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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第6巻(巳の巻)
序歌
松葉の塵
総説
第1篇 山陰の雪
第1章 宇宙太元
第2章 瀑布の涙
第3章 頓智奇珍
第4章 立春到達
第5章 抔盤狼藉
第6章 暗雲消散
第7章 旭光照波
第2篇 常世の波
第8章 春の海面
第9章 埠頭の名残
第10章 四鳥の別れ
第11章 山中の邂逅
第12章 起死回生
第13章 谷間の囁
第14章 黒竜赤竜
第3篇 大峠
第15章 大洪水(一)
第16章 大洪水(二)
第17章 極仁極徳
第18章 天の瓊矛
第4篇 立花の小戸
第19章 祓戸四柱
第20章 善悪不測
第21章 真木柱
第22章 神業無辺
第23章 諸教同根
第24章 富士鳴戸
第5篇 一霊四魂
第25章 金勝要大神
第26章 体五霊五
第27章 神生み
第28章 身変定
第29章 泣沢女
第30章 罔象神
第6篇 百舌鳥の囁
第31章 襤褸の錦
第32章 瓔珞の河越
第33章 五大教
第34章 三大教
第35章 北光開眼
第36章 三五教
第7篇 黄金の玉
第37章 雲掴み
第38章 黄金の宮
第39章 石仏の入水
第40章 琴平橋
第41章 桶伏山
第8篇 五伴緒神
第42章 途上の邂逅
第43章 猫の手
第44章 俄百姓
第45章 大歳神
第46章 若年神
第47章 二王と観音
第48章 鈿女命
第49章 膝栗毛
第50章 大戸惑
余白歌
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<<< 黄金の宮
(B)
(N)
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第三九章
石仏
(
いしぼとけ
)
の
入水
(
にゆうすゐ
)
〔二八九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻
篇:
第7篇 黄金の玉
よみ(新仮名遣い):
おうごんのたま
章:
第39章 石仏の入水
よみ(新仮名遣い):
いしぼとけのにゅうすい
通し章番号:
289
口述日:
1922(大正11)年01月23日(旧12月26日)
口述場所:
筆録者:
井上留五郎
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年5月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
青雲山から流れ出る四恩河は雨水増して、架橋中の橋がまたしても流されてしまい、四恩郷の人々は交通に困っていた。
人夫たちは、年に何度も四恩河の橋が流されてしまう事態を嘆いていた。また、ウラル彦が黄金の玉を取りに来るため、四恩河の架橋を急いで行うように命じられていたのである。
人夫の一人は、黄金の玉がアーメニヤに取られることを神様が嘆いて、こんなに雨が降って橋が流されるのだ、と悲しそうに行った。
人夫の戊は、皆が沈んでいる中、どうしたら橋を架けられようか、と歌いながら陽気に踊り出した。人夫の甲は、戊の能天気さに腹立ち、戊を河に突き落とした。しかし戊は増水の河水の中を平気で泳ぎ回り、岸に上がると、今度は甲を河に突き落とした。
甲はおぼれて沈んでしまったが、戊が飛び込んで救い上げた。と見る間に、戊は大きな亀となって河の中に姿を隠してしまった。果たしてこの亀は何神の化身であろうか。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-04-24 18:21:05
OBC :
rm0639
愛善世界社版:
236頁
八幡書店版:
第1輯 711頁
修補版:
校定版:
236頁
普及版:
99頁
初版:
ページ備考:
001
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
は
黒雲
(
くろくも
)
の、
002
いや
塞
(
ふさ
)
がりて
降
(
ふ
)
り
続
(
つづ
)
く、
003
雨
(
あめ
)
に
水量
(
みづかさ
)
増
(
まさ
)
り
行
(
ゆ
)
く、
004
四恩
(
しおん
)
の
河
(
かは
)
の
架橋
(
かけはし
)
は、
005
押
(
お
)
し
流
(
なが
)
されて
四恩郷
(
しおんきやう
)
、
006
往来
(
ゆきき
)
途絶
(
とだ
)
えし
苦
(
くる
)
しさに、
007
この
郷
(
さと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
寅若
(
とらわか
)
は、
008
数多
(
あまた
)
の
郷人
(
さとびと
)
を
引
(
ひ
)
き
具
(
ぐ
)
して、
009
晴
(
は
)
れたる
空
(
そら
)
の
星
(
ほし
)
のごと、
010
数多
(
あまた
)
の
