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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第6巻(巳の巻)
序歌
松葉の塵
総説
第1篇 山陰の雪
第1章 宇宙太元
第2章 瀑布の涙
第3章 頓智奇珍
第4章 立春到達
第5章 抔盤狼藉
第6章 暗雲消散
第7章 旭光照波
第2篇 常世の波
第8章 春の海面
第9章 埠頭の名残
第10章 四鳥の別れ
第11章 山中の邂逅
第12章 起死回生
第13章 谷間の囁
第14章 黒竜赤竜
第3篇 大峠
第15章 大洪水(一)
第16章 大洪水(二)
第17章 極仁極徳
第18章 天の瓊矛
第4篇 立花の小戸
第19章 祓戸四柱
第20章 善悪不測
第21章 真木柱
第22章 神業無辺
第23章 諸教同根
第24章 富士鳴戸
第5篇 一霊四魂
第25章 金勝要大神
第26章 体五霊五
第27章 神生み
第28章 身変定
第29章 泣沢女
第30章 罔象神
第6篇 百舌鳥の囁
第31章 襤褸の錦
第32章 瓔珞の河越
第33章 五大教
第34章 三大教
第35章 北光開眼
第36章 三五教
第7篇 黄金の玉
第37章 雲掴み
第38章 黄金の宮
第39章 石仏の入水
第40章 琴平橋
第41章 桶伏山
第8篇 五伴緒神
第42章 途上の邂逅
第43章 猫の手
第44章 俄百姓
第45章 大歳神
第46章 若年神
第47章 二王と観音
第48章 鈿女命
第49章 膝栗毛
第50章 大戸惑
余白歌
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霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
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第6巻(巳の巻)
> 第2篇 常世の波 > 第11章 山中の邂逅
<<< 四鳥の別れ
(B)
(N)
起死回生 >>>
第一一章
山中
(
さんちう
)
の
邂逅
(
かいこう
)
〔二六一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻
篇:
第2篇 常世の波
よみ(新仮名遣い):
とこよのなみ
章:
第11章 山中の邂逅
よみ(新仮名遣い):
さんちゅうのかいこう
通し章番号:
261
口述日:
1922(大正11)年01月17日(旧12月20日)
口述場所:
筆録者:
藤松良寛
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年5月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
船で常世の国を去り、長白山を宣伝のため進んでいた春日姫は、毒蛇にかまれて行き倒れてしまった。そこに長白山を宣伝していた春姫が出会い、二人は偶然の出会いに涙した。
久しぶりの邂逅の感慨に浸るまもなく、二人を山賊が取り囲んだ。山賊たちはウラル彦の手下であり、二人が天教山の宣伝使であると知ると、襲いかかろうとした。
しかし春日姫は宣伝歌の言霊で山賊たちを打ち倒し、春姫が指から霊光を放射すると、山賊たちは戦意を失ってしまった。また、そこへ日の出神の宣伝使が現れ、山賊たちは一目散に逃げ出した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-04-11 17:42:33
OBC :
rm0611
愛善世界社版:
68頁
八幡書店版:
第1輯 655頁
修補版:
校定版:
70頁
普及版:
28頁
初版:
ページ備考:
001
樹木
(
じゆもく
)
鬱蒼
(
うつさう
)
として
昼
(
ひる
)
なほ
暗
(
くら
)
き
長白山
(
ちやうはくざん
)
の
大森林
(
だいしんりん
)
を、
002
か
弱
(
よわ
)
き
足
(
あし
)
を
踏
(
ふ
)
み
占
(
し
)
めて、
003
トボトボ
来
(
きた
)
る
手弱女
(
たをやめ
)
の、
004
優美
(
やさ
)
しき
姿
(
すがた
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
005
叢
(
くさむら
)
わけて
進
(
すす
)
みつつ、
006
春日姫
『キヤツ』
007
と
一声
(
ひとこゑ
)
、
008
その
場
(
ば
)
に
打
(
う
)
ち
仆
(
たふ
)
れたり。
009
よくよく
見
(
み
)
れば
無残
(
むざん
)
や、
010
足
(
あし
)
は
毒蛇
(
どくじや
