霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四三章 猫(ねこ)の手(て)〔二九三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻 篇:第8篇 五伴男神 よみ(新仮名遣い):いつとものおのかみ
章:第43章 猫の手 よみ(新仮名遣い):ねこのて 通し章番号:293
口述日:1922(大正11)年01月24日(旧12月27日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月10日
概要: 舞台:御年村 あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
二柱の宣伝使はローマを目指して進んできた。おりしも、郊外の村(御年村)では農民たちが田植えの真っ最中であった。
農民たちは忙しく働きながら、強者に搾取される自分たちの境遇を嘆き、また最近現れた三五教の教理について、話し合っていた。三五教は皇祖教である、というのである。
そこへ『神が表に現れて 善と悪とを立て別ける』と大声に呼ばわりながら、二人の宣伝使がやってきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-01 12:25:05 文字数:2924 OBC :rm0643
愛善世界社版:258頁 八幡書店版:第1輯 718頁 修補版: 校定版:260頁 普及版:107頁 初版: ページ備考:
001遠音(とほね)に響(ひび)く暮(くれ)の鐘(かね)
002五月(さつき)の空(そら)の木下闇(こしたやみ)
003空(そら)に一声(ひとこゑ)時鳥(ほととぎす)
004黒白(あやめ)も分(わか)ぬ夜(よる)の旅(たび)
005ローマに通(かよ)ふ広道別(ひろみちわけ)の
006貴(うづ)の命(みこと)の宣伝使(せんでんし)
007心(こころ)にかかる故郷(ふるさと)の
008空(そら)振(ふ)り返(かへ)り降(ふ)る雨(あめ)の
009雲路(くもぢ)を別(わけ)の宣伝使(せんでんし)
010東(ひがし)を指(さ)して進(すす)み行(ゆ)く
011血(ち)を吐(は)く思(おも)ひの杜鵑(ほととぎす)
012闇(やみ)で暗(くら)せよ暫(しばら)くは
013やがて三五(さんご)の月(つき)の顔(かほ)
014元照別(もとてるわけ)の司(かみ)の在(ま)す
015ローマの都(みやこ)も近付(ちかづ)きて
016東(あづま)の空(そら)に茜(あかね)さし
017変(かは)る変(かは)ると啼(な)き渡(わた)る
018明(あ)けの烏(からす)の右左(みぎひだり)
019頭上(づじやう)に高(たか)く飛(と)び交(か)ひて
020旅(たび)の疲(つかれ)を労(いたは)るか
021その啼声(なきごゑ)も五月雨(さみだれ)に
022湿(しめ)り勝(がち)なる明(あけ)の空(そら)
023かあいかあいと鳴(な)き渡(わた)る
024今日(けふ)は珍(めづら)し雨雲(あまぐも)の
025帳(とばり)を開(あ)けて天津(あまつ)日(ひ)の
026長閑(のどか)な影(かげ)を地(ち)に投(な)げて
027前途(ぜんと)を照(てら)す如(ごと)くなり
028前途(ゆくて)を照(て)らす日(ひ)の神(かみ)の
029恵(めぐ)みの露(つゆ)に村肝(むらきも)の
030心(こころ)の空(そら)も晴(は)れ渡(わた)る
031渡(わた)る浮世(うきよ)に鬼(おに)は無(な)し
032鬼(おに)や大蛇(をろち)や狼(おほかみ)の
033勢(いきほひ)猛(たけ)く荒(あ)れ狂(くる)ふ
034ローマの空(そら)も久方(ひさかた)の
035天津(あまつ)御神(みかみ)や国津(くにつ)神(かみ)
036撞(つき)の御柱(みはしら)大御神(おほみかみ)
037神(かみ)の御(み)かげを頼(たよ)りとし
038寄(よ)せくる曲(まが)を言向(ことむ)けて
039美(うま)し神世(かみよ)を経緯(たてよこ)の
040綾(あや)と錦(にしき)の機(はた)を織(お)る
041唐紅(からくれなゐ)の紅葉(もみぢば)の
042朝日(あさひ)夕日(ゆふひ)に照(て)り栄(は)ゆる
043色(いろ)にも擬(まが)ふ埴安(はにやす)の
044彦(ひこ)の命(みこと)や埴安(はにやす)の
045姫(ひめ)の命(みこと)の織(お)りませる
046百機(ももはた)千機(ちはた)の御教(みをしへ)は
