霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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総説(そうせつ)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻 篇:前付 よみ(新仮名遣い):
章:総説 よみ(新仮名遣い):そうせつ 通し章番号:
口述日:1922(大正11)年01月25日(旧12月28日) 口述場所: 筆録者:出口王仁三郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
太古の神霊界における政治の大要を述べる。数百万年以前のことであり、高熊山の霊学修行中に王仁が見聞したままを記憶から呼び起こして吐露するまでである。
本巻は、諾冊二尊が天照大御神の御魂の大御柱を中心に天から降り、天の浮き橋に立ってくらげなす漂える国を修理固成し、現代の日本である豊葦原の瑞穂の中津国を胞衣とし神実として、地上のあらゆる世界を修理固成した経綸の大略を述べている。
それゆえ、舞台は日本のみではなく、地上神人界全体にわたって起こった出来事なのである。
太古の御神政は、神祭を第一とし、次に神政を行った。国々には国魂神があり、各国魂神はその国の神王、また八王といって八尋殿を建ててその至聖所に祭壇を設け、造化三神を鎮祭し、同殿同床で奉仕した。左守神、右守神(八頭)に神示を伝えて神政を司らしめた。
国治立命の御神政の時代には、天使長(あまつこいのをさ)という聖職があり、国祖の御神慮を奉じて各地の八王八頭を統轄していた。
諾冊二尊ご降臨の後は、伊弉諾の大神が八尋殿を作って造化三神を祀り、同殿同床の制を敷いた。伊弉冊尊は国の御柱神となって地上世界の主管者となった。
しかしながら時代が下るにつれて地上世界は体主霊従の邪気がみなぎり、収集できない状態になった。
ここにいたって、大神の神政を補佐するために、糞に成りますという埴安彦の神が現れて、天地の洪徳を世界に説示するために教えを立てて、宣伝使を天下に派遣することになったのである。
国祖・国治立命は天教山に隠れ、宣伝使を任命して地上世界に派遣した。これが、神代における治教的宣伝の始まりであった。このとき宣伝使に任じられた神人らは、多芸多能で、六芸に通達した神人ばかりであった。
後に埴安彦・埴安姫の二神が地上に顕現して麻柱(あななひ)の教えを説き、宣伝使を通じて世界の神人らの御魂の救済に尽くした。麻柱の宣伝使もまた、士農工商の道に通達し、天測を守り、忍耐を唯一の武器としてあらゆる迫害を甘受してその任務を尽くしたのである。
太古の人間の生活は決して楽なものではなかったが、天地の大恩を感謝して楽しく暮らしていた。地上の人間の数が増えるにしたがって弱肉強食の社会となってしまったのである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-01 11:12:56 OBC :rm060003
愛善世界社版:1頁 八幡書店版:第1輯 631頁 修補版: 校定版:3頁 普及版:1頁 初版: ページ備考:
001 太古(たいこ)神霊界(しんれいかい)における政治(せいぢ)大要(たいえう)()べて()ようと(おも)ふ。002(もと)より数百万(すうひやくまん)(ねん)以前(いぜん)(こと)であつて、003吾々(われわれ)人間(にんげん)としては、004その真偽(しんぎ)的確(てきかく)判別(はんべつ)する(こと)到底(たうてい)不可能(ふかのう)であります。005(しか)王仁(わたくし)()ぶるところは、006臆説(おくせつ)想像(さうざう)ではない。007また創作物(さうさくぶつ)でもない。008高熊山(たかくまやま)における霊学(れいがく)修行中(しうぎやうちう)に、009見聞(けんぶん)したる()りのままを、010覚束(おぼつか)なき記憶(きおく)より()()して、011(わづ)かにその片鱗(へんりん)吐露(とろ)したばかりであります。
012 現代(げんだい)文明(ぶんめい)空気(くうき)()れたる、013天文(てんもん)地文(ちもん)学者(がくしや)国学者(こくがくしや)および宗教家(しうけうか)014哲学者(てつがくしや)などの、015深遠(しんゑん)なる知識(ちしき)から、016この物語(ものがたり)()るならば、017(じつ)欠点(けつてん)だらけで、018(なか)には抱腹(はうふく)絶倒(ぜつたう)019批判(ひはん)価値(かち)なきものと、020断定(だんてい)さるるでありませう。021しかし王仁(わたくし)物語(ものがたり)は、022寓意(ぐうい)(てき)教訓(けうくん)でもなければ、023また虚構(きよこう)でもない、024()りのままの見聞談(けんぶんだん)である。