)
に
咬
(
か
)
まれて
痛
(
いた
)
み、
011
一足
(
ひとあし
)
も
歩
(
あゆ
)
みならねば、
012
岩角
(
いはかど
)
に
腰
(
こし
)
うち
掛
(
か
)
けて、
013
眼
(
まなこ
)
を
閉
(
と
)
ぢ、
014
唇
(
くちびる
)
を
固
(
かた
)
く
結
(
むす
)
びながら、
015
その
苦痛
(
くつう
)
に
耐
(
た
)
へず、
016
呼吸
(
いき
)
も
苦
(
くる
)
しき
忍
(
しの
)
び
泣
(
な
)
き、
017
呼
(
よ
)
べど
叫
(
さけ
)
べど
四辺
(
あたり
)
には、
018
ただ
一人
(
ひとり
)
の
影
(
かげ
)
も
無
(
な
)
く、
019
痛
(
いた
)
みはますます
激
(
はげ
)
しく、
020
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
も
今
(
いま
)
に
絶
(
た
)
えなむとする
折
(
をり
)
からに、
021
はるか
向
(
むか
)
うの
方
(
はう
)
より、
022
優美
(
やさ
)
しき
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
として、
023
春姫
『
時鳥
(
ほととぎす
)
声
(
こゑ
)
は
聞
(
き
)
けども
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
せぬ
024
姿
(
すがた
)
隠
(
かく
)
して
山奥
(
やまおく
)
の
025
叢
(
くさむら
)
分
(
わ
)
けてただ
一柱
(
ひとり
)
026
天教山
(
てんけうざん
)
の
御
(
ご
)
神示
(
しんじ
)
を
027
山
(
やま
)
の
尾
(
を
)
の
上
(
へ
)
や
川
(
かは
)
の
瀬
(
せ
)
に
028
塞
(
さや
)
る
魔神
(
まがみ
)
に
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
し
029
やうやう
此処
(
ここ
)
に
長白
(
ちやうはく
)
の
030
山路
(
やまぢ
)
を
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
来
(
き
)
ぬ』
031
心
(
こころ
)
も
赤
(
あか
)
き
春姫
(
はるひめ
)
の、
032
春
(
はる
)
の
弥生
(
やよひ
)
の
花
(
はな
)
の
顔
(
かんばせ
)
、
033
遺憾
(
ゐかん
)
なく
表白
(
あらは
)
して、
034
ここに
現
(
あら
)
はれ
来
(
き
)
たり。
035
近傍
(
かたへ
)
の
岩石
(
いは
)
に
腰打掛
(
こしうちか
)
けて
苦
(
くる
)
しみ
悶
(
もだ
)
えつつある
一柱
(
ひとり
)
の
女人
(
によにん
)
のあるに
驚
(
おどろ
)
き、
036
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
一切
(
いつさい
)
の
神人
(
しんじん
)
を
救
(
すく
)
ふは、
037
宣伝使
(
せんでんし
)
の
聖
(
きよ
)
き
貴
(
たふと
)
き
天職
(
てんしよく
)
と、
038
女人
(
によにん
)
の
側
(
そば
)
にかけ
寄
(
よ
)
りて、
039
背
(
せな
)
なでさすり
労
(
いたは
)
りつつ、
040
介抱
(
かいほう
)
に
余念
(
よねん
)
なかりける。
041
女人
(
によにん
)
はやや
苦痛
(
くつう
)
軽減
(
けいげん
)
したりと
見
(
み
)
え、
042
やうやうに
面
(
おもて
)
を
上
(
あ
)
げ、
043
春日姫
『いづこの
御
(
お
)
方
(
かた
)
か
知
(
し
)
らねども、
044
吾身
(
わがみ
)
は
女
(
をんな
)
の
独旅
(
ひとりたび
)
、
045
草
(
くさ
)
分
(
わ
)
け
進
(
すす
)
む
折
(
をり
)
からに、
046
名
(
な
)
も
恐
(
おそ
)
ろしき
毒蛇
(
どくじや
)
に
咬
(
か
)
まれて、
047
か
弱
(
よわ
)
き
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
のいかんともする
術
(
すべ
)
もなき
折
(
をり
)
からに、
048
思
(
おも
)
ひがけなき
