし
092(かみ)(めぐみ)(さち)はひて
093()しも()()(おは)すならば
094水底(みそこ)(くぐ)りてこの(しま)
095(きた)らせ(たま)惟神(かむながら)
096天地(てんち)(かみ)()ぎまつる
097ああされど
098不思議(ふしぎ)なるかな
099昨夜(ゆふべ)(ゆめ)にチンリウ(ひめ)
100(かめ)背中(せなか)()せられて
101とある磯辺(いそべ)にたどりつき
102茂樹(しげき)(もり)にささやけき
103(いほり)(つく)りて()(たま)
104(ゆめ)(うつつ)(まぼろし)
105(こころ)にかかるは(ひめ)(うへ)
106完全(うまら)委曲(つばら)御在処(みありか)
107()らむと(おも)へど是非(ぜひ)もなし
108ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
109恩頼(みたまのふゆ)(たま)へかし。
110(てん)(あを)海原(うなばら)(あを)きこの(しま)
111(ひめ)(しの)びて青息(あをいき)つくも
112伊佐子(いさご)(じま)(とほ)(さか)れる荒島(あらしま)
113一人(ひとり)()()(さび)しかりけり
114さりながら()()さごとを()かずして
115一人(ひとり)(たの)しき今日(けふ)のわれなり
116木田山(きたやま)(しろ)()もなく(ほろ)ぶべし
117アララギ母子(おやこ)暴虐(ぼうぎやく)()
118チンリウ(ひめ)(かくれ)(しま)(なが)されて
119水泡(みなわ)()えしは果敢(はか)なかりけり
120さりながら(ひめ)生命(いのち)(たも)たすと
121われは()けるも(ゆめ)(まくら)
122悪人(あくにん)(さか)えて善人(ぜんにん)(ほろ)ぶべき
123(ためし)神代(かみよ)にあらじとぞ(おも)
124(にく)みても(あま)りありけりアララギの
125いやしき(こころ)()でし曲業(まがわざ)
126 ()(うた)(をり)しも、127チンリウ(ひめ)真砂(まさご)(はま)(おく)りとどけたる巨大(きよだい)なる神亀(しんき)は、128波打(なみう)(ぎは)にボカリと()(あが)り、129(くび)上下(じやうげ)()りながら朝月(あさづき)(まね)くものの(ごと)()えける。130朝月(あさづき)はこれぞ(まつた)(うみ)守護神(しゆごじん)琴平別(ことひらわけの)(みこと)化身(けしん)ぞと(いさ)(よろこ)び、131(ただち)(をか)(くだ)りて汀辺(みぎはべ)(はし)りつき、
132有難(ありがた)琴平別(ことひらわけ)(おん)(むか)
133伊佐子(いさご)(しま)(おく)らせ(たま)へ』
134と、135合掌(がつしやう)しながら神亀(しんき)()()()れば、136(かめ)波上(はじやう)(だい)なる(あたま)をもたげ、137(みなみ)(みなみ)へと(なみ)をかきわけながら、138まつしぐらに(すす)みゆく。
139 朝月(あさづき)(うた)ふ。
140有難(ありがた)天地(てんち)(かみ)御恵(みめぐみ)
141琴平別(ことひらわけ)()れましにけり
142一本(いつぽん)(くさ)()もなき荒島(あらしま)
143われは(さび)しく(くら)()たるを
144琴平別(ことひらわけ)(かみ)化身(けしん)(すく)はれて
145千重(ちへ)波路(なみぢ)(わた)らふ今日(けふ)かな
146大栄(おほさか)(やま)雲間(くもま)(かす)みつつ
147天津(あまつ)()のかげ(おぼろ)()ゆるも
148(きた)()(かぜ)(おく)られわれは(いま)
149神亀(しんき)(せな)()りて(かへ)るも
150チンリウ(ひめ)もわれと(おな)じくこの(かめ)