人夫
(
にんぷ
)
を
駆
(
か
)
り
集
(
あつ
)
め、
011
今
(
いま
)
や
架橋
(
かけう
)
の
真最中
(
まつさいちう
)
なり。
012
青雲山
(
せいうんざん
)
より
落
(
お
)
ち
注
(
そそ
)
ぐ
百谷
(
ももたに
)
千谷
(
ちたに
)
の
一処
(
ひととこ
)
に
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
る
水音
(
みなおと
)
は、
013
百千万
(
ひやくせんまん
)
の
獅子
(
しし
)
虎
(
とら
)
の、
014
声
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
一時
(
ひととき
)
に、
015
咆哮
(
はうかう
)
怒号
(
どがう
)
せるにもいや
勝
(
まさ
)
り、
016
その
凄
(
すさま
)
じさ
譬
(
たと
)
ふるにものなかりける。
017
酋長
(
しうちやう
)
の
指揮
(
しき
)
に
従
(
したが
)
つて、
018
数多
(
あまた
)
の
人夫
(
にんぷ
)
は
真裸体
(
まつぱだか
)
となり、
019
河中
(
かちう
)
に
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
み、
020
彼処
(
をち
)
此処
(
こち
)
の
山
(
やま
)
より
数多
(
あまた
)
の
木
(
き
)
を
伐
(
き
)
り
運
(
はこ
)
び
来
(
きた
)
つて、
021
架橋
(
かけう
)
に
余念
(
よねん
)
なく
従事
(
じうじ
)
し
居
(
ゐ
)
たりき。
022
酋長
(
しうちやう
)
は
人夫
(
にんぷ
)
の
頭目
(
かしら
)
に
何事
(
なにごと
)
か
命令
(
めいれい
)
を
伝
(
つた
)
へ、
023
吾家
(
わがや
)
に
帰
(
かへ
)
り
去
(
さ
)
りぬ。
024
人夫
(
にんぷ
)
の
中
(
なか
)
より
優
(
すぐ
)
れて
骨格
(
こつかく
)
の
逞
(
たくま
)
しい、
025
身長
(
せい
)
の
高
(
たか
)
い
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
い、
026
大兵
(
たいひやう
)
肥満
(
ひまん
)
の
男
(
をとこ
)
は
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
027
『オイ
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
、
028
一服
(
いつぷく
)
しようではないか』
029
といふにぞ、
030
何
(
いづ
)
れもこの
一言
(
いちごん
)
に
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
うて
河
(
かは
)
の
堤
(
どて
)
に
寄
(
よ
)
り
集
(
あつ
)
まり、
031
草
(
くさ
)
の
葉
(
は
)
を
煙草
(
たばこ
)
に
代
(
か
)
へながら、
032
スパスパと
紫
(
むらさき
)
の
煙
(
けむり
)
をたて
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
る。
033
甲
(
かふ
)
『
一体
(
いつたい
)
全体
(
ぜんたい
)
この
橋
(
はし
)
はよう
落
(
お
)
ちるぢやないか。
034
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
に
少
(
すくな
)
くて
二度
(
にど
)
、
035
多
(
おほ
)
くて
五六度
(
ごろくど
)
落橋
(
らくけう
)
すると
云
(
い
)
ふのだから、
036
吾々
(
われわれ
)
四恩郷
(
しおんきやう
)
の
人間
(
にんげん
)
はほんとに
迷惑
(
めいわく
)
な、
037
四恩河
(
しおんがは
)
なンて
恩
(
おん
)
も
糞
(
くそ
)
もあつたものぢやない。
038
至難河
(
しなんがは
)
だ』
039
乙
(
おつ
)
『
死
(
し
)
なぬ
河
(
かは
)
なら
長命
(
ながいき
)
して
善
(
い
)
いぢやないか』
040
甲
(
かふ
)
『
貴様
(
きさま
)
は
訳
(
わけ
)
の
判
(
わか
)
らぬ
奴
(
やつ
)
だな。
041
この
橋
(
はし
)
見
(
み
)
い、
042
長命
(
ながいき
)
どころか
二月
(
ふたつき
)
か
三月
(
みつき
)
に
一遍
(
いつぺん
)
づつ
死
(
し
)
ぬぢやないか。
043
四恩河
(
しおんがは
)
なンてほんとうに
善
(
い
)
い
面
(
つら
)
の
河
(
かは