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
、
049
いかなる
神
(
かみ
)
の
御救
(
みすく
)
ひか、
050
辱
(
かたじけ
)
なし』
051
と
眺
(
なが
)
むれば、
052
豈
(
あに
)
はからむや、
053
モスコーの
城中
(
じやうちう
)
において、
054
忠実
(
まめまめ
)
しく
仕
(
つか
)
へたる
春姫
(
はるひめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
なりける。
055
春日姫
(
かすがひめ
)
『ヤア
汝
(
そなた
)
は
春姫
(
はるひめ
)
か』
056
春姫
(
はるひめ
)
『ヤア
貴下
(
あなた
)
は
春日姫
(
かすがひめ
)
にましませしか。
057
思
(
おも
)
はぬ
処
(
ところ
)
にて
御
(
ご
)
拝顔
(
はいがん
)
、
058
かかる
草深
(
くさぶか
)
き
山中
(
さんちゆう
)
にてめぐり
会
(
あ
)
ふも
仁慈
(
じんじ
)
深
(
ふか
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
お
)
引合
(
ひきあは
)
せ、
059
アヽ
有難
(
ありがた
)
や、
060
勿体
(
もつたい
)
なや』
061
と、
062
前後
(
ぜんご
)
を
忘
(
わす
)
れ
互
(
たがひ
)
に
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
執
(
と
)
り
交
(
かは
)
し、
063
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
は
夕立
(
ゆふだち
)
の、
064
雨
(
あめ
)
にも
擬
(
まが
)
ふ
許
(
ばか
)
りなりき。
065
かかる
処
(
ところ
)
に、
066
一柱
(
ひとはしら
)
の
荒々
(
あらあら
)
しき
男
(
をとこ
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
067
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るより
早
(
はや
)
く、
068
一目散
(
いちもくさん
)
に
後振
(
あとふ
)
り
返
(
かへ
)
り
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
り、
069
彼方
(
あなた
)
の
森林
(
しんりん
)
めがけて
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
したるが、
070
漸時
(
しばらく
)
ありて、
071
以前
(
いぜん
)
の
曲男
(
まがびと
)
は、
072
四五
(
しご
)
の
怪
(
あや
)
しき
男
(
をとこ
)
と
共
(
とも
)
にこの
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれた。
073
甲
(
かふ
)
『ヤア
居
(
を
)
る
居
(
を
)
る。
074
素的
(
すてき
)
滅法界
(
めつぱふかい
)
な
美
(
うつく
)
しい
女
(
をんな
)
が、
075
しかも
両個
(
りやんこ
)
だ』
076
乙
(
おつ
)
『
本当
(
ほん
)
に
本当
(
ほん
)
に、
077
黒熊
(
くろくま
)
の
言
(
い
)
つたやうな
天女
(
てんによ
)
の
天降
(
あまくだ
)
りだよ。
078
別嬪
(
べつぴん
)
だなア、
079
こいつは
素敵
(
すてき
)
だ。
080
しかし
男
(
をとこ
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
に
女
(
をんな
)
二人
(
ふたり
)
とは、
081
チト
勘定
(
かんぢやう
)
が
合
(
あ
)
はぬぢやないか』
082
甲
(
かふ
)
『そりや
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
ふのだい。
083
自分
(
じぶん
)
の
女房
(
にようばう
)
か
何
(
なん
)
ぞの
様
(
やう
)
に、
084
四
(
よ
)
人
(
にん
)
に
二人
(
ふたり
)
もあつたものかい。
085
女
(
をんな
)
さへ
見
(
み
)
ると
直
(
すぐ
)
に
眼尻
(
めじり
)
を
下
(
さ
)
げよつて、
086