047天(あま)の河原(かはら)を中(なか)にして
048栲機姫(たくはたひめ)や千々姫(ちぢひめ)の
049心(こころ)も清(きよ)き稚桜姫(わかざくらひめ)の
050神(かみ)の命(みこと)の御心(みこころ)ぞ
051三五(さんご)の月(つき)の御教(みをしへ)を
052残(のこ)る隈(くま)なく天(あめ)が下(した)
053四方(よも)の国々(くにぐに)布(し)いて行(ゆ)く
054心(こころ)の色(いろ)ぞ美(うるは)しき
055心(こころ)の花(はな)ぞ馨(かんば)しき。
056 降(ふ)りみ降(ふ)らずみ雲(くも)に包(つつ)まれたる五月雨(さみだれ)の空(そら)も、057今日(けふ)は珍(めづら)しくも天津(あまつ)日(ひ)の神(かみ)は、058東天(とうてん)に円(まる)き温顔(をんがん)を現(あら)はし、059下界(げかい)に焦熱(いりあつ)き光輝(くわうき)を投(な)げ給(たま)ひける。
060 二(に)人(にん)の宣伝使(せんでんし)は、061ホツと息吐(いきつ)きながら宣伝歌(せんでんか)を謡(うた)ひつつ、062ローマを指(さ)して膝栗毛(ひざくりげ)に鞭(むち)うち進(すす)み行(ゆ)く。063ここはローマの町外(まちはづ)れの二三十(にさんじつ)軒(けん)ばかり小(ちひ)さき家(いへ)の立(た)ち列(なら)ぶ御年村(みとせむら)といふ小村(こむら)なりける。
064 村(むら)の若者(わかもの)五六(ごろく)人(にん)、065路傍(ろばう)に蓑(みの)を敷(し)き腰(こし)うち掛(か)けながら、066雑談(ざつだん)に耽(ふけ)り居(を)る。067田植時(たうゑどき)の最中(さいちう)と見(み)えて、068町外(まちはづ)れの田舎(いなか)の田園(でんえん)には、069蓑笠(みのかさ)の甲冑(かつちう)を取(と)りよろひ、070手覆(ておひ)、071脚絆(きやはん)の小手脛(こてすね)当(あて)、072三々(さんさん)五々(ごご)隊伍(たいご)を整(ととの)へ、073節(ふし)面白(おもしろ)く田歌(たうた)を唄(うた)ひながら、074田植(たうゑ)に余念(よねん)なき有様(ありさま)なり。
075 見渡(みわた)す限(かぎ)り、076牛(うし)や馬(うま)の田(た)を鋤(す)く影(かげ)、077老若(らうにやく)男女(なんによ)の右往(うわう)左往(さわう)に活動(くわつどう)する有様(ありさま)は、078実(じつ)に猫(ねこ)の手(て)も人(ひと)の手(て)といふ農家(のうか)の激戦(げきせん)場裡(ぢやうり)ともいふべき光景(くわうけい)なりける。
079甲(かふ)『アヽ斯(か)うして夜(よる)も昼(ひる)も碌(ろく)に眠(ねむ)ることもできず、080汗水(あせみづ)垂(た)らして働(はたら)いて田(た)は植(う)ゑて居(を)るものの、081また去年(きよねん)のやうに大水(おほみづ)が出(で)て流(なが)されて了(しま)ふのぢやなからうかな。082二(に)年(ねん)も三(さん)年(ねん)もあんなことが続(つづ)いては、083百姓(ひやくしやう)もたまつたものぢやない。084俺(おれ)はそんなこと思(おも)ふと腕(うで)が倦(だる)うなつて、085手(て)に持(も)つ鍬(くは)も、086ほろが泣(な)いて落(お)ちさうだ。087百姓(ひやくしやう)は実業(じつげふ)だなんていふ者(もの)があるけれど、088百姓(ひやくしやう)ぐらゐ当(あて)にならぬものは無(な)いぢやないか。089せつかく暑(あつ)いのに草(くさ)を除(と)り肥料(こやし)を施(や)り、090立派(りつぱ)な稲(いね)ができたと思(おも)へば、091浮塵子(うんか)がわく。092肝腎(かんじん)の収穫時(しうくわくどき)になると、093目的物(もくてきぶつ)の米(こめ)は穫(と)れず藁(わら)ばつかりだ。094本当(ほんたう)に草喜(くさよろこ)びとは此(こ)のことぢやないか。095それも自分(じぶん)の田地(でんち)なら未(ま)だしもだが、096穫(と)つた米(こめ)はみな野槌(のづち)の神(かみ)さまの所(ところ)へ納(をさ)めねばならず、097納(をさ)めた後(のち)は、098後(あと)に残(のこ)るものは藁(わら)と籾(もみ)の滓(かす)ばつかりだ。099アーア火(ひ)を引(ひ)いて灰(はひ)残(のこ)る。100灰(はひ)引(ひ)いて火(ひ)残(のこ)る。101さつぱり勘定(かんぢやう)が合(あ)はぬ。