)
だ。
044
神
(
かみ
)
さまもチツと
気
(
き
)
を
利
(
き
)
かしさうなものだねー』
045
乙
(
おつ
)
『
変
(
かは
)
れば
変
(
かは
)
る
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
といふぢやないか。
046
今度
(
こんど
)
の
雨
(
あめ
)
で、
047
昨日
(
きのふ
)
や
今日
(
けふ
)
の
飛鳥川
(
あすかがは
)
、
048
淵瀬
(
ふちせ
)
と
変
(
かは
)
る
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に、
049
変
(
かは
)
らぬものは
恋
(
こひ
)
の
道
(
みち
)
』
050
甲
(
かふ
)
『ソラー
何
(
なに
)
吐
(
ぬ
)
かす。
051
とぼけるない。
052
歌々
(
うたうた
)
と
歌
(
うた
)
どころの
騒
(
さわ
)
ぎぢやない。
053
この
橋
(
はし
)
を
十日間
(
とをかかん
)
に
架
(
か
)
けて
了
(
しま
)
はなくつちや、
054
吾妻彦
(
あづまひこの
)
命
(
みこと
)
[
※
校正本では「吾妻別命」
]
から
又
(
また
)
どえらいお
目玉
(
めだま
)
だぞ』
055
丙
(
へい
)
『そんな
無茶
(
むちや
)
な
事
(
こと
)
云
(
い
)
つたつて
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
いぢやないか。
056
この
泥水
(
どろみづ
)
に
何
(
ど
)
うして
斯
(
こ
)
んな
長
(
なが
)
い
橋
(
はし
)
が
十日
(
とをか
)
やそこらに
架
(
か
)
かつてたまるものか』
057
乙
(
おつ
)
『たまつても、
058
たまらいでも
仕方
(
しかた
)
がない。
059
毎日
(
まいにち
)
掛
(
かか
)
つて
居
(
を
)
るのだい。
060
吾々
(
われわれ
)
は
雨
(
あめ
)
の
神
(
かみ
)
とやらに
橋
(
はし
)
を
落
(
おと
)
されて、
061
はしなく
もこの
苦労
(
くらう
)
だ』
062
丙
(
へい
)
『
洒落
(
しやれ
)
どころぢやないわい。
063
今
(
いま
)
酋長
(
しうちやう
)
が
言
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
たよ。
064
アーメニヤのウラル
彦神
(
ひこのかみ
)
[
※
校正本では「ウルル彦神」
]
が
青雲山
(
せいうんざん
)
へお
出
(
いで
)
になるのだて。
065
それでそれ
迄
(
まで
)
に
架
(
か
)
けて
置
(
お
)
かぬと、
066
どえらいお
目玉
(
めだま
)
ぢやと
聞
(
き
)
いた。
067
俺
(
おい
)
等
(
ら
)
は
夜昼
(
よるひる
)
なしに、
068
たとへ
歪
(
ゆが
)
みなりにでもこの
橋
(
はし
)
架
(
か
)
けて
了
(
しま
)
はなくちや、
069
酋長
(
しうちやう
)
に
申
(
まを
)
し
訳
(
わけ
)
がないわい』
070
乙
(
おつ
)
『なんと、
071
アーメニヤがウラル
彦
(
ひこ
)
つて、
072
何
(
な
)
んだい。
073
毎日
(
まいにち
)
日
(
ひ
)
にち
アメ
ニヤが
ふられ
彦
(
ひこ
)
で
橋
(
はし
)
まで
落
(
おと
)
されて
俺
(
おい
)
等
(
ら
)
の
迷惑
(
めいわく
)
。
074
アーメニヤが
ふられ
とか、
075
ふる
とかが
橋
(
はし
)
を
渡
(
わた
)
るなんて、
076
一体
(
いつたい
)
訳
(
わけ
)
が
判
(
わか
)
らぬぢやないかい』
077
甲
(
かふ
)
『
判
(
わか
)
らぬ
奴
(
やつ
)
だ。
078
黙
(
だま
)
つて
居
(
を
)
れ、
079
貴様
(
きさま
)
のやうな
奴
(
やつ
)
あ、
080
雨
(
あめ
)
でも
噛
(
か
)
んで
死
(
し
)
んだらよからう』
081
乙
(
おつ
)
『
死
(
し
)
ねと
云
(
い
)
つたつて、
082
貴様
(
きさま
)
最前
(
さいぜん
)
死
(
し
)
なぬ
河
(
かは
)
つて
吐
(
ぬ
)
かしたらう。
083
雨
(
あめ
)
でも
噛
(
か
)
んで
死
(
し
)
ねなんて
貴様
(
きさま
)
こそ
判
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふぢやないか』
084
丁
(
てい
)
『
実際
(
じつさい
)
の
事
(
こと
)
あ、
085
こちら
様
(
さま
)
がよく
御存
(
ごぞん
)
じぢや。
086