オイ
涎
(
よだれ
)
を
落
(
おと
)
すない』
087
乙
(
おつ
)
は
周章
(
あわ
)
てて
涎
(
よだれ
)
を
手繰
(
たぐ
)
る。
088
甲
(
かふ
)
『
貴様
(
きさま
)
のその
面
(
つら
)
は
何
(
なん
)
だい、
089
杓子
(
しやくし
)
に
眼
(
め
)
鼻
(
はな
)
をあしらつた
如
(
や
)
うな
面構
(
つらがま
)
へで、
090
女
(
をんな
)
が
居
(
を
)
るの
居
(
を
)
らぬのと、
091
それこそ
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
らア。
092
何程
(
なんぼ
)
女
(
をんな
)
が
癪気
(
しやくけ
)
で
苦
(
くるし
)
みて
居
(
を
)
つたつて、
093
御
(
お
)
前
(
まへ
)
のやうな
杓子面
(
しやくしづら
)
に
助
(
たす
)
けてくれと
言
(
い
)
ひはしないよ。
094
左様
(
さやう
)
なことは
置
(
お
)
け
置
(
お
)
け、
095
薩張
(
さつぱ
)
り
杓子
(
しやくし
)
だ』
096
乙
(
おつ
)
は
烈火
(
れつくわ
)
のごとく
怒
(
いか
)
りて、
097
狸
(
たぬき
)
の
如
(
や
)
うな
眼
(
め
)
をむき、
098
息
(
いき
)
をはづませる。
099
丙
(
へい
)
『アツハヽヽヽヽ
杓子狸
(
しやくしだぬき
)
の
橡麺棒
(
とちめんぼう
)
、
100
黒
(
くろ
)
い
眼玉
(
めだま
)
を
椋鳥
(
むくどり
)
、
101
鵯
(
ひよどり
)
、
102
阿呆鳥
(
あはうどり
)
、
103
阿呆
(
あはう
)
にくつつける
薬
(
くすり
)
は
無
(
な
)
いわい』
104
丁
(
てい
)
『オーオー、
105
その
薬
(
くすり
)
で
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
した。
106
俺
(
おれ
)
は
今
(
いま
)
癪
(
しやく
)
の
薬
(
くすり
)
を
所持
(
しよぢ
)
して
居
(
ゐ
)
るのだ。
107
これをあの
女人
(
によにん
)
様
(
さま
)
に
献上
(
けんじやう
)
しようか』
108
甲
(
かふ
)
『
貴様
(
きさま
)
は
女
(
をんな
)
に
甘
(
あま
)
い
奴
(
やつ
)
だ、
109
なぜ
左様
(
そんな
)
に
女
(
をんな
)
と
見
(
み
)
たら
涙
(
なみだ
)
脆
(
もろ
)
いのだ。
110
貴様
(
きさま
)
のやうな
仏掌薯
(
つくねいも
)
のやうな
面
(
つら
)
つきで、
111
なんぼ
女神
(
めがみ
)
様
(
さま
)
の
歓心
(
くわんしん
)
を
買
(
かは
)
うと
思
(
おも
)
つて
追従
(
つゐしやう
)
たらたらやつて
見
(
み
)
ても
駄目
(
だめ
)
だよ。
112
肱鉄砲
(
ひぢてつぱう
)
の
一
(
ひと
)
つも
喰
(
く
)
つたら、
113
それこそよい
恥
(
はぢ
)
さらしの
面
(
つら
)
の
皮
(
かは
)
だよ』
114
丁
(
てい
)
『
面
(
つら
)
の
皮
(
かは
)
でも
何
(
なん
)
でも
放
(
ほ
)
つとけ。
115
俺
(
おれ
)
がこの
薬
(
くすり
)
を
飲
(
の
)
ましたら、
116
それこそ
女人
(
によにん
)
は
全快
(
ぜんくわい
)
してニコニコと
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
し、
117
あの
優美
(
やさ
)
しい
唇
(
くちびる
)
から、
118
雪
(
ゆき
)
のやうな
歯
(
は
)
を
出
(
だ
)
して「
何処
(
どこ
)
のどなたか
知
(
し
)
らねども、
119
この
山中
(
さんちう
)
に
苦
(
くる
)
しみ
迷
(
まよ
)
ふ
女人
(
によにん
)
の
身
(
み
)
、
120
この
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
は、
121
いつの
世
(
よ
)
にか
忘
(
わす
)
れませう。
122
アヽ
嬉
(
うれ
)
しや、
123
おなつかしや」と
言
(
い
)
つて、
124
白
(
しろ
)
い
腕
(
かひな
)
をヌツと
出
(
だ
)
して、
125
離
(
はな
)
しはせぬと
来
(
く
)
るのだ。
126
そこで
俺
(