102蚯蚓(みみず)切(き)りの蛙(かへる)飛(と)ばしも厭(いや)になつちまつた、103割(わり)切(き)れたものぢやない。104四捨(ししや)五入(ごにふ)も六七(ろくしち)面倒(めんだう)くさい約(つま)らぬものだ。105ローマの都(みやこ)の奴(やつ)は、106暑(あつ)いの涼(すず)しいのと云(い)ひよつて左団扇(ひだりうちは)を使(つか)つて、107「呑(の)めよ騒(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)は暗(やみ)よ」なんて気楽(きらく)さうに田(た)の中(なか)の蛙(かはづ)のやうに、108ガヤガヤ吐(ぬ)かして一汗(ひとあせ)も絞(しぼ)らずに、109俺(おい)らの作(つく)つた米(こめ)を喰(くら)ひよつて、110米(こめ)が美味(うま)いの味(あぢ)無(な)いの、111あらが高(たか)いの低(ひく)いのと、112小言(こごと)八百(はつぴやく)垂(た)れよつてな。113おまけに垂(た)れた糞(くそ)まで俺(おい)らに掃除(さうぢ)をさせよつて、114土百姓(どんびやくしやう)、115土百姓(どんびやくしやう)と口汚(くちぎたな)く、116口(くち)からごふたくを垂(た)れるのだ。117誰(たれ)だつてこんなこと思(おも)ふと、118本当(ほんたう)にごふが湧(わ)かア。119これが何(なん)ともないやうな奴(やつ)は、120洟(はな)たれの屁古(へこ)たれの、121弱(よわ)たれの馬鹿(ばか)たれの、122ばばたれの……』
123乙(おつ)『オイ、124貴様(きさま)もよく垂(た)れる奴(やつ)ぢやね。125さう小言(こごと)を垂(た)れるものぢやない。126誰(たれ)もみな因縁(いんねん)ぢやと諦(あきら)めて辛抱(しんばう)しとるのぢや。127土百姓(どびやくしやう)が都会(とくわい)の人間(にんげん)になつて、128じつとして、129うまい商売(しやうばい)をして都会(とくわい)の人(ひと)の真似(まね)をしようたつて、130智慧(ちゑ)がないから駄目(だめ)だ。131お玉杓子(たまじやくし)は、132小(ちひ)さいときは鯰(なまづ)に似(に)て居(ゐ)るが、133チーイと日(ひ)が経(た)つて大(おほ)きくなりよると、134手(て)が生(は)え足(あし)が生(は)えて蛙(かへる)になつて了(しま)ふ。135どうしても蛙(かへる)の子(こ)は蛙(かへる)だ。136そんな下(くだ)らぬ馬鹿(ばか)を垂(た)れるより精(せい)出(だ)して、137糞(くそ)でも垂(た)れたが利益(りえき)だよ。138肥料(こえ)になとなるからな。139どうせ貴様(きさま)たちは米(こめ)を糞(くそ)にする製糞器(せいふんき)だ。140人間(にんげん)は米(こめ)を食(く)つては糞(くそ)にし、141糞(くそ)を稲(いね)にやつては米(こめ)を作(つく)り、142その米(こめ)をまた食(く)つては糞(くそ)にし、143糞(くそ)が米(こめ)になつたり、144米(こめ)が糞(くそ)になつたり、145互(たがひ)に因果(いんぐわ)の廻(めぐ)り合(あ)ひの世(よ)の中(なか)だ。146これでも一遍(いつぺん)芝(しば)を被(かぶ)つて出直(でなほ)してくると、147都会(とくわい)の奴(やつ)のやうな結構(けつこう)な生活(くらし)をするやうになるのだ』
148丙(へい)『さうか、149そりや面白(おもしろ)い。150よい事(こと)を聞(き)かして呉(く)れた』
151と言(い)ひながら、152大鍬(おほくは)を握(と)るより早(はや)く路傍(みちばた)の芝草(しばくさ)を起(おこ)して頭(あたま)に被(かぶ)つて、
153丙(へい)『オイ、154芝(しば)を被(かぶ)つて出直(でなほ)してきた。155その後(あと)はどうしたら都会(とくわい)の人(ひと)のやうになるのだ。156教(をし)へてくれぬか』
157乙(おつ)『馬鹿(ばか)、158芝(しば)を被(かぶ)るといふ事(こと)は死(し)ぬといふ事(こと)だ』
159丙(へい)『死(し)ぬのが芝(しば)を被(かぶ)るつて合点(がつてん)が往(ゆ)かぬぢやないか』