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
一同
(
いちどう
)
は
謹聴
(
きんちやう
)
して、
087
吾々
(
われわれ
)
の
御
(
ご
)
託宣
(
たくせん
)
を
承
(
うけたまは
)
れ』
088
乙
(
おつ
)
『イヨー、
089
大
(
おほ
)
きく
出
(
で
)
やがつたぞ』
090
丁
(
てい
)
『
大
(
おほ
)
きいも
小
(
ちひ
)
さいもあるかい。
091
この
毎日
(
まいにち
)
日
(
ひ
)
にち
雨
(
あめ
)
の
降
(
ふ
)
るのは、
092
青雲山
(
せいうんざん
)
の
御
(
お
)
宝
(
たから
)
の
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
とやらをウラル
彦神
(
ひこのかみ
)
が
持
(
も
)
つて
去
(
い
)
ぬと
云
(
い
)
ふので、
093
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
嘆
(
なげ
)
いて
毎日
(
まいにち
)
涙
(
なみだ
)
をこぼさつしやるのだ。
094
それで
涙
(
なみだ
)
の
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
るのだ。
095
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
になつたものだ。
096
昔
(
むかし
)
神澄彦
(
かむずみひこの
)
天使
(
かみ
)
さまが
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
あつた
時
(
とき
)
は
天気
(
てんき
)
も
好
(
よ
)
かつたなり、
097
何時
(
いつ
)
も
青雲山
(
せいうんざん
)
は
青雲
(
あをくも
)
の
中
(
なか
)
まで
抜
(
ぬ
)
き
出
(
で
)
て
立派
(
りつぱ
)
な
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はし、
098
山
(
やま
)
の
頂
(
いただき
)
からは
玉
(
たま
)
の
威徳
(
ゐとく
)
によつて
紫
(
むらさき
)
の
雲
(
くも
)
が
靉靆
(
たなび
)
き、
099
河
(
かは
)
の
水
(
みづ
)
は
清
(
きよ
)
く
美
(
うつく
)
しく、
100
果物
(
くだもの
)
は
実
(
みの
)
り、
101
羊
(
ひつじ
)
はよく
育
(
そだ
)
ち、
102
ほんたうに
天下
(
てんか
)
泰平
(
たいへい
)
であつたが、
103
アーメニヤのウラル
彦神
(
ひこのかみ
)
が、
104
青雲山
(
せいうんざん
)
に
手
(
て
)
を
付
(
つ
)
けてからと
云
(
い
)
ふものは、
105
ろく
にお
天道
(
てんだう
)
さまも
拝
(
をが
)
めた
事
(
こと
)
はなく、
106
毎日
(
まいにち
)
々々
(
まいにち
)
、
107
ザアザアザアと
雨
(
あめ
)
が
土砂降
(
どしやぶ
)
りに
降
(
ふ
)
るなり、
108
羊
(
ひつじ
)
は
雨気
(
あまけ
)
の
草
(
くさ
)
を
食
(
く
)
うて
病
(
やまひ
)
を
起
(
おこ
)
して
ころつ
、
109
ころつ
と
息盡
(
いきつく
)
なり、
110
五日
(
いつか
)
の
風
(
かぜ
)
十日
(
とをか
)
の
雨
(
あめ
)
は
昔
(
むかし
)
の
夢
(
ゆめ
)
となり、
111
こんな
詰
(
つま
)
らぬ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
有
(
あ
)
りやしない。
112
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
つても
肝腎
(
かんじん
)
の
大将
(
たいしやう
)
が、
113
鬼掴
(
おにつかみ
)
とかいふ
悪
(
わる
)
い
奴
(
やつ
)
にまゐつて
了
(
しま
)
うたのだから、
114
お
天道
(
てんだう
)
さまも
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
が
善
(
よ
)
くないのは
当前
(
あたりまえ
)
だ。
115
それ
迄
(
まで
)
は
二十
(
にじふ
)
年
(
ねん
)
や
三十
(
さんじふ
)
年
(
ねん
)
に
橋
(
はし
)
が
落
(
お
)
つるの、
116
家
(
いへ
)
が
流
(
なが
)
れるのと
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
な
水
(
みづ
)
が
出
(
で