151(すく)はれにけむ()かまほしさよ』
152 ()(うた)ひつつ、153(かめ)のゆくままに(まか)()たりしが翌日(あくるひ)暁頃(あかつきごろ)154(そら)朝月(あさづき)(しら)けて、155海風(うなかぜ)(おもむろ)(そで)()(ころ)156真砂(まさご)浜辺(はまべ)()きにける。
157 朝月(あさづき)は、158(かめ)()より(みぎは)()()り、159神亀(しんき)(むか)つて合掌(がつしやう)しながら(うた)ふ。
160(なみ)(あら)孤島(こたう)になげきし朝月(あさづき)
161(なれ)(いさを)(すく)はれにけり
162何時(いつ)までも(なれ)(めぐ)みは(わす)れまじ
163わが(なげ)かひはまたく()れけり
164東北(とうほく)(そら)(かす)める高山(たかやま)
165大栄山(おほさかやま)かなつかしき(やま)
166この聖所(すがど)イドムの(くに)(はま)ならむ
167大栄山(おほさかやま)(きた)()ゆれば』
168 ここに朝月(あさづき)(かめ)感謝(かんしや)し、169(わか)れを()げて(みぎは)真砂(まさご)をザクザクふみならしながら、170(はる)前方(ぜんぱう)にこんもりと古木(こぼく)(しげ)りたる茂樹(しげき)(もり)目当(めあて)辿(たど)()く。
171 朝月(あさづき)只一人(ただひとり)172茂樹(しげき)(もり)かげをあてどもなく辿(たど)()くにぞ、173目立(めだ)ちて(ふと)(つき)根元(ねもと)(かや)(もつ)(むす)びたる矮屋(わいをく)をみとめ、174足音(あしおと)(しの)ばせ(ちか)より、175(なか)様子(やうす)(うかが)()たりける。176矮屋(わいをく)(なか)よりは(かすか)なる(をんな)のうたふ(こゑ)(ひび)(きた)る。
177『わが(くに)(てき)(うば)はれわが父母(ふぼ)
178行方(ゆくへ)()れぬぞ(かな)しかりけり
179エールスの(しこ)(つかさ)にわが(ちち)
180(しろ)(うば)はれかくれましけむ
181(わらは)(また)(よわ)()もて敵軍(てきぐん)
182とらはれ(とほ)(おく)られにけり
183(みづ)(にご)木田山(きたやま)(じやう)にとらへられ
184なげきの月日(つきひ)()(くら)したり
185二十(にじふ)(ねん)われに(つか)へしアララギは
186悪魔(あくま)となりてわれに(そむ)きぬ
187如何(いか)ならむ(つみ)(をか)せしか()らねども
188今日(けふ)(わが)()(さび)しかりけり
189(たま)()生命(いのち)とらむとアララギは
190われを(かくれ)(しま)(おく)りし
191荒浪(あらなみ)()まれむとする(をり)もあれ
192琴平別(ことひらわけ)(すく)はれしはや
193大栄山(おほさかやま)(はる)かに(たか)(きた)(そら)
194(かす)むを()ればわが(くに)なるらむ
195さりながらイドムの(くに)(いま)ははや
196サールの配下(はいか)となれる(かな)しさ
197隠島(かくれじま)(やうや)(のが)れわれは(いま)
198茂樹(しげき)(もり)にかくれ()くかも
199父母(ちちはは)一度(いちど)()はまく()りすれど
200今日(けふ)(わが)()詮術(せんすべ)もなき
201万斛(ばんこく)(なみだ)(たた)へてわれは(いま)
202()くより(ほか)(すべ)なかりけり
203いたづらに(もり)木蔭(こかげ)()ちむかと
204(おも)へば(かな)しき(わが)()なりけり』
205 朝月(あさづき)はこの(うた)()き、206(まさ)しく隠島(かくれじま)(なが)されしチンリウ(ひめ)なることを(さと)り、207雀躍(こをど)りしながら(こゑ)(たか)らかに(うた)ふ。