160乙(おつ)『マアー、161そんな事(こと)はどうでもよい。162この百姓(ひやくしやう)の忙(いそが)しい、163猫(ねこ)の手(て)も人(ひと)の手(て)といふ時(とき)に雑談(ざつだん)どころじやない。164先(さき)のことは心配(しんぱい)するない。165人間(にんげん)は今日(けふ)の務(つと)めを今日(けふ)すればよい。166明日(あす)の天気(てんき)を雨(あめ)にしようたつて、167日和(ひより)にしようたつて人間(にんげん)様(さま)の自由(じいう)になるものぢやない。168みんな神(かみ)様(さま)の為(な)さるままだ。169この間(あひだ)も三五教(あななひけう)とかの宣伝使(せんでんし)とやらが出(で)てきてな、170百姓(ひやくしやう)を集(あつ)めて六ケ敷(むつかし)い説教(せつけう)をしてゐたよ。171その中(なか)にたつた一言(ひとこと)感心(かんしん)したことがある。172吾々(われわれ)土百姓(どんびやくしやう)はその心(こころ)で無(な)ければ、173今日(けふ)の日(ひ)が務(つと)まらぬ。174流石(さすが)は宣伝使(せんでんし)だ、175偉(えら)いことを言(い)ふよ』
176甲(かふ)『どんな事(こと)を言(い)つたい』
177乙(おつ)『天機(てんき)洩(も)らす可(べか)らず。178また雨(あめ)が降(ふ)ると困(こま)るからな。179早苗饗(さなぶり)休(やす)みに、180ゆつくりと聞(き)かしてやらう』
181甲(かふ)『一口(ひとくち)ぐらゐ今(いま)言(い)つたつて仕事(しごと)の邪魔(じやま)にもならないぢやないか。182一寸先(いつすんさき)の知(し)れぬ弱(よわ)い人間(にんげん)のざまで、183早苗饗(さなぶり)の休(やす)みもあつたものかい。184物(もの)いふ間(あひだ)も無常(むじやう)の風(かぜ)とやらが俺(おい)らの身辺(しんぺん)をつけ狙(ねら)うとるのぢや。185その風(かぜ)が何処(どこ)からともなしに、186スツと吹(ふ)いたが最後(さいご)、187寂滅(じやくめつ)為楽(ゐらく)頓生(とんしよう)菩提(ぼだい)だ。188いちやつかさずに言(い)つてくれ。189後生(ごしやう)のためだ』
190乙(おつ)『ほんなら言(い)うたらう。191俺(おれ)は宣伝使(せんでんし)だぞ』
192甲(かふ)『にはか宣伝使(せんでんし)様(さま)、193蚯蚓(みみず)飛(と)ばしの蛙(かへる)切(き)り、194糞(くそ)垂(た)れのはな垂(た)れ、195頤(あご)ばつかり達者(たつしや)で百姓(ひやくしやう)を嫌(きら)うて一寸(ちよつと)も宣伝使(せんでんし)だ……』
196乙(おつ)『要(い)らぬことを垂(た)れない、197はな垂(た)れ奴(め)。198抑(そもそ)も三五教(あななひけう)の教理(けうり)は皇祖教(くわうそけう)だ』
199甲(かふ)『皇祖教(くわうそけう)つて何(なん)だい、200そんな事(こと)を吐(ぬ)かすと、201それそれ警察(けいさつ)から不礼罪(ぶれいざい)として訴(うつた)へられるぞ』
202乙(おつ)『マア先(さき)まで聞(き)けい。
203 この餓鬼(がき)は蚯蚓(みみず)かあんこか虱(しらみ)か蚤(のみ)か 今日(けふ)も明日(あす)もと糞(くそ)垂(た)れるなり』
204甲(かふ)『馬鹿(ばか)、205何(なに)吐(ぬ)かすのだい。206貴様(きさま)聞(き)き損(そこ)ねよつて、207矢張(やつぱ)り蛙切(かへるき)りの伜(せがれ)は蛙切(かへるき)りだ。208困(こま)つたものだね。209俺(おれ)が云(い)ふてやらう。210ヱヘン。
211 この秋(あき)は水(みづ)か嵐(あらし)か知(し)らねども 今日(けふ)のつとめに田草(たぐさ)とるなり
212明日(あす)の事(こと)はどうでもよい。213今日(けふ)の事(こと)は今日(けふ)せいと宣伝使(せんでんし)が吐(ぬ)かすのだ。214頼(たよ)りない宣伝使(せんでんし)だ。215俺(おれ)はもう厭(いや)になつてしまつた。216アーア、217また一汗(ひとあせ)絞(しぼ)らうかい』
218と甲(かふ)は立(た)ち上(あが)つた。219つづいて四五(しご)の若者(わかもの)も蓑笠(みのかさ)を身(み)に纏(まと)ひ、220水田(みづだ)の中(なか)へバサバサと這入(はい)つて了(しま)つた。
221『神(かみ)が表(おもて)に現(あら)はれて 善(ぜん)と悪(あく)とを立(た)てわける』
222と大声(おほごゑ)に呼(よ)ばはりながら、223二人(ふたり)の宣伝使(せんでんし)が此方(こなた)に向(むか)ひ進(すす)みくる。
224(大正一一・一・二四 旧大正一〇・一二・二七 外山豊二録)
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