おれ
)
は「コレハコレハ
心得
(
こころえ
)
ぬ
貴
(
たつと
)
き
女人
(
によにん
)
のあなた
様
(
さま
)
、
127
荒
(
あら
)
くれ
男
(
をとこ
)
の
仏掌薯
(
つくねいも
)
のやうな
吾々
(
われわれ
)
にむかつて、
128
抱
(
だ
)
き
附
(
つ
)
きたまふは
如何
(
いかが
)
の
儀
(
ぎ
)
で
御座
(
ござ
)
る」と
かます
のだ。
129
すると
女人
(
によにん
)
の
奴
(
やつ
)
、
130
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
の
朝日
(
あさひ
)
に
匂
(
にほ
)
ふやうな
顔
(
かほ
)
をしやがつて「いえいえ
仮令
(
たとへ
)
御
(
お
)
顔
(
かほ
)
は
つくねいも
でも
生命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
のあなた
様
(
さま
)
、
131
どうぞ
私
(
わたくし
)
を
可愛
(
かあい
)
がつてね、
132
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
も
万
(
まん
)
年
(
ねん
)
も」と
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るのだ』
133
甲
(
かふ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
ツ』
134
と
大喝
(
だいかつ
)
する。
135
丁
(
てい
)
『
馬鹿
(
ばか
)
ツて
何
(
なん
)
だい、
136
美
(
うつく
)
しい
女
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
に
見惚
(
みと
)
れよつて、
137
顔
(
かほ
)
の
紐
(
ひも
)
まで
解
(
と
)
き、
138
貴様
(
きさま
)
の
篦作
(
べらさく
)
眉毛
(
まゆげ
)
を、
139
いやが
上
(
うへ
)
にも
下
(
さ
)
げて、
140
章魚
(
たこ
)
のやうな
禿頭
(
はげあたま
)
を
見
(
み
)
せたとて、
141
いかな
物好
(
ものず
)
きな
女人
(
によにん
)
でも、
142
そんな
土瓶
(
どびん
)
章魚
(
たこ
)
禿
(
はげ
)
には
一瞥
(
いちべつ
)
もしてくれないぞ、
143
あんまり
悋気
(
りんき
)
をするない、
144
チト
貴様
(
きさま
)
の
面相
(
つら
)
と
相談
(
さうだん
)
したがよい、
145
馬鹿
(
ばか
)
々々
(
ばか
)
しいワ』
146
とやり
返
(
かへ
)
せば、
147
丙
(
へい
)
『オイ
黒熊
(
くろくま
)
、
148
貴様
(
きさま
)
は
結構
(
けつこう
)
な
獲物
(
えもの
)
が
有
(
あ
)
るなンて、
149
慌
(
あわただ
)
しく
俺
(
おれ
)
らの
前
(
まへ
)
に
飛
(
と
)
ンで
来
(
き
)
よつて、
150
御
(
ご
)
注進
(
ちうしん
)
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げたが、
151
一体
(
いつたい
)
この
女人
(
によにん
)
は
何
(
なん
)
だと
思
(
おも
)
ふ、
152
恐
(
おそ
)
ろしい
宣伝使
(
せんでんし
)
ではないか。
153
若
(
も
)
しも
此女
(
こいつ
)
らの
病気
(
びやうき
)
でも
全快
(
ぜんくわい
)
して
見
(
み
)
ろ、
154
又
(
また
)
もや
頭
(
あたま
)
の
痛
(
いた
)
む、
155
胸
(
むね
)
の
苦
(
くる
)
しい「
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
」とか「
時鳥
(
ほととぎす
)
」とか、
156
「
照
(
て
)
る」とか「
曇
(
くも
)
る」とか
吐
(
ぬか
)
す
奴
(
やつ
)
だぞ。
157
貴様
(
きさま
)
は
明盲者
(
あきめくら
)
だな、
158
こんな
被面布
(
ひめんぷ
)
を
被
(
かぶ
)
つてをる
奴
(
やつ
)
は
俺
(
おい
)
らの
敵
(
かたき
)
だ。
159
こンな
奴
(
やつ
)
を
助
(
たす
)
けてやらうものなら、
160
アーメニヤのウラル
彦様
(
ひこさま
)
に、
161
どんな
罰
(
ばつ
)
を
与
(
あた
)
へられるか
知
(
し
)
れやしないぞ。
162
いつそ
のこと
皆
(
みな
)
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて、
163
叩
(
たた
)
きのばしてウラル
彦様
(
ひこさま
)
の
御
(
ご
)
褒美
(
ほうび
)
にあづからうではないか』
164
一同
(
いちどう
)
『それが
宜
(
よ
)
からう、
165
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い』
166
と
目配
(
めくば
)
せしながら、
167
四方
(
しはう
)
より
棒千切
(
ばうちぎれ
)
を
持
(
も
)
つて
攻
(
せ
)
めかくれば、
168
春姫
(
はるひめ
)
は
涼
(
すず
)
しき
声
(
こゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて、
169
春姫
『
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
170
と
唱
(
とな
)
へ、
171
かつ、
172
春姫
『
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
』
173
と
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
したるにぞ、
174
一同
(
いちどう
)
は
頭
(
あたま
)
をかかへ、
175
大地
(
だいち
)
に
跼蹐
(
しやが
)
みける。
176
春姫
(
はるひめ
)
は、
177
右
(
みぎ
)
の
人差指
(
ひとさしゆび
)
を
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
頭上
(
づじやう
)
めがけてさし
向
(
む
)
けたるに、
178
指頭
(
しとう
)
よりは
五色
(
ごしき
)
の
霊光
(
れいくわう
)
放射
(
はうしや
)
して、
179
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
全身
(
ぜんしん
)
を
射徹
(
いとほ
)
したり。
180
一同
(
いちどう
)
は、
181
一同
『
赦
(
ゆる
)
せ
赦
(
ゆる
)
せ』
182
と
声
(
こゑ
)
を
立
(
た
)
て、
183
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ
哀願
(
あいぐわん
)
するのみ。
184
このとき
又
(
また
)
もや
山奥
(
やまおく
)
より、
185
日の出の守
『
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
』
186
と
歌
(
うた
)
ふ
声
(
こゑ
)
、
187
木精
(
こだま
)
を
響
(
ひび
)
かせながら、
188
雲
(
くも
)
つくばかりの
男
(
をとこ
)
が
現
(
あら
)
はれたり。
189
これぞ
大道別
(
おほみちわけ
)
のなれの
果
(
はて
)
、
190
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
守
(
かみ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
なりける。
191
黒熊
(
くろくま
)
以下
(
いか
)
の
魔人
(
まがびと
)
は
男神
(
をがみ
)
の
出現
(
しゆつげん
)
に
膽
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
して、
192
転
(
こ
)
けつ
輾
(
まろ
)
びつ、
193
蜘蛛
(
くも
)
の
子
(
こ
)
を
散
(
ち
)
らすがごとく
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りぬ。
194
後
(
あと
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
顔
(
かほ
)
見合
(
みあ
)
はせて、
195
うれし
涙
(
なみだ
)
に
袖
(
そで
)
を
絞
(
しぼ
)
るのみなりき。
196
(
大正一一・一・一七
旧大正一〇・一二・二〇
藤松良寛
録)
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