208『われこそは木田山(きたやま)(じやう)(つか)へたる
209朝月司(あさづきつかさ)のなれの()てぞや
210この(いへ)(しの)ばせ(たま)ふは(まさ)しくも
211チンリウ(ひめ)(さと)らひにけり
212アララギのきたなき(こころ)謀計(たくらみ)
213かくなりませし(ひめ)(かな)しむ
214われも(また)チンリウ(ひめ)贋物(にせもの)
215言挙(ことあ)げなしてやらはれにけり
216アララギやセンリウ(ひめ)(いきどほ)りに
217われ荒島(あらしま)(なが)されしはや
218姫君(ひめぎみ)(あん)じわづらひ荒島(あらしま)
219(かくれ)島ケ根(しまがね)(はる)かに(あふ)ぎぬ
220琴平別(ことひらわけ)(かみ)化身(けしん)(おく)られて
221われは真砂(まさご)(はま)()きぬる』
222 (なか)よりチンリウ(ひめ)(こゑ)として、
223『いぶかしや茂樹(しげき)(もり)(ひと)(こゑ)
224(きこ)ゆは狐狸(こり)仕業(しわざ)なるらめ
225わが住家(すみか)破屋(あばらや)なれど表戸(おもてど)
226魔神(まがみ)(ため)には(ひら)かざるべし
227朝月(あさづき)木田山(きたやま)(じやう)左守神(さもりがみ)
228此処(ここ)(きた)らむ理由(りいう)はあらじ
229いろいろと言葉(ことば)(かま)へてたぶらかす
230狐狸(こり)謀計(たくみ)(あさ)はかなるも
231アララギやセンリウ(ひめ)相共(あひとも)
232われをはかりし朝月(あさづき)曲津(まが)
233よしやよし(まこと)朝月(あさづき)なればとて
234われは()すともまみえざるべし』
235 朝月(あさづき)(かな)しげに、
236(おも)ひきや茂樹(しげき)(もり)にたどり()
237(ひめ)(いか)りの言葉(ことば)()くとは
238姫君(ひめぎみ)(かげ)日向(ひなた)にかばひつつ
239(まこと)(つく)せし朝月(あさづき)なるよ
240やさしげに()ゆるアララギ、センリウの
241(たぐひ)(おぼ)すが(かな)しかりけり
242姫君(ひめぎみ)をかばひし言葉(ことば)にたたられて
243われ荒島(あらしま)(なが)されしはや
244かくなればサールの(くに)へは(かへ)れまじ
245(しの)びて()まむ茂樹(しげき)(もり)
246木田山(きたやま)(しろ)(ほろ)びむアララギの
247(ひと)もなげなるその振舞(ふるま)ひに
248城内(じやうない)(つかさ)四分(しぶん)五裂(ごれつ)して
249アララギ母子(おやこ)(のろ)はぬものなし
250隣国(りんこく)のイドムを()めたる(むく)いにて
251サールの(くに)(いま)(ほろ)びむ
252(おん)(ちち)のアヅミの(きみ)はやがて(いま)
253伊佐子(いさご)島根(しまね)領有(うしは)(たま)はむ
254朝月(あさづき)(きよ)(こころ)をさとりませ
255(ひめ)(つか)ふと(した)()しものを』
256 チンリウ(ひめ)(うた)ふ。
257『いろいろの()言霊(ことたま)にわが(むね)
258(くも)()れたりとく()りませよ
259なよ(ぐさ)(をみな)一人(ひとり)のこの(いほ)
260()()()しも不思議(ふしぎ)なるかな
261(なれ)(また)琴平別(ことひらわけ)(すく)はれしか
262われも神亀(しんき)(おく)られ(きた)りぬ』
263 ()(うた)ひながら、264(しば)()(なか)よりパツと押開(おしひら)けば、265朝月(あさづき)大地(だいち)にひれ()し、266ハラハラと落涙(らくるい)しながら、