025 (すべ)霊界(れいかい)(はなし)現界(げんかい)とは(ちが)つて、026率直(そつちよく)簡明(かんめい)であり、027濃厚(のうこう)複雑(ふくざつ)(とう)説話(せつわ)は、028(かみ)(もつと)()(たま)ふところ、029(をんな)にも子供(こども)にも、030どんな無知識(むちしき)階級(かいきふ)にも、031なるべく(わか)(やす)く、032平易(へいい)簡単(かんたん)にして、033明瞭(めいれう)なるを主眼(しゆがん)とするが(ゆゑ)である。
034 本巻(ほんくわん)は、035いよいよ天津(あまつ)(かみ)(めい)により諾冊(なぎなみ)二尊(にそん)が、036天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)御魂(みたま)大御柱(おほみはしら)中心(ちうしん)に、037(てん)より(くだ)り、038(あま)浮橋(うきはし)()ちて、039海月(くらげ)なす(ただよ)へる(くに)修理(しうり)固成(こせい)(たま)ひ、040現代(げんだい)(わが)日本国(にほんこく)(すなは)豊葦原(とよあしはら)瑞穂(みづほ)中津国(なかつくに)胞衣(えな)となし、041かつ神実(かんざね)として、042地上(ちじやう)のあらゆる世界(せかい)修理(しうり)固成(こせい)(たま)うた神界(しんかい)経綸(けいりん)大略(たいりやく)()べたものであります。043それゆゑ舞台(ぶたい)は、044地球(ちきう)(じやう)一般(いつぱん)神人界(しんじんかい)(わた)つた出来事(できごと)であつて、045区々(くく)たる極東(きよくとう)(わが)神国(しんこく)のみの神話(しんわ)(うつ)したものでない(こと)勿論(もちろん)である。
046
047 (すべ)太古(たいこ)()神政(しんせい)神祭(しんさい)第一(だいいち)とし、048(つぎ)神政(しんせい)(おこな)ひ、049国々(くにぐに)国魂神(くにたまがみ)があり、050国魂神(くにたまがみ)は、051その国々(くにぐに)神王(しんわう)052(また)八王(やつわう)などと()つて八尋殿(やひろどの)()てられ、053殿内(でんない)至聖処(しせいしよ)祭壇(さいだん)(まう)け、054造化(ざうくわ)三神(さんしん)鎮祭(ちんさい)し、055神王(しんわう)および八王(やつわう)は、056同殿(どうでん)同床(どうしやう)にて神明(しんめい)奉仕(ほうし)された。057さうして神政(しんせい)左守(さもりの)(かみ)(また)右守(うもりの)(かみ)(あるひ)八頭神(やつがしらがみ)とも()ふ)に神示(しんじ)(つた)神政(しんせい)司掌(つかさど)らしめ(たま)うたのであります。058さうして国治立(くにはるたちの)(みこと)()神政(しんせい)時代(じだい)は、御校正本・愛世版では「国治立命御隠退の時代」だが、天使長という聖職があったのは国祖隠退後ではなく、国祖神政中であり、意味がおかしくなる。そのため霊界物語ネットでは校定版・八幡版に準じて「隠退」を「神政」に直した059天使長(あまつこいのをさ)()聖職(せいしよく)があつて、060国祖(こくそ)神慮(しんりよ)(ほう)じ、061各地(かくち)国魂(くにたま)たる八王神(やつわうじん)統轄(とうかつ)せしめつつあつたのが、062諾冊(なぎなみ)二尊(にそん)の、063淤能碁呂(おのころ)(じま)()降臨(かうりん)ありし(のち)は、064伊弉諾(いざなぎ)大神(おほかみ)065八尋殿(やひろどの)(つく)りて、066これに造化(ざうくわ)三神(さんしん)(まつ)(たま)ひ、067同殿(どうでん)同床(どうしやう)(せい)()き、068伊弉冊(いざなみの)(みこと)を、069(くに)御柱神(みはしらがみ)として、070地上(ちじやう)神政(しんせい)主管者(しゆくわんしや)たらしめ(たま)うたのであります。071しかるに地上(ちじやう)世界(せかい)は、072()(つき)に、073体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)邪気(じやき)(みなぎ)り、074物質(ぶつしつ)(てき)文明(ぶんめい)進歩(しんぽ)(とも)に、075地上(ちじやう)神人(しんじん)精神(せいしん)は、076その反比例(はんぴれい)悪化(あくくわ)し、077大蛇(をろち)078(おに)079悪狐(あくこ)邪霊(じやれい)天地(てんち)充満(じゆうまん)して()らゆる災害(さいがい)をなし、080収拾(しうしふ)すべからざるに()(いた)つた。081そこで神界(しんかい)神人(しんじん)(もつと)下層(かそう)社会(しやくわい)より、082所謂(いはゆる)(くそ)()()すてふ埴安彦(はにやすひこの)(かみ)(あら)はれて、083大神(おほかみ)神政(しんせい)輔佐(ほさ)(たてまつ)るべく、084天地(てんち)洪徳(こうとく)(あまね)世界(せかい)説示(せつじ)するために(をしへ)()て、085宣伝使(せんでんし)天下(てんか)派遣(はけん)さるる(こと)となつたのである。
086 また国祖(こくそ)国治立(くにはるたちの)(みこと)天教山(てんけうざん)(かく)れ、087世界(せかい)大峠(おほたうげ)(まぬが)るることを(あまね)地上(ちじやう)神人(しんじん)()(さと)し、088大難(だいなん)(まぬが)れしめむとして、089宣伝使(せんでんし)(しん)任命(にんめい)し、090地上(ちじやう)世界(せかい)派遣(はけん)せしめ(たま)うた。091これが神代(かみよ)における、092治教(ちけう)(てき)宣伝(せんでん)濫觴(らんしやう)であつたのである。093さうして宣伝使(せんでんし)(しん)(にん)にあたる(かみ)多芸(たげい)多能(たのう)にして、094(れい)095(がく)096(しや)097(ぎよ)098(しよ)099(すう)六芸(りくげい)通達(つうたつ)してゐた神人(かみ)ばかりである。100さうして一身(いつしん)(かみ)(ささ)げ、101衆生(しゆじやう)救済(きうさい)天職(てんしよく)(よろこ)びて従事(じうじ)されたのである。
102 それより(のち)103埴安彦(はにやすひこ)104埴安姫(はにやすひめ)二神司(にしん)地上(ちじやう)顕現(けんげん)して麻柱教(あななひのをしへ)()き、105宣伝使(せんでんし)(にん)じて世界(せかい)覚醒(かくせい)し、106神人(しんじん)御魂(みたま)救済(きうさい)(つく)さしめた。107その宣伝使(せんでんし)もまた、108()109(のう)110(こう)111(しやう)(みち)通達(つうたつ)し、112天則(てんそく)(まも)忍耐(にんたい)唯一(ゆゐいつ)武器(ぶき)として労苦(らうく)(をし)まず、113()らゆる迫害(はくがい)甘受(かんじゆ)してその任務(にんむ)(つく)したのである。114現今(げんこん)各教(かくけう)各宗(かくしう)宣教師(せんけうし)の、115安逸(あんいつ)遊惰(いうだ)なる生活(せいくわつ)()すれば、116(じつ)天地(てんち)霄壤(せうじやう)()があるのである。
117 (すべ)(かみ)福音(ふくいん)()(つた)ふる宣伝使(せんでんし)聖職(せいしよく)()るものは、118神代(かみよ)宣伝使(せんでんし)(しん)(こころ)(もつ)(こころ)とし、119()()(しの)(もつ)神格(しんかく)保持(ほぢ)し、120世人(せじん)模範(もはん)とならねばならぬのである。
121
122 太古(たいこ)人民(じんみん)生活(せいくわつ)状態(じやうたい)は、123今日(こんにち)のごとく安全(あんぜん)なる生活(せいくわつ)到底(たうてい)(のぞ)まれ()なかつた。124家屋(かをく)()つても、125()()とを()(あは)せ、126(くひ)地上(ちじやう)()ち、127藤蔓(ふぢかづら)(つる)(もつ)てこれを(しば)り、128(かや)(ささ)()()()(もつ)屋根(やね)(おほ)ひ、129(わづか)雨露(うろ)(しの)ぐものもあり、130岩窟(がんくつ)(なか)()むもの、131山腹(さんぷく)(あな)穿(うが)ち、132(くさ)()きて()むもの、133巨岩(きよがん)(たた)み、134洞穴(ほらあな)(つく)つてこれに()むものなどで、135衣服(いふく)のごときも、136一般(いつぱん)人民(じんみん)獣皮(じうひ)()(まと)ひ、137(あるひ)()()()み、138(くさ)()み、139(あさ)(ころも)()るものは人民(じんみん)(なか)でも(もつと)上等(じやうとう)()である。140また絹布(けんぷ)(まと)へるは(もつと)高貴(かうき)なる神人(しんじん)のみであつた。
141 ()れでも古代(こだい)人間(にんげん)天地(てんち)大恩(たいおん)感謝(かんしや)し、142生活(せいくわつ)(たの)しみ、143和気(わき)靄々(あいあい)として(たの)しくその()(くら)して()つたのである。144さうして村々(むらむら)には酋長(しうちやう)(ごと)きものがあつて、145これを各自(かくじ)統一(とういつ)してゐた。146(つひ)には地上(ちじやう)人間(にんげん)(すう)()えるに(したが)つて、147争奪(そうだつ)をはじめ、148生存(せいぞん)競争(きやうそう)悪社会(あくしやくわい)馴致(じゆんち)し、149弱肉(じやくにく)強食(きやうしよく)修羅場(しゆらぢやう)(くわ)するに(いた)つた。150その人心(じんしん)善導(ぜんだう)すべく、151(かみ)大御心(おほみこころ)()つて(をしへ)なるものが(おこ)り、152宣伝使(せんでんし)必要(ひつえう)招来(せうらい)するに(いた)つたのであります。
153  大正十一年一月二十五日 旧十年十二月二十八日
154      出口王仁三郎
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