)
た
事
(
こと
)
が
無
(
な
)
いぢやないか。
117
何
(
なん
)
でも
国
(
くに
)
の
御柱
(
みはしらの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は、
118
あまり
悪神
(
わるがみ
)
が
覇張
(
はば
)
るので
業
(
ごう
)
を
煮
(
に
)
やして、
119
黄泉
(
よみ
)
の
国
(
くに
)
とかへ
さつさ
と
行
(
い
)
つて
了
(
しま
)
はれたと
云
(
い
)
ふことだ。
120
後
(
あと
)
に
天
(
あめ
)
の
御柱
(
みはしらの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
独
(
ひと
)
り
残
(
のこ
)
されて、
121
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
御
(
お
)
指揮
(
さしづ
)
を
遊
(
あそ
)
ばすと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だが、
122
一軒
(
いつけん
)
の
内
(
うち
)
でもおなじ
事
(
こと
)
、
123
女房
(
にようばう
)
が
無
(
な
)
くては
家
(
いへ
)
の
内
(
うち
)
は
暗
(
くら
)
がりと
同
(
おんな
)
じ
様
(
やう
)
に、
124
世界
(
せかい
)
も
段々
(
だんだん
)
暗
(
くら
)
うなつて
来
(
く
)
るのだよ』
125
と
悲
(
かな
)
し
相
(
さう
)
にいふ。
126
戊
(
ぼう
)
『
何
(
ど
)
うしたらこの
世
(
よ
)
が
治
(
をさ
)
まるか。
127
何
(
ど
)
うしたらこの
橋
(
はし
)
架
(
か
)
けられよか』
128
と
唄
(
うた
)
ひながら
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
つて
踊
(
をど
)
り
出
(
だ
)
した。
129
甲
(
かふ
)
は『
馬鹿
(
ばか
)
』と
云
(
い
)
ひながら、
130
戊
(
ぼう
)
の
肩
(
かた
)
を
力
(
ちから
)
を
籠
(
こ
)
めて
押
(
お
)
した
途端
(
とたん
)
に、
131
戊
(
ぼう
)
は
河
(
かは
)
の
中
(
なか
)
に
真倒
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだ。
132
戊
(
ぼう
)
はやにはに
橋杭
(
はしぐひ
)
に
取
(
と
)
り
着
(
つ
)
き、
133
又
(
また
)
もや
一同
(
いちどう
)
の
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つて、
134
戊
(
ぼう
)
『
何
(
ど
)
うしても
私
(
わたし
)
は
流
(
なが
)
れませぬ。
135
何
(
ど
)
うしたらこの
橋
(
はし
)
架
(
か
)
けられよか、
136
何
(
ど
)
うしたら
甲
(
かふ
)
奴
(
め
)
が
倒
(
たふ
)
されよか』
137
と
杭
(
くひ
)
に
抱
(
だ
)
きつき
不減口
(
へらずくち
)
を
叩
(
たた
)
いて
唄
(
うた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
138
漸
(
やうや
)
くにして
戊
(
ぼう
)
は
河土手
(
かはどて
)
に、
139
濡
(
ぬ
)
れ
鼠
(
ねずみ
)
となつて
這
(
は
)
ひ
上
(
あが
)
り、
140
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
真裸体
(
まつぱだか
)
になつて
衣類
(
いるゐ
)
を
搾
(
しぼ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
141
さうして
又
(
また
)
もや、
142
戊
(
ぼう
)
『どうしたら
衣物
(
きもの
)
が
乾
(
かわ
)
かうか、
143
これだけ
降
(
ふ
)
つては
仕様
(
しやう
)
がない、
144
どうしようぞいな、
145
どうしようぞいな、
146
スツテのことで
土左衛門
(
どざゑもん
)
』
147
と
気楽
(
きらく
)
さうに
踊
(
をど
)
り
出
(
だ
)
す。
148
この
男
(
をとこ
)
は
河童
(
かつぱ
)
の
生
(
うま
)
れ
変
(
かは
)
りで、
149
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
を
何
(
な
)
ンとも
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
ない。
150
寒
(
さむ
)
い
時
(
とき
)
に
温泉
(
をんせん
)
にでも
這入
(
はい
)
つた
様
(
やう
)
な
心持
(
こころもち
)
になる
男
(
をとこ
)
なり。
151
戊
(
ぼう
)
は
甲
(
かふ
)
の
傍
(
かたはら
)
にツカツカと
寄
(
よ
)
り
来
(
き
)
たり、
152
『お
蔭
(
かげ
)
で
泥水
(
どろみづ
)
を
沢山
(
たくさん
)
頂
(
いただ
)
きました。
153
なんとも
御
(
お
)
礼
(
れい
)
の
申様
(
まをしやう
)
がありませぬ』
154
と
云
(
い
)
ひながら、
155
むんづ
と
斗
(
ばか
)
り
甲
(
かふ
)
の
腰
(
こし
)
を
引
(
ひ
)
つ
抱
(
かか
)
へ
自分
(
じぶん
)
から
体
(
たい
)
を
躱
(
かは
)
して、
156
共
(
とも
)
に
河
(
かは
)
の
中
(
なか
)
に
飛
(
と
)
んだ。
157
甲
(
かふ
)
は
石仏
(
いしぼとけ
)
を
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
んだ
様
(
やう
)
に
ぶくぶく
と
泡
(
あわ
)
を
立
(
た
)
て、
158
河底
(
かはぞこ
)
へ
沈
(
しづ
)
むで
了
(
しま
)
つた。
159
大勢
(
おほぜい
)
の
人夫
(
にんぷ
)
は
驚
(
おどろ
)
いて、
160
どうしよう、
161
かうしようと
狼狽
(
うろたへ
)
まはりたり。
162
戊
(
ぼう
)
は
又
(
また
)
もや
橋杭
(
はしくひ
)
に
取
(
と
)
りつき、
163
戊
(
ぼう
)
『
何
(
ど
)
うしたら
生命
(
いのち
)
が
助
(
たす
)
からう、
164
ぶくぶく
沈
(
しづ
)
んだ
石仏
(
いしぼとけ
)
、
165
どつこいしよのしよ』
166
と
唄
(
うた
)
ひ
居
(
ゐ
)
る。
167
大勢
(
おほぜい
)
は
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
てて
有
(
あ
)
り
合
(
あ
)
ふ
石
(
いし
)
を
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
り、
168
戊
(
ぼう
)
を
目
(
め
)
がけて
打
(
う
)
ちつける。
169
戊
(
ぼう
)
はたちまち
水中
(
すゐちう
)
に
潜
(
もぐ
)
り
込
(
こ
)
み、
170
しばらくすると
甲
(
かふ
)
の
体
(
からだ
)
を
両手
(
りやうて
)
に
捧
(
ささ
)
げて
浮
(
う
)
き
上
(
あが
)
つた。
171
石
(
いし
)
の
礫
(
つぶて
)
は
雨
(
あめ
)
のごとく
降
(
ふ
)
つて
来
(
く
)
る。
172
戊
(
ぼう
)
は
甲
(
かふ
)
の
体
(
からだ
)
にて
雨
(
あめ
)
と
降
(
ふ
)
る
石礫
(
いしつぶて
)
を
受
(
う
)
け
止
(
と
)
めた。
173
甲
(
かふ
)
は、
174
『あ
痛
(
いた
)
、
175
あ
痛
(
いた
)
』
176
と
頭
(
あたま
)
をかかへて
渋面
(
じふめん
)
を
造
(
つく
)
つて
泣
(
な
)
き
出
(
だ
)
すを
見兼
(
みかね
)
て、
177
戊
(
ぼう
)
は
甲
(
かふ
)
を
浅瀬
(
あさせ
)
に
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げ、
178
巨大
(
きよだい
)
なる
亀
(
かめ
)
と
化
(
くわ
)
し、
179
悠々
(
いういう
)
として
水上
(
すゐじやう
)
に
浮
(
うか
)
び、
180
再
(
ふたた
)
び
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
したり。
181
この
亀
(
かめ
)
は
果
(
はた
)
して
何神
(
なにがみ
)
の
化身
(
けしん
)
ならむか。
182
(
大正一一・一・二三
旧大正一〇・一二・二六
井上留五郎
録)
183
(第三七章~第三九章 昭和一〇・二・一七 於木の花丸船中 王仁校正)
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(B)
(N)
琴平橋 >>>
霊界物語
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【第39章 石仏の入水|第6巻|霊主体従|霊界物語|/rm0639】
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