267(ひめ)(さま)268()(なつ)かしう御座(ござ)います。269(わたし)貴女(あなた)()()(うへ)()(どく)(ぞん)じ、270(だい)祝賀会(しゆくがくわい)席上(せきじやう)(おい)て、271(いま)のチンリウ(ひめ)(さま)贋物(にせもの)にして、272アララギの奸計(かんけい)より()くなれるものとの諷刺(ふうし)(うた)ひましたため、273アララギ母子(おやこ)(およ)びエームス(わう)激怒(げきど)にふれ、274奸佞(かんねい)邪智(じやち)(こころ)きたなき(つかさ)どもに審判(さば)かれ、275(つひ)海中(かいちう)荒島(あらしま)という無人島(むじんたう)(なが)され、276孤独(こどく)(かこ)ちつつあるところへ、277琴平別(ことひらわけ)(かみ)278(かめ)(くわ)して(あら)はれ(たま)ひ、279たつた(いま)(さき)280真砂(まさご)浜辺(はまべ)(わたし)(おく)りとどけて(くだ)さつたのです。281(かなら)ずや(ひめ)(さま)隠島(かくれじま)より琴平別(ことひらわけ)(かみ)(すく)はれて、282()(あた)りにおしのびの(こと)察知(さつち)(いた)しまして、283森林(しんりん)彷徨(さまよ)ふうち、284フツとこの()住居(すまゐ)()にとまり、285足音(あしおと)をしのばせ(ちか)より、286屋内(をくない)様子(やうす)(うかが)へば、287かすかに(きこ)ゆる(おん)(うた)のふしに、288てつきり(ひめ)(さま)()(よろこ)び、289(おそ)れながら屋外(をくぐわい)()ち、290(うた)もて()(たづ)(いた)した次第(しだい)御座(ござ)います。291何卒(なにとぞ)(ひめ)(さま)()仁慈(じんじ)によりまして、292(わたし)(しもべ)として()使(つか)(くだ)さらうならば、293有難(ありがた)仕合(しあは)せと(ぞん)じます。294(わたし)(ふたた)びサールの(くに)(あし)()()れる(かんが)へは御座(ござ)いませぬ。295この(しま)(おん)(ちち)領分(りやうぶん)とは()ひながら、296サールの国王(こくわう)エールスが暴威(ぼうゐ)(ふる)領域内(りやうゐきない)御座(ござ)いますれば、297(かれ)()手下(てした)奴輩(やつばら)()つかつては危険(きけん)御座(ござ)いますから、298この森林(しんりん)(さいは)ひ、299(ひめ)(さま)()(そば)(つか)へて(とき)()(こと)(いた)しませう。300(いち)()(おん)父王(ちちぎみ)(しろ)()てて退却(たいきやく)されましたなれど、301賢明(けんめい)なるアヅミ(わう)(さま)(かなら)軍備(ぐんび)(ととの)へ、302捲土(けんど)重来(ぢゆうらい)して、303イドム(じやう)回復(くわいふく)し、304善政(ぜんせい)()(たま)ふものと、305(わたし)(いま)より期待(きたい)いたして()ります。306(つぎ)にサールの(くに)最早(もは)滅亡(めつばう)(きざし)(あら)はれ()りますれば、307伊佐子(いさご)(しま)全部(ぜんぶ)アヅミ(わう)(さま)治下(ちか)(ふく)する(こと)(ぞん)じます。308(ひめ)(さま)309()安心(あんしん)なさいませ』
310と、311いろいろと言葉(ことば)(つく)して、312朝月(あさづき)はチンリウ(ひめ)(なぐさ)めながら、313暫時(しばし)この森林(しんりん)住家(すみか)として(とき)()ちゐたりける。
314昭和九・八・一五 旧七・六 於水明閣 林弥生謹録)
文芸社文庫『あらすじで読む霊界物語』絶賛発売中!
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki